JPS581103Y2 - 自動２輪車のフロントフオ−ク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動２輪車用のフロントフォークに関する。

殊に、本考案は、上部筒と下部筒とが摺動自在に嵌合さ
れたテレスコ−ピックタイプのフロントフォークに関す
る。

この種フロントフォークにおいては、下部筒内に制限オ
リフィス付ピストンが配置されて該筒内を上部油室及び
下部油室に分割し、上部筒内には空気室が形成され、こ
の空気室は上下部筒の摺動に伴なって容積が変化する。

従来のフロントフォークにおいては、この空気室内の容
積変化に伴なって該室内の空気を出入させるために、上
部筒の上端に通気孔が設けられている。

しかし、モトクロス走行の場合のようにフロントフォー
クが高速度で伸縮する条件下では、フォーク縮少による
空気室の容積減少分だけの空気を圧縮行程で排出できず
、空気室内圧力の増大を生じ、時にはこの圧力が下部筒
内の上部油室の圧力より高くなることもある。

このため空気室内の空気が上部油室との間のシールを通
って核油室に侵入し、正常な減衰性能を損なうという問
題が生ずる。

捷た、空気室内の圧力が高くなると、上下部部間の摺動
部に封入されたグリース等の潤滑剤が、空気室と大気と
の圧力差により外部に押し出されることになる。

さらに、フォークの伸長行程では、空気室に吸入される
空気と共に塵等の異物が空気室に侵入し、摺動機能部に
付着してその機能を損う恐れがある。

捷た逆に空気室内の負圧が大きくなりすぎると、スプリ
ングの戻し力を確保することができなくなると共に、上
下部部間の摺動部に封入された潤滑剤が空気室へ侵入す
る恐れもある。

本考案は、従来の自動２輪車用フロントフォークの上述
の問題を解決することを目的とするものであって、上部
筒の上端に通気孔及びキャップを設け、該キャップに前
記空気室から大気への流れは許容するが逆方向への流れ
は制限する逆止弁として作用する柔軟性スカート部を設
けることによリ、空気室内の圧力を大気圧より低い値に
保つとともに、塵等の異物の吸入の恐れをなくしたこと
を特徴とする。

さらに、本考案の第２の特徴は、前記キャップの柔軟性
スカート部と前記通気孔との間に大気から空気室への空
気の流れをある程度許容する隙間を設けることにより、
空気室内の負圧が大きすぎないようにし、スプリングの
戻し力を確保できるようにすると共に、上下部部間の摺
動部に封入された潤滑剤が空気室へ出るのを防止するこ
とである。

以下、本考案の実施例を図について説明すると。

第１図において、フロントフォーク１は上部筒１２及び
下部筒１３を包含し、下部筒１３か上部筒１２内に挿入
されている。

上部筒１２の内面下部にはたとえば青銅等の軸受材料に
より構成されたスリーブ軸受１４．ｉｓが圧入笠の方法
により取付けられ、下部筒１３の外面がこの軸受１４，
１５により軸方向摺動可能に支持されている。

軸受１４゜１５の間には、グリース等の潤滑剤が封入さ
れる。

摺動面となる下部筒１３の外面を保護するため、保護筒
１６が設けられている。

保護筒１６はその下端がねじ等により下部筒１３の下端
のブラケット８に取付けられている。

下部筒１３の下部にはフリーピストン１８が配置され、
該フリーピストン１８の下方の室１９には加圧気体が封
入されている。

下部筒１３内にはさらに適当な制限オリフィス（図示せ
ず）を有するピストン２０が配置されて、下部筒１３内
を上部油室２１及び下部油室２２に分割する。

下部筒１３の上端は端壁２３により閉じられており、ピ
ストン２０に固定されたピストン棒２７は、との端壁２
３を通過して上部筒１２内に形成された空気室１２ａを
軸方向に延びている。

上部筒１２の上端には通気孔２４．２５を有する端板２
６がねじ込等により固着され、ピストン棒２７の上端は
この端板２６に固定されている。

端板２６にはキャップ２８が取付けられる。

上部筒１２内には下部筒１３の端壁２３と上部筒１２の
端板２６との間で作用するように圧縮スプリング２９が
配置されている。

保護筒１６の上端には、軸方向伸縮自在な蛇腹部材３０
の下端がクランプ３１により取付けられており、蛇腹部
材３０の上端はクランプ３２により上部筒１２に取付け
られている。

クランプ３１は穴３３及び内周溝３４を有し、蛇腹部材
３０の下端と保護筒１６の上端には互に重なった通気孔
３５．３６がそれぞれ形成されている。

さらに、保護筒１６の下端には、塵排出口３７が形成さ
れている。

通気孔３５．３６、排出口３７等は、必要に応じて適当
数形成すればよい。

本例においては、キャップ２８はゴム等の柔軟な材料に
より構成され、そのスカート部２８ａが第２図に示すよ
うに通気孔２５を塞ぐように配置されている。

スカート部２８ａは通気孔２５に完全に密着せず、端板
２６の外面とスカート部２８ａの内面との間にはわずか
な隙間が設けられており、かつスカート部２８ａの下端
と上部筒１２の上端との間にも隙間が設けられている。

フロントフォーク１の圧縮行程においては、キャップ２
８のスカート部２８ａは第２図に想像線で示すように押
し開かれて、空気室１２ａ内の空気を排出するが、伸長
行程においてはスカート部２８ａが通気孔２５を塞いで
外気が空気室１２ａに入るのを制限する。

すなわちスカート部２８ａが通気孔２５を塞いだ状態に
おいても、上記隙間を通って大気から空気室へある程度
空気が流れ込むようになっている。

キャップ２８のスカート部２８ａには、上述の作動を容
易にするために、スリットを形成してもよい。

以上説明したように、本考案においては、上部筒の上端
にキャップを設け、該キャップの柔軟性スカート部によ
って前記空気室から大気への流れは許容するが空気室へ
の流れを制限する逆止弁を構成しているので、作動中空
気室内の圧力を大気圧に比し低い値に保つことができ、
空気室から上部油室への空気洩れ及び軸受部に封入され
たグリースの洩れ等を効果的に防止することができ、ま
た空気室への塵等の異物の吸入を阻止できるという効果
が得られる。

さらに、本考案に釦いては、前記キャップの柔軟性スカ
ート部と前記通気孔との間に大気から空気室への空気の
流れをある程度許容する隙間を設けたので、空気室内の
負圧が大きすぎないよう保つことができ、スプリングの
戻し力を確保できるようにすると共に、上下部部間の摺
動部に封入された潤滑剤が空気室へ出るのを防止すると
いう効果もある。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の一実施例を示すフロントフオ−クの断
面図、第２図はキャップ部の拡大断面図である。 １２・・・・・・上部筒、１３・・・・・・下部筒、２
４，２５・・・・・・通気孔、 ２８・・・・・・キャップ、 ２８ａ・・・・・・スカ ー ト。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）互に摺動自在に嵌合された上部筒及び下部筒、前
   記下部筒の内部に配置され該筒内を上部油室及び下部油
   室に分割するとともに前記上下部筒の摺動に伴なって前
   記下部筒内を軸方向移動するようになった制限オリアイ
   ス付ピストン、前記上部筒内に形成され前記上下部筒の
   摺動に伴なって容積が変動するようになった空気室、前
   記空気室と大気とを接続する通気孔及び前記上部筒の上
   端に取付けられたキャップから成り、該キャップに前記
   空気室から大気への流れは許容し逆方向の流れは制限す
   るよう前記通気孔を覆う柔軟性スカート部を設け、さら
   に該柔軟性スカート部と通気孔との間には大気から空気
   室への空気の流れをある程度許容する隙間を設けたこと
   を特徴とする自動二輪車用のフロントフォーク。
2. （２）前記第（１）項において、前記キャップは軟質ゴ
   ムにより構成された自動二輪車用のフロントフォーク。