JPH11950A - 二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法

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JPH11950A
JPH11950A JP15650197A JP15650197A JPH11950A JP H11950 A JPH11950 A JP H11950A JP 15650197 A JP15650197 A JP 15650197A JP 15650197 A JP15650197 A JP 15650197A JP H11950 A JPH11950 A JP H11950A
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JP
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film
stretching
polyester film
temperature
drawn
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JP15650197A
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Inventor
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Kenichi Egashira
賢一 江頭
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】実質的に配向・結晶化していないポリエス
テルフィルムAを少なくとも2段階以上に分けて長手方
向に延伸したのち、該長手方向延伸フィルムBを長手方
向に寸法を戻した後に、幅方向に延伸することを特徴と
する二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。 【効果】寸法安定性と高剛性率に優れ、しかも厚み均質
性にも優れたポリエステルフィルムを、しかも生産性に
優れた方法で製造出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は寸法安定性と剛性率
に優れ、しかも、厚み均質性に優れたポリエステルフィ
ルムの生産性に優れた延伸方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムを長手方向および
幅方向に二軸延伸後、熱固定およびその冷却工程で長手
方向に寸法を戻し、いわゆるMDリラックス処理して、
長手方向の熱寸法安定性を改善する方法が提案・実施が
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この様に二軸延伸ポリ
エステルフィルムを熱固定工程のテンター内で長手方向
に寸法を戻し、MDリラックス処理する方法は、確かに
長手方向の寸法安定性は向上し、熱収縮率が低下する
が、同時に長手方向の剛性率も大幅に低下するのみなら
ず、厚み均質性も低下するという重大な欠点があった。
さらにこの様な処理には特殊なテンターを必要とする欠
点も有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは鋭意
検討した結果、本発明に達した。すなわち、実質的に配
向・結晶化していないポリエステルフィルムAを少なく
とも2段階以上に分けて長手方向に延伸したのち、該延
伸フィルムBを長手方向に適度に寸法を戻した(リラッ
クス処理)後、さらに幅方向に延伸することを特徴とす
る二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法である。
【0005】該長手方向延伸フィルムBは、1段目の延
伸でスタック構造を有したフィルムB1 を再度長手方向
に延伸したフィルムBでなくてはならないし、さらにこ
の長手方向に延伸した該フィルムBを、長手方向に適度
な条件で寸法を戻すというMDリラックス処理をするこ
とが必須である。かくして得られた長手方向延伸・リラ
ックスフィルムBRXをさらに幅方向に延伸するが、該幅
方向延伸温度が該ポリエステルフィルムBのガラス転移
温度Tgより40℃低い温度(Tg−40)℃から冷結
晶化温度Tccまでの比較的低温で延伸することが大切で
ある。このように長手方向の延伸を2段階以上に分け、
スタック構造を有したフィルムを再度長手方向に延伸
し、しかもその直後にMDリラックス処理をした後に幅
方向延伸することにより、寸法安定性と剛性率に優れ、
しかも、厚み均質性に優れた二軸延伸ポリエステルフィ
ルムを生産性良く製造する方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】ポリエステルとは、分子主鎖中に
エステル結合を有する高分子化合物であり、通常ジオー
ルとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成される
ことが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるような
ヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合
物を利用してもよい。ジオール化合物の代表的なものと
しては、OH(CH2 n OHで表されるエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコール、ポ
リエチレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プ
ロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有
ジオールなどであり、それらの単独または混合体などで
ある。ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイ
ン酸、フマル酸及びそれらの混合体などである。本発明
の場合、特にポリエチレンテレフタレートPETおよび
その共重合体、ポリブチレンナフタレートPBNおよび
その共重合体、ポリブチレンテレフタレートPBTおよ
びその共重合体、ポリエチレンナフタレートPENおよ
びその共重合体、およびそれらの混合体などが好まし
い。これらの高分子化合物の繰返し単位は100以上、
好ましくは150以上有るのがよい。
【0007】固有粘度としては、オルトクロルフェノー
ル(OCP)中での測定値として0.5(dl/g)以
上、好ましくは0.6(dl/g)以上であるのがよ
い。
【0008】もちろんこれらの高分子化合物に各種の添
加剤、例えばすべり材、安定剤、酸化防止剤、粘度調整
剤、帯電防止剤、着色剤、顔料などを任意に併用するこ
とが出来る。
【0009】もちろん、本発明のポリエステルに液晶性
ポリエステルを添加したポリエステルにすることによ
り、延伸性が改良されるためか、本発明にとっては好ま
しい組成である。なお、液晶性ポリエステルとは、メソ
ゲン基を有する、溶融時に光学異方性を示すポリエステ
ルのことであり、代表的な液晶性ポリエステル化合物
は、特開平7−233310号公報などで代表されるも
のなどである。本発明の場合、特に液晶性ポリエステル
として、パラヒドロキシ安息香酸(HBA)成分を主メ
ソゲンとして40〜90重量%含有した液晶性ポリエス
テルが好ましい。メソゲンの含有形式は、ランダム共重
合、ブロック共重合、ブランチ共重合、およびそれらの
組合わせ複合共重合など任意の形式でよいが、本発明の
場合とくにランダム共重合とブロック共重合との複合体
が好ましい。該液晶性ポリエステルの溶融粘度ηm は、
100Pa・s以下、好ましくは20Pa・s以下、さ
らに好ましくは10Pa・sであるのが、少量添加で本
発明の効果を助長する点でよい。この様な粘度の低い原
料は、安定に重合させることが困難であるばかりか、一
定の形状を保った押出原料にすること(ペレタイズ)も
困難であり、さらに液晶性ポリエステルの末端が多いた
めに溶融押出時に多くの脱酢酸が起こり、押出系の金属
を腐食させてしまうという重大な欠点を有していた。こ
のたにめ溶融粘度ηm 20Pa・sを超える液晶性ポリ
エステル原料を一旦試作した後、該原料を温水中で加水
分解させながら酢酸を抽出させるとともに、溶融粘度η
m を20Pa・s以下に調整して本発明に使用する液晶
性ポリエステル作るのが生産性・効果上良い。該液晶性
ポリエステルは、280℃に加熱したときの酢酸発生量
が10ppm以下、好ましくは1ppm以下、さらに好
ましくは全く酢酸の発生しない液晶性ポリエステルを用
いることが大切である。該液晶性ポリエステルは、ポリ
エステルフィルム中に0.01〜5%、好ましくは0.
1〜1%含有しているのがよい。液晶性ポリエステルの
含有量が5%を超えるとポリエステルフィルムの物理的
特性、例えば透明性、引裂き伝搬抵抗、衝撃性、摩耗性
などの特性が低下する。逆に0.01%未満だと本発明
の効果である延伸性の改良が出来ないためである。なお
該液晶性ポリエステルは、ポリエステルフィルム中に厚
さ方向に0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、
さらに好ましくは0.1μm以下に層状・針状に分散し
ているのが本発明の効果を大きくする上でよい。分散形
状は、液晶性ポリエステルとマトリックスポリエステル
との組成、相溶性、粘度比率、相溶化剤のみならず、溶
融時の剪断速度、剪断力、溶融温度、混練時間、押出時
の引取り速度比率(ドラフト比)、さらに延伸倍率・速
度・温度などの延伸条件にも依存する。
【0010】また、本発明における長手方向延伸とは、
フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言
い、通常は、ロールの周速差により実施される。この延
伸は2段階以上で行うことが必須である。なお、一段目
の延伸は、ポリエステルフィルムAのガラス転移温度T
g+30℃以上の高温からポリエステルフィルムAの結
晶化温度Tcc以下の温度で、延伸速度は20000%
/min程度以下と出来る限り遅くして、1.25〜
2.5倍をいわゆるスーパードロー的な延伸をする。こ
の様にして得られた延伸フィルムB1 は、ポリエチレン
テレフタレートPETのようにベンゼン環を有するポリ
マーでは、ベンゼン環が相互に面配向して2〜3個上下
に積層したような構造、いわゆるスタック構造を取るこ
と(固体NMR解析から判明)が本発明では必須である
が、エチレングリコール部分は必ずしも相互に配列して
いる必要はない。即ち、スタック構造を有さないフィル
ムを長手方向に延伸・MDリラックス処理後、幅方向延
伸・熱処理しても、本発明の効果である寸法安定性と剛
性率に優れ、しかも、厚み均質性に優れたポリエステル
フィルムを生産性良く得ることが困難なためである。こ
の時のフィルムB1 の複屈折は、0.002から0.0
2であり、結晶化度は10%以下、好ましくはほとんど
0%である。これ以外の領域の配向性・結晶性のもので
は上記した効果が得られないためである。
【0011】この様にして得られたスタック構造を有し
たフィルムB1 をさらに同じ方向に1段あるいは多段で
延伸して、複屈折で0.10〜0.21、結晶化度とし
て5〜30%程度になるように各種目的に応じて延伸を
する。長手方向の延伸の総合倍率としては樹脂の種類に
より異なるが、通常、2〜15倍程度であり、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを用い
た場合、4〜8倍程度である。
【0012】この様にスタック構造を有したフィルムを
再度長手方向に延伸したフィルムBを、長手方向に寸法
を0.01〜7%、好ましくは0.1〜5%、さらに好
ましくは0.5〜3%戻した(リラックス処理)後、幅
方向に延伸するのである。リラックス処理率が0.01
%未満では寸法安定性の向上が認められず、逆にリラッ
クス処理率が7%を超えると剛性率が低下するばかり
か、厚み均質性も悪化するためである。この時のリラッ
クス処理温度は、2段目以降の長手方向延伸温度TMD
同等あるいはそれよりも30℃低い温度(TMD−30
℃)の範囲で行うことが好ましい。この様に適度に長手
方向リラックス処理をして得られた二軸配向フィルムで
あるために、寸法安定性と剛性率を両立して、しかも、
厚み均質性にも優れた二軸配向ポリエステルフィルムを
生産性の良くに製造することが出来るのである。
【0013】なお、該スタック構造とは、固体NMRか
ら求めた1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1 ρ
が、100mSEC以上、好ましくは120mSEC以
上のものをいう。この値T1 ρは、固体高分解能NMR
による1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1 ρ(m
SEC)であり、分子の運動のしにくさ、し易さを表わ
し、T1 ρが長いと分子の運動性は束縛され、運動がし
にくく、逆にT1 ρが短いと分子運動がし易いことを表
す。これに対して公知の溶融押出して急冷したキャスト
フィルムのT1 ρは、50〜80mSECの範囲にあ
り、分子は比較的運動しやすい。ところが、緩和時間T
1 ρが、100mSEC以上、好ましくは、120mS
EC以上である規則的な構造(スタック構造)を有する
フィルムB1を長手方向に延伸後、適度にMDリラック
スすることにより寸法安定性を大幅に改良出来るばかり
か、剛性率にも優れ、しかも、厚み均質性にも優れた二
軸配向ポリエステルフィルムを生産性良く製造すること
が出来るのである。
【0014】さらに好ましくは、固体NMRから求めた
非晶鎖の運動成分(a)と結晶鎖の運動成分(b)との
スペクトル比(a/b)が次式を満足することが好まし
い。 a<b この値は、固体高分解能NMRによるベンゼン環部分の
CP/MASスペクトルのaおよびbの長さ(強度)か
ら求められるもので、aは非晶構造に起因する134p
pmにみられるピーク(A)の高さからバックグランド
を差し引いた長さで、bは結晶構造に起因する130p
pmにみられるピーク(B)の高さからバックグランド
を差し引いた長さである。aもbも、延伸や熱処理によ
って分子の運動が束縛されて大きくなるが、その大きさ
の変化の度合はaとbとで異なり、非晶構造に起因する
a値のほうが、結晶構造に起因するb値より大きくな
り、したがって、a>bとなることが多いが、本発明の
場合、特にその値がa<bとなるフィルムを延伸するこ
とにより、寸法安定性と剛性率に優れ、しかも、厚み均
質性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを生産性良
く製造すること出来るのである。
【0015】該長手方向延伸フィルム(BRXまたはB)
の少なくとも片面に水溶液または水分散液を塗布して表
面を変性してもよい。この時の塗布方法には特に限定さ
れず、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコ
ーター、バーコーター等各種の方法を用いて塗布するこ
とが出来き、塗布する幅方向の領域は、中央のフィルム
厚みの1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ま
しくは3倍以上となるまでの端部にまで幅広く塗布るこ
とがよい。これは幅方向の延伸時の予熱工程で塗布部分
のフィルム温度は水の蒸発潜熱のために昇温しないが、
非塗布部のフィルム温度はほぼ予熱温度まで昇温され、
このように幅方向に温度分布のある状態で幅方向に延伸
すると、塗布部と非塗布部の境界で延伸の程度に差が生
じ、境界部で延伸が過大に起る、いわゆる過延伸とな
り、フィルム破れが多発したり、たとえ延伸出来ても厚
みむらの悪いフィルムしか得られない。これを避けるた
めには塗布部も非塗布部も同じ温度になってから幅方向
延伸するのが理想ではあるが、生産性を考えると塗布部
の温度が非塗布部の温度より低くなり延伸張力は大きく
なるが、その絶対張力と同じだけの張力をフィルム端部
で発生させるには温度の高い端部のフィルム厚さを厚く
する必要があるためである。
【0016】また、幅方向延伸は、フィルムに幅方向T
Dに配向を与えるための延伸を言い、通常は、テンター
を用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬
送して、幅方向に延伸する。この時の幅方向延伸の開始
は、延伸前の予熱工程で塗布液を完全に乾燥して、しか
も塗布部分のフィルム温度を非塗布部分であるフィルム
端部の温度と同一になるまで充分に加熱してのちに延伸
するのがよいが、これでは乾燥・昇温に多大な時間がか
かり、生産性が大幅に悪くなるめに、本発明方法のよう
にスタック構造という特別な構造を有したフィルムB1
を再度長手方向に延伸したフィルム(BまたはBRX)に
しておくことで、幅方向の延伸温度が該ポリエステルフ
ィルムのガラス転移温度Tgより40℃低い温度(Tg
−40)℃、好ましくは(Tg−20)℃から冷結晶化
温度Tccまでの低い温度で幅方向の延伸可能となるの
で、水溶液または水分散液が完全に乾燥しない内に幅方
向の延伸を開始することが出来き、大幅な生産性向上と
なる。なお、幅方向の延伸の倍率としては、樹脂の種類
により異なるが、通常2〜10倍、好ましくは3〜6倍
程度である。
【0017】延伸後に、その歪みを除去するために、熱
処理(熱固定)を行うことが多い。熱処理の温度として
は、目的に応じて延伸温度から樹脂の融点近傍までの様
々な温度が採る事が出来、また必要に応じて寸法を縮め
て(リラックス)もよい。
【0018】次に、本発明のフィルムの製造方法につい
て説明するが、必ずしもこれに限定されるものではな
い。まず、熱可塑性ポリエステル樹脂の原料をペレット
などの形態で用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風
中、あるいは真空下で行い、押出機に供給する。押出機
内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、溶融状
態でフィルタ、ギアポンプ等を連結する加熱されたパイ
プ中を通り異物を除去される。この際、ギアポンプを連
結することで樹脂の押出量の均一性が向上し、厚みむら
の低減に効果が高い。押出機よりダイに送られた樹脂は
ダイで目的の形状に成形された後、吐出される。この吐
出の際の樹脂温度は、通常、融解終了温度(Tme)以上
である。
【0019】ダイから吐出されたシート状の溶融樹脂
は、キャスティングドラム上で冷却固化され、フィルム
に成形される。この際、シート状の溶融樹脂に静電気を
印加してドラム上に密着させ、急冷固化する方法が好ま
しく用いられる。次に、長手方向に延伸を行う場合に
は、このようにして得られた未延伸フィルムは、80〜
120℃の加熱ロールで加熱され、長手方向方向に1.
3〜2.5倍程度延伸し、スタック構造を形成させた
後、さらに1.05〜2.8倍程度ずつ多段階で延伸
し、総合的に長手方向には2〜15倍延伸し、該長手方
向延伸フィルムBを長手方向に0.01〜7%寸法を戻
すという、いわゆるリラックス処理をするのである。こ
のリラックス処理は通常周速度差のある加熱冷却ロール
間で行うのが効率的であるが、フリーロールの配置され
た熱風オーブン中や、クリップ付いたMDリラックステ
ンター中で行っても良い。該長手方向延伸フィルムBRX
の表面に必要に応じて、少なくとも片面に水溶液または
水分散液を塗布してもよい。塗布方法は特に限定されな
いが、ロールコーター、グラビアコーター、リバースコ
ーター、バーコーター等を用いて塗布するのが好まし
い。この時、塗布する幅方向の領域が、中央のフィルム
厚みの1.5倍以上、好ましくは2倍以上となるような
端部にまで幅広く塗布ることが大切である。続いて、フ
イルムの両端をクリップで把持しながらテンタに導き、
ガラス転移温度Tgより40℃低い温度(Tg−40)
℃から冷結晶化温度Tccまでの温度に加熱された熱風雰
囲気中で幅方向に2〜10倍に延伸する。こうして二軸
延伸されたフイルムは平面性、寸法安定性を付与するた
めに、テンタ内で延伸温度以上、融点Tm以下の熱固定
を行ない、均一に徐冷後室温まで冷やして巻きとる。
【0020】本発明フイルム層に他のポリマー層、例え
ばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩
化ビニリデン、アクリル系ポリマーなどを任意の工程で
積層してもよい。また、本発明フイルムのフイルム厚さ
は何等制限はないが、0.11〜250μm程度であ
り、このましくは0.55〜125μm、さらに好まし
くは1〜25μmと薄い方が効果が大きい。
【0021】かくして得られたポリエステルフィルム
は、磁気記録用、電気絶縁用、包装用、成形用、コンデ
ンサー用、OA・FA用などの一般工業用フィルムに広
く用いられる。
【0022】
【物性の測定法】つぎに本発明で使用した測定法につい
て以下に述べる。
【0023】(1)配向 3軸方向の屈折率をアッベの屈折計から求め、面内の軸
配向の異方性をその複屈折は、面内の長軸から短軸の屈
折率の差である。
【0024】屈折率の差として求める。面内等方性の場
合、軸配向の異方性は0となる。
【0025】(2)結晶化度Xc(%) 測定しようとするポリマーの密度d、完全結晶密度d
c、完全非晶密度daとしたとき、次式で求める。
【0026】Xc(%)=[(d−da)/(dc−d
a)]×100 (3)ガラス転移温度Tg(℃)、冷結晶化温度Tcc
(℃) パーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サ
ンプル重量10mg、窒素気流下で、昇温速度20℃/
分で昇温してゆき、ベースラインの偏起する温度をT
g、さらに昇温したところの発熱ピークをTccとす
る。
【0027】(4)溶融粘度ηm (Pa・s) 直径D0.5mm、長さL10mmのL/D=20の細
管のメルトインデクサーを用いて、溶融温度280℃、
剪断速度1000秒-1の時の値を測定する。
【0028】(5)酢酸発生量(ppm) 熱重量質量同時分析法TG−MS((株)島津製作所製
TG−MS 同時測定装置)を用い、重量変化と同時に
加熱時に試料から発生する気体の質量ごとの濃度変化を
温度の関数として追跡した。試料重量145.58m
g、ヘリウムガスを流しながら昇温速度10℃/分で昇
温し、300℃で60分間保持したときの酢酸発生量
(wtppm)を求めた。
【0029】(6)液晶性ポリエステルの含有量(wt
%) フィルム試料をOCPに溶解さるが、液晶性ポリエステ
ルは溶けないので、その時不溶残査として残ったものの
全重量比率(wt%)で表す。
【0030】(7)液晶性ポリエステルの分散形状 フィルムの観察したい方向にサンプリングし、透過型電
子顕微鏡(TEM)にて観察する。
【0031】(8)厚みむら アンリツ(株)製フィルムシックネステスタKG601
Aおよび電子マイクロメータK306Cを用い、長手方
向に30mm幅、10m長にサンプリングしたフィルム
を連続的に厚みを測定する。長手方向の場合10m長、
幅方向の場合全幅での厚み最大値Tmax (μm)、最小
値Tmin (μm)から、変動幅Rを R=Tmax −Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave (μm)から、 厚みむら(%)=(R/Tave )×100 として求めた。この全体の厚みむらが、3%未満のもの
を「○」、3%以上10%未満のものを「△」、10%
を超えるものを「×」とした。
【0032】(9)熱収縮率 JIS−C2318−72に従い、120℃および15
0℃、30min処理後の寸法変化率で表す。
【0033】(10)ヤング率 JIS−K7127に従い、測定・解析する。
【0034】
【実施例】以下に本発明の効果をより理解しやすくする
ためにいかに実施例・比較例を示す。
【0035】実施例1 ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(固有粘度[η]=0.65、添加剤として平均
粒径0.2μmの球形シリカを0.1wt含有)を用い
た。該PETの含水率が20ppm以下になるように乾
燥した後、溶融押出機に供給し、285℃で充分混練り
した後に20μmカットの繊維焼結金属フィルターを通
過させて濾過し、続いてTダイ口金から溶融体を押出
し、該溶融体に静電荷を印加させ、25℃に保たれた表
面速度45m/minの鏡面クロムメッキロール上に密
着させて引取り(ドラフト比率10)冷却固化させた。
かくして得られたポリエステルフィルムAのTgは71
℃、冷結晶化温度は135℃、結晶化度は0%、分子配
向の異方性は認められなかった。該押出フィルムAをロ
ール式長手方向延伸機でロール表面温度115℃という
比較的高温度で、かつ延伸区間を広くし延伸速度を20
000%/min程度以下と比較的ゆっくりした速度で
長手方向に1.8倍延伸し、得られたフィルムB1 がス
タック構造であることを確認した後、このB1 フィルム
をさらに長手方向に延伸温度95℃で3.5倍延伸し、
Tg以下に冷却し、総合長手方向延伸倍率を6.3倍と
しフィルムBを得た。続いて該長手方向延伸フィルムB
をローラーで88℃に加熱し、ローラー間で長手方向に
2%リラックス処理を行い、長手方向延伸フィルムBRX
を得た。
【0036】続いて、該フイルムBRXの両端をクリップ
で把持しながらテンタに導き、ガラス転移温度Tg近傍
の75℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に4.5倍
延伸後、220℃で定長熱固定、および150℃で幅方
向に3%のリラックス熱固定し、厚さ12μmの二軸配
向ポリエステルフィルムを、破れることなく安定な状態
で巻取り速度278m/minで高速製膜した。
【0037】かくして得られたフィルムの諸特性は表1
のとおりであるが、高速生産性・延伸安定性性に優れ、
また得られたフィルムは熱寸法安定性、剛性率、および
厚み均質性に優れたフィルムであった。
【0038】
【表1】 比較例1〜4 実施例1で用いた2段階長手方向延伸方法を、95℃で
4.0倍の1段階延伸方法に変えた場合を比較例1と
し、同じく2段階長手方向延伸条件の内、一段階目の延
伸条件を105℃で延伸速度を500000%/min
程度以上と通常の高速度で延伸し、得られたフィルムB
1 が充分なスタック構造を形成していない場合を比較例
2とし、それ以外は実施例1と全く同様にしてそれぞれ
二軸延伸して、厚さ12μmの二軸延伸フィルムを得
た。さらに比較例1および実施例1で採用した長手方向
リラックス処理をしない場合をそれぞれ比較例3および
比較例4とした。
【0039】得られた特性を表2に一覧して示したが、
長手方向の延伸は、スタック構造を有する多段延伸でな
ければ、たとえ同じようにリラックス処理をしても熱寸
法安定性、剛性率、および厚み均質性に優れたフィルム
にはならないことが判る。
【0040】
【表2】 比較例5〜6 長手方向延伸後にリラックス処理をしていない比較例3
及び4の製膜条件のうち、後期熱処理温度150℃での
幅方向のリラックス熱固定に加えて、長手方向にも同時
にリラックス処理が出来るように、テンタークリップ間
隙を2.0%縮小させて長手方向および幅方向の両方向
にリラックス処理して比較例5および6の厚さ12μm
の二軸延伸フィルムを得た。得られた特性は表3に示し
たが、熱寸法安定性、剛性率、および厚み均質性に優れ
たフィルムにはならないことが判る。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】長手方向の延伸を少なくとも2段階以上
に分けて延伸した後、該長手方向延伸フィルムBを長手
方向に寸法を戻した(リラックス処理)後に、幅方向に
延伸することを特徴とする製造方法であり、該長手方向
延伸フィルムBは、1段目の延伸でスタック構造を有し
たフィルムB1 を再度長手方向に延伸したフィルムBで
あることが大切であり、該長手方向延伸フィルムBを長
手方向に寸法を戻した(リラックス処理)後に、幅方向
に延伸することを特徴とする製造方法であり、該長手方
向延伸フィルムBは、1段目の延伸でスタック構造を有
したフィルムB1を再度長手方向に延伸したフィルムB
であることが大切であり、ここのようなプロセスを取る
ことにより次のような効果を示す。
【0043】(1)寸法安定性と高剛性率という、お互
いに満足しにくい、優れた特性を有する。
【0044】(2)厚み均質性に優れたポリエステルフ
ィルムを、しかも生産性に優れた方法で製造しうる方法
を提供するものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に配向・結晶化していないポリエ
    ステルフィルムAを少なくとも2段階以上に分けて長手
    方向に延伸したのち、該長手方向延伸フィルムBを長手
    方向に寸法を戻した後に、幅方向に延伸することを特徴
    とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 長手方向の最初の延伸後のフィルムB1
    は、スタック構造を有したフィルムをさらに長手方向に
    延伸することを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポ
    リエステルフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 長手方向の最初の延伸後のフィルムは、
    複屈折が0.002以上0.02以下、結晶化度が10
    %以下であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 長手方向リラックス処理率が、0.01
    %以上7%以下であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造
    方法。
  5. 【請求項5】 幅方向の延伸温度がポリエステルフィル
    ムのガラス転移温度Tgより40℃低い温度から冷結晶
    化温度Tccまでの温度であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002103443A (ja) * 2000-10-03 2002-04-09 Toray Ind Inc 成形加工用二軸延伸ポリエステルフィルム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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