JPH1080946A - ポリエステルフィルムの延伸方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムの延伸方法

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JPH1080946A
JPH1080946A JP23813096A JP23813096A JPH1080946A JP H1080946 A JPH1080946 A JP H1080946A JP 23813096 A JP23813096 A JP 23813096A JP 23813096 A JP23813096 A JP 23813096A JP H1080946 A JPH1080946 A JP H1080946A
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JP
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stretching
polyester
film
temperature
liquid crystalline
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JP23813096A
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Kenji Tsunashima
研二 綱島
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】実質的に配向・結晶化していないポリエス
テルフィルムを延伸するときに、該フィルムのガラス転
移温度(Tg)から冷結晶化温度(Tcc)までの延伸温
度範囲(℃)で測定した延伸張力の温度依存性が、0.
15(MPa/℃)以下であることを特徴とするポリエ
ステルフィルムの延伸方法。 【効果】少々延伸温度が変動しても、また延伸前のフィ
ルムに厚みむらがあっても厚みの均一なフィルムを得る
ことが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルフィル
ムの延伸方法に関するものである。さらに詳しくは、成
形性に優れた、厚み均質性に優れたポリエステルフィル
ムの延伸方法を提供するものである
【0002】
【従来の技術】押出・キャストした、本質的に配向・結
晶化していないポリエステルフィルムをそのまま延伸・
成形するか、あるいは成形前に微延伸や結晶化させるな
どの前処理をした後に延伸・成形などを行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】押出・キャストした、
本質的に配向・結晶化していないポリエステルフィルム
をそのまま延伸・成形すると、延伸張力の温度依存性が
大きいために、延伸温度の変動・バラツキによって延伸
張力が変り、それがそのまま延伸・成形むらにつながる
ばかりか、延伸張力に降伏点が存在するためにたとえ均
一に温度コントロールされた条件で延伸・成形しても延
伸・成形むらにつながる。このために延伸・成形前に微
延伸や微結晶させるなどの前処理をした後に延伸・成形
などを行うことも行われているが、思った程の効果がな
いばかりか、前処理が大変であり、大幅なコストアップ
につながっていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは鋭意
検討した結果、本発明に達した。すなわち、実質的に配
向・結晶化していないポリエステルフィルムを延伸する
ときに、該フィルムのガラス転移温度(Tg)から冷結
晶化温度(Tcc)までの延伸温度範囲(℃)で測定した
延伸張力の温度依存性が、0.15(MPa/℃)以下
であることを特徴とするポリエステルフィルムの延伸方
法であり、さらに該延伸張力が降伏点を示さないように
して延伸・成形することを特徴とするポリエステルフィ
ルムの延伸方法である。具体的には、本発明のポリエス
テルフィルムが、液晶性ポリエステルを含有したポリエ
ステルフィルムであることを特徴とするポリエステルフ
ィルムの延伸方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】ポリエステルとは、分子主鎖中に
エステル結合を有する高分子化合物であり、通常ジオー
ルとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成される
ことが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるような
ヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合
物を利用してもよい。ジオール化合物の代表的なものと
しては、OH(CH2 n OHで表されるエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、
ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコール、ポ
リエチレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プ
ロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有
ジオールなどであり、それらの単独または混合体などで
ある。ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイ
ン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などである。本発
明の場合、特にポリエチレンテレフタレートPETおよ
びその共重合体、ポリブチレンナフタレートPBNおよ
びその共重合体、ポリブチレンテレフタレートPBTお
よびその共重合体、ポリエチレンナフタレートPENお
よびその共重合体などが好ましい。
【0006】これらの高分子化合物の繰替えし単位は1
00以上、好ましくは150以上有るのがよい。
【0007】固有粘度としては、オルトクロルフェノー
ル(OCP)中での測定値として好ましくは0.5(d
l/g)以上、さらに好ましくは0.6(dl/g)以
上である。
【0008】もちろんこれらの高分子化合物に添加剤、
例えばすべり材、安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯
電防止剤、着色剤、顔料などを任意に併用することが出
来る。
【0009】比較的結晶化速度の遅いポリエチレンテレ
フタレート(PET)およびその変性体は、通常の溶融
押出した後、冷却ドラムに密着・冷却固化して得られる
PETフィルムは、配向も結晶化もしていないことが多
い。このようなフィルムを延伸・成形すると、この延伸
張力は少しの延伸温度変動によって大きく変化しやす
く、すなわち延伸張力の延伸温度依存性が大きくのみな
らず、延伸張力に降伏点が存在するので、たとえ均一に
温度コントロールされた延伸雰囲気下の延伸であっても
経時あるいはフィルムの場所・部分によって厚みのこと
なるフィルムしか得られないという重大欠点を有してい
た。このため、実質的に配向・結晶化していない、即ち
複屈折で0.02以下、結晶化度として20%未満、好
ましくは10%未満であるポリエステルフィルムを延伸
する時の延伸張力の温度依存性を、0.15(MPa/
℃)以下、好ましくは0.10(MPa/℃)以下、さ
らに好ましくは0.05(MPa/℃)以下であるよう
にしてポリエステルフィルムを延伸するのが本発明の方
法である。ここで延伸張力の温度依存性は、T.M.L
ONG社のフィルムストレチャーを用い、フィルム厚さ
250μm、予熱時間60秒、延伸速度20000%/
分、固定幅一軸延伸時の延伸方向に3.5倍延伸時した
ときの張力(MPa)を、各延伸温度(℃)に対してプ
ロットしたときの傾きを最小二乗法によって求めた値
(MPa/℃)である。
【0010】さらに延伸張力が降伏点、すなわち、延伸
張力が延伸歪みにたいして極大点を示すような延伸張力
〜歪み曲線を示す場合、同じ延伸張力にたいして3点以
上の延伸歪みが対応する場合があるために、伸びる部分
と伸びない部分とが共存し、その結果、厚みむらの大き
なフィルムになってしまうのである。このために延伸張
力が降伏点を示さないようにして延伸することを特徴と
するポリエステルフィルムの延伸方法を提供するもので
ある。
【0011】このような延伸張力依存性を小さくする方
法の一つとして、特定の液晶性ポリエステル化合物を、
延伸性を改良したいポリエステルに特定量含有させ、し
かも特定の形状に分散させるのである。
【0012】本発明の液晶性ポリエステルとは、メソゲ
ン基を有する、溶融時に光学異方性を示すポリエステル
のことであり、代表的な液晶性ポリエステル化合物は、
特開平7−233310号公報などで代表されるものな
どである。本発明の場合、特に液晶性ポリエステルとし
て、パラヒドロキシ安息香酸(HBA)成分を主メソゲ
ンとして40〜90重量%含有した液晶性ポリエステル
が好ましく、非液晶性ポリエステルとしては、PET、
ポリエチレンナフタレートPEN、ポリブチレンナフタ
レートPBN、ポリブチレンテレフタレートPBTおよ
びそれらの共重合体などの汎用ポリエステルが好まし
い。メソゲンの含有形式は、ランダム共重合、ブロック
共重合、ブランチ共重合、およびそれらの組合わせ複合
共重合など任意の形式でよいが、本発明の場合とくにラ
ンダム共重合とブロック共重合との複合体が好ましい。
【0013】該液晶性ポリエステルの溶融粘度(ηm)
は、好ましくは100Pa・s以下、さらに好ましくは
20Pa・s以下、より好ましくは10Pa・sである
のが、少量添加で本発明の効果を助長する点でよい。こ
の様な粘度の低い原料は、安定に重合させることが困難
であるばかりか、一定の形状を保った押出原料にするこ
と(ペレタイズ)も困難であり、さらに液晶性ポリエス
テルの末端が多いために溶融押出時に多くの脱酢酸が起
こり、押出系の金属を腐食させてしまうという重大な欠
点を有していた。このたにめ溶融粘度(ηm)20Pa
・sを越える液晶性ポリエステル原料を一旦試作した
後、該原料を温水中で加水分解させながら酢酸を抽出さ
せるとともに、溶融粘度(ηm)を20Pa・s以下に
調整して本発明に使用する液晶性ポリエステル作るのが
生産性・効果上良い。該液晶性ポリエステルは、280
℃に加熱したときの酢酸発生量が好ましくは10ppm
以下、さらに好ましくは1ppm以下、より好ましくは
全く酢酸の発生しない液晶性ポリエステルを用いること
が大切である。
【0014】該液晶性ポリエステルは、ポリエステルフ
ィルム中に好ましくは0.01〜5%、さらに好ましく
は0.1〜1%含有しているのがよい。液晶性ポリエス
テルの含有量が5%を越えるとポリエステルフィルムの
物理的特性、例えば透明性、引裂き伝搬抵抗、衝撃性、
摩耗性などの特性が低下する。逆に0.01%未満だと
本発明の効果である延伸張力の温度依存性が、0.15
(MPa/℃)以下と小さくならないばかりか、延伸張
力が降伏点、すなわち、延伸張力が延伸歪みにたいして
極大点を示すような延伸張力〜歪み曲線を示し、同じ延
伸張力にたいして3点以上の延伸歪みが対応するように
なるためである。
【0015】また、該液晶性ポリエステルは、ポリエス
テルフィルム中に厚さ方向に好ましくは0.5μm以
下、さらに好ましくは0.3μm以下、より好ましくは
0.1μm以下に層状・針状に分散しているのが本発明
の効果を大きくする上でよい。分散形状は、液晶性ポリ
エステルとマトリックスポリエステルとの組成、相溶
性、粘度比率、相溶化材のみならず、溶融時の剪断速
度、剪断力、溶融温度、混練時間、押出時の引取り速度
比率(ドラフト比)、さらに延伸倍率・速度・温度など
の延伸条件にも依存する。
【0016】かくして得られたポリエステルフィルム
は、磁気記録用、電気絶縁用、包装用、成形用、コンデ
ンサー用、OA・FA用などの一般工業用フィルムに広
く用いられる。
【0017】
【物性の測定法】つぎに本発明で使用した測定法につい
て以下に述べる。
【0018】(1)配向 3軸方向の屈折率をアッベの屈折計から求め、面内の軸
配向の異方性をその複屈折は、面内の長軸から短軸の屈
折率の差である。面内等方性の場合、軸配向の異方性は
0となる。
【0019】(2)結晶化度Xc(%) 測定しようとするポリマーの密度d、完全結晶密度d
c、完全非晶密度da、としたとき、次式で求める。
【0020】Xc(%)=[(d−da)/(dc−d
a)]×100
【0021】(3)延伸張力の温度依存性・降伏点 延伸張力の温度依存性は、T.M.LONG社のフィル
ムストレチャーを用い、フィルム厚さ250μm、予熱
時間60秒、延伸速度20000%/分、固定幅一軸延
伸時の延伸方向に3.5倍延伸時したときの張力(MP
a)を、該フィルムのガラス転移温度(Tg)から結晶
化温度(Tcc)までの各延伸温度(℃)に対してプロッ
トしたときの傾きを最小二乗法によって求めた値(MP
a/℃)である。延伸張力の降伏点とは、上記で求めた
延伸張力〜延伸歪み曲線において、延伸張力が延伸歪み
にたいして極大値を示す点である。
【0022】(4)ガラス転移温度Tg(℃)、冷結晶
化温度Tcc(℃) パーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サ
ンプル重量10mg、窒素気流下で、昇温速度20℃/
分で昇温してゆき、ベースラインの偏起する温度をT
g、さらに昇温したところの発熱ピークをTccとする。
【0023】(5)溶融粘度ηm(Pa・s) 直径(D)0.5mm、長さ(L)10mmのL/D=
20の細管のメルトインデクサーを用いて、溶融温度2
80℃、剪断速度1000秒−1 の時の値を測定する。
【0024】(6)酢酸発生量(ppm) 熱重量質量同時分析法TG−MS((株)島津製作所製
TG−MS同時測定装置)を用い、重量変化と同時に加
熱時に試料から発生する気体の質量ごとの濃度変化を温
度の関数として追跡した。試料重量145.58mg、
ヘリウムガスを流しながら昇温速度10℃/分で昇温
し、300℃で60分間保持したときの酢酸発生量(w
tppm)を求めた。
【0025】(7)液晶性ポリエステルの含有量(wt
%) フィルム試料をOCPに溶解するが、液晶性ポリエステ
ルは溶けないので、その時不溶残査として残ったものの
全重量比率(wt%)で表す。
【0026】(8)液晶性ポリエステルの分散形状 フィルムの観察したい方向にサンプリングし、透過型電
子顕微鏡(TEM)にて観察する。
【0027】(9)オリゴマー量 ポリマー100mgをオルトクロロフェノール2mlに
溶解し、溶液を分別した後、液体クロマトグラフィー
(HLC803D 東曹社製)で測定し、ポリマーに対
する環状3量体の重量割合(%)で示した。
【0028】(10)引裂き伝搬抵抗(N/mm) 軽荷重式引裂試験機(東洋精機製)を用いて、ASTM
−D−1992に従って測定する。サンプルサイズは、
51×54mmで13mmの切れ込みを入れ、残り41
mmを引裂いたときの最大指示値(N)をフィルムの厚
み(mm)で割る。
【0029】(11)ヘイズ(%) JIS−K6714に従いHTRメーターにて全ヘイズ
値を求めた。
【0030】(12)ヤング率(GPa) ASTM−D882−67に従い25℃、65RH%で
測定した。
【0031】(13)熱収縮率(%) JIS−C2318に従い150℃、30分後の寸法変
化から求めた。
【0032】
【実施例】以下に本発明の効果をより理解しやすくする
ために実施例・比較例を示す。
【0033】実施例1 ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(固有粘度[η]=0.82、添加剤として平均
粒径0.2μmの球形シリカを0.1wt含有)を用
い、液晶性ポリエステルとしては、PETにヒドロキシ
安息香酸HBA成分が50重量%ランダム共重合するよ
うに脱酢酸反応で重合を行ない、末端基をフェノール化
合物で封鎖し、溶融粘度(ηm)=30Pa・sの液晶
性ポリエステルペレットを得、続いて該ペレットを95
℃の温水中で8時間加水分解・脱酢酸処理し、溶融粘度
(ηm)=0.5Pa・sの酢酸発生量を0ppmにし
た液晶性ポリエステルペレットを得た。
【0034】上記PETに該液晶性ポリエステルを0.
5重量%添加し、含水率が20ppm以下になるように
乾燥した後、溶融押出機に供給し、285℃で剪断速度
150sec−1 以上で充分混練りした後に20μmカ
ットの繊維燒結金属フィルターを通過させて濾過し、続
いてTダイ口金から溶融体を押出し、該溶融体に静電荷
を印加させ、25℃に保たれた鏡面クロムメッキロール
に密着させて引取り(ドラフト比率10)冷却固化させ
た。
【0035】かくして得られたポリエステルフィルムの
Tgは71℃、冷結晶化温度は135℃、結晶化度は0
%、分子配向の異方性は認められなかった。またポリエ
ステルフィルム中の液晶性ポリエステル成分は、TEM
観察により該フィルムの断面方向に平均0.1μm、長
手方向に平均5μmの層状に分散していた。また、該フ
ィルムをフィルムストレッチャーにて延伸温度を80〜
130℃まで変更して延伸張力の温度依存性を測定した
ところ、0.05(MPa/℃)であり、延伸張力には
降伏点は存在しなかった。
【0036】該押出フィルムをロール式縦延伸機でロー
ル表面温度120℃という比較的高温度で縦一軸に3.
5倍延伸し、さらにテンターにて幅方向に100℃で4
倍延伸後、210℃で熱固定し、厚さ75μmの二軸配
向ポリエステルフィルムを得た。
【0037】かくして得られたフィルムの諸特性は表1
のとおりであるが、厚み均質性に優れたフィルムである
ばかりか、オリゴマー含有量も少なく、特に電気絶縁用
途に優れたフィルムであることが判る。
【0038】
【表1】 比較例1、実施例2 実施例1で用いた加水分解処理した液晶性ポリエステル
のかわりに、加水分解を行い溶融粘度(ηm)=30P
a・sの液晶性ポリエステルペレットそのまま、および
実施例1と同様にして溶融粘度(ηm)=150Pa・
sの液晶性ポリエステルペレットを重合し用いた。あと
は実施例1と全く同様にして押出・キャストした後、二
軸延伸・熱固定して厚さ75μmのフィルムを得た。得
られた特性を表2に示す。
【0039】
【表2】 この様に添加する液晶性ポリエステルの溶融粘度を変更
するだけで得られるフィルム特性、特にフィルム厚みむ
らなどに大きく変化することが判る。
【0040】比較例2 実施例1で用いた液晶性ポリエステルの組成・添加量を
変更する以外は実施例1と全く同様にして表3のような
二軸延伸フィルムを得た。
【0041】
【表3】 この様に液晶性ポリエステルの組成・添加量を変更する
とフィルム厚みむら・オリゴマー量・ヤング率・熱寸法
安定性などが大きく変ることが判る。
【0042】実施例3 実施例1で得た押出キャストした延伸前のフィルムをP
TP(Press Through Pack)、ブリ
スター、トレーなどの成形用フィルムに用いたところ、
成形部の厚みは均質になっており、特に部分的に厚みの
薄い部分は存在しなかった。
【0043】実施例4 ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(固有粘度[η]=0.63を用い、液晶性ポリ
エステルとしては、PETにヒドロキシ安息香酸HBA
成分が60重量%ランダム共重合するように公知の脱酢
酸反応で重合を行ない、末端基をフェノール化合物で封
鎖し、溶融粘度(ηm)=20Pa・sの液晶性ポリエ
ステルペレットを得、続いて該ペレットを95℃の温水
中で6時間加水分解・脱酢酸処理し、溶融粘度(ηm)
=0.3Pa・sの酢酸発生量を0ppmにした液晶性
ポリエステルペレットを得た。
【0044】上記PETに該液晶性ポリエステルを0.
5重量%添加した原料Aと、PET原料Bとをそれぞれ
含水率が20ppm以下になるように乾燥した後、公知
の溶融押出機に別々に供給し、285℃で剪断速度13
0sec−1 以上で充分混練りした後に80μmカット
の繊維燒結金属フィルターを別々に通過させて濾過し、
続いて3層積層アダプターに導入し、A/B/Aと3層
になるようにした後、シングルTダイ口金から溶融体を
押出し、該溶融体に静電荷を印加させ、25℃に保たれ
た鏡面クロムメッキロールに密着させて引取り(ドラフ
ト比率12)冷却固化させた。かくして得られたポリエ
ステルフィルムは、厚さ比率A/B/Aで1/5/1に
なるようにした。なおこのポリエステル複合フィルム全
体のTgは72℃、冷結晶化温度は132℃、結晶化度
は0%、分子配向の異方性は認められなかった。また表
層のポリエステルフィルム層中の液晶性ポリエステル成
分は、TEM観察により該フィルムの断面方向に平均
0.15μm、長手方向に平均10μmの層状に分散し
ていた。また、該フィルムをフィルムストレッチャーに
て延伸温度を80〜130℃まで変更して延伸張力の温
度依存性を測定したところ、0.12(MPa/℃)で
あり、延伸張力には降伏点は存在しなかった。
【0045】該押出フィルムをロール式縦延伸機でロー
ル表面温度120℃という比較的高温度で縦一軸に3.
5倍延伸し、さらにテンターにて幅方向に115℃で4
倍延伸後、220℃で熱固定し、各層の厚さ1.7/
8.6/1.7μmの総厚さ12μmの二軸配向ポリエ
ステルフィルムを得た。
【0046】かくして得られたフィルムは特異な性質を
有している。すなわち、最初の縦延伸で中央のPET層
は実質的に分子配向は起らないが、両表層の液晶性ポリ
エステルの含有されたPET層は、延伸張力の延伸温度
依存性が小さいために強い縦配向を生ずる。このために
続いて延伸する幅方向の延伸でいずれの層も幅方向に分
子配向するために、表層は縦横バランスした二軸配向層
となるが、中央層は幅方向のみに配向した層となり、全
体として厚みの関係から幅方向に強く配向したフィルム
となっている。この結果、幅方向にフィルムは引裂けや
すく、クリアカットフィルムとなる。なお得られたフィ
ルムの諸特性は表4のとおりであるが、厚み均質性に優
れたフィルムであるばかりか、クリアカット性に優れた
フィルムであり、特に包装用に優れたフィルムであるこ
とが判る。
【0047】
【表4】
【0048】
【発明の効果】ポリエステルフィルム延伸する時の延伸
張力の温度依存性を、0.15(MPa/℃)以下にす
ることにより、次のような効果を示す。
【0049】(1)延伸あるいは成形時の温度変動があ
っても、均一に延伸・成形することが出来る。
【0050】(2)もともと延伸・成形前にフィルムに
厚みむらがあると、たとえ均一温度に外部加熱延伸・成
形しても延伸発熱量が異なるために、実質フィルム温度
が異なるようになるが、この場合でも均一に延伸・成形
することが出来る。
【0051】(3)さらに延伸張力が降伏点を示さない
ようにすることにより、さらに均一な延伸・成形が可能
になる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に配向・結晶化していないポリエ
    ステルフィルムを延伸するときに、該フィルムのガラス
    転移温度(Tg)から冷結晶化温度(Tcc)までの延伸
    温度範囲(℃)で測定した延伸張力の温度依存性が、
    0.15(MPa/℃)以下であることを特徴とするポ
    リエステルフィルムの延伸方法。
  2. 【請求項2】 延伸張力が降伏点を示さないことを特徴
    とする請求項1に記載のポリエステルフィルムの延伸方
    法。
  3. 【請求項3】 延伸温度がポリエステルフィルムのガラ
    ス転移温度(Tg)から冷結晶化温度(Tcc)までの温
    度であることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載のポリエステルフィルムの延伸方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステルが、液晶性ポリエステルを
    含有したポリエステルであることを特徴とする請求項1
    〜請求項3のいずれかに記載のポリエステルフィルムの
    延伸方法。
  5. 【請求項5】 ポリエステルフィルムが、液晶性ポリエ
    ステルを含有したポリエステルフィルムと、液晶性ポリ
    エステルを含有しないポリエステルフィルムとの少なく
    とも2層積層フィルムであることを特徴とする請求項1
    〜請求項4のいずれかに記載のポリエステルフィルムの
    延伸方法。
  6. 【請求項6】 液晶性ポリエステルが、パラヒドロキシ
    安息香酸(HBA)成分をメソゲンとして40〜90重
    量%含有した液晶性ポリエステルであることを特徴とす
    る請求項1〜請求項5のいずれかに記載のポリエステル
    フィルムの延伸方法。
  7. 【請求項7】 液晶性ポリエステルの溶融粘度(ηm)
    が、100Pa・s以下であることを特徴とする請求項
    1〜請求項6のいずれかに記載のポリエステルフィルム
    の延伸方法。
  8. 【請求項8】 液晶性ポリエステルが、溶融粘度(η
    m)20Pa・sを越える原料を一旦製造した後、該原
    料を温水中で加水分解させながら酢酸を抽出させるとと
    もに溶融粘度(ηm)を20Pa・s以下に調整した液
    晶性ポリエステルを用いることを特徴とする請求項1〜
    請求項7のいずれかに記載のポリエステルフィルムの延
    伸方法。
  9. 【請求項9】 液晶性ポリエステルを280℃に加熱し
    たときの酢酸発生量が10ppm以下である液晶性ポリ
    エステルを用いることを特徴とする請求項1〜請求項8
    のいずれかに記載のポリエステルフィルムの延伸方法。
  10. 【請求項10】 液晶性ポリエステルをポリエステル中
    に0.01〜5%含有してなることを特徴とする請求項
    1〜請求項9のいずれかに記載のポリエステルフィルム
    の延伸方法。
  11. 【請求項11】 液晶性ポリエステルがポリエステルフ
    ィルム中に厚さ方向に0.5μm以下に層状・針状に分
    散してなることを特徴とする請求項1〜請求項10のい
    ずれかに記載のポリエステルフィルムの延伸方法。
JP23813096A 1996-09-09 1996-09-09 ポリエステルフィルムの延伸方法 Pending JPH1080946A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112714931A (zh) * 2018-09-21 2021-04-27 三菱化学株式会社 折叠式显示器

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