JPH1192427A - 液晶化合物の製造方法 - Google Patents

液晶化合物の製造方法

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JPH1192427A
JPH1192427A JP9274973A JP27497397A JPH1192427A JP H1192427 A JPH1192427 A JP H1192427A JP 9274973 A JP9274973 A JP 9274973A JP 27497397 A JP27497397 A JP 27497397A JP H1192427 A JPH1192427 A JP H1192427A
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liquid crystal
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solidifying
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Hitoshi Yuasa
仁士 湯浅
Yasushi Sato
康司 佐藤
Yoshihiro Kobori
良浩 小堀
Masaaki Kobayashi
正明 小林
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Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光固化性置換基を有する液晶化合物を
製造する方法において、下記一般式(1)で表される保
護基を有する液晶化合物の前駆体を水素化触媒の存在下
で該保護基を脱離して水素化反応処理した後、アクリル
基、メタクリル基、ビニル基、シンナモイル基、エポキ
シ基、またはグリシジル基から選ばれる1種の光固化性
置換基、および上記水素化反応処理により生成した水酸
基と反応可能な水酸基反応性置換基を有する光固化性基
導入化合物を反応せしめ、前駆体化合物に光固化性置換
基を導入することを特徴としている。 −O−CB12Ar (1) (1)式中、B1およびB2は、それぞれ個別に水素ある
いは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシ
クロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を示
し、Arは炭素数6〜12のアリール基を示す。 【効果】 光固化性の置換基を有する液晶化合物を純度
良く、安定して製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子等の
材料として有用な液晶化合物の製造方法に関し、さらに
詳しくは液晶化合物の製造時に光架橋、光重合反応を引
き起こすことなく、熱的に不安定なエポキシ基やアクリ
ル基などの光固化性の置換基を有する液晶化合物を純度
良く安定して製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子は、ワードプロセッ
サー、パーソナルコンピューター、テレビなどに広く用
いられるようになり、それに関連する材料、部材、装置
などの産業活動が活発に行われている。液晶表示素子の
基本的な材料である液晶化合物についても活発な開発研
究が行われ、低分子および高分子の液晶化合物が数多く
開発されている。これらの化合物は、表示用セル、補償
用セル内に封入して用いられたり、また各種光学フィル
ム、例えば色や視野角依存性を改良する光学補償フィル
ムや偏光フィルムなどのフィルム材料として用いられて
いる。上記液晶表示素子の構成部材となる各種光学フィ
ルムは、液晶の光学的特性に起因する効果を発現するた
めにモノドメインな液晶相を形成することは無論のこ
と、耐熱性、耐湿性、耐衝撃性などの各種の信頼性にも
優れたフィルムであることが要求される。上記のような
光学的特性および信頼性を満足するフィルム材料となる
ような低分子の液晶化合物は、多分に光学的特性では十
分に満足できるフィルムが得られるものの、信頼性とい
う面においては必ずしも満足できるものの開発が進んで
いない。低分子の液晶化合物をフィルム材料として用い
る場合、光架橋性の置換基や光重合性の置換基を有した
該化合物を用いて所望の液晶相、例えばネマチック相を
形成し配向させた後、光架橋や重合などを行い高分子量
化してフィルムを形成し、上記の如き信頼性を付与して
いる。このような光架橋性、光重合性の置換基を有する
低分子の液晶化合物としては、例えば特開平7−306
317号公報に開示されている。該公報には、ヘキサヒ
ドロキシトリフェニレンなどのフェノール性水酸基を有
する母核に対して、アクリル基を有する置換芳香族カル
ボン酸ハロゲン化物などの架橋性基およびフェノール性
水酸基と反応可能な活性な官能基を有する該化合物が記
載されている。通常このような化合物を製造するには、
架橋性基およびフェノール性水酸基と反応可能な活性の
高い官能基を併せ持つ側鎖部分に相当する基質が必要と
される。このような基質を製造するには、一般に架橋性
基を有する側鎖成分を予め合成した後、フェノール性水
酸基と反応させるためにもう一方の官能基を例えば、カ
ルボキシル基を酸ハロゲン基などに活性化する必要があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
製法では、活性化されていない反応性のない側鎖成分が
未反応物として基質中に残存する、または側鎖成分が一
部重合する、といったことが生じうる可能性がある。こ
こで、先に説明したような各種光学フィルムの材料とな
る液晶化合物は、より高純度であることが必要である。
該材料中に不純物などが混入した状態でフィルムを作成
した場合には、フィルムに光学的な欠陥やムラなどが生
じやすく光学的特性に満足しうるフィルムの製造が困難
となる。また耐熱性、耐湿性、耐衝撃性などの信頼性に
ついて満足できる光学フィルムを製造することが困難と
なる。したがって、上述の製法では、未反応物や重合し
た副生物を予め取り除いておく必要がある。ただし側鎖
に相当する活性化された基質は、熱的にまた場合により
光にも不安定であるために精製が困難であり、未精製ま
たは精製不十分の液晶化合物を使用せざる得ない場合が
多く、フィルム材料としては不的確な化合物しか得るこ
とができない恐れが多大にある。そこで、本発明は、こ
のような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、
光重合性、光架橋性といった光固化性置換基を有する各
種液晶化合物を高純度で製造する液晶化合物の製造方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の液晶化合物の製造方法は、光重合性、光架
橋性置換基などの光固化性置換基の導入反応を、液晶相
発現の基本構造を構築した後に実施するものである。し
たがってこれら該置換基は、基本構造構築の際における
高温条件下において晒されることがないために、光固化
性置換基による副反応などを起こすことなく、最終生成
物の液晶化合物を高純度で製造することができる。すな
わち、本発明の液晶化合物の製造方法は、光固化性置換
基を有する液晶化合物を製造する方法において、下記一
般式(1)で表される保護基を有する液晶化合物の前駆
体を水素化触媒の存在下で該保護基を脱離して水素化反
応処理した後、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、
シンナモイル基、エポキシ基、またはグリシジル基から
選ばれる1種の光固化性置換基、および上記水素化反応
処理により生成した水酸基と反応可能な水酸基反応性置
換基を有する光固化性基導入化合物を反応せしめ、前駆
体化合物に光固化性置換基を導入するものである。 −O−CB12Ar (1) (1)式中、B1およびB2は、それぞれ個別に水素ある
いは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシ
クロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を示
し、Arは炭素数6〜12のアリール基を示す。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳細に説明
する。本発明では、下記一般式(1)で表される保護基
を有すると共に液晶化合物の前駆体となる化合物が出発
物質となる。 −O−CB12Ar (1) (1)式中、B1およびB2は、それぞれ個別に水素ある
いは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシ
クロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を示
し、Arは炭素数6〜12のアリール基を示す。上記一
般式1で表される保護基として、具体的にはベンジルオ
キシ基、ナフチルメトキシ基、1,1,1−ジメチルフ
ェニルメトキシ基、1,1−ジフェニルメトキシ基など
を挙げることができる。なかでも工業的な入手の容易さ
と、反応後処理の簡便さなどの理由からベンジルオキシ
基が望ましい。上記保護基を有する前駆体となる化合物
は、液晶性を示す化合物の前駆体、つまり液晶相発現の
基本構造を構築した後の化合物であって、該化合物が液
晶性を示すか否かは問わない。本発明では、最終的に得
られる光固化性置換基を導入した化合物が液晶性を示す
ものであれば何んら限定されない。また該化合物は、低
分子でも高分子化合物であっても構わない。上記の如き
前駆体となる化合物としては、特に制限されるものでは
ないが、最終的に得られる液晶化合物として有用なディ
スコティック液晶、ネマティック液晶化合物の基本構造
を有している該化合物が望ましい。ここで前駆体となる
化合物としては、該化合物の基本構造として分子内に不
斉炭素をもつ光学活性な化合物またはラセミ体を用いる
こともできる。このような該化合物を用いて本発明を実
施した場合、最終的に得られる液晶化合物は、液晶相と
してねじれネマチック相、ねじれディスコティックネマ
ティック相、コレステリック相などを示す。また、不斉
炭素を有していない当該化合物に、光固化性置換基を形
成する化合物として不斉炭素を有する該化合物を用いて
本発明を実施した場合も、最終的に得られる液晶化合物
は上記液晶相を示す。なお、前駆体となる化合物、光固
化性置換基を形成する化合物ともに不斉炭素を有しない
場合、最終的に得られる液晶化合物は、ネマティック
相、ディスコティックネマティック相などを示すことに
なる。
【0006】まず前駆体となる化合物としてディスコテ
ィック液晶化合物の基本構造を有している化合物につい
て説明する。当該化合物として具体的には下記一般式
(I)〜(VII)で表される化合物を挙げることがで
きる。
【化1】 式(I)〜(VII)中、Rはそれぞれ個別にX1−R
1またはR1を示す。X1は、O、COまたはO−CO
を示す。R1は炭素数1〜25のアルキル基、シクロア
ルキル基、アリール基、置換アルキル基、置換シクロア
ルキル基、置換アリール基を示す。ただし、前駆体の複
数個の側鎖Rのうちの少なくとも1個はR1の末端また
は側鎖に一般式(1)で表される保護基を置換基として
有する。該保護基を有する置換基として具体的には、
【化2】 などを挙げることができる。但し、式中、Wは一般式
(1)の保護基を示す。またnは2〜16の整数であ
り、Pは炭素数1〜16のアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基を示す。また、保護基を有しない側鎖R
の具体例としては、
【化3】 などを挙げることができる。但し、式中、mは1〜3の
整数であり、QはX2−R2またはR2を示す。X2は
O、COまたはO−COを示す。R2は炭素数1〜25
のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換ア
ルキル基、置換シクロアルキル基、置換アリール基を示
す。TはX3−R3またはR3を示す。X3はO、CO
またはO−COを示す。R3は炭素数3〜25のアルキ
ル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アルキル
基、置換シクロアルキル基、置換アリール基を示す。
【0007】上記の如き前駆体は、側鎖に相当する基質
(以下、基質Nと呼ぶ)と母核に相当する基質(以下、
基質Mと呼ぶ)とを反応させることにより製造すること
ができる。ここで基質Nとしては、基質M1分子中に少
なくとも1つは一般式(1)の保護基を有する側鎖であ
ることが必須条件である。したがって、該条件の範囲内
で例えば上記化2、3で示した置換基を形成する基質N
を選択する。また基質Mは、ディスコティック液晶化合
物の公知の母核基質であり、例えば2,3,7,8,1
2,13−ヘキサヒドロキシトルクセン、2,3,6,
7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン、
2,3,7,8,12,13−ヘキサヒドロキシ−5,
10,15−トリオキサトルクセン、ヘキサヒドロキシ
ベンゼン、ロイコキニザリン、1,2,3,5,6,7
−ヘキサヒドロキシ−アントラセン−9,10−ジオ
ン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンおよびこれら
のアセチル化物などを基質Mとして用いることができ
る。なかでも、2,3,7,8,12,13−ヘキサヒ
ドロキシトルクセン、3,6,7,10,11−ヘキサ
ヒドロキシトリフェニレンおよびこれらのアセチル化
物、より好ましくは、2,3,7,8,12,13−ヘ
キサヒドロキシトルクセンおよび該トルクセンのアセチ
ル化物を用いることにより液晶表示素子材料として好適
な液晶化合物を得ることができる。上記基質MおよびN
の反応条件については特に限定されるものではない。例
えば特開平7−306317号公報に準じて、基質Mと
してヘキサヒドロキシトリフェニレンやヘキサヒドロキ
シトルクセンなどを用いて、基質Nとして一般式(1)
で表される保護基を有するカルボン酸化合物の活性エス
テル、酸無水物、酸ハロゲン化物などを用いて反応させ
る製法、または特開平7−306317号公報に準じ
て、基質Mとしてヘキサアセトキシシトリフェニレンや
ヘキサアセトキシトルクセンなどを用いて、基質Nとし
て、一般式(1)で表される保護基を有するカルボン酸
化合物などを用いて130〜300℃で脱酢酸縮合させ
る製法により前駆体となる化合物を製造することができ
る。
【0008】また本発明では、一般式(1)で表される
保護基を有する少なくとも1種のモノマー成分を用いて
得られたポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステ
ルイミドなどの主鎖型高分子、ポリアクリレート、ポリ
メタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンなど
の側鎖型高分子といった液晶性高分子化合物と成りうる
の前駆体に対しても有効である。このような前駆体に光
固化性の置換基を導入することにより、光固化性の液晶
性高分子化合物を得ることができる。当該化合物は、特
に耐熱性、耐湿性、耐衝撃性などの信頼性に優れた液晶
表示素子材料として有用である。このような液晶性高分
子の前駆体を形成するモノマー成分としては、一般式
(1)で表される保護基を有するモノマーを少なくとも
1種用いる以外は、特に限定されない。例えば前駆体と
成りうる液晶性または非液晶性ポリエステルを構成する
各種モノマー成分としては、通常 (a)ジカルボン酸化合物および該化合物の機能性誘導
体より誘導される単位、(b)ジオール化合物および該
化合物の機能性誘導体より誘導される単位、(c)一つ
の単位中にカルボキシル基および水酸基またはアセチル
オキシ体を同時にもつオキシカルボン酸化合物および該
化合物の機能性誘導体より誘導される単位、(d)モノ
アルコール化合物および該化合物の機能性誘導体、
(e)モノカルボン酸化合物および該化合物の機能性誘
導体などが挙げられる。本発明に前駆体として供される
液晶性または非液晶性ポリエステルは、上記モノマー成
分の組み合わせなどは特に限定されるものではないが、
少なくとも1つのモノマー成分中(分子内)に上記保護
基を有していることが必須条件である。該モノマー成分
として具体的には、
【化4】 などを挙げることができる。但し、式中、Wは一般式1
の保護基を示す。またSはX4−R4を示し、X4は
O、COまたはO−COを示す。R4は炭素数1〜25
のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、
置換アルキレン基、置換シクロアルキレン基または置換
アリーレン基を示す。さらにPは、炭素数1〜16のア
ルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示し、
nは2〜16の整数である。本発明に供される前駆体と
しては、上記化4に示した複数のモノマー成分のうち少
なくとも1種含む高分子であることが必須条件である。
以上説明したモノマー成分を当該分野で公知の重合法、
例えば溶融重合法あるいは対応するジカルボン酸の酸ク
ロライドを用いる酸クロライド法などによって合成する
ことにより、本発明に供される前駆体を得ることができ
る。
【0009】以上説明した前駆体を出発原料として、水
素化反応処理する場合、つまり、上記該前駆体を水素化
触媒の存在下において保護基を脱離し、前駆体の水素化
物を得る場合について説明する。 ここで水素化触媒としては、通常ニッケル、コバルト、
モリブデン、パラジウム、銅、クロムなどの金属または
その酸化物あるいはこれらの金属の合金が用いられる。
これら触媒は、通常アルミナ、軽石、珪藻土、カ−ボン
等の多孔質坦体に担持して使用する。触媒の使用量は、
前駆体に対して通常0.05〜50重量%、好ましくは
1〜20重量%、さらに好ましくは1〜5重量%であ
る。また、水素化圧力は、通常0.001〜50kg/
cm2、好ましくは0.01〜10kg/cm2、さらに
好ましくは0.1〜5kg/cm2である。水素化温度
は0〜200℃、好ましくは5〜100℃、さらに好ま
しくは20〜60℃である。圧力および温度の各条件が
下限値未満では、工業的に非効率である。また上限値以
上では、目的の水素化反応以外に芳香環の水素化が併発
する恐れがあるため望ましくない。また反応溶媒として
は、前駆体およびその水素化物が可溶な溶媒であればい
ずれも使用できる。具体的にはベンゼン、トルエン、キ
シレン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン
などの炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、ジエ
チルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの
エーテル類、酢酸エチル、酢酸イソアミルなどのエステ
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、イソホロンなどのケトン類、およびこれらの
混合溶媒などを使用できる。なお本発明における水素化
反応では、前駆体とその水素化物との溶解性が大きく異
なる場合がある。そのため反応溶媒の選定などの反応条
件設定の際には、特に注意を払う必要がある。例えば水
素化反応の初期段階には、溶媒に前駆体が可溶であると
しても水素化物生成が進行するに従って該水素化物が不
溶となり、その結果、水素化反応が停止してしまうこと
がある。このような場合には、反応途中よりエタノール
等の極性の大きい溶媒を反応系中に添加して溶解性を保
つ方法が推奨される。さらに水素化反応の形態は、流動
触媒では回分式及び連続式の何れでも良く、また固定触
媒では連続式が望ましい。上記の水素化反応における水
素化率は、通常10〜100%、好ましくは20〜10
0%、さらに好ましくは60〜100%である。水素化
率が10%より低い場合、次工程において光固化性置換
基の導入量が少なくなり、本発明の目的が達成されない
恐れがある。また得られた最終生成物が液晶相を発現し
ない恐れもあり望ましくない。
【0010】こうして得られた前駆体の水素化物(以
下、水素化前駆体という)を得た後、光重合性、光架橋
性を示す光固化性置換基を前駆体の水酸基部位に導入す
る。なお一般式(1)で表される保護基は、前駆体1分
子に少なくとも1つ有することが必須条件であるが、前
駆体1分子あたりの保護基の導入数は、当該前駆体の骨
格(ディスコティック液晶型、主鎖型液晶性高分子型、
側鎖型液晶性高分子型)、液晶相発現温度領域、目的と
する液晶化合物の用途などによって異なり一概には決定
されないが、通常2〜8個、好ましくは2〜6個の範囲
である。
【0011】光固化性置換基としては、アクリル基、メ
タクリル基、ビニル基、シンナモイル基、エポキシ基、
グリシジル基などを挙げることができる。本発明では、
これらの置換基を有し、かつ前駆体の水酸基と反応可能
な水酸基反応性置換基、例えばカルボキシル基、ハライ
ド基、イソシアネート基などを少なくとも有する光固化
性基導入化合物を用いて前駆体に光固化性置換基を導入
する。上記の如き光固化性基導入化合物として具体的に
は、アクリル酸、メタクリル酸、ケイ皮酸、オレイン
酸、アクリル酸ハライド、メタクリル酸ハライド、アリ
ルハライド、オレイン酸ハライド、ケイ皮酸無水物、オ
レイン酸無水物、メタクロイルオキシエチルイソシアネ
ート、メタクリル酸グリシジル、エピハロヒドリンなど
を挙げることができ、特にアクリル酸ハライド、メタク
リル酸ハライド、エピハロヒドリンが望ましい。
【0012】光固化性置換基の導入反応の諸条件につい
て、官能基別に説明する。先ずアクリル酸などのカルボ
キシル基を有する化合物を用いて、光固化性置換基とし
てアクリル基などの導入反応を行う場合について説明す
る。該化合物としては、一般式(1)で表される保護基
を有し、かつ炭素数3〜10のカルボン酸化合物および
その機能性誘導体(以下、「カルボン酸類」という。)
が使用できる。ここで機能性誘導体とは、例えばカルボ
ン酸のエステル化物、酸無水物または酸ハロゲン化物な
どのようにカルボン酸部位を活性化した化合物を意味す
る。なかでも本発明では、アクリル酸、メタクリル酸、
ケイ皮酸のハロゲン化物を用いることが望ましい。これ
ら機能性誘導体の製法としては、第4版実験化学講座2
2巻、有機合成〓に記載されている方法が参照できる。
なお本発明では、あらかじめハロゲン化物などの機能性
誘導体を合成し、本発明に供することができることは無
論のこと、該機能性誘導体の合成を本発明の置換基導入
反応系中において行っても何ら差し支えない。上記の如
き光固化性置換基を有するカルボン酸類は、水素化前駆
体1当量あたり、通常0.9〜10当量、好ましくは1
〜5当量、さらに好ましくは1〜2当量使用する。ここ
で水素化前駆体とカルボン酸類との反応を促進させるに
は、添加剤として塩基を使用することが望ましい。該塩
基としては、具体的にはピリジン、トリプロピルアミ
ン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジ
メチルアニリン、ジアザビシクロウンデセンなどが挙げ
られる。これらの塩基は、反応を促進させると同時に、
副生されるハロゲン化水素や酸無水物由来の酸類などと
反応し、これを捕捉する役割も果たす。塩基の使用量
は、カルボン酸類1当量に対して通常1〜20当量、好
ましくは1〜10当量、さらに好ましくは1〜3当量で
ある。また反応溶媒は必要に応じて例えば酢酸エチル、
トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、N−メチ
ルピロリドン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライ
ム)、1,4−ジオキサン、塩化メチレンおよびこれら
の混合物などを使用することができる。また反応温度
は、通常−80〜200℃、好ましくは0〜80℃、さ
らに反応時間は通常0.1〜30時間、好ましくは0.
2〜5時間である。反応終了後は、反応混合物を酸性
水、希アルカリ水および/または水で洗浄し、洗浄後濃
縮することによって高純度で液晶化合物を単離すること
ができる。また濃縮前に活性白土、シリカ、アルミナ、
シリカ・アルミナなどで吸着処理を行うと、より高純度
で液晶化合物を単離精製することができる。これ以外の
後処理法としては、基質が可溶で、目的生成物が不溶な
溶剤、例えばメタノール、エタノールなどを用いて再沈
処理などによって単離精製することも可能である。
【0013】次にエピハロヒドリン、アリルハライド、
5−ヘキセニルハライドなどのようにハロゲン基を有す
る化合物を用いて、光固化性置換基としてエポキシ基、
ビニル基の導入反応を行う場合について説明する。該置
換基の導入反応について、ここでは、エピハロヒドリン
を用いてエポキシ基を導入する方法を例に挙げて説明す
る。該反応は、ノボラックフェノール樹脂やペンタエリ
スリトールなどの多価フェノール類、多価アルコール類
などをグリシジル化する当該分野で公知の方法にて行う
ことができる。具体的には、水素化前駆体とエピハロヒ
ドリン、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリ
ンなど、との混合物中にアルカリ化合物、例えば水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、金属
ナトリウムなどの分散液や溶液を添加し、反応させるこ
とにより目的の化合物を得ることができる。上記反応を
行う際、水素化前駆体とエピハロヒドリンとの混合物を
10〜130℃の温度に調節しておくことが望ましい。
またエピハロヒドリンの使用量は、水素化前駆体1当量
に対して、通常1〜200当量、好ましくは2〜100
当量、さらに好ましくは3〜50当量である。またアル
カリ水溶液の濃度は、通常3〜70重量%、好ましくは
5〜50重量%である。また添加量は、水素化前駆体1
当量に対して、通常0.5〜10当量、好ましくは0.
8〜3当量、さらに好ましくは0.9〜1.5当量であ
る。またアルカリ水溶液は,副反応の抑制と安全上の点
から,逐次的に添加することが望ましい。通常、アルカ
リ水溶液は、10分〜10時間,好ましくは20分〜7
時間,さらに好ましくは30分〜5時間をかけて反応液
中に添加する。アルカリ水溶液を添加した後,反応をよ
り進行させるためにさらに10分〜5時間撹拌を続ける
ことが望ましい。なお上記反応を、減圧下にてエピハロ
ヒドリンと水素化前駆体との共沸蒸留によって水分を留
去させながら反応を行うことにより反応速度を速めるこ
ともできる。また上記反応では、必要により反応溶媒を
用いることもできる。該反応溶媒としては、例えばベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素,ジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエ
ーテル類,酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチルな
どのエステル類等を反応溶媒として使用できる。なお後
処理を簡便に行う為には、エピハロヒドリンを反応溶媒
量用いて本反応を行う方法を推奨することができる。反
応終了後、水洗によって副生する塩化ナトリウムおよび
未反応のアルカリ化合物などを除去する。なお上記反応
によって得られた液晶化合物を液晶表示素子材料として
使用する場合には、塩化ナトリウムを水洗工程で十分に
除去しておく必要がある。その際、エピハロヒドリンを
蒸留により回収して反応溶液を濃縮した後、該濃縮物を
他の溶剤に溶解し、水洗しても良い。この際用いられる
溶剤としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、ベンゼン、ブチルセロソルブなどが好ましい例と
して挙げられる。水洗後、加熱濃縮することにより、エ
ポキシ基が導入された液晶化合物を高純度で得ることが
できる。
【0014】次に光固化性置換基を有するイソシアネー
ト化合物、例えばメタクリロイルオキシエチルイソシア
ネートなどと水素化前駆体との反応についても、公知の
方法に準じて同様に行うことができる。具体的には、イ
ソシアネート化合物は、水素化前駆体1当量当たり、通
常0.7〜5当量、好ましくは0.8〜3当量、より好
ましくは0.9〜2当量である。この範囲外では導入さ
れる光固化性置換基数が少なすぎ本発明の効果が得られ
がたい。またイソシアネート化合物が無駄になるばかり
でなく、後処理に負担がかかる等して好ましくない。上
記イソシアネート化合物と水素化前駆体との反応を促進
させるために、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ
アセテート、錫オクトエート、亜鉛アセチルアセトナー
ト等の金属化合物を添加するのが望ましい。またその添
加量には特に制限はないが、通常は、光固化性置換基を
有するイソシアネート化合物と水素化前駆体との合計量
(100重量部)に対して、0.1〜20重量部、好ま
しくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.3〜5
重量部添加される。反応溶媒は必要に応じて使用すれば
よいが、該イソシアネート化合物と反応する活性水素基
を有する溶媒は除外されるのは当然である。具体的に
は、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエス
テル類、N-メチルピロリドン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、アミルケトン等のケトン類、
ジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエー
テル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエ
ーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素
類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水
素類等、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温
度は、通常0〜200℃、好ましくは30〜150℃で
ある。また反応時間は、通常0.1〜48時間、好まし
くは0.5〜10時間である。反応終了後、イソシアナ
ート化合物が残存している場合(赤外線吸収スペクトル
によるイソシアナート基の特性吸収の有無により容易に
判別できる)、念のためにアルコールや水等で処理した
後、前述の光固化性置換基を有するカルボン酸類の後処
理と同様の後処理を行うことにより目的の液晶化合物を
得ることができる。
【0015】以上説明したように本発明の方法は、一般
式(1)で表される保護基を有した液晶化合物の前駆体
を予め製造したのち、該保護基を脱離して水酸基に変換
後、水酸基に光重合性・光架橋性の光固化性置換基を導
入することを特徴とする。その結果、本発明の方法で
は、該光固化性置換基の導入は液晶化合物の基本構造を
構築後、最後の製造工程で実施するため、該置換基は液
晶の発現に不可欠な基本構造を構築する際の高温に晒さ
れることがなく、重合や架橋等の副反応を起こすことが
ない。したがって、本発明の方法は、光固化性の置換基
を有する液晶化合物を純度良く、安定して製造できると
いう特徴を有する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例および比較例に
よりさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれら
によりなんら限定されるものではない。
【0017】(合成例1)2,3,7,8,12,13−ヘキサアセトキシトルク
センの合成 撹拌機、還流冷却器を付けた5リットル三ツ口フラスコ
に、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオン酸
300gおよびポリリン酸1500gを入れ、窒素雰囲
気下、65℃で30分反応させた。冷却後、脱イオン水
2000mlを徐々に添加した。ついで、室温で2時間
撹拌後、5リットル分液ロートにフラスコ内容物を移
し、クロロホルム600mlで抽出を6回行った。クロ
ロホルム抽出液を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濾過した。濾液をロ
ータリーエバポレーターで濃縮し、5,6−ジメトキシ
インダノン−1 170gを得た。5,6−ジメトキシ
インダノン−1 170gおよびポリリン酸エチル85
0gを撹拌機、還流冷却器を付けた3リットル三ツ口フ
ラスコに入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら140℃に
加熱し2時間反応させた。反応終了後、フラスコを氷冷
しながらエタノール 1リットルを徐々に添加した。室
温で1時間撹拌後、沈殿物を吸引濾過で回収しアセトン
で洗浄した。50℃の真空乾燥器で一夜乾燥し、2,
3,7,8,12,13−ヘキサメトキシトルクセン
の粗結晶140gを得た。得られた粗結晶をジメチルホ
ルムアミド溶媒から回収率99%で再結晶した。トルエ
ン400mlの入った撹拌機、還流冷却器付き1リット
ル三ツ口フラスコに2,3,7,8,12,13−ヘキ
サメトキシトルクセン40.0gを加えて懸濁させ、撹
拌下、氷冷しながら三臭化ホウ素187gを逐次添加し
た。ついでフラスコを60℃から徐々に120℃まで昇
温し、同温度で2時間反応させた。途中生成する臭化水
素等はアルカリ水溶液を入れたトラップに吸収させた。
反応終了後、フラスコを室温まで冷却し、メタノール2
00mlを徐々に加えた。この際多量に発生する臭化水
素、臭化メチル、メチルボレート等は−78℃に冷却し
たトラップ、アルカリトラップ等で回収処理した。つい
で高減圧下、60℃にて揮発分を除去し、2,3,7,
8,12,13−ヘキサヒドロキシトルクセンの黒色の
粗結晶25.3gを得た。無水酢酸250ml、トリエ
チルアミン25.0gおよび亜鉛粉末5.0gの入った
1リットル三口フラスコに、上記の方法で合成した2,
3,7,8,12,13−ヘキサヒドロキシトルクセン
の粗結晶15.0gを加えた後、加熱還流下2時間撹拌
した。冷却後、内容物を濾過し、ジエチルエーテル25
0mlで洗浄することにより、2,3,7,8,12,
13−ヘキサアセトキシトルクセンの粗結晶21.4g
を得た。この粗結晶をジメチルアセトアミド4000m
lに加熱溶解後、冷却して結晶を析出させた。析出物を
濾過後、ジエチルエーテル250mlで洗浄し、減圧乾
燥して黄白色の純度99.5%の結晶17.3gを得
た。この結晶をH−NMR分析したところ、キノン構造
は全くなく、原料の水酸基が全てアセチル基に置換され
ていることから、2,3,7,8,12,13−ヘキサ
アセトキシトルクセンであることを確認した。
【0018】(合成例2)2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリフ
ェニレンの合成 5リットルのセパラブルフラスコに塩化第二鉄(無水
物)を500g投入し、氷冷しながら滴下ロートでゆっ
くりと水340mlを加えた。次いでカテコール水溶液
277g(カテコール113gを含む)を投入した。反
応は常圧50℃で1時間行った。反応終了後、3規定塩
酸水溶液を2.3リットル投入し一夜放置した。析出し
た2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリ
フェニレンの粗生成物を濾別して水洗後、窒素下、一昼
夜風乾した。粗生成物78gに無水酢酸1500ml、
亜鉛75gおよびトリエチルアミン60mlを加え、常
圧下において還流温度130℃で1時間反応させた後、
熱濾過して一夜放置した。生じた結晶を濾別し無水酢
酸、アセトン、メタノールで洗浄、乾燥することによ
り、2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシト
リフェニレンが96.0g得られた。こうして得られた
淡黄色の結晶を2.5vol%の無水酢酸を含むジメチ
ルホルムアミド720mlに溶解し熱濾過を行い、一夜
放置した後、濾過し、ジメチルホルムアミドおよびメタ
ノールで洗浄して乾燥することで、純度99.5%の
2,3,6,7,10,11−ヘキサアセトキシトリフ
ェニレン67.4gを得た。
【0019】(合成例3)2,3,7,8,12,13−ヘキサアセトキシ−5,
10,15−トリオキサトルクセンの合成 2,3,7,8,12,13−ヘキサメトキシ−5,1
0,15−トリオキサトルクセン40.0gを、前記の
ヘキサメトキシトルクセンの場合と同様に三臭化ホウ素
283gと反応させ、2,3,7,8,12,13−ヘ
キサヒドロキシ−5,10,15−トリオキサトルクセ
ンの黒色の粗結晶38.2gを得た。無水酢酸500m
l、トリエチルアミン50.0gおよび亜鉛粉末10.
0gの入った2リットル三口フラスコに、上記の2,
3,7,8,12,13−ヘキサヒドロキシ−5,1
0,15−トリオキサトルクセンの粗結晶30.0gを
加えた後、加熱還流下2時間撹拌した。冷却後、内容物
を濾過し、ジエチルエーテル500mlで洗浄すること
により、2,3,7,8,12,13−ヘキサアセトキ
シ−5,10,15−トリオキサトルクセンの粗結晶4
3.6gを得た。この粗結晶をジメチルアセトアミド8
000mlに加熱溶解後、冷却して結晶を析出させた。
析出物を濾過後、ジエチルエーテル500mlで洗浄
し、減圧乾燥して黄白色の純度99.6%の2,3,
7,8,12,13−ヘキサアセトキシ−5,10,1
5−トリオキサトルクセンの結晶35.8gを得た。
【0020】(合成例4)ヘキサアセトキシベンゼンの合成 無水酢酸500ml、トリエチルアミン50.0gおよ
び亜鉛粉末20.0gの入った2リットル三口フラスコ
に、テトラヒドロキシヒドロキノン3gとヘキサヒドロ
キシベンゼン37gからなるフェノール類を加えた後、
加熱還流下2時間撹拌した。冷却後、内容物を濾過し、
メタノール100mlで洗浄することにより、ヘキサア
セトキシベンゼンの粗結晶33.2gを得た。再結晶
後、メタノール100mlで洗浄し、減圧乾燥してヘキ
サアセトキシベンゼンの白色結晶25.6gを得た。
【0021】(合成例5)テトラアセトキシロイコキニザリンの合成 無水酢酸500ml、トリエチルアミン20.0gおよ
び亜鉛粉末5.0gの入った2リットル三口フラスコ
に、ロイコキニザリンの粗結晶13.1gを加えた後、
加熱還流下2時間撹拌した。冷却後、内容物を濾過し、
濃縮後、メタノール100mlで洗浄することにより、
ロイコキニザリンのアセテート粗結晶18.5gを得
た。再結晶後、メタノール100mlで洗浄し、白色の
純度99.6%のテトラアセトキシロイコキニザリン1
5.6gを得た。
【0022】(合成例6)4−(6−ベンジルオキシ−ヘキシルオキシ)安息香酸
の合成 還流冷却管、滴下ロート、撹拌機付き5リットルセパラ
ブルフラスコに、ジメチルホルムアミド2450gとと
もに1,6−ヘキサンジオール709.1gを入れたの
ち、室温、撹拌下、60重量%水素化ナトリウム16
0.0gを15分かけて添加した。添加に伴い、系中の
温度は50℃まで上昇した。その後、60℃で1時間撹
拌した。次に、前記の温度でベンジルブロマイド650
gを15分かけて逐次添加した。添加に伴い、系中の温
度は80℃まで上昇した。その後、90℃、4時間撹拌
を行った。反応終了後、析出した塩を吸引濾別し、濾液
を濃縮した。この濃縮物を酢酸エチルに溶解後、水洗、
濃縮して生成物693gを得た。この生成物を精留し
て、6−ベンジロキシ−ヘキシルアルコール455.4
gを得た。還流冷却管、滴下ロート、撹拌機付き5リッ
トルセパラブルフラスコに、ジメチルホルムアミド25
40gとともに6−ベンジルオキシ−ヘキシルアルコー
ル355.4gを入れたのち、室温、撹拌下、60重量
%水素化ナトリウム88.8gを15分かけて添加し、
その後、60℃で1時間撹拌した。次に、前記の温度で
p−クロロベンゾニトリル231.7gを含む50重量
%ジメチルホルムアミド溶液を15分かけて逐次添加し
たが、添加に伴い、系中の温度は90℃まで上昇した。
その後、90℃、4時間、加熱撹拌した。反応終了後、
析出した塩を吸引濾別し、濾液を濃縮した。この濃縮物
を酢酸エチルに溶解後、水洗、濃縮して、粗生成物55
0.1gを得た。還流冷却管、滴下ロート、撹拌機付き
5リットルセパラブルフラスコに、この粗生成物、エチ
レングリコール3658g、水酸化カリウム299.7
gを含む50%水溶液を入れ、125℃、4.5時間撹
拌した。加水分解終了後、イオン交換水15リットルに
反応液を添加、溶解後、15%塩酸水をpH1.0にな
るまで加えたのち30分撹拌を行った。析出物を吸引濾
過した後、湯洗およびイソプロピルアルコールによる再
結晶を各2回ずつ行い、純度99%の白色の4−(6−
ベンジルオキシ−ヘキシルオキシ)安息香酸472.7
gを得た。
【0023】(合成例7)4−(4−ベンジルオキシ−ブチルオキシ)安息香酸の
合成 還流冷却管、滴下ロート、撹拌機付き5リットルセパラ
ブルフラスコに、ジメチルホルムアミド2500gとと
もに1,4−ブタンジオール519.4gを入れたの
ち、室温、撹拌下、60重量%水素化ナトリウム17
5.0gを15分かけて添加し、その後、60℃で1時
間撹拌した。次に、前記の温度でベンジルブロマイド7
10.9gを15分かけて逐次添加し、その後、90
℃、4時間撹拌を行った。反応終了後、析出した塩を吸
引濾別し、濾液を濃縮した。この濃縮物を酢酸エチルに
溶解後、水洗、濃縮、精留して、4−ベンジルオキシ−
ブタノール452.2gを得た。還流冷却管、滴下ロー
ト、撹拌機付き5リットルセパラブルフラスコに、ジメ
チルホルムアミド2500gとともに4−ベンジルオキ
シ−ブタノール452.2gを入れたのち、室温、撹拌
下、60重量%水素化ナトリウム105.4gを15分
かけて添加し、その後、60℃で1時間撹拌した。次
に、前記の温度でp−クロロベンゾニトリル345.1
gを含む50重量%ジメチルホルムアミド溶液を15分
かけて逐次添加し、その後、撹拌を90℃、4時間行っ
た。反応終了後、析出した塩を吸引濾別し、濾液を濃縮
した。この濃縮物を酢酸エチルに溶解後、水洗、濃縮し
て、粗生成物585.4gを得た。還流冷却管、滴下ロ
ート、撹拌機付き5リットルセパラブルフラスコに、こ
の粗生成物、エチレングリコール3000g、水酸化カ
リウム350.3gを含む50%水溶液を入れ、125
℃、4.5時間撹拌した。加水分解終了後、イオン交換
水15リットルに反応液を添加、溶解後、15%塩酸水
をpH1.0になるまで加えたのち30分撹拌を行っ
た。析出物を吸引濾過した後、湯洗およびイソプロピル
アルコールによる再結晶を各2回ずつ行い、純度99%
の白色の4−(4−ベンジルオキシ−ブチルオキシ)安
息香酸294.1gを得た。
【0024】(合成例8)4−(2−ベンジルオキシ−エチルオキシ)安息香酸の
合成 還流冷却管、滴下ロート、撹拌機付き5リットルセパラ
ブルフラスコに、ジメチルホルムアミド2000g、日
本乳化剤(株)製ベンジルセロソルブ552.4gを入
れたのち、室温、撹拌下、ヘキサン洗浄した60重量%
水素化ナトリウム148.0gを20分かけて添加し、
その後、60℃で1時間撹拌した。次に、前記の温度で
p−クロロベンゾニトリル500.0gを含む50%ジ
メチルホルムアミド溶液を30分かけて逐次添加し、そ
の後、撹拌を90℃、4時間行った。反応終了後、析出
した塩を吸引濾別し、濾液を濃縮した。この濃縮物を酢
酸エチルに溶解後、水洗、濃縮して、粗生成物を得た。
還流冷却管、滴下ロート、撹拌機付き5リットルセパラ
ブルフラスコに、この粗生成物、エチレングリコール2
000g、水酸化カリウム566.3gを含む50%水
溶液を入れ、125℃、4.5時間撹拌した。加水分解
終了後、イオン交換水15リットルに反応液を添加、溶
解後、15%塩酸水をpH1.0になるまで加えた後、
撹拌を30分行った。析出物を濾過後、湯洗およびイソ
プロピルアルコールによる再結晶を各2回ずつ行い、白
色の4−(2−ベンジルオキシ−エチルオキシ)安息香
酸633.0gを得た。
【0025】(合成例9)4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香
酸クロライドの合成 1リットルの三口フラスコに、p−ヒドロキシ安息香酸
エチル66g、6−ブロモヘキサノール108g、炭酸
カリウム82gおよびN,Nージメチルホルムアミド4
00mlを入れ、120℃で5時間撹拌した。冷却後、
反応混合物を水1リットルに注ぎ、1リットルの酢酸エ
チルで抽出し、水300mlで2回洗浄した。無水硫酸
マグネシウムで乾燥後ろ過を行った。溶媒を減圧濃縮
後、メタノール300mlに溶解し、水酸化カリウム3
4gのメタノール溶液80mlを徐々に滴下し2時間加
熱還流した。冷却後、生じた結晶を濾別し、結晶を水1
リットルに溶解した。濃塩酸70mlを加え、析出した
結晶を減圧ろ過し、イオン交換水で洗浄した。乾燥後、
4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸95.
3g(400mmol)を得た。撹拌機、還流冷却管付き
300ml三口フラスコに、4−(6−ヒドロキシヘキ
シルオキシ)安息香酸23.8g、ジオキサン100m
lおよびN、N−ジメチルアニリン14.5gを入れた
後、50℃に昇温し、撹拌しながらアクリル酸クロライ
ド10.9gとジオキサン50mlの溶液を30分かけ
て逐次添加した。添加後、さらに50℃で2時間加熱撹
拌を行ったのち、反応液をイオン交換水1リットルに注
ぎ、結晶を析出させた。この析出物を濾過した後、ヘキ
サン200mlで洗浄、乾燥し、4−(6−アクリロイ
ルオキシヘキシルオキシ)安息香酸25.0gを得た。
500ml三口フラスコに4−(6−アクリロイルオキ
シヘキシルオキシ)安息香酸25.0gと塩化チオニル
50mlを入れ、2時間加熱還流した。反応終了後、過
剰の塩化チオニルを減圧下留去し、ヘキサン200ml
で洗浄、乾燥後、4−(6−アクリロイルヘキシルオキ
シ)安息香酸クロライド25.3g(81mmol)を
得た。この酸クロライドは熱的に不安定なため精製が難
しい。比較例1では未精製のまま使用した。
【0026】(実施例1)撹拌機、冷却管付き100m
l三口フラスコに、2,3,7,8,12,13−ヘキ
サアセトキシトルクセン17.3g、4−ノニルオキシ
安息香酸19.8g、4−(2−ベンジルオキシ−エチ
ルオキシ)安息香酸17.0gおよびステアリン酸3.
6gを入れ260℃で6時間加熱撹拌を行った。反応と
もに酢酸が留出し、ベンジル基含有2,3,7,8,1
2,13−ベンゾイルオキシトルクセン誘導体48.7
gが得られた。側鎖成分の仕込みどおり各成分が導入さ
れていることをH−NMR分析により確認した。撹拌機
付き2リットル金属製反応器に、上記の生成物、酢酸エ
チル250mlおよび5%パラジウム−カーボン8.0
gを入れた後、0.5kg/cm2Gの水素圧下、50
℃の温度で、反応途中1時間毎50mlのエタノールを
計200ml添加しながら、5時間加熱撹拌した。反応
終了後、反応液より触媒を濾別、濃縮し脱ベンジル化さ
れた生成物46.4gを得た。生成物をH−NMR分析
したところ、ベンジル位メチレンプロトンの4.6pp
mの吸収が完全に消失していることから、ベンジル基が
脱離したことを確認した。撹拌機、冷却管付き1リット
ル三口フラスコに、上記の生成物46.4g、塩化メチ
レン300mlおよびトリエチルアミン3.8gを入れ
た後、撹拌下、40℃の温度を保ちながら、アクリル酸
クロライド3.4gを含む50%塩化メチレン溶液を逐
次添加した。添加後、40℃、4時間撹拌した後、反応
液をメタノール2リットル中に添加し、アクリル化物を
析出させた。析出物を濾過しメタノール洗浄後減圧乾燥
し、アクリル化物47.7gを得た。生成物のアクリル
基の含有量をH−NMR分析により、アクリル基プロト
ンのピークの面積より求めたところ、1分子あたりアク
リル基が2.5個含有していることが確認された。した
がって、このアクリル化物は、上記構造式で示されるト
ルクセン誘導体であることがわかった。このトルクセン
誘導体は,80℃以上の温度でネマチック・ディスコテ
ィック(ND)相を示し,室温から80℃の間ではカラ
ムナー相が安定な相であった。なおND相は少なくとも
160℃までは存在していたが,それ以上の温度ではト
ルクセン誘導体の熱重合が起きたため,等方相転移温度
は確認できなかった。
【化5】
【0027】(参考例1)実施例1で得られた液晶性ト
ルクセン誘導体10gに対し,光開始剤Irgacure-184(C
IBA-GEIGY社製)を0.4g添加し,90gのNーメチル
ピロリドンを加えて塗布用溶液を調製した。この溶液
を,10cm角のラビングポリイミド膜を有するガラス
基板に,スピンコート法により塗布した。次いで70℃
のホットプレート上で乾燥し,130℃のオーブンで1
0分間熱処理して液晶を配向させた。次いで試料を室温
中に取り出して冷却し、液晶性トルクセン誘導体をフィ
ルム化した。冷却後の該フィルムは透明で面内で均一な
配向をしており、その配向の様式は膜厚方向で液晶のダ
イレクターが連続的に変化するハイブリッド配向であっ
た。なお、液晶はND相の過冷却状態にあり、カラムナー
相の出現は見られなかった。このフィルムの鉛筆硬度は
6Bと弱かった。次に冷却後のフィルムに対し,室温中
で,高圧水銀灯ランプを用い光照射を行った。露光量は
800mJ/cm2とした。鉛筆硬度は2Hと架橋前と
比べ大きく向上した。架橋処理前の液晶の配向構造は、
架橋処理後も保持されていた。
【0028】(実施例2)撹拌機、冷却管付き100m
l三口フラスコに、2,3,7,8,12,13−ヘキ
サアセトキシトルクセン17.3gと4−(6−ベンジ
ルオキシ−ヘキシルオキシ)安息香酸49.3gを入
れ、260℃で6時間加熱撹拌を行った。反応ともに酢
酸が留出し、2,3,7,8,12,13−ヘキサ(4
−(6−ベンジルオキシ−ヘキシルオキシ)ベンゾイル
オキシ)トルクセン60.6gが得られた。撹拌機付き
2リットル金属製反応器に、上記の生成物、酢酸エチル
250mlおよび5%−パラジウム−カーボン8.0g
を入れた後、0.5kg/cm2Gの水素圧下、50℃
の温度で、反応途中1時間毎50mlのエタノールを計
200ml添加しながら、5時間加熱撹拌した。反応終
了後、反応液より触媒を濾別、濃縮し脱ベンジル化され
た生成物47.1gを得た。生成物をH−NMR分析し
たところ、ベンジル位メチレンプロトンの4.6ppm
の吸収が完全に消失していることから、ベンジル基が脱
離したことを確認した。撹拌機、冷却管付き1リットル
三口フラスコに、上記の生成物47.1g、塩化メチレ
ン300mlおよびトリエチルアミン30.4gを入れ
た後、撹拌下、40℃の温度を保ちながら、アクリル酸
クロライド27.2gを含む50%塩化メチレン溶液を
30分かけて逐次添加した。添加後、40℃、4時間撹
拌した後、反応液をメタノール2リットル中に添加し、
アクリル化物を析出させた。析出物を濾過しメタノール
洗浄後減圧乾燥し、アクリル化物55.2gを得た。生
成物をH−NMR分析し、アクリル基プロトンのピーク
の面積よりアクリル基の含有量を求めたところ、1分子
あたりアクリル基が6個含有していることが確認され
た。したがって、このアクリル化物は、2,3,7,
8,12,13−ヘキサ(4−(6−アクリロイルオキ
シ−ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)トルクセンで
あることがわかった。このアクリル化物のGPC分析を
行ったところ、高分子量化は起こっていなかった。ま
た、得られたアクリル化物は,少なくとも100℃から
150℃の温度範囲でND相を示した。150℃以上の
温度では該アクリル化物の熱重合が起きた。
【化6】
【0029】(比較例1)テトラヒドロフラン500m
lおよびトリエチルアミン50.0g、の入った2リッ
トル三口フラスコに、ヘキサヒドロキシトルクセン2
0.0gを加えた後、撹拌下、合成例9で合成した4−
(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)安息香酸ク
ロライドの未精製品128.7gとテトラヒドロフラン
130mlからなる溶液を30分かけて逐次滴下し、加
熱還流下1時間撹拌した。反応終了後、反応液を、氷水
1リットルに注ぎ、析出した結晶を吸引濾過し、ヘキサ
ンで洗浄、乾燥し、アクリル基含有トルクセン誘導体を
55.0g得た。該誘導体は、実施例2の材料とは異な
り、少なくとも室温から150℃の範囲で液晶性を示さ
なかった。
【0030】(実施例3)撹拌機、冷却管付き100m
l三口フラスコに、2,3,7,8,12,13−ヘキ
サアセトキシトルクセン17.3g、4−ノニルオキシ
安息香酸18.8gおよび4−(2−ベンジルオキシ−
エチルオキシ)安息香酸20.4gを入れ、260℃で
6時間加熱撹拌を行った。反応ともに酢酸が留出し、
2,3,7,8,12,13−トリ(4−ノニルオキシ
ベンゾイルオキシ)、トリ(4−(2−ベンジルオキシ
−エチルオキシ)ベンゾイルオキシ)トルクセン47.
5gが得られた。撹拌機付き2リットル金属製反応器
に、上記の生成物、酢酸エチル250mlおよび5%パ
ラジウム−カーボン8.0gを入れた後、0.5kg/
cm2Gの水素圧下、50℃の温度で、反応途中1時間
毎50mlのエタノールを計200ml添加しながら、
5時間加熱撹拌した。反応終了後、反応液より触媒を濾
別、濃縮し脱ベンジル化された生成物40.7gを得
た。生成物をH−NMR分析したところ、ベンジル位メ
チレンプロトンの4.6ppmの吸収が完全に消失して
いることから、ベンジル基が脱離したことを確認した。
撹拌機、冷却管付き1リットル三口フラスコに、上記の
生成物40.7g、塩化メチレン300ml、トリエチ
ルアミン15.2gを入れた後、撹拌下、40℃の温度
を保ちながら、アクリル酸クロライド13.6gを含む
50%塩化メチレン溶液を30分かけて逐次添加した。
添加後、40℃、4時間撹拌した後、反応液をメタノー
ル2リットル中に添加し、アクリル化物を析出させた。
析出物を濾過しメタノール洗浄後減圧乾燥し、アクリル
化物42.0gを得た。生成物のアクリル基の含有量を
H−NMR分析により、アクリル基プロトンのピークの
面積より求めたところ、1分子あたりアクリル基が3個
含有した上記の構造のトルクセン誘導体であることが確
認された。このアクリル化物は,室温から110℃の範
囲では安定な相が結晶相またはディスコチック液晶のカ
ラムナー相であり、110℃でND相に転移し、少なく
とも160℃まではND相を示した。160℃以上の温
度では該アクリル化物のゲル化が起こった。
【化7】
【0031】(実施例4)撹拌機および冷却管付き10
0ml三口フラスコに、2,3,6,7,10,11−
ヘキサアセトキシトリフェニレン14.4gと4−(6
−ベンジルオキシ−ヘキシルオキシ)安息香酸49.3
gを入れ、260℃で6時間加熱撹拌を行った。反応と
もに酢酸が留出し、2,3,6,7,10,11−ヘキ
サ(4−(6−ベンジルオキシ−ヘキシルオキシ)ベン
ゾイルオキシ)トリフェニレン54.7gが得られた。
撹拌機付き2リットル金属製反応器に、上記の生成物、
酢酸エチル250mlおよびパラジウム黒4.0gを入
れた後、0.5kg/cm2Gの水素圧下、50℃の温
度で、反応途中1時間毎50mlのエタノールを計20
0ml添加しながら、5時間加熱撹拌した。反応終了
後、反応液より触媒を濾別、濃縮し脱ベンジル化された
生成物41.2gを得た。生成物をH−NMR分析した
ところ、ベンジル位メチレンプロトンの4.6ppmの
吸収が完全に消失していることから、ベンジル基が脱離
したことを確認した。撹拌機、冷却管付き1リットル三
口フラスコに、上記の生成物41.2g、塩化メチレン
300ml、トリエチルアミン30.4gを入れた後、
撹拌下、40℃の温度を保ちながら、アクリル酸クロラ
イド27.2gを含む50%塩化メチレン溶液を30分
かけて逐次添加した。添加後、40℃、4時間撹拌した
後、反応液をメタノール2リットル中に添加し、アクリ
ル化物を析出させた。析出物を濾過し、メタノール洗浄
後減圧乾燥し、アクリル化物49.3gを得た。生成物
をH−NMR分析したところ、1分子あたりアクリル基
が6個含有していることが確認された。したがって、こ
のアクリル化物は、2,3,6,7,10,11−ヘキ
サ(4−(6−アクリロイルオキシ−ヘキシルオキシ)
ベンゾイルオキシ)トリフェニレンであることがわかっ
た。このアクリル化物は,少なくとも90℃から140
℃の範囲でND相を有していた。
【化8】
【0032】(実施例5)撹拌機および冷却管付き10
0ml三口フラスコに、2,3,7,8,12,13−
ヘキサアセトキシ−5,10,15−トリオキサトルク
セン17.6g(25mmol)と4−(4−ベンジルオ
キシ−ブチルオキシ)安息香酸45.0gを入れ、26
0℃で6時間加熱撹拌を行った。反応ともに酢酸が留出
し、2,3,7,8,12,13−ヘキサ(4−(4−
ベンジルオキシ−ブチルオキシ)ベンゾイルオキシ)−
5,10,15−トリオキサトルクセン53.6gが得
られた。撹拌機付き2リットル金属製反応器に、上記の
生成物、酢酸エチル300mlおよびパラジウム黒4.
0gを入れた後、0.5kg/cm2Gの水素圧下、5
0℃の温度で、反応途中1時間毎50mlのエタノール
を計200ml添加しながら、5時間加熱撹拌した。反
応終了後、反応液より触媒を濾別、濃縮し脱ベンジル化
された生成物40.1gを得た。撹拌機、冷却管付き1
リットル三口フラスコに、上記の生成物40.1g、塩
化メチレン300ml、トリエチルアミン30.4gを
入れた後、撹拌下、40℃の温度を保ちながら、アクリ
ル酸クロライド27.2gを含む50%塩化メチレン溶
液を30分かけて逐次添加した。添加後、40℃、4時
間撹拌した後、反応液をメタノール2リットル中に添加
し、アクリル化物を析出させた。析出物を濾過し、メタ
ノール洗浄後減圧乾燥し、アクリル化物48.2gを得
た。生成物をH−NMR分析したところ、2,3,7,
8,12,13−ヘキサ(4−(4−アクリロイルオキ
シ−ブチルオキシ)ベンゾイルオキシ)−5,10,1
5−トリオキサトルクセンであることがわかった。この
アクリル化物は,少なくとも130℃から160℃の温
度範囲でND相を示した。室温下では高次相(結晶相あ
るいはディスコチック液晶のカラムナー相)を示した。
【化9】
【0033】(実施例6)ヘキサアセトキシベンゼン1
0.7gと4−(4−ベンジルオキシ−ブチルオキシ)
安息香酸45.0gを用いて実施例1と同様に260℃
で6時間加熱撹拌を行い、ヘキサ(4−(4−ベンジル
オキシ−ブチルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベンゼン4
6.7gが得られた。上記の生成物、酢酸エチル300
mlおよびパラジウム黒4.0gを用いて実施例1と同
様に、水素化を行ったところ、完全に脱ベンジル化され
た生成物33.2gが得られた。上記の生成物33.2
g、塩化メチレン300ml、トリエチルアミン30.
4gからなる溶液に、実施例1と同様にアクリル酸クロ
ライド27.2gを含む50%塩化メチレン溶液を逐次
添加し、40℃、4時間撹拌した。反応後、同様に後処
理し、液晶性のアクリル化物38.5gを得た。生成物
をH−NMR分析したところ、ヘキサ(4−(4−アク
リロイルオキシ−ブチルオキシ)ベンゾイルオキシ)ベ
ンゼンであることがわかった。
【化10】
【0034】(実施例7)テトラアセトキシロイコキニ
ザリン10.3gと4−(4−ベンジルオキシ−ブトキ
シ)安息香酸30.0gを用いて実施例1と同様に26
0℃で6時間加熱撹拌を行い、テトラ(4−(4−ベン
ジルオキシ−ブチルオキシ)ベンゾイルオキシ)ロイコ
キニザリン34.3gが得られた。上記の生成物、酢酸
エチル300mlおよびパラジウム黒4.0gを用いて
実施例1と同様に、水素化を行ったところ、完全に脱ベ
ンジル化された生成物25.3gが得られた。上記の生
成物25.3g、塩化メチレン300ml、トリエチル
アミン20.3gからなる溶液に、実施例1と同様にア
クリル酸クロライド20.4gを含む50%塩化メチレ
ン溶液を逐次添加し、40℃、4時間撹拌した。反応
後、同様に後処理し、アクリル化物30.7gを得た。
生成物をH−NMR分析したところ、テトラ(4−(6
−アクリロイルオキシ−ヘキシルオキシ)ベンゾイルオ
キシ)ロイコキニザリンであることがわかった。この生
成物は,ネマチック液晶性を有していた。
【化11】
【0035】(実施例8)撹拌機、冷却管付き100m
l三口フラスコに、4−(6−ベンジルオキシ−ヘキシ
ルオキシ)安息香酸3.3g、テレフタル酸15.8
g、ヒドロキノンジアセテート9.7g、3−メチルカ
テコールジアセテート10.4gおよび酢酸ナトリウム
100mgを入れ、窒素雰囲気下、260℃で12時間
加熱撹拌した。次に得られた反応生成物をテトラクロロ
エタンに溶解したのち、メタノールで再沈殿を行って精
製し、ベンジル基含有ポリエステル27.2gを得た。
ベンジル基を含むことはH−NMRにより確認した。撹
拌機付き2リットル金属製反応器に、上記の生成物、フ
ェニルセロソルブアセテート250mlおよび5%パラ
ジウム−カーボン8.0gを入れた後、0.5kg/c
2Gの水素圧下、50℃の温度で、5時間加熱撹拌し
た。反応終了後、反応液より触媒を濾別、濃縮し脱ベン
ジル化された生成物27.2gを得た。生成物をH−N
MR分析したところ、ベンジル位メチレンプロトンの
4.6ppmの吸収が完全に消失していることから、ベ
ンジル基が脱離したことを確認した。撹拌機および冷却
管付き200ml三口フラスコに、上記の生成物27.
2g、塩化メチレン100ml、トリエチルアミン3.
0gを入れた後、撹拌下、40℃の温度を保ちながら、
アクリル酸クロライド2.7gを含む50%塩化メチレ
ン溶液を添加した。添加後、40℃、4時間撹拌した
後、反応液をメタノール2リットル中に添加し、アクリ
ル化物を析出させた。析出物を濾過しメタノール洗浄後
減圧乾燥し、アクリル化物27.7gを得た。H−NM
R分析によりアクリル基プロトンが観測されたことか
ら、このポリエステルにはアクリル基が導入されたこと
を確認された。得られたポリエステルは、ネマチック液
晶性を有していた。Tgは60℃であり、それ以上の温
度でネマチック相を示した。
【0036】(実施例9)実施例1にしたがって,2,
3,7,8,12,13−ヘキサアセトキシトルクセン
17.3g、4−ノニルオキシ安息香酸19.8g、4
−(2−ベンジルオキシ−エチルオキシ)安息香酸1
7.0g、ステアリン酸3.6gを用いて、ベンジル基
含有2,3,7,8,12,13−ベンゾイルオキシト
ルクセン誘導体を得た後、水素化処理して、脱ベンジル
化された生成物46.4gを得た。上記の水酸基含有ト
ルクセン誘導体46.4gとエピクロルヒドリン400
gとを、攪拌機、還流冷却器および温度計を備えた3リ
ットル4つ口フラスコに、仕込み、攪拌溶解し、反応系
内を圧力150mmHgに調整した後、70℃に昇温し
た。次いで更に48重量%水酸化ナトリウム水溶液25
gを連続的に添加しながら3.5時間反応させた。この
間、反応により生成する水および添加する水酸化ナトリ
ウム水溶液の水を、エピクロルヒドリンとの共沸によ
り、反応系外へ連続的に除去した。反応終了後、反応系
を常圧に戻し110℃まで昇温して、反応系内の水を完
全に除去した。次いで過剰のエピクロルヒドリンを常圧
下で蒸留除去し、さらに15mmHgの減圧下にて14
0℃で蒸留を行ない、樹脂及び塩化ナトリウムの混合物
を得た。得られた樹脂および塩化ナトリウムの混合物
に、メチルイソブチルケトン400gおよび10重量%
水酸化ナトリウム水溶液6gを加え、85℃で1.5時
間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン
550gおよび水300gを加え、下層の水溶液を分液
除去した。更にメチルイソブチルケトン層に水150g
を加えて洗浄し、リン酸で中和して、水層を分離した
後、さらに水200gで洗浄して水層を分離した。メチ
ルイソブチルケトン層を常圧下で蒸留したのち、5mm
Hg、140℃で減圧蒸留を行い、43.2gのエポキ
シ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂のIRスペクトル
を測定したところ、エポキシ基の特性吸収が、3050
cm-1、3040cm-1、3000cm-1、1250c
-1に確認された。このエポキシ樹脂は少なくとも90
℃から140℃の温度範囲でND相を示した。このエポ
キシ樹脂100部およびトリフェニルホスフィン1部か
らなる10%ブチルセロソルブ溶液を用いてガラス基板
上に2μmの薄膜を形成し、130℃で1時間熱処理し
たところND相を固定化することができた。
【化12】
【0037】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、光固化性
の置換基を有する液晶化合物を純度良く、安定して製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 正明 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光固化性置換基を有する液晶化合物を製
    造する方法において、下記一般式(1)で表される保護
    基を有する液晶化合物の前駆体を水素化触媒の存在下で
    該保護基を脱離して水素化反応処理した後、アクリル
    基、メタクリル基、ビニル基、シンナモイル基、エポキ
    シ基、またはグリシジル基から選ばれる1種の光固化性
    置換基、および上記水素化反応処理により生成した水酸
    基と反応可能な水酸基反応性置換基を有する光固化性基
    導入化合物を反応せしめ、前駆体化合物に光固化性置換
    基を導入することを特徴とする液晶化合物の製造方法。 −O−CB12Ar (1) (1)式中、B1およびB2は、それぞれ個別に水素ある
    いは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシ
    クロアルキル基または炭素数6〜12のアリール基を示
    し、Arは炭素数6〜12のアリール基を示す。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7300604B2 (en) * 2005-02-16 2007-11-27 Chisso Corporation Tetrahydroxybenzene tetraester derivative and polymer thereof
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ITRM20090197A1 (it) * 2009-04-24 2010-10-25 Armandodoriano Bianco Ciclotrimeri simmetrici di eterocicli aromatici loro procedimenti di preparazione e loro uso in campo farmaceutico

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