JPH1191393A - 回転伝達装置 - Google Patents

回転伝達装置

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JPH1191393A
JPH1191393A JP26175497A JP26175497A JPH1191393A JP H1191393 A JPH1191393 A JP H1191393A JP 26175497 A JP26175497 A JP 26175497A JP 26175497 A JP26175497 A JP 26175497A JP H1191393 A JPH1191393 A JP H1191393A
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健一郎 伊藤
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誠 安井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の駆動経路上において、駆動力の伝達と
遮断の切換えが行えると共に、十分な潤滑が可能な回転
伝達装置を提供する。 【解決手段】 トランスミッションからの出力を内部の
入力軸22を介して直接後輪推進軸へ伝達し、サイレン
トチェン26を介して前輪駆動軸へ動力を分岐し得るF
Rベースの4WD車用トランスファの内部に、出力軸2
4と出力側チェンスプロケット25の回転伝達と遮断を
行うツーウェイクラッチ37と、該クラッチ37のロッ
クとフリーを制御する電磁クラッチ39を有する回転伝
達装置21を組込み、2WDと4WDの切換えが行える
ようになっていると共に、出力軸24への装着によって
回転伝達装置21を潤滑オイル内に浸漬状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の駆動経路
上において、駆動力の伝達と遮断の切換えに用いられる
回転伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】前後輪を直結した4WD車が舗装路を旋
回すると、いわゆるタイトコーナブレーキング現象が発
生するが、この問題を解決する手段として、本出願人
は、特願平8−172598号や特願平9−28001
号によってローラー型ツーウェイクラッチと電磁コイル
を使用した回転伝達装置を提案している。
【0003】この回転伝達装置は、図17、18に示す
ように、前輪1の各端部にハブクラッチ2が装着されて
いるFRベースの4WD車において、エンジン3に連な
るトランスミッション4からの出力をトランスファ5の
内部の入力軸6を介して直接後輪7の推進軸8に伝達
し、トランスファ5の内部に、入力軸6と、それと同軸
上かつ相対回転可能に装着されたチエンスプロケット9
との回転伝達と遮断を行うためのローラ係合型のツーウ
ェイクラッチ10と、そのツーウェイクラッチ10のロ
ックとフリーを制御する電磁クラッチ11を設け、これ
によって、従来の典型的なパートタイム4WDの走行モ
ード(2WD、4WD−Hi、4WD−Lo)に加え
て、4WDの制御モードが追加されている。
【0004】この回転伝達装置によれば、4WD制御モ
ードを選択すれば、車両が通常一定走行中は後輪駆動
(2WD)状態であり、車両が加速した場合、後輪のス
リップを感知すると電磁クラッチ11に電流が流れ、ツ
ーウェイクラッチ10がロックされ4WDとなる。
【0005】また、低μ路で急なエンジンブレーキを掛
けた場合なども後輪のスリップを感知して電磁クラッチ
11に電流を流し、4WDとする制御を行っていた。
【0006】また、この装置を用いれば、図17のよう
に、2WDモード、4WDLOCKモード、4WD A
UTO(制御)モード等の車両の走行モードを運転者の
意思により選択できるものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このシステ
ムは2WDモード選択時は図19に斜線で示すように、
前輪1のハブクラッチ2を切り離し、フロント駆動系の
回転を停止させるため、ツーウェイクラッチ10の外輪
も回転停止し、外輪に対してカム軸やローラは空転する
必要がある。その空転回転数は車両速度に比例して数千
rpmにもなる。一方、トランスファ5内の油面高さは
図18のように回転伝達装置よりも下にあり、2WD時
はチェーン12が回転停止するため、Hi−Loプラネ
タリギヤ13の撹拌による潤滑しか与えられない。その
ため、ツーウェイクラッチ10の外輪内径面に充分なオ
イルが届くように潤滑面での工夫が必要となる。もし、
オイルが不足した場合は、外輪とローラが焼き付いて、
空転できなくなる恐れもあった。
【0008】そこで、この発明の課題は、上記の回転伝
達装置の配置を換えることにより、車両としての従来例
の機能は残しながら、2WDモード時にも回転伝達装置
に十分な潤滑が行われ、更には空転をしなくても良いよ
うにした回転伝達装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、請求項1の発明は、トランスミッションから
の出力が、トランスファ内部で入力軸を介して直接後輪
推進軸へ伝達され、かつ、トランスファ内部に、入力軸
と前輪推進用出力軸の回転伝達と遮断を行うツーウェイ
クラッチと、該ツーウェイクラッチのロックとフリーを
制御する電磁クラッチとからなり、2WDと4WDの切
換えを行う回転伝達機構を組み込んだ回転伝達装置にお
いて、前記回転伝達機構をトランスファ内部の潤滑油内
に浸漬状となるよう配置した構成を採用したものであ
る。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、回転伝達機構が、前輪推進用出力軸に内方部材を同
軸上に回転不能に連結し、該出力軸に同軸上回転可能に
嵌合された出力側チエンスプロケットに外輪を同軸上に
回転不可能に連結し、内方部材と外輪の一方に複数のカ
ム面と他方に円筒面を設け、両面間に楔空間を形成し、
この楔空間内に保持器を設け、この保持器に形成した複
数のポケットに係合子を組み込み、この係合子がカム面
と円筒面に係合しない中立位置へ保持器を支持付勢する
弾性部材を、保持器とカム面を有する内方部材又は外輪
の間で係止してツーウェイクラッチを形成し、電磁クラ
ッチが、前記弾性部材の付勢力に対向して保持器と内方
部材又は外輪の周方向位相を切り換えるようになってい
る構成を採用したものである。請求項3の発明は、請求
項1の発明において、回転伝達機構が、前輪推進用出力
軸に外輪を同軸上に回転不可能に連結し、該出力軸に同
軸上回転可能に嵌合された出力側チエンスプロケット
に、内方部材を同軸上に回転不可能に連結し、内方部材
と外輪の一方に複数のカム面と他方に円筒面を設け、両
面間に楔空間を形成し、この楔空間内に保持器を設け、
この保持器に形成した複数のポケットに係合子を組み込
み、この係合子がカム面と円筒面に係合しない中立位置
へ保持器を支持付勢する弾性部材を、保持器とカム面を
有する内方部材又は外輪の間で係止してツーウェイクラ
ッチを形成し、電磁クラッチが、前記弾性部材の付勢力
に対向して保持器と内方部材又は外輪の周方向位相を切
り換えるようになっている構成を採用したものである。
【0011】請求項4の発明は、請求項1乃至3の発明
において、トランスファ内部の入力軸と、該入力軸に対
して同軸上回転可能に嵌合した入力側チエンスプロケッ
トとの間にシンクロ手段とドグクラッチを設け、ドグク
ラッチにより、入力側チエンスプロケットへの動力の伝
達と遮断が行えるようにした構成を採用したものであ
る。
【0012】請求項5の発明は、請求項1乃至3の発明
において、トランスファ内部の前輪推進用出力軸上で、
出力側チエンスプロケットを挟んで回転伝達機構と対向
する位置に内輪を回転不可能に設け、出力軸上で該内輪
と同軸上回転可能に嵌合させたアウターケースを出力側
チエンスプロケットと回転不可能に連結し、上記アウタ
ーケースとスライド可能かつ相対回転不可能に嵌合した
複数のアウタープレートと、内輪とスライド可能かつ相
対回転不可能に嵌合した複数のインナープレートを交互
に重ね合わせ、その両プレートを内輪又はアウターケー
スに固定された摩擦フランジと、内輪とアウターケース
間に同軸上スライド可能に嵌合したアーマチュアの間に
挟み込んで設けることにより多板クラッチを形成し、電
磁コイルが上記摩擦フランジとアマチュアを磁力により
圧着させるようになっている同調機構を組み合わせた構
成を採用したものである。
【0013】請求項6の発明は、請求項4の発明の回転
伝達装置において、車両が走行中に2WDから4WDに
走行モードを切り換えるときの前輪駆動系の同調作用
を、シンクロ手段を作動させる前に、回転伝達装置を先
にロックさせておく構成を採用したものである。
【0014】
【発明の実施の形態1】以下、この発明の実施の形態を
図示例と共に説明する。図1乃至図5に示す第1の実施
の形態において、図1はこの発明の回転伝達装置を組込
んだ4WD駆動レイアウトを示し、図2は回転伝達装置
を組み合せたトランスファの断面図、図3は回転伝達装
置の詳細を示している。
【0015】図1は、前輪1、1の各端部にハブクラッ
チ2が装着されているFRベース4WD車のトランスフ
ァ3の内部に回転伝達装置21が組込まれ、これによっ
て、従来の典型的な4WDの走行モード(2WD、4W
D−Hi、4WD−Lo)に加えて、4WD制御モード
および4WDロックモードが追加される。
【0016】図1と図2に示すように、エンジン3に接
続されたトランスミッション4からの出力は、トランス
ファ5内のHi−Loプラネタリギヤ13を介してリヤ
プロペラシャフト8に伝達される。Hi−Loプラネタ
リギヤ13は既知の技術であり、プラネタリーギヤセッ
ト14とセレクト用のスライドギヤ15との組合せから
なり、ハイギヤを通過する場合は1対1の関係で回転ト
ルクを伝達し、ローギヤを通過する場合は回転が減速さ
れ、トルクは増大する。
【0017】前記リヤプロペラシャフト8に通じるトラ
ンスファ入力軸22は、入力軸チエンスプロケット23
と一体に形成され、一方、ローラ型の回転伝達装置21
はトランスファ下部のフロントプロペラシャフト駆動用
のトランスファ出力軸24上に回転可能に嵌合された出
力側チエンスプロケット25の一端に位置し、両スプロ
ケット23と25は、サイレントチエン26で連動され
ている。
【0018】回転伝達装置21は、図3に示すように、
出力軸24に内方部材となるカムリング27を同軸上に
セレーションで回転不能に外嵌固定し、出力軸24に軸
受28を介して回転可能となるよう外嵌挿したハウジン
グ29の筒状部がカムリング27に外嵌する外輪30と
なり、該ハウジング29はチェンスプロケット25とス
プライン31等で一体に回転するよう結合されている。
【0019】図3(B)の如く、上記カムリング27の
外周に複数のカム面32が設けられ、外輪30の内径は
円筒面33となり、各カム面32と円筒面33間に楔形
空間を形成していると共に、この楔形空間内にカムリン
グ27へ外嵌する保持器34を設け、この保持器34の
各カム面32と対応する位置に形成したポケット35内
に係合子としてのローラ36が組込まれ、ツーウェイク
ラッチ37を形成している。
【0020】上記ローラ36は、図4(C)の如く、カ
ム面32に対して中央の中立位置に位置するとき円筒面
33との間に隙間Hを生じ、カムリング27の回転を外
輪30に伝えないオフの状態となり、保持器34でロー
ラ36を楔空間の一方に片寄らすと、ローラ36はカム
面32と円筒面33間にかみ込み、カムリング27の回
転を外輪30に伝達するオンの状態になる。
【0021】上記保持器34に一方の端部を係止したス
イッチバネ38の他方端部がカムリング27に係止さ
れ、図4(C)の如く、ローラ36がカム面32と円筒
面33に係合しない中立位置へ保持器34を支持付勢し
ている。
【0022】前記出力軸24と外輪30の間でツーウェ
イクラッチ37の一方端部側の位置に、ツーウェイクラ
ッチ37をオン・オフ制御する電磁クラッチ39が設け
られている。
【0023】電磁クラッチ39は、電磁コイル40をト
ランスファケース41にボルト42等で回転不能に固定
し、該コイル40の電極はトランスファケース41を通
して外部コントローラ(以下ECU)43に接続され
る。このECU43は、図1のように、前輪1と後輪7
の回転数、モード選択スイッチ44、ABS作動信号4
5等から入力された各信号を演算および判断して、電磁
コイル40に流す電流を制御する。なお、図2の如く、
前輪1の回転数は、フロントスピードセンサ46で、後
輪7の回転数はリヤスピードセンサ47によって検出す
る。
【0024】上記電磁コイル40に対して回転可能とな
るよう外嵌するロータ48は、外輪30に固定されて一
体に回転するよう摩擦フランジとなり、このロータ48
と保持器34の端部の間に、該保持器34と軸方向のス
ライド可能で相対回転不能に嵌合したアーマチュア49
をロータ48と適当な隙間を介して重なるように配置
し、電磁コイル40に通電すると、ロータ48とアーマ
チュア49を磁力により圧接させ、外輪30と保持器3
4を回転方向に固定化するようになっている。
【0025】上記のように、回転伝達装置21をトラン
スファ5内の下部に位置する前輪推進用となる出力軸2
4に装着することにより、図2の如く、該回転伝達装置
21は完全にオイルに浸かった状態になる。
【0026】この発明の第1の実施の形態は上記のよう
な構成であり、図4(A)、(B)に示す動力伝達経路
図を主体に用いてその作用を説明する。
【0027】
【作用】まず、回転伝達装置21を組み込んだトランス
ファの2WDモードを説明する。図4(A)に回転伝達
装置の原理図を、図4(B)に2WD時の動力の伝達経
路を示す。トランスミッション4からの動力は、ハイレ
ンジのギヤを通過し、トランスファ5の入力軸22に入
力される。入力軸22からチェーン26を介して分岐さ
れた動力は回転伝達装置21の外輪30に入力される。
【0028】また、別途設けられた走行モード選択スイ
ッチ44により、2WDを選択しているときは、回転伝
達装置21の電磁コイル40に電流は流れないようにな
っており、ツーウェイクラッチ37部は図4(C)のよ
うにニュートラル状態に保持されるため、ローラ36お
よびカムリング27と外輪30は切り離される。したが
って、出力軸24と出力側チエンスプロケット25間に
は何ら抵抗の無い状態となる。
【0029】したがって、カムリング27、出力軸24
を含む前輪駆動系には動力は伝達されずに切り離され、
また、2WDモードでは前記ハブクラッチ2の接続が切
れているため、図5のように車両走行中でもドライブシ
ャフト、フロントデフ、フロントプロペラシャフト、ト
ランスファ出力軸24、回転伝達装置21のカムリング
27及びローラ36を回転停止させることができ、燃費
経済的な走行ができる。
【0030】4WDモード(AUTO、LOCK)にお
けるローラ型回転伝達装置21の作用は、動力伝達方向
が外輪30からカムリング27へと変更になるがロック
させる方法、各走行時の動力伝達等は従来例どおりであ
り、省略する。
【0031】
【発明の実施の形態2】次に、第2の実施の形態を図6
乃至図8に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態
と同一部分には同一符号を付して説明に代える。
【0032】第1の実施の形態においては、2WDから
4WD(AUTO、LOCK)モードに切り替えること
ができるのは車両が停止中のときのみである。
【0033】なぜなら第1の実施の形態では2WD走行
時に回転停止中のフロント駆動系を主駆動系に滑らかに
回転同期させるための同調装置が無いからである。
【0034】したがって、もし第1の実施の形態におい
て2WDで走行中にツーウェイクラッチ37を作動させ
ると衝撃を伴う。
【0035】第2の実施の形態は、走行中でも4WDモ
ードに切り替えられるようにツーウェイクラッチ37に
並列にシンクロ装置51を装着したものである。
【0036】このシンクロ装置51は、出力側スプロケ
ット25を介してツーウェイクラッチ37に対向した位
置に配置し、出力軸24と出力側スプロケット25間を
摩擦により同調させるものである。
【0037】シンクロ装置51は、出力軸24上で、出
力側チエンスプロケット25を挟んで回転伝達装置21
と対向する位置に内輪52を回転不可能に設け、出力軸
24上で該内輪52と同軸上回転可能に嵌合させたアウ
ターケース53を出力側チエンスプロケット25と回転
不可能に連結し、上記アウターケース53とスライド可
能かつ相対回転不可能に嵌合した複数のアウタープレー
ト54と、内輪52とスライド可能かつ相対回転不可能
に嵌合した複数のインナープレート55を交互に重ね合
わせ、その両プレート54、55を内輪52又はアウタ
ーケース53に固定された摩擦フランジ56と、内輪5
2とアウターケース53間に同軸上スライド可能に嵌合
したアーマチュア57の間に挟み込んで設けることによ
り多板クラッチを形成し、電磁コイル58が上記摩擦フ
ランジ56とアーマチュア57を磁力により圧着させる
ようになっており、同調機構を構成している。
【0038】図6、7に示した第2の実施の形態におい
て、走行中でも2WDから4WD(AUTO、LOC
K)に切り替えたときは図8のような制御によって、フ
ロント駆動系を同調させることが出来、違和感なく4W
Dモードに切り替えることができる。
【0039】
【発明の実施の形態3】次に、図9乃至図16に示す第
3の実施の形態を説明する。図9に回転伝達装置21を
組み込んだ4WD駆動レイアウト図を、図10に回転伝
達装置21を組み合わせたトランスファの断面図を示
す。ローラ型2方向回転伝達装置21の詳細な説明は第
1の実施の形態と同じであり省略する。
【0040】図9は、前輪1の各端部にハブクラッチ2
が装備されているFRベース4WD車のトランスファ内
部に回転伝達装置21が装着される場合である。
【0041】第1の実施の形態との相違点は、トランス
ファ入力軸22と入力側チエンスプロケット23が回転
自在であり、両者の回転伝達と遮断を切り替えるための
シンクロナイザー61とドグクラッチ62が更に加わっ
ている点である。
【0042】図9と図10のように、トランスミッショ
ン4からの出力はHi−Loセレクトギヤ13を通っ
て、リヤプロペラシャフト8に伸びている。Hi−Lo
セレクトギヤ13は既知の技術であり、プラネタリギヤ
から成り、ハイギヤを通過する場合は1対1の関係で回
転トルクを伝達し、ローギヤを通過する場合は回転が減
速され、トルクは増大する。
【0043】このリヤプロペラシャフト8に通じるトラ
ンスファ入力軸22は、既知の典型的なパートタイム4
WDの切替方式であるドグクラッチ62によって入力軸
22と入力側チエンスプロケット23の回転の伝達と遮
断を切り替えている。また、走行中にドグクラッチ62
の入り切りを可能にするためのいわゆるシンクロナイザ
ー61(同調装置)等を設けている。尚、入力側チエン
スプロケット23はトランスファ入力軸22に対し、回
転可能に嵌合されている。このドグクラッチ62の入り
切り手段そのものは、既存の手動レバー式、自動式(ア
クチュエータ作動)どちらでもかまわない。
【0044】一方、ローラ型回転伝達装置21は第1の
実施の形態と同様、トランスファ下部のフロントプロペ
ラシャフト駆動用のトランスファ出力軸24上に回転可
能に嵌合された出力側チエンスプロケット25の一端に
位置する。この回転伝達装置21のカムリング(内輪)
27はトランスファ出力軸24とセレーション等により
相対回転不可能に固定され、一方、外輪30は出力側チ
エンスプロケット25の片端部にスプライン等にて連結
されている。尚、この出力側のスプロケット25は出力
軸24に対して回転自在に嵌合されている。この配置に
おいても、回転伝達装置21は完全にオイルに浸かった
状態になる。
【0045】まず、この回転伝達装置21を組み込んだ
トランスファの2WDモードを説明する。図12に2W
D時の動力の伝達経路を示す。トランスミッション4か
らの動力は、Hiレンジのギヤを通過し、トランスファ
5の入力軸22に入力される。2WDモード時は前記ド
グクラッチ62を切り離し、したがって、入力軸22と
入力側チエンスプロケット23が空転し、両者間には何
ら抵抗の無い状態となる。
【0046】一方、2WDモードでは前記ハブクラッチ
2の接続が切れているため、入力側チエンスプロケット
23、出力側チエンスプロケット25、回転伝達装置2
1、出力軸24、すなわち前輪駆動系には動力は伝達さ
れずに切り離され、図13のように車両走行中でもドラ
イブシャフト、フロントデフ、フロントプロペラシャフ
ト、トランスファ出力軸24、回転伝達装置21、各チ
エンスプロケット23、25を回転停止させることがで
き、燃費経済的な走行ができる。
【0047】また、回転伝達装置21の外輪30とカム
リング27は両方共回転停止となり、したがって、回転
伝達装置21は外輪30とカムリング27が全く空転し
ない。
【0048】また、2WDを選択しているときは、回転
伝達装置21の電磁コイル40に電流は流れないように
なっており、電力消費を抑えている。
【0049】4WDモード(AUTO、LOCK)の作
用は、前記ドグクラッチ62が連結し、入力軸22と入
力側チエンスプロケット23が直結される他は第1の実
施の形態と全く同じであり、省略する。
【0050】尚、第3の実施の形態は走行中に2WDか
ら4WDモードに切り替えたときは図14のような順で
同調作動を行う。
【0051】すなわち、2WDから4WDモード(AU
TO、LOCK)にスイッチが切り替えられると、下記
の作動をおこなって4WDに切り替える。 走行中か否かの判断 走行中であればツーウェイクラッチ作動 シンクロ+ドグクラッチ移動用アクチュエータ作動 同調したか否かの判断 同調したらハブクラッチの作動 AUTOまたはLOCKモードに移行 この作動での特徴は、シンクロナイザー61が作動中に
はツーウェイクラッチ37が常時ロックされていること
である。もしこのときツーウェイクラッチ37がロック
されないとシンクロが作動してもフロント駆動系は同調
されない。
【0052】また、以上の各実施の形態では、2WDモ
ード走行時は、自動ハブクラッチ2によって前輪1とフ
ロント駆動系を断続した例を用いたが、従来例の様に、
ハブクラッチを使用せず、フロントデフとドライブシャ
フト間にドグクラッチ71等を用いて、そのクラッチの
断続によってフロントプロペラシャフトやフロントデフ
の一部を2WDモード走行時に停止させる種類の車両も
あるが、図15に示すように、この発明はこのような車
両でも当然成立する。
【0053】また、各実施の形態は内方部材の外径にカ
ム面、外輪内径側に円筒面を設けたが、従来例にもある
ように、外輪内径にカム面、内方部材外径側を円筒面と
しても、同様に成立する。
【0054】また、図16のように、出力側チエンスプ
ロケット25の前側に回転伝達装置21を配置しても同
じ効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】以上のように、この発明によると、車両
としての機能は従来どおり保持しながらも、回転伝達装
置はトランスファ内の油中に浸り、充分な潤滑が得ら
れ、空転寿命を長くすることができる。また、トランス
ファ入力軸と入力チエンスプロケット間に別途ドグクラ
ッチを設けることにより、2WD走行モードの時は回転
伝達装置は全て切り離されるので、2WD走行時は回転
伝達装置内の空転が必要なくなり、更に寿命が長くな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の回転伝達装置を
組込んだ4WD駆動車のレイアウトを示す平面図
【図2】回転伝達装置を組込んだトランスファの断面図
【図3】(A)は同上における要部の拡大断面図、
(B)は(A)の矢印b−bに沿う断面図
【図4】(A)は回転伝達装置の原理を示す説明図、
(B)は同じく2WD時の伝達経路を示す説明図、
(C)はツーウェイクラッチのニュートラル状態を示す
要部の拡大断面図
【図5】4WD駆動車の2WD走行時を示す平面図
【図6】回転伝達装置の第2の実施の形態を組込んだ4
WD駆動車のレイアウトを示す平面図
【図7】同上のトランスファを示す断面図
【図8】フロント駆動系を同調させるための制御を示す
フローチャート図
【図9】回転伝達装置の第3の実施の形態を組込んだ4
WD駆動車のレイアウトを示す平面図
【図10】同上のトランスファを示す断面図
【図11】(A)と(B)はシンクロ機構とドグクラッ
チの作動を示す断面図
【図12】2WD時の動力伝達経路を示す説明図
【図13】2WD走行時を示す平面図
【図14】フロント駆動系を同調させるための制御を示
すフローチャート図
【図15】2WD走行時を示す平面図
【図16】4WD駆動車のレイアウトを示す平面図
【図17】先行技術である回転伝達装置を組込んだ4W
D駆動車のレイアウトを示す平面図
【図18】同上のトランスファの断面図
【図19】2WD走行時を示す平面図
【符号の説明】
1 前輪 2 ハブクラッチ 7 後輪 21 回転伝達装置 22 トランスファ入力軸 23 入力側チエンスプロケット 24 トランスファ出力軸 25 出力側チエンスプロケット 26 サイレントチエン 27 カムリング 29 ハウジング 30 外輪 32 カム面 33 円筒面 34 保持器 36 ローラ 37 ツーウェイクラッチ 38 スイッチバネ 39 電磁クラッチ 40、58 電磁コイル 48 ロータ 49、57 アーマチュア 51 シンクロ装置 52 内輪 53 アウターケース 54 アウタープレート 55 インナープレート 56 摩擦フランジ 61 シンクロナイザー 62 ドグクラッチ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスミッションからの出力が、トラ
    ンスファ内部で入力軸を介して直接後輪推進軸へ伝達さ
    れ、かつ、トランスファ内部に、入力軸と前輪推進用出
    力軸の回転伝達と遮断を行うツーウェイクラッチと、該
    ツーウェイクラッチのロックとフリーを制御する電磁ク
    ラッチとからなり、2WDと4WDの切換えを行う回転
    伝達機構を組み込んだ回転伝達装置において、前記回転
    伝達機構をトランスファ内部の潤滑油内に浸漬状となる
    よう配置したことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 【請求項2】 回転伝達機構が、前輪推進用出力軸に内
    方部材を同軸上に回転不能に連結し、該出力軸に同軸上
    回転可能に嵌合された出力側チエンスプロケットに外輪
    を同軸上に回転不可能に連結し、内方部材と外輪の一方
    に複数のカム面と他方に円筒面を設け、両面間に楔空間
    を形成し、この楔空間内に保持器を設け、この保持器に
    形成した複数のポケットに係合子を組み込み、この係合
    子がカム面と円筒面に係合しない中立位置へ保持器を支
    持付勢する弾性部材を、保持器とカム面を有する内方部
    材又は外輪の間で係止してツーウェイクラッチを形成
    し、電磁クラッチが、前記弾性部材の付勢力に対向して
    保持器と内方部材又は外輪の周方向位相を切り換えるよ
    うになっている請求項1記載の回転伝達装置。
  3. 【請求項3】 回転伝達機構が、前輪推進用出力軸に外
    輪を同軸上に回転不可能に連結し、該出力軸に同軸上回
    転可能に嵌合された出力側チエンスプロケットに、内方
    部材を同軸上に回転不可能に連結し、内方部材と外輪の
    一方に複数のカム面と他方に円筒面を設け、両面間に楔
    空間を形成し、この楔空間内に保持器を設け、この保持
    器に形成した複数のポケットに係合子を組み込み、この
    係合子がカム面と円筒面に係合しない中立位置へ保持器
    を支持付勢する弾性部材を、保持器とカム面を有する内
    方部材又は外輪の間で係止してツーウェイクラッチを形
    成し、電磁クラッチが、前記弾性部材の付勢力に対向し
    て保持器と内方部材又は外輪の周方向位相を切り換える
    ようになっている請求項1記載の回転伝達装置。
  4. 【請求項4】 トランスファ内部の入力軸と、該入力軸
    に対して同軸上回転可能に嵌合した入力側チエンスプロ
    ケットとの間にシンクロ手段とドグクラッチを設け、ド
    グクラッチにより、入力側チエンスプロケットへの動力
    の伝達と遮断が行えるようにした請求項1乃至3の何れ
    かに記載の回転伝達装置。
  5. 【請求項5】 トランスファ内部の前輪推進用出力軸上
    で、出力側チエンスプロケットを挟んで回転伝達機構と
    対向する位置に内輪を回転不可能に設け、出力軸上で該
    内輪と同軸上回転可能に嵌合させたアウターケースを出
    力側チエンスプロケットと回転不可能に連結し、上記ア
    ウターケースとスライド可能かつ相対回転不可能に嵌合
    した複数のアウタープレートと、内輪とスライド可能か
    つ相対回転不可能に嵌合した複数のインナープレートを
    交互に重ね合わせ、その両プレートを内輪又はアウター
    ケースに固定された摩擦フランジと、内輪とアウターケ
    ース間に同軸上スライド可能に嵌合したアーマチュアの
    間に挟み込んで設けることにより多板クラッチを形成
    し、電磁コイルが上記摩擦フランジとアマチュアを磁力
    により圧着させるようになっている同調機構を組み合わ
    せた請求項1乃至3の何れかに記載の回転伝達装置。
  6. 【請求項6】 請求項4の回転伝達装置において、車両
    が走行中に2WDから4WDに走行モードを切り換える
    ときの前輪駆動系の同調作用を、シンクロ手段を作動さ
    せる前に、回転伝達装置を先にロックさせておくことを
    特徴とする回転伝達装置の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009101835A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Gkn ドライブライン トルクテクノロジー株式会社 動力伝達装置
CN106168283A (zh) * 2015-05-21 2016-11-30 麦格纳动力系美国有限公司 具有飞溅回收离合器润滑系统的主动分动箱
CN112762144A (zh) * 2020-12-25 2021-05-07 中国第一汽车股份有限公司 一种分动器装置及车辆

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CN112762144B (zh) * 2020-12-25 2022-02-15 中国第一汽车股份有限公司 一种分动器装置及车辆

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