JPH1190494A - 有機性汚泥の超臨界水酸化方法 - Google Patents

有機性汚泥の超臨界水酸化方法

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JPH1190494A
JPH1190494A JP25979397A JP25979397A JPH1190494A JP H1190494 A JPH1190494 A JP H1190494A JP 25979397 A JP25979397 A JP 25979397A JP 25979397 A JP25979397 A JP 25979397A JP H1190494 A JPH1190494 A JP H1190494A
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裕志 鈴垣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下水汚泥の反応器への供給を確保しつつ、有
機性汚泥自体の発熱で、下水汚泥の酸化処理を良好に行
うことができる超臨界水酸化処理の反応温度を維持でき
るようにする。 【解決手段】 水の臨界温度以上でかつ臨界圧力以上の
条件で、超臨界水の存在下に、有機性汚泥を酸化処理す
る方法において、超臨界水酸化による汚泥自体の発熱で
反応域を600℃以上に維持できかつ流動性を有するよ
うに汚泥濃度を5〜15重量%に調製した有機性汚泥
を、250〜450℃の温度に予熱した後、反応域に連
続的に供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水汚泥に代表さ
れる有機性廃水の生物処理装置から発生する余剰汚泥等
の有機性汚泥の酸化処理方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に下水汚泥等の有機性汚泥は、水分と
共にたん白質,脂肪及び炭水化物などの有機物を多量に
含むため腐敗し易く、悪臭防止や公衆衛生上の観点から
安定化、無害化、減容化が必要とされている。その代表
的な有機性汚泥である下水汚泥の発生は全国で約800
0万m3 (濃縮汚泥基準:含水率98%)という莫大な
量であり、年々増加の傾向にあり、大都市の多くの下水
処理場においては、埋め立て地の確保が困難であること
から、一般に焼却法を採用して減容化を図り焼却後の灰
分を埋め立ている。
【0003】従来行われている有機性汚泥の焼却法とし
ては、汚泥中の有機物の完全分解や悪臭対策として80
0℃前後で行われる方法があるが、この温度域では汚泥
中の窒素成分や硫黄成分が酸化物を形成し、窒素酸化物
・硫黄酸化物となって排ガス中に同伴されることが問題
となっている。また、焼却後の灰分も多くの場合は排ガ
スに同伴されて出てくる。従って、汚泥焼却の設備にお
いては一般に脱硝設備、脱硫設備及び電気集塵機等の排
ガス処理設備の設置が不可欠となっている。このように
排ガス処理設備を設けることが必要であることから、従
来の有機性汚泥の上述の焼却法による設備はコスト(初
期投資・維持管理費)が嵩み、あるいは設置面積が広く
必要になるという問題があって、その改善が望まれてい
る。更にこの焼却法では燃焼を維持するために補助燃料
(重油等)が必要という問題もある。
【0004】有機性汚泥の他の処理方法としては、20
0〜300℃・2〜10MPaの亜臨界域で処理を行う
湿式酸化法も知られている。この湿式酸化法は、汚泥中
の有機物を酸素で酸化する方式のものであり、補助燃料
の必要がなく、化学工場廃液、屎尿処理及び下水汚泥の
処理として数多くの実績を有している。
【0005】しかしながら、この方法では多くの場合有
機物の分解が完全には行われず、その結果として悪臭の
発生や後段にさらに水処理施設が必要になるなどの問題
があるためにその改善が望まれている。
【0006】また、近年注目されている技術として水の
臨界温度・臨界圧力(374℃・22MPa)以上の条
件で酸化処理を行ういわゆる超臨界水酸化法が提案され
ている。この超臨界水酸化法は、理論的には有機物の完
全分解が可能であり、この方法を有機性汚泥の処理に適
用した場合には、有機性汚泥中の炭素成分・窒素成分を
それぞれ二酸化炭素・窒素ガスのように無害なガスとし
て排出させることができる点で優れている。また、硫黄
成分は硫酸イオンとして水中に捕捉することができるた
め、従来の焼却法で必要とされている後段の排ガス処理
施設は不要にできる点でも優れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の超臨界水酸化の
処理では、超臨界水の有機物や酸化剤を酸化処理に適し
た良好な状態に分散できるという優れた分散媒としての
性質によって、酸化の反応速度が速い。したがって、分
解対象有機物の連続供給を安定して行うことで、補助燃
料を供給することなしに、分解対象有機物自体の発熱を
利用して反応温度を維持することが可能である。
【0008】ところで、本発明が対象とする有機性汚泥
は酸化することにより発熱する有機物を含んでいるが、
その含水率は極めて高い(例えば98%)ので汚泥単位
量あたりの発熱量はあまり高くないのが普通である。こ
のため、反応温度を維持する上で、汚泥の保有する発熱
量を利用しつつ、不足する熱量を発熱量の高い補助燃料
の供給で補うことが一般に考えられる。
【0009】これに対し本発明者は、汚泥単位量あたり
の発熱量は汚泥濃度(有機物量)によって大幅に変化す
ることに着目した。すなわち、汚泥濃度を調製すること
で汚泥単位量あたりの発熱量を大きくすることによっ
て、補助燃料の供給を低減ないし不要にできる方法につ
いて研究を進めた。
【0010】この研究の過程で、超臨界水酸化処理にお
いて汚泥の発熱量のみを利用して反応に必要な最低限の
温度を維持するためには、単純には、単位量あたりの発
熱量が大きくなるように高濃度にした汚泥を供給すれば
よいことになるが、一方において汚泥濃度を高くするこ
とは該汚泥の流動性の悪化を招いて超臨界水酸化反応器
への汚泥供給が困難になるから、このような一般的な操
作の上で支障となる問題を招くことがないようにされな
ければならない。また他の問題として、例えば仮に極め
て高濃度の汚泥の供給が可能であっても、反応器内の温
度が高くなりすぎれば、耐圧性,耐久性等についての装
置安全上の問題も考慮しなければならない。
【0011】また、以上の一般的な操作上の問題や、装
置の耐久性等の問題とは別に、有機性汚泥を分解対象物
とする場合に特有の問題がある。すなわち、下水汚泥に
代表される有機性汚泥の処理においては、この汚泥にア
ンモニア等の比較的難分解性の有機物が含まれるのが普
通である。かかる場合、例えば550°C前後の一般な
温度で超臨界水酸化処理を行うと有機性汚泥中の難分解
性物質に含まれる有機物・窒素成分の完全分解が行われ
ず超臨界水酸化処理水中に残存し、分解不十分な物質を
含む超臨界水酸化処理水を直接放流した場合に周辺環境
水の富栄養化を引き起こす虞れがある。
【0012】これに対し、600℃以上の温度超臨界水
酸化処理を行えば有機性汚泥を完全分解することができ
る。すなわち、有機物のうちの主に有機体炭素は反応温
度550℃以上では完全分解して全て二酸化炭素となる
が、550℃より低い反応温度では完全分解されず処理
水中にT0C成分として若干残存する。また窒素成分は
反応温度600℃以上では完全分解し全て窒素ガスとな
るが、600℃より低い温度では完全分解されずに処理
水中にアンモニア性窒素として大量に残存することにな
る。
【0013】本発明は以上の種々の問題に鑑み、有機性
汚泥の超臨界水酸化処理において、汚泥の反応器への供
給を確保しつつ、汚泥の発熱量が有機性汚泥の好適な酸
化処理のための反応温度の維持に関して不十分であると
いう問題を解決することを目的としてなされたものであ
る。
【0014】本発明の別の目的は、補助燃料を供給する
ことなしに有機性汚泥の超臨界水酸化処理を維持するこ
とを可能とするところにある。
【0015】又更に本発明の別の目的は、超臨界水酸化
処理を適切な反応温度を維持した所定の条件で行うこと
で、従来の排ガス処理設備を不要としながら、分解対象
物である有機性汚泥中の有機体炭素・窒素成分を完全に
分解することができるようにするところにある。
【0016】本発明の他の目的は、反応器に有機性汚泥
を安定供給することができる汚泥濃度の調製方法を提供
するところにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は上記した
特許請求の範囲の各請求項に記載した発明により達成さ
れる。
【0018】本願請求項1の有機性汚泥の超臨界水酸化
方法の発明は、水の臨界温度以上でかつ臨界圧力以上の
条件で、超臨界水の存在下に、有機性汚泥を酸化処理す
る方法において、超臨界水酸化による汚泥自体の発熱で
反応域を600℃以上、好ましくは600〜680℃、
最適には640〜660℃に維持できかつ流動性を有す
る汚泥濃度に調製した有機性汚泥を該反応域に連続的に
供給することを特徴とする。
【0019】上記構成において、超臨界水酸化処理を6
00℃以上の温度で行うのは、水の臨界温度374℃以
上で行われる超臨界水酸化処理を600°C未満の反応
温度で行うと、有機性汚泥中の難分解性物質に含まれる
有機他炭素・窒素成分の完全分解が行われずに超臨界水
酸化処理水中に残存し、このような分解不十分な物質を
含む超臨界水酸化処理水を直接放流すれば周辺環境水の
富栄養化を引き起こす虞れがあるのに対し、600℃以
上の温度超臨界水酸化処理を行うことで、有機性汚泥を
完全分解することができて有機体炭素・窒素成分を無害
なガスとして放出できるからである。このような汚泥自
体の発熱によって600℃以上の温度で超臨界水酸化の
反応を維持し、かつ反応域への汚泥の吹込を確保するた
めに、反応域に吹き込まれる有機性汚泥の汚泥濃度は一
般的には5〜15重量%で、好ましくは8〜12重量
%、最適には9〜11重量%に範囲とされる。本発明方
法による場合、有機性汚泥に含まれる有機体炭素・窒素
成分の完全分解が満足されればよく、反応温度を高くし
すぎても反応器の耐久性等の低下を招いたり、また有機
性汚泥の流動性が低くなって供給操作に問題を招くの
で、反応温度は680℃以下、汚泥濃度は15重量%以
下とするのが適当である場合が多い。
【0020】なお、上記において汚泥自体の発熱によっ
て600℃以上の温度を維持するというのは、汚泥濃度
が上記範囲より小さくなった場合には発熱量を増加させ
るために一時的に重油等の補助燃料を添加する操作を行
う場合を排除するものではない。
【0021】本発明において被処理原料とされる有機性
汚泥としては、通常の下水処理場から排出される下水汚
泥や各種の有機性廃水の生物処理装置から排出される余
剰汚泥等が包含される。
【0022】用いられる酸化剤としては、空気、酸素富
養化ガス等の他、過酸化水素水等の液体酸化剤を用いる
こともできるが、通常は空気が好ましく用いられる。超
臨界水は有機性汚泥に含まれている水が超臨界雰囲気下
で超臨界水となるので別途に注入することを省略でき
る。また、有機性汚泥に硫黄等の酸を生成する成分が含
まれている場合にも、これと反応して塩を生成する成分
が一般に該有機性汚泥に含まれているので中和剤の添加
も特に要しない場合が多い。
【0023】上記方法を実施するために用いられる装置
としては、所定径のパイプを数十mないし100m以上
に延設した管状反応器の一端側から有機性汚泥及び酸化
剤を吹き込んで超臨界水酸化反応を行わせ、他端側から
超臨界水酸化処理後の生成流体を排出する方式、あるい
は縦筒型のベッセル型と称される反応器の上部中央から
有機性汚泥及び酸化剤を吹き込で超臨界水酸化反応を行
わせ、水及び二酸化炭素等のガス成分からなる生成流体
を上部から排出する方式など種々の型の装置を用いるこ
とができるが、管状反応器が好ましく採用される。超臨
界水酸化処理の反応は、水の臨界圧以上一般的には22
〜50MPa、好ましくは22〜25MPaで、一般的
には1〜10分、好ましくは1〜2分程度の時間で行わ
れる。
【0024】請求項3の発明は、上記の発明において、
有機性汚泥を250〜450℃、好ましくは300〜4
00℃、最適には350〜400℃の温度に予熱した
後、温度600℃以上の反応域に供給することを特徴と
する。
【0025】本発明の超臨界水酸化においては、限定さ
れるものではないが、600℃以上の反応温度で酸化反
応した処理流体の熱量を利用して、熱交換により有機性
汚泥と酸化剤を加熱(予熱)することができる。このよ
うにすることで、予熱後の有機性汚泥と酸化剤は反応域
に至って速やかに超臨界水酸化反応を行い、酸化反応熱
により温度が600℃まで上昇する。この熱量は再び有
機性汚泥と酸化剤の予熱に利用され、熱効率のよい酸化
処理を行うことができる。管状反応器を用いた超臨界水
酸化の処理において予熱を行う場合には、連続した管の
始端側部分を予熱部とし、これに続く管内部分を反応域
とすることができる。また、始端側部分と終端側部分に
それぞれ熱交換器を設けてこれらの間で熱媒体を循環さ
せることで、始端側熱交換器を予熱器、終端側熱交換器
を冷却器とすることもできる。
【0026】上記の熱交換によって予熱を行う場合、交
換熱量を大きくしすぎると熱交換器の容量が膨大になる
ため、熱交換器出口温度は450℃以下とされる。また
反対に、交換熱量が不足すると酸化反応が開始する温度
まで上昇しないため、熱交換器出口温度は250℃以上
とされるのがよい。
【0027】また、熱交換器出口温度が上記範囲内にあ
る場合であっても、熱交換器出口温度が比較的低い場合
には超臨界水酸化の反応に長い時間を要するためリアク
ターが大きくなる傾向となり、反対に熱交換器出口温度
が比較的高い場合には前述のように大きな熱交換器が必
要となるので、反応時間を短くかつ熱交換器を適度な大
きさにするには、熱交換器出口での供給流体の温度が水
の臨界温度近傍であるように予熱するのが好ましく、汚
泥濃度は上記の好ましい濃度範囲8〜12%にすること
がよい。
【0028】この発明によれば、予熱部から反応域に渡
って有機性汚泥が確実に温度上昇して安定した超臨界水
酸化の処理が行われる。
【0029】請求項4の有機性汚泥の汚泥濃度調製方法
の発明は、上記の超臨界水酸化方法で酸化処理する有機
性汚泥の汚泥濃度を、濃縮汚泥と脱水汚泥の混合によっ
て調製することを特徴とする。
【0030】有機性汚泥の汚泥濃度の装置,方法は、上
記濃度に調製できるものであれば遠心濃縮法,濾布筒濃
縮法など適宜の方式のものを用いることができ、特に限
定されるものではないが、既存の設備として濃縮設備及
び脱水設備を有する施設では、本発明の汚泥濃度調製方
法はこれらを利用して容易に実施でき、また、濃縮汚泥
と脱水汚泥の混合比を制御することで常に安定した汚泥
濃度とすることができるので工業的設備では効果が大き
い。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は、本発明の方法を実施するための装置の構成概要
一例を示したものである。この図1において1は管状反
応器であり、水の臨界圧以上の所定圧に加圧され、必要
に応じて図示しない一次予熱器で一次予熱された有機性
汚泥と、酸化剤(例えば空気)とがその始端側から吹き
込まれる。本例のこの管状反応器1は、その始端側の所
定範囲に熱交換器2が設けられていて、反応器1の終端
部から排出管3に排出された超臨界水酸化処理後の処理
流体を該熱交換器2に通すことで、上記により吹き込ま
れた有機性汚泥をその熱交換器2の出口において250
〜450℃の温度まで予熱できるように設けられてい
る。
【0032】上記のようにして吹き込まれた有機性汚泥
は、予熱された後、熱交換器出口から管状反応器1の反
応域(図1中に符号11で示した範囲)内に至り、反応
温度600℃以上で超臨界水酸化処理される。処理流体
は終端部から排出管3に排出されて、熱交換器2を通っ
て例えば100℃程度に冷却された後、自然空冷等で更
に温度が低下されて気液分離器4に導かれ、気体と、液
体・固体混合物に分離される。気液分離された二酸化炭
素,窒素ガス等の気体は、気液分離器4の上部から引き
抜かれ、減圧弁5を通して排ガスとして系外に排出され
る。
【0033】他方、気液分離された液体(処理水)・固
体混合物は、気液分離器4の下部から排出され、減圧弁
6で減圧された後、固液分離器8で処理水と固体に分離
され、分離された処理水は系外に排出される。
【0034】なお本例においては、気液分離器4から固
液分離器8に処理水・固体混合物を移送する配管7の途
中で凝集剤(リン酸イオンの不溶化剤)を添加し、固液
分離器8では不溶体として凝集したリン酸成分(リン酸
アルミニウム等)を処理灰(固体)として分離するよう
にしている。
【0035】これは次の理由による。すなわち有機性汚
泥にリン成分が含まれている場合には超臨界水酸化によ
りリン酸イオンが生成する。このリン酸イオンの殆ど
は、通常は有機性汚泥に含まれているアルカリ金属以外
の金属(Ca,Mg,Fe,Al等)と不溶性の塩を容
易に形成して固形物として分離されるが、有機性汚泥に
よってはリン酸イオンの一部が処理水中に残存する場合
がある。そしてこの処理水をそのまま放流すると周辺環
境水のリン成分による富栄養化の問題を招く虞れがある
のでこれを解消するためである。凝集剤としては例えば
カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(F
e)、アルミニウム(Al)等の水酸化物、塩化物、硫
酸塩等の凝集剤を用いることができる。凝集剤の添加位
置は、酸化処理後の流体であれば特に制限されない。
【0036】以上の処理によって、有機性汚泥に含まれ
ていた有機炭素及び窒素は二酸化炭素,窒素の無害なガ
スにまで完全に分解されて排出され、また本例の装置で
は、リン成分も固体(処理灰)として分離され、処理水
から除去することができる。これにより有機性汚泥の酸
化処理によって生ずる処理水の放流により周辺環境水の
富栄養化を引き起こすという問題が防止でき、また排ガ
ス処理設備も不要とできる。
【0037】
【実施例】
実施例1 [濃縮した有機性汚泥の調製]下水汚泥を遠心濃縮装置
で汚泥濃度5重量%に濃縮した濃縮汚泥と、ベルトプレ
ス式脱水機で汚泥濃度20重量%に脱水した脱水汚泥
を、混合攪拌することで汚泥濃度10重量%の有機性汚
泥を調製した。この汚泥は十分な流動性があり、既存の
一般的ポンプで高圧輸送が可能であった。なおこの有機
性汚泥の有機体炭素・窒素・リンの各成分は次の通りで
あった。
【0038】 下水汚泥(汚泥濃度10重量%) 全有機体炭素: 4% 全窒素 : 0.5% 全リン : 0.2% [超臨界水酸化処理]実施形態1の装置を用いて、以下
の条件で上記で調製した濃度の有機性汚泥の超臨界水酸
化処理を行った。
【0039】(試験条件) 管状反応器:内径6.8mm、長さ18m 汚泥供給量:30ml/min 酸化剤 :空気 超臨界水酸化処理 予熱温度(熱交換器2の出口温度):370℃ 反応温度:650℃ 圧力 :25MPa 凝集剤 ポリ塩化アルミニウム(PAC),濃度10%asAl
23 添加量:0.05リットル/kgDS その試験の結果を下記表1に示した。この表1の結果か
ら分かるように、反応温度約650℃で超臨界水酸化処
理を行い、凝集剤を添加することにより、処理水中の有
機体炭素・全窒素・全リンは全て良好に除去され、処理
水は直接放流できる水質となった。
【0040】
【表1】
【0041】実施例2 実施例1の供給流体の予熱温度(熱交換器2出口の温
度)を変化させて、その後の有機性汚泥の酸化反応熱で
650℃まで昇温するために適切な汚泥濃度との関係を
調べ、その結果を図2に示した。図中の四角で囲った範
囲が好ましい予熱(熱交換器出口)温度であり、その時
の汚泥濃度は図2から明らかなように5〜15重量%で
あった。
【0042】なおこの図2から、予熱後の反応域11で
の温度上昇が速やかに行われて反応時間を短くできると
共に、熱交換器として過大とならない装置とできる臨界
温度近傍の予熱温度(熱交換器出口温度)とするには、
有機性汚泥を汚泥濃度10重量%前後に調製するのが適
当であることが分かる。この温度を図2中に太い点線で
示した。
【0043】比較例1 汚泥濃度が低いと発熱量が不足し反応温度が低くなり、
その結果、有機性汚泥の超臨界水酸化が不十分となる。
【0044】このことを確認するために、実施例1にお
いて、機械濃縮で汚泥濃度4.9%に調製した汚泥を用
い、補助燃料として重油を添加して発熱量を増加させ、
375℃まで予熱してその後の酸化反応熱で反応温度6
50℃まで上昇させるようにしたところ、汚泥lkgに
対し特A重油約20gが必要であった。
【0045】比較例2 脱水装置を用いて汚泥濃度を20重量%に調製したとこ
ろ、汚泥はケーキ状となって流動性がなくなり、一般的
なポンプでは高圧で輸送することが困難であった。
【0046】なお、このような高濃度の汚泥は高圧輸送
が可能であっても、発熱量が大きくなりすぎて反応温度
が高くなりすぎるので、装置の安全面で問題となる他、
計算上では、一般的な脱水汚泥で生成する濃度20%の
汚泥の超臨界水酸化の反応温度を650℃程度とするに
は、汚泥自体の発熱量との関係で予熱温度を200℃以
下としなければならない。しかし、この程度の温度に予
熱した汚泥を反応域に供給しても汚泥の酸化反応熱によ
る温度上昇はほとんど見込めない。
【0047】
【発明の効果】本発明による方法により有機性汚泥の処
理をすることにより、従来法と比較して以下の効果が奏
される。
【0048】(1)補助燃料を供給することなしに超臨
界水酸化処理を維持することが可能である。
【0049】(2)有機性汚泥の超臨界水酸化処理を適
切な反応温度を維持した所定の条件で行うことができ、
処理水中から有機体炭素・窒素成分を確実に除去するこ
とができ、また、有機性汚泥にリン成分が比較的高濃度
に含まれている場合には、リン成分除去のための不溶化
剤を添加することによって、スケールの形成を抑制しな
がら処理水中のリン成分除去の操作を併せて行うことが
でき、これらによって処理水を直接放流することが可能
となる。
【0050】(3)従来の排ガス設備が不要で設備コス
ト、ランニングコストが安価とでき、設備面積も小さな
ものとできる。
【0051】(4)濃縮汚泥と脱水汚泥を混合して汚泥
濃度を調製する方法によれば、反応域に供給する有機性
汚泥の安定供給ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するのに用いる実施形態1の
超臨界水酸化処理装置の構成概要を示した図。
【図2】本発明方法によって行われる適当な予熱温度範
囲を示した図。
【符号の説明】
1・・・管状反応器、2・・・熱交換器、3・・・排出
管、4・・・気液分離器、5・・・減圧弁、6・・・減
圧弁、7・・・配管、8・・・固液分離器、9・・・排
出管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴垣 裕志 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 鈴木 明 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内 (72)発明者 大信 正紀 埼玉県戸田市川岸1丁目4番9号 オルガ ノ株式会社総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水の臨界温度以上でかつ臨界圧力以上の
    条件で、超臨界水の存在下に、有機性汚泥を酸化処理す
    る方法において、超臨界水酸化による汚泥自体の発熱で
    反応域を600℃以上に維持できかつ流動性を有する汚
    泥濃度に調製した有機性汚泥を該反応域に連続的に供給
    することを特徴とする有機性汚泥の超臨界水酸化方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、超臨界水酸化の反応
    域に供給する有機性汚泥の汚泥濃度が5〜15重量%で
    あることを特徴とする有機性汚泥の超臨界水酸化方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、有機性汚泥を
    250〜450℃の温度に予熱した後、温度600℃以
    上の反応域に供給することを特徴とする有機性汚泥の超
    臨界水酸化方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかの超臨界水
    酸化方法で酸化処理する有機性汚泥の汚泥濃度を、濃縮
    汚泥と脱水汚泥の混合によって調製することを特徴とす
    る超臨界水酸化方法に適用する有機性汚泥の汚泥濃度調
    製方法。
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