JP2004041974A - 有機性排液の処理方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水熱反応工程における無機物およびチャー形成成分等の濃度を低くして無機物あるいは炭化物による器壁の摩耗、器壁への付着および配管等の閉塞を阻止できるとともに、水熱処理における固形物の分離を省略することができ、これにより排出物を処理水と排気に限定して処理を簡素化および効率化することができ、また生物処理可能な有機性排液と生物処理困難な有機性排液をともに処理可能な有機性排液の処理方法および装置を提供する。
【解決手段】生物処理装置1に第1の有機性排液11を供給して生物処理を行い、汚泥濃縮装置2で汚泥を濃縮して最終処理液14を排出し、濃縮汚泥15を第2の有機性排液12とともに水熱反応装置3に導入して、超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化反応を行い、水熱反応処理液20を生物処理装置1に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】生物処理装置1に第1の有機性排液11を供給して生物処理を行い、汚泥濃縮装置2で汚泥を濃縮して最終処理液14を排出し、濃縮汚泥15を第2の有機性排液12とともに水熱反応装置3に導入して、超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化反応を行い、水熱反応処理液20を生物処理装置1に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機性排液を生物処理および水熱反応により処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水等の有機性排液は好気性、嫌気性等の生物処理により処理されている。このような生物処理は低コストでの処理が可能であるが、大量の余剰汚泥が生成し、その処理が困難である。一方、有機性排液の処理方法として水熱反応、特に水の超臨界または亜臨界状態における水熱反応により有機物を酸化分解する方法が注目されている。この方法は高温状態での酸化反応になるため、有機物濃度の高い状態での処理に適している。このため有機性排液を生物処理により処理し、生成する汚泥を固液分離により分離して処理水を排出し、汚泥はさらに濃縮して水熱反応により酸化分解する方法が提案されている(例えば特表平9−502390号)。
【0003】
ところがこのような処理法では有機性排液に含まれる固形物は汚泥側に濃縮されるとともに、分離濃縮に使用される無機および有機凝集剤等も汚泥側に濃縮される。このため濃縮汚泥をそのまま水熱反応により処理すると、反応流体および処理水中に高濃度の無機物が含まれることにより、これらが器壁に付着したり、配管を閉塞したり、あるいは配管・機器を摩耗したりするなどの問題点がある。水熱反応条件では、水に対する無機塩の溶解度が極端に低下する事から、ほとんどの無機物が析出することになり、上記不具合を助長する。
【0004】
濃縮汚泥中の有機高分子濃度が高い場合には炭化物(チャー)が生成して同様に付着、閉塞することがある。水熱反応の前処理として、熱アルカリ処理等による濃縮汚泥の液化処理が行われているが、この場合でも炭化物が生成するほか、無機物量を減少させることはできない。このため水熱反応中あるいは水熱反応後に無機物を除去する工程が必要になり、処理工程が複雑になるという問題点がある。
【0005】
一方、生ごみ等の低含水率の有機廃棄物を湿式酸化処理する際、湿式酸化装置に送るのに適した濃度のスラリーを形成するために、スラリー化水として排水処理装置から汚泥を引き抜いて有機廃棄物と混合破砕してスラリー化し、スラリーを湿式酸化後、気液固分離し、液体を廃水処理装置に送って処理する方法が知られている(特開平11−333414号)。
【0006】
しかしこの方法では、低含水率の有機廃棄物をスラリー化するために汚泥を用いているため、汚泥濃度よりも高い濃度で湿式酸化を行うことになり、湿式酸化により有機物が分解すると高濃度の無機物を含む液が分離する。この液は循環してスラリー化水に用いられるため、無機物の濃縮を繰り返すので、濃縮された無機物を分離して廃棄する必要がある。また湿式酸化は超臨界または亜臨界状態の水熱反応よりも低い温度で酸化を行うため、有機物分解程度が低く、反応生成物は生物処理を阻害するなどの問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水熱反応工程における無機物およびチャー形成成分等の濃度を低くして無機物あるいは炭化物による器壁の摩耗、器壁への付着および配管等の閉塞を阻止できるとともに、水熱処理における無機物の分離を省略することができ、これにより排出物を処理水と排気に限定して処理を簡素化および効率化することができ、また生物処理可能な有機性排液と生物処理困難な有機性排液をともに処理可能な有機性排液の処理方法および装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の有機性排液の処理方法および装置である。
(1) 第1の有機性排液を生物処理する生物処理工程と、
生物処理工程で生成する汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程と、
汚泥濃縮工程から得られる濃縮汚泥およびこの濃縮汚泥より低い無機物濃度の第2の有機性排液を、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物処理工程に供給する水熱反応工程と
を含む有機性排液の処理方法。
(2) 濃縮汚泥と第2の排液を併せた水熱反応工程の被反応物が無機物濃度10重量%以下となるように濃縮汚泥と第2の排液を水熱反応工程に導入して水熱反応を行う上記(1)記載の方法。
(3) 無機物を分離することなく水熱反応処理液を生物処理工程に供給する上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 第1および第2の排液が異なる排液である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 第1の有機性排液を導入して生物処理を行う生物処理装置と、
生物処理ユニットで生成する汚泥を濃縮する汚泥濃縮装置と、
汚泥濃縮装置から得られる濃縮汚泥およびこの濃縮汚泥より低い無機物濃度の第2の有機性排液を導入し、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物処理装置に供給する水熱反応装置と
を含む有機性排液の処理装置。
【0009】
本発明において処理の対象となる第1の有機性排液は、生物処理可能な排液であり、生物処理可能な有機物を含む排液があげられる。生物処理可能な有機物を含んでいれば、さらに生物処理困難な有機物および/または無機物を含んでいてもよい。また生物処理可能な有機物を含まない排液でも、生物処理可能な有機物を含む他の排液と混合することにより生物処理が可能となる場合は、混合処理が可能である。生物処理が可能な排液としては下水、し尿、家庭排水、食堂排水、食品製造排水、発酵品製造排水などがあげられる。第1の有機性排液としては有機物濃度50〜10000ppm、好ましくは100〜5000ppmのものが好ましい。
【0010】
本発明において処理の対象となる第2の有機性排液は水熱反応による酸化分解が可能な有機性排液であり、水熱反応による酸化分解可能な有機物が含まれ、濃縮汚泥より低い無機物濃度の排液があげられる。有機物は一般に水熱反応による酸化分解が可能であるが、固形物、高粘性物等が多量に含まれていると炭化する場合があるので、これらを含まない排液、あるいはこれらを除去または破砕した排液を用いるのが好ましい。
【0011】
第2の有機性排液は生物処理可能な有機性排液であってもよいが、生物処理困難な排液でもよい。生物処理可能および困難な両排液が得られれば処理を効率化することができる。例えば生物処理可能な排液を第1の排液とし、生物処理困難な排液を第2の排液として処理を行うと、それぞれに適した処理を行うことができる。生物処理困難な排液としては、含油排水、フェノール含有排水、アルデヒド含有排水などの生物阻害性物質を含む排液があげられるが、生物処理に不向きな濃度とされている有機物濃度50ppm未満または10000ppmを超えるものも第2の排液として使用可能である。生物処理可能な排液としては前記第1の排液について説明したものがあげられる。第1の排液を第2の排液として用いてもよい。第2の排液としては有機物濃度100000ppm以下、好ましくは50〜10000ppm、無機物濃度10重量%以下、好ましくは1重量%以下のものが好ましい。
【0012】
本発明における生物処理工程は、第1の排液を生物処理装置に導入して生物処理を行う。生物処理としては好気性処理、嫌気性処理、これらの組合せなど、一般に有機性排液の生物処理として行われているすべての方法が採用できる。好気性処理としては標準活性汚泥法、オキシデーションディッチ法、回転円板法など、また嫌気性処理としては嫌気性消化法、UASB法、流動床法などがあげられる。生物処理装置としては、上記の方法に一般に採用されている装置が採用可能である。第1の排液は連続的に導入されてもよく、間欠的に導入されてもよい。
【0013】
本発明における汚泥濃縮工程は、上記の生物処理工程で生成する汚泥を汚泥濃縮装置に導入して濃縮し、濃縮汚泥を得る。汚泥濃縮工程は、標準活性汚泥法のように汚泥が処理液と混合した混合液として得られる場合には、汚泥と処理液を分離する固液分離工程のみであってもよく、また分離汚泥をさらに濃縮する工程を含んでいてもよい。
【0014】
汚泥濃縮装置はこのような工程に一般に使用されている装置が採用できるが、完全混合型の好気性処理装置における曝気槽と固液分離槽が一体化している場合のように、生物処理装置またはその一部とともに、汚泥濃縮装置またはその一部が一体化していてもよい。また固液分離とともにさらに分離汚泥の濃縮を行う場合は、両工程を行う装置は単一の装置であってもよく、別の装置であってもよい。後者の場合両装置は一体化していても分離していてもよい。このような汚泥濃縮装置としては沈澱槽、凝集沈澱槽、遠心分離機、濾過機、脱水機、これらの組合せなどが採用できる。
【0015】
汚泥濃縮工程では有機または無機の凝集剤を添加せずに濃縮するのがコスト的には好ましいが、添加して凝集処理を行い濃縮してもよい。汚泥濃縮工程で生成する濃縮汚泥は固形物濃度0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%であるのが好ましい。
【0016】
水熱反応工程では汚泥濃縮工程で生成する濃縮汚泥および第2の排液を水熱反応装置に導入し、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物反応工程に供給する。濃縮汚泥と第2の排液は混合した状態で水熱反応装置に導入するのが好ましいが、別々に導入してもよい。濃縮汚泥と第2の排液の割合はそれぞれの組成に応じて異なるが、両者を混合した被処理物が、有機物濃度1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、無機物濃度10重量%以下、好ましくは5重量%以下、固形物濃度0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、C/N原子比100以上、好ましくは500以上となるように導入するのが好ましい。上記の割合は定常的な状態を想定した場合の値であり、短期的には上記割合が変化してもよく、またどちらか一方のみが導入されてもよい。
【0017】
水熱反応でいういわゆる水の超臨界状態は温度374℃以上、圧力22MPa以上の状態である。また、いわゆる亜臨界状態は例えば374℃以上かつ圧力2.5MPa以上22MPa未満の場合、あるいは温度374℃未満かつ圧力22MPa以上の状態、あるいは374℃以下圧力22MPa未満であっても水の臨界点に近い高温高圧状態である。
【0018】
水熱反応はこのような温度、圧力条件下に、空気、酸素、過酸化水等の酸化剤を存在させることにより、濃縮汚泥および第2の排液からなる被反応物中の有機物その他の被酸化性物質を酸化する。被反応物に含まれる熱量(有機物量)が少ない場合には灯油、アルコール等の補助燃料を注入して温度、圧力を高くし、熱量が多い場合には水を注入して温度、圧力を低下させて定常状態で反応を行う。
【0019】
水熱反応器としては被反応物としての濃縮汚泥および第2の排液の導入路ならびに酸化剤、補助燃料および水の導入路を備え、超臨界または亜臨界状態で反応を行えるように構成された公知の反応装置を用いることができる。反応器、被反応物供給路、酸化剤供給路等には加熱を行うための加熱装置を設けることができる。
【0020】
上記の各装置はそれぞれに被反応物を供給するための系路、それぞれの装置から次の装置へ処理物を移送するための系路、貯留槽、ポンプ、弁等が設けられ、また各装置の反応状況に応じて反応、操作等の制御を行うため制御装置が設けられる。
【0021】
本発明の処理方法では、第1の排液を生物処理装置に導入して生物処理を行うことにより、第1の排液に含まれる生物処理可能な有機物が分解されて除去される。生物処理困難な排液でも生物処理を続けることにより、分解可能な微生物が出現して生物処理可能になる場合がある。また生物処理困難な排液でも生物処理可能な排液と混合処理することにより生物処理可能になる。従って生物処理困難な排液でも第1の排液として生物処理することもできる。一方水熱反応工程では生物処理困難な排液を処理できるので、生物処理困難な排液を第1の排液として生物処理するか、第2の排液として水熱反応により処理するかは、全体の排液の発生状況に応じて決めることができる。
【0022】
生物処理で生成する汚泥は汚泥濃縮工程において汚泥濃縮装置に導入して濃縮を行う。生物処理特に好気性生物処理では混合液を固液分離して処理液と汚泥に分離する操作が行われるが、汚泥濃縮工程としてこのような操作を行うと汚泥濃縮工程で分離する分離液を処理液として系外に排出し、分離した汚泥は一部を返送汚泥として生物処理工程に返送し、残部の一般に余剰汚泥とされる部分を水熱反応工程に送ることになる。水熱反応工程に送る汚泥はこのような固液分離で分離された汚泥をそのまま濃縮汚泥として送ってもよいが、一般的にはさらに重力分離、凝集分離、濾過分離等により濃縮した濃縮汚泥を送るのが好ましい。
【0023】
水熱反応工程では上記の濃縮汚泥と第2の排液を混合し、あるいは混合することなく反応器に導入して、酸化剤の存在下に超臨界または亜臨界状態で水熱反応工程を行うと、濃縮汚泥および第2の排液に含まれる有機物、その他の被酸化性物質は酸化される。このため水熱反応を行った後の反応流体中には超臨界または亜臨界状態の水、二酸化炭素その他のガスおよび無機物が含まれる。アンモニア性窒素等の窒素の酸化は、反応条件により異なるが、一般に、大部分は窒素ガスになり、他はアンモニア、亜硝酸、あるいは硝酸化合物になる。
【0024】
第2の排液を併合処理しない従来の水熱反応では、反応流体を冷却し、あるいは冷却前に分離して気体、液体、固体に分け、気体は無害な排ガスとして排出し、液体は純粋な水が生成するので、必要により前処理して水を回収し、固体は別途処理していた。このような固体を形成する無機物には第1の排液の種類によって種々のものが含まれるが、反応器等の器壁に付着したり、配管等を閉塞する成分が含まれる場合が多い。
【0025】
超臨界状態ならびに一部の亜臨界状態では、水は液体として存在していないので、無機物その他の水溶性の物質は溶解状態ではなく、固体として粉末状または溶融状で存在する。このため超臨界状態で固体を分離すると、分離は容易であるが、分離した固体を反応器から取り出すのは困難である。
他方、水が液体で存在する一部の亜臨界状態でも、気液界面付近に無機塩、無機酸化物等に由来する無機固形物の濃縮、固着が起こり、それらを除去することは困難であり、また、それらが閉塞、摩耗等のトラブルの原因になる。
【0026】
本発明では濃縮汚泥を第2の排液とともに水熱反応に供するので、濃縮汚泥中の無機物、チャー生成物質等は第2の排液で希釈された状態で反応器に入る。従って両者が混合された被反応物中の無機物およびチャー生成物質等の濃度は低くなり、これにより腐食、チャーの生成、付着、閉塞等が生じなくなる。特に水熱反応工程に入る被処理物が前記の濃度となる場合にはこれが顕著になる。
【0027】
超臨界状態あるいは一部の亜臨界状態で水熱酸化反応を行うと、被反応物中の水は液体でないガス状態あるいは超臨界状態とよばれる状態となり、有機物中の炭素は酸化されて二酸化炭素になり、無機物は酸化された状態で分散する。亜臨界状態の内、高圧で比較的低温の状態では、液体として存在する水に溶解度に対応して無機物が溶解し、過剰分は分散状態で存在する。
【0028】
本発明では超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行った後、固体を分離することなくそのまま冷却し、液体状の水に無機物を溶解または分散させる。この状態で気液分離することにより、分離する気体を処理ガスとして系外に排出し、分離液を水熱反応処理液として生物処理工程に送る。
【0029】
本発明では濃縮汚泥と第2の排液を併せた被反応物中の無機物濃度は低くなっているので、水熱反応処理液中の無機物濃度も低くなり、器壁等に対する摩耗、付着、閉塞等が防止される。被反応物中の高分子物質等の濃度も低くなるためチャーの生成も防止される。水熱反応処理液中の無機物が安定な溶解および分散状態を保つように、被反応物の無機物濃度を調整することにより、水熱反応処理液から無機物の沈降が防止されるので、水熱反応処理液から無機物を分離することなく全量を生物処理工程に送ることができる。
【0030】
生物処理工程に水熱反応処理液を導入して第1の排液と混合する。水熱反応処理液に含まれる無機物は第1の排液に希釈されて低濃度となるため、分散安定性はさらに高くなり、生物処理に対する阻害も発生せず、このため効率のよい生物処理が行われる。水熱反応処理液中の無機物のうち可溶性のものは溶解状態を保つ。分散性の無機物は、一部生物処理工程の汚泥中に取り込まれるものもあるが、微細粒子として分散しているため、一部は液中に分散状態を保つ。
【0031】
生物処理工程の処理液を濃縮工程で固液分離する際、水熱反応処理液から持ち込まれた無機物のうち、溶解性の無機物は最終処理液中に溶解した状態で系外に排出される。分散性の無機物は汚泥に取り込まれたものは汚泥とともに水熱反応工程に送られるが、一部は最終処理液中にSSとして分散した状態で系外に排出される。
【0032】
分散性の無機物が汚泥に取り込まれて水熱反応工程に循環すると、分散性の無機物が濃縮されるが、水熱反応で生成する分散性の無機物は簡単な構造の酸化物であって、結晶が成長せず、微粒子状で分散するため、ある割合の部分の分散性無機物は最終処理液中に分散して排出される。このため水熱反応工程へ循環する分散性の無機物は一定の濃度で安定する。従って水熱反応処理液から無機物を分離して除去しなくても、溶解性および分散性の無機物は処理液とともに排出され、無機物の分離工程を省略することができる。
【0033】
無機物の中でも例えばリンのように許容値が設定される無機物が第1および/または第2の排液に含まれる場合には、最終処理液に含まれる値が許容値以下となるように、水熱反応工程における被反応物の有機物濃度、無機物濃度、無機物/有機物(重量比)等を決め、このような被反応物組成とするように濃縮汚泥と第2の排液の導入割合を定める。ここで被反応物の無機物濃度は主として摩耗、付着、閉塞等の防止ならびに最終処理液に流出する無機物量の規制のために設定され、有機物濃度、無機物/有機物(重量比)は主として効率のよい水熱反応を行える熱量を導入するために設定される。
【0034】
本発明においては、生物処理により生成する汚泥を濃縮した濃縮汚泥を第2の排液とともに水熱反応工程に導入することにより、水熱反応工程における無機物濃度を低くして摩耗、付着、閉塞等を防止することができるとともに、処理系からの排出物を処理液と処理ガスに限定し、固体排出物を発生させず、またそのための分離工程を省略することが可能になる。また第1および第2の排液をそれぞれ別の処理方法で処理するため、複数の排液をそれぞれに適した処理方法で処理することができ、効率のよい処理を行うことができる。この場合、それぞれの処理方法における短所を補なって全体の処理を効率のよいものとすることが可能になる。また第2の排液の組成および量を選択することにより、被反応物を水熱反応に適した組成に調整することができ、水熱反応を効率化できるとともに、アンモニア、硝酸等の有害物質の発生を少なくすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、水熱反応工程における無機物およびチャー形成成分等の濃度を低くして無機物あるいは炭化物による器壁の摩耗、器壁への付着および配管等の閉塞を阻止できるとともに、水熱処理における固形物の分離を省略することができ、これにより排出物を処理水と排気に限定して処理を簡素化および効率化することができ、また生物処理可能な有機性排液と生物処理困難な有機性排液をともに処理可能な有機性排液の処理方法および装置を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態による有機性排液の処理装置を示すフロー図である。
【0037】
図1において、1は生物処理装置、2は汚泥濃縮装置、3は水熱反応装置である。生物処理装置1は好気性処理、嫌気性処理またはこれらの組合せからなる装置が採用できるが、この実施形態では好気性処理装置が採用されている。汚泥濃縮装置2は生物処理液から汚泥を分離濃縮する装置が採用できるが、実施形態では沈澱分離による固液分離槽と分離汚泥の重力分離による濃縮槽が採用されている。水熱反応装置3は水の超臨界または亜臨界状態で酸化分解を行う構造の反応装置が採用されている。
【0038】
第1の排液供給路11が生物処理装置に連絡し、第2の排液供給路12が水熱反応装置3に連絡している。生物処理装置1から移送路13が汚泥濃縮装置2に連絡している。汚泥濃縮装置2から最終処理液路14が系外に連絡し、濃縮汚泥供給路15が水熱反応装置3に連絡している。水熱反応装置3には酸化剤供給路16、助燃剤供給路17および水供給路18が連絡している。水熱反応装置3から排ガス路19が系外に連絡し、水熱反応処理液路20が生物処理装置1に連絡している。
【0039】
上記の装置による有機排液の処理方法は、第1の排液供給路11から第1の有機性排液を生物処理装置1に供給し、第2の排液供給路12から第2の有機性排液を水熱反応装置3に供給して処理を行う。生物処理装置1ではさらに水熱反応処理液供給路20から水熱反応処理液を導入し、微生物の存在下に処理を行って有機物を分解する。生物処理装置1の生物処理液は移送路13から汚泥濃縮装置2に導入して汚泥の濃縮を行う。ここでは一般的な固液分離により汚泥と分離液に分け、分離液を最終処理液として最終処理液路14から系外に排出する。
【0040】
汚泥は一部を返送汚泥として返送路21から生物処理装置1に返送し、残部を重力式の濃縮装置で濃縮して分離液は返送路21から生物処理装置1に返送する。濃縮汚泥は濃縮汚泥供給路15から水熱反応装置3に供給し、第2の排液とともに水熱反応を行う。この場合、濃縮汚泥と排液2とを同時に水熱反応装置に導入させることを基本とするが、水熱反応に導入される無機物の量そのものを低滅する目的からは、濃縮汚泥と排液2とをある一定間隔で交互に水熱反応装置に供給してもその効果が得られる。水熱反応は酸化剤供給路16から酸化剤を供給して超臨界または亜臨界状態酸化反応を行い、有機物その他の被酸化性物質を分離する。熱量が不足するときは助燃剤供給路17から助燃剤を供給し、熱量が過剰の場合には水供給路18から水を供給して定常状態で水熱反応を行う。水熱反応流体は冷却により処理液と処理ガスに分離される。
【0041】
上記の水熱反応では濃縮汚泥は第2の排液で希釈されて水熱反応に供されるので生成する水熱反応処理液の無機成分濃度が低くなり、摩耗、付着、閉塞等は防止される。また有機物濃度、有機物/無機物(重量比)を調整することにより、助燃剤および水の使用量を少なくして、効率よく水熱反応を行うことができる。そしてC/N原子比を調整することにより、窒素成分を窒素ガスに転換し、アンモニア、硝酸等の生成を少なくすることができる。
【0042】
処理ガスは排液ガス路19から系外に排出され、水熱反応処理液は水熱反応処理液供給路20から生物反応装置1に供給される。水熱反応処理液に含まれる溶解性または分離性の無機物は第1の排液と混合されることにより希釈される。無機物の一部は生物汚泥に取り込まれるが、一部は生物処理液中に溶解または分散し、汚泥濃縮装置2で分離する最終処理液とともに系外に排出される。これにより処理装置内における無機物濃度はほぼ一定に保たれ、無機物の分離、排出は省略することができる。なお、第1の排液を第2の排液として処理する場合は分注路22から第2の排液供給路12に分注して供給する。
【0043】
図1において、第1の排液供給路11における第1の排液の流量をX、無機物濃度をn1とし、第2の排液供給路12における第2の排液の流量Y、無機物濃度をm1とし、移送路13における生物処理液の無機物濃度をn2、最終処理液路14における最終処理液の無機物濃度をn3とし、濃縮汚泥供給路15における濃縮汚泥の流量をZ、無機物濃度をn4とし、水熱反応処理液供給路20における水熱反応処理液の無機物濃度をn5とすると、各部における流量は、図1に示す通りとなる。
【0044】
この場合、水熱反応装置3に入る被処理液の流量および無機物濃度は、水熱反応処理液供給路20の水熱反応処理液の流量Z+Y、および無機物濃度n5と一致する。汚泥濃縮装置2における無機物分離比(n4/n3)をS(ただし0≦S≦1)、第1の排液に対する第2の排液の流量比(Y/X)をα、循環流量比(Z/X)をβとすると以下の式が導かれる。
【0045】
【数1】
n3(X+Y)=(1−S)n2(X+Y+Z)
従って、n3=(1−S)n2(X+Y+Z)/(X+Y) ・・・(1)
n4Z=Sn2(X+Y+Z)
従って、n4=Sn2(X+Y+Z)/Z ・・・(2)
n5(Y+Z)=n4Z+m1Y=Sn2(X+Y+Z)+m1Y
従って、n5=〔Sn2(X+Y+Z)+m1Y〕/(Y+Z) ・・・(3)
n2(X+Y+Z)=n1X+n5(Y+Z)=n1X+Sn2(X+Y+Z)+m1Y
(1−S)n2(X+Y+Z)=n1X+m1Y
従って、n2=(n1X+m1Y)/(1−S)(X+Y+Z) ・・・(4)
(1)と(4)より、n3=(n1X+m1Y)/X+Y ・・・(5)
(2)と(4)より、n4=〔S/(1−S)〕〔(n1X+m1Y)/Z〕・・・(6)
(3)と(4)より、n5=〔m1Y/(Y+Z)〕〔S(n1X+m1Y)/(1−S)(Y+Z)〕 ・・・(7)
Y=αX
Z=βX
n3=(n1X+m1αX)/(1+α)X=(n1+m1α)X/(1+αX)=(n1+m1α)/(1+α)
n4=〔S/(1−S)〕〔(n1X+m1αX)/βX〕=〔S/(1−S)〕〔(n1+m1α)/β〕
n5=m1αX/〔(α+β)X〕+S(n1X+m1Y)/〔(1−S)(α+β)X〕=m1α/(α+β)+S(n1+m1α)/〔(1−S)(α+β)〕
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を上記式に基づく計算例として示す。各例中、%は重量%である。
【0047】
比較例1
図1において、第2の排液を流入させないで、第1の排液を生物処理装置1に供給して生物処理を行い、生物処理液を汚泥濃縮装置2に導入して汚泥を濃縮し、濃縮汚泥を水熱反応装置3で水熱反応により有機物を酸化分解し、水熱反応処理液を生物処理装置1に供給する。上記の処理における各部の無機物濃度、流量比、循環流量比等の値を表1に示す。
【0048】
実施例1
比較例1において、無機物を含まない第2の排液を第1の排液に対する流量比を0.1で供給して処理を行う場合の値を表1に示す。
【0049】
実施例2
実施例1において、第2の排液の流量比を0.5にした場合の値を表1に示す。
【0050】
実施例3
実施例1において、第2の排液の流量比を1にした場合の値を表1に示す。
【0051】
実施例4
実施例1において、第2の排液の流量比を1.5にした場合の値を表1に示す。
【0052】
実施例5
実施例2において、第2の排液の無機物濃度を500ppmとした場合の値を表1に示す。
【0053】
実施例6
実施例2において、第2の排液の無機物濃度を2000ppmとした場合の値を表1に示す。
【0054】
実施例7
実施例2において、第2の排液の無機物濃度を3000ppmとした場合の値を表1に示す。
【0055】
実施例8
実施例7において、流量比を1.5にした場合の値を表1に示す。
【0056】
実施例9
実施例1において、無機物分離率を0.8、循環比を0.2にした場合の値を表1に示す。
【0057】
表1において、第2の排液を供給しない比較例1では水熱反応装置に流入する被反応液の無機物濃度n5は180000ppmとなり、水熱反応装置における摩耗、付着、閉塞のおそれがあるが、第2の排液を供給して併合処理する実施例1〜9では、n5は比較例1の1/2以下となり、摩耗、付着、閉塞等のおそれが軽減されることがわかる。また最終処理液の無機物濃度は各例とも2000ppm前後で放流可能な範囲である。
【0058】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の有機性排液の処理装置のフロー図である。
【符号の説明】
1 生物処理装置
2 汚泥濃縮装置
3 水熱反応装置
11 第1の排液供給路
12 第2の排液供給路
13 移送路
14 最終処理液路
15 濃縮汚泥供給路
16 酸化剤供給路
17 助燃剤供給路
18 水供給路
19 排ガス路
20 水熱反応処理液供給路
【発明の属する技術分野】
本発明は有機性排液を生物処理および水熱反応により処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水等の有機性排液は好気性、嫌気性等の生物処理により処理されている。このような生物処理は低コストでの処理が可能であるが、大量の余剰汚泥が生成し、その処理が困難である。一方、有機性排液の処理方法として水熱反応、特に水の超臨界または亜臨界状態における水熱反応により有機物を酸化分解する方法が注目されている。この方法は高温状態での酸化反応になるため、有機物濃度の高い状態での処理に適している。このため有機性排液を生物処理により処理し、生成する汚泥を固液分離により分離して処理水を排出し、汚泥はさらに濃縮して水熱反応により酸化分解する方法が提案されている(例えば特表平9−502390号)。
【0003】
ところがこのような処理法では有機性排液に含まれる固形物は汚泥側に濃縮されるとともに、分離濃縮に使用される無機および有機凝集剤等も汚泥側に濃縮される。このため濃縮汚泥をそのまま水熱反応により処理すると、反応流体および処理水中に高濃度の無機物が含まれることにより、これらが器壁に付着したり、配管を閉塞したり、あるいは配管・機器を摩耗したりするなどの問題点がある。水熱反応条件では、水に対する無機塩の溶解度が極端に低下する事から、ほとんどの無機物が析出することになり、上記不具合を助長する。
【0004】
濃縮汚泥中の有機高分子濃度が高い場合には炭化物(チャー)が生成して同様に付着、閉塞することがある。水熱反応の前処理として、熱アルカリ処理等による濃縮汚泥の液化処理が行われているが、この場合でも炭化物が生成するほか、無機物量を減少させることはできない。このため水熱反応中あるいは水熱反応後に無機物を除去する工程が必要になり、処理工程が複雑になるという問題点がある。
【0005】
一方、生ごみ等の低含水率の有機廃棄物を湿式酸化処理する際、湿式酸化装置に送るのに適した濃度のスラリーを形成するために、スラリー化水として排水処理装置から汚泥を引き抜いて有機廃棄物と混合破砕してスラリー化し、スラリーを湿式酸化後、気液固分離し、液体を廃水処理装置に送って処理する方法が知られている(特開平11−333414号)。
【0006】
しかしこの方法では、低含水率の有機廃棄物をスラリー化するために汚泥を用いているため、汚泥濃度よりも高い濃度で湿式酸化を行うことになり、湿式酸化により有機物が分解すると高濃度の無機物を含む液が分離する。この液は循環してスラリー化水に用いられるため、無機物の濃縮を繰り返すので、濃縮された無機物を分離して廃棄する必要がある。また湿式酸化は超臨界または亜臨界状態の水熱反応よりも低い温度で酸化を行うため、有機物分解程度が低く、反応生成物は生物処理を阻害するなどの問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、水熱反応工程における無機物およびチャー形成成分等の濃度を低くして無機物あるいは炭化物による器壁の摩耗、器壁への付着および配管等の閉塞を阻止できるとともに、水熱処理における無機物の分離を省略することができ、これにより排出物を処理水と排気に限定して処理を簡素化および効率化することができ、また生物処理可能な有機性排液と生物処理困難な有機性排液をともに処理可能な有機性排液の処理方法および装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は次の有機性排液の処理方法および装置である。
(1) 第1の有機性排液を生物処理する生物処理工程と、
生物処理工程で生成する汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程と、
汚泥濃縮工程から得られる濃縮汚泥およびこの濃縮汚泥より低い無機物濃度の第2の有機性排液を、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物処理工程に供給する水熱反応工程と
を含む有機性排液の処理方法。
(2) 濃縮汚泥と第2の排液を併せた水熱反応工程の被反応物が無機物濃度10重量%以下となるように濃縮汚泥と第2の排液を水熱反応工程に導入して水熱反応を行う上記(1)記載の方法。
(3) 無機物を分離することなく水熱反応処理液を生物処理工程に供給する上記(1)または(2)記載の方法。
(4) 第1および第2の排液が異なる排液である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 第1の有機性排液を導入して生物処理を行う生物処理装置と、
生物処理ユニットで生成する汚泥を濃縮する汚泥濃縮装置と、
汚泥濃縮装置から得られる濃縮汚泥およびこの濃縮汚泥より低い無機物濃度の第2の有機性排液を導入し、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物処理装置に供給する水熱反応装置と
を含む有機性排液の処理装置。
【0009】
本発明において処理の対象となる第1の有機性排液は、生物処理可能な排液であり、生物処理可能な有機物を含む排液があげられる。生物処理可能な有機物を含んでいれば、さらに生物処理困難な有機物および/または無機物を含んでいてもよい。また生物処理可能な有機物を含まない排液でも、生物処理可能な有機物を含む他の排液と混合することにより生物処理が可能となる場合は、混合処理が可能である。生物処理が可能な排液としては下水、し尿、家庭排水、食堂排水、食品製造排水、発酵品製造排水などがあげられる。第1の有機性排液としては有機物濃度50〜10000ppm、好ましくは100〜5000ppmのものが好ましい。
【0010】
本発明において処理の対象となる第2の有機性排液は水熱反応による酸化分解が可能な有機性排液であり、水熱反応による酸化分解可能な有機物が含まれ、濃縮汚泥より低い無機物濃度の排液があげられる。有機物は一般に水熱反応による酸化分解が可能であるが、固形物、高粘性物等が多量に含まれていると炭化する場合があるので、これらを含まない排液、あるいはこれらを除去または破砕した排液を用いるのが好ましい。
【0011】
第2の有機性排液は生物処理可能な有機性排液であってもよいが、生物処理困難な排液でもよい。生物処理可能および困難な両排液が得られれば処理を効率化することができる。例えば生物処理可能な排液を第1の排液とし、生物処理困難な排液を第2の排液として処理を行うと、それぞれに適した処理を行うことができる。生物処理困難な排液としては、含油排水、フェノール含有排水、アルデヒド含有排水などの生物阻害性物質を含む排液があげられるが、生物処理に不向きな濃度とされている有機物濃度50ppm未満または10000ppmを超えるものも第2の排液として使用可能である。生物処理可能な排液としては前記第1の排液について説明したものがあげられる。第1の排液を第2の排液として用いてもよい。第2の排液としては有機物濃度100000ppm以下、好ましくは50〜10000ppm、無機物濃度10重量%以下、好ましくは1重量%以下のものが好ましい。
【0012】
本発明における生物処理工程は、第1の排液を生物処理装置に導入して生物処理を行う。生物処理としては好気性処理、嫌気性処理、これらの組合せなど、一般に有機性排液の生物処理として行われているすべての方法が採用できる。好気性処理としては標準活性汚泥法、オキシデーションディッチ法、回転円板法など、また嫌気性処理としては嫌気性消化法、UASB法、流動床法などがあげられる。生物処理装置としては、上記の方法に一般に採用されている装置が採用可能である。第1の排液は連続的に導入されてもよく、間欠的に導入されてもよい。
【0013】
本発明における汚泥濃縮工程は、上記の生物処理工程で生成する汚泥を汚泥濃縮装置に導入して濃縮し、濃縮汚泥を得る。汚泥濃縮工程は、標準活性汚泥法のように汚泥が処理液と混合した混合液として得られる場合には、汚泥と処理液を分離する固液分離工程のみであってもよく、また分離汚泥をさらに濃縮する工程を含んでいてもよい。
【0014】
汚泥濃縮装置はこのような工程に一般に使用されている装置が採用できるが、完全混合型の好気性処理装置における曝気槽と固液分離槽が一体化している場合のように、生物処理装置またはその一部とともに、汚泥濃縮装置またはその一部が一体化していてもよい。また固液分離とともにさらに分離汚泥の濃縮を行う場合は、両工程を行う装置は単一の装置であってもよく、別の装置であってもよい。後者の場合両装置は一体化していても分離していてもよい。このような汚泥濃縮装置としては沈澱槽、凝集沈澱槽、遠心分離機、濾過機、脱水機、これらの組合せなどが採用できる。
【0015】
汚泥濃縮工程では有機または無機の凝集剤を添加せずに濃縮するのがコスト的には好ましいが、添加して凝集処理を行い濃縮してもよい。汚泥濃縮工程で生成する濃縮汚泥は固形物濃度0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%であるのが好ましい。
【0016】
水熱反応工程では汚泥濃縮工程で生成する濃縮汚泥および第2の排液を水熱反応装置に導入し、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物反応工程に供給する。濃縮汚泥と第2の排液は混合した状態で水熱反応装置に導入するのが好ましいが、別々に導入してもよい。濃縮汚泥と第2の排液の割合はそれぞれの組成に応じて異なるが、両者を混合した被処理物が、有機物濃度1〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、無機物濃度10重量%以下、好ましくは5重量%以下、固形物濃度0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、C/N原子比100以上、好ましくは500以上となるように導入するのが好ましい。上記の割合は定常的な状態を想定した場合の値であり、短期的には上記割合が変化してもよく、またどちらか一方のみが導入されてもよい。
【0017】
水熱反応でいういわゆる水の超臨界状態は温度374℃以上、圧力22MPa以上の状態である。また、いわゆる亜臨界状態は例えば374℃以上かつ圧力2.5MPa以上22MPa未満の場合、あるいは温度374℃未満かつ圧力22MPa以上の状態、あるいは374℃以下圧力22MPa未満であっても水の臨界点に近い高温高圧状態である。
【0018】
水熱反応はこのような温度、圧力条件下に、空気、酸素、過酸化水等の酸化剤を存在させることにより、濃縮汚泥および第2の排液からなる被反応物中の有機物その他の被酸化性物質を酸化する。被反応物に含まれる熱量(有機物量)が少ない場合には灯油、アルコール等の補助燃料を注入して温度、圧力を高くし、熱量が多い場合には水を注入して温度、圧力を低下させて定常状態で反応を行う。
【0019】
水熱反応器としては被反応物としての濃縮汚泥および第2の排液の導入路ならびに酸化剤、補助燃料および水の導入路を備え、超臨界または亜臨界状態で反応を行えるように構成された公知の反応装置を用いることができる。反応器、被反応物供給路、酸化剤供給路等には加熱を行うための加熱装置を設けることができる。
【0020】
上記の各装置はそれぞれに被反応物を供給するための系路、それぞれの装置から次の装置へ処理物を移送するための系路、貯留槽、ポンプ、弁等が設けられ、また各装置の反応状況に応じて反応、操作等の制御を行うため制御装置が設けられる。
【0021】
本発明の処理方法では、第1の排液を生物処理装置に導入して生物処理を行うことにより、第1の排液に含まれる生物処理可能な有機物が分解されて除去される。生物処理困難な排液でも生物処理を続けることにより、分解可能な微生物が出現して生物処理可能になる場合がある。また生物処理困難な排液でも生物処理可能な排液と混合処理することにより生物処理可能になる。従って生物処理困難な排液でも第1の排液として生物処理することもできる。一方水熱反応工程では生物処理困難な排液を処理できるので、生物処理困難な排液を第1の排液として生物処理するか、第2の排液として水熱反応により処理するかは、全体の排液の発生状況に応じて決めることができる。
【0022】
生物処理で生成する汚泥は汚泥濃縮工程において汚泥濃縮装置に導入して濃縮を行う。生物処理特に好気性生物処理では混合液を固液分離して処理液と汚泥に分離する操作が行われるが、汚泥濃縮工程としてこのような操作を行うと汚泥濃縮工程で分離する分離液を処理液として系外に排出し、分離した汚泥は一部を返送汚泥として生物処理工程に返送し、残部の一般に余剰汚泥とされる部分を水熱反応工程に送ることになる。水熱反応工程に送る汚泥はこのような固液分離で分離された汚泥をそのまま濃縮汚泥として送ってもよいが、一般的にはさらに重力分離、凝集分離、濾過分離等により濃縮した濃縮汚泥を送るのが好ましい。
【0023】
水熱反応工程では上記の濃縮汚泥と第2の排液を混合し、あるいは混合することなく反応器に導入して、酸化剤の存在下に超臨界または亜臨界状態で水熱反応工程を行うと、濃縮汚泥および第2の排液に含まれる有機物、その他の被酸化性物質は酸化される。このため水熱反応を行った後の反応流体中には超臨界または亜臨界状態の水、二酸化炭素その他のガスおよび無機物が含まれる。アンモニア性窒素等の窒素の酸化は、反応条件により異なるが、一般に、大部分は窒素ガスになり、他はアンモニア、亜硝酸、あるいは硝酸化合物になる。
【0024】
第2の排液を併合処理しない従来の水熱反応では、反応流体を冷却し、あるいは冷却前に分離して気体、液体、固体に分け、気体は無害な排ガスとして排出し、液体は純粋な水が生成するので、必要により前処理して水を回収し、固体は別途処理していた。このような固体を形成する無機物には第1の排液の種類によって種々のものが含まれるが、反応器等の器壁に付着したり、配管等を閉塞する成分が含まれる場合が多い。
【0025】
超臨界状態ならびに一部の亜臨界状態では、水は液体として存在していないので、無機物その他の水溶性の物質は溶解状態ではなく、固体として粉末状または溶融状で存在する。このため超臨界状態で固体を分離すると、分離は容易であるが、分離した固体を反応器から取り出すのは困難である。
他方、水が液体で存在する一部の亜臨界状態でも、気液界面付近に無機塩、無機酸化物等に由来する無機固形物の濃縮、固着が起こり、それらを除去することは困難であり、また、それらが閉塞、摩耗等のトラブルの原因になる。
【0026】
本発明では濃縮汚泥を第2の排液とともに水熱反応に供するので、濃縮汚泥中の無機物、チャー生成物質等は第2の排液で希釈された状態で反応器に入る。従って両者が混合された被反応物中の無機物およびチャー生成物質等の濃度は低くなり、これにより腐食、チャーの生成、付着、閉塞等が生じなくなる。特に水熱反応工程に入る被処理物が前記の濃度となる場合にはこれが顕著になる。
【0027】
超臨界状態あるいは一部の亜臨界状態で水熱酸化反応を行うと、被反応物中の水は液体でないガス状態あるいは超臨界状態とよばれる状態となり、有機物中の炭素は酸化されて二酸化炭素になり、無機物は酸化された状態で分散する。亜臨界状態の内、高圧で比較的低温の状態では、液体として存在する水に溶解度に対応して無機物が溶解し、過剰分は分散状態で存在する。
【0028】
本発明では超臨界または亜臨界状態で水熱反応を行った後、固体を分離することなくそのまま冷却し、液体状の水に無機物を溶解または分散させる。この状態で気液分離することにより、分離する気体を処理ガスとして系外に排出し、分離液を水熱反応処理液として生物処理工程に送る。
【0029】
本発明では濃縮汚泥と第2の排液を併せた被反応物中の無機物濃度は低くなっているので、水熱反応処理液中の無機物濃度も低くなり、器壁等に対する摩耗、付着、閉塞等が防止される。被反応物中の高分子物質等の濃度も低くなるためチャーの生成も防止される。水熱反応処理液中の無機物が安定な溶解および分散状態を保つように、被反応物の無機物濃度を調整することにより、水熱反応処理液から無機物の沈降が防止されるので、水熱反応処理液から無機物を分離することなく全量を生物処理工程に送ることができる。
【0030】
生物処理工程に水熱反応処理液を導入して第1の排液と混合する。水熱反応処理液に含まれる無機物は第1の排液に希釈されて低濃度となるため、分散安定性はさらに高くなり、生物処理に対する阻害も発生せず、このため効率のよい生物処理が行われる。水熱反応処理液中の無機物のうち可溶性のものは溶解状態を保つ。分散性の無機物は、一部生物処理工程の汚泥中に取り込まれるものもあるが、微細粒子として分散しているため、一部は液中に分散状態を保つ。
【0031】
生物処理工程の処理液を濃縮工程で固液分離する際、水熱反応処理液から持ち込まれた無機物のうち、溶解性の無機物は最終処理液中に溶解した状態で系外に排出される。分散性の無機物は汚泥に取り込まれたものは汚泥とともに水熱反応工程に送られるが、一部は最終処理液中にSSとして分散した状態で系外に排出される。
【0032】
分散性の無機物が汚泥に取り込まれて水熱反応工程に循環すると、分散性の無機物が濃縮されるが、水熱反応で生成する分散性の無機物は簡単な構造の酸化物であって、結晶が成長せず、微粒子状で分散するため、ある割合の部分の分散性無機物は最終処理液中に分散して排出される。このため水熱反応工程へ循環する分散性の無機物は一定の濃度で安定する。従って水熱反応処理液から無機物を分離して除去しなくても、溶解性および分散性の無機物は処理液とともに排出され、無機物の分離工程を省略することができる。
【0033】
無機物の中でも例えばリンのように許容値が設定される無機物が第1および/または第2の排液に含まれる場合には、最終処理液に含まれる値が許容値以下となるように、水熱反応工程における被反応物の有機物濃度、無機物濃度、無機物/有機物(重量比)等を決め、このような被反応物組成とするように濃縮汚泥と第2の排液の導入割合を定める。ここで被反応物の無機物濃度は主として摩耗、付着、閉塞等の防止ならびに最終処理液に流出する無機物量の規制のために設定され、有機物濃度、無機物/有機物(重量比)は主として効率のよい水熱反応を行える熱量を導入するために設定される。
【0034】
本発明においては、生物処理により生成する汚泥を濃縮した濃縮汚泥を第2の排液とともに水熱反応工程に導入することにより、水熱反応工程における無機物濃度を低くして摩耗、付着、閉塞等を防止することができるとともに、処理系からの排出物を処理液と処理ガスに限定し、固体排出物を発生させず、またそのための分離工程を省略することが可能になる。また第1および第2の排液をそれぞれ別の処理方法で処理するため、複数の排液をそれぞれに適した処理方法で処理することができ、効率のよい処理を行うことができる。この場合、それぞれの処理方法における短所を補なって全体の処理を効率のよいものとすることが可能になる。また第2の排液の組成および量を選択することにより、被反応物を水熱反応に適した組成に調整することができ、水熱反応を効率化できるとともに、アンモニア、硝酸等の有害物質の発生を少なくすることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、水熱反応工程における無機物およびチャー形成成分等の濃度を低くして無機物あるいは炭化物による器壁の摩耗、器壁への付着および配管等の閉塞を阻止できるとともに、水熱処理における固形物の分離を省略することができ、これにより排出物を処理水と排気に限定して処理を簡素化および効率化することができ、また生物処理可能な有機性排液と生物処理困難な有機性排液をともに処理可能な有機性排液の処理方法および装置を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は実施形態による有機性排液の処理装置を示すフロー図である。
【0037】
図1において、1は生物処理装置、2は汚泥濃縮装置、3は水熱反応装置である。生物処理装置1は好気性処理、嫌気性処理またはこれらの組合せからなる装置が採用できるが、この実施形態では好気性処理装置が採用されている。汚泥濃縮装置2は生物処理液から汚泥を分離濃縮する装置が採用できるが、実施形態では沈澱分離による固液分離槽と分離汚泥の重力分離による濃縮槽が採用されている。水熱反応装置3は水の超臨界または亜臨界状態で酸化分解を行う構造の反応装置が採用されている。
【0038】
第1の排液供給路11が生物処理装置に連絡し、第2の排液供給路12が水熱反応装置3に連絡している。生物処理装置1から移送路13が汚泥濃縮装置2に連絡している。汚泥濃縮装置2から最終処理液路14が系外に連絡し、濃縮汚泥供給路15が水熱反応装置3に連絡している。水熱反応装置3には酸化剤供給路16、助燃剤供給路17および水供給路18が連絡している。水熱反応装置3から排ガス路19が系外に連絡し、水熱反応処理液路20が生物処理装置1に連絡している。
【0039】
上記の装置による有機排液の処理方法は、第1の排液供給路11から第1の有機性排液を生物処理装置1に供給し、第2の排液供給路12から第2の有機性排液を水熱反応装置3に供給して処理を行う。生物処理装置1ではさらに水熱反応処理液供給路20から水熱反応処理液を導入し、微生物の存在下に処理を行って有機物を分解する。生物処理装置1の生物処理液は移送路13から汚泥濃縮装置2に導入して汚泥の濃縮を行う。ここでは一般的な固液分離により汚泥と分離液に分け、分離液を最終処理液として最終処理液路14から系外に排出する。
【0040】
汚泥は一部を返送汚泥として返送路21から生物処理装置1に返送し、残部を重力式の濃縮装置で濃縮して分離液は返送路21から生物処理装置1に返送する。濃縮汚泥は濃縮汚泥供給路15から水熱反応装置3に供給し、第2の排液とともに水熱反応を行う。この場合、濃縮汚泥と排液2とを同時に水熱反応装置に導入させることを基本とするが、水熱反応に導入される無機物の量そのものを低滅する目的からは、濃縮汚泥と排液2とをある一定間隔で交互に水熱反応装置に供給してもその効果が得られる。水熱反応は酸化剤供給路16から酸化剤を供給して超臨界または亜臨界状態酸化反応を行い、有機物その他の被酸化性物質を分離する。熱量が不足するときは助燃剤供給路17から助燃剤を供給し、熱量が過剰の場合には水供給路18から水を供給して定常状態で水熱反応を行う。水熱反応流体は冷却により処理液と処理ガスに分離される。
【0041】
上記の水熱反応では濃縮汚泥は第2の排液で希釈されて水熱反応に供されるので生成する水熱反応処理液の無機成分濃度が低くなり、摩耗、付着、閉塞等は防止される。また有機物濃度、有機物/無機物(重量比)を調整することにより、助燃剤および水の使用量を少なくして、効率よく水熱反応を行うことができる。そしてC/N原子比を調整することにより、窒素成分を窒素ガスに転換し、アンモニア、硝酸等の生成を少なくすることができる。
【0042】
処理ガスは排液ガス路19から系外に排出され、水熱反応処理液は水熱反応処理液供給路20から生物反応装置1に供給される。水熱反応処理液に含まれる溶解性または分離性の無機物は第1の排液と混合されることにより希釈される。無機物の一部は生物汚泥に取り込まれるが、一部は生物処理液中に溶解または分散し、汚泥濃縮装置2で分離する最終処理液とともに系外に排出される。これにより処理装置内における無機物濃度はほぼ一定に保たれ、無機物の分離、排出は省略することができる。なお、第1の排液を第2の排液として処理する場合は分注路22から第2の排液供給路12に分注して供給する。
【0043】
図1において、第1の排液供給路11における第1の排液の流量をX、無機物濃度をn1とし、第2の排液供給路12における第2の排液の流量Y、無機物濃度をm1とし、移送路13における生物処理液の無機物濃度をn2、最終処理液路14における最終処理液の無機物濃度をn3とし、濃縮汚泥供給路15における濃縮汚泥の流量をZ、無機物濃度をn4とし、水熱反応処理液供給路20における水熱反応処理液の無機物濃度をn5とすると、各部における流量は、図1に示す通りとなる。
【0044】
この場合、水熱反応装置3に入る被処理液の流量および無機物濃度は、水熱反応処理液供給路20の水熱反応処理液の流量Z+Y、および無機物濃度n5と一致する。汚泥濃縮装置2における無機物分離比(n4/n3)をS(ただし0≦S≦1)、第1の排液に対する第2の排液の流量比(Y/X)をα、循環流量比(Z/X)をβとすると以下の式が導かれる。
【0045】
【数1】
n3(X+Y)=(1−S)n2(X+Y+Z)
従って、n3=(1−S)n2(X+Y+Z)/(X+Y) ・・・(1)
n4Z=Sn2(X+Y+Z)
従って、n4=Sn2(X+Y+Z)/Z ・・・(2)
n5(Y+Z)=n4Z+m1Y=Sn2(X+Y+Z)+m1Y
従って、n5=〔Sn2(X+Y+Z)+m1Y〕/(Y+Z) ・・・(3)
n2(X+Y+Z)=n1X+n5(Y+Z)=n1X+Sn2(X+Y+Z)+m1Y
(1−S)n2(X+Y+Z)=n1X+m1Y
従って、n2=(n1X+m1Y)/(1−S)(X+Y+Z) ・・・(4)
(1)と(4)より、n3=(n1X+m1Y)/X+Y ・・・(5)
(2)と(4)より、n4=〔S/(1−S)〕〔(n1X+m1Y)/Z〕・・・(6)
(3)と(4)より、n5=〔m1Y/(Y+Z)〕〔S(n1X+m1Y)/(1−S)(Y+Z)〕 ・・・(7)
Y=αX
Z=βX
n3=(n1X+m1αX)/(1+α)X=(n1+m1α)X/(1+αX)=(n1+m1α)/(1+α)
n4=〔S/(1−S)〕〔(n1X+m1αX)/βX〕=〔S/(1−S)〕〔(n1+m1α)/β〕
n5=m1αX/〔(α+β)X〕+S(n1X+m1Y)/〔(1−S)(α+β)X〕=m1α/(α+β)+S(n1+m1α)/〔(1−S)(α+β)〕
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を上記式に基づく計算例として示す。各例中、%は重量%である。
【0047】
比較例1
図1において、第2の排液を流入させないで、第1の排液を生物処理装置1に供給して生物処理を行い、生物処理液を汚泥濃縮装置2に導入して汚泥を濃縮し、濃縮汚泥を水熱反応装置3で水熱反応により有機物を酸化分解し、水熱反応処理液を生物処理装置1に供給する。上記の処理における各部の無機物濃度、流量比、循環流量比等の値を表1に示す。
【0048】
実施例1
比較例1において、無機物を含まない第2の排液を第1の排液に対する流量比を0.1で供給して処理を行う場合の値を表1に示す。
【0049】
実施例2
実施例1において、第2の排液の流量比を0.5にした場合の値を表1に示す。
【0050】
実施例3
実施例1において、第2の排液の流量比を1にした場合の値を表1に示す。
【0051】
実施例4
実施例1において、第2の排液の流量比を1.5にした場合の値を表1に示す。
【0052】
実施例5
実施例2において、第2の排液の無機物濃度を500ppmとした場合の値を表1に示す。
【0053】
実施例6
実施例2において、第2の排液の無機物濃度を2000ppmとした場合の値を表1に示す。
【0054】
実施例7
実施例2において、第2の排液の無機物濃度を3000ppmとした場合の値を表1に示す。
【0055】
実施例8
実施例7において、流量比を1.5にした場合の値を表1に示す。
【0056】
実施例9
実施例1において、無機物分離率を0.8、循環比を0.2にした場合の値を表1に示す。
【0057】
表1において、第2の排液を供給しない比較例1では水熱反応装置に流入する被反応液の無機物濃度n5は180000ppmとなり、水熱反応装置における摩耗、付着、閉塞のおそれがあるが、第2の排液を供給して併合処理する実施例1〜9では、n5は比較例1の1/2以下となり、摩耗、付着、閉塞等のおそれが軽減されることがわかる。また最終処理液の無機物濃度は各例とも2000ppm前後で放流可能な範囲である。
【0058】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の有機性排液の処理装置のフロー図である。
【符号の説明】
1 生物処理装置
2 汚泥濃縮装置
3 水熱反応装置
11 第1の排液供給路
12 第2の排液供給路
13 移送路
14 最終処理液路
15 濃縮汚泥供給路
16 酸化剤供給路
17 助燃剤供給路
18 水供給路
19 排ガス路
20 水熱反応処理液供給路
Claims (5)
- 第1の有機性排液を生物処理する生物処理工程と、
生物処理工程で生成する汚泥を濃縮する汚泥濃縮工程と、
汚泥濃縮工程から得られる濃縮汚泥およびこの濃縮汚泥より低い無機物濃度の第2の有機性排液を、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物処理工程に供給する水熱反応工程と
を含む有機性排液の処理方法。 - 濃縮汚泥と第2の排液を併せた水熱反応工程の被反応物が無機物濃度10重量%以下となるように濃縮汚泥と第2の排液を水熱反応工程に導入して水熱反応を行う請求項1記載の方法。
- 無機物を分離することなく水熱反応処理液を生物処理工程に供給する請求項1または2記載の方法。
- 第1および第2の排液が異なる排液である請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 第1の有機性排液を導入して生物処理を行う生物処理装置と、
生物処理ユニットで生成する汚泥を濃縮する汚泥濃縮装置と、
汚泥濃縮装置から得られる濃縮汚泥およびこの濃縮汚泥より低い無機物濃度の第2の有機性排液を導入し、水の超臨界または亜臨界状態で水熱反応により酸化分解を行い、水熱反応処理液を生物処理装置に供給する水熱反応装置と
を含む有機性排液の処理装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002204778A JP2004041974A (ja) | 2002-07-12 | 2002-07-12 | 有機性排液の処理方法および装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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NL1034066C2 (nl) | 2006-06-29 | 2009-03-24 | Ge Med Sys Global Tech Co Llc | Röntgen-CT-apparatuur. |
CN113634200A (zh) * | 2021-08-17 | 2021-11-12 | 南京大学 | 一种固定床水热气化反应器及应用 |
CN113683267A (zh) * | 2021-09-11 | 2021-11-23 | 成都九翼环保科技有限公司 | 一种针对高浓度难降解兰炭废水的处理系统及处理方法 |
CN115124210A (zh) * | 2022-07-26 | 2022-09-30 | 内蒙古大学 | 基于热碱水解耦合酸催化水热炭化实现污泥类有机固体废物制备高碳低灰功能碳材料的方法 |
-
2002
- 2002-07-12 JP JP2002204778A patent/JP2004041974A/ja active Pending
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