JPH1186258A - 磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録媒体

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JPH1186258A
JPH1186258A JP21537297A JP21537297A JPH1186258A JP H1186258 A JPH1186258 A JP H1186258A JP 21537297 A JP21537297 A JP 21537297A JP 21537297 A JP21537297 A JP 21537297A JP H1186258 A JPH1186258 A JP H1186258A
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magnetic
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magnetic recording
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Masahiro Kawashima
雅博 川島
Hideo Okada
英夫 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来法では除去が困難であった保護膜上の異
物を、磁気ディスクに傷等の欠陥を生じることなく効果
的に除去すると共に、保護膜と潤滑剤層との結合力をも
向上させる。 【解決手段】 非磁性基板上に磁性層を形成し、この上
に保護膜を成膜した後、波長300nm以下の低波長レ
ーザを保護膜表面に照射して表面の異物を除去する磁気
記録媒体の製造方法。保護膜の表面に筋状の表面傷が実
質的に存在せず、80℃、相対湿度85%において2週
間の腐食促進テスト後の特性低下率が10%以下である
磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体の製造
方法及び磁気記録媒体に関し、詳しくは、磁気ディスク
ドライブ等に使用される磁気ディスク等の磁気記録媒体
の製造方法及び磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ等の情報処理技術の
発達に伴い、その外部記憶装置として磁気ディスク等の
磁気記録媒体が用いられている。従来、磁気記録媒体と
しては、アルミニウム合金基板にアルマイト処理やNi
−Pメッキ等の非磁性メッキ処理を施した非磁性基板
に、Cr等の下地層を被覆し、次いで、Co系合金の磁
性薄膜層を被覆し、更に炭素質の保護膜を成膜したもの
が使用されている。なお、この保護膜上には、通常、液
体又は固体の潤滑剤よりなる潤滑剤層が設けられる。潤
滑剤層はヘッドとディスクとの潤滑性を高める他、保護
膜への不純物等の進入を防止し、結果として耐久性の向
上に寄与する。
【0003】磁気記録媒体(以下、磁気ディスクと称
す。)では、ディスクドライブに装着して高速で回転さ
せた磁気ヘッドを浮上させ、この磁気ヘッドを介して磁
気ディスクへの情報の書き込み/読み出しを行う。
【0004】近年、磁気ディスクの高記録密度化の要求
に伴い、磁気ディスクはその線記録密度及びトラック密
度が高くなり、1ビット当たりの面積が小さくなってい
る。このような高記録密度下で良好な磁気記録再生を行
うためには、磁気ヘッドと磁気ディスクとの浮上量を記
録密度の向上に併せて小さくする必要がある。
【0005】通常、磁気ディスクは、磁気特性の制御や
ヘッドとディスクの吸着防止等の目的で、その表面に機
械研磨による加工痕、いわゆるテキスチャ(以下、機械
的テキスチャということがある。)が施される。この機
械的テキスチャにおいては、近年の記録容量増大に伴っ
て磁気ヘッドとのスペーシングロスを低減する目的で微
粒子砥粒が用いられるようになってきている。
【0006】更に、保護膜の成膜時には、カーボン等の
保護膜材料を主体とする異物が磁気ディスク表面に付着
するため、これらの異物を除去して、磁気ディスクの、
特にデータ記録領域における表面を平滑に仕上げること
により、信号特性の向上を図るべく、研磨テープ等を用
いる洗浄プロセスで異物の除去処理が行われている。
【0007】ところで、近年、ディスクドライブ装置の
進歩に伴い、磁気ディスクの回転数も10000rpm
程度まで上昇しているが、このような高速回転下の使用
においては、保護膜上に設けられる潤滑剤層と保護膜と
の結合力が強く、両層が剥離し難いことが重要となる。
【0008】また、記録密度の向上に従ってヘッドの浮
上高さも低下しつつあり、潤滑剤層とヘッドスライダの
距離も小さくなっている。そのため、データ記録領域上
でヘッドと潤滑剤層との間の圧力が低下し、潤滑剤がヘ
ッドスライダ側に付着する。この付着量は潤滑剤と保護
膜との固着強度によって変化し、固着強度が高いほど付
着量も少ない。
【0009】一方、ヘッドスライダに付着した潤滑剤は
ディスクの回転数が減少したとき、ヘッドスライダと磁
気ディスク間の圧力の回復により磁気ディスク側に戻
る。このディスク回転数が減少するのは、ヘッドがCS
S(コンタクトスタートアンドストップ)領域に存在す
るときであるから、結果として、データ記録領域にある
潤滑剤がCSS領域に移送されることになる。このた
め、CSS領域の潤滑剤層厚みが徐々に増加し、最終的
にはCSS領域でヘッドがスティッキングを起こす原因
となる。
【0010】このようなことから、潤滑剤層と保護膜と
の接着強度が十分に高いことが望まれるが、一般に、保
護膜材料と潤滑剤との結合力は弱いため、保護膜と潤滑
剤層との結合力の向上を目的として、潤滑剤層を設けた
後熱処理する方法や、保護膜表面の紫外線照射や、コロ
ナ放電等によりボンバード処理することで、保護膜表面
の活性化を図る方法などが提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来行われている研磨
テープ等による機械的研磨による保護膜上の異物の除去
処理では、保護膜に付着した微少な異物や保護膜に食い
込んだ異物は除去できない。このように除去できない異
物が製品としての磁気ディスク表面に残留すると、ヘッ
ドと接触してヘッドクラッシュの原因になったり、ヘッ
ドとの衝突の衝撃でディスクの薄膜が剥離したりする。
また、研磨テープ中の研磨粉によって保護膜や磁性層上
に傷が入ることもあり、これにより、磁気記録特性等に
問題を生じることがある。このため、このような不具合
のない、より効果的な異物除去技術の開発が望まれてい
る。
【0012】また、従来の磁気ディスクでは、保護膜と
潤滑剤層との結合力が十分ではない。この結合力の向上
を目的として、保護膜表面の活性化処理を施すことなど
が提案されているが、これらの処理を行っても十分な結
合力が得られず、また、活性化処理により保護膜の内部
まで損傷して耐久性が低下する等の問題も生じていた。
【0013】本発明は上記従来の問題点を解決し、従来
法では除去が困難であった保護膜上の異物を、磁気ディ
スクに傷等の欠陥を生じることなく効果的に除去すると
共に、保護膜と潤滑剤層との結合力をも向上させること
ができる磁気記録媒体の製造方法及びこのような方法で
製造された高耐久性、高磁気特性の磁気記録媒体を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
製造方法は、非磁性基板上に磁性層を形成し、該磁性層
上に保護膜を成膜する磁気記録媒体の製造方法におい
て、成膜された保護膜の表面に波長300nm以下の低
波長レーザを照射することを特徴とする。
【0015】本発明の磁気記録媒体の製造方法はまた、
非磁性基板上に、必要により下地層及び/又は中間層を
介して、磁性層を有する磁気記録媒体であって、磁性層
上に炭素質保護膜を成膜した後、波長300nm以下の
レーザを炭素質保護膜の所定範囲に照射した後、潤滑剤
層を設けることを特徴とする。
【0016】保護膜の成膜後、保護膜表面に低波長レー
ザを照射することにより、保護膜表面の微少な異物や保
護膜に食い込んだ異物等を効果的に除去することができ
る。即ち、保護膜の表面に低波長レーザを照射すると、
保護膜の極表面が急速に熱膨張し、この時の加速度によ
り、ディスク表面に付着している異物(無機物ないし有
機物、その他砥粒等)が飛ばされる。この低波長レーザ
による処理は、磁気ディスクに機械的な力を付与するも
のではないので、低波長レーザ照射により磁気ディスク
が劣化ないし損傷することはない。
【0017】また、低波長レーザの照射により、保護膜
の極表面のみが改質され、保護膜と潤滑剤層との結合力
が向上する。この場合においても、従来の表面処理と異
なり、保護膜は、その極表面のみが改質されるため、損
傷、劣化を受けることはない。
【0018】本発明において、低波長レーザの波長は2
50nm以下で、その照射面強度は60〜500mJ/
cm2 であることが好ましい。
【0019】また、保護膜としては、炭素質保護膜、特
に、水素及び/又は窒素を含む炭素質保護膜が好まし
く、その厚さは100Å以下であることが好ましい。
【0020】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板上に
磁性層が形成され、該磁性層上に保護膜が成膜されてな
る磁気記録媒体において、該保護膜の表面に筋状の表面
傷が実質的に存在せず、80℃、相対湿度85%におい
て2週間の腐食促進テスト後の特性低下率が10%以下
であることを特徴とするものであり、このような磁気記
録媒体は、本発明の磁気記録媒体の製造方法により容易
に製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0022】まず、本発明における低波長レーザ照射に
よる異物の除去処理について説明する。
【0023】本発明においては、アルミニウム合金基
板、セラミック基板、ガラス基板等の非磁性基板に必要
に応じて下地層の形成及びテキスチャ加工を施した後、
磁性層を形成し、この上に保護膜を成膜する。そして、
成膜された保護膜表面に低波長レーザを照射する。
【0024】本発明において、この低波長レーザは、波
長300nm以下、好ましくは250nm以下のもので
あれば、任意のものを用いることができる。この低波長
レーザの波長が長いと保護膜の極表面だけでなく、ディ
スクの内部まで加熱されてしまい、前述の急速な熱膨張
による異物の除去効果が十分に得られない。低波長レー
ザの波長が過度に短いものは、真空中で処理する必要が
あり、工業的プロセスとして処理が煩雑となる。従っ
て、保護膜の極表面のみを加熱することができ、しかも
空気中で使用可能な波長250nm程度の低波長レー
ザ、具体的にはエキシマレーザを用いるのが好ましい。
【0025】低波長レーザの照射は、保護膜の極表面を
短時間で温度上昇させるために、短時間の照射が望まし
く、このため、パルスレーザや連続発振レーザーと高速
オン・オフが可能なシャッター等を組み合わせた照射装
置を用いて行うのが望ましい。
【0026】具体的には、非磁性基板上にNiP等の非
磁性下地層を設けた後、磁性層及び、保護膜を成膜した
磁気ディスク基板を回転させながら、その表面に円周方
向に沿って、出力を精度良く制御したパルスレーザ等を
照射する方法、或いは、ディスク基板を回転する代わり
にパルスレーザを静止したディスク基板上に走査させる
方法などが挙げられる。
【0027】低波長レーザの照射条件としては、次のよ
うな条件が好ましく、このような低波長レーザ照射によ
る処理時間は、レーザ強度及びレーザ照射時間、ディス
ク基板とレーザスポットとの相対線速度、等を調整する
ことにより制御される。
【0028】 レーザ照射面強度:10〜500mJ/cm2 照射パルス数 :5〜10000回/照射面 周波数 :10〜300Hz レーザスポット径:5〜400mm ディスク基板とレーザスポットとの相対線速度:0.8
〜15m/sec レーザ強度が過度に小さいと、温度上昇が瞬時に起こら
ず、熱膨張がゆっくりと進み、異物を飛ばすに十分な加
速度が得られないために、本発明による異物除去効果が
十分に得られないが、レーザ強度が過度に大きいと瞬間
的に磁気特性に影響を及ぼす温度にまで温度上昇が起き
るため、レーザ強度は10〜500mJ/cm2 ,特に
60〜500mJ/cm2 、とりわけ60〜150mJ
/cm2の範囲が好ましい。
【0029】また、レーザ強度が小さくても、温度の上
昇、降下による膨張、収縮の繰り返しによる応力で、保
護膜等が損傷する恐れがあるため、パルス数は少ないこ
とが望ましく、5〜10000回、特に1〜100回、
とりわけ1〜50回が好ましい。
【0030】レーザのスポット径は、スポット内のエネ
ルギー分布に大きな差ができない範囲であることが好ま
しく、5〜40mm、特に10〜30mmが好ましい。
このレーザのスポット径は、対物レンズの開口率を変え
たり、金属製のマスクを設置することなどにより増減す
ることができる。
【0031】ディスク基板の回転或いは、レーザの走査
速度が遅く、ディスク基板とレーザスポットの相対線速
度が遅いと、温度上昇が瞬時に起こらず、熱膨張がゆっ
くりと起こるため、表面の異物を飛ばすために十分な加
速度が得られない。この相対線速度は0.8〜15m/
secとするのが好ましい。
【0032】なお、保護膜上から低波長レーザによるエ
ネルギーを付与した際に、アルミニウム基板等の非磁性
基板,NiP等の下地層及び磁性層と保護膜の主成分で
ある炭素等の熱膨張係数が異なるために、保護膜が過度
に厚いとこの熱膨張係数の差で生じる応力に追随できな
くなる。そして、熱膨張係数の小さい保護膜に応力集中
が起こり、保護膜自体のひび割れ等の欠陥が生じる。従
って、本発明において、保護膜の厚さは100Å以下と
するのが好ましい。この応力割れ及び保護膜による保護
効果を考慮した場合、より好ましい保護膜の厚さは30
〜80Åである。
【0033】本発明において、低波長レーザのレーザビ
ームは、保護膜表面に対して垂直となるように照射して
も良く、斜め方向から、入射角(保護膜表面とレーザビ
ームとの角度)30〜60°程度で照射しても良い。レ
ーザビームを斜め方向から照射した場合には、照射領域
を広くでき、また、照射ビームから光源を保護すること
ができ、好ましい。
【0034】また、本発明においては、この低波長レー
ザ照射による異物除去処理に当り、レーザ照射領域近傍
に排気ダクトを設け、排気ダクトよりレーザ照射領域を
排気して、レーザ照射により保護膜表面から飛ばされた
異物を吸引して、除去した異物の保護膜表面への再付着
を防止するのが好ましい。また、この場合、排気と接触
する箇所にイオナイザーを設け、保護膜表面から飛ばさ
れた異物の荷電粒子の荷電を中和することにより、より
一層効果的に異物の再付着を防止することができる。
【0035】次に、このような低波長レーザ照射による
異物除去処理を行って磁気記録媒体を製造する方法を説
明する。
【0036】本発明において、非磁性基板としては、セ
ラミック基板やガラス基板やアルミニウム合金基板、シ
リコン基板、チタン基板等の金属基板、カーボン基板、
樹脂基板等を任意に用いることもできる。これらの基板
には、必要に応じて、非磁性の下地層を設けることがで
きる。この場合、下地層としては、NiP合金層が好ま
しく、通常、無電解メッキ法又はスパッタリング法によ
り形成される。下地層の厚みは、好ましくは50〜2
0,000nm、特に好ましくは100〜15,000
nmである。
【0037】下地層の上には磁性層が形成されるが、磁
性層の形成に先立ち、Cr層又はCu層等の中間層を磁
性層と下地層との間に設けるのが好ましく、この場合、
中間層の膜厚は、通常20〜200nm、好ましくは5
0〜100nmである。
【0038】磁性層は、基板又は下地層又は中間層の上
に、CoNiCr、CoNiPt、CoNiCrPt、
CoCrTa、CoCrTaPt、CoCrPt、Co
NiCrBTa等の強磁性合金薄膜を無電解メッキ、電
気メッキ、スパッタリング、蒸着等の方法によって成膜
することにより形成される。磁性層は単層構造でも多層
構造でも良い。磁性層の膜厚は、通常、30〜70nm
程度である。
【0039】なお、この磁性層の形成に先立ち、通常、
テキスチャ加工が施される。テキスチャ加工としては、
微少砥粒を用いて機械的に表面を研磨したり、レーザ等
のエネルギービームを照射して突起を設けたり、スパッ
タリングやエッチングにより表面に凹凸を設ける等、種
々の方法が提案されている。本発明の製造方法におい
て、テキスチャ加工の方法に制限はないが、微少でかつ
精度の高い加工痕を形成できる方法が好ましい。
【0040】データ記録領域の磁性層表面に突起を形成
した後は、保護膜を成膜する。保護膜としては蒸着、ス
パッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティン
グ、湿式法等の方法により、炭素膜、水素化カーボン
膜、TiC、SiC等の炭化物膜、SiN、TiN等の
窒化膜等、SiO、AlO、ZrO等の酸化物膜等が成
膜される。これらのうち特に好ましくは、炭素膜、水素
化カーボン膜、窒素化カーボン膜、水素化窒素化カーボ
ン膜が挙げられる。前述の如く、保護膜の厚さは100
Å以下、特に30〜80Åであることが好ましい。
【0041】保護膜上に設ける潤滑剤層としては、パー
フルオロポリエーテル系、ポリフェノキシトリフォスフ
ァゼン系等、通常用いられる固体又は液体の潤滑剤を用
いることができる。潤滑剤層を設ける方法も任意であ
り、ディップ、スピンコート等が挙げられる。潤滑剤層
の厚みは80Å以下、特に10〜50Å、とりわけ10
〜20Åが好ましい。
【0042】このような本発明の磁気記録媒体の製造方
法によれば、保護膜の表面に筋状の表面傷が実質的に存
在せず、80℃、相対湿度85%において2週間の腐食
促進テスト後の特性低下率が10%以下である、高耐久
性、高磁気特性の磁気ディスクが提供される。即ち、本
発明では、従来法とは異なり、低波長レーザ照射により
機械的な力を加えることなく、保護膜表面の異物を除去
すると共に、保護膜表面を改質するため、保護膜表面に
従来の研磨処理の場合のような筋状の表面傷が生じるこ
とはない。そして、このように筋状の表面傷が存在しな
いことから、上記腐食促進テスト後の特性低下率が10
%以下という、高耐久性、高磁気特性の磁気ディスクと
なる。
【0043】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0044】実施例1 無電解メッキ法によりNiPメッキ被覆した直径95m
mのアルミニウム合金基板を、0.3μmの多結晶ダイ
ヤモンド粒子を含む研磨液を用いて表面粗さRaが1n
mになるように表面研磨した。次いで、CSS領域に対
してエネルギービームを照射し、平均密度20000個
/mm2 、平均突起高さ30±4nmの突起を設けた。
【0045】この基板に、スパッタリング法でCoNi
Crを主体とした磁性層を成膜した。その後、スパッタ
法で、水素ガスを導入させることにより厚さ100Åの
水素化カーボン保護膜を成膜した。次に、KrFエキシ
マレーザ(248nm)を用いて、基板表面全体を照射
面強度100mJ/cm2 、30パルス/面、20H
z、レーザスポット径10×20mm、1パルス当たり
23nsecの照射時間の条件で照射した。
【0046】照射後、保護膜の表面を光学顕微鏡(倍率
1600倍)で観察し、表面に残った異物の数を測定し
た。また、保護膜表面の筋状の表面傷や、ひび割れ等の
表面欠陥を調べ、下記基準で評価した。
【0047】 ○:筋状の表面傷やひび割れ全くなし。 △:表面欠陥のために部分的に光沢が変化していた。 ×:表面欠陥のために全面的に光沢が変化していた。 なお、保護膜の厚さはエリプスメータを用いて測定し
た。
【0048】その後、パーフルオロポリエーテルからな
る、厚みが15Åの潤滑剤層を設けて磁気ディスクを得
た。
【0049】得られた磁気ディスクの保護膜と潤滑剤層
との結合力を調べるために、この磁気ディスクを回転さ
せ、その表面に、20g/cmの張力で張った不織布
に、ダイス状のスリットから、40リットル/分の流量
でクリーンエアーを吹き出すことにより押しつけながら
ディスク最外周から最内周まで半径方向に移動させ、全
面を不織布で拭う動作を100回繰り返した後、処理後
のCSS領域における潤滑剤層の厚さをエリプスメータ
を用いて測定した。
【0050】また、80℃、相対湿度85%において2
週間の腐食促進テストを行い、テスト後の特性低下率を
振動型磁気メータ(VSM)を用いて5KOeの磁界を
印加することにより調べた。
【0051】以下の結果を表1に示す。
【0052】実施例2〜8,比較例1〜5 保護膜厚さ又はレーザ照射条件を表1に示す条件に変更
したこと以外は実施例1と同様にして磁気ディスクを製
造し、同様にその試験を行い結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】表1より明らかなように、本発明によれ
ば、保護膜の異物を効果的に除去することができると共
に、保護膜と潤滑剤層との結合力も向上し、高耐久性か
つ高磁気特性の磁気記録媒体が提供される。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、従
来法では除去が困難であった保護膜上の異物を、磁気デ
ィスクに傷等の欠陥を生じることなく効果的に除去する
と共に、保護膜と潤滑剤層との結合力をも向上させるこ
とができ、高耐久性で高磁気特性の磁気記録媒体が提供
される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に磁性層を形成し、該磁性
    層上に保護膜を成膜する磁気記録媒体の製造方法におい
    て、成膜された保護膜の表面に波長300nm以下の低
    波長レーザを照射することを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 非磁性基板上に、必要により下地層及び
    /又は中間層を介して、磁性層を有する磁気記録媒体で
    あって、磁性層上に炭素質保護膜を成膜した後、波長3
    00nm以下のレーザを炭素質保護膜の所定範囲に照射
    した後、潤滑剤層を設けることを特徴とする磁気記録媒
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の方法において、該低波
    長レーザの波長が250nm以下であることを特徴とす
    る磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項の方法
    において、該保護膜の厚さが100Å以下であることを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、3及び4のいずれか1項の方
    法において、該保護膜が炭素質保護膜であることを特徴
    とする磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2又は5の方法において、該炭素
    質保護膜が水素及び/又は窒素を含有することを特徴と
    する磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項の方法
    において、該低波長レーザの照射面強度が60〜500
    mJ/cm2 であることを特徴とする磁気記録媒体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 非磁性基板上に磁性層が形成され、該磁
    性層上に保護膜が成膜されてなる磁気記録媒体におい
    て、該保護膜の表面に筋状の表面傷が実質的に存在せ
    ず、80℃、相対湿度85%において2週間の腐食促進
    テスト後の特性低下率が10%以下であることを特徴と
    する磁気記録媒体。
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