JPH11857A - 磁力線ビーム加工装置 - Google Patents

磁力線ビーム加工装置

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JPH11857A
JPH11857A JP32783097A JP32783097A JPH11857A JP H11857 A JPH11857 A JP H11857A JP 32783097 A JP32783097 A JP 32783097A JP 32783097 A JP32783097 A JP 32783097A JP H11857 A JPH11857 A JP H11857A
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JP
Japan
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magnetic
work
magnetic field
processing apparatus
beam processing
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Application number
JP32783097A
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English (en)
Inventor
Takeo Suzumura
進村武男
Yoshinori Shinpo
新保義憲
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KYOEI DENKO KK
Original Assignee
KYOEI DENKO KK
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】外面に狭幅のスリットを有するワークに対して
高精度かつ効率良くワークの表面のバリ取り、研磨及び
洗浄等の加工を行う。 【解決手段】振動発生機構22に連結された磁極ユニッ
ト23と、該磁極ユニットに間隔をもって配置された少
なくとも一対の磁極3、4と、一対の磁極間に挿入され
磁気ブラシ5を形成する磁気研磨材と、該磁気ブラシ中
に保持装置により保持される非磁性体からなるワーク1
と、該ワークの外面に形成された狭幅のスリット1f
と、前記ワークの内部に形成された開口部1e又は孔1
dとを備え、前記振動発生機構により磁気ブラシに振動
を発生させワークの表面を加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミ、ステンレ
ス、合成樹脂等の非磁性体からなる精密部品の製造に適
用され、特に、外面から内部にかけて幅の狭いスリット
を有するワークの表面のバリ取り、研磨及び洗浄等の加
工を行う磁力線ビーム加工装置に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミ等の非磁性体からなる精密
部品の内部や手の届かない面のバリ取り作業は困難を極
めている。例えば、アルミ部品はダイキャスト成形か押
し出し成形又は引き抜き成形で作られているが、ダイキ
ャスト成形は、バリは少ないが「す」ができやすく、低
品質の部品にしか用いられない。従って、コンピュータ
用のハードディスクドライブ(HDD)の磁気ヘッド用
キャリッジ部材のようにミクロンオーダーの加工精度を
必要する精密部品は、バリの発生が多いことは判ってい
ても押し出し成形か引き抜き成形により形成したブロッ
クを切削加工する方法が多くなっている。
【0003】図14は、上記ヘッドアーム部材の斜視図
を示し、キャリッジ部材1は、基部1aと、この基部1
aから平行に延びるように櫛状に切削加工された複数の
プレート部(アーム部)1bとを備え、プレート部1b
間に多数のスリット1fが形成された構造になってい
る。前記基部1aには支持軸孔1cが形成されるととも
に、平面視で略三角形状に形成された各プレート部1b
の先端部には、磁気ヘッドを取りつけるためのヘッド取
付孔1dと、プレート部1bの軽量化のための開口1e
とが切削加工により形成されている。そして、複数のア
ーム部1bがHDDの複数のディスク間に張り出すよう
に移動し磁気ヘッドがディスクの情報を読み取るように
構成される。各プレート部1bの外周や、孔1c、1
d、開口1eの角部には切削によりバリが発生するの
で、このまま組み立てるとバリがディスクに接触してデ
ィスク面を傷を付けたり、ディスクとヘッドの間にバリ
が挟まったり、切削屑がディスク上に落下してディスク
やヘッドが破損してしまうという問題があるため、各部
のバリ取り及び面取りを確実に行う必要がある。さら
に、その後のハードディスク組立工程においてプレート
部1bに被膜や異物が付着してしまう場合もあり、この
ような被膜や異物も確実に洗浄除去する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たキャリッジ部材1の場合、櫛状のプレート部1bの内
部の孔1c、1dや開口1eの角部に発生するバリ取り
は、加工工具が内部に入り込めないため自動化が困難で
あり、多くの人手をかけてブラシがけを行わざるを得
ず、単なる仕上げ処理のために多大な加工コストをかけ
ているのが現状である。また、人手を使っての手作業の
バリ取り方法においても、複雑に構成された上記キャリ
ッジ部材1の内部に対しては加工処理が不可能な場合が
あり、このためにキャリッジ部材1の構造を簡単なもの
に変更せざるを得ないことから、キャリッジ部材1の小
型化、軽量化を妨げているという問題を有している。こ
のような状況は、上記キャリッジ部材1のみならず、外
面に幅の狭いスリットを有し内部に開口部又は孔を有す
る精密部品の表面加工或は表面処理を行う場合にも存在
し、種々の製品の製造の可能性を妨げているという問題
を有している。
【0005】さらに、このバリ取りに対して電解研磨や
ショット掛け、或は超音波研磨等の方法を採用すること
も考えられるが、ミクロン精度で作られている部品の元
の形状を崩してしまうという問題を有している。
【0006】一方、磁界内でワーク(加工対象物)を研
磨処理する技術は、例えば特公昭57−1389号公報
により知られている。しかしながら、この方式はワーク
が非磁性体の場合を考慮しておらず強磁性研磨材を用い
るため、アルミ等の比較的柔らかいワークの表面を傷つ
けてしまうという問題を有し、また、強磁性研磨材の中
でワーク側を振動させるため、ワークに強い力が作用し
ワークを保持することが困難であるという問題を有し、
特に大量のワークを自動加工する場合にワークを着脱自
在でかつ強力に保持するための装置が困難であるという
問題を有している。さらに、図14に示したキャリッジ
部材1を研磨しようとする場合、前記方式は、ワークを
単に上下方向に振動させる方式のため、櫛状のプレート
部1bの内部の孔1c、1dや開口1eの角部に発生す
るバリ取りは困難であるという問題を有している。
【0007】本発明は上記従来の問題を解決するもので
あって、その第1の目的は、ワークを非磁性体に限定し
た場合に、磁力線がX線と同様にワーク内部を自由に通
過し、この透過した磁力線に磁気ブラシを保持させて磁
気力をワークに作用させることができることに着目し、
外面から内部にかけて狭幅のスリットを有するワークに
対して、高精度かつ効率良くワークの表面のバリ取り、
研磨及び洗浄等の加工を行うことができ、しかも自動化
が容易な磁力線ビーム加工装置を提供することであり、
また、第2の目的は、ワーク内部の加工すべき箇所に狙
いを定めてワークの表面のバリ取り、研磨及び洗浄を高
精度かつ効率良く行うことができる磁力線ビーム加工装
置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の請求項1記載の磁力線ビーム加工装置は、振
動発生機構22に連結された磁極ユニット23と、該磁
極ユニットに間隔をもって配置された少なくとも一対の
磁極3、4と、一対の磁極間に挿入され磁気ブラシ5を
形成する磁気研磨材と、該磁気ブラシ中に保持装置によ
り保持される非磁性体からなるワーク1と、該ワークの
外面に形成された狭幅のスリット1fと、前記ワークの
内部に形成された開口部1e又は孔1dとを備え、前記
振動発生機構により磁気ブラシに振動を発生させワーク
の表面を加工することを特徴とし、また、請求項2記載
の発明は、請求項1において、上記振動発生機構22
は、電動モータ21に連結された回転軸26と、該回転
軸に固定された偏心カム27と、該偏心カムにベアリン
グ19を介して装着された作動プレート28と、該作動
プレートと上記磁極ユニット23間に連結された摺動ロ
ッド29とを備えたことを特徴とし、また、請求項3記
載の発明は、請求項1において、上記振動発生機構22
は、電動モータ21に連結された回転軸26と、該回転
軸に固定された偏心カム27と、該偏心カムの両側にこ
れに当接するように配設された作動ローラ61と、該作
動ローラを弾性リング59を介して支持するローラ支持
部材56とを備え、該ローラ支持部材を磁極ユニット2
3を固定する基台30に固定したことを特徴とし、ま
た、請求項4記載の発明は、請求項1において、上記振
動発生機構22は、電動モータ21に連結された回転軸
26と、該回転軸に固定された偏心カム70と、該偏心
カムに形成されたカム溝70aと、磁極ユニット23を
固定する基台30に回動自在に装着された係合ローラ7
1とを備え、該係合ローラを前記カム溝に係合させたこ
とを特徴とし、また、請求項5記載の発明は、請求項1
において、上記振動発生機構は、電動モータ21にベル
ト77を介して連結された偏心ローラ75と、該偏心ロ
ーラに形成された偏心溝78と、該偏心溝に嵌合された
回動ピン79と、該回動ピンを複数のリンク81、8
2、74を介して磁極ユニット23を固定する基台30
に連結したことを特徴とし、また、請求項6記載の発明
は、請求項1〜5において、上記振動発生機構22及び
磁極ユニット23は架台50上に設置され、該架台に振
動を付与させることを特徴とし、また、請求項7記載の
発明は、請求項1〜6において、上記保持装置はロボッ
ト20であり、上記ワーク基部1aは支持軸孔1cを有
し、該支持軸孔にロボット20の保持用フィンガー35
を挿入しワークを保持したことを特徴とし、また、請求
項8記載の発明は、請求項1〜7において、上記磁気研
磨材が弱磁性体のピンであることを特徴とし、また、請
求項9記載の発明は、請求項1〜8において、上記ワー
ク1に高周波振動を付与することを特徴とし、また、請
求項10記載の発明は、請求項1〜9において、上記ロ
ボット20によりワーク1の加工面を磁極により生じる
磁界の方向に対して三次元的に変化させたことを特徴と
し、また、請求項11記載の発明は、請求項1〜10に
おいて、上記磁極3、4の外周に非磁性体からなる磁気
ブラシ規制板41を設けたことを特徴とし、また、請求
項12記載の発明は、請求項1〜11において、上記対
向する磁極の内面に不均一磁場3a、3b、3c、4
a、4b、13a、13b、14a、14bを形成した
ことを特徴とし、また、請求項13記載の発明は、請求
項12において、一対の磁極3、4は、それぞれ矩形状
の2つの磁極3aと3b、4aと4bを積層して構成さ
れ、一方の磁極3a、4aに対して他方の磁極3b、4
bを45度回転させた位置で固定したことを特徴とし、
また、請求項14記載の発明は、請求項1〜13におい
て、上記磁極3、4間に洗浄若しくは加工用液体噴射ノ
ズル16を配設したことを特徴とする。なお、上記構成
に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図
面と対比させるもので、これにより本発明が何ら限定さ
れるものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図1は、本発明の磁力線ビーム
加工装置の1実施形態を示す全体斜視図である。図1に
おいて、本発明の磁力線ビーム加工装置は、概略、ロボ
ット20と、架台50上に配設された電動モータ21、
振動発生機構22、複数(図では3台)の磁極ユニット
23及び粗研磨用砥粒入りナイロンブラシ群24とから
構成される。前記振動発生機構22は、架台50上に固
定された軸受25、25と、軸受25、25間に回転自
在に枢支され、電動モータ21に連結された回転軸26
と、回転軸26に固定された複数の偏心カム27と、偏
心カム27にベアリング19を介して装着された作動プ
レート28と、この作動プレート28に連結された摺動
ロッド29を備え、回転軸26の回転を偏心カム27に
より摺動ロッド29の往復運動に変換するようにしてい
る。
【0010】前記各磁極ユニット23は、基台30と、
基台30上に対向するように配設された一対の磁極支持
部材31と、この磁極支持部材31に対向するように配
置された異なる極性を持つ磁極3(例えばN極)と磁極
4(例えばS極)とを備えている。基台30は、架台5
0上に設けられたレール32上に摺動自在に配設される
とともに、各摺動ロッド29に連結され、これにより磁
極ユニット23が振動される構成になっている。磁極
3、4間には弱磁性体のピンからなる磁気研磨材が挿入
され、これにより磁極3と磁極4の間の磁力線そって弱
磁性体からなる磁気研磨材が配列した磁気ブラシ(後
述)を形成する。また、磁極ユニット23の上部には洗
浄又は加工用液体噴射ノズル16(図では1つしか示し
ていないが各磁極ユニットに配設される)が配設され、
磁極ユニット23内にオイルや液体を噴射し研磨された
切り粉を磁気ブラシ中から除去するようにしている。
【0011】前記ロボット20の回動アーム33にはワ
ーク保持指35が回動可能に装着され、このワーク保持
指35にワーク1(例えば、図14のヘッドアーム部材
1)を着脱可能に装着、保持できるようにしている。ま
た、回動アーム33の基部には超音波又は高周波による
振動装置36が装着されている。なお、図ではロボット
20が1台しか示していないが磁極ユニット23の周囲
に磁極ユニットの数だけ複数台設置される。なお、本発
明においては必ずしもロボットを用いる必要はなく、ワ
ーク1を着脱自在に保持する保持装置を採用するように
してもよい。
【0012】図2は、図1の振動発生機構22を示す断
面図である。回転軸26には偏心カム27が固定され、
この偏心カム27にベアリング19のインナレース19
aが固定され、また、作動プレート28にベアリング1
9のアウタレース19bがネジ18により固定され、回
転軸26の回転を偏心カム27、ベアリング19により
摺動ロッド29の往復運動に変換するようにしている。
しかしながら、本発明においては、偏心カム27により
摺動ロッド29の往復運動に変換するようにしているた
め、摺動ロッド29の先端部の往復運動は、X方向の水
平振動成分に加えて、Z方向の微小な垂直振動成分とY
方向(図1)の微小な水平振動成分を有するする三次元
振動となる。なお、これに加えて架台50を水平振動或
は三次元振動させるようにしてもよい。
【0013】図3は、図1の磁極ユニット23を示し、
図3(A)は断面図、図3(B)は図3(A)のB−B
線に沿って矢印方向に見た断面図である。基台30には
枢支軸37aを有するブラケット37が設けられ、この
枢支軸37aに回動ピン38が枢支され、回動ピン38
に摺動ロッド29が連結され、前述した摺動ロッド29
の先端部の楕円運動を許容可能に構成している。基台3
0の下面にはガイド部材39が設けられ、このガイド部
材39をベアリング17を介してレール32上に摺動自
在に載置している。対向する磁極支持部材31にはヨー
ク40、磁極3、4が固定される。
【0014】磁極3、4はそれぞれ矩形状の2つの磁極
3aと3b、4aと4bを積層して構成され、図3
(B)に示すように一方の磁極3aに対して他方の磁極
3bを45度回転させた位置で固定している。磁極4
a、4bについても同様であり、そして対向する磁極3
aと4aおよび3bと4bとが異なる極性(N極とS
極)を持つように配置している。ヨーク40、磁極3、
4の外周には磁気ブラシ規制板41が固定されている。
この磁気ブラシ規制板41は非磁性体で製作され、ヨー
ク40、磁極3、4の外周を覆う外周部41aと、この
外周部から上下左右に広がる規制部41bが形成されて
いる。この規制部41bは、対向する磁極3、4間に挿
入された磁気研磨材が反対側方向に回り込むのを防止す
るとともに、磁気ブラシが磁極3、4間の外方に広がる
のを防止し、磁気ブラシが常時磁極3、4間に整列する
ようにしている。なお、規制部41bを略半球状ないし
椀状にすれば更に磁気ブラシの規制効果が向上される。
【0015】図4は、図1のロボット20の保持用フィ
ンガー35を示し、図4(A)、(B)は軸方向断面
図、図4(C)は図4(B)のC−C線に沿って矢印方
向に見た断面図である。
【0016】図4(A)において、保持用フィンガー3
5は、エアシリンダ51に固定されている。保持用フィ
ンガー35内には、エアシリンダ51のピストン52に
連結された保持ロッド53が摺動自在に嵌合されてい
る。保持用フィンガー35の先端部には円錐形状の係止
部35aが形成され、また、保持ロッド53の先端部に
は逆円錐形状の押圧部53aが固定されている。保持ロ
ッド53の周囲には、係止部35aと押圧部53aの間
に断面台形状の楔部材54a、54b、54cが嵌合さ
れ、弾性リング55により連結されている。
【0017】図4(A)は保持用フィンガー35の保持
ロッド53をワーク1の支持孔1cに挿入した状態を示
し、この状態からエアシリンダ51を駆動してピストン
52を図4(B)の矢印に示す如く後退させると、楔部
材54a〜54cの上端が保持ロッド53の押圧部53
aにより押圧され、楔部材54a〜54cの下端は保持
用フィンガー35の係止部35aに沿って嵌合されてい
くため、楔部材54a〜54cが弾性リング55に抗し
てワーク1に向かって押し付けられ、保持用フィンガー
35にワーク1が保持される。ワーク1を保持した保持
用フィンガー35は、ロボット20により三次元方向に
移動、回転運動を行うことができる。
【0018】図5および図6は、上記磁力線ビーム加工
装置を用いた加工方法を説明するための模式図であり、
図5(A)は平面図、図5(B)及び図6(A)は、図
5(A)のB−B線に沿って矢印方向に見た断面図、図
6(B)は図6(A)の拡大断面図である。
【0019】本実施形態は、図14で説明したハードデ
ィスクドライブのキャリッジ部材1の研磨及びバリ取り
を行う例である。図14で説明したように、ワーク1
は、ワーク基部1aと、この基部1aから平行に延びる
ように櫛状に切削加工された複数のプレート部(アーム
部)1bとを備え、プレート部1b間に多数のスリット
1fが形成された構造になっている。前記基部1aには
ワーク1を支持する支持軸孔1cが形成されるととも
に、平面視で略三角形状に形成された各プレート部1b
の先端部には、磁気ヘッドを取りつけるためのヘッド取
付孔1dと、プレート部1bの軽量化のための開口1e
とがいずれも切削加工により形成されている。
【0020】図5(A)に示すように、磁極3(N極)
と磁極4(S極)とを対向配置し、この間に磁気研磨材
を挿入する。磁気研磨材としては、比透磁率が1.1〜
100の弱磁性体のもの、例えば、弱磁性体のステンレ
ス(例えば、18−8ステンレスを冷間加工したもの)
からなり、長さが0.5〜1.5mmの円筒形状或は多
角形状の角柱のものを用いる。これは、アルミ部品の表
面に突き刺さったり表面を傷つけることがなく、かつ、
磁極間に適度の保持力をもって磁気ブラシを保持させる
ことにより、ワーク内部の加工すべき箇所に狙いを定め
てワークの表面のバリ取り、研磨及び洗浄を高精度かつ
効率良く行うためであり、また、磁気研磨材が磁極の裏
側に回り込むの防止するためである。そして、磁極3と
磁極4の間には図5(B)に示すように磁力線に沿って
磁気研磨材が配列した磁気ブラシ5が形成される。
【0021】ワーク1は、先ず、図5(A)に示すよう
に、その支持軸孔1c内にロボットの把持アーム20a
が挿入され、強固にロボットに支持され、このワーク1
のプレート部1b先端を前記一対の磁極3、4の間にY
方向から水平に挿入し、ワーク1を磁気ブラシ5内に差
し込んで磁極3、4の中間に垂直姿勢で保持する。この
ようにワーク1のプレート部1b先端を磁極3、4の間
にY方向から挿入する理由は、プレート部1bの側面を
挿入すると磁極3、4間の幅を大きくしなければなら
ず、磁極3、4間の磁界を有効に利用できないためであ
る。
【0022】そして、磁極3、4に例えばX方向ストロ
ークが7mm、Y、Z方向ストロークが1mm、振動周
波数が40Hzの振動を加える。図5(B)の姿勢で磁
極3、4にX、Y、Z方向の振動を加えると、磁気ブラ
シ5が同様にX、Y、Z方向に振動し、ワーク1に対し
て磁気研磨材が接触し、主としてプレート部1bの表裏
の表面と、プレート部1bの外周縁に形成された角部が
研磨される。この方法は、主としてワーク1の複数のプ
レート部1bの表面を研磨する際に用いることができる
が、磁気ブラシがプレート部1b面に対して平行なため
加工力が弱いので、ワーク1におけるプレート部1bの
内面奥部の角部のバリ取りを高精度に行う場合には、概
略以下のようにして研磨を行う。
【0023】まず、図5(B)に示す姿勢で磁極3、4
を水平及び垂直振動させ、所定時間加工した後、図6
(A)に示すように、ワーク1の挿入方向に延びる軸線
を中心にしてワーク1を約15度程度反時計周りC方向
に回転させて傾けた状態とし、この姿勢のまま水平及び
垂直振動を加え、上記と同様に加工を行う。図中一点鎖
線で示す垂直姿勢での加工工程と、当該傾斜姿勢での加
工工程の時間はそれぞれワーク1の形状や角部の処理に
対する要求水準により適宜決定される。さらに、図6
(A)の傾斜姿勢での加工を所定時間行った後、上記と
同様の軸線を中心にして今度は時計周りD方向に回転さ
せ、垂直姿勢に対して約15度ワーク1を逆側に傾斜さ
せた状態とし、この姿勢で加工を行う。
【0024】ワーク1のプレート部1bには、その外周
縁に形成された2つの角部2a、2bと開口部1eの内
周縁に形成された2つの角部2c、2dとを備えてい
る。図5(B)に示す姿勢では、プレート部1bの面内
から他のプレート部に向かって(すなわち、プレート部
1bの表面と交差する方向に向かって)突出するバリを
除去することはできるが、プレート部2の外周縁から外
側へ突出するバリ及び開口部1eの内周縁から内側へ突
出するバリ(すなわち、プレート部1bの表面と平行な
方向に突出するバリ)を除去することは困難である。
【0025】図6(A)に示す姿勢で行われる加工で
は、磁力線の延長方向に配列された磁気ブラシ5が角部
2a及び2dに接触するようになり、角部2aに存在す
る外周縁から外側に突出するバリ、角部2dに存在する
内周縁から内側に突出するバリを除去できるとともに、
角部2a及び2dを所定の形状に加工する(角部の面取
りまたはR面付け加工等を行う)ことができる。また、
図6(A)でワーク1をD方向逆側に傾斜させた状態で
は、磁束方向に配列された磁気研磨材の鎖が角部2b及
び2cに接触するようになり、角部2bに存在する外周
縁から外側に突出するバリ、角部2cに存在する外周縁
から内側に突出するバリを除去できるとともに、角部2
b及び2cを所定の形状に加工することができる。
【0026】図6(B)に示すように、プレート部1b
(スリット面)と磁力線のなす傾き角θは、磁気研磨材
5aとワークが衝突する角度を決定するため、本加工法
においては極めて重要なファクターである。角度θが過
大であると、磁気研磨材のワークへの作用力が増大して
加工力が大きくなる反面、剛性の弱いワークの形状精度
が悪くなり、許容値を逸脱させ不良率を高める。この角
度θの大きさは、相対運動の振動振幅の値が相互に関係
する。θが大きくても振幅がかなり低い値であればワー
クの低剛性による形状精度の劣化はある値に抑えられ
る。
【0027】ワークがハードディスクドライブのキャリ
ッジ部材の場合には、磁気研磨剤5aの選択が重要であ
る。キャリッジ部材には磁性粉や研磨剤が残留してはな
らないという厳しい条件が要求されるからである。従っ
て、磁気研磨剤5aはワークに突き刺さって残留しやす
い形状であってはならず、ピン形状でエッジがシャープ
な磁性ピンが好ましい。この磁性ピンは図6(B)に示
すように、磁力線の作用により長軸方向が磁力線方向を
向くように磁力を受けて加工に関与し、ピン端面エッジ
の切れ刃は磁力を受けて常に一定方向に向いて加工作用
する。
【0028】ワーク1は非磁性体であるため、ワーク1
を傾斜させても磁力線はワーク1を自由に透過するた
め、複雑な三次元構造の精密部品の表面に形成された多
数の角部を一度に処理することができ、加工の自動化も
含めて容易である。特に、開口部や孔等のワークの内側
の部位に対して効率良く処理でき、例えばハードディス
クの性能及び品質を向上させることができるとともに、
製造加工コストを抑制することができる。
【0029】図7は、加工方法の他の例を示し、この場
合には、ワーク1のプレート部1bの表面を磁力線の方
向とほぼ直交させた状態としている。非磁性体のワーク
1には磁力線が透過するため、磁極3と4との間の磁界
内に保持された磁気ブラシ5中にワーク1のプレート部
1bを差し込んでも、磁力線に沿って保持された磁気ブ
ラシ5の状態はほとんど変化せず、磁気ブラシ中に含ま
れる磁気研磨材は、各プレート部1bの間に侵入し、ほ
とんど元の状態に再配列される。この状態で磁極3、4
をプレート部1bの表面と平行な方向に振動させ、或は
前述の如くワーク1を傾斜させると、磁気研磨材はプレ
ート部1bの表面に対して擦られ、プレート部1bの表
面や角部を研磨することができる。
【0030】ここで、磁気研磨材は、配置されている場
所における磁界の状態に応じてプレート部1bの表面に
対して所定の加工圧で接触し、この加工圧によって研磨
が行われる。磁界中において磁気研磨材に加わる磁気力
(加工力)は、 Fx=kD3 χH(δH/δx) …(1) Fy=kD3 χH(δH/δy) Fz=kD3 χH(δH/δz) によって表される。ここで、Fx、Fy、Fzはx、
y、z方向の加工力、kは定数、Dは研磨材の粒径、χ
は研磨剤の磁化率、Hは磁界強度、(δH/δx)、
(δH/δy)、(δH/δz)は磁界強度のx、y、
z方向の変化率である。この式によれば、磁気研磨剤に
加わる磁気力は、磁気研磨材の容積に比例し、磁気研磨
材の磁化率に比例し、磁界強度及びその変化率に比例し
て大きくなることが判る。
【0031】従って、図6(B)に示した、磁力線方向
と異なるピン軸方向(角度θ)の磁性ピン5aには、次
式のモーメントMが作用し、磁力線方向に常に向かおう
とする。
【0032】M=V・χ・H2・Sinθ この磁性ピンに働くモーメントMによって、磁性ピンの
方向は加工中、常に磁力線方向に向かおうとしてワーク
表面に対してエッジに形成させた鋭利な切れ刃を作用さ
せることができる。このモーメント力はピンの体積V、
すなわちピンの直径と長さに関係するため、ピンの形
状、寸法の規定は重要な因子とな。
【0033】図8は、粒状の磁気研磨材5aとプレート
部1bの表面との作用関係を示すものである。磁気研磨
材5aは、プレート部1bの表面に接触し、磁気研磨材
5aを図示下方に移動させた場合、図示の加工圧Fxと
保持力Fyによってプレート部1bの表面を研磨する。
加工圧Fxは研磨する際に必要な磁気研磨材の圧力であ
り、保持力Fyは磁気研磨材5aを研磨抵抗に打ち勝っ
て磁気研磨材5aを保持させて相対運動を生じさせる保
持力である。プレート部1bの表面を研磨するには、こ
れらの加工圧Fx及び保持力Fyの双方が必要であり、
いずれか一方がかけても研磨効果は得られない。すなわ
ち、加工圧Fxが存在しないと保持力Fyが存在しても
プレート部1bの表面に対する研磨力が得られず、一
方、保持力Fyが存在しないと加工圧Fxが存在しても
磁気研磨材5aとワークとの間に相対運動が生ぜず、や
はり研磨はできない。
【0034】図示の加工圧Fxと保持力Fyはともに上
記(1)式にしたがって発生するものであるため、磁気
研磨材5aの粒径及び磁化率を一定とすると、上記の磁
界中における磁界強度とその変化率とによって各場所に
おける加工圧Fx及び保持力Fyが定まる。磁界強度は
磁極3、4に接近するほど大きくなるが、上記実施形態
のように磁極同士が比較的接近した状態で対向配置され
ている場合には、プレート部1bの場所によってもそれ
程大きな差は生じない。一方、磁界強度の変化率は、磁
極近傍において比較的大きな磁力線に沿った方向の変化
率が存在し、また、図6に示す磁気ブラシ5を保持して
いる磁極間空間の上下外周部において大きな磁界強度の
変化率が存在する。さらに、磁極間空間の中央部は比較
的磁界強度の変化率が小さい。このような状況にあるた
め、実質的な研磨作用は磁界強度の変化率の分布に基づ
いて磁極間空間の外周側においてより強く発生する。
【0035】したがって、上記図5(B)に示す例で
は、磁力線の方向とプレート部の表面とが基本的にほぼ
平行な状態で処理を行っているが、この場合には図8に
示す保持力Fyを十分に確保することが困難である。図
7に示す姿勢で磁極3、4を上下方向に振動させると、
特に磁気研磨材の保持領域の上部及び下部近傍で磁界の
強度変化が大きいため、保持力Fyを十分に確保するこ
とができる。
【0036】式(1)で説明したように、磁性体に加わ
るx方向の磁気力は、磁界強度及びそのx方向の変化率
に比例して大きくなる。そのために、本実施形態では、
図3で説明したように、磁極3、4はそれぞれ矩形状の
2つの磁極3aと3b、4aと4bを積層して構成さ
れ、図3(B)に示すように一方の磁極3aに対して他
方の磁極3bを45度回転させた位置で固定している。
従って、図9に示すように、磁極3aと4aの角部同志
および磁極3bと4b同志で磁界強度の強い部分が多数
形成され、磁極の角部が増大する結果、磁界の中で強弱
をもった不均一磁場(後述)が形成され、弱磁性体の磁
気研磨材を強力に磁界中に保持することができ、加工力
が大となり研磨効率を向上させることができる。
【0037】図10には、上記実施形態とは異なる磁極
形状を用いた実施形態を示す。この実施形態において
は、一対の磁極13、14の外周に複数の凸部13a、
13b、14a、14bを設け、磁極13と14との間
に形成される磁界について、磁力線の方向に対して直交
する方向(図示上下方向)に磁界強度を変化させてい
る。このため、図10に示す状態で図示上下方向に磁極
13、14を往復動させると、図11に示すように、磁
気研磨材のワーク1に対する保持力Fyは上記の磁界強
度の変化によって大きくなっているので、抵抗を受けて
も不均一磁場の磁界強度の高い位置に保持されてワーク
表面との間に相対運動を生じ、その結果、研磨効率が向
上する。なお、磁極内に不均一磁場を形成或は増加させ
る方法としては、磁極の形状を図12に示すように、断
面三角形或は円錐形状に形成し多数の凹凸を設けるよう
にしてもよいし、図13に示すように、磁極3の中に複
数の非磁極部3cを形成するようにしてもよい。
【0038】図15〜図18は、本発明における振動発
生機構の他の実施形態を示し、図15は全体構成を示す
平面図、図16は図15のA−A線に沿って矢印方向に
見た断面図、図17はカムの変形例を示す図、図18は
作用を説明するための図である。なお、以下の説明で前
記実施形態と同一の構成には同一番号を付けて説明を省
略する。
【0039】図15〜図16において、振動発生機構2
2は、架台50上に固定された軸受25、25と、軸受
25、25間に回転自在に枢支され、電動モータ21に
カップリング21aを介して連結された回転軸26と、
回転軸26にピン27aにより固定された偏心カム27
を備えている。基台30の一側に磁極ユニット23が固
定され、基台30の他側には一対のローラ支持部材56
が回転軸26を挟むように固定されている。ローラ支持
部材56の軸受部57には、ウレタンゴム等の弾性リン
グ59を介して回動軸60が枢支され、この回動軸60
には作動ローラ61が設けられている。そして、偏心カ
ム27の両側には一対の作動ローラ61が当接するよう
に配設されている。
【0040】なお、上記の例では偏心カム27は円形で
あるが、図17に示すように、一点鎖線で示す円に対し
て変形曲面を形成させるようにしてもよい。
【0041】上記構成からなる振動発生機構22の作用
を図18をも参照して説明する。図18(A)の状態
で、偏心カム27が図示矢印のように回動すると、偏心
カム27が右側の作動ローラ61を弾性リング59に抗
して押圧するため、図(B)に示すように基台30は右
方向に移動し、偏心カム27の回動角度が90゜を越え
ると、図(C)に示すように、弾性リング59の弾性力
により基台30は左方向に移動する。偏心カム27の回
動角度が180゜を越えると、図(D)に示すように、
偏心カム27が左側の作動ローラ61を弾性リング59
に抗して押圧するため、基台30は左方向に移動し、偏
心カム27の回動角度が270゜を越えると、弾性リン
グ59の弾性力により基台30は右方向に移動し図
(A)の状態となる。
【0042】以下、この運動を繰り返して基台30が図
(E)に示すように、振動することになる。本実施形態
は、図1の摺動ロッド29を用いないで、直接、磁極ユ
ニット23の基台30を振動させるため、振動機構が簡
単になるとともに、弾性リング59を介して振動させる
ため振動音を低減させることができる。
【0043】図19は、本発明における振動発生機構の
他の実施形態を示し、図(A)は側面図、図(B)は正
面図である。本実施形態においては、回転軸26にカム
溝70aを有するカム70を固定するとともに、基台3
0の下面に係合ローラ71を回動自在に装着し、この係
合ローラをカム溝70aに係合させるように構成してい
る。本実施形態においては、回転軸26及びカム70が
回動すると、係合ローラ71は、カム溝70aの形状に
沿って移動するため、基台30は図(A)に示すように
左右に振動することになる。本実施形態によれば、図1
の摺動ロッド29あるいは図15のローラ支持部材を用
いないため、振動機構がさらに簡単になる。
【0044】図20は、本発明における振動発生機構の
他の実施形態を示す側面図である。架台50上には、モ
ータ21、偏心ローラ75及びハウジング72が固定さ
れ、ハウジング72上に一対のリンク73、74を介し
て磁極ユニット23の基台30が揺動自在に支持されて
いる。モータ21及び偏心ローラ75の回転軸26、7
6にはベルト77が懸架されている。偏心ローラ75の
側面には、回転中心に対して偏心する偏心溝78が形成
され、該偏心溝78内に回動ピン79が嵌合されてい
る。ハウジング72には支持部材80を介して垂直リン
ク81が軸80aに揺動自在に枢支され、垂直リンク8
1の下端には回動ピン79が回動自在に枢支され、リン
ク81の上端には水平リンク82が回動自在に連結され
ている。
【0045】本実施形態においては、回転軸26及び偏
心ローラ75が回動すると、回動ピン79は、偏心溝7
8の形状に沿って移動するため、垂直リンク81は図示
矢印の如く揺動し、この振動は、水平リンク82、リン
ク74を介して基台30に伝達され、基台30左右に振
動することになる。
【0046】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変
更が可能である。例えば、上記実施形態では、磁極の表
面に種々の角部や凹凸、非磁極部を形成することによっ
て磁界強度を変化させているが、上記のような方法以外
にも種々の方法で不均一磁界を形成することが可能であ
る。例えば、多数の磁極を相互に間隔をおいて配列させ
たり、磁界強度の異なる磁極を配列したり、または磁界
強度の異なる磁極部位を形成したりする方法もある。ま
た、磁極としては電磁ソレノイドの磁極を用いることも
可能であり、この場合には磁界強度を電磁ソレノイドの
電流量によって制御することができる。
【0047】また、上記各実施形態では、磁極ユニット
23に二次元又は三次元振動を付与して加工を施してい
るが、ワーク1側に種々の振動を加えることにより、ワ
ーク角部のバリ取りや面取り加工の均一性を更に高める
ことができる。例えばワーク1に回転動作、旋回動作、
首振り動作に加え、ロボット20側の振動装置36によ
り微細なストロークの高周波振動を重畳させるようにし
てもよい。一般的には、複雑な動作の方が処理の均一性
や処理効率を向上させる上で好ましい。このようにする
と、反復速度(振動数)を高めると加工量が上がるが広
い範囲を処理したり、処理の均一性を高めるために移動
ストロークを確保することが困難になり、移動ストロー
クを大きくすると、反復速度を高めることが困難になる
という処理装置構成上のジレンマを解決でき、複数種類
の運動を組み合わせることによって処理効率を高めると
ともに、処理の均一性や処理範囲を確保できる。特に研
磨などの処理においては、複数種類の運動の相乗効果を
得て、研磨表面の品質向上を図ることも可能である。
【0048】また、振動の周波数は、処理効率を挙げる
ためには機構的に可能な範囲である程度高くすることが
望ましい。さらに振動ストロークについては細部まで均
一に処理できるようにするためにワーク角部の形成周期
と同等か、または小さいことが好ましい。
【0049】また、上記各実施形態においては、一対の
相互に対向する磁極間に磁界を形成しているが、磁界さ
え形成されれば、磁極は必ずしも相互に対向している必
要はなく、また、3以上の任意の数の磁極間に磁界が形
成されていてもよい。
【0050】なお、上記各実施形態においては、磁気研
磨材を用いたワークの表面研磨やバリ取り、面取り等の
研磨処理を行う場合について説明したが、本発明は研磨
処理に限らず、磁気研磨材によって行うことのできる種
々の表面処理に適用させることができる。例えば、ワー
ク表面に粒状体を衝突させることによって粗面を形成す
るホーニング処理、粒状体に含浸させたり、粒状体の周
りに付着させた洗浄液によってワーク表面を洗浄する洗
浄処理、同様に粒状体に付着させた液をワーク表面に塗
布して行う各種液体の塗布処理等、種々の場合が考えら
れる。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1、2記載の発明によれば、外面に狭幅のスリットを有
し内部に開口部又は孔を有するワークが、アルミ、ステ
ンレス、合成樹脂等の非磁性材料であれば、磁力線はワ
ークを自由に透過するため、ワークの形状、構造がどの
ようなものであってもほとんど影響されずに処理を行う
ことができ、また、磁気研磨材に振動を発生させワーク
の表面を加工するため、高精度かつ効率良くバリ取り、
研磨、洗浄等の表面加工を行うことができ、しかも、バ
リ取りの自動化を容易に行うことができる。
【0052】また、請求項3〜5記載の発明によれば、
振動機構を簡素化することができるとともに振動音を低
減させることができ、請求項6記載の発明によれば、よ
り複雑な振動を与えることができる。
【0053】また、請求項7記載の発明によれば、予め
ワークに形成されている支持孔を利用してロボットによ
りワークを強固に保持することができる。
【0054】また、請求項8記載の発明によれば、磁気
研磨材として弱磁性体のピンを用いるため、精密部品の
表面精度に影響を与えることなく、バリ取り、研磨、洗
浄を行うことができるとともに、磁気研磨材が磁極の裏
側に回り込むの防止することができる。また、弱磁性体
の磁気研磨材側を振動させるため、ワーク内部の加工す
べき箇所に狙いを定めてワークの表面のバリ取り、研磨
及び洗浄を高精度かつ効率良く行うことができる。
【0055】また、請求項9記載の発明によれば、ワー
クに高周波振動を付与することにより、より高精度にワ
ークの表面のバリ取り、研磨及び洗浄等の加工を行うこ
とができる。
【0056】また、請求項10記載の発明によれば、ワ
ークの加工面を磁極により生じる磁界の方向に対して三
次元的に変化させるため、手や通常の工具の届かない箇
所、例えばスリット内部、孔の内部、平行に配設された
プレート表面等に対してコストをかけずに容易に加工を
行うことが可能である。
【0057】また、請求項11記載の発明によれば、磁
気ブラシ規制部材により、対向する磁極間に挿入された
磁気研磨材が反対側方向に回り込むのを防止し、磁気ブ
ラシが常に磁極間に整列させることができる。
【0058】また、請求項12、13記載の発明によれ
ば、磁力線の方向に対して直交する方向に磁界強度を変
化させるため、加工効率を向上させることができる。
【0059】また、請求項14記載の発明によれば、研
磨されたワークの切り粉がオイルや液体により洗浄除去
されるため、磁気ブラシを常に安定した状態に維持する
ことができる。
【0060】以上のように、通常の加工や処理において
は、切削用バイトや研磨工具等を何らかに固定して作業
を行う必要があるが、本発明ではこれらに代わる弱磁性
体からなる磁気研磨材を磁界内に磁気的に保持している
ため、固定やセットが不要であり、このように本発明の
磁力線ビーム加工装置は、近年ますます複雑化、小型化
している精密部品の表面加工又は表面処理を行う方法と
して極めて有効なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁力線ビーム加工装置の1実施形態を
示す全体斜視図である。
【図2】図1の振動発生機構を示す断面図である。
【図3】図1の磁極ユニットを示し、図3(A)は断面
図、図3(B)は図3(A)のB−B線に沿って矢印方
向に見た断面図である。
【図4】図1のロボット20の保持用フィンガー35を
示し、図4(A)、(B)は軸方向断面図、図4(C)
は図4(B)のC−C線に沿って矢印方向に見た断面図
である。
【図5】本発明の磁力線ビーム加工装置を用いた加工方
法を説明するための模式図であり、図5(A)は平面
図、図5(B)は図5(A)のB−B線に沿って矢印方
向に見た断面図である。
【図6】図6(A)は図5に続く加工方法を説明するた
めの図5(B)と同様の断面図、図6(B)は図6
(A)の一部拡大断面図である。
【図7】本発明による磁気加工方法の他の例を説明する
ための模式図である。
【図8】本発明におけるワーク表面と磁気研磨材との作
用を説明するための図である。
【図9】図3の実施形態の磁界強度の変化を示す模式図
である。
【図10】本発明の他の実施形態を示す模式図である。
【図11】図10の実施形態におけるワーク表面と磁気
研磨材との作用を説明するための図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す磁極の模式図で
ある。
【図13】本発明の他の実施形態を示す磁極の模式図で
ある。
【図14】本発明が適用されるワークの1例を示す斜視
図である。
【図15】本発明における振動発生機構の他の実施形態
であり、全体構成を示す平面図である。
【図16】図15のA−A線に沿って矢印方向に見た断
面図である。
【図17】図16のカムの変形例を示す図である。
【図18】図15〜図16の実施形態の作用を説明する
ための図である。
【図19】本発明における振動発生機構の他の実施形態
を示し、図(A)は側面図、図(B)は正面図である。
【図20】本発明における振動発生機構の他の実施形態
を示す側面図である。
【符号の説明】
1…キャリッジ部材(ワーク)、1c…支持軸孔、1d
…取付孔 1e…開口部、1f…スリット 2a〜2d…角部 3、3a、3b、4、4a、4b、13、14…磁極 5…磁気ブラシ 16…洗浄若しくは加工用液体噴射ノズル 19…ベアリング 20…ロボット 21…電動モータ 22…振動発生機構 23…磁極ユニット 26…回転軸 27、70…偏心カム、70a…カム溝 28…作動プレート 29…摺動ロッド 30…基台 35…保持用フィンガー 41…磁気ブラシ規制板 50…架台 56…ローラ保持部材 59…弾性リング 61…作動ローラ 71…係合ローラ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】振動発生機構に連結された磁極ユニット
    と、該磁極ユニットに間隔をもって配置された少なくと
    も一対の磁極と、一対の磁極間に挿入され磁気ブラシを
    形成する磁気研磨材と、該磁気ブラシ中に保持装置によ
    り保持される非磁性体からなるワークと、該ワークの外
    面に形成された狭幅のスリットとを備え、前記振動発生
    機構により磁気ブラシに振動を発生させワークの表面を
    加工することを特徴とする磁力線ビーム加工装置。
  2. 【請求項2】上記振動発生機構は、電動モータに連結さ
    れた回転軸と、該回転軸に固定された偏心カムと、該偏
    心カムにベアリングを介して装着された作動プレート
    と、該作動プレートと上記磁極ユニット間に連結された
    摺動ロッドとを備えたことを特徴とする請求項1記載の
    磁力線ビーム加工装置。
  3. 【請求項3】上記振動発生機構は、電動モータに連結さ
    れた回転軸と、該回転軸に固定された偏心カムと、該偏
    心カムの両側にこれに当接するように配設された作動ロ
    ーラと、該作動ローラを弾性リングを介して支持するロ
    ーラ支持部材とを備え、該ローラ支持部材を磁極ユニッ
    トを固定する基台に固定したことを特徴とする請求項1
    記載の磁力線ビーム加工装置。
  4. 【請求項4】上記振動発生機構は、電動モータに連結さ
    れた回転軸と、該回転軸に固定された偏心カムと、該偏
    心カムに形成されたカム溝と、磁極ユニットを固定する
    基台に回動自在に装着された係合ローラとを備え、該係
    合ローラを前記カム溝に係合させたことを特徴とする請
    求項1記載の磁力線ビーム加工装置。
  5. 【請求項5】上記振動発生機構は、電動モータにベルト
    を介して連結された偏心ローラと、該偏心ローラに形成
    された偏心溝と、該偏心溝に嵌合された回動ピンと、該
    回動ピンを複数のリンクを介して磁極ユニットを固定す
    る基台に連結したことを特徴とする請求項1記載の磁力
    線ビーム加工装置。
  6. 【請求項6】上記振動発生機構及び磁極ユニットは架台
    上に設置され、該架台に振動を付与させることを特徴と
    する請求項1ないし5のいずれかに記載の磁力線ビーム
    加工装置。
  7. 【請求項7】上記保持装置はロボットであり、上記ワー
    クは支持軸孔を有し、該支持軸孔にロボットの保持用フ
    ィンガーを挿入しワークを保持したことを特徴とする請
    求項1ないし6のいずれか記載の磁力線ビーム加工装
    置。
  8. 【請求項8】上記磁気研磨材が弱磁性体のピンであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の磁
    力線ビーム加工装置。
  9. 【請求項9】上記ワークに高周波振動を付与することを
    特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の磁力線
    ビーム加工装置。
  10. 【請求項10】上記ロボットによりワークの加工面を磁
    極により生じる磁界の方向に対して三次元的に変化させ
    たことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載
    の磁力線ビーム加工装置。
  11. 【請求項11】上記磁極の外周に非磁性体からなる磁気
    ブラシ規制板を設けたことを特徴とする請求項1ないし
    10のいずれかに記載の磁力線ビーム加工装置。
  12. 【請求項12】上記対向する磁極の内面に不均一磁場を
    形成したことを特徴とする請求項1ないし11のいずれ
    かに記載の磁力線ビーム加工装置。
  13. 【請求項13】一対の磁極は、それぞれ矩形状の2つの
    磁極を積層して構成され、一方の磁極に対して他方の磁
    極を45度回転させた位置で固定したことを特徴とする
    請求項12記載の磁力線ビーム加工装置。
  14. 【請求項14】上記磁極間に洗浄若しくは加工用液体噴
    射ノズルを配設したことを特徴とする請求項1ないし1
    3のいずれかに記載の磁力線ビーム加工装置。
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