JPH10277918A - 磁力線ビーム加工方法および該方法により加工されたハードディスクドライブ用キャリッジ部材 - Google Patents

磁力線ビーム加工方法および該方法により加工されたハードディスクドライブ用キャリッジ部材

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JPH10277918A
JPH10277918A JP32979997A JP32979997A JPH10277918A JP H10277918 A JPH10277918 A JP H10277918A JP 32979997 A JP32979997 A JP 32979997A JP 32979997 A JP32979997 A JP 32979997A JP H10277918 A JPH10277918 A JP H10277918A
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Takeo Suzumura
進村武男
Yoshinori Shinpo
新保義憲
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KYOEI DENKO KK
Original Assignee
KYOEI DENKO KK
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】外面から内部にかけて狭幅のスリットを有する
ワークに対して高精度かつ効率良くスリット表面のバリ
取り、研磨及び洗浄等の加工を行う。 【解決手段】磁極3、4間に形成された磁界内に磁気研
磨材を保持させ磁気ブラシ5を形成した状態とし、該磁
気ブラシ5中に狭幅のスリット1fを有する非磁性体の
ワーク1を配置し、前記磁極とワークを相対的に振動さ
せることにより、スリットの表面を加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミ、ステンレ
ス、合成樹脂等の非磁性体からなる精密部品の製造に適
用され、特に、外面に幅の狭いスリットを有し内部に開
口部又は孔を有するワークの表面のバリ取り、研磨及び
洗浄等の加工を行う磁力線ビーム加工方法に属する。
【従来の技術】従来、アルミ等の非磁性体からなる精密
部品の内部や手の届かない面のバリ取り作業は困難を極
めている。例えば、アルミ部品はダイキャスト成形か押
し出し成形又は引き抜き成形で作られているが、ダイキ
ャスト成形は、バリは少ないが「す」ができやすく、低
品質の部品にしか用いられない。従って、コンピュータ
用のハードディスクドライブ(HDD)の磁気ヘッド用
キャリッジ部材のようにミクロンオーダーの加工精度を
必要する精密部品は、バリの発生が多いことは判ってい
ても押し出し成形か引き抜き成形により形成したブロッ
クを切削加工する方法が多くなっている。図10は、上
記キャリッジ部材の斜視図を示し、キャリッジ部材1
は、基部1aと、この基部1aから平行に延びるように
櫛状に切削加工された複数のプレート部(アーム部)1
bとを備え、プレート部1b間に多数のスリット1fが
形成された構造になっている。前記基部1aには支持軸
孔1cが形成されるとともに、平面視で略三角形状に形
成された各プレート部1bの先端部には、磁気ヘッドを
取りつけるためのヘッド取付孔1dと、プレート部1b
の軽量化のための開口1eとが切削加工により形成され
ている。そして、複数のアーム部1bがHDDの複数の
ディスク間に張り出すように移動し磁気ヘッドがディス
クの情報を読み取るように構成される。各プレート部1
bの外周や、孔1c、1d、開口1eの角部には切削に
よりバリが発生するので、このまま組み立てるとバリが
ディスクに接触してディスク面を傷を付けたり、ディス
クとヘッドの間にバリが挟まったり、切削屑がディスク
上に落下してディスクやヘッドが破損してしまうという
問題があるため、各部のバリ取り及び面取りを確実に行
う必要がある。さらに、その後のハードディスク組立工
程においてプレート部1bに被膜や異物が付着してしま
う場合もあり、このような被膜や異物も確実に洗浄除去
する必要がある。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たキャリッジ部材1の場合、櫛状のプレート部1bの内
部の孔1c、1dや開口1eの角部に発生するバリ取り
は、加工工具が内部に入り込めないため自動化が困難で
あり、多くの人手をかけてブラシがけを行わざるを得
ず、単なる仕上げ処理のために多大な加工コストをかけ
ているのが現状である。また、人手を使っての手作業の
バリ取り方法においても、複雑に構成された上記キャリ
ッジ部材1の内部に対しては加工処理が不可能な場合が
あり、このためにキャリッジ部材1の構造を簡単なもの
に変更せざるを得ないことから、キャリッジ部材1の小
型化、軽量化を妨げているという問題を有している。こ
のような状況は、上記キャリッジ部材1のみならず、外
面から内部にかけて幅の狭いスリットを有し、さらに内
部に開口部又は孔を有する精密部品の表面加工或は表面
処理を行う場合にも存在し、種々の製品の製造の可能性
を妨げているという問題を有している。さらに、このバ
リ取りに対して電解研磨やショット掛け、或は超音波研
磨等の方法を採用することも考えられるが、ミクロン精
度で作られている部品の元の形状を崩してしまうという
問題を有している。一方、磁界内でワーク(加工対象
物)を研磨処理する技術自体は、例えば特公昭57−1
389号公報により知られている。しかしながら、この
方式はワークが非磁性体の場合を考慮しておらず強磁性
研磨材を用いるため、アルミ等の比較的柔らかいワーク
の表面を傷つけてしまうという問題を有し、また、強磁
性研磨材の中でワーク側を振動させるため、ワークに強
い力が作用しワークを保持することが困難であるという
問題を有し、特に大量のワークを自動加工する場合にワ
ークを着脱自在でかつ強力に保持するための装置が困難
であるという問題を有している。さらに、図10に示し
たキャリッジ部材1を研磨しようとする場合、前記方式
は、ワークを単に上下方向に振動させる方式のため、櫛
状のプレート部1bの内部の孔1c、1dや開口1eの
角部に発生するバリ取りは困難であるという問題を有し
ている。本発明は上記従来の問題を解決するものであっ
て、その第1の目的は、ワークを非磁性体に限定した場
合に、磁力線がX線と同様にワーク内部を自由に通過
し、この透過した磁力線に磁気ブラシを保持させて磁気
力をワークに作用させることができることに着目し、外
面から内部にかけて狭幅のスリットを有するワークに対
して、高精度かつ効率良くワークの表面のバリ取り、研
磨及び洗浄等の加工を行うことができ、しかも自動化が
容易な磁力線ビーム加工方法を提供することであり、ま
た、第2の目的は、ワーク内部の加工すべき箇所に狙い
を定めてワークの表面のバリ取り、研磨及び洗浄を高精
度かつ効率良く行うことができる磁力線ビーム加工方法
を提供することである。さらに、第3の目的は、前記磁
力線ビーム加工方法により加工されたハードディスクド
ライブ用キャリッジ部材を得ることである。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の請求項1記載の磁力線ビーム加工方法は、磁
極間に形成された磁界内に磁気研磨材を保持させ磁気ブ
ラシを形成した状態とし、該磁気ブラシ中に狭幅のスリ
ットを有する非磁性体のワークを配置し、前記磁極とワ
ークを相対的に振動させることにより、スリットの表面
を加工することを特徴とし、また、請求項2記載の発明
は、請求項1において、前記スリット面を磁界と平行に
配置した後、スリット面を磁界に対して傾斜させたこと
を特徴とし、また、請求項3記載の発明は、請求項1、
2において、前記ワークの相対的な振動方向に沿って磁
界の強度変化を形成したことを特徴とし、請求項4記載
のハードディスクドライブ用キャリッジ部材は、請求項
1〜3の磁力線ビーム加工方法により加工されたことを
特徴とする。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。図1および図2は、本発明の磁
力線ビームによる加工方法を説明するための模式図であ
り、図1(A)は平面図、図1(B)及び図2(A)
は、図1(A)のB−B線に沿って矢印方向に見た断面
図、図2(B)は図2(A)の拡大断面図である。本実
施形態は、図10で説明したハードディスクドライブの
キャリッジ部材1の研磨及びバリ取りを行う例である。
図10で説明したように、ワーク1は、ワーク基部1a
と、この基部1aから平行に延びるように櫛状に切削加
工された複数のプレート部(アーム部)1bとを備え、
プレート部1b間に多数のスリット1fが形成された構
造になっている。前記基部1aにはワーク1を支持する
支持軸孔1cが形成されるとともに、平面視で略三角形
状に形成された各プレート部1bの先端部には、磁気ヘ
ッドを取りつけるためのヘッド取付孔1dと、プレート
部1bの軽量化のための開口1eとがいずれも切削加工
により形成されている。図1(A)に示すように、磁極
3(N極)と磁極4(S極)とを対向配置し、この間に
磁気研磨材を挿入する。磁気研磨材としては、比透磁率
が1.1〜100の弱磁性体のもの、例えば、弱磁性体
のステンレス(例えば、18−8ステンレスを冷間加工
したもの)からなり、長さが0.5〜1.5mmの円筒
形状或は多角形状の角柱のものを用いる。これは、アル
ミ部品の表面に突き刺さったり表面を傷つけることがな
く、かつ、磁極間に適度の保持力をもって磁気ブラシを
保持させることにより、ワーク内部の加工すべき箇所に
狙いを定めてワークの表面のバリ取り、研磨及び洗浄を
高精度かつ効率良く行うためであり、また、磁気研磨材
が磁極の裏側に回り込むの防止するためである。そし
て、磁極3と磁極4の間には図1(B)に示すように磁
力線に沿って磁気研磨材が配列した磁気ブラシ5が形成
される。ワーク1は、先ず、図1(A)に示すように、
その支持軸孔1c内にロボットの把持アーム20aが挿
入され、強固にロボットに支持され、このワーク1のプ
レート部1b先端を前記一対の磁極3、4の間にY方向
から水平に挿入し、ワーク1を磁気ブラシ5内に差し込
んで磁極3、4の中間に垂直姿勢で保持する。このよう
にワーク1のプレート部1b先端を磁極3、4の間にY
方向から挿入する理由は、プレート部1bの側面を挿入
すると磁極3、4間の幅を大きくしなければならず、磁
極3、4間の磁界を有効に利用できないためである。そ
して、磁極3、4に例えばX方向ストロークが7mm、
Y、Z方向ストロークが1mm、振動周波数が40Hz
の振動を加える。図1(B)の姿勢で磁極3、4にX、
Y、Z方向の振動を加えると、磁気ブラシ5が同様に
X、Y、Z方向に振動し、ワーク1に対して磁気研磨材
が接触し、主としてプレート部1bの表裏の表面と、プ
レート部1bの外周縁に形成された角部が研磨される。
この方法は、主としてワーク1の複数のプレート部1b
の表面を研磨する際に用いることができるが、磁気ブラ
シがプレート部1b面に対して平行なため加工力が弱い
ので、ワーク1におけるプレート部1bの内面奥部の角
部のバリ取りを高精度に行う場合には、概略以下のよう
にして研磨を行う。まず、図1(B)に示す姿勢で磁極
3、4を水平及び垂直振動させ、所定時間加工した後、
図2(A)に示すように、ワーク1の挿入方向に延びる
軸線を中心にしてワーク1を約15度程度反時計周りC
方向に回転させて傾けた状態とし、この姿勢のまま水平
及び垂直振動を加え、上記と同様に加工を行う。図中一
点鎖線で示す垂直姿勢での加工工程と、当該傾斜姿勢で
の加工工程の時間はそれぞれワーク1の形状や角部の処
理に対する要求水準により適宜決定される。さらに、図
2(A)の傾斜姿勢での加工を所定時間行った後、上記
と同様の軸線を中心にして今度は時計周りD方向に回転
させ、垂直姿勢に対して約15度ワーク1を逆側に傾斜
させた状態とし、この姿勢で加工を行う。ワーク1のプ
レート部1bには、その外周縁に形成された2つの角部
2a、2bと開口部1eの内周縁に形成された2つの角
部2c、2dとを備えている。図1(B)に示す姿勢で
は、プレート部1bの面内から他のプレート部に向かっ
て(すなわち、プレート部1bの表面と交差する方向に
向かって)突出するバリを除去することはできるが、プ
レート部2の外周縁から外側へ突出するバリ及び開口部
1eの内周縁から内側へ突出するバリ(すなわち、プレ
ート部1bの表面と平行な方向に突出するバリ)を除去
することは困難である。図2(A)に示す姿勢で行われ
る加工では、磁力線の延長方向に配列された磁気ブラシ
5が角部2a及び2dに接触するようになり、角部2a
に存在する外周縁から外側に突出するバリ、角部2dに
存在する内周縁から内側に突出するバリを除去できると
ともに、角部2a及び2dを所定の形状に加工する(角
部の面取りまたはR面付け加工等を行う)ことができ
る。また、図2(A)でワーク1をD方向逆側に傾斜さ
せた状態では、磁束方向に配列された磁気研磨材の鎖が
角部2b及び2cに接触するようになり、角部2bに存
在する外周縁から外側に突出するバリ、角部2cに存在
する外周縁から内側に突出するバリを除去できるととも
に、角部2b及び2cを所定の形状に加工することがで
きる。図2(B)に示すように、プレート部1bと磁力
線のなす傾き角θは、磁気研磨材5aとワークが衝突す
る角度を決定するため、本加工法においては極めて重要
なファクターである。角度θが過大であると、磁気研磨
材のワークへの作用力が増大して加工力が大きくなる反
面、剛性の弱いワークの形状精度が悪くなり、許容値を
逸脱させ不良率を高める。この角度θの大きさは、相対
運動の振動振幅の値が相互に関係する。θが大きくても
振幅がかなり低い値であればワークの低剛性による形状
精度の劣化はある値に抑えられる。ワークがハードディ
スクドライブのキャリッジ部材の場合には、磁気研磨剤
5aの選択が重要である。キャリッジには磁性粉や研磨
剤が残留してはならないという厳しい条件が要求される
からである。従って、磁気研磨剤5aはワークに突き刺
さって残留しやすい形状であってはならず、ピン形状で
エッジがシャープな磁性ピンが好ましい。この磁性ピン
は図2(B)に示すように、磁力線の作用により長軸方
向が磁力線方向を向くように磁力を受けて加工に関与
し、ピン端面エッジの切れ刃は磁力を受けて常に一定方
向に向いて加工作用する。ワーク1は非磁性体であるた
め、ワーク1を傾斜させても磁力線はワーク1を自由に
透過するため、複雑な三次元構造の精密部品の表面に形
成された多数の角部を一度に処理することができ、加工
の自動化も含めて容易である。特に、開口部や孔等のワ
ークの内側の部位に対して効率良く処理でき、例えばハ
ードディスクの性能及び品質を向上させることができる
とともに、製造加工コストを抑制することができる。図
3は、加工方法の他の例を示し、この場合には、ワーク
1のプレート部1bの表面を磁力線の方向とほぼ直交さ
せた状態としている。非磁性体のワーク1には磁力線が
透過するため、磁極3と4との間の磁界内に保持された
磁気ブラシ5中にワーク1のプレート部1bを差し込ん
でも、磁力線に沿って保持された磁気ブラシ5の状態は
ほとんど変化せず、磁気ブラシ中に含まれる磁気研磨材
は、各プレート部1bの間に侵入し、ほとんど元の状態
に再配列される。この状態で磁極3、4をプレート部1
bの表面と平行な方向に振動させ、或は前述の如くワー
ク1を傾斜させると、磁気研磨材はプレート部1bの表
面に対して擦られ、プレート部1bの表面や角部を研磨
することができる。ここで、磁気研磨材は、配置されて
いる場所における磁界の状態に応じてプレート部1bの
表面に対して所定の加工圧で接触し、この加工圧によっ
て研磨が行われる。磁界中において磁気研磨材に加わる
磁気力(加工力)は、 Fx=kD3 χH(δH/δx) …(1) Fy=kD3 χH(δH/δy) Fz=kD3 χH(δH/δz) によって表される。ここで、Fx、Fy、Fzはx、
y、z方向の加工力、kは定数、Dは研磨材の粒径、χ
は研磨剤の磁化率、Hは磁界強度、(δH/δx)、
(δH/δy)、(δH/δz)は磁界強度のx、y、
z方向の変化率である。この式によれば、磁気研磨剤に
加わる磁気力は、磁気研磨材の容積に比例し、磁気研磨
材の磁化率に比例し、磁界強度及びその変化率に比例し
て大きくなることが判る。従って、図2(B)に示し
た、磁力線方向と異なるピン軸方向(角度θ)の磁性ピ
ン5aには、次式のモーメントMが作用し、磁力線方向
に常に向かおうとする。 M=V・χ・H2・Sinθ この磁性ピンに働くモーメントMによって、磁性ピンの
方向は加工中、常に磁力線方向に向かおうとしてワーク
表面に対してエッジに形成させた鋭利な切れ刃を作用さ
せることができる。このモーメント力はピンの体積V、
すなわちピンの直径と長さに関係するため、ピンの形
状、寸法の規定は重要な因子とな。図4は、粒状の磁気
研磨材5aとプレート部1bの表面との作用関係を示す
ものである。磁気研磨材5aは、プレート部1bの表面
に接触し、磁気研磨材5aを図示下方に移動させた場
合、図示の加工圧Fxと保持力Fyによってプレート部
1bの表面を研磨する。加工圧Fxは研磨する際に必要
な磁気研磨材の圧力であり、保持力Fyは磁気研磨材5
aを研磨抵抗に打ち勝って磁気研磨材5aを保持させて
相対運動を生じさせる保持力である。プレート部1bの
表面を研磨するには、これらの加工圧Fx及び保持力F
yの双方が必要であり、いずれか一方がかけても研磨効
果は得られない。すなわち、加工圧Fxが存在しないと
保持力Fyが存在してもプレート部1bの表面に対する
研磨力が得られず、一方、保持力Fyが存在しないと加
工圧Fxが存在しても磁気研磨材5aとワークとの間に
相対運動が生ぜず、やはり研磨はできない。図示の加工
圧Fxと保持力Fyはともに上記(1)式にしたがって
発生するものであるため、磁気研磨材5aの粒径及び磁
化率を一定とすると、上記の磁界中における磁界強度と
その変化率とによって各場所における加工圧Fx及び保
持力Fyが定まる。磁界強度は磁極3、4に接近するほ
ど大きくなるが、上記実施形態のように磁極同士が比較
的接近した状態で対向配置されている場合には、プレー
ト部1bの場所によってもそれ程大きな差は生じない。
一方、磁界強度の変化率は、磁極近傍において比較的大
きな磁力線に沿った方向の変化率が存在し、また、図2
に示す磁気ブラシ5を保持している磁極間空間の上下外
周部において大きな磁界強度の変化率が存在する。さら
に、磁極間空間の中央部は比較的磁界強度の変化率が小
さい。このような状況にあるため、実質的な研磨作用は
磁界強度の変化率の分布に基づいて磁極間空間の外周側
においてより強く発生する。したがって、上記図1
(B)に示す例では、磁力線の方向とプレート部の表面
とが基本的にほぼ平行な状態で処理を行っているが、こ
の場合には図4に示す保持力Fyを十分に確保すること
が困難である。図3に示す姿勢で磁極3、4を上下方向
に振動させると、特に磁気研磨材の保持領域の上部及び
下部近傍で磁界の強度変化が大きいため、保持力Fyを
十分に確保することができる。式(1)で説明したよう
に、磁性体に加わるx方向の磁気力は、磁界強度及びそ
のx方向の変化率に比例して大きくなる。そのために、
図5に示すように、磁極3、4はそれぞれ矩形状の2つ
の磁極3aと3b、4aと4bを積層して構成され、一
方の磁極3aに対して他方の磁極3bを45度回転させ
た位置で固定している。従って、磁極3aと4aの角部
同志および磁極3bと4b同志で磁界強度の強い部分が
多数形成され、磁極の角部が増大する結果、磁界の中で
強弱をもった不均一磁場(後述)が形成され、弱磁性体
の磁気研磨材を強力に磁界中に保持することができ、加
工力が大となり研磨効率を向上させることができる。図
6には、上記実施形態とは異なる磁極形状を用いた実施
形態を示す。この実施形態においては、一対の磁極1
3、14の外周に複数の凸部13a、13b、14a、
14bを設け、磁極13と14との間に形成される磁界
について、磁力線の方向に対して直交する方向(図示上
下方向)に磁界強度を変化させている。このため、図6
に示す状態で図示上下方向に磁極13、14を往復動さ
せると、図7に示すように、磁気研磨材のワーク1に対
する保持力Fyは上記の磁界強度の変化によって大きく
なっているので、抵抗を受けても不均一磁場の磁界強度
の高い位置に保持されてワーク表面との間に相対運動を
生じ、その結果、研磨効率が向上する。なお、磁極内に
不均一磁場を形成或は増加させる方法としては、磁極の
形状を図8に示すように、断面三角形或は円錐形状に形
成し多数の凹凸を設けるようにしてもよいし、図9に示
すように、磁極3の中に複数の非磁極部3cを形成する
ようにしてもよい。以上、本発明の実施の形態について
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種
々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、磁
極の表面に種々の角部や凹凸、非磁極部を形成すること
によって磁界強度を変化させているが、上記のような方
法以外にも種々の方法で不均一磁界を形成することが可
能である。例えば、多数の磁極を相互に間隔をおいて配
列させたり、磁界強度の異なる磁極を配列したり、また
は磁界強度の異なる磁極部位を形成したりする方法もあ
る。また、磁極としては電磁ソレノイドの磁極を用いる
ことも可能であり、この場合には磁界強度を電磁ソレノ
イドの電流量によって制御することができる。また、上
記各実施形態では、磁極側に二次元又は三次元振動を付
与して加工を施しているが、ワーク1側に種々の振動を
加えることにより、ワーク角部のバリ取りや面取り加工
の均一性を更に高めることができる。例えばワーク1に
回転動作、旋回動作、首振り動作に加え、ロボット側の
振動装置により微細なストロークの高周波振動を重畳さ
せるようにしてもよい。一般的には、複雑な動作の方が
処理の均一性や処理効率を向上させる上で好ましい。こ
のようにすると、反復速度(振動数)を高めると加工量
が上がるが広い範囲を処理したり、処理の均一性を高め
るために移動ストロークを確保することが困難になり、
移動ストロークを大きくすると、反復速度を高めること
が困難になるという処理装置構成上のジレンマを解決で
き、複数種類の運動を組み合わせることによって処理効
率を高めるとともに、処理の均一性や処理範囲を確保で
きる。特に、研磨などの処理においては、複数種類の運
動の相乗効果を得て、研磨表面の品質向上を図ることも
可能である。また、振動の周波数は、処理効率を挙げる
ためには機構的に可能な範囲である程度高くすることが
望ましい。さらに振動ストロークについては細部まで均
一に処理できるようにするためにワーク角部の形成周期
と同等か、または小さいことが好ましい。また、上記各
実施形態においては、一対の相互に対向する磁極間に磁
界を形成しているが、磁界さえ形成されれば、磁極は必
ずしも相互に対向している必要はなく、また、3以上の
任意の数の磁極間に磁界が形成されていてもよい。な
お、上記各実施形態においては、磁気研磨材を用いたワ
ークの表面研磨やバリ取り、面取り等の研磨処理を行う
場合について説明したが、本発明は研磨処理に限らず、
磁気研磨材によって行うことのできる種々の表面処理に
適用させることができる。例えば、ワーク表面に粒状体
を衝突させることによって粗面を形成するホーニング処
理、粒状体に含浸させたり、粒状体の周りに付着させた
洗浄液によってワーク表面を洗浄する洗浄処理、同様に
粒状体に付着させた液をワーク表面に塗布して行う各種
液体の塗布処理等、種々の場合が考えられる。
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、外面から内部にかけて狭幅のスリットを有し
内部に開口部又は孔を有するワークが、アルミ、ステン
レス、合成樹脂等の非磁性材料であれば、磁力線はワー
クを自由に透過するため、ワークの形状、構造がどのよ
うなものであってもほとんど影響されずに処理を行うこ
とができ、また、磁気研磨材に相対的に振動を発生させ
ワークの表面を加工するため、高精度かつ効率良くバリ
取り、研磨、洗浄等の表面加工を行うことができ、しか
も、バリ取りの自動化を容易に行うことができる。ま
た、通常の加工や処理においては、切削用バイトや研磨
工具等を何らかに固定して作業を行う必要があるが、本
発明ではこれらに代わる弱磁性体からなる磁気研磨材を
磁界内に磁気的に保持しているため、固定やセットが不
要であり、このように本発明の磁力線ビーム加工装置
は、近年ますます複雑化、小型化している精密部品の表
面加工又は表面処理を行う方法として極めて有効なもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁力線ビーム加工方法を説明するため
の模式図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は図
1(A)のB−B線に沿って矢印方向に見た断面図であ
る。
【図2】図1(B)に続く図であり、図2(A)は、図
1(A)のB−B線に沿って矢印方向に見た断面図、図
2(B)は図2(A)の拡大断面図である。である。
【図3】本発明による磁気加工方法の他の例を説明する
ための模式図である。
【図4】本発明におけるワーク表面と磁気研磨材との作
用を説明するための図である。
【図5】磁界強度の変化を示す模式図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す模式図である。
【図7】図6の実施形態におけるワーク表面と磁気研磨
材との作用を説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す磁極の模式図であ
る。
【図9】本発明の他の実施形態を示す磁極の模式図であ
る。
【図10】本発明が適用されるワークの1例を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1…ワーク(キャリッジ部材)、1f…スリット 3、4…磁極 5…磁気ブラシ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁極間に形成された磁界内に磁気研磨材を
    保持させ磁気ブラシを形成した状態とし、該磁気ブラシ
    中に狭幅のスリットを有する非磁性体のワークを配置
    し、前記磁極とワークを相対的に振動させることによ
    り、スリットの表面を加工することを特徴とする磁力線
    ビーム加工方法。
  2. 【請求項2】前記スリット面を磁界と平行に配置した
    後、スリット面を磁界に対して傾斜させたことを特徴と
    する請求項1記載の磁力線ビーム加工方法。
  3. 【請求項3】前記ワークの相対的な振動方向に沿って磁
    界の強度変化を形成したことを特徴とする請求項1又は
    請求項2記載の磁力線ビーム加工方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかの磁力
    線ビーム加工方法により加工されたことを特徴とするハ
    ードディスクドライブ用キャリッジ部材。
JP32979997A 1997-01-30 1997-12-01 磁力線ビーム加工方法および該方法により加工されたハードディスクドライブ用キャリッジ部材 Withdrawn JPH10277918A (ja)

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