JPH1183384A - 熱交換器用プレコートフィン材 - Google Patents

熱交換器用プレコートフィン材

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JPH1183384A
JPH1183384A JP24654397A JP24654397A JPH1183384A JP H1183384 A JPH1183384 A JP H1183384A JP 24654397 A JP24654397 A JP 24654397A JP 24654397 A JP24654397 A JP 24654397A JP H1183384 A JPH1183384 A JP H1183384A
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JP
Japan
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film
corrosion
fin material
hydrophilic film
heat exchanger
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Application number
JP24654397A
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English (en)
Inventor
Reiko Takazawa
令子 高澤
Toru Ishii
透 石井
Kazuhiko Yamazaki
和彦 山崎
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に湿潤環境下に長期間おかれたとしても耐
蝕下地皮膜に対する水ガラス系親水皮膜の密着性が優
れ、所望の親水性および耐蝕性が確実に維持される熱交
換器用プレコートフィン材を提供する。 【解決手段】 アルミニウム又はその合金の表面に、3
つ以上の一級アルコールを分子内に有する3価以上の非
環式多価アルコールを成分として含む耐蝕皮膜形成用組
成物からなる耐蝕下地皮膜と、アルカリ珪酸塩、部分中
和されたポリアクリル酸、および、3つ以上の一級アル
コールを分子内に有する3価以上の非環式多価アルコー
ルを主成分として含む親水皮膜形成用組成物からなる親
水皮膜とをこの順に形成し、かつ、その親水皮膜の形成
後に水洗又は酸洗処理を施したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
その合金(以下、特に断らない限り「アルミニウム材」
と略称する)からなる熱交換器用プレコートフィン材に
係り、詳しくは、アルミニウム材の表面に予め耐蝕下地
皮膜と親水皮膜とをこの順に形成してなり、特に長期の
湿潤環境下における親水皮膜の密着性に優れ、所望の親
水性および耐蝕性が維持される熱交換器用プレコートフ
ィン材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材からなる熱交換器用プレ
コートフィン材は、各種用途に応じたフィン形状に成形
加工することにより、建物や自動車等に設置される空調
機器等における熱交換器のフィン材として使用されてい
る。
【0003】そして、この熱交換器用プレコートフィン
材は、通常、そのアルミニウム材の表面に白錆が発生し
て腐蝕されることを防止するための耐蝕性を付与する皮
膜処理や、フィン表面で結露した水分がフィン間隙をふ
さいで通風抵抗の増加をもたらし熱交換効率を低下させ
てしまうことを防止するための親水性を付与する皮膜処
理が施されている。このような皮膜処理が施されたプレ
コートフィン材は、以下に示すように各種タイプのもの
が知られているが、そのいずれのタイプのものも種々の
問題点を有している。
【0004】第1に、アルミニウム材の表面に、耐蝕性
を付与するためのクロメート法等による下地処理で無機
系耐蝕皮膜を形成した後、水溶性有機高分子化合物と無
機珪酸塩との混合物を塗布して(水ガラス系の)親水皮
膜を形成するタイプのものが知られている(特公平2−
42389号、特公平3−77440号、特公平6−7
3934号等の公報)。しかし、このタイプのプレコー
トフィン材は、親水性に優れているものの、長期間使用
した場合には白錆が発生して耐蝕性に劣る場合がある。
【0005】第2に、上記した無機系耐蝕皮膜に代え
て、有機高分子樹脂からなる下地皮膜を形成した後、上
記した水ガラス系の親水皮膜を形成するタイプのものが
知られている。しかし、このタイプのプレコートフィン
材は、無機系耐蝕皮膜を形成した場合における当該皮膜
の硬さが原因でフィン成形加工時のプレス金型が摩耗し
やすくなる等の不具合を解消することができるものの、
その有機高分子樹脂からなる下地皮膜に対する親水皮膜
の密着性が劣り、親水性を十分に付与することができな
い傾向がある。
【0006】第3に、有機高分子樹脂からなる下地皮膜
に対する上記した水ガラス系親水皮膜の密着性を向上さ
せるため、その下地皮膜に多価金属塩、無機酸、有機酸
等を含有せしめるタイプのものが知られている(特公平
6−248232号、特公平7−15148号等の公
報)。しかし、このタイプのプレコートフィン材は、そ
の下地皮膜に対する水ガラス系親水皮膜の密着性がある
程度改善されるものの、フィン表面に水分が付着した状
態のままで連続使用された場合等のように湿潤環境下で
長期間使用(又は放置)された場合にはその親水皮膜の
密着性が劣る傾向がある。そして、このように親水皮膜
の密着性が劣る場合には、親水皮膜が下地皮膜から剥が
れやすくなり親水性を維持することができないという欠
点がある。特に、親水皮膜が剥がれた場合には、その親
水皮膜が優れた親水性を有していたとしても、親水皮膜
が剥がれた領域の親水性が確保されない。
【0007】第4に、有機高分子樹脂からなる下地皮膜
に対する上記水ガラス系親水皮膜の密着性を向上させる
ため、第3のタイプのフィン材とは別な対策法として、
下地皮膜の上に形成れた水ガラス系親水皮膜を多価金属
イオン溶液で処理するタイプのものが知られている(特
公平8−18005号公報)。しかし、このタイプのプ
レコートフィン材は、その親水皮膜の密着性の改善が認
められるものの、親水皮膜にポリアクリル酸等のカルボ
キシル基が含まれるポリマーが混合されている場合、例
えば生産ラインで多価金属イオン溶液による処理を長時
間行なうと、その処理液に不溶性のポリアクリル酸多価
金属塩が蓄積してしまい、そのライン設備の清掃等が困
難になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したように従来の
熱交換器用プレコートフィン材は、そのいずれのタイプ
のものも様々な問題点が個々にあって未だ満足のできる
ものではなく、特に湿潤環境下で長期間使用した場合、
水溶性有機高分子化合物と無機珪酸塩との混合物からな
る水ガラス系親水皮膜の密着性が劣化し、親水性を維持
することができなくなるという大きな課題がある。ま
た、いずれのタイプのものも、長期使用により空気中の
汚染物質等がフィン表面に吸着して親水性が次第に低下
してしまうという課題もある。
【0009】本発明の目的は、特に湿潤環境下に長期間
おかれたとしても耐蝕下地皮膜に対する水ガラス系親水
皮膜の密着性が優れ、所望の親水性および耐蝕性が確実
に維持される熱交換器用プレコートフィン材を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
目的を達成するため鋭意研究した結果、3つ以上の一級
アルコールを分子内に有する3価以上の非環式多価アル
コールを耐蝕皮膜形成用組成物と親水皮膜形成用組成物
の双方に加えて耐蝕下地皮膜と親水皮膜とを形成し、し
かも、その親水皮膜を水洗又は酸洗することにより、長
期の湿潤環境下での親水皮膜の密着性に優れ、必要とす
べき親水性および耐蝕性が確実に維持される熱交換器用
プレコートフィン材となることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち、本発明の熱交換器用プレコート
フィン材は、アルミニウム又はその合金の表面に、3つ
以上の一級アルコールを分子内に有する3価以上の非環
式多価アルコールを成分として含む耐蝕皮膜形成用組成
物からなる耐蝕下地皮膜と、アルカリ珪酸塩、部分中和
されたポリアクリル酸、および、3つ以上の一級アルコ
ールを分子内に有する3価以上の非環式多価アルコール
を主成分として含む親水皮膜形成用組成物からなる親水
皮膜とがこの順に形成され、かつ、前記親水皮膜の形成
後に水洗又は酸洗処理が施されているものである。
【0012】上記耐蝕皮膜形成用組成物および親水皮膜
形成用組成物にそれぞれ含有せしめる非環式多価アルコ
ールとしては、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン又はペンタエリスリトールが好ましいが、これ
以外のものであってもよい。また、この多価アルコール
は、耐蝕下地皮膜と親水皮膜の加熱乾燥時に蒸発してし
まわないことが必要であり、この観点からすると、その
乾燥時の加熱温度よりも高い沸点を有するものである。
また、上記両組成物にそれぞれ含有せしめる多価アルコ
ールは、互いに同種のものであっても或いは互いに異種
のものであってもよい。さらに、この多価アルコールの
固形分での配合量は、耐蝕皮膜形成用組成物の場合にお
いて1〜10g/l、好ましくは5〜10g/lであ
り、親水皮膜形成用組成物の場合においては0.5〜1
0g/l、好ましくは2〜10g/lである。
【0013】この多価アルコールが、グリセリン等のよ
うに一級アルコールが2つ以下の多価アルコールの場合
には、反応性が低く、親水皮膜の密着性の向上を図るこ
とができず、また、その密着性を高めたり親水皮膜を十
分に硬化させるためには添加量を多くしなければならな
い。この結果、特に、一級アルコールが2つ以下の多価
アルコールを親水皮膜形成用組成物に加えた場合には、
その組成物からなる塗料浴がゲル化しやすくなり、その
浴寿命が非常に短くなるため、生産ラインでの使用が困
難となる。この点、3つ以上の一級アルコールを分子内
に有する多価アルコールは、反応性が高く、少量の添加
でも親水皮膜の密着性の向上を図ることができ、また、
親水皮膜形成用組成物からなる塗料浴がすぐにゲル化す
ることもない。
【0014】上記親水皮膜形成用組成物に添加する部分
中和されたポリアクリル酸は、予め部分中和してから組
成物に添加することが重要である。例えば、ポリアクリ
ル酸とポリアクリル酸ソーダとをモル換算で混合した状
態で添加した場合には、その混合が不均一となることが
あり、このため形成される親水皮膜がむらとなり、均一
な親水性が得られなくなる。
【0015】この部分中和されたポリアクリル酸は、カ
セイソーダで部分中和されているとともに、アルカリ珪
酸塩/部分中和されたポリアクリル酸の固形比が1.5
〜2.5となるように含めることが好ましい。この固形
比が1.5未満の場合には、部分中和されたポリアクリ
ル酸の添加割合が過剰になり、親水皮膜形成用組成物か
らなる塗料浴がゲル化しやすくなり、固形比が2.5を
超える場合には、部分中和されたポリアクリル酸の添加
割合が少なすぎることとなり、親水持続性が悪くなる。
【0016】また、この部分中和されたポリアクリル酸
は、その中和量がモル換算で35〜50%となるように
カセイソーダで部分中和されていることが好ましい。こ
の中和量が35%未満の場合には親水持続性は得られる
が皮膜の密着性が悪くなり、中和量が50%を超える場
合には皮膜の密着性が良くなるが親水持続性が劣るよう
になる。
【0017】耐蝕下地皮膜を構成する耐蝕皮膜形成用組
成物は、耐蝕性に優れた下地皮膜を形成できるものであ
れば如何なるものであってもよいが、好ましくは、硝酸
クロムがCrO3 換算で10〜30g/l、アクリル酸
ポリマーが固形分で2〜50g/l、フッ化物がF-
して1〜5g/l、リン酸がPO4 3-として1〜50g
/l、シリカが固形分で0.5〜5g/l、前記した非
環式多価アルコールが固形分で1〜10g/lそれぞれ
含まれている耐蝕皮膜理剤である。この硝酸クロムと多
価アルコールとを含む耐蝕皮膜理剤を使用する場合に
は、クロメート法等の化成皮膜を形成する場合のような
6価クロムの排水処理が不要となる。
【0018】この耐蝕皮膜処理剤における硝酸クロムの
CrO3 換算での配合割合が10g/l未満の場合に
は、親水性と十分な耐蝕性とを有する下地皮膜が得られ
なくなり、その配合割合が30g/lを超える場合に
は、アルミニウム材の表面付近に未反応の硝酸クロムが
残り、下地皮膜のアルミニウム材に対する密着性が悪く
なる。
【0019】耐蝕皮膜処理剤におけるアクリル酸ポリマ
ーの固形分での配合割合が2g/l未満の場合には、下
地皮膜の形成量が不十分となり、その配合割合が50g
/lを超える場合には、処理剤の安定性が減少する。こ
のアクリル酸ポリマーとしては水溶性のものが使用され
る。
【0020】耐蝕皮膜処理剤におけるフッ化物のF-
しての配合割合が1g/l未満の場合には、アルミニウ
ム材とクロム化合物との反応生成物を主体とする皮膜の
良好な耐蝕性が得られず、その配合割合が5g/lを超
える場合には、処理剤を塗布した際にアルミニウム材の
溶出やシリカとの反応が著しくなることによって処理液
の管理が困難となり、所望の特性を有する皮膜を得るこ
とが困難となる。このフッ化物としては、フッ酸、フッ
化珪素、フッ化ほう素、それらの可溶性塩を使用するこ
とができるが、フッ酸が最も好ましい。
【0021】耐蝕皮膜処理剤におけるリン酸のPO4 3-
としての配合割合が1g/l未満の場合には、親水性に
制約を生じ、フィン材の使用条件が穏やかな場合には十
分な親水性が得られても厳しい使用条件では長期親水性
に問題がある。また、その配合割合が高くなるにつれて
親水性は十分になるが、耐蝕性がやや悪くなり、50g
/lを超えるとその傾向が大きくなる。このリン酸とし
ては、正リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン
酸、亜リン酸等が使用される。
【0022】耐蝕皮膜処理剤におけるシリカの固形分で
の配合割合が0.5g/l未満の場合には、親水皮膜と
の密着性が悪くなり、その配合割合が5g/lを超える
場合には、その処理剤がゲル化しやすくなる。このシリ
カは、シリカ粉末又はシリカゾルの形態で使用される。
【0023】耐蝕皮膜処理剤における多価アルコールの
固形分での配合割合が1g/l未満の場合には、親水皮
膜との密着性が悪くなり、その配合割合が10g/lを
超える場合には、耐蝕性が劣ってくる。
【0024】一方、親水皮膜を構成する親水皮膜形成用
組成物は、珪酸ナトリウム、部分中和されたポリアクリ
ル酸および前記した非環式多価アルコールを主成分と
し、かつ、珪酸ナトリウム/部分中和されたポリアクリ
ル酸の固形比が1.5〜2.5であるとともに、珪酸ナ
トリウム/前記非環式多価アルコールの固形比が5〜5
0である組成物が好ましい。
【0025】この親水皮膜処理剤における珪酸ナトリウ
ム/多価アルコールの固形比が5未満の場合には、その
組成物からなる塗料浴がゲル化しやすくなり、固形比が
50を超える場合には、皮膜の密着性が悪くなる。珪酸
ナトリウムは、SiO2/Na2Oで表わされる比が2〜
3.3のものが好ましい。
【0026】このような熱交換器用のプレコートフィン
材を製造するに際しては、例えば、厚さ100〜110
μmのアルミニウム材の表面(表裏面)を脱脂処理して
乾燥させた後、その表面に耐蝕皮膜形成用組成物を塗布
し、加熱乾燥して耐蝕下地皮膜を形成する。次に、その
耐蝕下地皮膜の上に、親水皮膜形成用組成物を塗布し、
加熱乾燥して親水皮膜を形成する。最後に、水洗又は酸
洗して乾燥させることにより、プレコートフィン材が作
製される。この際、耐蝕下地皮膜はその膜厚が0.1〜
2.0μmとなるように形成し、親水性樹脂皮膜はその
膜厚が0.1〜1.0μmとなるように形成する。
【0027】上記した各組成物の塗布は、ロールコート
法、バーコート法、スプレー法、浸漬法等の塗布手段に
より行う。塗布後の加熱乾燥は、耐蝕下地皮膜の形成時
にはその加熱温度が150〜280°C、加熱時間が1
0〜60秒という条件で行うことが好ましい。親水皮膜
の形成時には、その加熱温度が150〜280°C、加
熱時間が10〜60秒という条件で行うことが好まし
い。この加熱乾燥の条件のうち加熱温度が150°Cよ
りも低い温度になると、下地皮膜の場合には得られる皮
膜の耐蝕性が不十分なものとなり、親水皮膜の場合には
得られる皮膜の密着性が不十分なものとなる等の不具合
がある。
【0028】このようにして得られたプレコートフィン
材は、揮発性プレス油を塗布してからスリット加工やコ
ルゲート加工等の成形加工を施すことにより、所望の形
態からなる熱交換器用フィン材として使用することがで
きる。
【0029】以上のような構成からなる熱交換器用プレ
コートフィン材においては、耐蝕下地皮膜と親水皮膜の
双方に、3つ以上の一級アルコールを分子内に有する3
価以上の非環式多価アルコールが含まれているため、そ
の一級アルコールの一部が各皮膜の膜形成に関与する
(下地皮膜では酸成分と反応してエステルをつくり強固
な結合が図られ、親水皮膜ではアルカリ成分と反応して
水ガラスを固めるように作用する)ほか、残りの(2つ
以上の)一級アルコールが両皮膜を強力に結合すること
に関与するものと考えられる。これにより、この耐蝕下
地皮膜と親水皮膜が形成されたプレコートフィン材に
は、湿潤環境下での親水皮膜の優れた密着性が付与され
るものと考えられる。また、親水皮膜が水洗又は酸洗さ
れることにより、親水皮膜内での過剰なアルカリ成分が
除かれ、水ガラス成分が硬化するため、これによっても
湿潤環境下での親水皮膜の密着性がさらに向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。ここでは、本発明に関する説明を行うた
め、各種条件の耐蝕下地皮膜および親水皮膜を形成した
プレコートフィン材を作製するとともに、得られた各プ
レコートフィン材について各種試験を行った。
【0031】1.プレコートフィン材の作製条件 アルミニウム板(JIS A1100、厚さ100μ
m)の表面を、アルカリ脱脂剤(日本ペイント製:サー
フクリーナー53)を用いた脱脂液(濃度20g/l、
60°C)により5分間脱脂洗浄した後、水洗して乾燥
させた。
【0032】この脱脂したアルミニウム板の表面に、表
1に示す組成(表中、各成分の配合量は固形分で示して
いる)からなる各下地皮膜用組成物(塗料)をバーコー
タにより乾燥時膜厚が約0.3μmになるようにそれぞ
れ塗布した後、240°Cのオーブン中で約15秒間加
熱乾燥させて耐蝕下地皮膜を形成した。なお、上記各下
地皮膜用組成物には、表1に示す各成分のほか、そのい
ずれにも同様にフッ化物としてフッ酸をF- として2g
/lを、リン酸として正リン酸をPO4 3-として4g/
lをそれぞれ添加している。
【0033】続いて、その下地皮膜の上に、表2に示す
組成(表中、水ガラスおよび部分中和ポリアクリル酸の
配合量は固形分で、中和量はモル換算で示している)か
らなる各親水皮膜用組成物(塗料)をバーコータにより
乾燥時膜厚が約0.5μmになるようにそれぞれ塗布し
た後、280°Cのオーブン中で約15秒間加熱乾燥さ
せて親水皮膜を形成した。水ガラスは、SiO2/Na2
Oで表わされる比が3.2の3号珪酸ナトリウムであ
る。
【0034】上記親水皮膜を形成した後、その皮膜を希
釈した硝酸(pH1〜2)により3秒間酸洗した後に1
秒間水洗し、最後に150°Cの温度下で10秒間乾燥
させた。
【0035】このようにして耐蝕下地皮膜および親水皮
膜の条件が異なるプレコートフィン材(サンプルNo1
〜14)を複数作製した。なお、サンプルNo14は、
アルミニウム板上に他のサンプルのような耐蝕下地皮膜
を形成せず、その代わりに市販の下地処理剤(日本ペイ
ント製:サーファルコート427)を塗布した。
【0036】2.試験内容および評価基準 「接触角」については、接触角計(協和界面化学製:C
A−A型)を用いて液滴法により測定した。
【0037】「流水試験後」の接触角については、初期
段階の接触角を測定したサンプルを流水中に8時間浸漬
した後に80°Cで16時間乾燥させるという工程を1
サイクルとした試験を10サイクル繰り返して行ない、
その流水試験後の接触角を測定した。
【0038】「汚染試験後」の接触角については、サン
プルをオレイン酸が入った雰囲気下に50°Cで16時
間保管した後に流水中に8時間浸漬させるという工程を
1サイクルとした試験を5サイクル繰り返して行ない、
その汚染試験後の接触角を測定した。
【0039】「長期湿潤密着性」については、サンプル
を50°C、98%RHの雰囲気下に30日間保存した
後、サンプルを水で濡らし、そのサンプル表面を指で軽
く5回往復運動するように擦り、その時の親水皮膜の状
態を観察し、下記の基準で評価した。 ○:皮膜がまったく剥がれない。△:皮膜が一部剥がれ
る。×:皮膜がほとんど剥がれる。
【0040】「耐蝕性」については、サンプルを50°
C、98%RHの雰囲気下に30日間保存した後、そのサ
ンプル表面の状態を観察し、下記の基準で評価した。 ○:腐蝕の発生なし。△:一部腐蝕(変色)が発生し
た。×:腐蝕(変色)がほぼ全面に発生した。
【0041】各試験の結果を表3に示す。表3中におい
て各接触角は、一般的にはその値が小さい程優れた親水
性が得られることになるため好ましいが、実際にはフィ
ン材の置かれる環境条件(使用期間、温度湿度、空気中
の汚染物質の存在等)により要求される親水性のレベル
が異なるため、その望ましい値が常に決まっているわけ
ではない。優れた親水性が得られる観点からみた場合、
接触角の望ましい値は、初期段階では10°以下、流水
試験後では20°以下、汚染試験後では40°以下であ
る。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】表3の結果から、耐蝕下地皮膜および親水
皮膜の双方に、3つ以上の一級アルコールを分子内に有
する3価以上の多価アルコール(トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン)
を含有させたサンプルNo1〜7では、長期湿潤時での
親水皮膜の密着性に優れていることがわかる。
【0046】これに対し、エチレングリコールやグリセ
リンのように一級アルコールが2つ以下の多価アルコー
ルを使用したサンプルNo8、9では、その多価アルコ
ールを耐蝕下地皮膜および親水皮膜の双方に含有して
も、長期湿潤時での親水皮膜の密着性が改善されていな
い。また、多価アルコールを上記両皮膜にまったく含有
させないサンプルNo10〜12でも、長期湿潤時での
親水皮膜の密着性が確実には改善されていない。さら
に、サンプルNo13のように、3つ以上の一級アルコ
ールを有する多価アルコールを上記両皮膜に含有させて
も、長期湿潤時での親水皮膜の密着性が改善されない場
合があることが確認された。特に、このサンプルNo1
3の長期湿潤密着性の結果が悪いのは、親水皮膜の主成
分として含める部分中和されたポリアクリル酸の配合割
合や中和量が適切でないことが原因しているものと考え
られる。
【0047】また、表3の結果から、熱交換器用プレコ
ートフィン材として、長期湿潤時での親水皮膜の密着性
に優れていることに加えて、親水持続性にも優れている
ものが要求される場合には、サンプルNo1〜5のよう
に親水皮膜形成用組成物に対して適切な中和量で部分中
和されたポリアクリル酸を適切な量含有させることによ
り実現できることがわかる。
【0048】この点、サンプルNo6のようにその部分
中和されたポリアクリル酸の配合割合が適切でなかった
り(この場合は少なすぎる)、サンプルNo7のように
その中和量が適切でなかった場合には、流水試験後およ
び汚染試験後の接触角の値がサンプルNo1〜5のもの
に比べて悪くなる。また、サンプルNo10〜12から
も(但し、多価アルコールが含まれていない条件のもの
である)、部分中和されたポリアクリル酸の配合割合や
中和量が適切でない場合には、流水試験後および汚染試
験後の接触角の値が悪くなり、親水持続性に劣ることが
確認できる。なお、耐蝕性については、市販の耐蝕下地
塗料により下地処理したサンプルNo14を除けば、い
ずれのサンプルも良好であった。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特に湿潤環境下に長期間おかれたとしても耐蝕下地皮膜
に対する親水皮膜の密着性が優れ、所望の親水性および
耐蝕性が確実に維持される熱交換器用プレコートフィン
材を提供することができる。そして、このプレコートフ
ィン材を熱交換器のフィン材として使用した場合には、
湿潤環境下で長期間使用したとしても、親水皮膜が剥れ
て親水性さらには耐蝕性が損失することがなく、フィン
表面での結露による熱交換性能の低下もほとんどない、
きわめて良好で安定した熱交換を長期にわたって実現す
ることが可能となる。
【0050】また、親水皮膜に、予め所定の中和量で部
分中和したポリアクリル酸を所定の量加えた場合には、
前記したような優れた親水皮膜の密着性が得られること
に加え、長期間の使用に対しても親水性が持続して得ら
れる熱交換器用プレコートフィン材を提供することがで
きる。そして、この場合には、長期間使用したとしても
空気中の汚染物質がフィン表面に吸着することによる親
水性の低下がなく、これによってもきわめて良好で安定
した熱交換を長期にわたって実現することが可能とな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 和彦 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はその合金の表面に、3
    つ以上の一級アルコールを分子内に有する3価以上の非
    環式多価アルコールを成分として含む耐蝕皮膜形成用組
    成物からなる耐蝕下地皮膜と、アルカリ珪酸塩、部分中
    和されたポリアクリル酸、および、3つ以上の一級アル
    コールを分子内に有する3価以上の非環式多価アルコー
    ルを主成分として含む親水皮膜形成用組成物からなる親
    水皮膜とがこの順に形成され、かつ、前記親水皮膜の形
    成後に水洗又は酸洗処理が施されていることを特徴とす
    る熱交換器用プレコートフィン材。
  2. 【請求項2】 前記部分中和されたポリアクリル酸が、
    カセイソーダで部分中和されているとともに、アルカリ
    珪酸塩/部分中和されたポリアクリル酸の固形比が1.
    5〜2.5となるように含まれている請求項1記載の熱
    交換器用プレコートフィン材。
  3. 【請求項3】 前記部分中和されたポリアクリル酸が、
    その中和量がモル換算で35〜50%となるようにカセ
    イソーダで部分中和されている請求項1記載の熱交換器
    用プレコートフィン材。
  4. 【請求項4】 前記耐蝕下地皮膜および親水皮膜にそれ
    ぞれ含まれる非環式多価アルコールが、トリメチロール
    エタン、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリト
    ールである請求項1記載の熱交換器用プレコートフィン
    材。
  5. 【請求項5】 前記耐蝕皮膜形成用組成物として、硝酸
    クロムがCrO3 換算で10〜30g/l、アクリル酸
    ポリマーが固形分で2〜50g/l、フッ化物がF-
    して1〜5g/l、リン酸がPO4 3-として1〜50g
    /l、シリカが固形分で0.5〜5g/l、前記非環式
    多価アルコールが固形分で1〜10g/lそれぞれ含ま
    れている耐蝕皮膜理剤を使用している請求項1記載の熱
    交換器用プレコートフィン材。
  6. 【請求項6】 前記親水皮膜形成用組成物として、珪酸
    ナトリウム、部分中和されたポリアクリル酸および前記
    非環式多価アルコールを主成分とし、かつ、珪酸ナトリ
    ウム/部分中和されたポリアクリル酸の固形比が1.5
    〜2.5であるとともに、珪酸ナトリウム/前記非環式
    多価アルコールの固形比が5〜50である組成物を使用
    している請求項1記載の熱交換器用プレコートフィン
    材。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001164175A (ja) * 1999-12-09 2001-06-19 Kansai Paint Co Ltd 熱交換器フィン材用親水化処理剤
JP2001172547A (ja) * 1999-12-21 2001-06-26 Kansai Paint Co Ltd 熱交換器フィン材用親水化処理組成物
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JP2017193683A (ja) * 2016-04-22 2017-10-26 三菱マテリアル電子化成株式会社 防汚性膜形成用液組成物

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