JPH1181328A - 法面、壁面等の保護構造 - Google Patents

法面、壁面等の保護構造

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JPH1181328A
JPH1181328A JP25437797A JP25437797A JPH1181328A JP H1181328 A JPH1181328 A JP H1181328A JP 25437797 A JP25437797 A JP 25437797A JP 25437797 A JP25437797 A JP 25437797A JP H1181328 A JPH1181328 A JP H1181328A
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JP
Japan
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reinforcing bar
grid
wall
horizontal
front wall
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JP25437797A
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English (en)
Inventor
Yukiaki Sekiya
征秋 関谷
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Tenryu Industries Co Ltd
Original Assignee
Tenryu Industries Co Ltd
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 限られたスペースに効率よく収容でき、もっ
て輸送・保管等のコストを低減でき、さらに設置の容易
な格子枠柵を備えた法面、壁面等の保護構造を提供す
る。 【解決手段】 岩盤法面1の保護構造は、鉄筋格子製の
傾斜した前壁部6と水平な横壁部7とからなる格子枠柵
5を保護対象面としての岩盤法面1の前方に設置し、格
子枠柵5と岩盤法面1との間に盛土材9を充填してなる
岩盤法面の保護構造において、格子枠柵5は、偏平な前
壁部用鉄筋格子11と、偏平な横壁部用鉄筋格子12と
を、接続部材13により接続してなるものである。接続
部材13は、前壁部用鉄筋格子11の縦鉄筋が挿着され
る挿着孔と、横壁部用鉄筋格子12の縦鉄筋が挿着され
る挿着孔とを備えた複数の略L字接ぎ手14である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、格子枠柵を用いた
法面、壁面等の保護構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】岩盤法面、コンクリート・モルタル吹付
法面、擁壁やダム等のコンクリート構造物の壁面等は、
景観保全上の問題が多いため、植生による保護・緑化の
導入が考えられている。特開平4−213625号公報
には、図13に示すように鉄筋格子製の傾斜した前壁部
56と水平な底壁部57とからなる格子枠柵55を法面
の前方に設置し、格子枠柵55の前壁部56の後面と底
壁部57の上面とに緑化用シートを敷き、格子枠柵55
と法面との間に盛土材を充填し、これらの工程を下から
上へ繰り返して多段に構築した法面の保護構造が開示さ
れている。この保護構造は、急勾配でも施工でき、施工
効率が良い等の優れた点を持っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構造において、格
子枠柵55は、鉄筋を縦横格子状に溶接してなる鉄筋格
子をその中央部で折曲して形成されたものであるため、
次の欠点があった。 (1)輸送・保管等のために複数の格子枠柵55を限ら
れたスペースに収容するときは、各格子枠柵55を同じ
向きにして重ねて積み上げれば占有スペースを少なくで
きるが、傾斜した前壁部56があるために無駄な空間が
生じてしまう。また、それぞれ上側の格子枠柵55を少
しずつ反前壁部側56にずらして重ねなければならない
ため、斜めに積み上がってしまう。このため、多数の格
子枠柵55をトラックの荷台等の限られたスペースに効
率よく積み込むことが困難で、輸送・保管等のコストが
かかっていた。特に、前壁部56の傾斜角度が異なる格
子枠柵55の場合は、格子枠柵55同士の間に隙間が生
じてしまい、さらに効率が悪かった。
【0004】(2)前壁部56と底壁部57とが一体に
形成されているため重量が重く、格子枠柵55を運搬し
たり、設置時に位置決めしたりする作業がし難かった。
【0005】また、法面の保護構造の見栄えは各格子枠
柵の位置決めの出来に大きく影響されるが、従来の格子
枠柵を設置するときは、その都度格子枠柵の位置決めを
しなければならず、特に、法面の保護構造の二段目以上
においては、左右及び下段の格子枠柵の位置を考慮して
位置決めしなければならない。このため、非常に面倒で
あるとともに、作業に熟練を要していた。
【0006】本発明の目的は、上記課題を解決し、限ら
れたスペースに効率よく収容でき、もって輸送・保管等
のコストを低減でき、さらに設置の容易な格子枠柵を備
えた法面、壁面等の保護構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の法面、壁面等の保護構造は、鉄筋格子製の
傾斜した前壁部と水平な横壁部とからなる格子枠柵を法
面、壁面等の保護対象面の前方に設置し、前記格子枠柵
と保護対象面との間に盛土材、岩石等の充填材を充填し
てなる法面、壁面等の保護構造において、前記格子枠柵
は、偏平な前壁部用鉄筋格子と、偏平な横壁部用鉄筋格
子とを、接続部材により接続してなるものである。
【0008】前記接続部材としては、特に限定されない
が、次の態様を例示できる。 (1)前記接続部材は、前記前壁部用鉄筋格子の縦鉄筋
が挿着される挿着孔と、前記横壁部用鉄筋格子の縦鉄筋
が挿着される挿着孔とを備えた複数の略L字接ぎ手であ
る態様。
【0009】(2)前記複数の略L字接ぎ手が互いに連
結された態様。
【0010】(3)前記接続部材は、前記横壁部用鉄筋
格子の縦鉄筋が挿着される挿着孔と、該横壁部用鉄筋格
子より上方の前記縦壁部用鉄筋の縦鉄筋が挿着される挿
着孔と、該横壁部用鉄筋格子より下方の前記縦壁部用鉄
筋格子の縦鉄筋が挿着される挿着孔とを備えた複数の略
横T字接ぎ手である態様。
【0011】(4)前記複数の略横T字接ぎ手が互いに
連結された態様。
【0012】前記挿着孔の内径は、前記縦鉄筋を挿入す
ることができる大きさであれば特に限定されないが、前
記縦鉄筋の中心位置と前記挿着孔の中心位置との多少の
ずれを許容するように、前記縦鉄筋の外径よりも少し大
きめに形成することが好ましい。
【0013】前記挿着孔への前記縦鉄筋の挿着方法は、
特に限定されないが、前記挿着孔へ前記縦鉄筋を挿入し
た後、溶接したり、かしめたりして固定することを例示
できる。
【0014】ここで、保護対象面の一つである「法面」
の種類は、特に限定されず、岩盤法面、コンクリート・
モルタル吹付法面、切土法面、盛土法面等を例示でき
る。同じく「壁面」の種類も、特に限定されず、擁壁や
ダム等のコンクリート構造物の壁面を例示できる。ま
た、保護対象面としては、「岸面」をも含み、該岸面の
種類は、特に限定されず、河川、人工運河等の水路の岸
面を例示できる。
【0015】「盛土材」は、岩石を含んだ土であるが、
さらにクリンカアッシュ、フライアッシュ、アスファル
ト廃材等を混合したものでもよい。盛土材は、施工現場
の土が好ましいが、他所から運んだ土でもよい。岩石の
寸法は、特に限定されず、大型の破砕岩石から2〜75
mm程度の礫まで含む。
【0016】格子枠柵の前壁部の前面側又は裏面側に流
土防止部材を配設してもよく、該流土防止部材として
は、緑化シート(後述する。)や、透水性の袋に土が入
れられてなる土嚢や、金網製かごに岩石が入れられてな
る蛇かご等を例示できる。
【0017】「土嚢」の「透水性の袋」としては、編
物、織布、不織布、生分解性材料フィルム(生分解性材
料については後述する。)等よりなる袋を例示できる。
土嚢には、肥料、土壌改良剤、保水剤、人工土壌、種子
又はこれらの組合わせを土とともに入れることもでき
る。また、土嚢には、緑化用植物の苗又は挿し木を容易
に植え付けることもできる。
【0018】格子枠柵の前壁部の後面と横壁部の上面と
に緑化用シートを配設することが好ましい。この緑化用
シートは、充填材のこぼれ落ちやエロージョンを防止で
き、植物の成長の妨げにならず、透水性のあるものであ
れば特に限定されず、目のやや粗い布、水溶性紙等を例
示できる。法面、壁面等に適用する場合に、好ましいも
のの一つは、土壌中の雑菌等の微生物(土壌中の雑菌は
バクテリアといわれるもので、細菌、糸状菌、放線菌等
がある。)により分解されて消滅する生分解性材料から
なる緑化用シートである。生分解性材料としては、デン
プン系化合物、蛋白質系化合物、ビニールエマルジョン
系化合物、ポリ乳酸系化合物、デンプンと樹脂とのブレ
ンド等を例示でき、これらから選ばれる少なくとも1種
を使用できる。生分解性材料からなる緑化用シートは、
種子が発芽・生育して施工面が安定した後は、土壌中の
微生物により分解され、やがて形状を維持できなくなり
消滅する。
【0019】また、格子枠柵の前壁部の前面側(土嚢又
は流土防止部材を格子枠柵の前壁部の前面側に設けた場
合は、それらの前面側)には、人工土壌、種子等を含む
吹付層を吹付形成することが好ましい。この吹付層とし
ては、人工土壌、種子、肥料、養生剤(吹付層の安定固
着を図る凝結剤)、土壌活性剤(微生物の活性化を図
る)等の素材を水にといて吹付けるいわゆる「客土吹付
工法」による厚さ約10〜30mmの吹付層や、同様の
素材を乾式で吹付けるいわゆる「厚層基材吹付工法」に
よる厚さ約30〜100mm(又はそれ以上におよぶ)
吹付層を例示できる。種子は施工現場の土、施工季節、
気象条件等に応じて適宜選択される。なお、吹付層は単
層にしても複数層にしてもよい。
【0020】また、必要に応じて、格子枠柵の横壁部の
下に強化シートを敷くこともできる。強化シートは充填
材の安定化機能と排水機能とを果たすものである。さら
に、強化シートの端部を保護対象面に固定することもで
き、この場合の強化シートは、次のアンカーと同様の作
用を奏する。
【0021】また、保護対象面にアンカーを固定し、該
アンカーに格子枠柵を連結材により連結することで、格
子枠柵の移動を強力に防止することもできる。アンカー
の形状や長さは、保護対象面に応じて適宜決定できる。
連結材は、格子枠柵をアンカーに連結保持するのに十分
高強度のものであれば、特に限定されず、金属ワイヤ、
金属鎖、合成樹脂ロープ、ガラス繊維ロープ等を例示で
きる。アンカーと連結材との接続の仕方は、アンカーに
係止部を設け、連結材の一端を該係止部に直接的に接続
する態様でも、保護対象面に沿って延びる取付材をアン
カーに固定し、連結材の一端を該取付材に接続すること
によりアンカーに間接的に接続する態様でもよい。取付
材としては、棒材、管材、アングル材、レール材等を例
示できる。
【0022】また、格子枠柵の前壁部が横壁部となす傾
斜角は、全段で一定でもよいが、一段毎に又は複数段毎
に上段側ほど大きく設定することもできる。具体的に
は、次の態様(a)(b)(c)を例示できる。 (a)一段目(最下段)の前壁部の傾斜角を例えば60
度とし、二段目以上の前壁部の傾斜角を順に62度、6
4度、66度、68度…とする等、一段毎に0.5〜1
0度ずつ大きくなるよう設定した態様。傾斜角の増加分
は、各段間で一定でもよいし、途中で変化させてもよい
(例えば同例で、60度、64度、67度、69度、7
0度…とする)。 (b)一段目〜三段目の前壁部の傾斜角を例えば60度
とし、四段目〜六段目の前壁部の傾斜角を64度とする
等、複数段毎に1〜10度ずつ大きくなるよう設定した
態様。傾斜角の増加分は、各段間で一定でもよいし、途
中で変化させてもよい。 (c)上記態様(a)と態様(b)とを混在させた態
様。
【0023】また、格子枠柵を構成する一部(例えば特
に強度が必要な部分)の鉄筋に、他の鉄筋より太いもの
を使用することもできる。これにより、鉄筋の一部が充
填材の圧力等によって正面側に湾曲変形する現象を防止
することができる。
【0024】また、下段の格子枠柵の前壁部の鉄筋格子
の上端側と、上段の格子枠柵の前壁部の鉄筋格子の下端
側とを結合することや、左右に隣接する格子枠柵の前壁
部同士を結合することもできる。このときの結合の態様
としては、特に限定されないが、針金で結びつける態様
や、スポット溶接等により溶接固定して結合する態様を
例示できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
《第一実施形態》図1〜図3は、本発明の第一実施形態
に係る岩盤法面の保護構造を示し、同保護構造は以下の
工程で構築されている。なお、岩盤法面1は例えば約6
0度の急斜面である。
【0026】[格子枠柵の設置工程] 一段目において
は、図1に示すように、岩盤法面1の下端前方の用地2
に強化シートとしての厚手の不織布3を敷き、不織布3
の上に必要数の格子枠柵5を横に並べて設置する。
【0027】図2に示すように、格子枠柵5は傾斜した
前壁部6と水平な横壁部7とを備えており、偏平な前壁
部用鉄筋格子11と、偏平な横壁部用鉄筋格子12と
を、接続部材13により接続してなるものである。
【0028】前壁部用鉄筋格子11と、横壁部用鉄筋格
子12とは、それぞれ鉄筋を縦横格子状に溶接(具体的
にはアーク溶接による溶着)して形成されたものである
(製造方法は例示であって特に限定されない)。
【0029】接続部材13は、前壁部用鉄筋格子11の
縦鉄筋11aが挿着される上挿着孔14aと、横壁部用
鉄筋格子12の縦鉄筋12aが挿着される横挿着孔14
bとを備えた複数の略L字接ぎ手14である。略L字接
ぎ手14はパイプ部材を折曲形成されたものである(製
造方法は例示であって特に限定されず、鋳造によって形
成してもよい。)。各挿着孔14a,14bの内径は、
各縦鉄筋11a,12aの外径よりも少し大きめに形成
されており、各縦鉄筋11a,12aの中心位置と各挿
着孔14a,14bの中心位置との多少のずれを許容す
るようになっている。なお、略L字接ぎ手14の挿着孔
14aと挿着孔14bとは、上記のように連通していな
くてもよい。
【0030】格子枠柵5の組み立て方法の一例について
説明すると、図3に示すように、まず、横壁部用鉄筋格
子12の前端側の各縦鉄筋12aを各略L字接ぎ手14
の横挿着孔14bに挿入し、横挿着孔14bの開口部に
横鉄筋12bが当たるまで(又は、縦鉄筋12aの先端
が横挿着孔14bの底に当たるまで)挿入する。そし
て、各縦鉄筋12aと各挿着孔14bとを溶接すること
によって固定する。このとき、各略L字接ぎ手14の上
挿着孔14aが設けられた側が横壁部用鉄筋格子12の
前端側から見て垂直に起立された状態にしておく。そし
て、前壁部用鉄筋格子11の下端側の各縦鉄筋11a
を、各略L字接ぎ手14の上挿着孔14aに、横壁部用
鉄筋格子12の場合と同様にして挿入・固定すると完成
する。
【0031】なお、前壁部6の上端と横壁部7の後端と
の間はフック付き連結棒等で連結してもよい。不織布3
は、横壁部7の後端を越えて岩盤法面1側へ広げられ
る。格子枠柵5の横壁部7は杭15により不織布3に止
められている。格子枠柵5の前壁部6と岩盤法面1との
間隔は、特に限定されず、本実施形態では例えば約20
00〜5000mmである。
【0032】本実施形態において使用した格子枠柵5の
寸法等は次の通りであるが、例示にすぎず、この寸法等
は施工現場に応じて適宜変更されるものである。 前壁部6が横壁部7となす傾斜角: 約60度 前壁部6の傾斜長: 約600mm 横壁部7の奥行: 約600mm 前壁部6及び横壁部7の左右長: 約2600mm 鉄筋の直径: 約10mm 鉄筋格子11,12の格子ピッチ: 100〜300mm 略L字接ぎ手14の挿着孔14a,14bの直径: 約20mm
【0033】[緑化用シート敷設工程] 格子枠柵5の
前壁部6の後面と横壁部7の上面とに、目のやや粗い緑
化用シート8を敷く。緑化用シート8の上端を少し余ら
せて、前壁部6の前面に一時的に垂らしておくとよい
(図示略)。緑化用シート8は、特定の素材に限定され
ず、織布、不織布等を例示できる。
【0034】[盛土材充填工程] 格子枠柵5と岩盤法
面1との間に現場の土等を利用して盛土材9を充填す
る。盛土材9を衝撃ローラー等で締め固める。余らせて
おいた前記緑化用シート8の上端を盛土材9の上面に被
せる。これで一段目が形成される。
【0035】[多段繰り返し工程] 盛土材9の上面に
対し、上記の格子枠柵の設置工程、緑化用シート敷設工
程、横鉄筋端部の折曲工程及び盛土材充填工程を行なっ
て、二段目を形成する。この作業を下から上へ繰り返し
て、格子枠柵5及び盛土材9を多段に構築する。このと
き、下段の格子枠柵5の前壁部6に対して、上段の格子
枠柵5の前壁部6が後側に重なるように配置するととも
に、下段側の格子枠柵5の前壁部6の縦鉄筋11aの上
端よりも、上段の格子枠柵5の前壁部6の最下側の横鉄
筋11bが下側になるように配置する。こうすることに
より、上段の格子枠柵5が前方にずれるのを下段の格子
枠柵5によって防止することができる。最上段の格子枠
柵5では、前壁部6の縦鉄筋の上端6aを後側下方へ折
り曲げて仕上げる。
【0036】[吹付層形成工程] 格子枠柵5の前壁部
用鉄筋格子11を通して現れる緑化用シート8の前面
に、種子及び人工土壌を含む吹付層16を吹付形成す
る。本実施形態では、前記「厚層基材吹付工法」により
厚さ約60mmの吹付層16を形成した。
【0037】以上の工法で構築された岩盤法面1の保護
構造によれば、格子枠柵5を使用したことにより、急
勾配でも施工できる、施工に重機を必要とせず、人力
作業が可能であり、施工が簡単で、多くの人手を要し
ない、施工効率が良く、工期を短縮できる、カーブ
した岩盤法面1にも容易に対応できる、現場の土を盛
土材9として利用できる等の多くの効果が得られる。
【0038】また、格子枠柵5を前壁部用鉄筋格子11
と横壁部用鉄筋格子12と接続部材13とで構成したの
で、次の効果を得ることができる。 組み立て前は、平らな前壁部用鉄筋格子11及び横
壁部用鉄筋格子12と、比較的小型の複数の略L字接ぎ
手14よりなる接続部材13とに分離されている。この
ため、輸送・保管等のときに限られたスペースに収容し
ようとするときに、前壁部用鉄筋格子11と横壁部用鉄
筋格子12とを、スペースに応じて適宜縦又は横方向に
層状に積み重ねることができ、略L字接ぎ手14を比較
的小さなスペースに詰め込むことができる。従って、限
られたスペースに効率よく収容することができる。
【0039】 同じく組み立て前は前壁部用鉄筋格子
11と横壁部用鉄筋格子12と略L字接ぎ手14とに分
離されているため、格子枠柵5の重量が各部11,1
2,14に分散され、クレーン等の利用が困難な場合
や、作業者が小人数である場合でも容易に運搬・設置作
業をすることができる。
【0040】また、緑化用シート8の前面に種子及び人
工土壌を含む吹付層16を吹付形成したので、単に緑化
用シートに種子を内蔵した場合と比べて、種子の発芽性
及び成長性が良く、洋芝等の種子の発芽による1次植生
を短期間で達成することができる。その後は、木本植物
が成長する。
【0041】《第二実施形態》次に、図4及び図5は、
第二実施形態に係る岩盤法面1の保護構造を示してお
り、接続部材13を複数の略横T字接ぎ手22にするこ
とにより、前壁部用鉄筋格子11及び横壁部用鉄筋格子
12をそれぞれ複数備えた格子枠柵20にした点と、岩
盤法面1にアンカー32を固定し、該アンカー32に格
子枠柵20を連結材34により連結した点においての
み、第一実施形態と相違している。
【0042】まず、格子枠柵20について説明すると、
略横T字接ぎ手22は、横壁部用鉄筋格子12の縦鉄筋
12aが挿着される横挿着孔22cと、横壁部用鉄筋格
子12より上方の前壁部用鉄筋格子11の縦鉄筋11a
が挿着される上挿着孔22aと、横壁部用鉄筋格子12
より下方の前壁部用鉄筋格子11の縦鉄筋11aが挿着
される下挿着孔22bとを備えている。
【0043】格子枠柵20の最下段は、次のように組み
立てる(例示であって、これに限定されない)。まず、
各略横T字接ぎ手22の下挿着孔22bにそれぞれ先端
が尖形にされたアンカー鉄筋23の基端側を挿着し、横
挿着孔22cに横壁部用鉄筋格子12の前端側の縦鉄筋
12aをそれぞれ挿着する。このとき、各略横T字接ぎ
手22の上挿着孔22aが設けられた側が横壁部用鉄筋
格子12の前端側から見て垂直に起立された状態にす
る。そして、前壁部用鉄筋格子11の下端側の各縦鉄筋
11aを各略横T字接ぎ手22の上挿着孔22aに挿着
すると、格子枠柵20の最下段が完成する。基底部のア
ンカー鉄筋23は用地2に埋め込まれて(又は打ち込ま
れて)、位置が固定される。
【0044】格子枠柵20の二段目以上については、ま
ず、各略横T字接ぎ手22の横挿着孔22cに横壁部用
鉄筋格子12の前端側の縦鉄筋12aをそれぞれ挿着す
る。次いで、下挿着孔22bにその下段の前壁部用鉄筋
格子11の縦鉄筋11aの上端部を挿着し、上挿着孔2
2aに新たな前壁部用鉄筋格子11の各縦鉄筋11aの
下端部を挿着することにより組み立てる。
【0045】次に、岩盤法面1への格子枠柵20の連結
について説明すると、まず、格子枠柵20の組み立て前
に、岩盤法面1に多数の取付孔31を縦横に間隔をおい
てあけ、各取付孔31に金属棒よりなるアンカー32を
挿入し、モルタル、接着剤、樹脂等の充填材33で固定
する。アンカー32の手前端部にはリング形状の係止部
が形成されている。
【0046】格子枠柵20の各段を設置した後、該格子
枠柵20をアンカー32に連結材34により連結する。
連結材34はアセンブリ化されたもので、金属厚板製の
二つのフック35と、両フック35を繋ぐ金属撚り線よ
りなるワイヤ36とからなる。各フック35を格子枠柵
20とアンカー32の係止部に引っ掛ければ、容易に格
子枠柵20をアンカー32に連結できる。格子枠柵20
の連結箇所は、前壁部6でも横壁部7でもよいが、前壁
部6の下部の横鉄筋や横壁部7の横鉄筋が適当であり、
格子枠柵20毎に少なくとも二箇所とすることが好まし
い。
【0047】本実施形態によれば、第一実施形態による
効果に加え、略横T字接ぎ手を用いて格子枠柵20を組
み立てたので、次の効果を得ることができる。 (1)格子枠柵20の二段目以上については、略横T字
接ぎ手により、その段の前壁部用鉄筋格子をその下段の
前壁部用鉄筋格子11に接続するだけでその段の前壁部
用鉄筋格子11の位置が決まる。このため、簡単な作業
で法面、壁面等の保護構造を見栄えよく構築することが
できる。
【0048】(2)上下方向の前壁部用鉄筋格子11が
一体化されることにより、盛土材9を広い範囲に渡って
抱持し、その崩れを防止する。
【0049】さらに、盛土材9の奥行きを2000mm
以下(例えば約500mm)と小さくしても、アンカー
32に連結材34で連結された格子枠柵20が盛土材9
を抱持してその崩れを防止する。従って、岩盤法面1の
下端のすぐ前方に側溝、道路、所有地境界等があって、
用地2の幅が狭い場合でも、簡単に施工することができ
る。
【0050】《第三実施形態》次に、図6は、第三実施
形態に係る岩盤法面1の保護構造を示しており、接続部
材13として、複数の略横T字接ぎ手が各挿着孔22
a,22b,22cの向きを互いに平行にして連結され
た連結略横T字接ぎ手40を用いている点においての
み、第二実施形態と相違している。
【0051】本実施形態によれば、第二実施形態による
効果に加え、第二実施形態のように複数の横T字部材2
2に鉄筋格子11,12の各縦鉄筋11a,12aをそ
れぞれ挿着する手間が省け、格子枠柵20を容易に組み
立てることができる。
【0052】《第四実施形態》次に、図7は第四実施形
態に係る岩盤法面1の保護構造を示しており、格子枠柵
20の前壁部6が横壁部7となす傾斜角を上段側ほど大
きくなるように設定した略横T字接ぎ手44を使用した
(具体的には、一段目(最下段)の傾斜角を例えば約5
0度とし、二段目以上の傾斜角は一段毎に1〜5度ずつ
大きくする。)点においてのみ、第二実施形態と相違し
ている。
【0053】上記のように前壁部6の傾斜角を設定する
ことにより、土圧が大きい下段側において前壁部6の傾
斜角を小さくでき、盛土材9の土圧に耐える力を確保で
きる。また、土圧が小さい上段側ほど前壁部6の傾斜角
を大きくでき、上端の法肩48が前進して、天端面の有
効面積を広げることができる。
【0054】なお、本発明は前記実施形態の構成に限定
されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しな
い範囲で適宜変更して具体化することもできる。 (1)第一実施形態において、接続部材13を、複数の
略L字接ぎ手14が各挿着孔14a,14bの向きを互
いに平行にして連結された連結略L字接ぎ手にするこ
と。 (2)第一実施形態において、格子枠柵5の前壁部6が
横壁部7となす傾斜角を上段側ほど大きく設定した略L
字接ぎ手にすること。
【0055】(3)第一実施形態では、下段の格子枠柵
5の前壁部6に対して上段の格子枠柵5の前壁部6が後
側に重なるように配置されているが、図8に示すよう
に、下段の格子枠柵5の前壁部6に対して上段の格子枠
柵5の前壁部6が前側に重なるように配置することもで
きる。なお、図8では、便宜上、格子枠柵5以外の各部
の図示を省略している。
【0056】(4)第一実施形態では、下段の格子枠柵
5の前壁部6と、上段の格子枠柵5の前壁部6とを結合
していないが、下段の格子枠柵5の前壁部6の縦鉄筋の
上端側と、上段の格子枠柵5の前壁部6の縦鉄筋の下側
とを結合することもできる。このときの結合の態様とし
ては、特に限定されないが、図8及び図9に示すように
針金50で結びつける態様や、スポット溶接等により溶
接固定して結合する態様を例示できる。
【0057】(5)各実施形態において、左右に隣接す
る格子枠柵の前壁部同士を結合すること。このときの結
合の態様としては、特に限定されないが、針金で結びつ
ける態様や、スポット溶接等により溶接固定して結合す
る態様を例示できる。
【0058】(6)各実施形態において、図10に太線
で示すように、前壁部用鉄筋格子11(又は横壁部用鉄
筋格子12)を構成する一部(例えば特に強度が必要な
部分)の鉄筋に、他の鉄筋より太いものを使用するこ
と。これにより、鉄筋の一部が充填材の圧力によって正
面側に湾曲変形する現象を防止することができる。
【0059】(7)各実施形態において、接続部材に略
L字接ぎ手と略横T字接ぎ手とを混在させて用いるこ
と。具体的には、特に限定されないが、略L字接ぎ手と
略横T字接ぎ手とを交互に配することを例示できる。
【0060】(8)第二〜四実施形態において、図11
に示すように、略横T字接ぎ手22,44や連結略横T
字接ぎ手40に代えて最下段の接続部材13に略L字接
ぎ手14を用いること。なお、図11では、便宜上、格
子枠柵20以外の各部の図示を省略している。
【0061】(9)第二〜四実施形態において、図12
に示すように下側の前壁部用鉄筋格子11に対して、上
側の前壁部用鉄筋格子11を左右方向にずらして接続部
材13に挿着するようにすること。こうすることによ
り、上下方向のみならず左右方向の前壁部用鉄筋格子1
1同士をも一体化することができる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1、2の発
明によれば、限られたスペースに効率よく収容でき、も
って輸送・保管等のコストを低減でき、さらに設置の容
易な格子枠柵を備えた法面、壁面等の保護構造を提供す
ることができる。
【0063】上記効果に加え、請求項3の発明によれ
ば、格子枠柵を容易に組み立てることができる。
【0064】上記効果に加え、請求項4の発明によれ
ば、簡単な作業で法面、壁面等の保護構造を見栄えよく
構築することができる。
【0065】また、請求項5の発明によっても請求項3
の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第一実施形態の岩盤法面の
保護構造を示す縦断面図である。
【図2】同保護構造の格子枠柵を示す斜視図である。
【図3】同保護構造の格子枠柵の組み立て方法を示す分
解側面図である。
【図4】本発明を具体化した第二実施形態の岩盤法面の
保護構造を示す縦断面図である。
【図5】同保護構造の格子枠柵を示す斜視図である。
【図6】本発明を具体化した第三実施形態の岩盤法面の
保護構造を示す斜視図である。
【図7】本発明を具体化した第四実施形態の岩盤法面の
保護構造を示す縦断面図である。
【図8】第一実施形態における格子枠柵の配置の変更例
を示す斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】各実施形態における前壁部用又は横壁部用の
鉄筋格子の変更例を示す平面図である。
【図11】第二〜四実施形態における格子枠柵の変更例
を示す側面図である。
【図12】第二〜四実施形態における格子枠柵の変更例
を示す正面図である。
【図13】従来の法面の保護構造の格子枠柵を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1 岩盤法面 5 格子枠柵 6 前壁部 7 横壁部 9 盛土材 11 前壁部用鉄筋格子 11a 縦鉄筋 12 横壁部用鉄筋格子 12a 縦鉄筋 13 接続部材 14 略L字接ぎ手 14a 上挿着孔 14b 横挿着孔 20 格子枠柵 22 略横T字接ぎ手 22a 上挿着孔 22b 下挿着孔 22c 横挿着孔 40 連結略横T字接ぎ手 44 略横T字接ぎ手

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な横
    壁部とからなる格子枠柵を法面、壁面等の保護対象面の
    前方に設置し、前記格子枠柵と保護対象面との間に盛土
    材、岩石等の充填材を充填してなる法面、壁面等の保護
    構造において、 前記格子枠柵は、偏平な前壁部用鉄筋格子と、偏平な横
    壁部用鉄筋格子とを、接続部材により接続してなるもの
    である法面、壁面等の保護構造。
  2. 【請求項2】 前記接続部材は、前記前壁部用鉄筋格子
    の縦鉄筋が挿着される挿着孔と、前記横壁部用鉄筋格子
    の縦鉄筋が挿着される挿着孔とを備えた複数の略L字接
    ぎ手である請求項1記載の法面、壁面等の保護構造。
  3. 【請求項3】 前記複数の略L字接ぎ手が互いに連結さ
    れた請求項2記載の法面、壁面等の保護構造。
  4. 【請求項4】 前記接続部材は、前記横壁部用鉄筋格子
    の縦鉄筋が挿着される挿着孔と、該横壁部用鉄筋格子よ
    り上方の前記縦壁部用鉄筋の縦鉄筋が挿着される挿着孔
    と、該横壁部用鉄筋格子より下方の前記縦壁部用鉄筋格
    子の縦鉄筋が挿着される挿着孔とを備えた複数の略横T
    字接ぎ手である請求項1記載の法面、壁面等の保護構
    造。
  5. 【請求項5】 前記複数の略横T字接ぎ手が互いに連結
    された請求項4記載の法面、壁面等の保護構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019206835A (ja) * 2018-05-29 2019-12-05 田中鉄筋工業株式会社 バラスト止め

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