JPH1180245A - プロピレンポリマー - Google Patents

プロピレンポリマー

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JPH1180245A
JPH1180245A JP10177434A JP17743498A JPH1180245A JP H1180245 A JPH1180245 A JP H1180245A JP 10177434 A JP10177434 A JP 10177434A JP 17743498 A JP17743498 A JP 17743498A JP H1180245 A JPH1180245 A JP H1180245A
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propylene polymer
propylene
weight
titanium
compound
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Stephan Dr Hueffer
シュテファン、ヒュファー
Joachim Dr Roesch
ヨーアヒム、レシュ
Franz Dr Langhauser
フランツ、ラングハウザー
Dieter Dr Lilge
ディーター、リルゲ
Roland Dr Hingmann
ローラント、ヒングマン
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BASF SE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】より高い剛性対強度の比を有し、かつ低塩素含
有量を有し、しかも高い生産性を有する方法により製造
することのできる、プロピレンポリマーを提供すること
である。 【解決手段】最初に沸騰キシレン中にプロピレンポリマ
ーを溶解し、次いで該溶液を、毎時10℃の冷却速度で
25℃まで冷却し、しかる後、温度を上昇し、プロピレ
ンポリマーを様々な溶解度の画分に分離することによ
り、ポリマー鎖の立体規則度とコモノマー分布とに従う
プロピレンポリマーの分離を行うに際し、冷却したプロ
ピレンポリマー溶液を80℃まで加熱したときに未溶解
のまま残るマトリックスが、i)更に112℃まで加熱
したとき、20重量%を超える量で未溶解のまま残る
か、ii) 更に117℃まで加熱したとき、8重量%を超
える量で未溶解のまま残るか、iii)更に122℃まで加
熱したとき、1重量%を超える量で未溶解のまま残る
か、いずれかの条件の一つ又はそれ以上を満たすように
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレンホモポ
リマー及びプロピレンと他のアルケンとのコポリマーの
マトリックスを含有するプロピレンポリマーにおいて、
最初に沸騰キシレン中にプロピレンポリマーを溶解し、
次いで該溶液を、毎時10℃の冷却速度で25℃まで冷
却し、しかる後、温度を上昇し、プロピレンポリマーを
様々な溶解度の画分(フラクション)に分離することに
より、ポリマー鎖の立体規則度とコモノマー分布とによ
るプロピレンポリマーの分離を行うに際し、冷却したプ
ロピレンポリマー溶液を80℃まで加熱したときに未溶
解のまま残るマトリックスが、 i)更に112℃まで加熱したとき、20重量%を超え
る量で未溶解のまま残るか、 ii) 更に117℃まで加熱したとき、マトリックス
の8重量%を超える量で未溶解のまま残るか、 iii)更に122℃まで加熱したとき、マトリックス
の1重量%を超える量で未溶解のまま残るかのいずれか
の条件の一つ又はそれ以上を満たすことを特徴とするプ
ロピレンポリマーに関する。
【0002】本発明は、さらにまた、プロピレンポリマ
ーの製造方法、フィルム、繊維又は成形体の製造につい
てのこれらの用途、及びこれらのプロピレンポリマーを
含有するフィルム、繊維又は成形体に関する。
【0003】
【従来の技術】未公開のドイツ特許出願P197107
61.3には、特には高結晶性を有し、かつチタン含有
固体成分、アルミニウム化合物及び電子供与性化合物を
含有する触媒系を用いて製造されたプロピレンホモポリ
マーが記載されている。
【0004】チーグラー・ナッタ触媒上の重合により得
られるプロピレン/エチレンコポリマーは、多くの特許
公報中に記載されている。US−A 4 260 71
0には、チーグラー・ナッタ触媒の助けによる攪拌釜中
での重合による、アルカ−1−エンのホモポリマー及び
コポリマーの製造方法が開示されている。用いられた触
媒成分は、シラン、エステル、エーテル、ケトン又はラ
クトンが一般に用いられる電子供与性化合物と同様、と
りわけ、多価チタン、ハロゲン化アルミニウム及び/又
はアルキルアルミニウムの化合物を含有する(EP−B
14 523、EP−B 45 977、EP−B
86 473、US−A 857 613、EP−A
171 200)。
【0005】さらにまた、チーグラー・ナッタ触媒の助
けによるプロピレン/エチレンブロックコポリマーの製
造についてのいくつかの方法が公知であり(US−A
4454 299、US−A 4 455 405、Z
A−B 0084/3561、ZA−B 0084/3
563、ZA−B 0084/5261、GB−B1
032 945、DE−A 38 27 565)、こ
れらにおいては、最初に気体プロピレンを第1反応領域
中で重合し、次いで、そこから得られるホモポリマーを
第2反応領域へもたらし、そこでエチレンとプロピレン
との混合物をそれと重合させる。この方法は、通常、過
圧下で、かつ分子量調節剤としての水素の存在下で実施
される。一般に得られるコポリマーは、良好な衝撃強度
と剛性を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】第1段階で得るホモポ
リマーと第2段階において重合させるコポリマーの量を
変化させることにより、プロピレン/エチレンブロック
コポリマーの衝撃強度を制御することが可能である。し
かしながら、衝撃強度の増大には不可避的に剛性の減少
が付随し、また逆に、剛性の増大には衝撃強度の低下を
伴う。しかしながら、プラスチックの用途によっては、
衝撃強度を低下させることなく剛性を増大させること、
又は剛性を減少させることなく衝撃強度を向上させるこ
とが必要である。さらにまた、ポリマーは非常に低い塩
素含有量を有している必要があり、また、経済的理由か
ら、用いる触媒系の生産性のさらなる向上も重要であ
る。
【0007】本発明の目的は、より高い剛性対強度の比
を有し、かつ低塩素含有量を有し、しかも高い生産性を
有する方法により製造することのできる、プロピレンポ
リマーを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この目的
が、冒頭に述べたプロピレンポリマーならびにその製造
方法、フィルム、繊維又は成形体の製造についてのその
使用及びこれらのプロピレンポリマーを含有するフィル
ム、繊維又は成形体によって達成されることを見出し
た。
【0009】この新規プロピレンポリマーは一般に、少
なくとも2相を有する形態で存在する。これらは、マト
リックスと呼ばれるプロピレンホモポリマーの連続相を
含有する。このマトリックス相は半結晶性であり、すな
わち結晶化画分、つまり結晶質と、アモルファス画分と
から成る。本発明によれば、プロピレンホモポリマーの
語はまた、少量の他のアルケンが共重合体単位であるプ
ロピレンポリマーを意味することも意図するものであ
り、このプロピレンホモポリマーは、一般に2未満、特
には1重量%未満の他のアルケンを含有する。新規プロ
ピレンホモポリマーのマトリックスは、好ましくはモノ
マーとしてプロピレンのみを含有する。
【0010】新規プロピレンポリマーは、好ましくはマ
トリックス形成プロピレンホモポリマーを50〜92重
量%含有する。特に好ましくは、マトリックスの量は6
0〜90重量%である。
【0011】さらにまた、新規プロピレンポリマーは、
マトリックスから分離した相として存在しかつ結晶性が
非常に低いか又は結晶性を示さない、プロピレンと他の
アルケンとのコポリマーを含有する。ゴム又はエラスト
マーと称するこのコポリマーは、概して、20〜85重
量%のプロピレンを含有する。コポリマーのプロピレン
含有量は、好ましくは35〜80、特には45〜70重
量%である。マトリックス対エラストマーの選定比に依
存するが、プロピレンと他のアルケンとのコポリマーの
相は、マトリックス中に分散した形態で存在するか又
は、マトリックスと同様に連続的でありそのため相互に
連続的である。
【0012】プロピレンと共重合する他のアルケンは、
好ましくは炭素原子が10個以下のアルカ−1−エンで
ある。エチレン、ブタ−1−エン、ペンタ−1−エン、
ヘキサ−1−エン、ヘプタ−1−エン及びオクタ−1−
エン又はこれらのコモノマーの混合物が特に好適であ
り、エチレン及びブタ−1−エンが好ましい。エラスト
マーとして作用するコポリマーの場合、非共役ジエン、
例えばエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン
又は1,4−ヘキサジエンは他のアルケンとしても存在
することができ、その後、概してエチレン及びプロピレ
ンと共重合する。
【0013】新規プロピレンポリマーは、プロピレンと
他のアルケンとのコポリマーを、好ましくは8〜50重
量%含有する。特に好ましくは、エラストマー相の量は
10〜40重量%である。
【0014】実質的な成分に加えて、新規プロピレンポ
リマーはまた、さらなるアルケンのホモポリマー又はコ
ポリマー、例えばエチレン又はポリイソブチレンのホモ
ポリマー又はコポリマーを含有してもよい。例えば、ア
ルケンのさらなるホモポリマー又はコポリマーの量は、
全プロピレンポリマーに対して0〜30重量%であって
よい。
【0015】様々な立体規則度と様々なコモノマー結合
を有するポリマー鎖の画分に関するプロピレンポリマー
の分析の一つの方法は、TREF(温度上昇溶離分別
法)であり、この方法は、ポリマー画分の溶解温度を欠
陥なしで構築されたシーケンスのその平均長に対応させ
るものである。TREFを行うことにより、プロピレン
ポリマーを最初高温の、好ましくは沸騰のキシレン中で
溶解し、次いでその溶液を一定冷却速度で冷却して、さ
らにその後、温度上昇に伴って、プロピレンポリマーを
異なる結晶性の画分に分離する。プロピレンポリマーの
組成は、冷却されたプロピレンポリマー溶液を規定され
た温度まで加熱した際に未溶解のまま残る画分によって
表わすことができる。
【0016】プロピレンホモポリマー及びプロピレンと
他のアルケンとのコポリマーの混合物の分別において、
様々なモノマーを含有するポリマー鎖はまず溶解温度の
上昇に伴い溶液となるが、モノマー型の平均シーケンス
長が短いほど、溶解温度は低くなる。このことは、最初
にエラストマー画分が溶液となり、その後、より高温に
おいて、ポリマー鎖の平均アイソタクチックシーケンス
長に関し再度分離することができるマトリックスになる
ことを意味する。80℃以下で溶液となるポリマー画分
がエラストマー相に起因するものとしうるのに対して、
80℃においても未溶解のまま残り、かつより高温にお
いてのみ溶液となる画分はマトリックスから生ずるとい
うことが見出された。
【0017】新規プロピレンポリマーは、マトリックス
中に、長い無欠陥アイソタクチックプロピレンシーケン
スを伴うポリマー鎖を高い含有量で有する。マトリック
ス、すなわち、冷却されたポリマー溶液の80℃までの
加熱においても未溶解のまま残るプロピレンポリマーの
画分に関して、プロピレンポリマーは以下の条件i)〜
iii): i)更に112℃に加熱したとき20を超え、好ましく
は30を超え、特には40重量%を超えるマトリックス
が未溶解のまま残ること、 ii)更に117℃に加熱したときにおいても8を超
え、好ましくは12を超え、特には16重量%を超える
マトリックスが未溶解のまま残ること、 iii)更に122℃に加熱したときにおいても1を超
え、好ましくは2を超え、特には3重量%を超えるマト
リックスが未溶解のまま残ること、のうちどれか一つあ
るいは好ましくは二つ又は全てを満たす。
【0018】このプロピレンポリマーの組成を本発明に
従い決定するために、TREFは以下のような方法で行
う。
【0019】0.5〜2重量%濃度の溶液を得るため
に、1〜10gのプロピレンポリマーを十分な量の沸騰
キシレン中で溶解する。沸騰した溶液は、次に、2〜1
5、好ましくは10〜25℃/hの直線的冷却速度で、
又はより低い温度をもって冷却し、ポリマーの主要部を
沈殿させる。その結晶懸濁液を、その後、Makrom
ol.Chem.178.(1977)、2355中に
W.Holtupにより記載されているものに相当する
恒温抽出装置に移して、さらに第1溶離温度まで加熱す
る。次いで、ポリプロピレン結晶を、この温度において
激しく混合することによって少なくとも10分間抽出す
る。その後も、ポリマー結晶が抽出器中に残留している
うちは、ポリマー溶液を排出する。溶解ポリマーを冷ア
セトン(温度0℃未満)中で沈殿させ、さらにその沈殿
物を濾過してかつ、減圧下で重量が一定になるまで乾燥
させる。
【0020】次いで、抽出器は、次の溶離温度まで加熱
し、同温度のキシレンを、溶解に用いるのと同量添加す
る。その後もう一度、激しく混合することによって少な
くとも10分間抽出を行い、ポリマー溶液を排出させ
て、溶解ポリマーを冷アセトン中で沈殿させ、沈殿物を
濾過しかつ乾燥させる。これらの処理は全ポリマーが溶
解するまで繰り返す。
【0021】エラストマー画分は80℃以下で溶解した
画分に相当し、またマトリックス画分はより高い溶離温
度で溶解する全画分の和である。個々の温度で不溶であ
るマトリックス画分は、全マトリックス画分に対する相
当する温度におけるTREF画分の比から得られる。
【0022】マトリックスが新規プロピレンポリマーの
一部分のみを占めるために、112℃、117℃及び1
22℃までの加熱においても未溶解のまま残る画分は全
プロピレンポリマーに対して当然小さく、またエラスト
マー画分に対するマトリックス画分の比に依存する。
【0023】新規プロピレンポリマーは、あらかじめ別
々に重合した画分の溶融物を混合することにより製造し
うる。混合はその際、それ自体が公知の方法、例えば押
し出し成形機によって行われる。かかる方法で製造され
たポリマーブレンドは、マトリックスの製造に好適であ
る他の触媒系を用いて得られるポリマー、例えばポリイ
ソブチレン又はエチレン/プロピレン/ジエン/(EP
DM)ゴムなどを含有してもよい。
【0024】しかしながら、新規プロピレンポリマーを
好ましくは多段階重合方法で製造し、概してマトリック
スを第1段階で重合しそしてその後プロピレンの他のア
ルケンとのコポリマーを第2段階で直ちに重合する。加
えて、その後に続く段階で、アルケンのさらなるホモポ
リマー又はコポリマーの重合が可能である。かかる方法
について特に好適なアルケンは、炭素原子が10個以下
のアルカ−1−エンである。
【0025】本発明によると同様の方法で、プロピレン
ポリマーを、第1重合段階での50〜120℃、及び1
5〜40バールにおけるプロピレンの重合と、またそれ
に続く、チーグラー・ナッタ触媒系存在下の第2重合段
階での30〜100℃、及び5〜40バールにおけるプ
ロピレンと炭素原子が10個以下の他のアルカ−1−エ
ンとの共重合によって製造するが、この触媒系は、活性
成分として、ハロゲン化チタンを塩素非含有マグネシウ
ム化合物と反応させることにより得られるチタン含有固
体成分a)、担体として無機酸化物、C〜Cのアル
カノール及び電子供与性化合物及び、助触媒として、ア
ルミニウム化合物b)及び更に別の電子供与性化合物
c)を含有する。
【0026】チタン含有固体成分a)の製造のために、
用いられるハロゲン化チタンは3価又は4価チタンのハ
ロゲン化物、例えばTiBr、TiBr、TiCl
あるいはTiCl、又はハロゲン化アルコキシチタ
ン、例えばTi(OCH)Cl、Ti(OC
)Cl、Ti(O−イソ−C)Cl
Ti(O−n−C)Cl、Ti(OC
Br、Ti(O−n−C)Br、Ti(OC
Cl、Ti(OCCl、Ti
(O−n−CCl、Ti(OC
Br、Ti(OCHCl、Ti(OC
Cl、Ti(O−n−CCl又はTi(O
Brなどであり、チタンの他にハロゲン原
子しか含有しないハロゲン化チタン、さらにこれらの中
でも特には塩化チタンまたとりわけ四塩化チタンが好ま
しい。本発明によれば、ハロゲン化チタンはまた、互い
の混合物として、又はさらなるチタン化合物との混合物
中でも用いることができる。好適なその他のチタン化合
物の例としては、チタンアルコラート、例えばTi(O
CH、Ti(OC又はTi(O−n−
などがある。好ましくは、ハロゲン化チタ
ンが単独で用いられる。
【0027】さらにまた、塩素非含有マグネシウム化合
物又は該化合物の混合物を、チタン含有固体成分の製造
において用いる。塩素非含有マグネシウム化合物は、本
発明によれば、その構造式中にハロゲン原子を含有しな
いものを表すものとする。しかしながら、新規である塩
素非含有マグネシウム化合物中の不純物として含有され
るハロゲンの量は、5、特には2重量%を越えるべきで
ない。好適な塩素非含有マグネシウム化合物は、アルコ
キシマグネシウム及びアリールオキシマグネシウム化合
物ならびに、特にはアルキルマグネシウム及びアリール
マグネシウムであり、好ましくはジ−C〜C10−ア
ルキルマグネシウム化合物を用いる。新規である塩素非
含有マグネシウム化合物の例としては、ジエチルマグネ
シウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジ−イソプロ
ピルマグネシウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−
sec−ブチルマグネシウム、ジ−tert−ブチルマ
グネシウム、ジアミルマグネシウム、n−ブチルエチル
マグネシウム、n−ブチル−sec−ブチルマグネシウ
ム、n−ブチルオクチルマグネシウム、ジフェニルマグ
ネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロピル
オキシマグネシウム、ジ−イソプロピルオキシマグネシ
ウム、ジ−n−ブチルオキシマグネシウム、ジ−sec
−ブチルオキシマグネシウム、ジ−tert−ブチルオ
キシマグネシウム、ジアミルオキシマグネシウム、n−
ブチルオキシエトキシマグネシウム、n−ブチルオキシ
−sec−ブチルオキシマグネシウム、n−ブチルオキ
シオクチルオキシマグネシウム及びジフェノキシマグネ
シウムがある。これらの中でも、n−ブチルエチルマグ
ネシウム及びn−ブチルオクチルマグネシウムが特に好
ましい。
【0028】加えて、チタン含有固体成分a)は担体と
して少なくとも1種の無機酸化物を含有する。概して、
5〜200μm、好ましくは15〜100μmまた特に
は20〜70μmの粒子径中央値を有する微粉砕された
無機酸化物を、担体として用いる。この粒子径中央値
は、ここではASTM Standard D 443
8に従ってコールターカウンター分析法により測定され
た粒子大きさの分布の体積相関中央値を表すものとす
る。
【0029】好ましくは、微粉砕された無機酸化物の粒
子は、1〜20μm、特には3〜10μmの一次粒子径
中央値を有する一次粒子を含有する。一次粒子は一般に
無機酸化物のヒドロゲルの粉砕により得られる多孔性、
顆粒状の酸化物の粒子である。次の工程に入る前に、一
次粒子をふるいにかけることも可能である。
【0030】さらに、好ましく用いられる無機酸化物
は、0.1〜20μm、特には1〜15μmの平均直径
を持つキャビティ又はチャネルを有するという事実によ
っても特徴づけられるが、その巨視的体積画分は全粒子
に対して5〜30%、特には10〜30%である。
【0031】無機酸化物の一次粒子径中央値ならびにキ
ャビティ及びチャネルの巨視的体積画分を、無機酸化物
の粒子表面上と粒子断面積上のいずれの場合でも、走査
電子顕微鏡又は電子プローブ微量分析の助けにより、画
像解析によって測定するのが好都合である。得た電子顕
微鏡写真を評価し、一次粒子径中央値ならびにキャビテ
ィ及びチャネルの巨視的体積画分をそこから測定する。
画像解析は、好適なコンピュータープログラムを用いて
電子顕微鏡のデータのグレースケールバイナリーイメー
ジへの転換と、デジタル評価によって行うのが好まし
い。
【0032】好ましく用いられる無機酸化物を、例え
ば、この目的のため水又は脂肪族アルコールと混合した
粉砕ヒドロゲルを噴霧乾燥して、保有しておく。かかる
微粉砕された無機酸化物はまた、市販もされている。
【0033】微粉砕された無機酸化物はさらに通常、
0.1〜10、好ましくは1.0〜4.0cm/gの
細孔体積及び10〜1000、好ましくは100〜50
0m/gの比表面積を有するが、これらはDIN 6
6133に従って水銀多孔度計分析により、及びDIN
66131に従って窒素吸収により測定する値とす
る。
【0034】無機酸化物のpH、すなわちプロトン濃度
の底が10である負対数は、好ましくは1〜6.5、特
には2〜6、特に好ましくは3.5〜5.5である。
【0035】特に好適な無機酸化物は、ケイ素の、アル
ミニウムの、チタンの、又は周期律表の主族I及びII
の金属のうちの1つの酸化物である。シリカ(シリカゲ
ル)は、アルミナもしくは酸化マグネシウム又は層状ケ
イ酸塩の他に、非常に好ましく用いられる酸化物であ
る。ケイ酸アルミニウム又はケイ酸マグネシウムのよう
な混合酸化物もまた、用いることができる。
【0036】担体として用いられる無機酸化物はその表
面上に水酸基を含有する。水の除去によって、OH基の
含有量を減少させるか又は完全に除去することが可能と
なる。これは、熱的又は化学的処理によって達成するこ
とができる。熱的処理は通常、無機酸化物を1〜24、
好ましくは2〜20、特には3〜12時間の間、250
〜900℃、好ましくは600〜800℃まで加熱する
ことにより行う。水酸基はまた、化学的方法によって、
慣用の乾燥剤、例えばSiCl、クロロシラン又はア
ルキルアルミニウムなどを用いて無機酸化物を処理する
ことによっても除去することができる。好ましく用いら
れる無機酸化物は、水を0.5〜5重量%含有する。慣
用的には、無機酸化物を160℃において大気圧下で重
量が一定になるまで乾燥させることによって水の含有量
を測定する。重量減少が、最初の水の含有量に相当す
る。
【0037】チタン含有固体成分a)の製造において
は、無機酸化物のモル当たり、塩素非含有マグネシウム
化合物を好ましくは0.1〜1.0、特には0.2〜
0.5モル用いる。
【0038】さらに、C〜Cアルカノール、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、te
rt−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノー
ル、n−ヘプタノール、n−オクタノールもしくは2−
エチルヘキサノール又はそれらの混合物などを、チタン
含有固体成分a)の製造において用いる。エタノールを
用いるのが好ましい。
【0039】チタン含有固体成分a)はさらに、ケト
ン、エーテル、アルコール、ラクトン又は有機リンもし
くは有機ケイ素化合物などと同様に、例えば一官能又は
多官能カルボン酸、カルボキシル無水物又はカルボキシ
ルエステルである、電子供与性化合物を含有する。
【0040】チタン含有固体成分中で好ましく用いる電
子供与性化合物は、カルボン酸誘導体及び特には化学式
(II)で表わされるフタル酸誘導体であって、かつ
【0041】
【化1】 X及びYはそれぞれ塩素、臭素もしくはC〜C10
アルコキシ基又は、共通の無水物官能基中の酸素原子で
ある。特に好ましい電子供与性化合物は、フタル酸エス
テルであって、X及びYがC〜Cのアルコキシ、例
えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプ
ロピルオキシ、n−ブチルオキシ、sec−ブチルオキ
シ、イソブチルオキシ又はtert−ブチルオキシであ
る。好ましく用いられるフタル酸エステルの例は、フタ
ル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−
イソブチル、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシ
ル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジ−n−オク
チル及びフタル酸ジ−2−エチルヘキシルなどである。
【0042】チタン含有固体成分中の他の好ましい電子
供与性化合物は、3又は4員環ジエステル、無置換又は
置換のシクロアルキル−1,2−ジカルボン酸、及び置
換ベンゾフェノン−2−カルボン酸のモノエステル又は
置換ベンゾフェノン−2−カルボン酸である。これらの
エステル中で用いるヒドロキシ化合物は、通常エステル
化反応中で用いられるアルカノール、例えばC〜C
15−アルカノール又は一つもしくはそれ以上のC
10−アルカノール基を順次有することができるC
〜C−シクロアルカノール、及びさらにC〜C10
−フェノールなどである。
【0043】種々の電子供与性化合物の混合物もまた用
いることができる。
【0044】チタン含有固体成分a)は、それ自体公知
の方法、例えばEP−A 171200、GB−A 2
111 066、US−A 48 57 613及び
US−A 52 88 824中に記載されているよう
な方法によって製造することができる。しかしながら、
その製造の第1段階においては、不活性溶媒中の塩素非
含有マグネシウム化合物を用い、担体及びC〜C
アルカノールと反応して塩素非含有中間体を与え、これ
は精製又は抽出なしでさらに処理するのに好都合であ
る。
【0045】チタン含有固体成分a)の製造において
は、以下のような2段階の方法を好ましく用いる。
【0046】第1段階では、塩素非含有マグネシウム化
合物の溶液をまず、好ましくは液体アルカン又は、例え
ばトルエン又はエチルベンゼンのような芳香族炭化水素
である不活性溶媒中の無機酸化物に添加し、その後この
混合物を0.5〜5時間の間10〜120℃において、
概して攪拌しながら反応させる。C〜Cのアルカノ
ールを次に、−20〜80℃、好ましくは0〜40℃に
おいて、通常連続的に攪拌しながら、マグネシウム化合
物に対して少なくとも1.3倍、好ましくは1.6〜3
倍、特には1.8〜2.0倍モルの過剰量で添加する。
これは結果的に塩素非含有中間体を生成し、それを好ま
しくは精製又は抽出なしでさらに処理する。約10〜1
20、好ましくは約20〜60分の後、ハロゲン化チタ
ン及び電子供与性化合物を10〜50℃においてこの中
間体に添加する。1〜15、好ましくは2〜5モルのハ
ロゲン化チタン、及び0.01〜1、特には0.3〜
0.7モルの電子供与性化合物を、第1段階から得た固
体マグネシウムの1モル当たりに用いる。この混合物を
少なくとも10、好ましくは30、特には45〜90分
の間、10〜150℃、特には60〜130℃におい
て、一般に攪拌しながら反応させ、またかくして得られ
た固体物質を次に濾過し、C〜C10−アルキルベン
ゼン、好ましくはエチルベンゼンを用いて洗浄する。
【0047】第2段階では、第1段階から得られた固体
を、100〜150℃において、過剰の四塩化チタン又
は四塩化チタンの不活性溶媒中の溶液を用いて抽出する
が、この不活性溶媒は、好ましくはC〜C10−アル
キルベンゼンであり、溶液は過剰に存在し、溶媒は四塩
化チタンを少なくとも5重量%含有する。抽出を、概し
て少なくとも30分間行う。生成物を次いで、洗浄液の
四塩化チタン含有量が2重量%未満になるまで、液体ア
ルカンを用いて洗浄する。
【0048】この方式で得られるチタン含有固体成分
a)を、チーグラー・ナッタ触媒系として助触媒と共に
用いる。好適な助触媒はアルミニウム化合物b)及び更
に別の電子供与性化合物c)である。
【0049】トリアルキルアルミニウムの他に好適なア
ルミニウム化合物b)は、アルキル基がアルコシ基によ
って又はハロゲン原子、例えば塩素原子又は臭素原子に
よって置換されているような化合物である。アルキル基
は同一であるか又は異なっていてもよい。直線状か又は
分岐のアルキル基でも好適である。好ましく用いられる
トリアルキルアルミニウム化合物はそのアルキル基がい
ずれも1〜8個の炭素原子であるようなもの、例えばト
リメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ
イソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムも
しくはメチルジエチルアルミニウム又はそれらの混合物
である。
【0050】アルミニウム化合物b)の他に、ケトン、
エーテル、アルコール、ラクトン及び有機リンもしくは
有機ケイ素化合物などと同様に、電子供与性化合物
c)、例えば一官能又は多官能カルボン酸、カルボキシ
ル無水物及びカルボキシルエステルなどをさらなる助触
媒として用いるが、電子供与性化合物c)が、チタン含
有固体成分a)の製造に用いる電子供与性化合物と同一
であっても又は異なるものであってもよい。好ましい電
子供与性化合物は、化学式(I)で表わされる有機ケイ
素化合物であって、かつ R Si(OR4−n (I) 基Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれC
20−アルキル基、C〜C10−アルキル基によっ
て置換されうる5〜7員環のシクロアルキル基、C
18−アリール基又はC〜C18−アリール−C
〜C10−アルキル基であり、基Rは同一でも異なっ
ていてもよく、それぞれC〜C20のアルキル基であ
って、nは整数1,2、又は3である。特に好ましい化
合物はRがC〜C−アルキル基又は5〜7員環シ
クロアルキル基であって、RがC〜C−アルキル
基であり、nが1又は2であるものである。
【0051】これらの化合物の中で、ジメトキシジイソ
プロピルシラン、ジメトキシイソブチルイソプロピルシ
ラン、ジメトキシジイソブチルシラン、ジメトキシジシ
クロペンチルシラン、ジメトキシジシクロヘキシルシラ
ン、ジメトキシシクロヘキシルメチルシラン、ジメトキ
シイソプロピル−tert−ブチルシラン、ジメトキシ
イソブチル−sec−ブチルシラン及びジメトキシイソ
プロピル−sec−ブチルシランが、特に注目すべきも
のである。
【0052】助触媒として作用する化合物b)及びc)
は、単独に、又は任意所望の順序でで連続的に、あるい
はチタン含有固体成分a)上の混合物として共に作用さ
せてもよい。これは通常、0〜150℃、特には20〜
90℃、及び1〜100、特には1〜40バールで行わ
れる。
【0053】助触媒b)は、好ましくはアルミニウム化
合物b)からのアルミニウム原子対チタン含有固体成分
a)からのチタン原子の原子比が10:1〜800:
1、特には20:1〜200:1となるような量で用い
る。
【0054】新規プロピレンポリマーを得る、本発明に
よる同様な方法では、アルミニウム化合物b)対更に別
の電子供与性化合物c)のモル比は1.5:1〜9:
1、特には2:1〜8:1に調節する。9:1より大き
いモル比を用いると、結果として得るプロピレンホモポ
リマーの立体特性は一般に不十分である。比が1.5:
1より小さければ、この方法は、特に大量の更に別の電
子供与性化合物c)をその後用いるために、経済的理由
から、一般にあまり有利ではない。
【0055】該方法は、バッチ式か又は、好ましくは、
連続的に、とりわけ溶液中で、懸濁重合として又は、好
ましくは気相重合として、C〜C10−アルカ−1−
エンの重合に用いられる慣用反応器中で行うことができ
る。好適な反応器は、連続的に作動する攪拌反応器、ル
ープ反応器又は流動層反応器などである。バッチ式の操
作を用いるときは、反応条件を変化させることによっ
て、重合を連続して段階的に行なう。しかしながら、概
して、連続操作が用いられ、マトリックスが最初に第1
段階で一つ又はそれ以上の反応器中で製造され、その
後、エラストマー相が一つ又はそれ以上のさらなる反応
器中で製造される。加えて、それに続く段階において、
〜C10−アルカ−1−エンのさらなるホモポリマ
ー又はコポリマーへの重合が可能である。異なる型の反
応器を結合使用することもまた可能である。特に好まし
い実施形態としては、コポリマーの製造を多段階で、特
には2段階、気相法で行い、用いる反応器は連続的に作
動せられる攪拌釜であって、通常好適な攪拌装置によっ
て作動し続ける、微粉砕されたポリマーの固定層を含有
する。
【0056】該方法は、第1重合段階におけるマトリッ
クスの製造のため、プロピレン又はプロピレンと炭素原
子が10個以下の少量の他のアルカ−1−エンとを含有
するモノマー混合物の重合によって、50〜120℃、
好ましくは60〜90℃、及び15〜40、好ましくは
20〜35バールで実施する。平均滞留時間は概して
1.0〜3.0、好ましくは0.5〜5時間である。反
応条件は、第1重合段階において、アルミニウム成分
b)の1モル当たりマトリックスの0.05〜2、好ま
しくは0.1〜1.5kgが生成するように、選択する
のが好ましい。重合は通常、水素の存在下で行い、プロ
ピレン対水素の分圧比は、好ましくは30:1〜18
0:1、特には30:1〜150:1であることが確立
している。
【0057】得られたプロピレンポリマーは第1重合段
階から触媒と共に排出されかつ第2重合段階へ導入され
て、ここで、プロピレンと炭素原子が10個以下の他の
アルカ−1−エンとのコポリマーを、該プロピレンポリ
マー上に重合する。添加するモノマーの量は、概してプ
ロピレンの分圧対炭素原子が10個以下の他のアルカ−
1−エンの分圧の比が0.5:1〜20:1、特には
1.0:1〜10:1となるようなものである。さら
に、反応パラメータの好適な選択により、第1重合段階
で反応するモノマー対第2重合段階で反応するモノマー
の重量比は0.5:1〜20:1、特には1.0:1〜
15:1であることが通常確立されている。
【0058】重合は、第2重合段階では、30〜100
℃、好ましくは50〜90℃、及び5〜40、好ましく
は10〜35バールで行なわれる。反応混合物の平均滞
留時間は、概して0.5〜5、好ましくは1.0〜3.
0時間である。第2重合段階での圧力は、好ましくは第
1重合段階の圧力より少なくとも3バール低い。第2重
合段階においてはまた、好ましくは重合を水素の存在下
で行い、プロピレンの分圧対水素の分圧の比は概して1
00:1〜5:1、特には60:1〜10:1である。
【0059】第2重合段階の反応混合物に対して、C
〜Cのアルカノール、特にはC〜Cのアルカノー
ルを添加することもまた得策であり、このアルカノール
はチーグラー・ナッタ触媒の活性に影響する。本目的に
ついて好適なアルカノールは、例えば、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、n−ブタノールまた特に
好適なものとしてはイソプロパノールである。C〜C
のアルカノールの量は一般に、助触媒として適するア
ルミニウム化合物b)に対するC〜Cのアルカノー
ルのモル比が0.01:1〜10:1、特には0.0
2:1〜5:1であるようにする。
【0060】プロピレンの新規コポリマーの重量平均モ
ル質量は、概して10,000〜1,000,000g
/モルでありまた、溶融流量(MFR)は10分当たり
0.1〜100、好ましくは0.2〜20gである。溶
融流量(MFR)は、230℃において10分のうち
に、2.16kgの重量下で、ISO 1133に従っ
て規格化された試験装置の外へ押し出されるポリマーの
量に相当する。
【0061】現在までに公知であるプロピレンポリマー
と比較すると、新規プロピレンポリマーはマトリックス
中に、長い無欠陥アイソタクチックポリマーシーケンス
を伴うポリマー鎖をより高い割合で有する。このこと
は、例えば、優れた剛性対靭性の比から明らかである。
また、新規コポリマーは、塩素含有量が低減されてい
る。これらのコポリマーの製造に用いられた方法の生産
性は、公知の方法と比較して十分に高いものである。
【0062】その良好な力学的性質のために、新規プロ
ピレンポリマーはフィルム、繊維又は成形体の製造用と
して特に好適である。
【0063】
【実施例】プロピレンポリマーの特性決定をするため
に、以下の試験を実施した。
【0064】キシレン可溶画分の測定:ISO標準18
73−1:1991に従って行なった。
【0065】DSC融点の測定:毎分10℃の昇温速度
を用いて、ISO標準3146に従って行なった。
【0066】溶融流量(MFR)の測定:230℃、
2.16kgの荷重下で、ISO標準1133に従って
行なった。
【0067】生産性の測定:生産性は、使用したチタン
含有固形成分a)1g当たり得られたポリマーのグラム
量とした。
【0068】結晶性による分別:結晶性に関するプロピ
レンポリマーの分離は、温度上昇溶離分別(TREF)
の手段による調製分別によって行った。本目的のため
に、5gのプロピレンポリマーを、それぞれ沸騰してい
るキシレン400mlに溶解し、溶液を降温速度10℃
/hで25℃まで直線的に冷却し、ポリマーの大部分を
沈殿させた。
【0069】結晶懸濁液は、W.HoltupによりM
akromol.Chem.178,(1977)23
35に記載されたものに相当する恒温状態にすることが
可能な500mlの抽出器に導入し、最初の溶離温度に
加熱した。ポリプロピレン結晶を、この温度で15分間
激しく攪拌しながら抽出した。その後、ポリマー結晶を
抽出器に残し、ポリマー溶液を取り出した。溶解したポ
リマーを冷アセトン(温度0℃未満)中で沈殿させ、沈
殿物を濾過し、減圧下100℃で4〜5時間乾燥した。
【0070】抽出器を次の溶離温度に加熱し、同じ温度
のキシレン400mlを添加した。再び、激しく攪拌し
ながら抽出を15分間行い、ポリマー溶液を取り出し、
溶解したポリマーを冷アセトン中で沈殿させ、沈殿物を
濾過し、乾燥した。
【0071】これらの工程を、全てのポリマーが溶解す
るまで繰り返した。TREF画分を沈殿することによっ
て回収されたポリマー画分は、いずれの場合でも99.
0〜100重量%であった。後の計算を容易にするため
に、表2に示すTREF画分は、回収された画分を基礎
とするもので、すなわち、TREF画分の和を100重
量%としている。
【0072】エラストマー画分は80℃以下で溶解した
量に相当し、マトリックスの画分はより高い溶離温度で
溶解した全ての画分の和である。個々の温度で不溶なマ
トリックスの画分は、相当する温度におけるTREF画
分の全マトリックス画分に対する比から測定される。
【0073】弾性率の測定(引っ張り弾性率):測定温
度23℃で、ISO標準527−2に従って行なった。
【0074】ノッチ付衝撃強さの測定:アイゾッドノッ
チ付衝撃強さであるISO標準180/1Aに従って行
なった。
【0075】塩素含量の測定:ポリマーの塩素含量は、
DIN51408パート2における微少電量測定により
測定した。
【0076】粒子直径中央値の測定:シリカゲルの粒子
直径中央値を測定するために、シリカゲル粒子の粒子サ
イズ分布を、ASTM標準D4438に従ってコールタ
ーカウンター分析法によって測定し、体積に関係する中
央値をそこから計算した。
【0077】細孔体積の測定:DIN66133に従
い、水銀多孔度計計測によって行った。
【0078】比表面積の測定:DIN66131に従
い、窒素吸着によって行った。
【0079】含水率の測定:含水率を測定するために、
5gのシリカゲルを常圧下、160℃で15分間(重量
一定で)乾燥した。重量の減少が元の含水率に相当す
る。
【0080】キャビティーおよびチャネルの巨視的体積
分率の測定:シリカゲルの粒子表面及び粒子断面の各場
合について、使用したシリカゲルの一次粒子の粒子サイ
ズ中央値及びキャビティーならびにチャネルの巨視的体
積分率を、走査型電子顕微鏡または電子プローブ微量分
析を用いて測定した。得た電子顕微鏡写真を、グレース
ケールバイナリーイメージに変換し、SISからのソフ
トウェアーパッケージ解析によりデジタル方式で評価し
た。
【0081】実施例1 チタン含有固体成分a)の調製 第1段階では、n−ブチルオクチルマグネシウムのn−
ヘプタン溶液を、45μmの中央値の粒子直径と1.5
cm/gの細孔体積と260m/gの比表面積と
2.7重量%の含水率とを有する微粉砕した球形のシリ
カゲル(SiO)に添加し、SiO1モル当たりマ
グネシウム化合物は0.3モルを用いた。微粉砕したシ
リカゲルはpH0.5を有し、7μmの一次粒子の粒子
サイズ中央値及び5〜10μmの平均直径を有するキャ
ビティー及びチャネルによって更に特性決定し、全粒子
に対するキャビティーとチャネルの巨視的な体積分率
は、25%であった。溶液を95℃で30分間攪拌し、
次いで20℃に冷却、その後有機マグネシウム化合物に
対して1.8倍モル量のエタノールを冷却しながら添加
し、反応温度を45℃未満に保った。45分後、いずれ
も1モルのマグネシウムに対し4.2モルの四塩化チタ
ン及び0.6モルのジn−ブチルフタレートを、精製又
は抽出工程を経ずに、連続攪拌しながら塩素不含の中間
体に添加した。その後、攪拌を100℃で1時間行な
い、得られた固体物質を濾過し、エチルベンゼンで数回
洗浄した。
【0082】第2段階において、そこで得られた固体生
成物を、10%の容積濃度の四塩化チタンのエチルベン
ゼン溶液を用いて、125℃で90分間抽出した。この
後、固体生成物を濾過により抽出試薬から分離し、抽出
試薬が四塩化チタンを0.3重量%しか含まなくなるま
でnーヘプタンで洗浄した。
【0083】このように調製されたチタン含有固体成分
)は、 Tiを3.8重量% Mgを7.2重量% Clを28.1重量% 含有する。
【0084】重合 プロピレンポリマーの調製を、分子量調整剤としての水
素の存在下、それぞれが200リットルの有効体積を有
し、順次接続した2台の垂直攪拌の気相反応器カスケー
ド中で行った。両反応器は、微粉砕したポリマーを撹拌
した固体床を有していた。
【0085】気体のプロピレンを、第1気相反応器に通
し、表1に記載した温度及び圧力条件下で連続的に重合
した。これを約1.5時間の平均滞留時間で実施し、1
時間当たり1.4gのチタン含有固体成分a)と90
ミリモルのトリエチルアルミニウムb)と22.5ミリ
モルのジメトキシジシクロペンチルシランc)とを使用
した。
【0086】気相重合が終了した後に得られたプロピレ
ンホモポリマーを、次いでまだ活性のある触媒成分と共
に第2気相反応器に移した。そこでプロピレンとエチレ
ンの混合物を、調整剤としてのイソプロパノールの存在
下、以下の表1に示した条件(圧力、温度、プロピレン
のエチレンに対する分圧比、第1段階において変換され
たモノマーの第2段階において変換されたモノマーに対
する重量比)で、このプロピレンホモポリマー上に連続
的に重合した。
【0087】比較例A チタン含有固体成分a)の調製、 第1段階では、n−ブチルオクチルマグネシウムのn−
ヘプタン溶液を、実施例1においても使用した微粉砕し
た球形のシリカゲルに添加し、SiO1モル当たり
0.3モルのマグネシウムを使用した。溶液を95℃で
45分間攪拌し、次いで20℃に冷却し、その後有機マ
グネシウム化合物に対して10倍モル量の塩化水素を通
過させた。60分後、1モルのマグネシウムに対して3
モルのエタノールを連続攪拌しながら反応生成物に添加
した。この混合物を80℃で0.5時間攪拌しその後、
いずれの場合も、1モルのマグネシウムに対し7.2モ
ルの四塩化チタン及び0.5モルのジn−ブチルフタレ
ートを添加した。次いで、攪拌を100℃で1時間行な
い、ここで得られた固体物質を濾過し、エチルベンゼン
で数回洗浄した。
【0088】そこから得られた固体生成物を、10%の
容積濃度の四塩化チタンのエチルベンゼン溶液を用い
て、125℃で3時間抽出した。その後、固体生成物を
濾過により抽出試薬から分離し、抽出試薬が四塩化チタ
ンを0.3重量%しか含まなくなるまでn−ヘプタンで
洗浄した。
【0089】このように調製されたチタン含有固体成分
)は、 Tiを3.5重量% Mgを7.4重量% Clを28.2重量% 含有する。
【0090】重合 本発明における実施例1と同様な操作で、プロピレンホ
モポリマーを第1反応器で最初に調製し、次いで該ホモ
ポリマーを第2反応器に移し、そしてそこでプロピレン
とエチレンの混合物をプロピレンホモポリマー上に重合
した。チタン含有固体成分a)を使用した以外は実施
例1に記載されたのと同様な反応条件下で、これを行っ
た。1時間当たり2.2gのチタン含有固体成分a
と90ミリモルのトリエチルアルミニウムb)と22.
5ミリモルのジメトキシジシクロペンチルシランc)と
を使用した。
【0091】実施例2〜4 新規な方法の実施例1を、圧力、温度、プロピレンのエ
チレンに対する分圧比及び第1段階における変換された
モノマーの第2段階における変換されたモノマーに対す
る重量比などの反応条件を、表1に従って変化させ、実
施例1と同様な触媒系を用いて繰り返した。
【0092】比較例B〜D チタン含有固体成分a)をそれぞれの場合で使用する
以外は、新規な方法の実施例2〜4とそれぞれ同様に繰
り返した。
【0093】以下の表1は、新規な方法の実施例1〜4
及び比較例A〜Dに対する個々の反応条件を示してい
る。
【0094】表2は、新規な方法の実施例1〜4及び比
較例A〜Dそれぞれに対して、第1重合工程の後に測定
されたホモポリマーマトリックスの下記の性質、すなわ
ち、キシレン可溶画分、融点及び生産性を示している。
【0095】さらに、表2には、最終生成物に対して測
定されたTREF画分の割合と、そこから計算されたエ
ラストマーとマトリックスの含量、ならびに全ポリマー
とマトリックスに対するキシレン不溶画分を含んでい
る。最終生成物の溶融流量(MFR)と剛性(引っ張り
弾性率)、−20℃ならびに−40℃におけるアイゾッ
ドノッチ付衝撃強さ、及びポリマーの塩素含量も示して
いる。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】新規な方法の実施例1〜4と比較例A〜D
との比較から、新規なプロピレンポリマーが非常に高い
アイソタクチック画分を有意に高い含量で有しているこ
とが分かった。これらは、より高いノッチ付衝撃強さ等
と共に、より高い剛性(引っ張り弾性率)を有する。即
ち、これらは、優れた剛性対靭性の比を有する。また、
これらは、より低い塩素含量を有している。
フロントページの続き (72)発明者 フランツ、ラングハウザー ドイツ、67152、ルペルツベルク、ハーク ヴェーク、18 (72)発明者 ディーター、リルゲ ドイツ、67117、リムブルガーホーフ、マ クス−プランク−シュトラーセ、7 (72)発明者 ローラント、ヒングマン ドイツ、68526、ラーデンブルク、シュタ ールビュールリング、54

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロピレンホモポリマー及びプロピレンと
    他のアルケンとのコポリマーのマトリックスを含有する
    プロピレンポリマーにおいて、最初に沸騰キシレン中に
    プロピレンポリマーを溶解し、次いで該溶液を、毎時1
    0℃の冷却速度で25℃まで冷却し、しかる後、温度を
    上昇し、プロピレンポリマーを様々な溶解度の画分に分
    離することにより、ポリマー鎖の立体規則度とコモノマ
    ー分布とによるプロピレンポリマーの分離を行うに際
    し、冷却したプロピレンポリマー溶液を80℃まで加熱
    したときに未溶解のまま残るマトリックスが、 i)更に112℃まで加熱したとき、20重量%を超え
    る量で未溶解のまま残るか、 ii) 更に117℃まで加熱したとき、8重量%を超える
    量で未溶解のまま残るか、 iii)更に122℃まで加熱したとき、1重量%を超える
    量で未溶解のまま残るかのいずれかの条件の一つ又はそ
    れ以上を満たすことを特徴とするプロピレンポリマー。
  2. 【請求項2】マトリックスが、 i)更に112℃まで加熱したとき、30重量%を超え
    る量で未溶解のまま残るか、 ii) 更に117℃まで加熱したとき、12重量%を超え
    る量で未溶解のまま残るか、 iii)更に122℃まで加熱したとき、2重量%を超える
    量で未溶解のまま残るかのいずれかの条件の一つ又はそ
    れ以上を満たす、請求の範囲第1項記載のプロピレンポ
    リマー。
  3. 【請求項3】プロピレンポリマーの製造方法において、
    第1重合段階において、50〜120℃、及び15〜4
    0バールでプロピレンを重合させ、次いで、これに対し
    て第2重合段階で、30〜100℃、及び5〜40バー
    ルでプロピレンと炭素原子が10個以下の他のアルカ−
    1−エンとのコポリマーを重合させ、活性成分として、 a)第一段階において、不活性溶媒中の塩素非含有マグ
    ネシウム化合物溶液を、担体としての無機酸化物に添加
    し、この混合物を0.5〜5時間、10〜120℃で反
    応させ、次いでC〜Cのアルカノールをマグネシウ
    ム化合物に対して少なくとも1.3倍モルの過剰量で、
    −20〜80℃において連続的に攪拌しながら反応させ
    て塩素非含有中間体を得、その後ハロゲン化チタン及び
    電子供与性化合物を該中間体に加え、その混合物を少な
    くとも10分間、10〜150℃で反応させ、かくして
    得た固体物質を次に濾過及び洗浄し、第二段階で、第一
    段階で得られた固体物質を、四塩化チタンを少なくとも
    5重量%含有する不活性溶媒中で抽出し、液状アルカン
    で洗浄する操作によって、ハロゲン化チタンを塩素非含
    有マグネシウム化合物、担体としての無機酸化物、C
    〜Cのアルカノール及び電子供与性化合物と反応させ
    て得られるチタン含有固体成分と、助触媒として、 b)アルミニウム化合物と、 c)更に別の電子供与性化合物とを、含有し、第1重合
    段階におけるアルミニウム化合物b)対更に別の電子供
    与性化合物c)のモル比が1.5:1〜9:1の割合に
    調節されているチーグラー・ナッタ触媒組成物の存在下
    で重合を実施することを特徴とするプロピレンポリマー
    の製造方法。
  4. 【請求項4】第1重合段階においてアルミニウム化合物
    b)対更に別の電子供与性化合物c)のモル比を2:1
    〜8:1の割合に調節する、請求の範囲第3項記載のプ
    ロピレンポリマーの製造方法。
  5. 【請求項5】チタン含有固体成分a)を、pHが1〜
    6.5、粒子径中央値が5〜200μm、及び巨視的体
    積画分が全粒子に対して5〜30%であり、平均直径が
    1〜20μmのキャビティ又はチャネルを有する無機酸
    化物を担体として用いて製造する、請求の範囲第3項又
    は第4項記載のプロピレンポリマーの製造方法。
  6. 【請求項6】チタン含有固体成分a)の製造において、
    無機酸化物としてシリカゲルを用いる、請求の範囲第3
    項〜第5項のうちいずれか一項記載のプロピレンポリマ
    ーの製造方法。
  7. 【請求項7】アルキル基の炭素原子数が1〜8個のトリ
    アルキルアルミニウムをアルミニウム化合物b)として
    用いる、請求の範囲第3項〜第6項のうちいずれか一項
    記載のプロピレンポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】化学式(I)で表わされる有機ケイ素化合
    物であって、かつ R Si(OR4−n (I) 基Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれC
    20−アルキル基、C〜C10−アルキル基によっ
    て置換されうる5〜7員環のシクロアルキル基、C
    18−アリール基又はC〜C18−アリール−C
    〜C10−アルキル基であり、基Rは同一でも異なっ
    ていてもよく、それぞれC〜C20のアルキル基であ
    って、nは整数1、2、又は3である有機ケイ素化合物
    少なくとも1種を、更に別の電子供与性化合物として用
    いる請求の範囲第3項〜第7項のうちいずれか一項記載
    のプロピレンポリマーの製造方法。
  9. 【請求項9】第2重合段階における重合をC〜C
    アルカノールの存在下で実施する請求の範囲第3項〜第
    8項のうちいずれか一項記載のプロピレンポリマーの製
    造方法。
  10. 【請求項10】請求の範囲第3項〜第9項のうちいずれ
    か一項記載の方法によって得られるプロピレンポリマ
    ー。
  11. 【請求項11】フィルム、繊維又は成形体の製造に用い
    る請求の範囲第1項、第2項又は第10項に記載のプロ
    ピレンポリマーの使用法。
  12. 【請求項12】請求の範囲第1項、第2項又は第10項
    に記載のプロピレンポリマーを含有するフィルム、繊維
    又は成形体。
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