JPH1180176A - ホスホン酸またはその塩の製造方法 - Google Patents

ホスホン酸またはその塩の製造方法

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JPH1180176A
JPH1180176A JP24005997A JP24005997A JPH1180176A JP H1180176 A JPH1180176 A JP H1180176A JP 24005997 A JP24005997 A JP 24005997A JP 24005997 A JP24005997 A JP 24005997A JP H1180176 A JPH1180176 A JP H1180176A
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JP24005997A
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Inventor
Teiji Kono
悌司 河野
Yoshio Takano
快男 高野
Koichi Tsuruta
康一 鶴田
Norio Kawabe
紀雄 川辺
Toshikazu Komagata
俊和 駒形
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】副生成物の量を低減し、生産性の高いスルフィ
ド基を有するホスホン酸またはその塩を製造する方法を
提供する。 【解決手段】スルフィド基を有するホスホン酸エステル
を加水分解してスルフィド基を有するホスホン酸または
その塩を製造する際に、アルコールを共存させて反応中
にスルホニウム塩を生成させることを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スルフィド基を有
するホスホン酸エステルを加水分解してスルフィド基を
有するホスホン酸またはその塩を製造する際に、アルコ
ールを共存させて反応中にスルホニウム塩を生成させる
ことを特徴とする、スルフィド基を有するホスホン酸ま
たはその塩の製造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(4−アルキルチオフェニル)チオメタ
ンビスホスホン酸塩に代表されるスルフィド基を有する
ホスホン酸またはその塩(たとえば特公平8−26048)
は、優れた抗炎症作用を示す。この化合物はスルフィド
基を有するホスホン酸エステルの加水分解によって合成
される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】加水分解反応の際に
(4−アルキルチオフェニル)チオメタンビスホスホン
酸アルキルエステルのエステル部分のアルキルがフェニ
ルの4位のアルキルチオ基のアルキル基と交換した(4−
アルキルチオフェニル)チオメタンビスホスホン酸[以
下S−アルキル体と呼ぶ。例えばテトライソプロピルエ
ステルの場合、S−アルキル体は(4−イソプロピルチオ
フェニル)チオメタンビスホスホン酸となる]が主要な
副生成物(不純物)として生成していた。この不純物の
量を低減にするためには加水分解に使用する酸の濃度と
基質濃度を下げることなどが必要になり、そのため反応
容積が前段階の反応に比して約3倍となり、生産性が低
くなることが最大の欠点であった。
【0004】副生成物(不純物)の生成の問題は、アル
キオチオ基のアルキルとホスホン酸アルキルエステルの
アルキルが同じアルキルであれば解決されうると想定さ
れるが、アルキオチオ基のアルキルとホスホン酸アルキ
ルエステルのアルキルを常に同一にできるとは限らな
い。例えば本発明において、原料の一つであるメタンジ
ホスホン酸テトラアルキルエステルとしては、テトライ
ソプロピルエステルがコストおよび工業的スケールでの
入手の点で好ましく、またスルフィド基を有するホスホ
ン酸アルキルエステルの合成では、メタンジホスホン酸
テトラアルキルエステルの場合は、テトラメチルエステ
ルでは収率が低く、テトラエチル、テトライソプロピル
エステルでは高収率になるなど原料のホスホン酸アルキ
ルエステルに大きく依存する場合が多い。
【0005】以上のような理由によって副生成物の生成
を抑制するという課題解決のためにアルキルを同一にす
ることは、工業的スケールにおいては現実的な方法とは
なりえない場合が多い。
【0006】本発明の目的はS−アルキル体量を従来条
件レベル以上に増やすことなく、従来よりも少ない反応
容積で同量の目的化合物の製造を行うことができる新規
な加水分解法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を行なった結果、加水分解反
応を行う際にホスホン酸エステルのスルフィド基を形成
しているアルキル基と同一のアルキル基を有するアルコ
ールを共存させ、意図的に互いに同一のアルキル基を有
するジアルキルスルホニウム塩を生成させることでスル
フィドを保護し、S−アルキル体生成の原因となる、互
いに異なるアルキル基を有するジアルキルスルホニウム
塩の生成を抑えることでこの課題を解決できることを見
出した。
【0008】すなわち本発明は、スルフィド基を有する
ホスホン酸エステルを加水分解してスルフィド基を有す
るホスホン酸またはその塩を製造する際に、アルコール
を共存させて反応中にスルホニウム塩を生成させること
を特徴とする、スルフィド基を有するホスホン酸または
その塩の製造に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各構成要件につい
て詳細に説明する。
【0010】上記の要求を満たす反応条件を見出すため
に、(4ーメチルチオフェニル)チオメタンビスホスホ
ン酸アルキルエステルの加水分解反応について検討して
いる際に、反応溶媒の塩酸に共溶媒としてメタノールを
使用するとホスホン酸の生成物中に、ジメチルスルホニ
ウム塩が混在していることを見出した。一方、Sーアル
キル体はSーアルキルメチルスルホニウム塩から生成す
るものと考えられた。そこで加水分解反応を行う際に、
メタノールを共存させ、意図的にジメチルスルホニウム
塩を発生させることで、アリールメチルスルフィドを保
護し、Sーアルキル体生成の原因となるSーアルキルメ
チルスルホニウム塩の生成を抑えることができることを
発見した。
【0011】この反応は加水分解反応と同時にジメチル
スルホニウム塩化を行う工程と、生じたジメチルスルホ
ニウム塩を分解して目的化合物へと導く工程に分けるこ
とができる。以下本発明が対象とする化合物と反応条件
について記載する。
【0012】本発明に用いられるスルフィド基を有する
ホスホン酸エステルとは、たとえば式(1)のビスホスホ
ン酸構造の化合物である。
【0013】
【化4】 Aは少なくとも炭素数1〜6のアルキルチオ基を置換基に
有するフェニル基である。炭素数1〜6のアルキルチオ基
としてはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソ
プロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチ
ルチオ、t−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ
基などが挙げられる。フェニル基上のアルキルチオ基の
位置は特に限定されなく、オルト、メタ、パラ位のいず
れでもよい。アルキルチオ基の数は少なくとも1個以上
であり、これ以外の置換基がフェニル基に存在すること
は何ら妨げるものではない。
【0014】Xは(CH2)n(ここでnは1〜3の整数を
表す)、酸素、または硫黄を表し、アルキレン基として
は例えばメチレン、エチリデン、プロピリデン等が挙げ
られる。R1は炭素数1〜8のアルキル基、例えばメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、
ヘキシル基などを表す。R1としてメチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル基が特に好ましい。
【0015】式(1)の化合物の中でスルフィド基を有す
るホスホン酸エステルとして好ましい化合物は式(2)の
ビスホスホン酸エステルである。
【0016】
【化5】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xおよ
びR1は前記定義に同じであり、YはH、炭素数1〜6の
アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜
6のアルコキシ基、またはハロゲンを表す。) つまり、フェニル基上の少なくとも1個のアルキルチオ
基(RS)はパラ位にあるものが好ましい。Rが炭素数1〜
6のアルキル基を表し、メチル、エチル、プロピル、イ
プロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチ
ル、ペンチル、ヘキシルを表す。YはH、アルキル、ア
リール、アルコキシ、ハロゲンなどを表し、好ましく
は、水素、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど、炭
素数6〜12のアリール基としては、フェニル、ナフチ
ルなど、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ
など、ハロゲンとしては、塩素、フッ素、臭素などが挙
げられる。
【0017】式(2)の化合物のなかでも特に、4−アルキ
ルチオフェニルチオメタンビスホスホン酸テトラアルキ
ルエステルが好ましく用いられる。これらの化合物の好
ましい例として、4−メチルチオフェニルチオメタンビ
スホスホン酸テトラエチル、4−メチルチオフェニルチ
オメタンビスホスホン酸テトラプロピル、4−メチルチ
オフェニルチオメタンビスホスホン酸テトライソプロピ
ル、4−エチルチオフェニルチオメタンビスホスホン酸
テトラメチル、4−エチルチオフェニルチオメタンビス
ホスホン酸テトラプロピル、4−エチルチオフェニルチ
オメタンビスホスホン酸テトライソプロピル、4−プロ
ピルチオフェニルチオメタンビスホスホン酸テトラメチ
ル、4−プロピルチオフェニルチオメタンビスホスホン
酸テトラエチル、4−プロピルチオフェニルチオメタン
ビスホスホン酸テトライソプロピル、4−イソプロピル
チオフェニルチオメタンビスホスホン酸テトラメチル、
4−イソプロピルチオフェニルチオメタンビスホスホン
酸テトラエチル、4−イソプロピルチオフェニルチオメ
タンビスホスホン酸テトラプロピル等が挙げられる。特
に好ましくは4−メチルチオフェニルチオメタンビスホ
スホン酸テトライソプロピルである。
【0018】本発明において少なくとも形成されるスル
ホニウム塩は式(3)の化合物である。
【0019】
【化6】 Rは式(2)の化合物と同じである。ジアルキルスルホニウ
ム塩のアルキルは互いに異なっていても同一でもよい
が、同一の方がより好ましい.R2はR1と同一な炭素数1
〜8のアルキル基または水素、または薬理学的に許容さ
れる陽イオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム
のようなアルカリ金属イオン、またはアンモニウムイオ
ンを表す。
【0020】本発明で形成されるスルホニウム塩とし
て、4−ジメチルスルホニウムフェニルチオメタンビス
ホスホン酸、4−ジエチルスルホニウムフェニルチオメ
タンビスホスホン酸、4−ジプロピルスルホニウムフェ
ニルチオメタンビスホスホン酸、4−ジイソプロピルス
ルホニウムフェニルチオメタンビスホスホン酸、4−メ
チルエチルスルホニウムフェニルチオメタンビスホスホ
ン酸、4−メチルプロピルスルホニウムフェニルチオメ
タンビスホスホン酸、4−メチルイソプロピルスルホニ
ウムフェニルチオメタンビスホスホン酸、4−エチルプ
ロピルスルホニウムフェニルチオメタンビスホスホン
酸、4−エチルイソプロピルスルホニウムフェニルチオ
メタンビスホスホン酸などが挙げられる。特に好ましく
は4−ジメチルスルホニウムフェニルチオメタンビスホ
スホン酸および4−メチルイソプロピルスルホニウムフ
ェニルチオメタンビスホスホン酸である。
【0021】本発明の加水分解に用いるアルコールROH
のアルキル基(R)はスルフィド基を有するホスホン酸
エステルのベンゼン環の置換基RS基で記載したアルキル
基(R)であり、炭素数1〜6のものである。好ましいア
ルコールとしてはメチル、エチル、プロピルアルコール
などである。本発明においてスルホニウム塩を形成させ
るために共存させるアルコールROHも上記と同じアルコ
ールが好ましい。
【0022】加水分解および、またはスルホニウム塩形
成に用いる、または共存させるアルコールROHはスルフ
ィド基を有するホスホン酸エステルのベンゼン環の置換
基RS基のアルキル(R)と同じアルコールである。
【0023】本発明において加水分解生成物であるスル
フィド基を有するホスホン酸およびその塩は少なくとも
一部は形成されたスルホニウム塩から生成される.加水
分解/スルホニウム塩化反応に使用する塩酸の濃度は望
ましくないS−アルキル体量を低減するために高い方が
好ましい。好ましくは6規定以上、より好ましくは10規
定以上、特に好ましくは12規定(濃塩酸)である。
【0024】加水分解/スルホニウム塩化反応の反応温
度は好ましくは80から130℃、より好ましくは90℃から1
30℃、特に好ましくは90から120℃である。
【0025】使用するアルコール量は濃塩酸(換算)に
対して体積で5%以上使用することが好ましい。更に好
ましくは10%以上100%以下、特に好ましくは20から30
%である。しかし副生成物である塩化アルキルの生成量
を低減するためにはアルコールの使用量は極力少ない方
が望ましい。
【0026】加水分解反応/スルホニウム塩化反応の好
ましい反応時間は反応液の温度が一定になった後、1時
間から25時間である。より好ましくは1時間から22時間
であり、特に好ましくは1から20時間である。
【0027】スルホニウム塩を利用した本加水分解反応
では、加水分解/スルホニウム塩化反応が終了した後、
スルホニウム塩を分解する必要があり、効率的なスルホ
ニウム塩の分解条件は以下の通りである。
【0028】加水分解/スルホニウム塩化反応の段階で
は冷却器を使用してアルコールを還流させながら反応を
行うことが好ましいが、スルホニウム塩分解の段階にお
いては、系内からアルコールを留去させることが好まし
い。この操作により効率的にスルホニウム塩を減少させ
ることができる。即ち系内からアルコールを除去しない
とスルホニウム塩分解反応が遅くなり、反応時間が長く
なる。
【0029】従って反応時間はアルコールの留去効率に
よって異なるが、好ましい反応時間は3時間から30時
間、より好ましくは7から25時間である。反応時間を長
くすることはスルホニウム塩の分解にとって何ら影響は
ないが生産性の点で問題となるのであまり好ましくな
い。
【0030】スルホニウム塩分解の反応温度は効果的に
アルコールを留去するために高温で加熱することが望ま
しいが、好ましくは90℃から150℃、より好ましくは100
から140℃である。
【0031】反応容器の形状などによっては上部の空間
(デッドスペース)に凝結した少量のアルコールが留去
しきれずに残ることがあり、そのためにスルホニウム塩
量の減少があるレベルで止まってしまうことがあるた
め、効率的に留去できる装置などが好ましく用いられ
る。または、このような場合スルホニウム塩の減少が止
まった時点で、反応混合物のろ過を行い別の反応容器に
移液した後に加熱を継続することで問題を解決すること
ができる。
【0032】以上のような反応および操作を行うことに
よりスルホニウム塩量をその後の精製操作により完全に
除去可能なレベルにまで減少させることができる。
【0033】なお加水分解反応系内ではスルホニウム塩
生成と分解が同時に進行していると考えられる。
【0034】
【実施例】以下に実施例を上げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0035】実施例1 (加水分解反応1)300ml 3つ口フラスコに(4−メチル
チオフェニル)チオメタンビスホスホン酸テトライソプ
ロピル40gを秤量し、メカニカルスターラー、ジムロー
トをセットする。アルゴン置換を行った後、メタノール
40mlを加え、撹拌する。12N塩酸160mlを加え温度90℃に
て7時間加熱還流する。ジムロートをクライゼンヘッド
に交換し、120℃に昇温して低沸物を留去する。120℃に
て13時間加熱を続ける。
【0036】水浴で放冷して反応液をろ過する。ろ液を
300ml 3つ口フラスコに入れ、メカニカルスターラー、
クライゼンヘッドをセットして120℃で加熱する。HPLC
分析を行い、[4−(ジメチルスルホニウム)フェニル
チオ]メタンビスホスホン酸から主としてなるスルホニ
ウム塩が0.5%以下になるまで加熱を継続する(6〜8時間
程度かかる)。
【0037】反応終了後メカニカルスターラーで撹拌し
ながら40%NaOH水溶液を用いて水冷下50℃以下を保つよ
うにゆっくり滴下してpHを3.5〜4.6にする。撹拌を続け
ながら1時間氷冷すると結晶が生成する。結晶をろ過し
てろ液を十分に切り、結晶をエタノールでリンスする。
その後室温にて減圧乾燥すると(4−メチルチオフェニ
ル)チオメタンビスホスホン酸ニナトリウムの粗結晶が
29.5g得られた。粗結晶中の(4−イソプロピルチオフェ
ニル)チオメタンビスホスホン酸の含量は0.15%(HPL
C)であった。
【0038】実施例2 (加水分解反応2)300ml 3つ口フラスコに(4−メチル
チオフェニル)チオメタンビスホスホン酸テトライソプ
ロピル40gを秤量し、メカニカルスターラー、ジムロー
トをセットする。アルゴン置換を行った後、メタノール
40mlを加え、撹拌する。12N塩酸160mlを加え温度110℃
にて20時間加熱還流する。ジムロートをクライゼンヘッ
ドに交換し、120℃に昇して低沸物を留去する。[4−
(ジメチルスルホニウム)フェニルチオ]メタンビスホ
スホン酸から主としてなるスルホニウム塩が0.5%以下
(HPLC分析)になるまで加熱を継続する(6〜8時間
程度かかる)。
【0039】反応終了後、水浴で放冷して反応液をろ過
する。その後、ろ液をメカニカルスターラーで撹拌しな
がら、水冷下50℃以下を保つように40%NaOH水溶液をゆ
っくり滴下してpHを3.5〜4.6にする。撹拌を続けながら
1時間氷冷すると結晶が生成する。結晶をろ過してろ液
を十分に切り、結晶をエタノールでリンスする。その後
室温にて減圧乾燥すると(4−メチルチオフェニル)チ
オメタンビスホスホン酸ニナトリウムの粗結晶が28.5g
得られた。粗結晶中の(4−イソプロピルチオフェニ
ル)チオメタンビスホスホン酸の含量は0.11%(HPLC)
であった。
【0040】実施例3 (スルホニウム塩の合成)300ml 3つ口フラスコに(4−
メチルチオフェニル)チオメタンビスホスホン酸テトラ
イソプロピル40gを秤量し、マグネチックスターラー、
ジムロートをセットする。アルゴン置換を行った後、メ
タノール40mlを加え、撹拌する。12N塩酸160mlを加え温
度90℃にて7時間加熱還流する。ついで水温40℃の水浴
を用いて減圧下塩酸を留去する。留去終了後、再びアル
ゴン置換を行い、メタノール40ml、12N塩酸160mlを加
え、撹拌しながら温度90℃にて3時間加熱還流を続け
る。
【0041】加熱終了後、水温40℃の水浴を用いて減圧
下塩酸を留去する。留去終了後、アルゴン置換を行い、
メタノール40ml、12N塩酸160mlを加え、撹拌しながら温
度90℃にて3時間加熱還流を繰り返す。加熱終了後、水
温40℃の水浴を用いて減圧下塩酸を留去する。このよう
にしてスルホニウム塩化反応−塩酸留去を3回繰り返し
て行う。
【0042】反応終了後、500mlのアセトン中に生成物
溶液を投入し再沈殿を行う。得られた結晶を水−エタノ
ールから再結晶することでHPLC純度99%以上の[4−
(ジメチルスルホニウム)フェニルチオ]メタンジホス
ホン酸が20.7g得られた。
【0043】重水中のプロトン核磁気共鳴スペクトルは
次の通りである。 1H NMR(D2O, 300MHz) 3.21(s, 6H), 3.69(t, 1H), 7.75(d, 2H), 7.85(d, 2H)
ppm
【0044】(ジメチルスルホニウム塩の分解)300ml
3つ口フラスコに、得られた[4ー(ジメチルスルホニウ
ム)フェニルチオ] メタンジホスホン酸40gを秤量し、マグネチックスター
ラー、ジムロートをセットする。アルゴン置換を行った
後、12N塩酸200mlを加え、温度120℃にて20時間加熱還
流する。
【0045】反応終了後、メカニカルスターラーで撹拌
しながら、40%NaOH水溶液を用いて水冷下50℃以下を保
つようにゆっくり滴下してpHを3.5〜4.6にする。撹拌を
続けながら1時間氷冷すると結晶が生成する。結晶をろ
過してろ液を十分に切り、結晶をエタノールでリンスす
る。その後室温にて減圧乾燥すると、(4−メチルチオ
フェニル)チオメタンビスホスホン酸ニナトリウムの粗
結晶が39g得られた。
【0046】比較例 (加水分解反応、メタノールの非存在下)300ml 3つ口
フラスコに(4−メチルチオフェニル)チオメタンビス
ホスホン酸テトライソプロピル40gを秤量し、メカニカ
ルスターラー、ジムロートをセットする。アルゴン置換
を行った後、12N塩酸200mlを加え温度90℃にて7時間加
熱する。
【0047】ジムロートをクライゼンヘッドに交換し、
120℃に昇温して低沸物を留去する。120℃にて13時間加
熱を続ける。
【0048】水浴で放冷して反応液をろ過する。ろ液を
300ml 3つ口フラスコに入れ、メカニカルスターラー、
クライゼンヘッドをセットして120℃にて7時間加熱を続
ける。
【0049】反応終了後メカニカルスターラーで撹拌し
ながら40%NaOH水溶液を用いて水冷下50℃以下を保つよ
うにゆっくり滴下してpHを3.5〜4.6にする。撹拌を続け
ながら1時間氷冷すると結晶が生成する。結晶をろ過し
てろ液を十分に切り、結晶をエタノールでリンスする。
その後室温にて減圧乾燥すると(4−メチルチオフェニ
ル)チオメタンビスホスホン酸ニナトリウムの粗結晶が
30.2g得られた。粗結晶中の(4−イソプロピルチオフェ
ニル)チオメタンビスホスホン酸の含量は1.91%(HPL
C)であった。
【0050】
【発明の効果】本発明により不純物である[4−(イソ
プロピルチオ)フェニルチオ]メタンビスホスホン酸を
増加させることなく従来の約3倍の生産効率で(4−メチ
ルチオフェニル)チオメタンビスホスホン酸テトライソ
プロピルエステルの加水分解により[4−(メチルチ
オ)フェニルチオ]メタンビスホスホン酸を合成するこ
とができる。
フロントページの続き (72)発明者 川辺 紀雄 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内 (72)発明者 駒形 俊和 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スルフィド基を有するホスホン酸エステル
    を加水分解してスルフィド基を有するホスホン酸または
    その塩を製造する際に、アルコールを共存させることを
    特徴とするホスホン酸およびその塩の製造方法。
  2. 【請求項2】共存させるアルコールがスルフィド基のア
    ルキル基と同種のアルキル基を有するアルコールである
    ことを特徴とする請求項1記載のホスホン酸およびその
    塩の製造方法。
  3. 【請求項3】加水分解の際に、スルホニウム塩を生成さ
    せることを特徴とする請求項1または2記載のホスホン
    酸またはその塩の製造方法。
  4. 【請求項4】スルフィド基を有するホスホン酸エステル
    が式(1)の化合物であることを特徴とする請求項1〜3
    記載のホスホン酸またはその塩の製造方法。 【化1】 (式中、Aは炭素数1〜6のアルキルチオ基を置換基に
    有するフェニル基を表し、Xは(CH2)n(ここでnは1
    〜3の整数を表す)、酸素、または硫黄を表し、R1は炭
    素数1〜8のアルキル基を表す。)
  5. 【請求項5】スルフィド基を有するホスホン酸エステル
    が式(2)の化合物であることを特徴とする請求項4記
    載のホスホン酸またはその塩の製造方法。 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表し、Xおよ
    びR1は前記定義に同じであり、YはH、炭素数1〜6の
    アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜
    6のアルコキシ基、またはハロゲンを表す。)
  6. 【請求項6】共存させるアルコールが炭素数1〜6のアル
    コールであることを特徴とする請求項1〜5記載のホス
    ホン酸またはその塩の製造方法。
  7. 【請求項7】スルフィド基を有するホスホン酸エステル
    が4−RS−フェニルチオメタンビスホスホン酸テトラア
    ルキルエステル(Rは前記定義に同じ)であることを特
    徴とする請求項1〜6記載のホスホン酸またはその塩の
    製造方法。
  8. 【請求項8】スルフィド基を有するホスホン酸エステル
    が(4−メチルチオフェニル)チオメタンビスホスホン
    酸テトラアルキルエステルであることを特徴とする請求
    項7記載のホスホン酸またはその塩の製造方法。
  9. 【請求項9】スルホニウム塩が式(3)の化合物である
    ことを特徴とする請求項1〜8記載のホスホン酸または
    その塩の製造方法。 【化3】 (式中、RおよびXは前記定義と同じであり、R2は炭素
    数1〜8のアルキル基、Hまたは薬理学的に許容できる陽
    イオンを表す。)
  10. 【請求項10】スルホニウム塩が4−(ジメチルスルホ
    ニウム)フェニルチオメタンビスホスホン酸およびその
    塩であることを特徴とする請求項9記載のホスホン酸ま
    たはその塩の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6670343B1 (en) * 1999-07-19 2003-12-30 Toray Industries, Inc. Drugs for periodontal disease

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US6670343B1 (en) * 1999-07-19 2003-12-30 Toray Industries, Inc. Drugs for periodontal disease

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