JPH1177628A - プレキャストコンクリート板とその製造方法並びに これを用いた施工法 - Google Patents

プレキャストコンクリート板とその製造方法並びに これを用いた施工法

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JPH1177628A
JPH1177628A JP24317197A JP24317197A JPH1177628A JP H1177628 A JPH1177628 A JP H1177628A JP 24317197 A JP24317197 A JP 24317197A JP 24317197 A JP24317197 A JP 24317197A JP H1177628 A JPH1177628 A JP H1177628A
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Japan
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spraying
precast concrete
concrete
mortar
formwork
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JP24317197A
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Inventor
Sakae Ushijima
栄 牛島
Hideaki Taniguchi
秀明 谷口
Mikio Sugano
幹男 菅野
Tsuyoshi Maeda
強司 前田
Tsutomu Sato
務 佐藤
Atsushi Fukuda
淳 福田
Toshiaki Ueda
俊朗 上田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
UEDA SHOKAI KK
Aoki Corp
Tokyu Construction Co Ltd
Original Assignee
UEDA SHOKAI KK
Aoki Corp
Tokyu Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 打込み型枠等として有用なプレキャストコン
クリート板を簡便に、高い生産性で提供する。 【解決手段】 受け型枠の吹付け面に対して、モルタル
またはコンクリート材を圧縮空気によって所定厚みに吹
付け、硬化後に受け型枠を脱型することによりプレキャ
ストコンクリート板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、プレキャ
ストコンクリート板とその製造方法、並びにプレキャス
トコンクリート板を主としてコンクリート工事の型枠に
用いて本体のコンクリートを打設し、その型枠と本体コ
ンクリートを一体化する打込み型枠工法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、コンクリート工事では、鉄筋工や
型枠工等の熟練労働者の不足や建設労働者の高齢化が深
刻化しており、その解決策として施工の省人化、苦渋作
業からの解放あるいは施工の安全性等を確保するための
合理化が進められている。また、従来より型枠には加工
性に優れた合板型枠が使用されることが多いが、合板型
枠の大量使用、大量消費は、南洋材の大量伐採に繋がる
ことから、今後は、環境保護に配慮した型枠の使用が望
まれてもいる。
【0003】これらの要求に対し、建築分野では以前か
らカーテンウォールなどが製造、施工されてきている。
カーテンウォールとは、建築物の外壁を幾つかに区分し
て、その区分された板を工場で製造し、工事現場まで運
搬後に、クレーンで吊り下げて組み立てるものである。
カーテンウォールは、幅2.4m、高さ3.8m、厚さ
15〜18cm程度が標準であるが、板厚み30〜50
mm程度に薄くし、通常の型枠を兼用した薄肉のプレキ
ャストコンクリート型枠の開発も盛んに行われている。
【0004】一方、土木分野では、橋脚やカルバート等
の大断面コンクリート構造物をプレキャストコンクリー
ト化してコンクリート工事の省力化を図る研究開発が盛
んである。また、本州連絡橋のアンカレイジなどは耐用
年数を長期に確保しなければならない重要構造物である
ことから、海から飛来する塩分などへの抵抗性を高めた
高耐久性埋設型枠が用いられている。この場合の高耐久
性の手段としては、セメント系以外のポリマー材料を含
浸あるいは積層している。
【0005】このように、プレキャストコンクリート化
技術は現場打設工法に比べて高品質で、工事の省力化を
図れるとともに、環境保護問題の解決手段にも成り得る
ことから、建築、土木を問わず、広く活用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
プレキャストコンクリート型枠には次のような問題があ
った。 ・道路事情でサイズ及び重量に制限を受け、特に奥地の
現場に運ぶことは困難である。
【0007】・工場から現場までの運搬費がかかる。 ・不定形な製品は極めて高くなるため、サイズがある程
度限定される。 ・特殊な材料を使用しているので材料費、製造費が高
い。 ・特定の製造メーカーと協力体制を構築しなければなら
ない。 また、型枠は流し込みなどの手法を用いて製造されてい
るが、以下の問題があり、プレキャスト型枠の製造性が
悪く、コスト高になっていた。
【0008】・鋼製型枠を所定の寸法に組み立て、その
中に材料を流し込んで製造されるが、ほとんどが平置き
の状態となり、広い作業場所が必要になる。 ・曲率があったり、形状が複雑になると、製造しにく
い。 ・強度を高めるためにポリマーや繊維を混入する場合が
あるが、均一に流し込むのに多大な労力を必要とする。
【0009】・表層と基層の材料を変更する場合には製
造工程が増え、多くの型枠を製造できない。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この出願の発明は、受け型枠の吹付け面に対してモ
ルタルまたはコンクリート材が所定の厚みに吹付けら
れ、硬化後に受け型枠が脱型されることにより形成され
ることを特徴とするプレキャストコンクリート板(請求
項1)を提供する。
【0011】また、この出願の発明は、前記のプレキャ
ストコンクリート板について、受け型枠の吹付け面は平
面、曲面または屈曲面であるプレキャストコンクリート
板(請求項2)をはじめ、受け型枠の吹付け面には鉄筋
があらかじめ配設されているプレキャストコンクリート
板(請求項3)、モルタルまたはコンクリート材には、
吹付け時に補強短繊維や急結剤、さらには樹脂の少くと
も1種が混合されるプレキャストコンクリート板(請求
項4)、受け型枠は金属製のもので繰返し使用されるプ
レキャストコンクリート板(請求項5)等をその態様と
して提供する。
【0012】そして、この出願の発明は、前記のいずれ
かのプレキャストコンクリート板からなることを特徴と
するコンクリート工事用の型枠(請求項6)と、この型
枠を用いての施工法であって、所定位置にこの型枠を配
置し、次いで本体コンクリートを打設して型枠と本体コ
ンクリートとを一体化することを特徴とする施工方法
(請求項11)を提供する。
【0013】さらにこの出願の発明は、前記のいずれか
のプレキャストコンクリート板の製造方法であって、受
け型枠に対してモルタルまたはコンクリート材を圧縮空
気によって所定の厚みに吹付け、硬化後に受け型枠を脱
型することを特徴とするプレキャストコンクリート板の
製造方法(請求項7)と、その態様としての、受け型枠
を移動用架台に吊下げ支持し、吹付けにともなって受け
型枠を移動させる製造方法(請求項8)、並びに圧縮空
気による吹付けは、手動または自動で移動可能とされた
吹付機または吹付ノズル装置により行う製造方法(請求
項9)、吹付け面に対して略直交する方向より吹付ける
方法(請求項10)等も提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、前記のとお
り、吹付けにより製造したプレキャストコンクリート板
と、これを型枠として施工すること、そして製造のため
の方法を特徴としているが、その実施の形態について説
明すると以下のとおりである。まず、この発明における
受け型枠であるが、このものは、素材の構成としては必
要とされる強度を持つ鋼製等の金属製のものでもよい
し、木質系や樹脂系のもの、あるいはそれらの複合や組
合わせによって構成したものでもよい。
【0015】受け型枠の吹付け面についても各種であっ
てよい。平面だけでなく、たとえば管内面のように曲面
であってもよいし、柱用等のためのボックス状やL形等
の屈曲面であってもよい。これらの吹付け面にはあらか
じめ溶接金網を配置しておいてもよい。そして、以上の
受け型枠を用いて吹付けにより作製するプレキャストコ
ンクリート板については、その大きさ、厚み等について
特に制限はないが、実際上の観点からは、たとえば次の
ようにその代表例が示される。モルタルの場合 1000×2000×50(mm)程度を標準とするこ
とができる。
【0016】さらに薄くして軽量化を図る場合には、3
0mm程度にし、溶接金網を使用せずに、ビニロン等の
短繊維を混合し、場合によってはアクリルやSBRなど
のポリマーディスパージョンなども混入することが考慮
される。コンクリートの場合 モルタルと同程度の長さ、幅から3m、4mの一辺を持
つカーテンウォールまで考慮される。現場内で製造する
場合には、さらに大きなサイズも製造、移動できるが、
取扱いやすさやクレーンで吊り下げられる重量による。
厚さは、モルタルよりも大きくする必要がある。100
〜200mm程度が標準となる。
【0017】溶接金網はモルタル吹付け時に使用するこ
とになるが、100mm間隔、径3〜5mm、1枚使用
程度が標準となる。フェロセメントの技術を応用して、
何層にも重ねてその中にモルタルを充填することで、じ
ん性(粘り強さ)を高めることもできる。なお、断面を
厚くする場合には、複数枚設置することも考えられる。
【0018】吹付けに使用されるモルタルやコンクリー
ト材については、吹付けという手段の採用にともなっ
て、必要とされるプレキャストコンクリート板の特性と
ともに、吹付け時のだれを抑え、しかも吹付きが可能と
される組成が考慮されることになる。モルタルは、基本
構成が水、セメント、細骨材(5mm以下の骨材)から
なり、一方、コンクリートは、これに加えて、粗骨材
(5mm以上の骨材)を使用する。両者の使い分けは、
製造するプレキャスト板の性能やその厚さ、寸法、作業
スペース、工事の種類などによる。
【0019】つまり、まず、骨材の最大寸法は、部材寸
法、鉄筋間隔、鉄筋のかぶりによって、次の表1および
表2
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】のように決められている。簡単に言えば、
小さいスペースのところには大きな骨材を含んだ材料を
充填しようとしても、成形性が悪く、未充填箇所を発生
する可能性が高いため、その寸法は適切に決めなければ
ならない。モルタルとコンクリートの違いは、この骨材
の寸法の違いだけである。ただし、骨材寸法だけの問題
であれば、どのサイズもモルタルで作れば良いことにな
るが、モルタル配合は、コンクリートに比べると、単位
セメント量、単位水量が大きく、収縮によるひび割れが
生じやすくなる。また、材料単価も高くなり、不経済と
なる。このため、プレキャストコンクリート板の寸法や
厚さによって、使い分ける必要が生じる。
【0023】また、後述のポンプ方式の製造において
は、コンクリート用とモルタル用の機器類の規模が明ら
かに違いがあり、作業スペースの問題がある。このよう
な現場の条件からも、モルタルとコンクリートの使い分
けを考えなければならない。モルタルの場合、高強度に
して薄肉、軽量化を図るため、以下のような配合が標準
となる。なお、大文字は質量、小文字は容積を表す。
W:水、C:セメント、S:細骨材、a:全骨材容積 W:C:S=0.35:1:1.5 コンクリートの場合、断面を200mm程度にし、通常
の部材と同程度に配筋し、同程度の強度レベルにする場
合には、水セメント比W/C=45〜55%、細骨材率
s/a=50〜70%とする。高強度を図る場合には、
W/C=30〜40%にする。
【0024】また、吹付け用のモルタルやコンクリート
材には補強用の短繊維や、だれを抑えるための急結剤、
さらには硬化増粘等のための樹脂を配合することが考慮
される。なお、短繊維や樹脂の配合は、プレキャストコ
ンクリート板の強度を高め、ひび割れを抑止することに
なる。このため、板厚を薄く軽量化して使用することを
可能とする。もちろんこれらの配合は必須ではない。短
繊維の使用量は、通常、コンクリート1m3 に対して、
容積で0.5〜2.0%混入する。今回使用した液体急
結剤の場合には、C×2〜5%が標準であり、あまり多
すぎると、硬化速度が速すぎて扱いにくいことになる。
【0025】吹付けは、後述の実施例にも例示したが、
圧縮空気により行うことになるが、バッチ方式やポンプ
方式等の各種方式で可能とされ、使用するモルタルやコ
ンクリート材の種類、組成、そして目的とするプレキャ
ストコンクリート板の大きさや製造現場の状況等を考慮
してその方式が選ばれることになる。また、この方式と
ともに、吹付け量、吹付けのための空気圧、さらに受け
型枠を移動させる場合にはその移動速度等が定められ
る。
【0026】そして吹付けに際しては、受け型枠の吹付
け面に対して、手動で、または自動的に前後左右、さら
に上下に移動可能とした吹付け機や吹付けノズルにより
行なうことになるが、その際の吹付け角度、つまり吹付
け面に対してのモルタルやコンクリート材が吐出される
方向の角度が適宜に選択、操作されることになる。吹付
け面に直交するように、あるいは吹付け面に対して、上
向き、下向き、左右斜め向き等の角度となる。
【0027】この際に、たとえば吹付け面が平面の受け
型枠の場合には、吹付け面に対しての吹付け方向を略直
交させることが好ましい態様として示される。プレキャ
ストコンクリート板の製造効率、品質の均一性等の観点
からこのことが推奨される。この場合は、たとえば添付
の図1にも例示した態様とすることができる。受け型枠
をその吹付け面が略垂直になるように配置し、吹付け面
に対して吹付け方向を略直交させて吹付ける。
【0028】この図1の例では、受け型枠を略垂直に配
置しており、こうすることにより、場所をとらないで吹
付けできるというメリットがある。しかし、もちろんの
こと、作業場所が広い場合や、型枠が小さく、製造枚数
が少ない場合などは傾斜させて置くことや、平置きして
吹付けることもできる。平置きでは、吹付けられたモル
タルやコンクリート材がダレ落ちる心配もないので、前
記の急結材の配合は必要ないことになる。そして短繊維
や樹脂の配合は、ダレ止めを期待したものでなく、硬化
後のプレキャストコンクリート板の性能のみを満足させ
る量でよいことになる。
【0029】また、吹付け方向も直交する場合には限ら
れない。吹付け面が曲面や屈曲面であれば、その形状の
特徴に合わせて吹付ければよい。吹付けにより製造され
たこの発明のプレキャストコンクリート板は、たとえば
図1にも例示したように、硬化後に、受け型枠を脱型
し、たとえば打込み型枠工法のためのコンクリート型枠
として使用されることになる。
【0030】以上のようなこの発明のプレキャストコン
クリート板とその製造方法については、吹付け技術とし
ては次のような優れた作用が得られることになる。 ・受け側の鋼製等の受け型枠を立て置きで設置でき、ま
た、立てた状態で養生スペースに移動することができる
ため、製造、養生、保管のスペースを小さくできる。
【0031】・立て置きだけでなく、場所や型枠の大き
さ、製造枚数等に応じて、受け型枠の傾斜置きや平置き
により吹付けることができ、製造作業の自由度が大き
い。 ・流し込みで製造する場合に比べて、立置きや傾斜置き
により製造作業スペースは小さくて済み、現場状況に応
じて吹付け方法の操作の自由度が大きい。
【0032】・吹き付けによると曲率のあるものや屈曲
したものも簡単に製造できる。 ・繊維やポリマーなどの材料を混入しやすい。ベースの
モルタルやコンクリートにあらかじめ混ぜなくてもよい
ので、材料の粘性が高まり過ぎて、練混ぜ不良や打ち込
み不良を生じることがない。また、そのような材料の混
入の有無を簡単に切り換えることができることから、連
続して表層と基層を吹き付けることができる。
【0033】・吹付け面には凹凸が生じるので、これを
型枠とする施工では本体コンクリートと一体化しやす
い。 ・機械化、自動化しやすく、操作を覚えれば誰でも施工
でき、従来のように作業員の熟練度の違いによる振動・
締固め不良で製品の均一性を失わない。 吹付け関連機器が現場に運搬あるいは調達でき、現場で
製造できることから次の効果が得られる。
【0034】・パン型ミキサ、ポンプなど現場でも設置
可能な簡単な機材で型枠を製造できる。 ・サイズ及び重量に制限を受けず、大きなサイズの型枠
で効率を上げられる。 ・現場で型枠を作製した場合、運搬費がかからない。 ・現場において型枠を作製するヤードが無い場合には、
簡単な設備で型枠を作製できるので現場近くの空き地、
二次製品や生コンなどの建材工場において作製すること
が可能である。
【0035】・現場近くのヤードで型枠を作製した場合
でも、工場で作製した場合に比べると運搬費は安くな
る。 ・不定形な製品、計画と違ったサイズの製品を現場の組
立て状況に合わせて製造できる。 ・特定の製造メーカーと協力体制を必要としない。
【0036】
【実施例】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの出願
の発明について説明する。もちろん、この出願の発明は
以下の例によって何ら限定されるものではない。実施例1 <バッチ方式によるコンクリート吹付け>図2に示した
(a)バッチ方式に従って、受け型枠(鋼製)に対して
吹付けを行った。図3は、吹付け機について拡大して例
示したものである。
【0037】図3に示したように、必要に応じて短繊維
を混入した圧縮空気を供給しながらコンクリートをスク
リュウフィーダーによりノズルまで送った後に、ノズル
出口直前で、必要に応じて急結剤等とともに送入した圧
縮空気によってノズル出口よりコンクリートを噴出させ
て吹付けを行っている。図2(a)のように、受け型枠
は水平移動させ、吹付けは、略垂直に配置された受け型
枠の吹付け面に対して直交する方向より行っている。
【0038】吹付けコンクリート材としては次の配合の
ものを用いている。 使用材料 単位量(kg/m3 水 189 普通ポルトランドセメント 450 石灰石微粉末 150 細骨材(陸砂) 1038 粗骨材(10mm以下の砕石) 527 高性能AE減水剤 6 増粘剤 0.3 急結剤を使用せずにコンクリートの粘性のみの付着やコ
ンクリートのスランプ値を2〜28cmの範囲で変化さ
せた場合の付着の状況を確認した。
【0039】急結剤を使用しなくても、この吹付け方式
の場合にはスランプ24cmの高い流動性を持ったコン
クリートであっても厚さ約20cmまで形状を保持で
き、プレキャストコンクリート板の製造が可能とされ
た。また、バッチ方式によるコンクリート吹付けについ
てはさらに条件を変更して検討したところ、吹付け量に
ついては1〜2m3 /hrで安定して吹付ければ製造上
問題はないこと、スランプ値としては3〜25cm程度
で圧送して吹付けできることが確認された。
【0040】実施例2 <ポンプ方式によるモルタル吹付け>図4(a)(b)
に例示した移動用架台に受付型枠(鋼製)を吊下げ支持
し、横方向に移動可能とした。この受け型枠の吹付け面
に直交する方向より、図2(b)および図5に示したよ
うにポンプ圧送方式によりモルタルを吹付けた。
【0041】モルタルとしては次の組成のものを用い
た。 使用材料 単位量(kg/m3 水 281 早強ポルトランドセメント 802 細骨材(川砂) 1203 高性能減水剤 10〜15 液体急結剤 0〜56 圧送量の最大が1.0m3 /hr程度の一般的なモルタ
ルポンプを使用したが、0.9m×1.8m×5cmの
プレキャストコンクリート板を製造する時間は、わずか
5分程度であった。
【0042】急結剤を使用しなくても、ある程度硬いモ
ルタルでは形状を保持できるが、振動やコテ均しによっ
てプレキャストコンクリート板の上面が下がるため、適
度に急結剤を使用することが好ましい。急結剤を少量使
用した場合には、しばらくの間、必要以外に付着したモ
ルタルを均す作業も可能であることが確認された。内部
に溶接金網を補強材として入れる場合には未充填箇所を
作らないように、モルタルの配合、流動性あるいは吹付
け距離などを適切に調整することが望ましく、また、吹
付け距離としては、30〜40cm程度が良い結果であ
った。
【0043】スランプ値については、モルタルの場合、
フロー(広がり)で、200〜250mm程度が標準的
であること、一方、コンクリート材の場合には、下限を
8cm程度までとするのが好ましく、これによりポンプ
圧送が可能となることも確認された。実施例3 実施例2と同様のポンプ方式による吹付けにおいて、受
け型枠に対するモルタルやコンクリートの付着について
評価した。
【0044】この付着については、モルタルやコンクリ
ートの粘着性を向上させることが望まれることから、吹
付け材の中のセメント量を多くしたり、W/C(水コン
クリート比)を小さくしたり、急結剤や増粘剤を混入す
ることにより、実現することができる。また、吹き付け
るモルタルやコンクリートが型枠に対して、リバウンド
をしないことが必要である。この点からも急結剤や増粘
剤の配合を増大させることが考慮される。
【0045】この実施例においては、表3に示すアルカ
リフリーの液体急結剤を混合したコンクリートを用い
て、吹付けノズルによるプレキャスト型枠の製造を試み
た。
【0046】
【表3】
【0047】スランプの値は12cmである。また、吹
付けには、D10の鉄筋を150mm間隔で配筋した寸
法900×1800×150mmの型枠を使用し、受け
型枠が小さいことから、コンクリートの吐出量を最小設
定の7m3 /hrとした。添付した図面の図6は、急結
剤使用量、吹き付け距離、および空気圧送量とリバウン
ドの関係を示したものである。
【0048】図6に示したように、急結剤を5%使用し
たときのリバウンド率は13%と一般的な吹付け結果と
比較してかなり小さく、使用量を増加することによって
10%以下も可能であった。また、リバウンド率には、
吹付け距離や空気圧送量に最適な値があり、この実施例
では、それぞれ120cm、8Nm3 /分が最小値にな
った。
【0049】基本的には、吹付け面が現場打ちコンクリ
ートとの付着面になるため、コテ均しを必要としない
が、端部処理などが必要となることが予想される。この
実施例の結果から、急結剤の使用量が5%以下であれ
ば、吹付け後しばらくの間はコテ均しが可能であること
がわかった。以上の結果から、この実施例の方法は、骨
材のリバウンドが少なく、コテによる仕上げも可能であ
り、配筋された試験体にも密実に充填できることがわか
った。また、ある程度部材厚があり、大型のプレキャス
ト型枠の製造には有効であると考えられる。
【0050】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、型枠等として有用なプレキャストコンク
リート板材を簡便に、高い生産性で提供することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】打込み型枠工法を例示した断面概念図である。
【図2】吹付けによるプレキャストコンクリート板の製
造について、(a)バッチ方式、(b)ポンプ方式とし
て例示した構成概要図である。
【図3】バッチ方式による吹付け機を例示した断面図で
ある。
【図4】(a)(b)は、各々、受け型枠の吊下げ支持
を例示した正面図と側面図である。
【図5】ポンプ方式の吹付けノズルについて例示した側
断面図である。
【図6】(a)(b)(c)は、各々、実施例として、
リバウンド率の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 秀明 茨城県つくば市要36−1 株式会社青木建 設研究所材料研究室内 (72)発明者 菅野 幹男 茨城県つくば市要36−1 株式会社青木建 設研究所材料研究室内 (72)発明者 前田 強司 神奈川県相模原市田名3062−1 東急建設 株式会社技術研究所土木材料研究室内 (72)発明者 佐藤 務 神奈川県相模原市田名3062−1 東急建設 株式会社技術研究所メカトロ研究部第1研 究室内 (72)発明者 福田 淳 神奈川県相模原市田名3062−1 東急建設 株式会社技術研究所土木施工研究室内 (72)発明者 上田 俊朗 北海道登別市幌別町2丁目3番地5 株式 会社上田商会内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受け型枠の吹付け面に対してモルタルま
    たはコンクリート材が所定の厚みに吹付けられ、硬化後
    に受け型枠が脱型されることにより形成されることを特
    徴とするプレキャストコンクリート板。
  2. 【請求項2】 受け型枠の吹付け面は平面、曲面または
    屈曲面である請求項1のプレキャストコンクリート板。
  3. 【請求項3】 受け型枠の吹付け面には鉄筋があらかじ
    め配設されている請求項1のプレキャストコンクリート
    板。
  4. 【請求項4】 モルタルまたはコンクリート材には、吹
    付け時に補強短繊維や急結剤、さらには樹脂の少くとも
    1種が混合される請求項1ないし3のいずれかのプレキ
    ャストコンクリート板。
  5. 【請求項5】 受け型枠は金属製のもので繰返し使用さ
    れる請求項1ないし4のいずれかのプレキャストコンク
    リート板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかのプレキャ
    ストコンクリート板からなることを特徴とするコンクリ
    ート工事用の型枠。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかのプレキャ
    ストコンクリート板の製造方法であって、受け型枠に対
    してモルタルまたはコンクリート材を圧縮空気によって
    所定の厚みに吹付け、硬化後に受け型枠を脱型すること
    を特徴とするプレキャストコンクリート板の製造方法。
  8. 【請求項8】 受け型枠を移動用架台に、吊下げ支持
    し、吹付けにともなって受け型枠を移動させる請求項7
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 手動または自動で移動可能とされた吹付
    機または吹付ノズル装置により受け型枠の吹付け面に対
    して圧縮空気によって吹付ける請求項7または8の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 吹付け面に対して略直交する方向より
    吹付ける請求項7ないし9の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項6の型枠を用いての施工法であ
    って、所定位置にこの型枠を配置し、次いで本体コンク
    リートを打設して型枠と本体コンクリートとを一体化す
    ることを特徴とする施工方法。
JP24317197A 1997-09-08 1997-09-08 プレキャストコンクリート板とその製造方法並びに これを用いた施工法 Pending JPH1177628A (ja)

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