JP4644646B2 - ポーラスコンクリート擁壁の構築方法 - Google Patents
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Description
ポーラスコンクリートは、水や空気が連続空隙を自由に通過できる性質を有するため、高い透水性を有し、自動車交通の安全性向上のため排水性のある舗装として利用され、音を吸収する特性を有することから自動車が走行する際の騒音を吸収する吸音材として利用されてきた。また、道路用コンクリートとして、現場打ちのポーラスコンクリートの他、歩道等のインターロッキングコンクリートブロックなどにポーラスコンクリート成形体が用いられている。
さらに、近年では、治水安全度を保ちつつ、生態系の保護を図るため、河川の護岸用にポーラスコンクリート擁壁が実用化されている。
また、土地の斜面と、それと離間するように設置された網状部材との間の空間部にポーラスコンクリート層を造るため、ポーラスコンクリートを十分に締固めることができず、ポーラスコンクリートの十分な強度発現が期待できない。
生コンクリート工場にて、混練機によりセメント系粉体、粗骨材、水および減水剤を練混ぜてポーラスコンクリートを調製する。あるいは、生コンクリート工場ではセメントペーストのみを練混ぜて、該セメントペーストを打設現場まで輸送し、アジテータ車を用いてコンクリート廃材などの粗骨材と混練することでポーラスコンクリートを調製することもできる。
ポーラスコンクリート中の粗骨材の配合量はセメント系粉体100重量部に対して300〜800重量部であり、好ましくは400〜700重量部である。800重量部以上であると強度が過小となり、300重量部未満であると空隙率が小さくなり連続空隙が確保できなくなる。
また、必要に応じて、砕砂、川砂、海砂、珪砂等の細骨材も配合することができる。
打設現場で、油圧ショベルに取付けた法面バケットを、図1に示すように法面地盤下端にて法面地盤から離間して、底面を法面に向けて配置し、さらに該法面バケットの左右両端に封止材料を配置することで、ポーラスコンクリートを流し込むための空間部を形成した。
さらに図2に示すように、法面バケットと、法面地盤と、封止材料によって形成された空間にアジテータ車からポーラスコンクリートを流し込み、図3に示すように法面バケットによりポーラスコンクリートを加圧するか、または法面バケットに設置した振動機により振動加圧してポーラスコンクリートの締固めを行う。
標準バケット等は特に限定されず、施工現場の状況に応じた適用クラス(大きさ)や形状のものを使用することができる。
そして、図4に示すように締固めたポーラスコンクリートに法面バケットの底面に取付けたノズルから液状急結剤を噴霧することにより擁壁部を安定化(表面のポーラスコンクリートの崩落を防止)させる。引き続いて、法面バケットの位置を移動して、ポーラスコンクリートの流し込み、締固め、安定化を繰り返し、順次擁壁を構築してゆく。
液状の急結剤がノズル部の掃除等、取扱いの容易さの点で優れるので好ましい。粉体系急結剤の場合、水と混練してミルク状として使用することが好ましい。
また、急結剤の全噴霧量は、法面バケットの適用クラス、ノズルの設置数、ノズルの噴霧角、急結剤の種類等によって異なるが、例えば前述の基準を満足する急結剤であれば、100〜300cc/m2程度で十分な効果が得られ、法面バケットによる押さえを取除いた際に表層のポーラスコンクリートが崩落しない。
本発明においては、油圧ショベルの作業範囲とは加圧成形ができる範囲であり、例えば1:1.0の勾配の法面において、法面下部のみに一般的な油圧ショベルを配置して、ロングアームを用いない場合の作業範囲は、標準機の最大型を使用した場合、法面長さで10m程度である。
(使用原材料および使用機器)
実施例および比較例で用いた原材料および使用機器は以下の通りである。
<ポーラスコンクリート擁壁の原材料>
粗骨材:砕石4020および砕石2013(大阪府高槻産)
セメント:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会社製)
減水剤:高性能AE減水剤「マイティー3000S」(商品名)(花王株式会社製)
水:水道水
急結剤:水溶性アルミニウム塩を主成分とした液状急結剤「メイコSAエコショット」(商品名)(株式会社エヌエムビー製)
<使用機器>
二軸強制練りミキサ:KBP−BHS3000EF型ミキサ(光洋機械産業株式会社製)容量3.0m3
油圧ショベル:PC200−8(コマツ株式会社製)2台(1台に法面バケット、もう1台には標準バケットを装着)
法面バケット:KN200(コマツ株式会社製)(幅2000mm、高さ800mm、奥行き1000mm)
急結剤噴霧ノズル:広角扇形ノズル(株式会社いけうち製)(噴霧角度:140°、噴霧圧力:0.15MPa、噴霧流量:10L/min、ノズル位置:図6参照)
生コンクリート工場のバッチャ−プラントにて、ポーラスコンクリート材料を1バッチにつき粗骨材:2788kg、セメント:506kg、水152kg、減水剤:7.08kgの割合(2m3分)で混練機に投入し、2分間混練した。そして、2バッチ分のポーラスコンクリートをアジテータ車に積込み、施工現場まで搬送した(搬送時間:約30分)。
斜面勾配が1:1.0の法面において、現場に搬送されたポーラスコンクリートをアジテータ車から標準バケットを装着した油圧ショベルで受け、法面地盤と法面バケットの間に流し込んだ。なお、法面バケットの左右両端は、流し込んだポーラスコンクリートがこぼれ出ないようにコンパネを用いて型枠とした。
それぞれ表1に示す斜面勾配の法面において、実施例1と同様にしてポーラスコンクリート擁壁を構築した。
表1記載の傾斜の法面において、急結剤を噴霧しなかった以外は実施例1と同様にしてポーラスコンクリート擁壁を構築した。
〇:全く落下が認められなかった
△:若干落下が認められた
×:形状が保てないほど多量に落下が認められた
2 法面地盤
3 ポーラスコンクリート
4 急結剤噴霧ノズル
Claims (1)
- 斜面勾配が1:1.0以上の法面において、法面下端にて油圧ショベルに装着した法面バケットを、底面を法面に向けて法面地盤から離間して配置し、該法面バケットの左右両端には封止材料を配置することで形成された空間にポーラスコンクリートを流し込み、法面バケットを用いて該ポーラスコンクリートを加圧または振動加圧して締固めてから、法面バケット底面に取付けたノズルから急結剤を噴霧することで下端の擁壁部を形成し、その後、法面バケットの位置を移動し、同様にして順次上方並びに側方の擁壁部を形成してゆくことを特徴とするポーラスコンクリート擁壁の構築方法。
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