JPH06220934A

JPH06220934A - 構造物の空間部に耐火物を充填する方法

Info

Publication number: JPH06220934A
Application number: JP5044291A
Authority: JP
Inventors: Mitsuo Honma; 満雄本間; Masaru Morioka; 優盛岡; Yoshihira Oosone; 嘗平大曽根
Original assignee: Onoda ALC Co Ltd
Current assignee: Clion Co Ltd
Priority date: 1993-01-25
Filing date: 1993-01-25
Publication date: 1994-08-09

Abstract

(57)【要約】【目的】次の事項を目的とする。（ａ）建物の空間部を耐火物で充填するときの施工効率
を高める。（ｂ）その施工の際、空間部に充填した硬化物が部分的
に突出するようなことがあってもその突出部の切削加工
が容易にする。（ｃ）前記耐火物に対して、鉄製の釘打ちが可能にす
る。（ｄ）建物を高層化する場合を空間部に充填する耐火物
の搬送を省力化する。【構成】構造物の空間部（Ｖ）に対して軽量気泡コン
クリートの塊状物（Ｓ）を投入するとともに、該塊状物
同志の間又は塊状物と前記空間部を構成する壁パネル
（１５）との間に耐火性を有する流動性硬化材を流し込
んで硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、構造物、例えば建物の
床材の端面と壁パネルとの間に形成される空間部に耐火
物を充填する方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】前記方法に関する従来技術においては、
図２に示すように、建物の構造躯体である梁１の上部水
平フランジ部１ａにＣ形チャンネル２を介して屋根材や
床材３を敷くとともに、上部水平フランジ部１ａにおい
てＣ形チャンネル２と対向する側に逆Ｔ字形の壁パネル
取付金具４を固定し、この壁パネル取付金物４の水平フ
ランジ部４ｂに壁パネル５を建付けるという構法が採用
さている。従って、この構法においては、前記床材３の
端面と、Ｃ型チャンネル２、上部水平フランジ部１ａ、
壁パネル取付金具４及び壁パネル５の各一部分から構成
される溝状の空間部Ｖが形成される。従来、この空間部
Ｖにセメント、砂及び水からなる、いわゆるセメントモ
ルタル（以下モルタルという）を充填して、その頂部を
床材３の上面Ｒと面一になるようにならし仕上げがされ
ていた（特開平４−７６１３１号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
構法においては、次のような問題があった。（１）モルタルが硬化するまでに相当時間がかかり、後
続する作業、例えば床材３の上面Ｒに根太を釘打ちする
作業を実施しようとしても、前記モルタルを充填してか
ら１〜３日間位そのまま放置しておく必要があった。こ
れは施工効率をより高めようとする場合の障害になって
いた。

【０００４】（２）また、モルタルの表面仕上げや屋根
防水が必要で、もし表面仕上げ面が水平面にならず一部
分だけが突出した場合その突出面の削取り作業が必要が
あり、単に充填部分がモルタルのみから成っている場
合、前記削り取り作業に多大な労力を要した。（３）更に、前記空間部Ｖにモルタルを充填すると、こ
の空間部Ｖは相当重くなり、近年のように建物が高層化
すればする程重量化することになった。これは重量物を
上層に搬入するエネルギーを多く必要とすることを意味
する。本発明の課題は、これらの問題を解消し得る空間
部に対する耐火物の充填方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本請求項１の発明は、前
記の課題を解決するために、構造物の空間部に対して軽
量気泡コンクリートの塊状物を投入するとともに、該塊
状物同志の間又は塊状物と前記空間部を構成する壁との
間に耐火性がある流動性硬化材を流し込んで硬化させる
という手段を採用する。本請求項２の発明は、前記流動
性硬化材としてそれが硬化後に切削加工可能で耐火物を
使用する。そして、本請求項３の発明は前記流動性硬化
材としてセメント単独物の水スラリー、又は該水スリラ
ーと、それを硬化するための硬化促進剤との混合物から
なるものを使用する。さらに、本請求項４の発明は、前
記硬化促進剤として半水石膏又は無水石膏を使用する。

【０００６】

【作用】請求項１の発明においては、構造物の空間部に
対して軽量気泡コンクリートの塊状物を投入すると、該
塊状物同志の間又は塊状物と前記空間部を構成する壁と
の間に隙間が形成される。その隙間に耐火性がある流動
性硬化材を流し込むと、やがて隙間を流動性硬化材が流
れ落ち、ついには前記隙間が流動性硬化材で充満され
る。その結果流動性硬化材の中に軽量気泡コンクリート
の塊状物が懸吊する状態になる。しかしながら流動性硬
化材は時間の経過と共に硬化するから、やがて両者は一
体物になる。軽量気泡コンクリートも当然耐火物である
から結局構造物の空間部全体が耐火物で埋められること
になる。

【０００７】請求項２の発明においては、前記流動性硬
化材としてそれが硬化後に切削加工が可能なものが使用
されているから、一体物の表面を水平にレベル合わせを
したいときは、軽量気泡コンクリートの塊状物とともに
流動性硬化物を切削可能となる。請求項３の発明は前記
流動性硬化材としてセメント単独物の水スラリーを使用
する場合は、当然適度の硬化速度と硬化状態において切
削加工可能な品質のセメントが使用され、また通常のセ
メントが使用される場合は、それの水スリラーを適度に
硬化させ、かつ硬化後に切削加工可能な硬化促進剤との
混合物からなるものが使用されるから、流動性硬化材を
前記隙間に流し込んだ場合、軽量気泡コンクリートの塊
状物の浮遊を極力抑制でき、仮に若干浮遊が生じて表面
のレベルを調整する必要が生じた場合でも、一体物の切
削加工が可能であるから、耐火物のレベル調節が容易に
できる。この作用は請求項４の発明において最大限に発
揮される。

【０００８】

【実施例１】次に、本発明を具体化した一実施例を図１
を参照しながら説明する。この実施例が適用される構造
物の空間部も前記従来技術と同じである。すなわち、建
物の構造躯体である梁１１の上部水平フランジ部１１ａ
にＣ形チャンネル１２を介して床材１３が敷かれてい
る。また上部水平フランジ部１１ａにおいてＣ形チャン
ネル１２と対向する側に逆Ｔ字形の壁パネル取付金具１
４が固定されている。壁パネル取付金具１４の水平フラ
ンジ部１４ｂ上に壁パネル１５がその中に挿入されてい
るインサート金具１６に対して、取付ボルト１７を螺合
することにより固定されている。なお、取付ボルト１７
は壁パネル取付金具１４の垂直フランジ部１４ｃの上か
ら前記インサート金具１６に螺合される。この実施例に
おいても床材１３と壁パネル１５との間に底辺×高さ×
長さ＝約１０ｃｍ×１０ｃｍ×６０ｃｍの空間部Ｖが形
成されている。

【０００９】この空隙部Ｖに対して本発明の耐火物は次
のように充填される。軽量気泡コンクリート製造工程で
発生した同コンクリートの塊状物Ｓ（最大外径約４０ｍ
ｍ）を前記空間部Ｖに多数個（総重量１．５ｋｇ）投入
して、その最上部が床材１３の上面Ｒより突出しないよ
うにした。前記塊状物Ｓ同志の間、及び塊状物Ｓと前記
空間部Ｖを構成する壁パネル１５との間には多数の間隙
が生じた。これらの間隙に対して半水石膏：ポルトラン
ドセメント：水＝１：１：７．８の割合（重量部）から
なる流動性硬化物を流し込んで前記空間部Ｖを完全に充
満させた。

【００１０】前記流動性硬化物の充填完了、約４時間で
その流動性硬化物は、完全に硬化して軽量気泡コンクリ
ートの塊状物と一体化した耐火物となった。この耐火物
に普通の鉄釘を打ってみたら、その耐火物は十分保釘力
を示した。従って、前記床材１３と耐火物の上に根太等
を配設固定が可能になった。７０時間経過後、前記耐火
物に再度釘を得ってみたら十分釘打ちが可能で、かつ保
釘力も存在した。また、前記耐火物の一部分を切り出し
てその圧縮強度及び絶乾かさ比重を測定したら前者は４
０ｋｇｆ／平方ｃｍで、後者は０．８ｇ／立方ｃｍであ
った。

【００１１】

【比較例１】前記実施例１と同様の実験において耐火物
を砂：セメント：水＝３：１：１．２の割合から調合し
て打設した。この耐火物に対しては打設後約７０時間後
は、普通の鉄釘を打込むことができなかつた。圧縮強度
及び絶乾かさ比重を測定したらそれらはそれぞれ１００
ｋｇｆ／平方ｃｍで、後者は２．３ｇ／立方ｃｍであっ
た。

【００１２】

【実施例２】実施例１と同様の実験において流動性硬化
物として半水石膏の全量をポルトランドセメントに置き
換えて、他は実施例１と同様の条件で実験した。その結
果軽量気泡コンクリートの塊状物は若干上方に浮遊した
ので、ポルトランドセメントが少し硬化するまでの時間
（約２時間）をおいてから前記塊状物を下方に押し下げ
ながら表面を水平に均した。７０時間経過後得られた耐
火物に鉄釘を打ち込んで見たら十分に保釘力がある事が
判明した。

【００１３】

【実施例３】実施例１と同様の実験において、前記塊状
物Ｓを１００重量部に対してポルトラントセメントと石
膏の混合割合を表の通り変化させて実験した。

【００１４】

【表】

【００１５】その結果、ポルトランドセメント１重量部
に対してに半水石膏を８．５重量部以上混合すると、７
日間でＣ型チャンネルに錆が発生した。従って、本発明
では耐火物が鉄と接触するように使用した場合、半水石
膏の使用量はポルトランドセメント１重量部に対して
８．５重量部未満にすることが好ましいということが判
明した。

【００１６】本発明は、その根本的技術思想を踏襲し、
その効果を著しく損なわない限度において種々の態様で
変更して実施することができる。例えば、耐火物が充填
される空間部として建物のいわゆるデッキプレート上に
床を形成した場合両者間に形成される空間部がある。石
膏としては、セメントの水スラリーを硬化促進させるも
のとして使用するものであるから無水石膏が当然使用さ
れる。

【００１７】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明は建物の空
間部を耐火物で充填するときの施工効率を高めることが
できるとともに、その施工の際、空間部に充填した硬化
物が部分的に突出するようなことがあってもその突出部
の切削加工が容易になるという効果が発揮される。ま
た、前記耐火物に対して、鉄製の釘打ちが可能であるの
で、本発明法を建物の床材と壁パネルとの間の空間部に
耐火物を充填する態様に適用した場合、床面仕上げ作業
や屋根防水作業の効率を著しく高めることができる。さ
らに、本発明法を採用して建物を高層化する場合を空間
部に充填する耐火物として軽量なものを使用可能である
ので、耐火物の搬送に関し省力化が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一態様を示す部分断面図である。

【図２】従来技術を示す部分断面図である。

【符号の説明】

Ｖ空間部Ｓ塊状物１５壁パネル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】構造物の空間部（Ｖ）に対して軽量気泡
コンクリートの塊状物（Ｓ）を投入するとともに、該塊
状物同志の間又は塊状物と前記空間部を構成する壁パネ
ル（１５）との間に耐火性を有する流動性硬化材を流し
込んで硬化させることを特徴とする構造物の空間部に耐
火物を充填する方法。
【請求項２】前記流動性硬化材はそれが硬化後に切削
加工可能な耐火物である請求項１記載の構造物の空間部
に耐火物を充填する方法。
【請求項３】前記流動性硬化材はセメント単独物の水
スラリー、又は該水スリラーとそれを硬化するための硬
化促進剤との混合物からなっている請求項２記載の構造
物の空間部を耐火物で充填する方法。
【請求項４】前記硬化促進剤は半水石膏又は無水石膏
である請求項３記載の構造物の空間部に耐火物を充填す
る方法。