JPH1174645A - 多層セラミック基板の製造方法 - Google Patents

多層セラミック基板の製造方法

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JPH1174645A
JPH1174645A JP23484197A JP23484197A JPH1174645A JP H1174645 A JPH1174645 A JP H1174645A JP 23484197 A JP23484197 A JP 23484197A JP 23484197 A JP23484197 A JP 23484197A JP H1174645 A JPH1174645 A JP H1174645A
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vias
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Toshishige Yamamoto
利重 山本
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Sumitomo Metal SMI Electronics Device Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配線密度の増大が可能で、フリップチップ接
続部付近でのビア間の導通を防止でき、電源/接地用の
ベタ配線層のくり抜き径を小さくすることができ、かつ
積層ずれが起きてもビアの導通が確保できる多層セラミ
ック配線基板を、低コストで製造する。 【解決手段】 グリーンシート積層法による多層セラミ
ック配線基板の製造において、2層以上を貫通するビア
4A, 4Cを、その2層以上のグリーンシートの積層後に、
得られた積層体を貫通するスルーホールの形成とこのス
ルーホールへの導体ペーストの充填により形成する。ス
クリーン印刷により生ずるビア周囲のランド5A, 5Cは、
ビアの末端だけに存在し、層間 (A1とA2の間) のランド
がなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層セラミック配線
基板の製造方法に関し、より詳しくは高速ロジックLS
I等の搭載に使用される、PGA(Pin Grid Array)、B
GA (Ball GridArray)、LGA (Land Grid Array)、
MCM (Multi Chip Module)などの高密度多端子セラミ
ックパッケージの基板に適した、配線密度を高くするこ
とができる多層セラミック配線基板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ICの高集積化が進み、高速ロジ
ックLSI等ではICの外部端子数が1000以上のものも
出現している。同時に、IC製造プロセスの微細化も進
んでいるため、ICの外部端子数の増大に比べてICの
寸法の増大は緩やかである。そのため、ICの外部端子
のピッチ (間隔) は狭まっている。
【0003】このIC動向に対応した高密度多端子パッ
ケージとして、多層セラミック配線基板にLSIを搭載
したセラミックパッケージが従来より多用されている。
中でも、基板の裏面側(ICチップの搭載面と反対側)
に接続用のピン、ボール、またはパッドの形状の端子を
形成したPGA、BGA、LGAといったセラミックパ
ッケージや、2以上のICチップを1枚の基板に搭載し
たMCMが高密度多端子化に有利である。また、セラミ
ック基板へのICチップの搭載についても、高密度多端
子化に適した、半田ボールで接続するフリップチップ接
続方式が、従来のワイヤボンディングに代わって広く採
用されるようになってきた。
【0004】多層セラミック配線基板の製造方法には、
周知のように厚膜多層印刷法とグリーンシート積層法が
あるが、多層化しても配線パターンのずれの少ないグリ
ーンシート積層法が、多層化が進んだ現在では主流にな
っている。
【0005】グリーンシート積層法では、バインダーを
含有する未焼成で可塑性を持つセラミックグリーンシー
トにスルーホール (ビア孔) をパンチ等の手法で形成
し、導体ペーストをスクリーン印刷してスルーホールの
充填とグリーンシート上の配線パターンの形成を行った
後、グリーンシートを重ねて熱圧着させることにより積
層し、得られた積層体を焼成することによりグリーンシ
ートと導体ペーストの焼成を同時に行う。スルーホール
に充填された導体ペーストは、焼成後に、配線層間を上
下に接続する導通路 (即ち、ビア) となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】グリーンシート積層法
は既に長年にわたって利用され、成熟した技術となって
いる。反面、技術が完成の域に達しているため、プロセ
スを変更しない限りこれ以上の微細化に対応することは
難しい。ICの微細加工技術の進展により外部端子数の
増大は今後も進むと考えられるため、いずれ従来の多層
セラミック配線基板の配線密度では対応不可能になると
予想される。
【0007】特開平4−15991 号公報にも指摘されてい
るように、多層セラミック配線基板の配線の高密度化を
阻害する要因は、ビアの周囲に形成されるランドにあ
る。このランドは、グリーンシートのスルーホールに導
体ペーストをスクリーン印刷して充填する際に、スクリ
ーン印刷に用いるマスクの穴を、マスクの位置決め精度
や印刷性等を考慮してスルーホールの直径より大きくす
るため、スルーホールの周囲に必然的にできるものであ
る。マスクの穴がスルーホールより大きくないと、マス
クの位置ずれで導体ペーストがスルーホールに完全に充
填されなくなり、断線等の故障の原因になる。
【0008】図1(A) および(B) は、従来の多層セラミ
ック配線基板のビア周囲のランドを模式的に示す説明図
であり、図1(A) は、図の第1層と第2層の間の層間配
線層の平面図を、図1(B) はビア中心を通る縦断面図を
それぞれ示す。積層前の各グリーンシートのスルーホー
ルに導体ペーストをスクリーン印刷で充填するため、図
1(B) に示すように、どの層間にもビアの周囲にランド
が形成される。
【0009】このランドは導体ペーストのスクリーン印
刷に伴って必然的に形成されるものではあるが、PG
A、BGA、LGAといった基板の裏面側に外部接続用
の端子を設けたセラミックパッケージでは、基板の裏面
上のビア周囲に形成されたランドは、裏面側の端子 (ピ
ン、半田ボールまたは半田パッド) との接続に不可欠で
ある。基板の内部でも、ビア末端のランドは、このビア
に接続される内層配線との接続を確実にするのに必要で
ある。また、ビアの中間部の層間においても、ビアの周
囲にランドが存在すると、グリーンシートに積層ずれが
起きた場合にも層間でビアの導通を確実に確保すること
ができる。そのため、従来は、ビア周囲のランドは全て
の層間において必要であると考えられてきた。
【0010】しかし、このランドのために、配線密度が
制限される。図1に示した例では、ビア直径100 μm、
配線幅100 μm、ランド直径200 μm (半径方向ランド
幅50μm) で、導体間の最小クリアランスを100 μmに
設定してある。この場合、配線間のクリアランスは200
μmとなり、配線やビアのピッチ (中心間の距離) は30
0 μmとなる。導体間の最小クリアランスを100 μmに
設定すると、配線ピッチを300 μmより小さくすること
ができない。このピッチを50μmと小さくしても、配線
ピッチは250 μm以上となる。
【0011】配線密度とは別の問題として、図1に示す
ように各層間でビアの周囲にランドが形成されると、I
Cチップを基板にフリップチップ接続する場合に支障と
なることがある。
【0012】図2(A) および(B) は、LSIチップにフ
リップチップ接続された基板の表面側 (フリップチップ
接続部) の近傍を模式的に示す説明図であり、図2(A)
は基板表面側の第1層A1と第2層A2の層間の平面図を、
図2(B) はビア中心を通る縦断面図をそれぞれ示す。L
SIチップ2をフリップチップ接続する場合の半田ボー
ル3のピッチ (隣接半田ボールの中心間の距離) は、外
部端子数が1000個以上になると、 200〜300 μmと小さ
くなるのが普通である。仮に、この半田ボールのピッチ
が200 μmであるとすると、フリップチップ接続される
表面側の第1層と第2層との層間でビア4A, 4B, 4Cの周
囲に形成されたランド5A, 5B, 5Cは、図1と同様にビア
直径100 μm、ランド直径200 μmであると、図2に示
すように、隣接するランド同士が接触してしまい、ビア
同士が導通してしまうため、配線形成が不可能となる。
【0013】また、配線は可能であっても、各層間でビ
アの周囲に形成されたランドが基板の電気的特性に悪影
響を及ぼすことも考えられる。例えば、多層配線基板に
固有の、一般に基板の裏面側近傍に設けられる、電源層
や接地層として機能するベタ配線層である。
【0014】図3(A) および(B) は、BGAパッケージ
の基板の裏面側 (外部端子である半田ボール7との接続
側) 近傍の縦断面と、基板の下から第1層B1と第2層B2
の層間 (または第2層B2と第3層B3の層間) の平面をそ
れぞれ模式的に示す説明図である。図示例では、ビア4
A, 4Bの直径は200 μm、ランド5A, 5Bの直径は400 μ
m、ランド6A, 6Bの直径は600 μmであり、ビアのピッ
チは1mm (1000μm) である。
【0015】裏面側の基板内部の層間には、第1層B1と
第2層B2の間に接地層8が、第2層B2と第3層B3の間に
電源層9が形成されている。接地層8と電源層9はいず
れもベタ配線層であるが、図3(B) にハッチ部で示すよ
うに、同じ層間に存在する他の導体 (この場合はランド
5A, 5B) と接触しないように、幅100 μmのクリアラン
ス10A, 10Bがランド5A, 5Bとの間にできるように、ベタ
配線層8,9 は円形にくり抜かれている。
【0016】各層間でビアの周囲にランドが形成されて
いるため、ベタ配線層のくり抜きの直径は600 μmと大
きくなり、ベタ配線層8, 9の最も狭い部分の幅は400 μ
mと小さくなる。そのため、ベタ配線層が網状に近くな
り、その狭まった部分を流れる電流経路が制限される結
果、ベタ配線層のインダクタンスが増大し、IC誤動作
の原因となる電源ノイズの増大が起こる。
【0017】特開平4−15991 号公報に記載の方法で
は、グリーンシートの支持フィルムの上から導体ペース
トをスクリーン印刷によりグリーンシートのスルーホー
ル (ビア孔) に充填し、充填した導体ペーストの乾燥後
に支持フィルムを剥離することにより、このフィルム上
に形成されたランドもフィルムと一緒にグリーンシート
から除去する。それにより、ランドを形成せずにスルー
ホール内に導体ペーストが充填されたグリーンシートが
得られる。このグリーンシートを積層し、焼成して得ら
れた多層セラミック配線基板は、ビアの周囲にランドを
持たないので、配線密度を高めることができる。
【0018】しかし、この方法は、グリーンシートの支
持フィルムとして導体ペーストの乾燥温度で収縮が起き
にくい高価で特殊なフィルムを使用する必要がある。通
常用いられるポリエステルフィルムでは、熱収縮により
ビア接続の信頼性が得られない。そのため、グリーンシ
ートの製造コストが非常に高くなる。また、支持フィル
ム側から導体ペーストを充填するため、スクリーン印刷
時にグリーンシートを上下に反転させ、反転させたグリ
ーンシートを乗せる別の支持フィルムが必要になるの
で、この点でも製造コストが増大する。別の問題点とし
て、ビアの周囲にランドがないと、グリーンシートの積
層ずれが起きた時にずれを吸収できず、ビアの導通不良
が起こり易くなる。また、ビア末端や基板裏面側では、
電気的接続の信頼性を確保するのにビア周囲のランドが
必要であるので、別に導体ペーストのスクリーン印刷に
よりランドを形成する必要がある。
【0019】本発明は、以上に説明した従来技術の問題
点が解消された多層セラミック配線基板の製造方法を提
供するものである。具体的には、配線密度を増大させる
ことができ、フリップチップ接続部付近でのビア間の導
通を防止でき、電源/接地用のベタ配線層のくり抜きを
小さくして電流経路を大きくする (従って、そのインダ
クタンスを低減させる) ことができ、かつ積層ずれが起
きてもビアの導通が確保できる多層セラミック配線基板
を、製造コストを著しく増大させずに製造する方法を提
供することが本発明の課題である。
【0020】
【課題を解決するための手段】上述したように、ビアの
周囲にランドがあると、他の部分をいくら微細化しても
配線密度の増大には限界がある。また、このランドによ
って、特にフリップチップ接続部近傍で配線が不可能に
なったり、ベタ配線層のインダクタンスが大きくなると
いう弊害も生ずる。特開平4−15991 号公報に記載のよ
うにしてランドを取り去るとこれらの問題を解消できる
が、製造コストが著しく増大し、また積層ずれ時のビア
の導通不良という問題が新たに出てくる。
【0021】本発明によれば、複数の層にわたって上下
に (垂直に) 貫通するビアについては、グリーンシート
を積層した後にスルーホールを形成し、導体ペーストの
充填を行うことにより、これらの問題点を全て解決する
ことができる。スルーホールの形成を積層後に行うた
め、積層ずれは起こらないので、層間のビア周囲のラン
ドは不要になり、このランドがなくなることで、配線密
度を増大させることができる。
【0022】ここに、本発明は、グリーンシート積層法
による多層セラミック配線基板の製造において、2層以
上を貫通するビアの少なくとも一部を、その2層以上の
グリーンシートの積層後に、得られた積層体を貫通する
スルーホールの形成とこのスルーホールへの導体ペース
トの充填により形成することを特徴とする、多層セラミ
ック配線基板の製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係る多層セラミック配線
基板の製造方法は、ビアの形成方法に特徴がある。従っ
て、セラミック基板の材料、グリーンシートの作製法、
導体ペーストの種類等の他の製造条件は特に制限されな
い。また、セラミック基板 (セラミックパッケージ) の
構造にも特に制限はない。しかし、本発明によれば配線
密度の増大が可能であるので、PGA、BGA、LG
A、MCMといった、配線密度の高いセラミック基板の
製造に本発明を適用することが有利である。
【0024】セラミック基板の材料としては、最も一般
的なアルミナ以外に、窒化アルミニウム、ムライト、さ
らにはガラスセラミックス等の低温焼成セラミック材料
が例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0025】グリーンシートは常法に従って作製すれば
よい。即ち、セラミック材料の粉末を、必要であれば焼
結助剤の粉末と一緒に、バインダー樹脂 (例、ポリビニ
ルブチラール、アクリル樹脂等) 、溶剤、および必要に
よりその他の添加剤 (例、可塑剤等) と混合してスラリ
ーを調製する。次に、このスラリーを、代表的にはドク
ターブレード法により、適当な支持フィルム (例、ポリ
エステルフィルム) 上にシート成形し、乾燥して溶媒の
大部分を除去すると、支持フィルム上にセラミック・グ
リーンシートが作製される。
【0026】その後、グリーンシートを所定寸法に切断
し、この切断と同時または別工程にて、孔あけ加工
(例、パンチング) により必要なスルーホールをグリー
ンシートに形成する。この時、2層以上を貫通するビア
となるスルーホールについては、少なくともその一部
は、この段階でスルーホールの孔あけを行わない。
【0027】各グリーンシートに形成したスルーホール
は、スクリーン印刷により適当な導体ペーストを充填し
ておく。また、スルーホールの充填と同時または前後し
て、グリーンシートの表面には、所定の配線パターンを
形成するように導体ペーストをスクリーン印刷する。例
えば、多層基板の裏面側に近い2以上の層では、電源層
または接地層を構成するベタ配線を形成するように導体
ペーストがスクリーン印刷される。
【0028】使用する導体ペーストは、グリーンシート
のセラミック材料に応じて選択する。例えば、アルミナ
のように高温焼成セラミック材料の場合には、WやMoな
どの高融点金属を主成分とする導体ペーストが、ガラス
セラミックのように低温焼成セラミック材料の場合に
は、Cuや、Ag、Au、Ag−Pd等の貴金属を主成分とする導
体ペーストが通常は選択される。スルーホールの充填に
用いる導体ペーストとグリーンシート表面の配線パター
ンの印刷に用いる導体ペーストは、同じであっても、異
なるものでもよい。
【0029】導体ペーストの充填は、常法に従って、支
持フィルム上のグリーンシートの上面から (即ち、支持
フィルムと接していない側の面から) 行う。スクリーン
印刷に用いるマスクの開口部の直径は、従来と同様に、
マスクの位置ずれがあってもスルーホールが完全に充填
されるように、スルーホールの直径より例えば100 μm
程度大きくしておくのが普通であるので、スルーホール
に導体ペーストを充填すると、グリーンシートの上面
(支持フィルムと反対側の面) のスルーホールの周囲に
ランドが形成される。
【0030】こうして導体ペーストの充填および印刷が
終了したグリーンシートを、支持フィルムから剥離して
から、数枚〜十数枚重ねて熱圧着させることにより積層
する。この時に、本発明では、2層以上を貫通するビア
となるスルーホールの少なくとも一部が積層前に形成さ
れていないので、そのスルーホールが形成されていない
2層以上の層をまず積層し、得られた積層体をパンチン
グ等により孔あけして2層以上を貫通するスルーホール
を形成し、スクリーン印刷により導体ペーストを充填す
る。
【0031】例えば、合計5層からなる多層セラミック
配線基板において、1層だけを貫通するビアの他に、上
から2層を貫通するビアと、5層全部を貫通するビアが
それぞれ多数ある場合、1層だけを貫通するビアを各グ
リーンシートに形成し、導体ペーストを充填した後、ま
ず上から2層分を積層して2層を貫通するビアに相当す
るスルーホールの孔あけと導体ペーストの充填を行い、
その上に残りの3層を積層し、得られた5層の積層体に
5層を貫通するビアに相当するスルーホールの孔あけと
導体ペーストの充填を行う。焼成後に上下を逆にする
と、どのビアも、その下端だけにランドが形成された、
図4(A) に示す構造のビアを持つ多層セラミック配線基
板が得られる。なお、グリーンシートに導体ペーストを
充填する際にはランドはグリーンシートの上面に形成さ
れるので、ランドを上面に向けたままグリーンシートを
積層する場合には、焼成後の基板の積層順序と逆の順序
で積層することになる。
【0032】5層を貫通するスルーホールへの導体ペー
ストの充填が困難であれば、別法として、上の2層と、
下の残り3層を別々に積層してもよい。その場合、上の
2層の積層体については2層と5層を貫通するビアに相
当するスルーホールの孔あけと導体ペーストの充填を行
い、下の3層の積層体については5層を貫通するビアに
相当するスルーホールを孔あけと導体ペーストの充填を
行う。その後、この2つの積層体を積層し、得られた5
層の積層体を焼成すると、図4(B) に示す構造のビアを
持つ多層セラミック配線基板が得られる。
【0033】なお、2層以上を貫通するビアの全てにつ
いて、上述した積層後のスルーホールの孔あけと導体ペ
ーストの充填を行う必要はなく、そのようなビアの一部
だけにこの方法を適用してもよい。例えば、同じ複数の
層を貫通するビアの数が多い層 (例、多層配線基板の表
面近傍と裏面近傍の数層) についてだけ、上記の方法を
適用することでもよい。実際問題として、2層以上を貫
通するビアの全てについて本発明の方法を適用すること
は不可能であることが多い。
【0034】導体ペーストの充填が可能であれば、スル
ーホール形成前の積層数に制限はないが、一般的な厚み
100 μm程度のグリーンシートの場合で、スルーホール
への導体ペーストの充填が可能な積層数は最大5〜10枚
程度であろう。従って、それより多くの層を貫通するビ
アについては、上の別法に例示したように、積層体を2
つ以上に分割して、本発明の方法を適用することが好ま
しい。
【0035】本発明の方法によれば、グリーンシートの
パンチングによる孔あけと導体ペーストの充填、ならび
にグリーンシートの積層を、2回以上に分けて行うこと
になることが多いが、積層のための熱圧着は例えば、80
〜120 ℃で10秒〜1分間程度と短時間ですみ、孔あけや
導体ペーストの充填も、もともと各グリーンシート毎に
何回も行う工程であって、ごく短時間で終了するので、
この工程数の増大は製造コストをあまり増大させない。
【0036】本発明の方法に従って複数のグリーンシー
トを積層してから積層体にスルーホールを孔あけして導
体ペーストをスクリーン印刷により充填することで、こ
の積層体の最上層のグリーンシート上だけにスルーホー
ル周囲のランドが形成され、その下のグリーンシートの
層間ではスルーホール周囲のランドがなくなる。
【0037】最後に、全部の層を積層した後、積層体を
一括して焼成処理し、グリーンシートと導体ペーストを
同時に焼結させると、信号層、電源層、接地層等の層間
導体層とこれらの層を接続するビアが形成された多層セ
ラミック配線基板が得られる。この多層配線基板は、上
記の積層体のスルーホールへの導体ペーストの充填時と
上下を逆にすると、上述した本発明の方法により形成さ
れた複数の層を貫通するビアは、その下端だけにランド
が形成され、それ以外の層間にはランドがない。また、
この貫通するビアは一括して孔あけしたため、ビアの位
置ずれがない。さらに、ビアの下端には必ずランドがあ
るので、裏面側 (基板下側) の外部端子との接続や層間
配線層との接続に必要なビア周囲のランドは形成されて
いる。
【0038】焼成は常法により行えばよく、焼成条件
は、当業者が熟知しているように、セラミック材料や導
体ペーストの種類に応じて適宜設定する。不活性ガスま
たは還元性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で1050℃以下
といった低温焼成を行う場合には、グリーンシートや導
体ペースト中のバインダー等の有機成分を完全に分解・
消失させるため、焼成前に酸化性ガス雰囲気 (例、大
気) 中で焼成温度より低温に加熱する脱脂工程を行うこ
とが好ましい。焼成中の横方向の収縮や反りを防止する
ため、積層体を厚み方向に加圧して焼成を行うこともで
きる。
【0039】
【実施例】本実施例は、基板表面側にLSIチップがフ
リップチップ接続により搭載され、基板裏面側ではマザ
ーボードにBGA接続させるセラミックパッケージ用の
多層セラミック配線基板を本発明に係る方法により製造
する場合を例示する。
【0040】アルミナを主成分とする厚み200 μmのグ
リーンシート (バインダーとしてポリビニルブチラール
を含有) を、ドクターブレード法により、通常のポリエ
ステル (ポリエチレンテレフタレート) 支持フィルム上
に作製した。このグリーンシートを所定寸法に切断し、
パンチングによる孔あけ加工により、各グリーンシート
に必要なスルーホールを形成した。
【0041】但し、この孔あけ加工時に、基板の表面
(チップ搭載面) から2層分のグリーンシートと、裏面
(BGAによるマザーボードへの接続面) から3層分の
グリーンシートについては、これらの2層または3層を
貫通するビアに対応するスルーホールを形成しなかっ
た。
【0042】各グリーンシートに形成したスルーホール
に、上面 (支持フィルムに接していない面) からW系導
体ペーストをスクリーン印刷により充填すると共に、各
グリーンシートの上面に同じ導体ペーストを所定の配線
パターンに印刷した。基板の裏面側から3層に形成され
る内層配線層は、1層目と2層目の層間が接地層、2層
目と3層目の層間が電源層であって、いずれもベタ配線
層であった。
【0043】その後、基板の表面から2層分のグリーン
シートと、裏面側から3層分のグリーンシートについて
は、それぞれ別々に熱圧着 (100 ℃×30秒間) により積
層し(積層順序は基板における順序と上下を逆にする)
、得られた2層または3層の積層体に、この積層体を
貫通する所定のスルーホールの孔あけと導体ペーストの
充填を上と同様に行った。
【0044】なお、孔あけしたスルーホールの直径は、
基板の裏面側の3層分のグリーンシートについては200
μm、それ以外のグリーンシートでは100 μmであり、
スクリーン印刷に用いたマスクの対応する孔の直径はス
ルーホールの直径の2倍とした。従って、ランドの直径
は、スルーホール直径が100 μmの時は200 μm、スル
ーホール直径が200 μmの時は400 μmであった。
【0045】その後、基板表面側の2層の積層体を下に
して、その上にまだ積層していない中間のグリーンシー
トを所定の順序 (基板の積層順序とは逆) で重ね、最後
に基板裏面側の3層の積層体を支持フィルムを剥離して
から重ねて、上と同様の条件で熱圧着させて、所定の積
層体を形成した。
【0046】この積層体を水素−窒素混合ガス雰囲気中
で1550℃にて2〜5時間℃焼成して、内層に信号層、電
源層、接地層等の導体層とビアを有する多層セラミック
配線基板を得た。この基板は、上下に反転させると、上
(表面側) がフリップチップLSI搭載面 、下 (裏面
側) がBGA接続面となる。
【0047】図5(A) および(B) は、この多層セラミッ
ク配線基板を用いて上記のようにパッケージ化したセラ
ミックパッケージのフリップチップ搭載部 (即ち、基板
の表面) 近傍を模式的に示す説明図である。図5(A)
は、多層基板の表面側から第1層A1と第2層A2との層間
の平面図、図5(B) は基板の縦断面図であり、図面番号
の意味は図2と同じである。
【0048】図2と同様に、図5に示した3個のビア4A
〜4Cの直径はいずれも100 μmであり、ビア5A〜5Cの直
径は200 μmである。ランド5Bは第1層と第2層の層間
に位置するため、図5(A) に実線で示しているが、ラン
ド5Aと5Cはこの層間になく、第2層と第3層との層間に
位置するため、図5(A) に破線で示している。
【0049】第1層A1と第2層A2の2層を貫通するビア
5A, 5Cは、上に説明したように、第1層と第2層のグリ
ーンシートA1,A2を積層した後に、積層体にスルーホー
ルを孔あけし、導体ペーストを充填することにより形成
したものである。従って、これらのビアは、その下端部
(即ち、第2層と第3層の層間) だけにランド5A, 5Bが
形成され、第1層と第2層の層間ではビア5A, 5Cの周囲
にランドが存在していない。
【0050】その結果、図2と同じ200 μmのビア・ピ
ッチおよびランド直径であるにもかかわらず、ランド同
士の接触が起こらず、配線が可能となる (図2では、ラ
ンド同士の接触により配線が不可能) 。即ち、ビアのピ
ッチを200 μmまで小さくすることができ、それでも導
体間には最低50μmのクリアランスを確保できる。
【0051】図6(A) および(B) は、上記セラミックパ
ッケージの裏面側、即ち、外部端子(BGA)接続部の
近傍を模式的に示す説明図である。図6(A) は縦断面図
を、図6(B) は多層基板の裏面側から第1層B1と第2層
B2 (または第2層B2と第3層B3) との層間における平面
図を示す。図面番号の意味は図3と同じである。
【0052】図3と同様に、図6に示した2個のビア4
A, 4Bの直径はいずれも200 μmであり、ビアのピッチ
は1mmである。この3層を貫通するビア4A, 4Bは、上に
説明したように、第1層〜第3層の3枚のグリーンシー
トB1〜B3を積層した後に、積層体にスルーホールを孔あ
けし、導体ペーストを充填することにより形成したもの
である。そのため、ビアの周囲のランドは、裏面上だけ
にランド6A, 6Bが存在し、図3にはあった第1層と第2
層の間および第2層と第3の間の層間ランド(5A,5B)は
存在しない。裏面上のランド6A, 6Bは、裏面に設けられ
た半田ボール7との接続を確実にするため、図3と同
様、直径が600 μmと大きくなっている。このランド
は、スクリーン印刷による導体ペーストの充填で形成さ
れた直径400 μmのランドの周囲に、配線パターンのス
クリーン印刷時に直径600 μmになるように導体ペース
トを印刷して大きくしたものである。
【0053】層間に形成したベタ配線層 (接地層8と電
源層9) は、図3と同様に、隣接する導体 (この場合に
はビア) との間に幅100 μmのクリアランス10A, 10Bが
できるように円形にくり抜かれている。しかし、層間で
はビアの周囲にランドがないため、くり抜き径は400 μ
mと小さく、ビア間のベタ配線層の幅は、最も狭い部分
でも600 μmある。即ち、図3に示した層間のビア周囲
にランドがある従来例(ベタ配線層の最も狭い部分は幅4
00 μm) に比べて、この狭い部分の幅が1.5倍に広が
る。そのため、この狭い部分を流れる電流経路の制限が
少なく、電源層と接地層のインダクタンスが低減でき、
IC誤動作の原因となる電源ノイズを低減することがで
きる。
【0054】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る多
層セラミック配線基板の製造方法においては、複数枚の
グリーンシートを積層した後にビアを一括して形成する
という作業工程の変更だけで、複数の層を貫通するビア
の層間のランドが除去され、ランドは必要なビアの末端
だけに形成される。
【0055】その結果、例えば、フリップチップ接続に
対応した狭い配線ピッチといった、従来は不可能であっ
た高密度の配線が可能になる。また、電源層や接地層と
いったベタ配線層では、導体との接触を防止するために
必要なビア周囲のくり抜きの直径を小さくすることがで
きる。そのため、ビア間のベタ配線層が狭まった部分の
幅が広がり、この配線層のインダクタンスが低減するの
で、IC誤動作の原因となる電源ノイズが低減し、セラ
ミックパッケージの信頼性が向上する。
【0056】その上、本発明に係る多層セラミック配線
基板の製造方法は、既に成熟しているグリーンシート積
層法の技術と製造装置をそのまま利用し、単に積層を2
以上の段階に分けて実施するように変更するだけで実施
できるので、従来法と比べて著しい製造コストの増大が
なく、経済性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のグリーンシート積層法(従来法)により
製造された多層セラミック配線基板の配線を模式的に示
す図である。
【図2】LSIがフリップチップ搭載された従来法によ
り製造された多層セラミック配線基板の表面側のフリッ
プチップ搭載部の近傍を模式的に示す図である。
【図3】従来法により製造された多層セラミック配線基
板から作製したBGAパッケージの基板裏面側の外部端
子の近傍を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係る方法により製造された多層セラミ
ック配線基板のビアとランドの構造を示す説明図であ
る。
【図5】LSIがフリップチップ搭載された、実施例に
おいて本発明に係る方法により製造された多層セラミッ
ク配線基板の表面側のフリップチップ搭載部の近傍を模
式的に示す図である。
【図6】実施例において本発明に係る方法により製造さ
れた多層セラミック配線基板から作製したBGAパッケ
ージの基板裏面側の外部端子の近傍を模式的に示す図で
ある。
【符号の説明】
2:LSIチップ 3, 7:半田ボール 4A〜4C:ビア 5A〜5C:ランド 6A, 6B:ランド 8、9:ベタ配線層 10A, 10B:クリアランス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリーンシート積層法による多層セラミ
    ック配線基板の製造において、2層以上を貫通するビア
    の少なくとも一部を、その2層以上のグリーンシートの
    積層後に、得られた積層体を貫通するスルーホールの形
    成とこのスルーホールへの導体ペーストの充填により形
    成することを特徴とする、多層セラミック配線基板の製
    造方法。
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