JPH1173609A - インダクティブ形ヘッド - Google Patents

インダクティブ形ヘッド

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Publication number
JPH1173609A
JPH1173609A JP23528197A JP23528197A JPH1173609A JP H1173609 A JPH1173609 A JP H1173609A JP 23528197 A JP23528197 A JP 23528197A JP 23528197 A JP23528197 A JP 23528197A JP H1173609 A JPH1173609 A JP H1173609A
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JP
Japan
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soft magnetic
metallic glass
core
glass alloy
alloy
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Withdrawn
Application number
JP23528197A
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English (en)
Inventor
Shoji Yoshida
昌二 吉田
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 室温で軟磁性を有し、従来の液体急冷法で得
られるアモルファス合金薄帯よりも厚く、バルク状のも
のが容易に得られ、比抵抗が高いFe基金属ガラス合金
をコアに適用したインダクティブ形ヘッドの提供。 【解決手段】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
始温度、Tgはガラ ス遷移温度を示す。)の式で表され
る過冷却液体の温度間隔ΔTxが35K以上 であり、比
抵抗が1.5μΩm以上であるFe基軟磁性金属ガラス
合金の粉末を焼結してなるバルク型コア12を有するイ
ンダクティブ形ヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気カードやビデ
オテープ等の記録再生などに使用されるインダクティブ
形ヘッドに係わり、特に、室温で軟磁性を有し、比抵抗
が高いFe基金属ガラス合金からなるコアを有するイン
ダクティブ形ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から多元素合金のある種のものは、
結晶化の前の過冷却液体の状態においてある広い過冷却
液体領域を有し、これらは、金属ガラス合金(glassy a
lloy)を構成するものとして知られている。そして、こ
の種の金属ガラス合金は、従来公知の液体急冷法で製造
したアモルファス磁性合金の薄帯に比べてはるかに厚い
バルク状の合金となることも知られている。例えば従
来、このような金属ガラス合金として、Ln-Al-T
M、Mg-Ln-TM、Zr-Al-TM、Hf-Al-T
M、Ti-Zr-Be-TM(ただしLnは希土類元素、
TMは遷移金属を示す。)系等の組成のものが知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来知
られているこれらのアモルファス磁性合金にあっては、
十分な厚みを有するバルク状体の提供が困難であるため
インダクティブ形ヘッドのバルク型コアに適用するのが
困難であり、また、薄い磁性材料を複数枚積層するラミ
ネート型コアに適用する場合、従来のアモルファス磁性
合金薄帯の厚みが薄いためにラミネート型コアの製造が
困難であった。また、従来の金属ガラス合金はいずれ
も、室温において磁性を持つことはなく、この点におい
てインダクティブ形ヘッドのコア用磁性材料として見た
場合に工業的には大きな制約があった。従って、従来よ
り室温で強磁性を有し、厚いバルク状のものを得ること
ができる金属ガラス合金の研究開発が進められていた。
【0004】ここで各種の組成の合金において、過冷却
液体状態を示すとしても、これらの過冷却液体の温度間
隔ΔTx、即ち、結晶化開始温度(Tx)と、ガラス遷移
温度(Tg)との差、即ち、(Tx−Tg)の値は一般に
小さく、現実的には、金属ガラス形成能に乏しく、実用
性のないものであることを考慮すると、前記の通りの広
い過冷却液体の温度領域を持ち、冷却によって金属ガラ
スを構成することのできる合金の存在は、従来公知のア
モルファス合金の薄帯としての厚さの制約を克服可能な
ことから、冶金学的には大いに注目されるものである。
しかし、工業材料として発展できるか否かは、室温で強
磁性を示す金属ガラス合金の発見が鍵となっている。
【0005】本発明は前記の背景に鑑み、室温で軟磁性
を有し、従来の液体急冷法で得られるアモルファス合金
薄帯よりも厚く、バルク状のものが容易に得られ、比抵
抗が高いFe基金属ガラス合金をコアに適用したインダ
クティブ形ヘッドの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のインダクティブ
形ヘッドは、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始
温度、Tgはガラ ス遷移温度を示す。)の式で表される
過冷却液体の温度間隔ΔTxが35K以上 であり、比抵
抗が1.5μΩm以上であるFe基軟磁性金属ガラス合
金からなるコアを有することを特徴とする。本発明にお
いて、前記コアは、前記Fe基軟磁性金属ガラス合金の
薄帯から形成されたコア薄片を積層してなるラミネート
型コアであってもよい。また、前記コアは、前記Fe基
軟磁性金属ガラス合金の粉末を焼結してなるバルク型コ
アであってもよい。
【0007】本発明において、前記Fe基軟磁性金属ガ
ラス合金は、Fe以外の他の金属元素と半金属元素とを
含有してなり、前記他の金属元素としてAl、Ga、I
n、Snのうちの1種または2種以上を含有し、前記半
金属元素として、P、C、BGe、Siのうちの1種ま
たは2種以上を含有することを特徴とする。本発明にお
いて、前記Fe基軟磁性金属ガラス合金の組成は、原子
%で、Al:1〜10%、Ga:0.5〜4%、P:0
〜15%、C:2〜7%、B:2〜10%、Fe:残部
であることを特徴とする。あるいは、前記Fe基軟磁性
金属ガラス合金の組成は、原子%で、Al:1〜10
%、Ga:0.5〜4%、P:0〜15%、C:2〜7
%、B:2〜10%、Si:0 〜15%、Fe:残部
であることを特徴とするものであってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、本発明に用いられるFe基軟磁性金
属ガラス合金について説明する。従来からFe系の合金
として、Fe-P-C系、Fe-P-B系、Fe-Ni-Si
-B系等の組成のものがガラス遷移を起こすものとして
知られているが、これらの合金の過冷却液体の温度間隔
ΔTxはいずれも25K以下と極めて小さく、実際的に
金属ガラス合金として構成することはできない。これに
対して、本発明に用いられるFe基軟磁性金属ガラス合
金は、この過冷却液体の温度間隔ΔTxが、35K以
上、組成によっては40〜50K以上という顕著 な温
度間隔を有し、これまでの知見から知られるFe基合金
からは全く予期されないものである。しかも、軟磁性に
ついても室温で優れた特性を有する本発明に用いられる
Fe基軟磁性金属ガラス合金は、これまでの知見に見ら
れない全く新規なもので、これまでアモルファス合金が
薄帯としてしか実現できなかったのに対し、バルク状の
ものが得られ、遥かに実用性に優れたものとなる。
【0009】本発明に用いられるFe基軟磁性金属ガラ
ス合金は、その組成については、Feを主成分とし、更
に、他の金属と半金属とを含有したものとして示すこと
ができる。このうち他の金属とは、周期律表のIIA
族、IIIA族及びIIIB族、IVA族及びIVB
族、VA族、VIA族、VIIA族のうちか選択できる
ものであるが、中でも、IIIB族、IVB族の金属元
素が好適なものとして示される。例えば、Al(アルミ
ニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、S
n(スズ)である。また、上記Fe基軟磁性金属ガラス
合金に対し、Ti、Hf、Cu、Mn、Nb、Mo、C
r、Ni、Co、Ta、W、Zrの中から選択される1
種以上の金属元素を配合することができる。前記半金属
元素としては、例えば、P(リン)、C(炭素)、B
(ほう素)、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)を
例示できる。より具体的に例示すると、本発明で用いら
れるFe基軟磁性金属ガラス合金は、その組成が原子%
で、Al:1〜10%、Ga:0.5〜4%、P:0〜
15%、C:2〜7%、B:2〜10%、F e:残部
であって、不可避不純物が含有されていても良いFe基
金属ガラス合金である。
【0010】また、更にSiを加えることにより、過冷
却液体の温度間隔ΔTxを向上させ、アモルファス単相
となる臨界板厚を増大させることができる。その結果、
室温で優れた軟磁気特性を有するバルク状のFe基軟磁
性金属ガラス合金の厚さをさらに厚くすることが可能と
なる。Siの含有量は多すぎると過冷却液体領域ΔT x
が消滅するので、15%以下が好ましい。より具体的に
例示すると、本発明のFe基金属ガラス合金は、その組
成が原子%で、Al:1〜10%、Ga:0.5〜4
%、P:0〜15%、C:2〜7%、B:2〜10%、
Si:0〜15%、Fe:残部であって、不可避不純物
が含有されていても良い。さらに、より大きな過冷却液
体領域ΔTxを得るためには、上述の2つの組成中、P
とCを原子%で、P:6〜15%、C:2〜7%とする
のがより好ましく、35K以上の過冷却液体領域ΔTx
を得ることができる。
【0011】なお、前記の組成において、更にGeを0
〜4%、好ましくは0.5〜4%の範囲で含有していて
も良い。また、前記組成において、更に、Nb、Mo、
Cr、Hf、W、Zrの少なくとも1種を7%以下含有
していても良く、更に、Ni10%以下、Co30%以
下を含んでいても良い。これらのいずれの場合の組成に
おいても、本発明においては、過冷却液体の温度間隔Δ
xは、35K以上、組成によっては40〜50K以上
が得られる。
【0012】本発明に用いられるFe基軟磁性金属ガラ
ス合金は、溶製してから鋳造法により、あるいは単ロー
ルもしくは双ロールによる急冷法によって、さらには液
中紡糸法や溶液抽出法によって、あるいは高圧ガス噴霧
法によって、バルク状、リボン状(薄帯状)、線状体、
粉末等の種々の形状として製造され、また、特に、バル
ク状のものを製造する場合は、粉末状にしたものを放電
プラズマ焼結法により焼結する方法が好適に用いられ
る。これらの製造方法によって、従来公知のアモルファ
ス合金の場合に比べて10倍以上の厚さと径の大きさの
Fe基軟磁性金属ガラス合金の製造が可能である。
【0013】これらの方法により得られた前記の組成の
Fe基軟磁性金属ガラス合金は、室温において磁性を有
し、また、熱処理により、より良好な磁性を示す。この
ため、優れたSoft magnetic特性(軟磁気特性)を有す
る材料としてインダクティブ形ヘッドのコア用磁性材料
として有用なものとなる。なお、製造方法について付言
すると、合金の組成、そして製造のための手段と製品の
大きさ、形状等によって、好適な冷却速度が決まるが、
通常は1〜104K/s程度の範囲を目安とすることが
できる。そして、実際には、ガラス相(glassy phase)
に、結晶相としてのFe3B、Fe2B、Fe3P等の相
が析出するかどうかを確認することで決めることができ
る。
【0014】次に、図面を参照して本発明のインダクテ
ィブ形ヘッドの実施の形態について説明する。図1は、
本発明のインダクティブ形ヘッドの第一の実施形態を示
す斜視図である。この第一の実施形態のインダクティブ
形ヘッドは、各種構成部材を所定位置に固定するために
対称的に分割されたホールドケース1,1を有する。こ
のホールドケース1,1は、一方の面が磁気テープと対
向して円滑な摺接動作を達成しえるように湾曲した摺接
面1a,1aを有し、これら摺接面1a,1aの対向する端部
には、ラミネート型コア2,2が対称的に配設されてい
る。
【0015】このラミネート型コア2は、図2に示すよ
うに、上述のFe基軟磁性金属ガラス合金からなる薄帯
を打ち抜いて形成した略コ字状のコア薄片3を複数枚積
層してなるもので、これらラミネート型コア2を一対突
き合わせて、突き合わせ面に磁気ギャップ6を形成して
いる。さらに、これらラミネート型コア2には、図1に
示すように、コイル4が巻回され、磁気ギャップ6に
は、ギャップ板5が介在されて、インダクティブ形ヘッ
ドが概略構成される。
【0016】次に、上記ラミネート型コア2の製造例に
ついて詳しく説明する。まず、上記組成系の軟磁性金属
ガラス合金の各成分の元素単体粉末もしくは元素単体塊
状物(予め一部合金化していても良い。)を用意し、こ
れら元素単体粉末もしくは元素単体塊状物を混合し、次
いでこの混合粉末をArガス等の不活性ガス雰囲気中に
おいて、るつぼ等の溶解装置で溶解して所定組成の合金
溶湯を得る。ついで、この合金溶湯を鋳型に流し込んで
徐冷する鋳造法により、あるいは単ロールもしくは双ロ
ールを用いる急冷法によって厚さ20〜250μm程度
のFe基軟磁性金属ガラス合金薄帯を形成する。つい
で、このFe基軟磁性金属ガラス合金薄帯をプレス工程
およびバレル研削工程を経ることでコア薄片3を作製す
る。ついで、薄片単品のまま300〜500゜Cの温度
範囲で熱処理する。ついで、この熱処理されたコア薄片
3をコア整列工程において治具中に挿入して同一方向に
並べて密着させ、かつ、このときラミネート型コア2を
形成するコア薄片3の所定枚数毎に仕切板を挿入する。
次にこのコア薄片3と仕切板を密着して積層した状態
で、レーザ溶接工程により、積層方向に溶接する。する
と、仕切板部分では、溶接されないか溶着力が弱いた
め、次のコア分離工程における簡単な分離作業により、
所定枚数積層されて溶接される。これを樹脂含浸工程に
て、樹脂液に含浸させ、各コア薄片3の間に絶縁性の樹
脂膜の形成された、図2に示されるようなラミネート型
コア2が得られる。
【0017】第一の実施形態のインダクティブ形ヘッド
は、過冷却液体の温度間隔ΔTxが35K以上であり、
比抵抗が1.5μΩm以上であるFe基軟磁性金属ガラ
ス合金の薄帯から形成されたコア薄片3を積層してなる
ラミネート型コア2が備えられたものである。本発明で
用いられるFe基軟磁性金属ガラス合金は、従来のアモ
ルファス合金薄帯の厚みの制約を克服し、薄帯状で20
μm以上の厚さ、あるいは20〜200μmの厚さ、特
にSiを添加する場合には20〜250μmの厚さであ
って、比抵抗が1.5μΩm以上であり、しかも室温で
軟磁気特性を有している。また、このFe基軟磁性金属
ガラス合金は、軟磁気特性において飽和磁化が高く、保
磁力が低く、透磁率が高く、また、硬度が高いので耐摩
耗性が優れるという利点がある。従って、上述のような
Fe基軟磁性金属ガラス合金をラミネート型コア2に用
いることで、極めて高性能なインダクティブ形ヘッドが
得られる。
【0018】図3は、本発明のインダクティブ形ヘッド
の第二の実施形態を示す斜視図である。この第二の実施
形態のインダクティブ形ヘッドが、図1に示した第一の
実施形態と異なるところは、コアとして上記Fe基軟磁
性金属ガラス合金の粉末を焼結してなるバルク型コア1
2が備えられた点である。次に、上記バルク型コア12
の製造例について説明する。図4は上記バルク型コア1
2を製造するために好適に用いられる放電プラズマ焼結
装置の一例の要部を示すもので、この例の放電プラズマ
焼結装置は、筒型のダイ41と、このダイ41の内部に
挿入される上パンチ42および下パンチ43と、下パン
チ43を支え、後述するパルス電流を流す際の一方の電
極ともなるパンチ電極44と、上パンチ42を下側に押
圧し、パルス電流を流す他方の電極となるパンチ電極4
5と、上下のパンチ42、43に挟まれた粉末原料46
の温度を測定する熱電対47を主体として構成されてい
る。このような放電プラズマ焼結装置の内部で、上下の
パンチ42、43とダイ41により形成されるキャビテ
ィの形状は、バルク型コア12の形状と略一致するもの
である。
【0019】図6に、上記放電プラズマ焼結装置の全体
構造を示す。図6に示す放電プラズマ焼結装置Aは、住
友石炭鉱業株式会社製のモデルSPS−2050と称さ
れる放電プラズマ焼結機の一種であり、図4に示す構造
を要部とするものである。図6に示す装置においては、
上部基盤51と下部基盤52を有し、上部の基盤51に
接してチャンバ53が設けられ、このチャンバ53の内
部に図4に示す構造の大部分が収納されて構成され、こ
のチャンバ53は図示略の真空排気装置および雰囲気ガ
スの供給装置に接続されていて、上下のパンチ42、4
3の間に充填される原料粉末(粉粒体)46を不活性ガ
ス雰囲気などの所望の雰囲気下に保持できるように構成
されている。なお、図4と図6では通電装置が省略され
ているが、上下のパンチ42、43およびパンチ電極4
4、45には別途設けた通電装置が接続されていてこの
通電装置から図5に示すようなパルス電流をパンチ4
2、43およびパンチ電極44、45を介して通電でき
るように構成されている。
【0020】上記構成の放電プラズマ焼結装置を用いて
Fe基軟磁性金属ガラス合金からなるバルク型コア12
を製造するには、成型用原料粉末46を用意する。この
原料粉末46を作製するには、例えば、上記組成系の軟
磁性金属ガラス合金の各成分の元素単体粉末もしくは元
素単体塊状物(予め一部合金化していても良い。)を用
意し、これら元素単体粉末もしくは元素単体塊状物を混
合し、次いでこの混合粉末をArガス等の不活性ガス雰
囲気中において、るつぼ等の溶解装置で溶解して所定組
成の合金溶湯を得る。次にこの合金溶湯を鋳型に流し込
んで徐冷する鋳造法により、あるいは単ロールもしくは
双ロールを用いる急冷法によって、さらには液中紡糸法
や溶液抽出法によって、あるいは高圧ガス噴霧法によっ
て、バルク状、リボン状、線状体、粉末等の種々の形状
として製造する工程と、粉末状以外のものは粉砕して粉
末化する工程により得られる。
【0021】次に、原料粉末46を用意したならばこれ
を図4あるいは図6に示す放電プラズマ焼結装置の上下
のパンチ42、43の間に投入し、チャンバ53の内部
を真空引きするとともに、パンチ42、43で上下から
圧力を加えて成形すると同時に、例えば図5に示すよう
なパルス電流を原料粉末46に印加して加熱し、成形す
る。この放電プラズマ焼結処理においては、通電電流に
より原料粉末46を所定の速度で素早く昇温することが
でき、また、通電電流の値に応じて原料粉末46の温度
を厳格に管理できるので、ヒータによる加熱などよりも
遥かに正確に温度管理ができ、これにより予め設計した
通りの理想に近い条件で焼結ができる。
【0022】本発明において、焼結温度は、原料粉体を
固化成形するために300℃以上とすることが必要であ
るが、原料粉末として用いられる軟磁性金属ガラス合金
は、大きな過冷却液体の温度間隔ΔTx(Tx−Tg)を
有しているので、この 温度領域で加圧焼結することに
よって、高密度の焼結体を好ましく得ることができる。
ただし、焼結温度が結晶化開始温度に近いと、結晶核の
生成開始(構造的短範囲秩序化)や結晶析出開始による
磁気異方性を生じるので軟磁性特性が劣化するおそれが
ある。また、放電プラズマ焼結装置の機構上、モニター
される焼結温度は金型に設置されている熱電対の温度で
あるため、粉末試料にかかる温度よりも低い温度であ
る。したがって、本発明における焼結温度は、結晶化開
始温度をTx、焼結温度をTとした場合、好ましくはT
≦Txの範囲とされる。
【0023】また、特にFe基軟磁性金属ガラス合金に
Siを添加した場合は、結晶化開始温度Txが上昇し、
過冷却液体の温度間隔ΔTxが増大するので、より熱的
に安定なアモルファス材料となる。したがって、このF
e基軟磁性金属ガラス合金を粉末化し、加圧焼結を行う
ことにより、Siを含有しない原料粉末を用いた場合に
比べて、より高密度のバルク状の焼結体を得ることが可
能である。
【0024】本発明において、焼結を行う際の昇温速度
は、ゆっくりとした昇温速度では結晶相が生成するた
め、40゜C/分以上とするのが好ましい。また、焼結
の際の圧力については、加圧力が低すぎると焼結体を形
成できないため、3t/cm2以上とするのが好まし
い。さらに、得られた焼結体に熱処理を施してもよく、
これにより磁気特性を高めることができる。このときの
熱処理温度はキュリー温度以上であり、かつ磁気特性を
劣化させる結晶が析出する温度以下とされ、具体的には
300〜500゜Cの範囲が好ましく、より好ましくは
300〜450゜Cとされる。
【0025】このようにして得られた焼結体は、原料粉
末として用いられたFe基軟磁性金属ガラス合金と同じ
組成を有するものであり、過冷却液体領域の温度間隔Δ
xが極めて広く、室温で優れた軟磁性特性を有し、ま
た、熱処理により、より良好な磁性を示すものであり、
特に比抵抗が1.5μΩm以上と高いものである。この
ため優れたSoft magnetic特性(軟磁気特性)を有する
材料として、この焼結体をインダクティブ形ヘッドのバ
ルク型コアとして適用すると、従来材に比べて優れた特
性のコアが得られる。
【0026】第二の実施形態のインダクティブ形ヘッド
は、上記Fe基軟磁性金属ガラス合金の粉末を焼結して
得られた焼結体からなるバルク型コア12が備えられた
ものである。上記Fe基軟磁性金属ガラス合金は、従来
のアモルファス合金薄帯の厚みの制約を克服し、バルク
型コアに適用するのに十分な厚さのバルク状体を作製で
き、比抵抗が1.5μΩm以上であり、しかも室温で軟
磁気特性を有している。また、このFe基軟磁性金属ガ
ラス合金は、軟磁気特性において飽和磁化が高く、保磁
力が低く、透磁率が高く、また、硬度が高いので耐摩耗
性が優れるという利点がある。従って、上述のようなF
e基軟磁性金属ガラス合金をバルク型コア12に用いる
ことで、極めて高性能なインダクティブ形ヘッドが得ら
れる。尚、上述の第二の実施形態では、Fe基軟磁性金
属ガラス合金からなる原料粉末を放電プラズマ焼結によ
り成形する方法によりバルク状のFe基軟磁性金属ガラ
ス焼結体を作製する場合について説明したが、これに限
らず、押し出し法などの方法により加圧焼結することに
よってもバルク状のFe基軟磁性金属ガラス焼結体を得
ることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により、
具体的に説明する。 「実施例1」Fe、Al及びGaと、Fe-C合金、F
e-P合金及びBを原料としてそれぞれ所定量秤量し、
減圧Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波誘導加
熱装置で溶解し、原子組成比がFe73Al5Ga211
54のインゴットを作製した。このインゴットをるつぼ
内に入れて溶解し、るつぼのノズルから回転しているロ
ールに溶湯を吹き出して急冷する単ロール法によって、
減圧Ar雰囲気下で急冷リボンを製造した。製造時の条
件を、ノズル径0.41〜0.42mm、ノズル先端と
ロール表面との距離(ギャップ)が0.3mm、ロール
の回転数250〜1500r.p.m.、射出圧力0.3
0〜0.40kgf/cm2、雰囲気圧力−10cmH
gに設定して製造したところ、厚さ35〜229μmの
リボン試料を得ることができた。
【0028】得られた各リボン試料について、300〜
450℃の温度範囲で熱処理した場合の磁気特性を測定
した。熱処理条件は、赤外線イメージ炉を用い、真空中
で昇降温速度180℃/分、保持温度10分の条件とし
て測定した。図7は、前記各リボン試料における磁気特
性の熱処理温度依存性について示したものである。ま
た、図8は図7に示すデータの中から必要数抜粋したデ
ータのみを記載したものである。これらの図から、35
〜180μmの範囲の板厚試料のσs(飽和磁化)につ
いては、熱処理なし(as−Q)の試料と変わらずに4
00℃までほぼ一定の値を示したが、450℃熱処理に
おいては、劣化する傾向を示した。一方、229μmの
板厚の試料については、400℃でピークを示した後、
劣化する傾向を示した。次に、保磁力Hcについては、
各板厚試料とも、350℃熱処理において最小値を示
し、熱処理なしの試料よりも特性が向上する結果となっ
た。更に、熱処理温度を上昇させると保磁力は増大する
傾向を示した。また、熱処理無しの試料で結晶が存在す
ると思われる151μm、180μmの板厚試料につい
ては、アモルファス単相のものに比較して若干大きな値
を示している。なお、229μm板厚の試料についての
保磁力は測定不能であった。次に、透磁率μ'(1kH
z)については、熱処理を施すことによって向上し、3
50℃で最大値を示した。
【0029】これらの熱処理による軟磁気特性の変化に
ついては、熱処理無しの試料において存在する内部応力
が熱処理を行うことによって緩和されるためであると思
われる。また、最適熱処理温度Taは、今回の試験にお
いては350℃付近にあると言える。なお、キュリー温
度Tc以下の熱処理では、磁区固着による特性劣化が起
こる可能性があるので、熱処理温度は少なくとも300
℃以上必要であると思われる。また、450℃における
熱処理では、熱処理なしの試料の値よりも劣化する傾向
にあるので、この系の結晶化温度(約500℃)に近
く、結晶核の生成開始(構造的短範囲秩化序)または結
晶析出開始による磁壁のピンニングに起因して劣化する
ものと思われる。従って、熱処理する場合の温度は30
0〜500℃、換言すると、300℃〜結晶化開始温度
の範囲であることが好ましく、300〜450℃がより
好ましいことが判明した。
【0030】また、これまで得られた各板厚の試料にお
けるσs(飽和磁化)と 保磁力(H c)と透磁率(μ')
と組織構造を表1にまとめて示す。構造はXRD(X線
回折法)で構造解析した結果を示し、表中、amoはアモ
ルファス単相、amo+cry はアモルファス相+結晶相の
構造を有することを示す。
【0031】
【表1】
【0032】図9は、Fe78Si913なる組成の比較
試料について熱処理なしの試料と 370℃で120分
間熱処理した試料、Fe73Al5Ga21154なる組
成の試料について熱処理無しの試料と350℃で10分
間熱処理した試料のそれぞれに対し、飽和磁化σsと保
磁力Hcと透磁率μ'のそれぞれの板厚依存性を測定し
た結果を示す。何れの試料においても板厚30〜200
μmの範囲であれば、磁気特性の劣化も少なく、優れた
特性が得られた。
【0033】図10は、Fe78Si913なる組成の比
較試料について370℃で120分間熱処理した試料
と、Fe73Al5Ga21154なる組成の試料につい
て350℃で10分間熱処理した試料のそれぞれに対
し、曲げ試験を行い、最大歪を測定した結果を示す。曲
げ試験は、2本のロッドと薄帯試料を用い、2本のロッ
ドの先端部の間にロッドと平行に配置した薄帯を挟み、
2本のロッドを徐々に接近させて薄帯を山状に折り曲げ
るものとし、このように山状に折り曲げていった場合に
リボンが折れて切れたときのロッドの端面間の幅をLと
し、薄帯の厚さをtとした場合、t/(L−t)の値を
最大歪(λf)と定義することにした。図10に示す結
果から、Fe78Si913なる組成の比較試料は板厚が
増加するにつれて急激に折り曲げに弱くなる(換言する
と脆くなる)が、本発明に係る組成系の試料では板厚が
増加しても折り曲げに弱くなり難い性質(換言すると脆
くなり難い)を有している。また、板厚が60μm以上
の場合は比較試料よりも本発明系の組成の試料の方が折
り曲げに強くなることも明らかになった。
【0034】図11は、Fe78Si913なる組成の比
較試料と、Fe73Al5Ga21154なる組成の試料
について、比抵抗の板厚依存性を測定した結果を示す。
本発明組成系の試料にあっては、比較例の試料よりも比
抵抗が高く、18μm厚〜235μm厚の試料まで1.
5μΩcm以上の値を示した。従って本発明組成系の試
料にあっては高周波での渦電流損失が少なく、高周波損
失の少ないものを提供できることが判明した。
【0035】Fe77Al2.14Ga0.868.454Si
2.6なる組成の厚さ30μmの薄帯試料についてビッカ
ース硬度を測定値したところ620Hvを示し、極めて
硬いものを提供できることが判明した。ここで用いた薄
帯試料は、赤外線イメージ炉を用い、真空中で昇降温速
度180℃/分、保持温度10分の熱処理が施されたも
のである。
【0036】「実施例2」次に、Fe70+XAl5Ga
2(P55252023-Xなる組成において、Fe濃度を
変化させてリボン試料をそれぞれ作製し、各リボン試料
について構造および特性を調べた。リボン試料の作製は
上記実施例1と同様にして行い、試料の板厚は30μm
とした。図12は、作製した各リボン試料(熱処理無
し)の磁気特性を測定した結果を示したものである。ま
たこの図には、比較試料として従来のFe−Si−B系
アモルファス材料(板厚25μm、真空中で370℃×
120分間の熱処理後)の飽和磁化σsと保磁力Hcと透
磁率μ'の値をそれぞれ破線で示す。この図から明らか
なように、σsについては、Fe濃度の増加に伴って向
上することがわかる。そして、アモルファス単相組織を
有するFe濃度範囲においては、Fe濃度が75原子%
のときに、Fe−Si−B系の比較試料(σs=183
emu/g)とほぼ同等のσs=150emu/gの値
が得られた。また保磁力Hcについては、アモルファス
単相組織を有するFe濃度=75原子%までの試料でほ
ぼ一定の値を示し、それ以上のFe濃度においては大き
く増大した。透磁率μ'(1kHz)については、Fe
濃度の増加に伴って減少する傾向が見られるものの、F
e濃度が70〜76原子%の範囲で、透磁率5000以
上の優れた軟磁気特性が得られた。この結果より本発明
に用いられるFe基軟磁性金属ガラス合金において、F
eを増加させることによってσsを向上させることがで
き、Fe75Al5Ga29.94.53.6なる組成におい
て、従来のFe−Si−B系アモルファス材料とほぼ同
等のσs を有するFe基軟磁性金属ガラス合金が、単ロ
ール液体急冷法により得られることがわかった。
【0037】「実施例3」次に、上記実施例1の組成に
Siを添加してなるFe基軟磁性金属ガラス合金につい
て実施例を挙げ、その効果を明らかにする。原子組成比
がFe72Al5Ga21064Siのインゴットを作製
し、これをるつぼ内に入れて溶解し、るつぼのノズルか
ら回転しているロールに溶湯を吹き出して急冷する単ロ
ール法によって、減圧Ar雰囲気下で急冷リボンを得
た。製造時の条件を、ノズル径0.4〜0.5mm、ノ
ズル先端とロール表面との距離(ギャップ)0.3m
m、ロールの回転数200〜2500r.p.m.、射出圧力
0.35〜0.40kgf/cm2、雰囲気圧力−10cmHg、
ロール表面状態#1000に設定して製造したところ、
厚さ20〜250μmのリボン試料を得ることができ
た。
【0038】得られた厚さ20〜250μmの各リボン
試料について、熱処理を行わない場合と、熱処理した場
合の磁気特性をそれぞれ測定した。図13は、各リボン
試料の磁気特性の板厚依存性を示す。熱処理条件は、赤
外線イメージ炉を用い、真空中で、上記実施例1のSi
を添加しない試料において最適条件であった昇降温速度
180℃/分、保持温度350℃、保持時間30分の条
件とした。この図から明らかなように、飽和磁化σs
ついては、熱処理無しの場合において、板厚にかかわら
ずほぼ一定で145emu/g程度の値を示した。熱処
理後のσsは、アモルファス単相構造を維持している板
厚160μmまでは熱処理無しのものと大きく変わらな
いが、それ以上の板厚で熱処理無しのものに比べて劣化
する傾向を示した。これは、熱処理によってFe3B、
Fe3C等の結晶が成長したことが原因であると考えら
れる。
【0039】保磁力Hcについては、熱処理無しの試料
では板厚の増加に伴って増大する傾向を示した。また、
熱処理後の試料は熱処理無しのものに比べてHcが低下
しており、いずれの板厚においても0.625〜0.1
25 Oeの値を示した。このように熱処理によってHc
が低下したのは、上記実施例1と同様に、熱処理無しの
試料において存在する内部応力が熱処理を行うことによ
って緩和されたためであると思われる。本実施例ではS
iを添加したことにより、上記実施例1のSiを含有し
ないFe基軟磁性金属ガラス合金に比べて、熱処理無し
の場合はいずれの板厚においてもHcが増大している。
しかし、熱処理を施 すことでHcは低下し、Siを含有
しないFe基軟磁性金属ガラス合金とほぼ同程度となっ
た。次に、透磁率μ'(1kHz)については、熱処理
無しの試料では板厚の増加に伴って減少する傾向を示し
た。また熱処理によってμ'は向上し、上記実施例1の
Siを含有しない組成のFe基軟磁性金属ガラス合金と
ほぼ同等の値が得られた。なお、上記実施例1と同様
に、熱処理による効果が板厚増加に従って小さくなる傾
向は本実施例でも見られた。
【0040】また、本実施例で得られた各板厚の試料
(熱処理無し)におけるσs(飽和磁化)と保磁力
(Hc)と透磁率(μ')と組織構造を表2にまとめて示
す。構造はXRD(X線回折法)で構造解析した結果を
示し、表中、amoはアモルファス単相、amo+cryはアモ
ルファス相+結晶相の構造を有することを示す。
【0041】
【表2】
【0042】図14は、Fe78Si913なる組成の比
較試料について370℃で120分間熱処理した試料
と、Fe72Al5Ga21064Si1なる組成の試料
について350℃で30分間熱処理した試料のそれぞれ
に対し、飽和磁化σsと保磁力Hcと透磁率μ'のそれぞ
れの板厚依存性を測定した結果を示す。この結果より、
Fe72Al5Ga21064Si1なる組成の本発明に
係わるFe基金属ガラス合金試料は、Fe78Si913
なる組成の従来用いられていた比較試料と比べて、板厚
20〜250μmの範囲であれば、磁気特性の劣化も少
なく、優れた特性が得られることが認められた。特に軟
磁気特性に関しては、本発明に係わるFe基金属ガラス
合金において、従来材料よりも優れた透磁率の値が得ら
れており、板厚20〜250μmの範囲で透磁率500
0以上の優れた軟磁気特性が得られることが認められ
る。このように本発明に係わるFe基金属ガラス合金
は、優れた軟磁気特性を示すため、インダクティブ形ヘ
ッドの電磁変換特性としては優れており、また、硬度が
高いものが得られるので優れた耐摩耗性をもつインダク
ティブ形ヘッドを得ることができることがわかる。
【0043】「実施例4」実施例1と同様にして作製し
た急冷薄帯をローターミルを用いて大気中で粉砕するこ
とで粉末化した。得られた粉末の中で粒径53〜105
μmのものを選別して後の工程に原料粉末として使用し
た。約2gの前記原料粉末をWC製のダイスの内部にハ
ンドプレスを用いて充填した後、図4に示すダイ41の
内部に装填し、チャンバの内部を3×10-5torrの
雰囲気中で上下のパンチ42、43で加圧するととも
に、通電装置から原料粉末にパルス波を通電して加熱し
た。パルス波形は図5に示すように12パルス流した後
で2パルス休止するものとし、最高4700〜4800
Aの電流で原料粉末を加熱した。焼結は、試料に6.5
t/cm2の圧力をかけた状態で室温から焼結温度まで
試料を加熱し、約5分間保持することにより焼結を行っ
た。昇温速度は100℃/minとした。
【0044】図15は、Fe73Al5Ga21154
る組成の急冷非晶質合金薄帯を粉砕して得られた原料粉
末のDSC曲線(Differential scanning caloriemete
r:示差走査熱量測定による曲線)を示すものであり、
図16は、この粉末を焼結温度430℃で放電プラズマ
焼結して得られた焼結体のDSC曲線を示すものであ
る。 また、図17は、粉砕前の急冷非晶質合金薄帯の
TMA曲線(Thermo Mechanical Analysis 曲線)を示
すものである。図15のDSC曲線より、原料粉末のT
x=512℃、Tg=465℃、ΔTx= 47℃が求めら
れる。このように結晶化温度以下の広い温度領域で過冷
却液体域が存在しΔTx=Tx−Tgで示される値が大き
く、この系の組成の合金が高いア モルファス形成能を
有することがわかる。また、図16のDSC曲線より、
焼結体のTx=512℃、Tg=465℃、ΔTx=47
℃が求められる。図15および図16の結果より、非晶
質合金粉砕粉末と焼 結体とのTx、Tg、ΔTxが同じで
あることがわかる。さらに、図17に示すTMA曲線で
は、440〜480℃の温度領域で温度の上昇に伴って
試料が急激に伸びていることがわかる。このことは、過
冷却液体温度領域において粘性流動が起こっていること
を示している。このように非晶質合金が軟化する現象を
利用して固化成形すれば高密度化するために有利であ
る。なお、この発明は、以上の例によって何ら限定され
るものではなく、その組成、製造方法、熱処理条件、形
状等について様々な態様が可能であることは勿論であ
る。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明のインダクテ
ィブ形ヘッドは、過冷却液体の温度間隔ΔTxが35K
以上であり、比抵抗が1.5μΩm以上であるFe基軟
磁性金属ガラス合金からなるコアを有することを特徴と
するものである。本発明に用いられるFe基軟磁性金属
ガラス合金は、Fe以外の他の金属元素と半金属元素と
を含有してなり、前記他の金属元素としてAl、Ga、
In、Snのうちの1種または2種以上を含有し、前記
半金属元素として、P、C、B、Ge、Siのうちの1
種または2種以上を含有するものを好ましい組成系とす
ることができる。本発明で用いられるFe基軟磁性金属
ガラス合金は、従来のアモルファス合金薄帯の厚みの制
約を克服し、薄帯状で20μm以上の厚さ、あるいは2
0〜200μmの厚さ、特にSiを添加する場合には2
0〜250μmの厚さであって、比抵抗が1.5μΩm
以上であり、しかも室温で軟磁気特性を有している。ま
た、このFe基軟磁性金属ガラス合金の粉末を焼結する
ことにより、バルク型コアに適用するのに十分な厚さの
バルク状体を作製できる。さらに、このFe基軟磁性金
属ガラス合金は、軟磁気特性において飽和磁化が高く、
保磁力が低く、透磁率が高く、また、硬度が高いので耐
摩耗性が優れるという利点がある。従って、上述のよう
なFe基軟磁性金属ガラス合金をインダクティブ形ヘッ
ドのコアに用いることで、極めて高性能なインダクティ
ブ形ヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のインダクティブ形ヘッドの第一の実
施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1のインダクティブ形ヘッドのラミネート
型コアを示す図で、(a)は斜視図、(b)はラミネー
ト型コアを組み合わせたときの側面図である。
【図3】 本発明のインダクティブ形ヘッドの第二の実
施形態を示す斜視図である。
【図4】 本発明のインダクティブ形ヘッドに備えられ
るバルク型コアの製造に好適に用いられる放電プラズマ
焼結装置の一例の要部構造を示す断面図である。
【図5】 図4に示す放電プラズマ焼結装置で原料粉末
に印加するパルス電流波形の一例を示す図である。
【図6】 本発明のインダクティブ形ヘッドに備えられ
るバルク型コアの製造に好適に用いられる放電プラズマ
焼結装置一例の全体構成を示す正面図である。
【図7】 飽和磁化と保磁力と透磁率の板厚依存性を示
す図である。
【図8】 図7に示す板厚依存性のデータの一部を抜粋
して示す図である。
【図9】 組成の異なる各試料の飽和磁化と保磁力と透
磁率の板厚依存性を示す図である。
【図10】 組成の異なる試料の最大歪と板厚の関係を
示す図である。
【図11】 従来のFe基アモルファス材料と本発明に
係る組成の金属ガラス合金の比抵抗の板厚依存性を示す
図である。
【図12】 飽和磁化と保磁力と透磁率のFe濃度依存
性を示す図である。
【図13】 Siを添加した試料における熱処理なしの
場合と熱処理後の飽和磁化と保磁力と透磁率の板厚依存
性を示す図である。
【図14】 従来のFe基アモルファス材料と本発明に
係るSiを添加した金属ガラス合金の飽和磁化と保磁力
と透磁率の板厚依存性を示す図である。
【図15】 実施例における原料粉末のDSC曲線を示
す図である。
【図16】 実施例における焼結体のDSC曲線を示す
図である。
【図17】 実施例における急冷非晶質合金薄帯のTM
A曲線を示す図である。
【符号の説明】
2・・・ラミネート型コア、3・・・コア薄片、12・・・バル
ク型コア。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01F 10/14 H01F 10/14 (72)発明者 水嶋 隆夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開
    始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表され
    る過冷却液体の温度間隔ΔTxが35K以上であり、比
    抵抗が1.5μΩm以上であるFe基軟磁性金属ガラス
    合金からなるコアを有することを特徴とするインダクテ
    ィブ形ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記コアは、前記Fe基軟磁性金属ガラ
    ス合金の薄帯から形成されたコア薄片を積層してなるラ
    ミネート型コアであることを特徴とする請求項1記載の
    インダクティブ形ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記コアは、前記Fe基軟磁性金属ガラ
    ス合金の粉末を焼結してなるバルク型コアであることを
    特徴とする請求項1記載のインダクティブ形ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記Fe基軟磁性金属ガラス合金が、F
    e以外の他の金属元素と半金属元素とを含有してなり、
    前記他の金属元素としてAl、Ga、In、Snのうち
    の1種または2種以上を含有し、前記半金属元素とし
    て、P、C、B、Ge、Siのうちの1種または2種以
    上を含有するものであることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載のインダクティブ形ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記Fe基軟磁性金属ガラス合金の組成
    が原子%で Al: 1 〜10% Ga: 0.5〜 4% P: 0 〜15% C: 2 〜 7% B: 2 〜10% Fe: 残部 であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    のインダクティブ形ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記Fe基軟磁性金属ガラス合金の組成
    が原子%で Al: 1 〜10% Ga: 0.5〜 4% P: 0 〜15% C: 2 〜 7% B: 2 〜10% Si: 0 〜15% Fe: 残部 であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    のインダクティブ形ヘッド。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006129435A (ja) * 2004-09-30 2006-05-18 Casio Comput Co Ltd アンテナ及び電子機器
US7622011B2 (en) 2002-12-25 2009-11-24 Japan Science And Technology Agency Spherical particles of Fe base metallic glass alloy, Fe base sintered alloy soft magnetic material in bulk form produced by sintering the same, and method for their production
WO2014084192A1 (ja) * 2012-11-28 2014-06-05 株式会社テクレコ 磁気ヘッドにおける磁気コアモジュールの生産方法、磁気ヘッドにおける磁気コアモジュール及び磁気ヘッド

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