JP2002239688A - 薄板状磁石合金およびその製造方法 - Google Patents
薄板状磁石合金およびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 切削や研磨加工を施さない状態での平均厚さ
が100μm〜300μmとなる薄板状フルデンス磁石
を提供する。 【解決手段】 組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQxR
yMz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1
種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択され
た1種以上の元素、RはY(イットリウム)および希土
類金属からなる群から選択された1種以上の元素、M
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、P
t、Au、およびPbからなる群から選択された1種以
上の元素)で表現され、組成比率x、y、z、およびm
が、それぞれ、10≦x≦30原子%、2≦y≦15原
子%、0≦z≦10原子%、および0≦m≦0.5を満
足する合金の溶湯を用意する。次に減圧下で上記溶湯を
双ロール急冷法によって凝固させ、厚さ100μm以上
300μm未満の急冷合金を作製する。
が100μm〜300μmとなる薄板状フルデンス磁石
を提供する。 【解決手段】 組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQxR
yMz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1
種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択され
た1種以上の元素、RはY(イットリウム)および希土
類金属からなる群から選択された1種以上の元素、M
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、P
t、Au、およびPbからなる群から選択された1種以
上の元素)で表現され、組成比率x、y、z、およびm
が、それぞれ、10≦x≦30原子%、2≦y≦15原
子%、0≦z≦10原子%、および0≦m≦0.5を満
足する合金の溶湯を用意する。次に減圧下で上記溶湯を
双ロール急冷法によって凝固させ、厚さ100μm以上
300μm未満の急冷合金を作製する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腕時計などに用い
られる超小型ステッピングモータのロータ、携帯電話の
振動呼び出し機構、および、磁気スケールなどに利用さ
れ得る薄板状磁石合金およびその製造方法に関する。
られる超小型ステッピングモータのロータ、携帯電話の
振動呼び出し機構、および、磁気スケールなどに利用さ
れ得る薄板状磁石合金およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、家電用機器、OA機器、電装品な
どに用いられる永久磁石には、より一層の高性能化と小
型軽量化が要求されている。このような用途に適した超
小型の磁石を作製するには、大きめのサイズを有する希
土類焼結磁石を作製した後、その焼結磁石をより小さな
サイズへと切断・切削するか、または、希土類ボンド磁
石を小さく成形して作製する必要があった。
どに用いられる永久磁石には、より一層の高性能化と小
型軽量化が要求されている。このような用途に適した超
小型の磁石を作製するには、大きめのサイズを有する希
土類焼結磁石を作製した後、その焼結磁石をより小さな
サイズへと切断・切削するか、または、希土類ボンド磁
石を小さく成形して作製する必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、切断や
切削加工法を用いて作製した焼結磁石は性能が優れてい
るものの、製造工程数が多いため、価格が高いという欠
点を有している。また、焼結磁石の場合、加工技術の限
界から、最終的な磁石製品の厚さを200μm程度以下
に小型化することは極めて困難である。
切削加工法を用いて作製した焼結磁石は性能が優れてい
るものの、製造工程数が多いため、価格が高いという欠
点を有している。また、焼結磁石の場合、加工技術の限
界から、最終的な磁石製品の厚さを200μm程度以下
に小型化することは極めて困難である。
【0004】一方、ボンド磁石の場合、直径3mm、肉
厚300μm程度の扁平磁石が腕時計用の小型ステッピ
ングモータ用永久磁石として実用化されている。ボンド
磁石の製造は、通常、粒径50μm〜300μm程度の
磁性粉末を樹脂と共に成形工することにより行なわれる
ため、ボンド磁石の肉厚を300μmよりも薄くするこ
とは困難である。また、ボンド磁石に含まれる磁粉の割
合(磁粉充填率)は約80%程度である。このため、ボ
ンド磁石の残留磁化は、磁性粉末が本来持っている残留
磁化の80%程度にしか過ぎない。
厚300μm程度の扁平磁石が腕時計用の小型ステッピ
ングモータ用永久磁石として実用化されている。ボンド
磁石の製造は、通常、粒径50μm〜300μm程度の
磁性粉末を樹脂と共に成形工することにより行なわれる
ため、ボンド磁石の肉厚を300μmよりも薄くするこ
とは困難である。また、ボンド磁石に含まれる磁粉の割
合(磁粉充填率)は約80%程度である。このため、ボ
ンド磁石の残留磁化は、磁性粉末が本来持っている残留
磁化の80%程度にしか過ぎない。
【0005】特開平10−317109号公報は、単ロ
ール急冷法を用いて10μm以上100μm以下の厚さ
を有する永久磁石の作製方法を開示している。この方法
によれば、厚さ100μm以下の薄い磁石合金を作製す
ることができ、作製される磁石合金は樹脂成分を含まな
いフルデンス磁石であるため、高い性能を発揮する。
ール急冷法を用いて10μm以上100μm以下の厚さ
を有する永久磁石の作製方法を開示している。この方法
によれば、厚さ100μm以下の薄い磁石合金を作製す
ることができ、作製される磁石合金は樹脂成分を含まな
いフルデンス磁石であるため、高い性能を発揮する。
【0006】しかし、上記方法によって厚さ100μm
を超えるような薄板状磁石合金を作製しようとすると、
良好な硬磁気特性を発現させるために必要な均一微細結
晶組織(平均結晶粒径100nm以下)を持つ急冷合金
を作製することができないという問題があった。
を超えるような薄板状磁石合金を作製しようとすると、
良好な硬磁気特性を発現させるために必要な均一微細結
晶組織(平均結晶粒径100nm以下)を持つ急冷合金
を作製することができないという問題があった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、切削や研磨加工を施
さない状態での平均厚さが100μm〜300μmとな
り、しかも、樹脂などを含まない高性能のフルデンス磁
石を提供することにある。
であり、その目的とするところは、切削や研磨加工を施
さない状態での平均厚さが100μm〜300μmとな
り、しかも、樹脂などを含まない高性能のフルデンス磁
石を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による急冷凝固合
金の製造方法は、組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQx
RyMz(TはCoおよびNiからなる群から選択された
1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択さ
れた1種以上の元素、RはY(イットリウム)および希
土類金属からなる群から選択された1種以上の元素、M
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、P
t、Au、およびPbからなる群から選択された1種以
上の元素)で表現され、組成比率x、y、z、およびm
が、それぞれ、 10≦x≦30原子%、 2≦y≦15原子%、 0≦z≦10原子%、および 0≦m≦0.5、 を満足する合金の溶湯を用意する工程と、前記溶湯を双
ロール急冷法によって凝固させ、厚さ100μm以上3
00μm未満の急冷合金を作製する工程と、を含む。
金の製造方法は、組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQx
RyMz(TはCoおよびNiからなる群から選択された
1種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択さ
れた1種以上の元素、RはY(イットリウム)および希
土類金属からなる群から選択された1種以上の元素、M
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、P
t、Au、およびPbからなる群から選択された1種以
上の元素)で表現され、組成比率x、y、z、およびm
が、それぞれ、 10≦x≦30原子%、 2≦y≦15原子%、 0≦z≦10原子%、および 0≦m≦0.5、 を満足する合金の溶湯を用意する工程と、前記溶湯を双
ロール急冷法によって凝固させ、厚さ100μm以上3
00μm未満の急冷合金を作製する工程と、を含む。
【0009】好ましい実施形態において、前記合金急冷
合金を作製する工程は、0.01mm以上0.2mm未
満のロール間距離で配置された前記双ロールに対して前
記溶湯を接触させ、それによって前記溶湯を急冷し、過
冷却液体状態の急冷合金を前記双ロールの間から排出す
る。
合金を作製する工程は、0.01mm以上0.2mm未
満のロール間距離で配置された前記双ロールに対して前
記溶湯を接触させ、それによって前記溶湯を急冷し、過
冷却液体状態の急冷合金を前記双ロールの間から排出す
る。
【0010】前記溶湯の急冷を70kPa以下の雰囲気
圧下で行なうことが好ましい。
圧下で行なうことが好ましい。
【0011】前記双ロールの回転表面速度を表面速度1
m/秒以上8m/秒未満とすることが好ましい。
m/秒以上8m/秒未満とすることが好ましい。
【0012】本発明による薄板状磁石合金の製造方法
は、上記いずれかの急冷凝固合金の製造方法によって作
製された急冷合金を用意する工程と、前記急冷合金に熱
処理を施すことにより、R2Fe14B型化合物、鉄、お
よび鉄系ホウ化物相の平均結晶粒径を1nm以上150
nm未満とする工程とを含む。
は、上記いずれかの急冷凝固合金の製造方法によって作
製された急冷合金を用意する工程と、前記急冷合金に熱
処理を施すことにより、R2Fe14B型化合物、鉄、お
よび鉄系ホウ化物相の平均結晶粒径を1nm以上150
nm未満とする工程とを含む。
【0013】前記熱処理工程で、前記急冷合金を550
℃以上850℃以下の温度で30秒以上保持することが
好ましい。
℃以上850℃以下の温度で30秒以上保持することが
好ましい。
【0014】本発明による薄板状磁石合金は、組成式が
(Fe1-mTm)100-x-y-zQxRyMz(TはCoおよびN
iからなる群から選択された1種以上の元素、QはBお
よびCからなる群から選択された1種以上の元素、Rは
Y(イットリウム)および希土類金属からなる群から選
択された1種以上の元素、Mは、Al、Si、Ti、
V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、M
o、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbか
らなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、
組成比率x、y、z、およびmが、それぞれ、 10≦x≦30原子%、 2≦y≦15原子%、 0≦z≦10原子%、および 0≦m≦0.5、 を満足する薄板状磁石合金であって、前記磁石合金の平
均厚さは100μm以上300μm未満であり、構成相
として、R2Fe14B型化合物、鉄、および鉄系ホウ化
物を含み、前記構成相の平均結晶粒径が1nm以上15
0nm未満である。
(Fe1-mTm)100-x-y-zQxRyMz(TはCoおよびN
iからなる群から選択された1種以上の元素、QはBお
よびCからなる群から選択された1種以上の元素、Rは
Y(イットリウム)および希土類金属からなる群から選
択された1種以上の元素、Mは、Al、Si、Ti、
V、Cr、Mn、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、M
o、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Au、およびPbか
らなる群から選択された1種以上の元素)で表現され、
組成比率x、y、z、およびmが、それぞれ、 10≦x≦30原子%、 2≦y≦15原子%、 0≦z≦10原子%、および 0≦m≦0.5、 を満足する薄板状磁石合金であって、前記磁石合金の平
均厚さは100μm以上300μm未満であり、構成相
として、R2Fe14B型化合物、鉄、および鉄系ホウ化
物を含み、前記構成相の平均結晶粒径が1nm以上15
0nm未満である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者は、後述する組成を有す
る合金の溶湯を双ロール法によって急冷し、厚さが10
0〜300μmの薄板状磁石合金を作製する種々の試み
を行なった。双ロール法は、2つの冷却ロールをほぼ密
着させた状態で回転させ、2つのロール間で合金溶湯を
両側から冷却する技術である。
る合金の溶湯を双ロール法によって急冷し、厚さが10
0〜300μmの薄板状磁石合金を作製する種々の試み
を行なった。双ロール法は、2つの冷却ロールをほぼ密
着させた状態で回転させ、2つのロール間で合金溶湯を
両側から冷却する技術である。
【0016】本発明では、得られた急冷合金に対して、
必要に応じて熱処理を施すことによって結晶化を行な
い、最終的には、R2Fe14B型化合物、鉄、および鉄
系ホウ化物を構成相とする微細結晶組織を形成する。磁
石中の各構成相の平均結晶粒径は、1nm以上150n
m未満であり、硬磁性相であるR2Fe14B型化合物と
他の軟磁性相とが交換相互作用によって結合したナノコ
ンポジット磁石が得られる。
必要に応じて熱処理を施すことによって結晶化を行な
い、最終的には、R2Fe14B型化合物、鉄、および鉄
系ホウ化物を構成相とする微細結晶組織を形成する。磁
石中の各構成相の平均結晶粒径は、1nm以上150n
m未満であり、硬磁性相であるR2Fe14B型化合物と
他の軟磁性相とが交換相互作用によって結合したナノコ
ンポジット磁石が得られる。
【0017】本発明者の実験によると、従来の双ロール
法を用いた場合、ナノコンポジット磁石の性能向上に必
要な均一微細な組織を持つ急冷合金を作製することがで
きなかった。そこで、本発明者は、ロール間距離を従来
値よりも拡大し、しかも、適切な範囲に維持すること
で、過冷却状態の合金を双ロール間から排出させ、それ
によって優れた磁石特性を発揮する板状磁石合金の製造
が可能になることことを見出し、本発明を想到するに至
った。
法を用いた場合、ナノコンポジット磁石の性能向上に必
要な均一微細な組織を持つ急冷合金を作製することがで
きなかった。そこで、本発明者は、ロール間距離を従来
値よりも拡大し、しかも、適切な範囲に維持すること
で、過冷却状態の合金を双ロール間から排出させ、それ
によって優れた磁石特性を発揮する板状磁石合金の製造
が可能になることことを見出し、本発明を想到するに至
った。
【0018】本発明では、まず、組成式が(Fe
1-mTm)100-x-y-zQxRyMzで表現される合金の溶湯を
用意する。ここで、TはCoおよびNiからなる群から
選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群
から選択された1種以上の元素、RはY(イットリウ
ム)および希土類金属からなる群から選択された1種以
上の元素、Mは、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、
Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、T
a、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択さ
れた1種以上の元素である。組成比率x、y、z、およ
びmは、それぞれ、10≦x≦30原子%、2≦y≦1
5原子%、0≦z≦10原子%、および0≦m≦0.5
を満足する。
1-mTm)100-x-y-zQxRyMzで表現される合金の溶湯を
用意する。ここで、TはCoおよびNiからなる群から
選択された1種以上の元素、QはBおよびCからなる群
から選択された1種以上の元素、RはY(イットリウ
ム)および希土類金属からなる群から選択された1種以
上の元素、Mは、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、
Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、T
a、W、Pt、Au、およびPbからなる群から選択さ
れた1種以上の元素である。組成比率x、y、z、およ
びmは、それぞれ、10≦x≦30原子%、2≦y≦1
5原子%、0≦z≦10原子%、および0≦m≦0.5
を満足する。
【0019】本発明では、このような合金の溶湯を双ロ
ール液体急冷法によって凝固させ、厚さ100μm以上
300μm未満の急冷合金を作製する。その際、ロール
間距離を0.01mm以上0.2mm未満に設定したう
えで、上記合金溶湯を双ロールに接触させることにより
冷却し、過冷却液体状態の急冷合金を形成する。過冷却
状態にある急冷合金は、双ロールの間から排出され、更
に冷却された後、完全に凝固する。
ール液体急冷法によって凝固させ、厚さ100μm以上
300μm未満の急冷合金を作製する。その際、ロール
間距離を0.01mm以上0.2mm未満に設定したう
えで、上記合金溶湯を双ロールに接触させることにより
冷却し、過冷却液体状態の急冷合金を形成する。過冷却
状態にある急冷合金は、双ロールの間から排出され、更
に冷却された後、完全に凝固する。
【0020】過冷却状態にある合金は、一種の金属ガラ
スであるが、本明細書で使用する「過冷却状態」の合金
とは、「ガラス転移点(ガラス転移温度またはガラス化
遷移温度)Tgを持つ合金であって、合金温度がガラス
転移点Tgよりも高く、非晶質の状態にある合金」を意
味するものとする。
スであるが、本明細書で使用する「過冷却状態」の合金
とは、「ガラス転移点(ガラス転移温度またはガラス化
遷移温度)Tgを持つ合金であって、合金温度がガラス
転移点Tgよりも高く、非晶質の状態にある合金」を意
味するものとする。
【0021】以下、図1を参照しながら、本発明で好適
に用いられる双ロール液体急冷装置を説明する。図1に
示される装置は、合金溶湯1をヒータ(高周波誘導加熱
コイル)2によって加熱しながら放出するノズル3と、
合金溶湯1を冷却するための一対の急冷ロール4とを備
えている。ロール間距離、ロール回転速度、および急冷
雰囲気圧力を適切な範囲に調節することにより、過冷却
状態の急冷合金5をロール間から適切な状態で排出する
ことができる。この過冷却状態の急冷合金5を更に不図
示のロールなどを用いて塑性変形すれば、急冷合金を様
々な形状に加工することも可能である。また、過冷却状
態の急冷合金5を圧延することにより、塑性変形を行な
えば、塑性変形の過程で結晶化を進行させることができ
る。この結晶化が適切に進行するように圧延条件を選択
すれば、R2Fe14B型化合物を異方化することができ
るので、優れた硬磁気特性を持つ異方性磁石の製造も可
能になる。
に用いられる双ロール液体急冷装置を説明する。図1に
示される装置は、合金溶湯1をヒータ(高周波誘導加熱
コイル)2によって加熱しながら放出するノズル3と、
合金溶湯1を冷却するための一対の急冷ロール4とを備
えている。ロール間距離、ロール回転速度、および急冷
雰囲気圧力を適切な範囲に調節することにより、過冷却
状態の急冷合金5をロール間から適切な状態で排出する
ことができる。この過冷却状態の急冷合金5を更に不図
示のロールなどを用いて塑性変形すれば、急冷合金を様
々な形状に加工することも可能である。また、過冷却状
態の急冷合金5を圧延することにより、塑性変形を行な
えば、塑性変形の過程で結晶化を進行させることができ
る。この結晶化が適切に進行するように圧延条件を選択
すれば、R2Fe14B型化合物を異方化することができ
るので、優れた硬磁気特性を持つ異方性磁石の製造も可
能になる。
【0022】合金溶湯1の冷却は、70kPa以下の雰
囲気圧下で行なうことが好ましい。急冷雰囲気が70k
Pa以上になると、合金溶湯1と冷却ロール4との間に
巻き込まれる雰囲気ガスの影響が大きくなるため、合金
溶湯1と冷却ロール4との密着性が低下し、ロール4に
よる十分な冷却が達成されなくなる。その結果、150
nm以上の粗大なα−Feが急冷合金中に析出し、良好
な硬磁気特性が得られなくなる。
囲気圧下で行なうことが好ましい。急冷雰囲気が70k
Pa以上になると、合金溶湯1と冷却ロール4との間に
巻き込まれる雰囲気ガスの影響が大きくなるため、合金
溶湯1と冷却ロール4との密着性が低下し、ロール4に
よる十分な冷却が達成されなくなる。その結果、150
nm以上の粗大なα−Feが急冷合金中に析出し、良好
な硬磁気特性が得られなくなる。
【0023】冷却ロール4の材質は、熱伝導度の点から
アルミニウム合金、純銅および銅合金、鉄および鉄合
金、真鍮、タングステン、青銅あるいはクロム鍍金を施
した前述材質のロールを採用できる。機械的強度、表面
硬度および経済性の観点からは、炭素鋼が好ましい。
アルミニウム合金、純銅および銅合金、鉄および鉄合
金、真鍮、タングステン、青銅あるいはクロム鍍金を施
した前述材質のロールを採用できる。機械的強度、表面
硬度および経済性の観点からは、炭素鋼が好ましい。
【0024】冷却ロール4の表面形状は急冷合金5の表
面に転写されるため、ロール表面の粗度は、中心線粗さ
Ra≦0.8μm、最大高さRmax≦3.2μm、1
0点の平均細さRz≦3.2μmであることが好まし
い。
面に転写されるため、ロール表面の粗度は、中心線粗さ
Ra≦0.8μm、最大高さRmax≦3.2μm、1
0点の平均細さRz≦3.2μmであることが好まし
い。
【0025】なお、ロール4の材質として炭素鋼を選ん
だ場合、ロール表面速度が1m/秒を下回ると、十分な
溶湯冷却が得られず、150nm以上の粗大なα−Fe
が急冷合金中に析出するため好ましくない。また、ロー
ル表面速度が8m/秒を超えると、溶湯がロールに巻き
付くため溶湯急冷が行えない。従って、ロール表面速度
は1m/秒以上8m/秒以下の範囲内にあることが好ま
しい。ロール表面速度のより好ましい範囲は2m/秒以
上7m/秒以下である。
だ場合、ロール表面速度が1m/秒を下回ると、十分な
溶湯冷却が得られず、150nm以上の粗大なα−Fe
が急冷合金中に析出するため好ましくない。また、ロー
ル表面速度が8m/秒を超えると、溶湯がロールに巻き
付くため溶湯急冷が行えない。従って、ロール表面速度
は1m/秒以上8m/秒以下の範囲内にあることが好ま
しい。ロール表面速度のより好ましい範囲は2m/秒以
上7m/秒以下である。
【0026】双ロール間距離は、前述したように、溶湯
の冷却状態に大きく影響する。ロール間距離が0.01
mm以下の場合、溶湯冷却が双ロールの最近接部で完了
するため、双ロール間から急冷合金が排出されなくなっ
てしまう。逆に、0.2mm以上になると、溶湯が冷却
ロールに触れること無く双ロール間をすり抜けるため、
溶湯が冷却されない。以上から、双ロール間距離は0.
01mm〜0.2mmが好ましい。ロール間距離の更に
好ましい範囲は、0.03〜0.15mmである。な
お、本発明では、過冷却状態の合金(金属ガラス)がロ
ール間を通過するため、冷却ロールと合金との間に大き
な圧力が生じることはない。
の冷却状態に大きく影響する。ロール間距離が0.01
mm以下の場合、溶湯冷却が双ロールの最近接部で完了
するため、双ロール間から急冷合金が排出されなくなっ
てしまう。逆に、0.2mm以上になると、溶湯が冷却
ロールに触れること無く双ロール間をすり抜けるため、
溶湯が冷却されない。以上から、双ロール間距離は0.
01mm〜0.2mmが好ましい。ロール間距離の更に
好ましい範囲は、0.03〜0.15mmである。な
お、本発明では、過冷却状態の合金(金属ガラス)がロ
ール間を通過するため、冷却ロールと合金との間に大き
な圧力が生じることはない。
【0027】図示されている例におけるノズル3の先端
位置は、ロール間の中心位置から一対のロールの一方側
に数mm程度はシフトしている。その結果、ノズル3か
ら出た合金溶湯1は、一方のロールと接触し、その後、
ロール間で湯溜まり(パドル)を形成する。ノズル3の
先端位置をロール間中心に一致させると、ノズル3から
出た溶湯1がロールに接触することなく、ロール間隔を
すり抜けるため、溶湯の急速冷却を実行できなくなる。
このため、ノズル3の先端位置は、ロール間の中心位置
から一方のロール側にシフトしていることが好ましい。
位置は、ロール間の中心位置から一対のロールの一方側
に数mm程度はシフトしている。その結果、ノズル3か
ら出た合金溶湯1は、一方のロールと接触し、その後、
ロール間で湯溜まり(パドル)を形成する。ノズル3の
先端位置をロール間中心に一致させると、ノズル3から
出た溶湯1がロールに接触することなく、ロール間隔を
すり抜けるため、溶湯の急速冷却を実行できなくなる。
このため、ノズル3の先端位置は、ロール間の中心位置
から一方のロール側にシフトしていることが好ましい。
【0028】急冷合金5が完全に凝固した段階で、アモ
ルファス組織、または、アモルファスと微細結晶とが混
在する組織を有する場合は、急冷合金5に対して結晶化
のための熱処理を行なう必要がある。このような熱処理
の温度は550℃〜850℃の範囲にあることが好まし
く、600℃〜800℃の範囲内にあることが更に好ま
しい。熱処理温度が550度を下回ると、保磁力の発現
に必要なR2Fe14B型化合物が充分に析出せず、永久
磁石特性が発揮されない。また、熱処理温度が850℃
を超えると、R1Fe4B4型化合物などの平衡相が析出
するため、硬磁気特性が得られない。熱処理雰囲気は、
合金の酸化を防止するため、50kPa以下のArガス
やN2ガスなどの不活性ガスが好ましい。0.1kPa
以下の真空中で熱処理を行っても良い。
ルファス組織、または、アモルファスと微細結晶とが混
在する組織を有する場合は、急冷合金5に対して結晶化
のための熱処理を行なう必要がある。このような熱処理
の温度は550℃〜850℃の範囲にあることが好まし
く、600℃〜800℃の範囲内にあることが更に好ま
しい。熱処理温度が550度を下回ると、保磁力の発現
に必要なR2Fe14B型化合物が充分に析出せず、永久
磁石特性が発揮されない。また、熱処理温度が850℃
を超えると、R1Fe4B4型化合物などの平衡相が析出
するため、硬磁気特性が得られない。熱処理雰囲気は、
合金の酸化を防止するため、50kPa以下のArガス
やN2ガスなどの不活性ガスが好ましい。0.1kPa
以下の真空中で熱処理を行っても良い。
【0029】熱処理前の急冷合金中には、Nd2Fe14
B型化合物相やアモルファス相以外に、Fe3B相、F
e23B6、およびR2Fe23B3相等の準安定相が含まれ
ていても良い。その場合、熱処理によって、R2Fe23
B3相は消失し、R2Fe14B相の飽和磁化と同等、また
は、それよりも高い飽和磁化を示す鉄基硼化物(例えば
Fe23B6)やα−Feを結晶成長させることができ
る。また、最終的にα−Feのような軟磁性相が存在し
ていても、軟磁性相と硬磁性相とが交換相互作用によっ
て磁気的に結合するため、優れた磁気特性が発揮され
る。
B型化合物相やアモルファス相以外に、Fe3B相、F
e23B6、およびR2Fe23B3相等の準安定相が含まれ
ていても良い。その場合、熱処理によって、R2Fe23
B3相は消失し、R2Fe14B相の飽和磁化と同等、また
は、それよりも高い飽和磁化を示す鉄基硼化物(例えば
Fe23B6)やα−Feを結晶成長させることができ
る。また、最終的にα−Feのような軟磁性相が存在し
ていても、軟磁性相と硬磁性相とが交換相互作用によっ
て磁気的に結合するため、優れた磁気特性が発揮され
る。
【0030】本発明による薄板状磁石合金の金属組織
は、平均結晶粒径が1nm〜150nmの鉄および鉄基
ホウ化物の軟磁性相と、平均結晶粒径1nm〜150n
mのR 2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性化合物相が
混在するナノコンポジット構造を有しており、硬磁性化
合物相は異方化している。各構成相の平均結晶粒径が1
50nmを超えると、各粒子間の交換結合が弱まり、硬
磁性相と軟磁性相が磁気的に分離するため、減磁曲線が
二段になるので好ましくない。平均結晶粒径は小さいほ
ど好ましいが、1nm未満の平均結晶粒径を得再現性良
く得ることは工業生産上困難である。
は、平均結晶粒径が1nm〜150nmの鉄および鉄基
ホウ化物の軟磁性相と、平均結晶粒径1nm〜150n
mのR 2Fe14B型結晶構造を有する硬磁性化合物相が
混在するナノコンポジット構造を有しており、硬磁性化
合物相は異方化している。各構成相の平均結晶粒径が1
50nmを超えると、各粒子間の交換結合が弱まり、硬
磁性相と軟磁性相が磁気的に分離するため、減磁曲線が
二段になるので好ましくない。平均結晶粒径は小さいほ
ど好ましいが、1nm未満の平均結晶粒径を得再現性良
く得ることは工業生産上困難である。
【0031】本発明の薄板状磁石は、超音波加工法など
によって所定の形状(例えば直径3mm、厚さ250μ
m)に打ちぬき加工することが可能である。本発明によ
る薄板状磁石は、その平均厚さが150〜300μmで
あり、また、幅も数mm以上ある(例えば8〜10m
m)ため、従来の焼結磁石やボンド磁石では実現できな
かった微小薄肉磁石を提供することが可能になる。
によって所定の形状(例えば直径3mm、厚さ250μ
m)に打ちぬき加工することが可能である。本発明によ
る薄板状磁石は、その平均厚さが150〜300μmで
あり、また、幅も数mm以上ある(例えば8〜10m
m)ため、従来の焼結磁石やボンド磁石では実現できな
かった微小薄肉磁石を提供することが可能になる。
【0032】このような薄板状磁石を量産するために
は、急冷合金の厚さを均一かつ平坦にする必要がある。
双ロール法の場合は、単ロール法に比べて、急冷合金を
厚く、かつ均一に形成しやすい。しかし、双ロール法に
よる場合でも、冷却ロールが熱膨張すると、双ロール間
距離が変化するため、急冷合金の厚さが変動してしまう
可能性がある。これを防止するためには、冷却ロール内
に水冷装置などを設けるなどして、熱膨張によるロール
間距離の変動を抑制することが好ましい。
は、急冷合金の厚さを均一かつ平坦にする必要がある。
双ロール法の場合は、単ロール法に比べて、急冷合金を
厚く、かつ均一に形成しやすい。しかし、双ロール法に
よる場合でも、冷却ロールが熱膨張すると、双ロール間
距離が変化するため、急冷合金の厚さが変動してしまう
可能性がある。これを防止するためには、冷却ロール内
に水冷装置などを設けるなどして、熱膨張によるロール
間距離の変動を抑制することが好ましい。
【0033】本発明によれば、急冷合金を粉砕して磁石
合金の粉末を作製する工程、および磁石合金粉末を成形
する工程が不要となる。
合金の粉末を作製する工程、および磁石合金粉末を成形
する工程が不要となる。
【0034】[組成の限定理由]Rは、希土類元素(イ
ットリウムを含む)の群から選択された1種以上の元素
である。より具体的には、Rは、PrまたはNdを必須
元素として含むことが好ましく、その必須元素の一部を
Dyおよび/またはTbで置換してもよい。Rの組成比
率yが全体の2原子%を下回ると、保磁力の発現に必要
なR2Fe14B型結晶構造を有する化合物相が充分に析
出しなくなる。また、Rの組成比率yが15原子%を超
えると、強磁性を有する鉄基硼化物やα−Feの存在量
が低下し、これらが残留磁束密度Brの向上に寄与しな
くなる。故に、希土類元素Rの組成比率yは2原子%以
上15原子%以下の範囲に調節することが好ましく、3
原子%以上10原子%未満であることがより好ましく、
4原子%以上9.2原子%以下であることが更に好まし
い。
ットリウムを含む)の群から選択された1種以上の元素
である。より具体的には、Rは、PrまたはNdを必須
元素として含むことが好ましく、その必須元素の一部を
Dyおよび/またはTbで置換してもよい。Rの組成比
率yが全体の2原子%を下回ると、保磁力の発現に必要
なR2Fe14B型結晶構造を有する化合物相が充分に析
出しなくなる。また、Rの組成比率yが15原子%を超
えると、強磁性を有する鉄基硼化物やα−Feの存在量
が低下し、これらが残留磁束密度Brの向上に寄与しな
くなる。故に、希土類元素Rの組成比率yは2原子%以
上15原子%以下の範囲に調節することが好ましく、3
原子%以上10原子%未満であることがより好ましく、
4原子%以上9.2原子%以下であることが更に好まし
い。
【0035】Qは、その全量がB(ホウ素)から構成さ
れるか、または、BおよびC(炭素)の組み合わせもし
くはC単独から構成される。Qの組成比率xが10原子
%を下回ると、双ロール法で過冷却状態のまま合金を排
出することができず、平滑性の高い急冷合金が得られな
い。一方、Qの組成比率xが30原子%を超えると、R
2Fe14B型化合物相が析出せず、硬磁気特性が得られ
ない。以上のことから、Qの組成比率xは10原子%以
上、30原子%以下となるように設定することが好まし
い。Qの組成比率xの更に好ましい範囲は、10原子%
以上20原子%以下であり、更にさらに好ましい範囲は
10.5原子%以上20原子%以下である。
れるか、または、BおよびC(炭素)の組み合わせもし
くはC単独から構成される。Qの組成比率xが10原子
%を下回ると、双ロール法で過冷却状態のまま合金を排
出することができず、平滑性の高い急冷合金が得られな
い。一方、Qの組成比率xが30原子%を超えると、R
2Fe14B型化合物相が析出せず、硬磁気特性が得られ
ない。以上のことから、Qの組成比率xは10原子%以
上、30原子%以下となるように設定することが好まし
い。Qの組成比率xの更に好ましい範囲は、10原子%
以上20原子%以下であり、更にさらに好ましい範囲は
10.5原子%以上20原子%以下である。
【0036】Feは、上述の元素の含有残余を占める
が、Feの一部をCoおよびNiの一種または二種の遷
移金属元素Tで置換しても所望の硬磁気特性を得ること
ができる。Feに対するTの置換量mが50%を超える
と、高い残留磁束密度Brが得られない。このため、置
換量mは0%以上50%以下の範囲に限定することが好
ましい。なお、Feの一部をCoで置換することによっ
て、減磁曲線の角形性が向上するとともに、R2Fe14
B相のキュリー温度が上昇するため、耐熱性が向上す
る。CoによるFe置換量の好ましい範囲は、0.5%
以上15%以下である。
が、Feの一部をCoおよびNiの一種または二種の遷
移金属元素Tで置換しても所望の硬磁気特性を得ること
ができる。Feに対するTの置換量mが50%を超える
と、高い残留磁束密度Brが得られない。このため、置
換量mは0%以上50%以下の範囲に限定することが好
ましい。なお、Feの一部をCoで置換することによっ
て、減磁曲線の角形性が向上するとともに、R2Fe14
B相のキュリー温度が上昇するため、耐熱性が向上す
る。CoによるFe置換量の好ましい範囲は、0.5%
以上15%以下である。
【0037】Mは、Al、Si、Ti、V、Cr、M
n、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、H
f、Ta、W、Pt、Au、Pbの1種または2種以上
の元素である。元素Mを添加することにより、磁気特性
が向上するだけでなく、最適熱処理温度域を拡大する効
果が得られる。元素Mの添加量zが10原子%を超える
と、磁化の低下を招くため、zは0原子%〜10原子%
の範囲にあることが好ましい。zの更に好ましい範囲
は、0.1原子%〜5原子%である。
n、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、H
f、Ta、W、Pt、Au、Pbの1種または2種以上
の元素である。元素Mを添加することにより、磁気特性
が向上するだけでなく、最適熱処理温度域を拡大する効
果が得られる。元素Mの添加量zが10原子%を超える
と、磁化の低下を招くため、zは0原子%〜10原子%
の範囲にあることが好ましい。zの更に好ましい範囲
は、0.1原子%〜5原子%である。
【0038】
【実施例】本実施例では、下記の表1に示す合金組成と
なるように配合した原料30gを溶融し、図1に示す双
ロール装置で急冷した。具体的には、底部に直径1.0
mmのオリフィスを有する透明石英製ノズル3内に原料
を入れ、高周波誘導加熱コイル2で原料を加熱し、溶融
した。
なるように配合した原料30gを溶融し、図1に示す双
ロール装置で急冷した。具体的には、底部に直径1.0
mmのオリフィスを有する透明石英製ノズル3内に原料
を入れ、高周波誘導加熱コイル2で原料を加熱し、溶融
した。
【0039】
【表1】
【0040】その後、表1に示す急冷雰囲気圧のもと、
30kPaの噴射圧力にてノズル3から合金溶湯1を流
下させ、回転する二つの炭素鋼製急冷ロール(直径15
0mm)4の間で急冷し、急冷合金5を作製した。ロー
ル間距離およびロール表面速度は、表1に示す通りであ
る。
30kPaの噴射圧力にてノズル3から合金溶湯1を流
下させ、回転する二つの炭素鋼製急冷ロール(直径15
0mm)4の間で急冷し、急冷合金5を作製した。ロー
ル間距離およびロール表面速度は、表1に示す通りであ
る。
【0041】こうして得られた急冷合金の厚さ、幅、お
よび長さを以下の表2に示す。表2には、結晶化熱処理
後の磁気特性も示している。
よび長さを以下の表2に示す。表2には、結晶化熱処理
後の磁気特性も示している。
【0042】
【表2】
【0043】得られた薄板状磁石の構成相を粉末X線回
折により調査したところ、試料No1〜3は、Fe3B
とNd2Fe14Bの混合組織(Fe3B/Nd2Fe
14B)を有していることがわかった。試料No4は、α
−FeとNd2Fe14Bの組織(α−Fe/Nd2Fe14
B)を有していた。試料No5〜7は、Nd2Fe
14B、Fe23B6、およびα−Feが混在する合金組織
(Fe23B6/Nd2Fe14B/α−Fe)を有してい
た。なお、透過型電子顕微鏡によって各試料の結晶サイ
ズを観察したところ、何れの試料でも平均結晶粒径は1
00nm以下であり、ナノコンポジット磁石が作製され
ていた。
折により調査したところ、試料No1〜3は、Fe3B
とNd2Fe14Bの混合組織(Fe3B/Nd2Fe
14B)を有していることがわかった。試料No4は、α
−FeとNd2Fe14Bの組織(α−Fe/Nd2Fe14
B)を有していた。試料No5〜7は、Nd2Fe
14B、Fe23B6、およびα−Feが混在する合金組織
(Fe23B6/Nd2Fe14B/α−Fe)を有してい
た。なお、透過型電子顕微鏡によって各試料の結晶サイ
ズを観察したところ、何れの試料でも平均結晶粒径は1
00nm以下であり、ナノコンポジット磁石が作製され
ていた。
【0044】本発明によるFe3B/Nd2Fe14B系磁
石の特性を、他の種類の磁石特性とともに図2に示す。
図2の縦軸は残留磁束密度Br(単位:T(テスラ))
であり、横軸は保磁力HcJ(単位:MA/m)である。
図2からわかるように、本発明によれば、焼結磁石(商
品名NEOMAX)と同レベルの残留磁束密度Brを持
つ超小型磁石が得られる。
石の特性を、他の種類の磁石特性とともに図2に示す。
図2の縦軸は残留磁束密度Br(単位:T(テスラ))
であり、横軸は保磁力HcJ(単位:MA/m)である。
図2からわかるように、本発明によれば、焼結磁石(商
品名NEOMAX)と同レベルの残留磁束密度Brを持
つ超小型磁石が得られる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、双ロール間距離を適切
な範囲に設定することで過冷却状態の合金を双ロール間
から排出させ、それによって優れた磁石特性を発揮する
板状磁石合金の製造が可能になる。本発明による薄板状
磁石合金は、切削や研磨加工を施さない状態での平均厚
さが100μm〜300μmであり、しかも、樹脂など
を含まないフルデンス磁石である。このため、本発明の
薄板状磁石は、超小型ステッピングモータのロータや、
携帯電話の振動呼び出し機構に用いられる永久磁石とし
て最適である。
な範囲に設定することで過冷却状態の合金を双ロール間
から排出させ、それによって優れた磁石特性を発揮する
板状磁石合金の製造が可能になる。本発明による薄板状
磁石合金は、切削や研磨加工を施さない状態での平均厚
さが100μm〜300μmであり、しかも、樹脂など
を含まないフルデンス磁石である。このため、本発明の
薄板状磁石は、超小型ステッピングモータのロータや、
携帯電話の振動呼び出し機構に用いられる永久磁石とし
て最適である。
【図1】本発明で用いる双ロール液体急冷装置の構成例
を示す断面図である。
を示す断面図である。
【図2】本発明によるFe3B/Nd2Fe14B系磁石の
特性、および他の種類の磁石特性を示すグラフである。
縦軸は残留磁束密度Br(単位:T)、横軸は保磁力Hc
J(単位:MA/m)を示す。
特性、および他の種類の磁石特性を示すグラフである。
縦軸は残留磁束密度Br(単位:T)、横軸は保磁力Hc
J(単位:MA/m)を示す。
1 合金溶湯 2 高周波コイル 3 ノズル 4 冷却ロール 5 急冷合金
Claims (7)
- 【請求項1】 組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQxR
yMz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1
種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択され
た1種以上の元素、RはY(イットリウム)および希土
類金属からなる群から選択された1種以上の元素、M
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、P
t、Au、およびPbからなる群から選択された1種以
上の元素)で表現され、組成比率x、y、z、およびm
が、それぞれ、 10≦x≦30原子%、 2≦y≦15原子%、 0≦z≦10原子%、および 0≦m≦0.5、 を満足する合金の溶湯を用意する工程と、 前記溶湯を双ロール急冷法によって凝固させ、厚さ10
0μm以上300μm未満の急冷合金を作製する工程
と、を含む急冷凝固合金の製造方法。 - 【請求項2】 前記合金急冷合金を作製する工程では、 0.01mm以上0.2mm未満のロール間距離で配置
された前記双ロールに対して前記溶湯を接触させ、それ
によって前記溶湯を急冷し、過冷却液体状態の急冷合金
を前記双ロールの間から排出することを特徴とする請求
項1に記載の急冷合金の製造方法。 - 【請求項3】 前記溶湯の急冷を70kPa以下の雰囲
気圧下で行なうことを特徴とする請求項1または2に記
載の急冷合金の製造方法。 - 【請求項4】 前記双ロールの回転表面速度を表面速度
1m/秒以上8m/秒未満とする請求項1から3のいず
れかに記載の急冷合金の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の急冷
凝固合金の製造方法によって作製された急冷合金を用意
する工程と、 前記急冷合金に熱処理を施すことにより、R2Fe14B
型化合物、鉄、および鉄系ホウ化物相の平均結晶粒径を
1nm以上150nm未満とする工程と、 を含む薄板状磁石合金の製造方法。 - 【請求項6】 前記熱処理工程で、前記急冷合金を55
0℃以上850℃以下の温度で30秒以上保持すること
を特徴とする請求項5に記載の薄板状磁石合金の製造方
法。 - 【請求項7】 組成式が(Fe1-mTm)100-x-y-zQxR
yMz(TはCoおよびNiからなる群から選択された1
種以上の元素、QはBおよびCからなる群から選択され
た1種以上の元素、RはY(イットリウム)および希土
類金属からなる群から選択された1種以上の元素、M
は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、
Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、Hf、Ta、W、P
t、Au、およびPbからなる群から選択された1種以
上の元素)で表現され、組成比率x、y、z、およびm
が、それぞれ、 10≦x≦30原子%、 2≦y≦15原子%、 0≦z≦10原子%、および 0≦m≦0.5、 を満足する薄板状磁石合金であって、 前記磁石合金の平均厚さは100μm以上300μm未
満であり、 構成相として、R2Fe14B型化合物、鉄、および鉄系
ホウ化物を含み、前記構成相の平均結晶粒径が1nm以
上150nm未満である薄板状磁石合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001032628A JP2002239688A (ja) | 2001-02-08 | 2001-02-08 | 薄板状磁石合金およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001032628A JP2002239688A (ja) | 2001-02-08 | 2001-02-08 | 薄板状磁石合金およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002239688A true JP2002239688A (ja) | 2002-08-27 |
Family
ID=18896517
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001032628A Pending JP2002239688A (ja) | 2001-02-08 | 2001-02-08 | 薄板状磁石合金およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002239688A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7261781B2 (en) * | 2001-11-22 | 2007-08-28 | Neomax Co., Ltd. | Nanocomposite magnet |
CN107527715A (zh) * | 2017-08-16 | 2017-12-29 | 贵州鑫湄纳米科技有限公司 | 一种零序电流互感器及其制备方法 |
CN108109800A (zh) * | 2017-12-13 | 2018-06-01 | 绵阳市吉富精密机械有限公司 | 一种低损耗的节能磁性材料的制备方法 |
CN111644580A (zh) * | 2020-06-29 | 2020-09-11 | 福建省长汀金龙稀土有限公司 | 一种钕铁硼材料、其制备方法和应用 |
-
2001
- 2001-02-08 JP JP2001032628A patent/JP2002239688A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7261781B2 (en) * | 2001-11-22 | 2007-08-28 | Neomax Co., Ltd. | Nanocomposite magnet |
CN107527715A (zh) * | 2017-08-16 | 2017-12-29 | 贵州鑫湄纳米科技有限公司 | 一种零序电流互感器及其制备方法 |
CN108109800A (zh) * | 2017-12-13 | 2018-06-01 | 绵阳市吉富精密机械有限公司 | 一种低损耗的节能磁性材料的制备方法 |
CN111644580A (zh) * | 2020-06-29 | 2020-09-11 | 福建省长汀金龙稀土有限公司 | 一种钕铁硼材料、其制备方法和应用 |
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