JPH1171465A - 複合材料 - Google Patents

複合材料

Info

Publication number
JPH1171465A
JPH1171465A JP16782598A JP16782598A JPH1171465A JP H1171465 A JPH1171465 A JP H1171465A JP 16782598 A JP16782598 A JP 16782598A JP 16782598 A JP16782598 A JP 16782598A JP H1171465 A JPH1171465 A JP H1171465A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clay mineral
composite material
resin
polymer
monomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP16782598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3075709B2 (ja
Inventor
Arimitsu Usuki
有光 臼杵
Tadashi Mizutani
義 水谷
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Norio Kurauchi
紀雄 倉内
Osami Uegakito
修己 上垣外
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP10167825A priority Critical patent/JP3075709B2/ja
Publication of JPH1171465A publication Critical patent/JPH1171465A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3075709B2 publication Critical patent/JP3075709B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度および耐熱性に優れた複合材料を
提供する。 【解決手段】 ビニル系高分子化合物を含む樹脂と、該
樹脂中に分子状に分散した層状の粘土鉱物とからなり、
該粘土鉱物は、層厚さが7〜12Åで層間距離が30Å
以上であり、樹脂100重量部に対して0.5〜150
重量部含有した複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械的強度及び耐
熱性に優れ、自動車用部品、航空機用部品、建築用材料
等に応用することができる複合材料に関するものであ
り、更に詳しくはビニル系高分子化合物を含む樹脂組成
物と層状の粘土鉱物とがイオン結合を介して互いに結合
し、それらが均一に混合されてなる複合材料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機高分子材料の機械的特性
を改善する目的で、炭酸カルシウムや粘土鉱物、雲母等
の無機質材料の添加・混合が検討されている。しかし、
これらの無機質材料は、添加・混合した場合、有機高分
子材料中での有機高分子母相との間の結合が非常に弱い
ため、添加による脆化等多くの問題があり、また、無機
質材料の添加量にも限界がある。この無機質材料と高分
子材料との結合を強くする目的で、該無機質材料のシラ
ンカップリング剤による処理等が知られている。しか
し、これらの方法により得られる有機高分子材料と無機
質材料との結合は、フアンデルワールス結合によるもの
であって、両者の間のなじみを良くする程度であり、補
強効果や耐熱性改善のためには充分のものとすることは
できない。
【0003】これらの問題を解決すべく、本出願人は、
先に、ポリアミドを含む樹脂と該ポリアミド中に分散し
たアスペクト比の平均が5以上のひる石薄片とよりなる
「ポリアミドを含む樹脂組成物」(特開昭57−835
51号公報)を出願した。この組成物は、樹脂中にアス
ペクト比(粒子の大きさ/厚さ)の大きいひる石薄片を
混入させることにより、有機高分子材料の機械的強度を
向上させようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この樹
脂組成物は、従来のものに比して確かに機械的強度が向
上したが、ひる石薄片を得るために機械的粉砕を必要と
するため、充分なアスペクト比が得られない。しかも、
鉱物層と母相との結合力が弱いため、必要な強度を得る
ためには、脆化を犠牲にして添加量を多くする必要があ
った。
【0005】また、粘土鉱物の相間でポリアミドやポリ
スチレンなどの高分子を合成して複合材料を得ようとす
る試みがなされている(「高分子」,19,759,1
979;「工業材料」,25,「3」,58,197
7)。しかし,これまでの方法では、有機高分子鎖が充
分には粘土鉱物の層間に侵入しないため、この層間距離
を拡大することができず、珪酸塩層と有機高分子とが均
一に分散することはなかった。また、この様な場合に
は、層状鉱物のアスペクト比を小さくするので、機械的
強度向上には逆効果になる。更に、母相である高分子材
料と層間化合物との結合も充分ではないため、十分な補
強効果が得られなかった。
【0006】そこで、本発明者等は、上述の如き従来の
技術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実
験を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0007】本発明の目的は、機械的強度および耐熱性
に優れた複合材料を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の複合材料は、ビ
ニル系高分子化合物を含む樹脂と、該樹脂中に分子状に
分散した層状の粘土鉱物とからなり、該粘土鉱物は、層
厚さが7〜12Åで層間距離が30Å以上であり、樹脂
100重量部に対して0.5〜150重量部含有してな
ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成をより詳細
に説明する。本発明の複合材料における樹脂は、ビニル
系高分子化合物を含む樹脂であり、ビニル系高分子化合
物またはビニル系高分子化合物とそれ以外の高分子化合
物との混合物からなる樹脂である。ビニル系高分子化合
物とそれ以外の高分子化合物との混合物としては、混合
重合体の他、グラフト重合体、共重合体、ブロック重合
体等でもよい。
【0010】ここで、ビニル系高分子化合物とは、ビニ
ル基を有するモノマーの重合体の総称であり、一般式化
1で示されるものである。
【0011】
【化1】
【0012】(上記式中、R1 、R2 は、水素、ハロゲ
ン、アルキル基、アリール基、アリル基、あるいは置換
基であり、同一であっても異なってもよい。)
【0013】上記モノマーの具体的なものとしては、エ
チレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロ
プレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、
フッ化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、ジ
ビニルベンゼン、アクリル酸、アルリル酸メチル、アル
リル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸is
o −プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso
−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n
−プロピル、メタクリル酸iso −プロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸iso −ブチル、メタクリル
酸t−ブチル、アクリルアミド、メチルアクリルアミ
ド、エチルアクリルアミド、n−プロピルアクリルアミ
ド、iso−プロピルアクリルアミド、アクリロニトリ
ル、ビニルアルコール、ノルボルナジエン、N−ビニル
カルバゾール、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、1
−ブテン、イソブテン、シアン化ビニリデン、4−メチ
ルペンテン−1、酢酸ビニル、ビニルイソブチルエーテ
ル、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチ
ルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、フェニル
ビニルスルフィド、アクロレイン等が挙げられそれらの
うちの1種または2種以上を使用する。
【0014】上記ビニル系高分子化合物を含む樹脂は、
ビニル系高分子化合物を含む割合が多ければ多い程本発
明の効果が顕著であるが、その含有割合が10wt%で
あっても本発明の効果を奏することができる。
【0015】また、層状の粘土鉱物は、高分子材料に機
械的特性および耐熱性を付与するものであり、厚さが7
〜12Åの珪酸マグネシウム層または珪酸アルミニウム
層より形成される層状フイロ珪酸鉱物である。これらの
層状の粘土鉱物は、同形イオン置換等により負に帯電し
ている。この負電荷の密度や分布などによりその特性が
異なるが、本発明では、負電荷一価当たりの層表面の占
有面積が25〜200Å2 の層状粘土鉱物であることが
好ましい。
【0016】本発明の複合材料は、上述したビニル系高
分子化合物を含む樹脂と、該樹脂中に分子状に分散させ
た層状の粘土鉱物とから成る。
【0017】ここで、ビニル系高分子化合物を含む樹脂
中の層状粘土鉱物の含有量は、樹脂100重量部に対し
て0.5〜150重量部であることが好ましい。これ
は、該含有量が0.5重量部未満の場合、層状粘土鉱物
が少なすぎるため充分な補強効果が得られないからであ
る。また、150重量部を越えた場合、樹脂成分が少な
いため層間化合物粉体が得られるに過ぎず、これを成形
体として利用することが困難だからである。
【0018】この複合材料は、層状粘土鉱物を構成する
珪酸塩層が樹脂中に均一に分子状に分散している。しか
も、樹脂と珪酸塩層とがイオン結合などの強い相互作用
により結合して樹脂が架橋した構造を有している。すな
わち、珪酸塩層が層と層との結合力(ファンデアワール
ス力、静電引力など)を越えて、一層ごとに完全に分離
して単独で存在し、かつその層が有する陰電荷と樹脂の
末端あるいは側鎖に有する陽電荷(オニウムイオン)が
イオン結合により結合している。
【0019】次に,本発明の複合材料を製造する方法に
ついて説明する。この製造方法は、陽イオン交換容量が
50〜200ミリ当量/100gの層状の粘土鉱物と、
下記式化2で示される末端にビニル基を有するオニウム
塩によりイオン交換するイオン交換工程と、該イオン交
換された粘土鉱物とビニル系高分子化合物のモノマーと
を混合する混合工程と、該混合物中の上記モノマーを重
合させる重合工程とからなる。
【0020】
【化2】
【0021】(R3 は水素原子、アルキル基、アリール
基、アリル基、R4 はアルキレン基、アリレン基、主鎖
または側鎖にカルボニル基、カルボキシル基、チオカル
ボニル基を有するもの、R5 、R6 、R7 は水素原子、
アルキル基、アリール基、アリル基、置換基のついたの
であり、同一でも異なってもよい。Mは、N、S、P、
化3である。)
【0022】
【化3】
【0023】先ず、陽イオン交換容量が50〜200ミ
リ当量/100gの層状の粘土鉱物を、上記に示した末
端にビニル基を有するオニウム塩を用いてイオン交換す
る(イオン交換工程)。これにより,粘土鉱物中の交換
性無機イオンは有機オニウムイオンに交換される。
【0024】ここで、このイオン交換方法としては、以
下のような方法等がある。先ず、粘土鉱物を水に浸漬
し、ミキサーなどにより均一に分散させた後、他に用意
された上記末端にビニル基を有するオニウム塩の水溶液
を上記水溶液に滴下する。これを濾過し、純水により数
回洗浄して未反応のオニウム塩を除去し、その後凍結乾
燥することによりイオン交換された粘土鉱物を得る。
【0025】また、粘土鉱物は、陽イオンの交換容量が
50〜200ミリ当量/100gと、反応させるモノマ
ーとの接触面積が大きい粘土鉱物である。具体的には、
モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノント
ロナイト、ヘクトライト、スティブンサント等のスメク
タイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイトな
どがあり、天然のものでも合成されたものでもよい。こ
こで,陽イオン交換容量を50〜200ミリ当量/10
0gとしたのは,該容量が200ミリ当量/100gを
越えた場合、その鉱物の層間の結合力が強固なため本発
明の目的とする複合材料を得ることが困難となるからで
ある。また,50ミリ当量/100g未満の場合、有機
オニウムイオンによるイオン交換が充分に行えず、本発
明の目的とする複合材料の合成が困難となるからであ
る。なお、この粘土鉱物は、ミキサー、ボールミル、振
動ミル、ピンミル、ジェットミル等を用いて粉砕し、予
め所望の形状・大きさのものとしておくことが好まし
い。
【0026】更に、オニウム塩は、上記末端にビニル基
を有するものを用いる。このオニウム塩は、粘土鉱物中
の無機イオンとイオン交換することにより、粘土鉱物の
層間を拡げる役割、粘土鉱物の層間にポリマーを取り込
む力を与える役割及びポリマーと粘土鉱物の層とをイオ
ン結合させる役割を有するものである。
【0027】該オニウム塩としては、アンモニウム塩、
ピリジニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩が挙
げられ、一般式が化4で表されるものである(R3 は水
素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、R4 はメ
チレン基、エチレン基などのアルキレン基、フェニレン
基などのアリレン基、主鎖または側鎖にカルボニル基、
カルボキシル基、チオカルボニル基を有するもの、R
5 、R6 、R7 は水素原子、アルキル基、アリール基、
アリル基、置換基のついたものであり、同一でも異なっ
てもよい。Mは、N、S、P、化3である。)。しかし
て、上記オニウム塩は、それらのうちの1種または2種
以上を用いる。
【0028】
【化4】
【0029】つぎに、前記イオン交換工程によりイオン
交換された粘土鉱物とビニル系高分子化合物のモノマー
とを混合する(混合工程)。
【0030】ここで、ビニル系高分子化合物のモノマー
は、重合後、ビニル系高分子化合物とそれ以外の重合体
との混合物になる原料であり、複合材料の基体をなすも
のである。該モノマーとしては、前記に示したごとく、
エチレン、プロピレン等のビニル基を有するものであ
る。
【0031】また、上記粘土鉱物とビニル系高分子化合
物のモノマーとしての混合は、自動乳鉢や振動ミル等に
よる機械的混合により行う。
【0032】この混合により、上記粘土鉱物がビニル系
高分子化合物のモノマー中において分散した混合物とな
る。
【0033】次に、前記混合工程で得られた混合物中の
ビニル系高分子化合物のモノマーを重合し複合材料を得
る(重合工程)。
【0034】この重合は、前記混合物そのままで行って
もよいが、該混合物を極性溶媒中に分散させて行っても
よい。
【0035】上記極性溶媒としては、水、石油エーテ
ル、二硫化炭素、四塩化炭素、グリセリン、トルエン、
アニリン、ベンゼン、クロロホルム、N,N’−ジメチ
ルホルムアミド、フェノール、テトラヒドロフラン、ア
セトン、プロピレンカーボネート、酢酸、メタノール、
エタノール、プロパノール、メチルエチルケトン、ピリ
ジン、ベンゾニトリル、アセトニトリル、ジメチルスル
ホキシド、ニトロベンゼン、ニトロメタン等が挙げら
れ、それらのうちの1種または2種以上を用いる。
【0036】上記の重合は、前記混合物に重合開始剤あ
るいは熱や光を加える等により行う。また、重合の種類
は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位
重合、重縮合重合等、どのような重合方法でもよく、そ
れぞれの重合形式に適した開始剤を用いればよい。
【0037】この製造方法では、交換性カチオンを有す
る層状鉱物において高分子を構成する基本単位となるユ
ニット分子をその層間に結合させておき、高分子を重合
させるのが原理となる。これにより、層状鉱物の層間に
おいて重合が進行し、その重合のエネルギーで層間が広
がり、鉱物層が高分子と結合すると共に、高分子中で均
一に分散した複合材料が得られる。
【0038】以上の様にして得られた複合材料は、直接
射出成形や加熱加圧成形などで成形して利用してもよい
し、予め他の高分子と混合して所定の混合割合としても
よい。また、上記の重合反応を所定の型中で進行させて
成形体を得てもよい。
【0039】上記製造方法は、イオン交換工程−混合工
程−重合工程により補強性に優れた複合材料を得ること
ができ、重合後に更に加熱溶融処理等の強度向上処理を
行うことを要せず、経済的かつ効果的である。
【0040】更に、上記の方法により得られた複合材料
は、機械的強度および耐熱性に優れた複合材料である。
【0041】すなわち、上記の製造方法によれば上記の
ような優れた複合材料が得られるというばかりではな
く、従来の複合材料製造の工程を省くことができ、経済
的かつ効果的に製造することが可能となる。すなわち、
(1)重合過程で複合化ができるため、鉱物の表面処理
や混合の工程が省略できる。(2)化学反応を利用し
て、粘土鉱物の層を分散させるため、粘土鉱物の粉砕や
混合方法が簡略化でき、しかも粉砕のしすぎのためのア
スペクト比の低下もない。(3)粘土鉱物はポリビニル
系高分子化合物のモノマーやポリマーを変質させること
はなく保存安定性に優れているので、モノマーと予め混
合したままでも、重合後のポリマーと複合体の形でも保
存や輸送が可能である。
【0042】
【発明の効果】本発明の複合材料は、機械的強度および
耐熱性に優れた複合材料である。
【0043】この様に、本発明にかかる複合材料がかか
る効果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも
明らかではないが、次の様に考えられる。
【0044】即ち、本発明の複合材料は、ポリビニル系
高分子化合物の分子鎖が層状の粘土鉱物とのイオン結合
により橋かけされた構造を有するため、熱的あるいは機
械的に変形させることが困難である。そのために引っ張
り強度や弾性率などの機械的性質、軟化温度や高温強度
などの耐熱特性が優れている。
【0045】また層状の無機質物質が均一に分散してい
るため寸法安定性、耐摩耗性、表面潤滑性、耐水性に優
れている。また、無機層状物質である粘土鉱物が10Å
という分子レベルの厚さの単位で分散し、しかも有機分
子鎖と強く結合しているため、従来の無機質による複合
材料にみられるような脆化のような悪影響を残すことも
ない。
【0046】また、高分子鎖に粘土鉱物の層がイオン結
合して分散しているために、高温域では高分子鎖のから
み合いが増大し、ゴム状態での弾性率が向上する。
【0047】更に、層間にとり込まれた高分子鎖は粘土
鉱物の層による遮蔽効果のために、熱の伝達、あるいは
クラックの伝搬から保護され、瞬間的にかなりの高温あ
るいは応力にも耐えうる材料である。
【0048】このように、本発明の複合材料は、高温領
域での機械的特性が向上しており、自動車用部品、航空
機用部品、建築用材料等として使用することができる。
【0049】更に、溶融粘度及び溶液粘度が向上してお
り、増粘剤、塗料の分散剤、グリース等としても使用す
ることができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 (実施例1)粘土鉱物としてクニミネ工業製「クニピア
F」(高純度Na型モンモリロナイト:層厚さ9.6
Å)を用い、末端にビニル基を有するアンモニウム塩と
して化5で表されるものを用いた。両者を水中で撹拌・
混合することにより、上記粘土鉱物をイオン交換した。
【0051】
【化5】
【0052】このイオン交換した粘土鉱物5重量部を
N,N’−ジメチルホルムアミド中に分散させ、これに
ビニル系高分子化合物モノマーとしてのメチルメタクリ
レート(MMA)100重量部と、ラジカル重合開始剤
としての過硫酸カリウム0.5重量部と、水10重量部
を添加し、60℃において5時間加熱撹拌した。
【0053】得られた粘稠な液体からジメチルホルムア
ミドをできるだけ除去した後、これをメタノール中に滴
下し、ポリメチルメタクリレートの再沈を行った。
【0054】得られたポリマーは、IR、NMR、元素
分析により、ポリメチルメタクリレート中にモンモリロ
ナイトを5.7%含有した複合材料であることが判明し
た。X線回折の結果はモンモリロナイトのd(001)
面が完全に消失し、ポリマー中へモンモリロナイトの一
層一層が均一に分散していることを示していた。GPC
(ゲル浸透クロマトグラム)による分子量測定では、数
平均分子量Mn =9.15×104 、重量平均分子量M
w =3.80×105 であった。また、溶融粘度は、2
300Pa・s(220℃、剪断速度=370s-1)であ
り、射出成形が可能であった。これはガラス転移温度
(Tg)以上250℃まで、成形形状を保っていた。
【0055】この成形体の粘弾性測定による弾性率は
5.68GPa(0℃)であった。
【0056】(比較例1)粘土鉱物を用いることなく、
メチルメタクリレートのみを実施例1と同様にして重合
し、ポリメチルメタクリレートを形成した。このポリマ
ーの分子量は、M n =3.11×104 、Mw =7.7
4×104 (GPCによる測定値)であった。また、溶
融粘度は340Pa・s(220℃、剪断速度=370s
-1)であり、射出成形を行うと、150℃で粘稠な液体
となってしまった。また、実施例1と同条件の粘弾性試
験により求めた弾性率は、4.57GPaであった。
【0057】(比較例2)実施例1と同様のNa型モン
モリロナイト5重量部を水中に分散させ、これを更にメ
チルメタクリレート100重量部と過硫酸カリウム0.
5重量部を添加し、60℃において5時間加熱撹拌し
た。
【0058】得られたものは、未反応のメチルメタクリ
レートがそのまま残った混合物であり、反応が進行して
いなかった。
【0059】(比較例3)オニウム塩として化6で表さ
れるものを用いた以外は実施例1と同様にして、複合材
料を製造した。
【0060】
【化6】
【0061】得られた複合材料は、分子量がMn =1.
21×104 、Mw =7.68×104 であり、成形体
の弾性率は4.48GPaであった。
【0062】(実施例2)実施例1と同様にイオン交換
したモンモリロナイトを用い、モノマーとしてイソプレ
ンに変えた以外は実施例1と同様にして複合材料を製造
した。
【0063】得られた複合材料は、IR、NMR、元素
分析により、ポリイソプレン中にモンモリロナイトを
5.6%の割合で分散したものであった。また、X線回
折によれば、モンモリロナイトのd(001)面のピー
クが全く消失し、ポリマー中にモンモリロナイトの各層
が均一に分散していることが判明した。
【0064】(実施例3)末端にビニル基を有するアン
モニウム塩として下記式化7のものを用い、モノマーと
してスチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして複
合材料を製造した。
【0065】
【化7】
【0066】得られた複合材料は、IR、NMR、元素
分析により、ポリスチレン中にモンモリロナイトが5.
3%含有したものであった。また、X線回折によればモ
ンモリロナイトのd(001)面のピークは全く消失
し、ポリマー中にモンモリロナイトの各層が均一に分散
した複合材料であることが判明した。
【0067】射出成形品の粘弾性測定による弾性率は
5.3GPaであった。
【0068】(実施例4)末端にビニル基を有するアン
モニウム塩として下記式化8で表されるものを使用した
以外は、実施例1と同様にしてモンモリロナイトをイオ
ン交換した。
【0069】
【化8】
【0070】このイオン交換したモンモリロナイト5重
量部を塩化エチル中に加え、更にモノマーとしてのα−
メチルスチレン100重量部を加えた後、これらを−1
30℃まで冷却した。次いで、陽イオン重合開始剤とし
ての無水塩化アルミニウム0.5重量部を塩化エチル5
0重量部に溶かした溶液を上記冷却溶液に添加して、1
時間撹拌し、複合材料を製造した。
【0071】得られた複合材料は、IR、NMR、元素
分析により、ポリα−メチルスチレン中にモンモリロナ
イトが5.1%分散したものであることが判明した。
【0072】この成形体の粘弾性測定から求めた弾性率
は5.0GPaであった。
【0073】(実施例5)末端にビニル基を有するアン
モニウム塩として下記式化9で表されるものを使用し、
粘土鉱物としてサポナイト(層厚さ10.0Å)を使用
した以外は、実施例1と同様にしてサポナイトをイオン
交換した。
【0074】
【化9】
【0075】このイオン交換したサポナイト5重量部を
ジメチルホルムアミド中に分散させ、更にモノマーとし
てのアクリロニトリル100重量部を加えて、−50℃
に冷却した。次いで、陰イオン重合開始剤としての無水
シアン化ナトリウムのジメチルホルムアミド飽和溶液2
0重量部を上記冷却溶液に加え、1時間撹拌し、複合材
料を製造した。
【0076】得られた複合材料は、IR、NMR、元素
分析により、ポリアクリロニトリル中にサポナイトが
5.3%分散したものであることが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉内 紀雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 上垣外 修己 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系高分子化合物を含む樹脂と、該
    樹脂中に分子状に分散した層状の粘土鉱物とからなり、
    該粘土鉱物は、層厚さが7〜12Åで層間距離が30Å
    以上であり、樹脂100重量部に対し0.5〜150重
    量部含有してなることを特徴とする複合材料。
JP10167825A 1998-03-20 1998-03-20 複合材料 Expired - Lifetime JP3075709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10167825A JP3075709B2 (ja) 1998-03-20 1998-03-20 複合材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10167825A JP3075709B2 (ja) 1998-03-20 1998-03-20 複合材料

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62049630A Division JPH0730252B2 (ja) 1987-03-04 1987-03-04 複合材料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1171465A true JPH1171465A (ja) 1999-03-16
JP3075709B2 JP3075709B2 (ja) 2000-08-14

Family

ID=15856803

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10167825A Expired - Lifetime JP3075709B2 (ja) 1998-03-20 1998-03-20 複合材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3075709B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001048908A (ja) * 1999-06-03 2001-02-20 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 重合触媒及び樹脂複合材の合成方法
WO2001036532A1 (fr) * 1999-11-12 2001-05-25 Sekisui Chemical Co., Ltd. Composition de resine de polyolefine
KR20020010560A (ko) * 2001-12-28 2002-02-04 (주) 나노텍 나노세라믹을 이용한 고강도 복합체 제조
JP2004010891A (ja) * 2002-06-04 2004-01-15 Solvay Solexis Spa フッ化ポリマー組成物と無機ナノ粒子
JP2005075975A (ja) * 2003-09-02 2005-03-24 Yokohama Rubber Co Ltd:The 有機化層状粘土鉱物及びそれを含むゴム組成物
KR100534014B1 (ko) * 2002-11-05 2005-12-07 한국화학연구원 층간거리가 확대된 무기 층상 화합물과 이를 이용하여 제조된 투명성이 향상된 디엔 중합체의 나노복합재
CN112759911A (zh) * 2020-12-23 2021-05-07 金发科技股份有限公司 一种聚碳酸酯组合物及其制备方法和应用

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001048908A (ja) * 1999-06-03 2001-02-20 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 重合触媒及び樹脂複合材の合成方法
WO2001036532A1 (fr) * 1999-11-12 2001-05-25 Sekisui Chemical Co., Ltd. Composition de resine de polyolefine
US6924334B1 (en) 1999-11-12 2005-08-02 Sekisui Chemical Co., Ltd. Polyolefin resin composition
KR100698890B1 (ko) 1999-11-12 2007-03-22 세키스이가가쿠 고교가부시키가이샤 폴리올레핀 수지 조성물
KR20020010560A (ko) * 2001-12-28 2002-02-04 (주) 나노텍 나노세라믹을 이용한 고강도 복합체 제조
JP2004010891A (ja) * 2002-06-04 2004-01-15 Solvay Solexis Spa フッ化ポリマー組成物と無機ナノ粒子
KR100534014B1 (ko) * 2002-11-05 2005-12-07 한국화학연구원 층간거리가 확대된 무기 층상 화합물과 이를 이용하여 제조된 투명성이 향상된 디엔 중합체의 나노복합재
JP2005075975A (ja) * 2003-09-02 2005-03-24 Yokohama Rubber Co Ltd:The 有機化層状粘土鉱物及びそれを含むゴム組成物
CN112759911A (zh) * 2020-12-23 2021-05-07 金发科技股份有限公司 一种聚碳酸酯组合物及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP3075709B2 (ja) 2000-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. PP/clay nanocomposites prepared by grafting-melt intercalation
Zhang et al. Polymerically modified layered silicates: an effective route to nanocomposites
US4810734A (en) Process for producing composite material
JP3040993B2 (ja) ナノ複合材料の製造方法
JP2000026655A (ja) 微小複合体を製造するための添加剤として有益な、重合体、プラスチック、および樹脂母材添加用粘土/有機化学品組成物、並びに該組成物を含有する微小複合体
US7129287B1 (en) Clay nanocomposites prepared by in-situ polymerization
Jaymand Modified syndiotactic polystyrene/montmorillonite nanocomposite: Synthesis, characterization, and properties
Agag et al. Polybenzoxazine-clay nanocomposites
Wang et al. Preparation and characteristics of a novel silicone rubber nanocomposite based on organophilic montmorillonite
JPH1171465A (ja) 複合材料
JPH0730252B2 (ja) 複合材料及びその製造方法
Zhang et al. Preparation, characterization, and thermal properties of polystyrene‐block‐quaternized poly (4‐vinylpyridine)/Montmorillonite nanocomposites
JP3014674B2 (ja) 複合材料
CN111040355A (zh) 无规剥离型聚甲基丙烯酸甲酯/蒙脱土纳米复合材料及其制备方法
JPS63221168A (ja) 複合材料及びその製造方法
JP4134412B2 (ja) 有機無機複合体
JP2000159960A (ja) スチレン系熱可塑性エラストマー組成物及び製造方法
JPH1081510A (ja) 珪酸塩トリアジン複合体及びそれを含有する難燃性樹脂複合体
JPS63199758A (ja) サーモトロピックポリマー組成物
KR100750291B1 (ko) 폴리스티렌 나노복합재 및 이의 제조방법
Zabarjad Shiraz et al. Preparation of nanocomposite based on exfoliation of montmorillonite in acrylamide thermosensitive polymer
JP2001131386A (ja) ポリアセタール複合材料
Chen et al. Synthesis and characterization of poly (acrylonitrile)/montmorillonite nanocomposites from surface‐initiated redox polymerization
EP2797999A2 (en) Natural nanoreinforcement that comprises a laminar silicate from volcanic sources useful to manufacture polymeric nanocomposites and manufacture process thereof
KR100658155B1 (ko) 폴리스티렌계 나노복합재의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term