JPH1170184A - 固定式消火設備の消火用散水ノズル - Google Patents

固定式消火設備の消火用散水ノズル

Info

Publication number
JPH1170184A
JPH1170184A JP8138698A JP8138698A JPH1170184A JP H1170184 A JPH1170184 A JP H1170184A JP 8138698 A JP8138698 A JP 8138698A JP 8138698 A JP8138698 A JP 8138698A JP H1170184 A JPH1170184 A JP H1170184A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fire
nozzle
extinguishing
water
fire extinguishing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8138698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3672726B2 (ja
Inventor
Toshihide Tsuji
利秀 辻
Toshiaki Tonomura
賢昭 外村
Takashi Shimokawa
傑 下川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hochiki Corp
Original Assignee
Hochiki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hochiki Corp filed Critical Hochiki Corp
Priority to JP08138698A priority Critical patent/JP3672726B2/ja
Publication of JPH1170184A publication Critical patent/JPH1170184A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3672726B2 publication Critical patent/JP3672726B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 消火用散水ノズルにおいて、消火能力を高
め、放射量を小さくして水害の被害を小さくし、ポンプ
などの容量を小容量としてコストを低減する。 【解決手段】 消火用散水ノズル1から火災時に消火液
または消火用水を散水する際、ノズル部8のスリット穴
10により所定の防護範囲内の特定部分に集中的に散水
する散布パターンを形成し、散水時の水流で駆動部6を
駆動して減速部7で減速し、ノズル部8を回転させて散
布パターンを走査して防護範囲全域に散水する。ノズル
部8は、複数の部材8A,8B,8Cに分割し、組合せ
面に複数の溝を形成して組み合わせてスリット穴10を
形成する。駆動部6、減速部7、ヘッド部8はスーパー
エンプラの樹脂成形部材で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スプリンクラー消
火設備などの固定式消火設備に使用される固定式消火設
備の消火用散水ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のスプリンクラー消火設備
に使用される消火用散水ノズルとしては、防護範囲全体
に均一に散水させるため、水をデフレクタで分散させて
粒状態に散水しており、例えば図13に示すようなもの
がある(特開平5−69730号)。
【0003】図13はヒュージブルリンク式の消火用散
水ノズルを示し、ノズル本体101に放水口102が形
成され、放水口102に設けた栓103とデフレクタ1
04との間に一対のレバー105a,105bを接触点
106a,106b,106cによって係止し、栓10
3を閉鎖状態に支持している。レバー105aとレバー
105bは感熱体としてのヒューズ107aで固着され
た一対のリンク108a,108bが装着され、栓10
3の閉鎖状態を維持している。
【0004】火災の発生による温度上昇でヒューズ10
7が溶けると、一対のリンク108a,108bが矢印
で示すように分解し、レバー105a,105bの係止
が解除され、水圧によってレバー105a,105bが
弾け、放水口102から栓103が脱落して加圧水が放
水口102から噴出し、散水が開始される。このとき放
水口102から噴出した水は、デクレクタ104に当た
って防護範囲全体に均一に散水される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の消火用散水ノズルにあっては、1個のノズル
当り例えば80リットル/分以上という所定流量の連続
放射となっていたため、火災消火能力に対して比較的多
くの消火液あるいは水の量が必要であり、当然消火する
対象物以外の物にも放射されるため、放射した消火液あ
るいは水による二次災害、いわゆる水損が大きくなると
いう問題点があった。また設備的には、水槽、ポンプが
大容量となる上、配管サイズも大きくなり、設備全体の
費用が高くなるという問題点もあった。
【0006】また従来の散水ノズルでは、防護範囲全体
に均一に散水させるため、水をデフレクタで分散させて
粒状にして散水している。そのため、火災の勢いが強い
場合には、分散された水は粒子径が小さいため、火災の
気流に負けて火災の深部に達する前に蒸発し、火災の抑
制に時間がかかり、また全く消火できないこともある。
このため水の量も多くなり、水損による被害も大きくな
る。
【0007】更に、防護範囲内のある一点から見ると、
粒状の水により、一瞬その一点の火災の炎が弱まったと
しても、その地点の付近の炎により一度かかった水が蒸
発し、付近の炎によって再び燃え始める。このため完全
に消火するまでに時間がかかる。本発明は、このような
問題点に鑑みてなされたものであって、火災消火能力を
確保しながら、消火用散水ノズル1個あたりの放射量を
低減することで水損を少なくし、水槽、ポンプなどの容
量を小容量とし設置費用を低減することができる固定式
消火設備の消火用散水ノズルを提供することを目的とす
る。
【0008】また本発明は、消火用散水ノズルに使用す
るノズル部に形成する複数のスリット穴の形成を簡単且
つ容易にできるようにした固定式消火設備の消火用散水
ノズルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は次のように構成する。本発明は、消火液ま
たは消火用水が圧送される消火用配管に接続され火災時
に消火液または消火用水を散水する固定式消火設備の消
火用散水ノズルを対象とする。
【0010】このような消火用散水ノズルとしては、本
発明にあっては、所定の防護範囲内の特定部分に集中的
に散水する散布パターンを形成するスリット穴を備えた
旋回自在なノズル部と、ノズル部から消火液又は消火用
水を散水する際の水流を駆動源として駆動軸を回転させ
る駆動部と、駆動部の回転を入力し所定の減速比に従っ
て減速してノズル部を回転させ散布パターンを所定の防
護範囲内を走査して所定の防護範囲内全域に散水させる
減速部とを備え、更に、ノズル部をスリット穴の配列部
分を通る面で複数の部材に分割し、各分割部材の組合せ
面にスリット穴を形成する複数の溝を形成して組み合わ
せたことを特徴とする。
【0011】このような構成を備えた本発明の消火用散
水ノズルによれば、防護範囲内にある部分を集中的に散
水するように散布パターンを形成し、防護範囲内を走査
するようにしたので、火災に対して瞬間的には従来の散
水ノズルより大量の消火液が放射されるため、従来の8
0リットル/分の防護範囲全域放射の散水ノズルと例え
ば40リットル/分の回転走査で1rpm程度の場合と
比較すると、防護範囲内全体でみて少ない水量にもかか
わらず、より高い消火能力が得られる。
【0012】また、本発明は、瞬時的には散水量が増え
ると同時に、消火対象物にあたる水の打力及び粒子径も
増すので、消火能力が増加する。即ち、本発明において
は、水は分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的
に散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水
されるため、火災気流に負けることなく火災の深部まで
到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時間が短
くて済み、従って鎮火までの水量も少なくて済む。また
塊状態の水で消火するため、一度消火した部分が再び燃
え上がることを抑制し、一度消火された場所を継続して
鎮火状態にできる。
【0013】また、少ない放射量で消火できるため、い
わゆる水損の被害を小さくすることができる。更に、放
射水の水槽が小さくなり、ポンプが小容量となり、自家
発電設備等バックアップ設備も小容量となり、配管サイ
ズも小さくなるため、低コストとなる。また、防護範囲
を従来の散水ノズルと比較して大きくした場合でも、走
査時間を調整することにより、火災に対しては瞬間的に
は大量の水を放射することができ、同等以上の消火性能
が得られることから、従来の散水ノズルと比較して、ノ
ズルの設置個数を減らすことができる。
【0014】更に、本発明にあっては、ノズル部をスリ
ット穴の配列部分を通る面で複数の部材に分割し、各分
割部材の組合せ面にスリット穴を形成する複数の溝を形
成して組み合わせたことで、ノズル部の外周面に任意の
放射方向をもって配列される複数のスリット穴の加工形
成が容易にでき、防護区域に対するノズルからの散布パ
ターンを必要に応じて任意の形状、幅、位置とすること
が自由にできる。
【0015】ここで、ノズル部は、先端を円錐形状に絞
り込んだ円筒体であり、円筒体を複数部材に分割し、各
分割部材の組合せ面のいずれか一方にスリット穴を形成
する直線溝を内部の流入路から外周面に向けて固有の放
射角度を設定して連通させる。また本発明の消火用散水
ノズルは例えば閉鎖型であり、ノズル部は内部の流入路
を開閉する弁体を連結し、火災により所定温度に達した
ら脱落する感熱作動機構により弁体を定常監視状態で流
入路を閉鎖する位置に保持しており、感熱作動機構が分
解した際に下降してノズル部先端を露出すると共に弁体
により流入路を開いて消火液又は消火用水を流す。
【0016】このように感熱作動機構で弁体を開閉する
閉鎖型の消火用散水ノズルとした場合、ノズル本体に対
し流入路側から駆動部、減速部、ノズル部を順に配置
し、駆動部に対しノズル部を軸方向に摺動自在で軸回り
に一体回転するスライド連結部を介して連結し、感熱作
動機構の分解時にノズル部をスライドさせた状態で駆動
部の回転を減速部を介してノズル部に伝達する。
【0017】本発明の消火用散水ノズルに使用する駆動
部および減速部を、エンジニアリングプラスチックの成
形部材で構成したことを特徴とする。またノズル部をエ
ンジニアリングプラスチックの成形部材で構成してもよ
い。このように本発明の消火用散水ノズルは、駆動部及
び減速部をエンジニアリングプラスチック、特に耐熱性
の高いスーパーエンジニアリングプラスチックの成形部
材を使用したことで、部品が高い精度で容易に制作で
き、安定した駆動、減速及び散水ができる。またエンジ
ニアリングプラスチックの成形部材は、摩擦係数が小さ
く、摩耗性にも優れ、動作がスムーズである。
【0018】またノズル部は、スリット穴の配列部分を
通る面で複数の部材に分割してエンジニアリングプラス
チックにより成形し、各分割部材の組合わせ面に複数の
溝を形成して組み合わせてスリット穴を形成するが、こ
の場合、エンジニアリングプラスチックの成形部材は、
面接触するように組合わせた場合、接触面に接着性があ
り、分割された部材の隙間から水が漏れ出すことがな
い。
【0019】更に、耐薬品性にも優れているため、長期
間に亘り装置の信頼性が維持できる。勿論、射出成形に
より大量生産でき、後加工も不要のため、低価格で生産
できる。更にまた、ある程度部品の一体化が図れるた
め、部品点数が少なくなり、組立コストも下がる。更
に、本発明の消火用散水ノズルは、ノズル部、駆動部及
びノズル部をエンジニアリングプラスチックの成形部材
で構成してもよく、この場合、駆動部及び減速部よりノ
ズル部の方が熱変形温度に優れたエンジニアリングプラ
スチックの成形部材で構成する。即ち、ノズル部は火災
時に熱気流に直接さらされるため、ノズル内部にし収納
された駆動部および減速部より耐熱性の高いものを使用
する。
【0020】本発明の消火用散水ノズルの駆動部及び又
はノズル部に使用するエンジニアリングプラスチック
は、機械的性質として500Kgf/cm2 以上の引張強さで
2万Kgf/cm2 以上の曲げ弾性率を有し、耐熱性として1
50℃以上の熱変形温度を有するスーパーエンジニアリ
ングプラスチックとする。このスーパーエンジニアリン
グプラスチックは、カーボンフィラー30重量%含有の
ポリエーテルニトリルPENT、ポリエーテルエーテル
ケトンPEET、又はポリフェニレンサルファイドPP
Sを使用することが望ましい。例えば駆動部及び減速部
には、熱変形温度260℃以上のポリフェニレンサルフ
ァイドPPSを使用し、ノズル部には熱変形温度330
℃以上と耐熱性の高いポリエーテルニトリルPENTを
使用する。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明による固定式消火設
備の消火用散水ノズルの実施形態の断面図である。図1
において本発明の消火用散水ノズル1は、ノズル本体2
の上部に消火液または消火用水を加圧供給する給水管に
接続する接続ネジ部3を有し、下部に火災による所定温
度で離脱する感熱作動機構4を突出している。ノズル本
体2は、上部よりケース2a,2b,2c及び2dを順
次ねじ込み固定した円筒状の部材で構成される。
【0022】ノズル本体2の上部の接続ネジ部3内には
加圧された消火液または消火用水を流入する流入路5が
形成されており、流入路5の途中の弁座11aの部分に
軸12の先端に一体に形成した弁体11を定常監視状態
で配置して、流入路5を閉じている。この弁体11によ
る流入路5の閉鎖で分けられた一次側流入路5aには第
1ストレーナ13が配置され、一方、二次側流入路5b
には第2ストレーナ14が配置されている。第1ストレ
ーナ13と第2ストレーナ14は、消火液または消火用
水中のゴミを除去し、後述する駆動部6やノズル部8に
ゴミがつまるのを防ぐ。
【0023】一次側流入路5aに配置した第1ストレー
ナ13は消火液または消火用水の中に浸されていること
から、錆びにくい荒い網目のものを使用している。これ
に対し二次側流入路5b側の第2ストレーナ14にあっ
ては、大気中に開放していることから錆びにくく、従っ
て細かい網目のものを使用している。このような弁体1
1で閉じた流入路5の一次側と二次側に分けて一次側に
荒い網目の第1ストレーナ13を配置することで、スト
レーナの腐食をしにくくし、耐久性を高めている。
【0024】弁体11で閉鎖した流入路5に続いては駆
動部6が設けられている。駆動部6は、ケース2bの内
部に一体形成したハウジング16に装着したベアリング
17の外側に回転自在に支持したケーシング6bに一体
に複数枚のインペラ6aを形成しており、弁体11を開
くことで流入路5から流入した水流をインペラ6aで受
けてケーシング6bを回転駆動できるようにしている。
【0025】駆動部6の内部には減速部7が設けられて
いる。減速部7としてこの実施形態にあっては、ダブル
遊星歯車機構が設けられている。即ち、ケース2bのハ
ウジング16に対しねじ込み固定した中心に弁体11の
軸12を通したハウジング15にサンギア18aを固定
し、サンギア18aの外側にプラネタリギア19を噛み
合わせ、プラネタリギア19に駆動部6のケーシング6
bに固定したインターナルギア21を噛み合わせてい
る。プラネタリギア19はネジシャフトによりキャリア
ケース20に回転自在に装着されている。
【0026】続いてハウジング15の外側にサンギア1
8aと同様、サンギア18bが固定され、サンギア18
bにはプラネタリギア22が噛み合っており、プラネタ
リギア22にはキャリアケース20に固定したインター
ナルギア23が噛み合っている。プラネタリギア22は
ネジシャフトによりキャリアケース24に連結されてお
り、キャリアケース24がダブル遊星歯車機構の減速し
た出力回転を取り出す出力部となる。減速回転の出力部
となるキャリアケース24の下端は、破線のようにノズ
ル本体2の下方に延在されて固定ガイド25を一体に形
成している。
【0027】図2は図1の減速部7に設けているダブル
遊星歯車機構を取り出している。このダブル遊星歯車機
構にあっては、サンギア18aが固定されており、サン
ギア18aに噛み合わせたプラネタリギア19を介して
駆動部6の回転をインターナルギア21で入力してい
る。プラネタリギア19はキャリアケース20に回転自
在に装着され、キャリアケース20は2段目のインター
ナルギア23に回転を伝える。
【0028】インターナルギア23の内側にはプラネタ
リギア22が設けられ、サンギア18aと同様に、固定
されたサンギア18bに噛み合っている。プラネタリギ
ア22はキャリアケース24に回転自在に装着され、キ
ャリアケース24が駆動部6の入力回転を減速した出力
回転を外部に取り出す。再び図1を参照するに、上部に
弁体11を備えた軸12の下端は、減速部7を装着して
いるハウジング15を貫通して下方に取り出され、先端
に止めネジ35によりリテーナ34を装着し、キャリア
ケース24側のストッパ部材29との間にスプリング3
0を組み込んでいる。スプリング30は図示の状態で圧
縮され、ストッパ部材29に対しリテーナ34側を下方
に付勢している。
【0029】駆動部6の内側に設けた減速部7に続いて
は、ノズル部8が設けられている。ノズル部8は先端を
台形円錐に絞り込んだ円筒体であり、この実施形態にあ
っては、第1部材8A、第2部材8B及び第3部材8C
を組み合わせた分割構造を持っている。ノズル部8の上
部側にフランジ部を形成している第1部材8Aは、上部
外周面に形成した溝に四フッ化エチレン樹脂シート32
(以下「シート32」という)を装着しており、シート
32の装着面と反対側の面をストッパ面36としてい
る。シート32は感熱作動機構4が熱分解により脱落し
てノズル部8が下降した時、下部のケース2dの上部内
縁のシート圧着段部33に接触してノズル部8の周囲の
空間から下側に水流が漏れ出すのを防ぐ。
【0030】またシート圧着段部33に続いてはストッ
パボール37が組み込まれており、ノズル部8が下降し
た時、上部の鍔部の下側に位置するストッパ面36がス
トッパボール37に当接して抜け止めされる。ノズル部
8は減速部7の減速回転が出力されるキャリアケース2
4から延在した固定ガイド部25を破線のように軸方向
に貫通してガイド部を備えており、感熱作動機構4が脱
落するとスプリング30の押圧と自重で固定ガイド25
に沿って下降し、ノズル本体2の下部のケース2dの下
端より外部にノズル部8が突出される。
【0031】第1部材8A,第2部材8B及び第3部材
8Cを組み合わせた構造のノズル部8は、軸方向に沿っ
た各部材の組合せ面に複数のスリット穴10を開口して
いる。感熱作動機構4は、ノズル部8を図示の収納位置
に保持する支持プレート42をロックボール38を介し
て下側に組み付けたプッシャプレート43で支持してお
り、プッシャプレート43は中心部を断熱材40を介し
て集熱板44に支持されており、更に集熱板44はヒュ
ーズ47によってネジ穴付きの取付フランジ48に固定
している。
【0032】取付フランジ48はプッシャプレート43
に中央下部より延在したネジ部49にねじ込み固定され
ている。更に集熱板44の上部には2枚の集熱板45,
46が組み付けられている。この感熱作動機構44にあ
っては、火災による熱を受けて所定温度に上昇するとヒ
ューズ47が溶け、ロックボール38を支持しているプ
ッシャプレート43が脱落し、これに伴って支持プレー
ト42も脱落し、ノズル部8の保持が解除されて下方に
突出するようになる。
【0033】ここで図1の消火用散水ノズル1にあって
は、駆動部6、減速部7、及びノズル部8を、エンジニ
アリングプラスチックの成形部材で構成している。本発
明の消火用散水ノズル1に使用するエンジニアリングプ
ラスチックは、通常のプラスチックでは限界があった機
構部品や機能部品としても十分に使用に絶える機械的性
質と耐熱性をもった金属材料を凌駕する素材であり、通
常、エンプラとして知られている。
【0034】特に本発明にあっては、機械的性質と耐熱
性がより高いスーパーエンジニアリングプラスチック
(スーパーエンプラ)を使用する。このスーパエンジニ
アリングプラスチックは、機械的性質として500Kgf/
cm2 以上の引張強さで2万Kgf/cm2 以上の曲げ弾性率を
有し、耐熱性として150℃以上の熱変形温度を有す
る。
【0035】各種のスーパーエンジニアリングプラスチ
ックの内、本発明は、特に耐熱性に注目することで、カ
ーボンフィラーCF30重量%含有のポリエーテルニト
リルPENT、ポリエーテルエーテルケトンPEEK、
又はポリフェニレンサルファイドPPSを使用する。即
ち、駆動部6及び減速部7は、ノズル本体2内に収納さ
れ、作動後は水の供給を受けることから、熱変形温度2
60℃以上のポリフェニレンサルファイドPPSを使用
する。これに対しノズル部8は、火災時に熱気流に直接
さらされるため、熱変形温度330℃以上のポリエーテ
ルニトリルPENTや熱変形温度326℃以上のポリエ
ーテルエーテルケトンPEEK等の耐熱性の高いものを
使用する。
【0036】このように駆動部5、減速部6及びノズル
部8にエンジニアリングプラスチック、特に耐熱性の高
いスーパーエンジニアリングプラスチックの樹脂成形部
材を使用したことで、部品が高い精度で容易に制作で
き、安定した駆動、減速及び散水ができる。またエンジ
ニアリングプラスチックの成形部材は、摩擦係数が小さ
く、摩耗性にも優れ、動作がスムーズである。
【0037】特に減速部7は、図2のように多数の歯車
を備えたダブル遊星機構であり、各歯車がエンジニアリ
ングプラスチックの成形品として高い精度で容易に制作
でき、金属加工の場合に比べ製作コストを大幅に低減で
きる。またノズル部8は、後の説明で明らかにするよう
に、スリット穴10の配列部分を通る面で複数の部材8
A,8B,8Cに分割してエンジニアリングプラスチッ
クにより樹脂成形し、各分割部材8A〜8Cの組合わせ
面に複数の溝を形成して組み合わせてスリット穴10を
形成する。この場合、エンジニアリングプラスチックの
成形部材は、面接触するように組合わせた場合、エンジ
ニアリングプラスチック接触面に接着性があり、分割さ
れた部材の隙間から水が漏れ出すことがない。
【0038】更に、駆動部5、減速部6及びノズル部8
に使用するエンジニアリングプラスチックは、耐薬品性
にも優れているため、長期間に亘り装置の信頼性が維持
できる。勿論、射出成形により大量生産でき、後加工も
不要のため、低価格で生産できる。更にまた、ある程度
部品の一体化が図れるため、部品点数が少なくなり、組
立コストも下がる。
【0039】図3は、図1の感熱作動機構4が火災によ
る所定温度で離脱しノズル部8が突出した消火液または
消火用水の放水動作状態の断面図である。火災による所
定温度への上昇で図1の感熱作動機構が熱分解により脱
落すると、スプリング30の力及びノズル部8の自重に
よりノズル部8が図示のようにノズル本体2の下部に突
出し、同時に軸12も下降して弁体11が弁座11aか
ら離れて、それまで閉じていた流入路5を開く。このた
め、接続ネジ部3側に接続している図示しない給水配管
からの加圧された消火液または消火用水は矢印のように
流入路5を通って駆動部6の周囲に流れ込み、インペラ
6aを水流が通ることで回転力を発生してハウジング6
bが回転する。
【0040】駆動部6の回転は内側に設けた減速部7に
より減速され、減速回転がキャリアケース24より延在
した固定ガイド部25に伝えられる。このときノズル部
8は固定ガイド25に沿って下側に下降した図示の位置
にあり、減速部7のキャリアケース24の減速回転を固
定ガイド25を介して受けることで、例えば水量が40
リットル/分だとすると1rpm程度で減速回転され
る。
【0041】駆動部6を通った水流は固定ガイド25の
部分からノズル部8の内部に流れ込み、中心から外側方
向に直線溝の形成で開口しているスリット穴10より外
部に散水される。図4は図1に示した本発明の消火用散
水ノズル1に設けているノズル部8の組立分解図であ
る。本発明のノズル部8は、中央に位置するノズル部本
体となる第1部材8A、第1部材8Aの下側の空洞部に
両側から組み付けられる一対の第2部材8B、第2部材
8Bのそれぞれの外側に組み付けられる一対の第3部材
8Cで構成され、ボルト72のナット73により固定さ
れる。
【0042】図5は図4の第1部材8Aの説明図であ
り、図5(A)が平面図、図5(B)が正面半断面図、
図5(C)が側面半断面図、図5(D)が底面図であ
る。なお図5(A)(D)については、対称構造となる
ことから中心線の片側を表している。この第1部材8A
は例えば図5(B)から明らかなように、上部に円板状
の鍔部50を形成しており、鍔部50の上面外側にシー
ト嵌合溝56を形成している。このシート嵌合溝56に
は、図1のようにシート32が装着される。鍔部50の
下側には円筒部57を介して略U字型の支持アーム51
が一体に形成される。
【0043】円筒部57の内部には図1に示した減速部
7のキャリアケース24より延在した固定ガイド25が
収納されるスライド溝52が形成され、その内側が流入
路53となっている。下部に設けた支持アーム51は先
端に位置決め突起54を形成しており、その下側に受け
穴55が形成され、受け穴55には図1の感熱作動機構
4に設けている支持プレート42の中心部の突起が嵌合
される。
【0044】円筒部57の内側に形成したスライド溝5
2は、図5(A)の平面図から明らかなように扇形に開
口されており、この部分に図1のキャリアケース24よ
り延在した断面円弧状の固定ガイド部材25が位置す
る。図6は図5に示した第1部材8Aの支持アーム51
の両側に組み付けられる第2部材8Bと第3部材8Cの
組立アッセンブリィである。この組立アッセンブリィか
ら明らかなように、本発明にあっては、ノズル部8に形
成するスリット穴の配列方向に沿って第1部材8A、第
2部材8B及び第3部材8Cに分割することを基本とし
ている。このためスリット穴10は、各分割部材の組合
せ面に内側の流入路から外側に向かって溝加工すること
により形成できる。
【0045】図7は図6の組立アッセンブリィにおける
第2部材8Bの説明図である。ここで図7(A)は内側
から見た正面図、図7(B)はそのX−X断面図、図7
(C)は外側から見た背面図、図7(D)は平面図、図
7(E)は底面図である。このような第2部材8Bは、
内側の組合せ面60にスリット穴10を形成する複数の
直線溝を所定方向に形成している。このような組合せ面
60に対する直線溝の形成によりスリット穴10が形成
できるため、スリット穴10の開口及び方向についても
簡単な直線溝加工で自由に形成することができる。
【0046】第2部材8Bの上部には、図7(B)のX
−X断面から明らかなように鍔部63が延在しており、
鍔部63の下側を切り欠いて図8に示す第3部材の組合
せ面62を形成している。また第2部材8Bの内側は流
入路65を形成しており、流入路65の下部に、図5に
示した第1部材8Aの支持アーム51側の位置決め突起
54に嵌合する位置決め凹部61を形成している。更に
図7(C)のように、外周側に図8の第3部材8Cを組
み付けるための組合せ面62を加工したことで、内側の
流入路65に開放する開口部64が形成されている。
【0047】図8は図6の第3部材8Cの説明図であ
る。ここで図8(A)は内側から見た正面図、図8
(B)はY−Y断面図、図8(C)は外側から見た背面
図、図8(D)は図8(A)の左側の組合せ面70bを
正面に見た図、図8(E)は組合せ面70b側の図8
(A)の側面図、図8(F)は平面図、図8(E)は底
面図である。
【0048】この第3部材8Cは平面的に見ると扇形形
状を持ち、内側の組合せ面70a,70bのそれぞれに
図8(A)のように所定の散水方向に向けて直線溝を形
成することで、複数のスリット穴10を形成している。
このスリット穴10についても、図8(E)の組合せ面
70bの側面図から明らかなように、中心から外側に向
かって任意の放射角度による直線溝の加工で任意の大き
さと方向を持つスリット穴10を容易に形成することが
できる。
【0049】また第3部材8Cにはボルト通し穴71が
外側より2箇所に形成されており、図4のように、両側
に位置する第3部材8Cに対しボルト72とナット73
により、間に第1部材8Aを中心に両側に第2部材8B
を配置して組み付けることで、図1のようなノズル部8
の組立構造を得ることができる。このような第1部材8
A、第2部材8B及び第3部材8Cの組立体でなるノズ
ル部8によれば、平面から見て周囲の6箇所に向けて軸
方向に並んだスリット穴10の配列が形成される。
【0050】この場合、スーパーエンジニアリングプラ
スチックの成形部材である第1部材8A、第2部材8B
および第3部材8Cは、面接触するように組合された場
合、スーパーエンジニアリングプラスチックの接触面に
接着性があるため、分割された部材の隙間から水が漏れ
出すことがない。図9は図3に示した本発明の消火用散
水ノズル1の作動状態における散水パターンの説明図で
ある。天井面に設置された本発明の消火用散水ノズルが
火災による熱を受けて作動すると、図示のようにノズル
部8が突出した状態で周囲6箇所に配列しているスリッ
ト穴より供給された消火液または消火用水の放水による
放水パターン80が得られる。
【0051】このノズル部8からの放水パターン80に
よって、所定の防護範囲82に6方向に向いた棒状の散
布パターン81a,81bが得られ、このときノズル部
8は放水による水流を受けて駆動部6の回転により矢印
方向に回転し、その結果、各散布パターン81は防護範
囲82を1rpm程度の低速度で回転走査することにな
る。
【0052】ノズル部8のスリット穴10が縦方向に配
列しているので、実際にはノズル部8からの放水はスポ
ット状の散水パターンが連続的に並んだ散布パターンと
なるが、各スポット状の散水パターンが消火対象面に当
った際に飛散、および消火対象面を流れることにより、
スポット状の散水パターンが広がって隣同志が繋った帯
状の散布パターン81となる。
【0053】このように帯状の散布パターン81にする
ために、第2部材、第3部材に形成するスリット穴10
の溝の方向をそれぞれ設定している。つまり、図7、図
8に示すように、第2部材、第3部材に形成するスリッ
ト穴10につき、遠くに散水するヘッド部8の上側のス
リット穴10は横方向に溝を形成し、近くに散水するヘ
ッド部8の下側のスリット穴10は下方向に形成する。
そして、スポット状の散水パターンが消火対象面に散水
される際に繋って帯状の散布パターン81になるよう
に、それぞれスリット穴10の溝の方向を設定する。
【0054】尚、スリット穴10の大きさを変えること
で、一つのスリット穴10から放水される消火液の量を
変えることができる。ノズル部8の上側のスリット穴1
0は、消火用散水ノズル1の位置から離れた防護範囲に
散水するため、スリット穴10を近距離に散水する下側
のスリット穴10よりも大きくして、水量を多くして遠
くに散水する。
【0055】通常、ノズル部8は直径2cm程度の小さ
なものであるから、それぞれが方向、穴の大きさが相違
する複数のスポット穴を1個の円柱部材に形成しようと
しても、技術上困難である。ところが、本発明のような
溝を形成した分割部材を組立てることにより、容易に複
数の穴の開いた小さいノズル部8を形成することができ
る。
【0056】ここで図6の組立アッセンブリィから明ら
かなように、第2部材8Bの組合せ面のスリット穴10
は、その間に入る図5の第1部材8Aの支持アーム51
との組合せで軸方向に2列のスリット穴10を形成する
こととなり、この2列のスリット穴は近接していること
から、図9の散布パターンにあっては、1つの棒状の散
布パターン81aとなり、一列のスリット穴10の散布
パターン81bに比べるとその幅が広くなる。
【0057】尚、減速部7を設けた理由は、ノズル部8
を駆動部6のケーシング6bのみで回転させると、かな
りの高速でノズル部8が回転してしまい、ノズル部8か
ら散水された消火用水は塊状から粒状に分散し、防護範
囲内の特定部分に集中的に散水する散布パターンが形成
できなくなり、防護範囲のある一点から見ると一回の走
査で到達する消火用水の水量が少なくなり、粒子径も小
さくなり、また消火用水の打力も低減して消火能力が低
下してしまうからである。
【0058】これを防止し、集中的に散水する散布パタ
ーンを形成するため散布パターンの走査の速度を散布パ
ターンの走査の形状が維持できる程度の比較的低速度に
する必要があるために減速部7を設けている。図10は
図9の防護範囲82内のある一箇所から見た散水量の時
間的変化であり、図10(A)は従来の消火用散水ノズ
ルの散水量であり、図10(B)が本発明の消火用散水
ノズルの散水量である。
【0059】図10(A)の従来の消火用散水ノズルに
あっては、防護範囲82のある一箇所から見ても常に一
定の水量の水が散水されている。これに対し図10
(B)の本発明の消火用散水ノズルにあっては、散布パ
ターン81a,81bの回転走査速度に依存した一定の
周期で間欠的に大量の水が散水されることになる。この
ように本発明の消火用散水ノズルを用いると、防護範囲
82のある一部分から見た場合に、火災に対して瞬間的
には従来の散水ノズルよりも大量の消火用水または消火
液が散水され、一定水量を継続して散水するよりも瞬間
的に集中して大量の水を散水した方が高い消火能力が得
られる。このため、例えば従来の80リットル/分の防
護範囲82の全域放射の散水ノズルと例えば本発明によ
る消火ノズルで散水量を40リットル/分、走査速度を
1rpm程度とした場合と比較すると、防護範囲82の
全体的に見て少ない水量にも関わらず、より高い消火能
力が得られる。
【0060】また本発明の消火用散水ノズルにあって
は、少ない散水量で消火できるため、いわゆる水損の被
害を小さくすることができる。このことから、消火用水
の水槽も小さくでき、更に従来の消火能力と同等とした
場合には、従来よりも配管内の水圧を抑えることができ
るため、消火ポンプが小容量で済み、更には自家発電設
備などのバックアップ設備も小容量とでき、配管サイズ
も小さくなるために、設備コストを大幅に低減できる。
【0061】また防護範囲82内のある一箇所から見れ
ば、従来のように防護範囲82内全体に散水するのと比
べ、本発明にあっては、瞬間的には散水量が増えると同
時に消火対象物に到達する水の打力及び粒子径も増すの
で、消火能力が増大する。即ち本発明においては、水は
分散された粒状ではなく特定の部分に集中的に散水され
る打力の強い水の塊として消火対象物に散水されるた
め、火災気流に負けることなく火災深部まで到達して消
火能力が高くなる。
【0062】このため、火災抑制までの時間が短くて済
み、したがって鎮火までの水量も少なくて済む。更に塊
状態の水で消火するため、一度消火した部分が再び燃え
上がることがなくなり、一度消火された場所を継続して
鎮火状態にできる。図11は本発明の散水による消火の
様子を従来と対比して示している。図11(C)は従来
の散水パターンであり、従来の散水能力では防護範囲8
2全体に均一に散水させるため、消火用水をデフレクタ
で分散させて粒状にして散水しており、防護範囲82内
に比較的粒子径の小さな様々な大きさをもった粒状の水
によるスポット状散布パターン84が得られる。
【0063】そのため火災の勢いが強い場合には、分散
された水は粒子径が小さいため火災の気流に負け、炎8
3の深部に達する前に蒸発し火災の抑制に時間が掛か
り、また全く消火できないこともある。このため消火用
水の量も多くなり、水損による被害も大きくなる。更に
防護範囲82内のある一点から見ると、粒状の水により
一瞬、その一点の火災の炎83が弱まったとしても、そ
の時点の付近の炎83により一度掛かった水が蒸発し、
付近の炎によって再び燃え始める。このため、完全に消
火するまでには時間が掛かる。
【0064】図11(A)(B)は本発明による帯状の
散布パターンの散水であり、防護範囲82内のある部分
に集中的に大量の消火用水を散水する散布パターン81
を形成している。このため、瞬間的には散水量が増える
と同時に、消火対象物に当たる消火用水の打力及び粒子
径も増すので、消火能力が増大する。即ち、本発明の散
布パターン81においては、消火用水は図11(C)の
ように分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的に
散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水さ
れる。このため、火災気流に負けることなく炎83の深
部まで到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時
間が短くて済み、したがって鎮火までの水量も少なくて
済む。
【0065】また図11(B)のように、散布パターン
81で防護範囲82の全域を走査して塊状の水で消火す
るため、一度消火した鎮火部分85が再び燃え上がるこ
とを抑え、一度消火された場所を継続して鎮火状態に維
持できる。更に防護範囲82内のある部分に大量の水を
散水するようにノズル部8を形成したため、防護範囲8
2を従来の散水ノズルと比べて大きくした場合でも、走
査時間を調整することにより火災に対しては瞬間的には
大量の水を散水することができ、従来と同等以上の消火
性能が得られることから、従来の散水ノズルに比べノズ
ルの設置個数を減らすことができる。
【0066】例えば取付ピッチ2.3メートルで所定の
防護範囲82に8個の散水ノズルを従来設置していた場
合に対し、本発明によれば、取付ピッチを2.6メート
ルとすることができ、その結果、設置する散水ノズルの
個数を4個に減らすことができる。図12はノズル部8
から散水される散布パターン81の別の形態を示す。図
12(A)はノズル部8の周方向に90°の間隔をおい
て4個の半径部となるスリットを形成した場合であり、
防護範囲82に対し帯状の散布パターン81をクロスさ
せた十字形状の散布パターンが得られる。図12(B)
はノズル部8に180°の間隔をおいて2つの半径部と
なるスリットを形成した場合であり、防護範囲82にお
いて直径方向に帯状の散布パターン81が得られる。更
に図12(C)はノズル部8の周方向に10°程度の短
い角度間隔をおいて3つの半径部となるスリットを形成
した場合であり、この場合には防護範囲82において半
径方向に放射状に広がった3つの散布パターン81を得
ることができる。
【0067】尚、上記の実施形態は、定常監視状態で流
入路を閉鎖し火災時に作動して流入路を開く閉鎖型の消
火用散水ノズルを例にとるものであったが、常時流入路
を開放している開放型の消火用散水ノズルについてもそ
のまま適用できる。開放型消火用散水ノズルにあって
は、例えば図1の弁体11を備えた軸12が不要とな
り、減速部7に対しノズル部8を固定し、且つノズル部
8をノズル本体2に対し常時下方に突出した構造とすれ
ばよい。
【0068】また上記の実施形態は、図4のようにノズ
ル部8を1つの第1部材8A、2つの第2部材8B、及
び2つの第3部材8Cに分割する場合を例にとっている
が、ノズル部8の外周軸方向に配列するスリット穴に沿
った位置を分割して組合せ面とすることで、任意の散布
パターンに対応した分割構造とできる。例えば、円筒形
状のノズル部に、スリット穴10が配列される箇所に沿
ってスリットを設けるように切り欠き、この切り欠いた
スリットの形状に合うチップを用意し、チップにスリッ
ト穴10に対応する溝を設け、チップをノズル部のスリ
ットに嵌め込むことで、スリット穴10が配列したノズ
ル部を形成するような分割構造としても良い。
【0069】また図4の分割構造を維持したまま各部材
の組合せ面に直線溝を形成するか否か選択することで、
スリット穴の配列位置を変化させて散布パターンの数を
適宜に決めることもできる。更に、スリット穴10の形
状は、四角に溝を形成するに限らず、半円や三角形状な
どでも良い。
【0070】また上記の実施形態にあっては、消火用散
水ノズルのノズル部、駆動部及びノズル部をエンジニア
リングプラスチックの成形部材で構成する場合を例とる
ものであったが、ノズル部と駆動部又はノズル部のいず
れか一方をエンジニアリングプラスチックの成形部材で
構成するようにしてもよい。更に上記の実施形態では、
スーパーエンジニアリングプラスチックとして、カーボ
ンフィラー30重量%含有のポリエーテルニトリルPE
NT、ポリエーテルエーテルケトンPEEK、又はポリ
フェニレンサルファイドPPSを使用しているが、本発
明はこれに限定されず、ノズル部、駆動部及びノズル部
に要求される機械的性質と耐熱性を満たすものであれ
ば、適宜のスーパーエンジニアリングプラスチックを使
用することができる。
【0071】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明によれ
ば、防護範囲内にある部分を集中的に散布するように散
布パターンを形成し、防護範囲内を走査するようにした
ので、火災に対して瞬時的には大量の消火液または消火
用水が散布されるため、より高い消火能力が得られ、水
損の被害も小さくなる。
【0072】また従来と同程度の消火能力とした場合に
は、配管内の水圧を低くでき、水槽、ポンプなどの容量
も少なくて済み、更に配管サイズも小さくなり、更に防
護範囲内のある部分に集中的に散水するようにノズル部
を形成しているために、防護範囲を従来より広くしても
従来と同程度の消火能力が維持でき、このためノズルの
設置個数も低減でき、その結果、設備コストを低減する
ことができる。
【0073】更にノズル部をスリット穴の配列部分を通
る面で複数の部材に分割し、各分割部材の組合せ面にス
リット穴を形成する複数の直線溝を加工形成して組み合
わせたことで、ノズル部の外周面に任意の散布方向を持
って配列される複数のスリット穴の加工形成が容易にで
き、防護区域に対するノズル部からの散布パターンを必
要に応じて任意の方向、位置、形状とすることが自由に
できる。
【0074】本発明の消火用散水ノズルは、駆動部と減
速部及び又はヘッド部にエンジニアリングプラスチッ
ク、特に耐熱性の高いスーパーエンジニアリングプラス
チックの成形部材を使用したことで、部品が高い精度で
容易に制作でき、安定した駆動、減速及び散水ができ
る。またエンジニアリングプラスチックの成形部材は、
摩擦係数が小さく、摩耗性にも優れ、動作がスムーズに
できる。
【0075】またノズル部は、スリット穴の配列部分を
通る面で複数の部材に分割してエンジニアリングプラス
チックにより成形し、各分割部材の組合わせ面に複数の
溝を形成して組み合わせてスリット穴を形成するが、こ
の場合、エンジニアリングプラスチックの成形部材は、
面接触するように組合わせた場合、エンジニアリングプ
ラスチック接触面に接着性があり、分割された部材の隙
間から水が漏れ出すことがない。
【0076】更に、耐薬品性にも優れているため、長期
間に亘り装置の信頼性が維持できる。勿論、射出成形に
より大量生産でき、後加工も不要のため、低価格で生産
できる。更にまた、ある程度部品の一体化が図れるた
め、部品点数が少なくなり、組立コストも下がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による消火用散水ノズルの定常監視状態
における内部構造の断面図
【図2】図1の減速に使用したダブル遊星歯車機構の説
明図
【図3】図1の作動状態の断面図
【図4】図1のノズル部の組立分解図
【図5】図4の第1部材の説明図
【図6】図4の第2及び第3部材の組立アッセンブリの
説明図
【図7】図4の第2部材の説明図
【図8】図4の第3部材の説明図
【図9】図3の作動状態における散水動作の説明図
【図10】防護範囲の一箇所から見た本発明の散水量を
従来と対比して示したタイムチャート
【図11】本発明の散布パターンによる消火の様子を従
来と対比して示した説明図
【図12】本発明による散布パターンの他の形態を示し
た説明図
【図13】従来例を示した説明図
【符号の説明】
1:消火用散水ノズル 2:ノズル本体 3:接続ネジ部 4:感熱作動機構 5:流入路 5a:一次側流入路 5b:二次側流入路 6:駆動部 6a:インペラ 6b:ケーシング 7:減速部(ダブル遊星歯車機構) 8:ノズル部 8A:第1部材 8B:第2部材 8C:第3部材 10:スリット穴 60,62,70a,70b:組合せ面 80:放水パターン 81:散布パターン 82:防護範囲

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】消火液または消火用水が圧送される消火用
    配管に接続され火災時に消火液または消火用水を散水す
    る固定式消火設備の消火用散水ノズルに於いて、 所定の防護範囲内の特定部分に集中的に散水する散布パ
    ターンを形成する複数のスリット穴を備えた旋回自在な
    ノズル部と、 前記ノズル部から前記消火液又は消火用水を散水する際
    の水流を駆動源として駆動軸を回転させる駆動部と、 前記駆動部の駆動軸の回転を入力し所定の減速比に従っ
    て減速して前記ノズル部を回転させ、前記散布パターン
    を前記所定の防護範囲内を走査して前記所定の防護範囲
    内全域に散水させる減速部と、を備え、 前記ノズル部をスリット穴の配列部分を通る面で複数の
    部材に分割し、各分割部材の組合せ面に前記スリット穴
    を形成する複数の溝を形成して組み合わせたことを特徴
    とする消火用散水ノズル。
  2. 【請求項2】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、前記ノズル部は、先端を円錐形状に絞り込んだ円筒
    体であり、該円筒体を複数部材に分割し、各分割部材の
    組合せ面のいずれか一方に前記スリット穴を形成する直
    線溝を内部の流入路から外周面に向けて固有の放射角度
    を設定して連通させたことを特徴とする消火用散水ノズ
    ル。
  3. 【請求項3】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、前記ノズル部は内部の流入路を開閉する弁体を連結
    し、火災により所定温度に達したら脱落する感熱作動機
    構により前記弁体を定常監視状態で前記流入路を閉鎖す
    る位置に保持しており、前記感熱作動機構が分解した際
    に下降してノズル部先端を露出すると共に前記弁体によ
    り流入路を開いて前記消火液又は消火用水を流すことを
    特徴とする消火用散水ノズル。
  4. 【請求項4】請求項3記載の消火用散水ノズルに於い
    て、ノズル本体に対し前記流入路側から前記駆動部、前
    記減速部、及びノズル部を順に配置し、前記駆動部に対
    し前記ノズル部を軸方向に摺動自在で軸回りに一体回転
    するスライド連結部を介して連結し、前記感熱作動機構
    の分解時に前記ノズル部をスライドさせた状態で前記駆
    動部の回転を前記減速部を介して前記ノズル部に伝達す
    ることを特徴とする消火用散水ノズル。
  5. 【請求項5】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、前記駆動部及び減速部をエンジニアリングプラスチ
    ックの成形部材で構成したことを特徴とする消火用散水
    ノズル。
  6. 【請求項6】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、前記ノズル部をエンジニアリングプラスチックの成
    形部材で構成したことを特徴とする消火用散水ノズル。
  7. 【請求項7】請求項1記載の消火用散水ノズルに於い
    て、前記ノズル部、減速部および駆動部をエンジニアリ
    ングプラスチックの成形部材で構成し、前記駆動部及び
    減速部より前記ノズル部の方が熱変形温度に優れたエン
    ジニアリングプラスチックの成形部材としたことを特徴
    とする消火用散水ノズル。
  8. 【請求項8】請求項5乃至7記載の消火用散水ノズルに
    於いて、前記エンジニアリングプラスチックは、機械的
    性質として500Kgf/cm2 以上の引張強さで2万Kgf/cm
    2 以上の曲げ弾性率を有し、耐熱性として150℃以上
    の熱変形温度を有するスーパーエンジニアリングプラス
    チックであることを特徴とするフラッシュ型スプリンク
    ラーヘッド。
  9. 【請求項9】請求項8記載のフラッシュ型スプリンクラ
    ーヘッドに於いて、前記スーパーエンジニアリングプラ
    スチックは、カーボンフィラー30重量%含有のポリエ
    ーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、又はポ
    リフェニレンサルファイドであることを特徴とするフラ
    ッシュ型スプリンクラーヘッド。
JP08138698A 1997-06-30 1998-03-27 固定式消火設備の消火用散水ノズル Expired - Lifetime JP3672726B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08138698A JP3672726B2 (ja) 1997-06-30 1998-03-27 固定式消火設備の消火用散水ノズル

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-173610 1997-06-30
JP17361097 1997-06-30
JP08138698A JP3672726B2 (ja) 1997-06-30 1998-03-27 固定式消火設備の消火用散水ノズル

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000297942A Division JP3887157B2 (ja) 1997-06-30 2000-09-29 消火用散水ノズル
JP2005027304A Division JP2005152669A (ja) 1997-06-30 2005-02-03 消火用散水ノズル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1170184A true JPH1170184A (ja) 1999-03-16
JP3672726B2 JP3672726B2 (ja) 2005-07-20

Family

ID=26422410

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08138698A Expired - Lifetime JP3672726B2 (ja) 1997-06-30 1998-03-27 固定式消火設備の消火用散水ノズル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3672726B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000312726A (ja) * 1999-04-30 2000-11-14 Hochiki Corp 消火用散水ノズル
JP2001137378A (ja) * 2000-09-29 2001-05-22 Hochiki Corp 消火用散水ノズル
JP2004508926A (ja) * 2000-09-22 2004-03-25 イソ−ミクス アクティーゼルスカブ 液体のバッチを処理する方法及び処理プラント
WO2006108298A1 (en) * 2005-04-15 2006-10-19 National Research Council Of Canada Rotary foam distributor
US8056831B2 (en) 2005-04-15 2011-11-15 National Research Council Of Canada Rotary foam distributor
JP2012139252A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Nohmi Bosai Ltd スプリンクラヘッド
JP2016073414A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 深田工業株式会社 ドレンチャーヘッド

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000312726A (ja) * 1999-04-30 2000-11-14 Hochiki Corp 消火用散水ノズル
JP2004508926A (ja) * 2000-09-22 2004-03-25 イソ−ミクス アクティーゼルスカブ 液体のバッチを処理する方法及び処理プラント
JP2001137378A (ja) * 2000-09-29 2001-05-22 Hochiki Corp 消火用散水ノズル
WO2006108298A1 (en) * 2005-04-15 2006-10-19 National Research Council Of Canada Rotary foam distributor
US8056831B2 (en) 2005-04-15 2011-11-15 National Research Council Of Canada Rotary foam distributor
JP2012139252A (ja) * 2010-12-28 2012-07-26 Nohmi Bosai Ltd スプリンクラヘッド
JP2016073414A (ja) * 2014-10-06 2016-05-12 深田工業株式会社 ドレンチャーヘッド

Also Published As

Publication number Publication date
JP3672726B2 (ja) 2005-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1874412B1 (en) Rotary foam distributor
US8056831B2 (en) Rotary foam distributor
US6454017B1 (en) Upright fire protection nozzle
CA2695917C (en) Pendent residential fire protection sprinklers
RU2448750C1 (ru) Пеногенератор
JPH1170184A (ja) 固定式消火設備の消火用散水ノズル
WO2005107880A1 (en) Method and sprinkler
JP2001161853A (ja) 回転水噴霧ヘッド
JP3887157B2 (ja) 消火用散水ノズル
CA2180561C (en) Nozzle for spreading water fog
JP2012110643A (ja) 消火用散水ノズル
RU2299769C1 (ru) Форсунка
WO2007021190A3 (en) Spray assembly for spraying foam and liquid for cleaning a surface and also a cleaning installation and method
JP2005152669A (ja) 消火用散水ノズル
JP2001095944A5 (ja)
JP2001095944A (ja) スプリンクラーヘッド及び消火設備並びにスプリンクラーヘッド性能評価方法
WO2008050973A1 (en) Self rotation type foam nozzle
JP3832713B2 (ja) 消火用散水ノズル
JP3832684B2 (ja) 固定式消火設備の消火用散水ノズル
JP3451159B2 (ja) スプリンクラー消火設備の散水方法及び消火用散水ノズル
JP2001145705A (ja) 消火用散水ノズル
DK177630B1 (en) Modular water mist sprayer
RU2404833C1 (ru) Генератор полидисперсной пены
JPH09299504A (ja) 固定式消火設備の散水方法及び消火用散水ノズル
JP4040952B2 (ja) スプリンクラー消火設備の消火用散水ノズル

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050420

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120428

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130428

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term