JP2001095944A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書

【発明の名称】 ヘッド及び消火設備並びにヘッド性能評価方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火配管に接続され、火災時に加圧供給された消火用水を放水するヘッドに於いて、高天井の設置状態で散水エリアが広がりすぎないように下向きに散水させる構造を備えたことを特徴とするヘッド。

【請求項2】
消火配管に接続され、火災時に加圧供給された消火用水を放水するヘッドを天井高さの異なる位置に設置した消火設備に於いて、高天井に設置しているヘッドの散水エリアが広がりすぎないように下向きに散水させる構造を備えたことを特徴とする消火設備。

【請求項3】
請求項1又は2に於いて、前記ヘッドは、火災による熱気流を受けた際に分解して加圧消火用水を放水する閉鎖型ヘッド構造、所定の防護範囲内の特定部分に集中的に散水する散布パターンを形成する複数の穴を備えた旋回可能なノズル構造、又は円板状のデフレクタを備えたことを特徴とするヘッド又は消火設備。

【請求項4】
設置高さに対する散水性能を評価するヘッド性能評価方法に於いて、ヘッドの設置高さの変化に対し、床面から規定高さに設定した散水面における規定半径の散水エリアで規定の散水量が得られる理想放水パターンを設定し、前記理想放水パターンにおけるヘッド設置位置から所定高さ下がった測定散水位置での散水分布を求め、前記設置高さと理想散水分布の関係を定義し、評価対象とするヘッドの放水試験によりヘッド設置位置から所定高さ下がった前記測定散水位置で散水分布を測定し、前記ヘッド設置高さと理想散水分布の関係から実際に測定した散水分布に対応するヘッド設置高さを求めることを特徴とするヘッド性能評価方法。

【請求項5】
請求項4記載のヘッド性能評価方法に於いて、前記理想放水パターンは、ヘッドの設置高さの変化に対し、床面に設置した測定用のマスの上面を規格散水面と設定し、規格散水面における規定半径2.6メートルの散水エリアでマス毎に設定された規定の散水量以上が得られる放水パターンであることを特徴とするヘッド性能評価方法。

【請求項6】
請求項4記載のヘッド性能評価方法に於いて、評価対象とするヘッドを、求めた設置高さから高天井用と低天井用に分類することを特徴とするヘッド性能評価方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、消火配管に接続され、火災時に加圧供給された消火用水を放水するヘッド及び消火設備並びにヘッド性能評価方法に関する。

【従来の技術】
【0002】
従来、スプリンクラー消火設備に使用するヘッドは、一般に2〜3メートルといった高さの天井面に設置している。このような通常のヘッドの性能評価は、床面に所定サイズのマスを多数並べ、マスの上表面より規定高さ1.2メートル上方にヘッドを設置した状態で散水試験を行い、マスの上表面の高さにおける規定半径(例えば2.6メートル)の散水エリアで測定用マス毎に決められた規定の散水量以上が得られる放水パターンとなるよう規格で決められている。
【特許文献1】
特開平7−265456号公報
【特許文献2】
特開平7−299156号公報

【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、建物の形態によっては、10メートルに近い高天井部にもヘッドを設置する場合がある。しかし、ヘッドの設置高さを上げると、必然的に散水半径が広がり、ヘッドの直下付近の散水量が少なくなり、更に設置高さを高めると散水量の少い領域が更に増えるようになる。
【0004】
この場合、ヘッドを密に設置してヘッド直下の散水量の不足を補うことも考えられるが、火災時にどのヘッドが作動するかは不明であり、火災時に必要な量の消火用水が散水されない領域が発生する。
【0005】
本発明の目的は、高天井に設置した場合に最適な散水パターンが得られるようにしたヘッド及びスプリンクラー消火設備を提供することにある。
【0006】
また本発明は他の目的は、ヘッドが高天井用か低天井用かを簡単に判断できるヘッド性能評価方法を提供することにある。

【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明は、消火配管に接続され、火災時に加圧供給された消火用水を放水するヘッドであって、高天井の設置状態で散水エリアが広がりすぎないように下向きに散水させる構造を備えたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、消火配管に接続され、火災時に加圧供給された消火用水を放水するヘッドを天井高さの異なる位置に設置したスプリンクラー消火設備であって、高天井に設置しているヘッドの散水エリアが広がりすぎないように下向きに散水させる構造を備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、ヘッドは、火災による熱気流を受けた際に分解して加圧消火用水を放水する閉鎖型ヘッド構造のもの、所定の防護範囲内の特定部分に集中的に散水する散布パターンを形成する複数の穴を備えた旋回可能なノズル構造のもの、又は円板状のデフレクタを備えたもの等を対象とする。
【0010】
また本発明のヘッドの性能評価方法を提供するものであり、次の手順をとる。
【0011】
(1)ヘッドの設置高さの変化に対し、床面から規定高さに設定した散水面における規定半径の散水エリアで規定の散水量が得られる理想放水パターンを設定し、理想放水パターンにおけるヘッド設置位置から所定高さ、例えば1〜2メートル程度下がった位置での散水分布を求め、設置高さと理想散水分布の関係を定義する。
【0012】
(2)評価対象とするヘッドの放水試験によりヘッド設置位置から所定高さ下がった位置で散水分布を測定する。
【0013】
(3)ヘッド設置高さと理想散水分布の関係から実際に測定した散水分布に対応するヘッド設置高さを求める。
【0014】
この場合の理想放水パターンは、ヘッドの設置高さの変化に対し、床面に設置した測定用のマスの上面に設定した散水面における規定半径2.6メートルの散水エリアでマス毎に設定された規定の散水量以上が得られる放水パターンとする。また本発明のヘッドの性能評価方法は、評価対象とするヘッドを求めた設置高さから高天井用と低天井用に分類する。
【0015】
このようなヘッドの性能評価方法にあっては、ヘッドから1〜2メートル下った測定散水位置での散水分布を実測し、この実測した散水分布を理想放水パターンにおける設置高さと理想散水分布と比較することで、対象ヘッドの最適な設置高さを推定することができる。
【0016】
このためヘッドを5〜10メートルといった高さに設置して放水するような評価試験を必要とすることなく、通常の1〜2メートルの低天井と同じ設置高さでの放水試験により、高天井に適したヘッドかどうかが簡単に評価できる。
【0017】
また既存のヘッドに対し本発明の性能評価方法を適用することで、高天井用か低天井用かの性能評価ができ、これによって設置高さに応じ性能評価で分類された適切なヘッドを設置でき、設置高さが異なっても、火災時に必要な領域に必要な量の消火用水の散水することができる。

【発明の実施の形態】
【0018】
図1は本発明のスプリンクラー消火設備の実施形態である。図1において、建物の地階等には消火ポンプ1及びモータ2が設置され、ポンプ制御盤15によるモータの駆動で消火ポンプ1を運転し、貯水槽3の消火用水を汲み上げ、建物の垂直方向に配管した給水本管4に加圧供給している。
【0019】
建物の屋上には高架水槽5が設置され、給水本管に常時、消火用水を充満させている。また給水本管4の管内圧力を圧力タンク13に導入して内部空気を圧縮し、ヘッドの作動により管内圧力が規定圧力以下に低下すると圧力スイッチ14をオンし、ポンプ制御盤15がモータ2を駆動して消火ポンプ1を運転するようにしている。
【0020】
給水本管4から分岐された分岐管6には流水検知装置7が設置され、流水検知装置7には流水検知スイッチ8が設けられている。流水検知装置7の二次側の分岐管6は建物の特定階に配管されている。
【0021】
階の床面10に対し天井面の高さが通常の低天井と5メートルを越えるような高天井部分とがあり、低天井部分には低天井用ヘッド9Lが設置され、また高天井部分には高天井用ヘッド9Hが設置されている。更に、分岐管6の末端側には末端試験弁11とオリフィス12が設けられている。
【0022】
ここで低天井用ヘッド9Lは放水パターン18Lを持ち、また高天井用ヘッド9Hは放水パターン18Hを持っており、それぞれの放水パターン18L,18Hによる床面10の散水領域はほぼ同じ大きさとなるように放水パターンを決めている。
【0023】
即ち低天井用ヘッド9Lの放水パターン18Lによる床面10での散水領域の半径をRとすると、高天井用ヘッド9Hの放水パターン18Hによっても床面10の散水領域の半径はほぼ同じRとなるようにヘッドからの放水方向を決めている。
【0024】
具体的には、低天井用ヘッド9Lの放水角度に対し高天井用ヘッド9Hの放水角度は、散水エリアが広がり過ぎないように下向きに放水させる構造を持たせている。
【0025】
図2は本発明によるヘッドの設置高さに対する放水パターンの説明図である。図2において、この実施形態にあっては、高さHH,HM,HLの高天井,中天,低天井に対応して、ヘッド9H,9M,9Lを設置している。このように異なる設置高さに適合したヘッド9H,9M,9Lは、放水面となる床面10における散水領域20がほぼ同じとなる散水パターン18H,18M,18Lとなるように、ヘッドからの放水角度θH,θM,θLを定めており、これらの間にはθH<θM<θLとなる放水角度を設定する構造を備えている。
【0026】
図3は、本発明によるヘッドとして閉鎖型ヘッドを例にとって、その断面構造を示している。図3(A)は作動前の構造であり、図3(B)が火災による熱気流を受けて作動した場合の構造である。
【0027】
図3(A)において、閉鎖型ヘッド9Aはヘッド本体21の内部流路の開口部に弁体22を配置し、弁体22の外側にはデフレクタ23が装着されている。弁体22はヘッド本体21の下部の感熱分解部24の組立荷重を受けて流路を閉鎖状態にしている。
【0028】
感熱分解部24には火災による熱気流を受けた際の所定温度で溶融する半田ヒューズ25と集熱板26が設けられている。
【0029】
図3(A)の閉鎖型ヘッド9Aは、図1に示したように分岐管6の所定の監視区域に設置された状態で加圧消火用水の供給を受けるが、弁体22を閉鎖状態に保持することで放水は行われない。
【0030】
この状態で火災による熱気流を感熱分解部24で受けると、半田ヒューズ25が所定温度例えば75℃に上昇した時に溶け、感熱分解部24が分解して脱落し、これによって弁体22の支持が解除され、図3(B)のように弁体22はデフレクタ23と共に落下して支持片27でヘッド本体21の下部に位置する。
【0031】
この状態でヘッド本体21の散水口21aより加圧消火用水が放出され、デフレクタ23に当たって、図2に示したような放水パターンによって床面等に消火用水を散水する。
【0032】
図4は図3の閉鎖型ヘッド9Aに使用しているデフレクタ23の実施形態であり、図4(A)が低天井用デフレクタ23Lであり、図4(B)が高天井用デフレクタ23Hである。
【0033】
低天井用デフレクタ23Lは、その周囲に複数の切込み28を備えており、切込みの部分を通ってヘッドの直下方向に消火用水が散水され、切込み28のない部分で消火用水が横方向に放出され、両者の合成により例えば図2の低天井用ヘッド9Lの放水パターン18Lが得られる。
【0034】
これに対し図4(B)の高天井用デフレクタ23Hは、周囲に形成した切込み28の内側に更に3カ所に分けて円弧状にスリット穴29を開口しており、このスリット穴29によって、散水口から放出された水がスリット穴29を通って下方に向かうこととなり、図4R>4の低天井用デフレクタ23Lに比べ周囲に対する散水が抑えられ、これによって高天井設置状態にあっても散水エリアが広がり過ぎないようにし、実質的に図2の高天井用ヘッド9Hの放水量θAによる放水パターン18Hを実現する。
【0035】
図5は図3の閉鎖型ヘッド9Aに使用する高天井用デフレクタの他の実施形態であり、図4と同様、低天井用デフレクタと対比して示している。図5(A)の低天井用デフレクタ23Lに対し、図5(B)の高天井用デフレクタ23Hはラジアル方向に形成した切込みが深切込み28aとなり、図5(A)の低天井用デフレクタ23Lの切込み28に比べ中心方向に、より深い切込みとしている。
【0036】
このため図3(B)の状態で散水口21aから放出された消火用水は、中心方向に延びている深切込み28aから中心方向に向けて散水されることとなり、これによって高天井の設置状態でも散水エリアが広がり過ぎないように下向きに散水させることができる。
【0037】
ここで、高天井設置用として散水エリアが広がり過ぎないように下向きに散水させる構造としては、図4(B),図5(B)のデフレクタの構造に限定されず、適宜のデフレクタ切込み,開口,形状とすることが可能である。
【0038】
また、デフレクタ23の大きさ(半径)を調節することで散水エリアを設定しても良い。高天井設置用は低天井設置用よりも散水エリアが広がり過ぎないようにデフレクタの半径を小さくする。
【0039】
また、図3(B)の弁体22の中央突出部の大きさを変化させることで行っても良い。例えば低天井設置用であれば弁体22の半径幅又は高さ幅を抑えて消火用水が当たるデフレクタ23の面積を大きくして散水エリアを広げる。逆に高天井設置用であれば弁体22の中央突出部の半径幅や高さ幅を大きくして、消火用水の当たるデフレクタの面積を小さくして広がり過ぎないようにする。
【0040】
次に本発明によるヘッドの性能評価方法を説明する。図4及び図5に示したように例えばデフレクタ23の形状を変えることで、図2のような設置高さが異なっても放水範囲20がほぼ同じとなるかどうかは、実際に放水試験を行ってみないと分からない。
【0041】
このための放水試験は、実際にヘッドを設置する天井高さ、例えば低天井であれば2〜3メートルの高さ、高天井であれば例えば10メートルという高さに設置して放水試験を行ってみればよい。しかしながら10メートルといった高天井にヘッドを設置して放水試験を行うことは、そのような高天井の放水試験設備は非常に特殊な設備であり、特別な建物を建てなければならず、10メートルに設置して放水試験を行うことは実際には無理がある。
【0042】
そこで本発明のヘッドの性能評価方法にあっては、従来から行っている低天井である1〜2メートル程度に通常のヘッドを設置した状態で10メートルの高天井に設置したと同等な性能試験を行うことのできる性能評価方法を提供する。
【0043】
図6は10メートルまでの設置高さに対するヘッドの理想的な放水パターンを表している。
【0044】
ここでヘッドの性能試験にあっては、床面10に所定サイズのマスを多数並べ、このマスに向けて放水試験を行った時の放水量が、半径R=2.6メートルでマス毎に決められた規定放水量以上の規格性能を満足するか否かを試験している。
【0045】
このような規格上の性能試験に用いる規格散水面30の半径R=2.6メートルの領域でマス毎に規定の放水量以上の性能を実現する放水パターンを得られるように、例えば設置高さHとして、10メートル,8メートル,6メートル,4メートル,1.4メートルのそれぞれに設置したヘッド9a,9b,9c,9d,9eについて、理想放水パターン18a〜18eを設定する。
【0046】
、ヘッド9eの高さにおける試験は、従来から行われている高さであり、マスの高さが0.2メートルの場合にそのマスの上面から1.2メートル高い1.4メートルにヘッドを設置し、0.2メートルの高さにおいて半径R=2.6メートルでマス毎の散水量が規定散水量になる理想放水量となるように設定されている。
【0047】
この理想放水パターン18a〜18eは、ヘッド9からの放水方向と放水速度を設定し、重力加速度による運動方程式から落下軌跡を算出すればよい。勿論、実際にそれぞれの高さにヘッドを設置し、規格散水面30で半径R=2.6メートルでマス毎に規定の放水量を得られるような放水パターンを計測して理想放水パターンとしてもよい。
【0048】
このように設置高さが異なるヘッド9a〜9eについて理想放水パターン18a〜18eが求められたならば、各ヘッド9a〜9eから所定高さHtだけ下がった位置を測定散水面31a〜31eとする。この測定放水面31a〜31eを設定する高さHtは、例えばHt=1メートル程度でよい。
【0049】
本実施形態においては、従来から行われている試験方法の1.2メートルに、Htを合わせている。
【0050】
したがって、ヘッド9a〜9eのそれぞれに対しては8.8メートル,6.8メートル,4.8メートル,2.8メートル,0.2メートルのそれぞれの位置に測定放水面31a〜31eが設定される。
【0051】
このように測定放水面31a〜31eが設定できたならば、それぞれに交差する理想放水パターン18a〜18eの散水半径R10,R8,R5,R4,R1.4のそれぞれ及び測定放水面31a〜31eにマスを並べた場合のマス毎の散水量を求める。
【0052】
次に図7に示すように、図6の結果から横軸にヘッドより所定高さHtだけ下に設定した測定放水面における放水パターンの散水半径Rをとり、縦軸にマスに散水される散水量Lをとり、設置高さH=10,8,6,4,1.4メートル毎の測定散水面31a〜31eでの半径Rと散水量Lの分布関係を示すと、両者の間に例えば図示のような理想散水分布線G1.4,G4,G6,G8,G10の関係が得られる。
【0053】
この散水半径Rと散水量Lの関係は、説明を簡単にするため半径が0メートルから最大半径まで同一散水量にしているが、実際にヘッドを設置した場合には非線形になる場合もあり、また使用するヘッドの構造によって様々な特性になることは容易に理解でき、実際に使用するヘッドに適合した最適特性を作るようにする。
【0054】
この図7は、例えば、設置高さ1.4メートルに使用するヘッドの場合は、斜線で囲んだように半径が0メートルから2.6メートルまでに並べたマスに散水される散水量がL1.4(ml/min)であることが示されている。この他の4,6,8,10メートルも同様であり、10メートルの場合は半径0〜R10メートルまで散水量L10(ml/min)であることを示している。
【0055】
このように図7の設置高さHにおける半径Rと散水量Lの関係が定義できたならば、この関係を利用して任意のヘッドの性能評価を行う。この性能評価は、まず評価対象とするヘッドを通常の散水試験設備である1〜2メートル程度の試験にて行う。
【0056】
即ち、床面に測定用のマスを敷きつめ、マスの上面を測定散水面とし、測定散水面から所定高さ(例えば、図6,図7の実施例においては1.2メートル)上がった位置にヘッドを設置する。
【0057】
これによって測定準備ができることから、ヘッドに加圧消火用水を供給して散水試験を行い、ヘッドから1,2メートル下の測定散水面に配置したマスに散布された水の貯留状態から散水半径Rxと散水量との関係を測定する。
【0058】
このようにして実放水により散水分布が測定できたならば、図7の半径Rと散水量Lの分布グラフに書き込み、予め書かれている理想散水分布線G1.4,G4,G6,G8,G10と比較する。
【0059】
例えば、試験を行ったヘッドの散水分布が図7に示す分布曲線Aであった場合には、1.4メートル及び4メートルの理想散水分布線G1.4,G4よりも全半径領域において散水量が上回っているから、分布曲線Aのヘッドは高さ4メートル以下で設置できることが判る。同様に分布曲線Bの場合は4〜6メートル、分布曲線Cの場合は約7〜10の高さに設置できることが判る。
【0060】
この図6及び図7に示した本発明によるヘッドの性能評価方法を利用し、例えば図4R>4(B)または図5(B)の高天井用デフレクタ23Hを装着した図3の閉鎖型ヘッド9Aについて、図3(B)の状態で放水試験を行って散水分布を求め、これを図7の直線特性に適用して有効な設置高さ範囲を求めることで、図4(B)でスリット穴29を内側に開口したり図5(B)で深切込み28aとしたことによる最適設置高さがどの程度であるかを簡単に評価できる。
【0061】
そして要求された設置高さの性能となるようにスリット穴29の位置や大きさの調整、更には深切込み28aの深さや切込み等を調整し、高天井用ヘッドとして要求される設置高さに適合した最適消火性能を持つヘッドを得ることができる。
【0062】
実際のヘッドの性能評価にあっては、厳密な設置高さを求める必要はなく、基本的には高天井用と低天井用の2種に分類できる性能評価ができればよい。したがって図6,図7から例えば性能評価で求めた有効設置高さが5メートル未満であれば低天井用ヘッドに分類し、5メートル〜10メートルであれば高天井用ヘッドに分類する。
【0063】
また2段階の分類では精度が低いことから、図2に示したように低天井,中天井,高天井の3段階に性能評価による設置高さから分類してもよい。例えば4メートル未満は低天井用、4メートル以上6メートル未満は中天井用、7メートル以上は高天井用というように3段階に分類してもよい。勿論、必要に応じて4段階、5段階と適宜に分類することができる。
【0064】
このような本発明のヘッドの性能評価方法は、既存のヘッドが低天井用か高天井用かを選択するための評価方法としても使用することができる。
【0065】
即ち市販のヘッドについて、本発明によるヘッドの性能評価方法を適用することで有効設置高さ範囲を求める。この設置高さHxはヘッドの構造、タイプ等により異なることから、同一種のヘッドについて例えば10サンプルを対象に性能試験を行って設置高さHxを求め、その平均値からそのヘッドの最適な設置高さを求めればよい。
【0066】
このような評価を行うと、既存のヘッドにあっても機種によっては高天井用に適合した放水パターンを持つものがあり、これを高天井用ヘッドとして選択して使用することができる。また実際に、ヘッドを設置する天井面の高さに最適なヘッドの選択に、本発明の性能評価方法を利用することができる。
【0067】
例えば天井が4メートルに設置するヘッドであった場合には、本発明によるヘッドの性能試験によって設置高さ4メートルの理想散水分布を満足する既存のヘッドを最適ヘッドとして選択して設置することができる。
【0068】
次に本発明によるヘッドの他の実施形態として走査型ヘッドの実施形態を説明する。図8は本発明による走査型ヘッド9Bの外観であり、走査型ヘッド9Bはノズル本体32の上部に消火用水を加圧供給する給水管に接続する接続ネジ部33を有し、下部に火災による所定温度で熱分解して脱落する感熱作動機構34を突出している。
【0069】
図9は図8の走査型ヘッド9Bが火災による熱気流を受けて感熱作動機構34が熱分解して脱落することで消火用水を散布する動作状態の断面図である。
【0070】
図9において、火災による熱気流を受けて感熱作動機構34が熱分解により脱落すると、スプリング50の力及びノズル部38の自重によりノズル部38が図示のようにノズル本体32の下部に突出し、同時に軸42も下降して弁体41が弁座41aから離れ、それまで閉じていた流入路35を開く。
【0071】
このため、接続ネジ部33側に接続している給水配管(不図示)から加圧された消火用水は矢印のように流入路35を通って駆動部36の周囲に流れ込み、インペラ36aを水流が通ることで回転力を発生して、ハウジング36bが回転する。
【0072】
駆動部36の回転は内側に設けたダブル遊星歯車機構を用いた減速部37により減速され、減速回転がキャリアケース44より延在した固定ガイド45に伝えられる。このときノズル部38は固定ガイド45に沿って下側に加工した図示の位置にあり、減速部37のキャリアケース44の減速回転を固定ガイド45を介して受けることで、例えば水量が40リットル/分だとすると1rpm程度で減速回転される。
【0073】
駆動部36を通った水流は固定ガイド45の部分からノズル部38の内部に流れ込み、中心から外側方向に直線溝の形成で開口しているスリット穴40より外部に散水される。
【0074】
ここでノズル部38は第1部材38A、第2部材38B及び第3部材38Cの組立アッセンブリィで構成され、このうち第2部材38Bと第3部材38Cの組立状態を図10(A)に取り出している。この第2部材38Bと第3部材38C、更に、図示しない第1部材との合せ面にはスリット穴40が複数形成されている。
【0075】
図10(B)は第2部材38Bの組合せ面を示しており、スリット穴40は組合せ面に内側の流入路35から外側に向かって溝加工することにより形成されている。このようなノズル部38の構造にあっては、例えば図10(B)の第2部材38B等の組み合わせ面に設けるスリット穴40の角度を高天井用と低天井用に適合した角度に設定すればよい。具体的には、高天井用についてはスリット穴40の傾きを垂直方向に対し小さい角度とし、低天井用は大きい角度とすればよい。
【0076】
図11は図9に示した本発明による走査型ヘッド9Bの作動状態における散水パターンの説明図である。天井面に設置された本発明の走査型ヘッド9Bが火災による熱気流を受けて作動すると、図示のようにノズル部38が突出した状態で周囲6カ所に配列しているスリット穴から消火用水が放水されて放水パターン60が得られる。
【0077】
このノズル部38からの放水パターン60によって所定の防護範囲62に6方向に向いた棒状の散布パターン61a,61bが得られ、このときノズル部38は放水による水流を受けて駆動部36の回転により矢印方向に回転する。その結果、各散布パターン61a,61bは防護範囲62を1rpm程度の低速度で回転走査することになる。
【0078】
ノズル部38のスリット穴40は縦方向に配列しているので、実際にはノズル部38からの放水はスポット状の放水パターンが連続的に並んだ散布パターンとなるが、各スポット状の放水パターンが消火対象面に当たった際に飛散及び消火対象面を流れることによりスポット状の散水パターンが広がって、隣同士が繋がった帯状の散布パターン61aとなる。
【0079】
このように帯状の散布パターン61aにするためには、図10に示した第2部材38B、第3部材38Cに形成するスリット穴40につき、その設置高さHに応じて、遠くに散水するノズル部38の上側のスリット穴40は横方向に溝を形成し、近くに散水するノズル部38の下側のスリット穴40は下方向に溝を形成する。そしてスポット状の散水パターンが消火対象面に散水される際に繋がって帯状の散布パターン61a,61bとなるように、それぞれのスリット穴40の溝方向を設定する。
【0080】
この走査型ヘッド9Bの利点は、防護範囲内にある或る部分を集中的に散布するように散布パターンを形成し防護範囲内を走査するようにしたので、火災に対して瞬時的には大量の消火用水が散布されるため、少ない放水量でより高い消火能力が得られ、水損被害も小さいという利点を持つ。
【0081】
また閉鎖型ヘッドと同程度の消火能力とした場合には、配管内の水圧を低くでき、水槽ポンプ等の容量も少なくて済み、更に配管サイズも小さくなり、更に防護範囲内の或る部分に集中的に散水するようにノズル部を形成しているため、防護範囲を閉鎖型ヘッドの場合と比較して、より広くしても同程度の消火能力が維持でき、このためノズルの設置個数が低減でき、結果として設備コストが低減できる。
【0082】
この図8〜図11に示した走査型ヘッド9Bについても、図3の閉鎖型ヘッドの場合と同様、図6のように設置高さに対する理想放水パターンを設定してヘッドの下側所定高さHthに設定した測定散水面での理想散水分布線Gxを求めて図7の特性を定義し、これによって高天井に実際に設置しなくとも、通常の従来から行っていた低い設置高さ程度に走査型ヘッド9Bを設置した放水試験で、高天井設置状態と同等な散布性能の試験ができる。
【0083】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含む。また本発明は上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

【発明の効果】
【0084】
以上説明してきたように本発明によれば、高天井の設置状態で散水エリアが広がり過ぎないように下向きに散水させる構造を備えたヘッド及びそのヘッドを備えたスプリンクラー消火設備とすることで、低天井と高天井のそれぞれに連続してヘッドを設置するような場合であっても、低天井用ヘッドからの放水範囲と高天井用ヘッドの散水範囲がほぼ同じとなり、高天井用ヘッドからの散水が広がり過ぎて散水量が不足する領域を確実に防止し、天井高さに関わらず、それぞれのヘッドが同じ消火性能による散布領域を確実に確保することができる。
【0085】
また本発明のヘッドの性能評価方法によれば、高天井用のヘッドであっても低天井用と同等な例えば2〜3メートル程度の高さに設置した状態での放水試験で、その放水パターンの状態から最適な設置高さを推定することができ、簡単且つ確実にヘッドを高天井用か低天井用か評価することができる。
【0086】
また既存のヘッドについて本発明によるヘッドの性能評価方法を適用することで、同様に高天井用か低天井用かの性能評価ができ、これによって設置高さに応じ性能評価で分類された適切なヘッドを設置でき、設置高さが異なっても、予定されたほぼ同じ散水領域に必要な量の消火用水を確実に散水することができる。

【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明によるスプリンクラー消火設備の説明図
【図2】本発明で使用するヘッドの設置高さに対する散水パターンの説明図
【図3】本発明による閉鎖型ヘッドの作動前と作動後の断面図
【図4】図3で使用する低天井用デフレクタと高天井用デフレクタの実施形態の説明図
【図5】図3で使用する低天井用デフレクタと高天井用デフレクタの他の実施形態の説明図
【図6】本発明の性能評価方法で使用する理想散水パターンと放水有効半径の説明図
【図7】図6に基づいて得られた放水有効半径Rに対する設置高さHの特性図
【図8】本発明による走査型ヘッドの説明図
【図9】本発明による走査型スプリンクラーヘッドの作動状態の断面図
【図10】走査型ヘッドの動作説明図
【図11】図8で使用するノズル部の説明図
【符号の説明】
【0088】
1:消火ポンプ
4:給水本管
6:分岐管
7:流水検知装置
8:流水検知スイッチ
9L:低天井用ヘッド
9H:高天井用ヘッド
9A:閉鎖型ヘッド
9B:走査型ヘッド
9a〜9e:ヘッド
10:床面
11:末端試験弁
12:オリフィス
15:ポンプ制御盤
16:スプリンクラー監視盤
18H,18M,18L:放水パターン
20:散水領域
21:ヘッド本体
22:弁体
23:デフレクタ
23L:低天井用デフレクタ
23H:高天井用デフレクタ
24:感熱分解部
28:切込み
28a:深切込み
29:スリット穴
30:規格散水面
31a〜31e:測定散水面
32:ノズル本体
34:感熱作動機構
35:流入路
36:駆動部
37:減速部(ダブル遊星歯車機構)
38:ノズル部
38A〜38C:第1〜第3部材
40:スリット穴
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