図1は本発明による固定式消火設備の消火用散水ノズルの実施形態を示した断面図である。図1において、本発明の消火用散水ノズル1は、ノズル本体2の上部に水道管からの水道水を供給する給水管に接続する接続ネジ部3を有し、下部に火災による所定温度を感知して離脱する感熱作動機構4を突出している。ノズル本体2は、上部よりケース2a,2b,2c及び2dを順次ねじ込み固定した円筒状の部材で構成される。
ノズル本体2の上部の接続ネジ部3内には水道水が流入する流入路5が形成されており、流入路5の途中の弁座11aの部分に軸12の先端に一体に形成した弁体11を定常監視状態で配置して、流入路5を閉じている。弁体11による流入路5の閉鎖で分けられた一次側流入路5aには第1ストレーナ13が配置され、一方、二次側流入路5bには第2ストレーナ14が配置されている。第1ストレーナ13と第2ストレーナ14は、消火液または消火用水中のゴミを除去し、後述する駆動部6やノズル部8にゴミがつまるのを防ぐ。
一次側流入路5aに配置した第1ストレーナ13は水道水の中に浸されていることから、錆びにくい荒い網目のものを使用している。これに対し二次側流入路5b側の第2ストレーナ14にあっては、大気中に開放していることから錆びにくく、従って細かい網目のものを使用している。このような弁体11で閉じた流入路5の一次側と二次側に分けて一次側に荒い網目の第1ストレーナ13を配置することで、ストレーナの腐食をしにくくし、耐久性を高めている。
なお、必ずしも第1ストレーナ13と第2ストレーナ14の2つを設ける必要はなく、必要に応じてストレーナを流入路側に設ければよい。
弁体11で閉鎖した流入路5に続いては駆動部6が設けられている。駆動部6は、ケース2bの内部に一体形成したハウジング16に装着したベアリング17の外側に回転自在に支持したケーシング6bに一体に複数枚のインペラ6aを形成しており、弁体11を開くことで流入路5から流入した水流をインペラ6aで受けてケーシング6bを回転駆動できるようにしている。
駆動部6の内部には減速部7が設けられている。減速部7として、本実施形態にあっては、ダブル遊星歯車機構が設けられている。即ち、ケース2bのハウジング16に対しねじ込み固定した中心に弁体11の軸12を通したハウジング15にサンギア18aを固定し、サンギア18aの外側にプラネタリギア19を噛み合わせ、プラネタリギア19に駆動部6のケーシング6bに固定したインターナルギア21を噛み合わせている。プラネタリギア19はネジシャフトによりキャリアケース20に回転自在に装着されている。
続いてハウジング15の外側にサンギア18aと同様、サンギア18bが固定され、サンギア18bにはプラネタリギア22が噛み合っており、プラネタリギア22にはキャリアケース20に固定したインターナルギア23が噛み合っている。
プラネタリギア22はネジシャフトによりキャリアケース24に連結されており、キャリアケース24がダブル遊星歯車機構の減速した出力回転を取り出す出力部となる。減速回転の出力部となるキャリアケース24の下端は、破線のようにノズル本体2の下方に延在されて固定ガイド25を一体に形成している。
図2は図1の減速部7に設けているダブル遊星歯車機構を取り出している。このダブル遊星歯車機構にあっては、サンギア18aが固定されており、サンギア18aに噛み合わせたプラネタリギア19を介して駆動部6の回転をインターナルギア21で入力している。プラネタリギア19はキャリアケース20に回転自在に装着され、キャリアケース20は2段目のインターナルギア23に回転を伝える。
インターナルギア23の内側にはプラネタリギア22が設けられ、サンギア18aと同様に、固定されたサンギア18bに噛み合っている。プラネタリギア22はキャリアケース24に回転自在に装着され、キャリアケース24が駆動部6の入力回転を減速した出力回転を外部に取り出す。
再び図1を参照するに、上部に弁体11を備えた軸12の下端は、減速部7を装着しているハウジング15を貫通して下方に取り出され、先端に止めネジ35によりリテーナ34を装着し、キャリアケース24側のストッパ部材29との間にスプリング30を組み込んでいる。スプリング30は図示の状態で圧縮され、ストッパ部材29に対しリテーナ34側を下方に付勢している。
駆動部6の内側に設けた減速部7に続いては、ノズル部8が設けられている。ノズル部8は先端を台形円錐に絞り込んだ円筒体であり、この実施形態にあっては、第1部材8A、第2部材8B及び第3部材8Cを組み合わせた分割構造を持っている。
ノズル部8の上部側にフランジ部を形成している第1部材8Aは、上部外周面に形成した溝に四フッ化エチレン樹脂シート32(以下「シート32」という)を装着しており、シート32の装着面と反対側の面をストッパ面36としている。シート32は感熱作動機構4が熱分解により脱落してノズル部8が下降した時、下部のケース2dの上部内縁のシート圧着段部33に接触してノズル部8の周囲の空間から下側に水流が漏れ出すのを防ぐ。
またシート圧着段部33に続いてはストッパボール37が組み込まれており、ノズル部8が下降した時、上部の鍔部の下側に位置するストッパ面36がストッパボール37に当接して抜け止めされる。ノズル部8は減速部7の減速回転が出力されるキャリアケース24から延在した固定ガイド部25を破線のように軸方向に貫通しており、感熱作動機構4が脱落するとスプリング30の押圧と自重で固定ガイド部25に沿って下降し、ノズル本体2の下部のケース2dの下端より外部にノズル部8が突出される。
第1部材8A,第2部材8B及び第3部材8Cを組み合わせた構造のノズル部8は、軸方向に沿った各部材の組合せ面に、上側から矩形開口をもつ1つもしくは複数の防護用散水穴11を開口すると共に、その下側に複数の矩形開口をもつ消火用散水穴10を形成している。防護用散水穴11は水平方向または所定の上方向・仰角方向にソリッド状の放水を行って防護用散水パターンを形成する。消火用散水穴10は斜め下向きに複数開口され、防護範囲の特定領域に向けて複数本のソリッド状の放水を行って消火用散水パターンを形成する。
感熱作動機構4は、ノズル部8を図示の収納位置に保持する支持プレート42を、ロックボール38を介して下側に組み付けたプッシャプレート43で支持しており、プッシャプレート43は中心部を断熱材40を介して集熱板44に支持されており、更に集熱板44はヒューズ47によってネジ穴付きの取付フランジ48に固定している。
取付フランジ48はプッシャプレート43に中央下部より延在したネジ部49にねじ込み固定されている。更に集熱板44の上部には2枚の集熱板45,46が組み付けられている。
この感熱作動機構44にあっては、火災による熱を受けて所定温度に上昇するとヒューズ47が溶け、ロックボール38を支持しているプッシャプレート43が脱落し、これに伴って支持プレート42も脱落し、ノズル部8の保持が解除されて下方に突出するようになる。
ここで図1の消火用散水ノズル1にあっては、駆動部6、減速部7、及びノズル部8を、エンジニアリングプラスチックの成形部材で構成している。本発明の消火用散水ノズル1に使用するエンジニアリングプラスチックは、通常のプラスチックでは限界があった機構部品や機能部品としても十分に使用に絶える機械的性質と耐熱性をもった金属材料を凌駕する素材であり、通常、エンプラとして知られている。
特に本実施形態にあっては、機械的性質と耐熱性がより高いスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)を使用する。このスーパエンジニアリングプラスチックは、機械的性質として500Kgf/cm2 以上の引張強さで2万Kgf/cm2 以上の曲げ弾性率を有し、耐熱性として150℃以上の熱変形温度を有する。
例えば、駆動部6及び減速部7は、ノズル本体2内に収納され、作動後は水の供給を受けることから、熱変形温度260℃以上のポリフェニレンサルファイドPPSを使用する。これに対しノズル部8は、火災時に熱気流に直接さらされるため、熱変形温度330℃以上のポリエーテルニトリルPENTや熱変形温度326℃以上のポリエーテルエーテルケトンPEEK等の耐熱性の高いものを使用する。
このように駆動部5、減速部6及びノズル部8にエンジニアリングプラスチック、特に耐熱性の高いスーパーエンジニアリングプラスチックの樹脂成形部材を使用したことで、部品が高い精度で容易に制作でき、安定した駆動、減速及び散水ができる。またエンジニアリングプラスチックの成形部材は、摩擦係数が小さく、摩耗性にも優れ、動作がスムーズである。
特に減速部7は、図2のように多数の歯車を備えたダブル遊星機構であり、各歯車がエンジニアリングプラスチックの成形品として高い精度で容易に制作でき、金属加工の場合に比べ製作コストを大幅に低減できる。
またノズル部8は、後の説明で明らかにするように、防護用散水穴11と消火用散水穴10の配列部分を通る面で複数の部材8A,8B,8Cに分割してエンジニアリングプラスチックにより樹脂成形し、各分割部材8A〜8Cの組合わせ面に複数の矩形あるいは円形などの溝を形成して組み合わせて矩形等の開口を持つ防護用散水穴11と消火用散水穴10を形成する。この場合、エンジニアリングプラスチックの成形部材は、面接触するように組合わせた場合、エンジニアリングプラスチック接触面に接着性があり、分割された部材の隙間から水が漏れ出すことがない。
更に、駆動部5、減速部6及びノズル部8に使用するエンジニアリングプラスチックは、耐薬品性にも優れているため、長期間に亘り装置の信頼性が維持できる。勿論、射出成形により大量生産でき、後加工も不要のため、低価格で生産できる。更にまた、ある程度部品の一体化が図れるため、部品点数が少なくなり、組立コストも下がる。
図3は、図1の感熱作動機構4が火災による所定温度で離脱し、ノズル部8が突出した水道水の放水動作状態の断面図である。
火災による所定温度への上昇で図1の感熱作動機構が熱分解により脱落すると、スプリング30の力及びノズル部8の自重によりノズル部8が図示のようにノズル本体2の下部に突出し、同時に軸12も下降して弁体11が弁座11aから離れて、それまで閉じていた流入路5を開く。このため、接続ネジ部3側に接続している図示しない給水配管からの水道水は矢印のように流入路5を通って駆動部6の周囲に流れ込み、インペラ6aを水流が通ることで回転力を発生してハウジング6bが回転する。
駆動部6の回転は内側に設けた減速部7により減速され、減速回転がキャリアケース24より延在した固定ガイド部25に伝えられる。このときノズル部8は固定ガイド25に沿って下側に下降した図示の位置にあり、減速部7のキャリアケース24の減速回転を固定ガイド25を介して受けることで、例えば1rpm程度で減速回転される。
駆動部6を通った水流は固定ガイド25の部分からノズル部8の内部に流れ込み、中心から外側方向に直線溝の形成で開口している防護用散水穴11及び消火用散水穴10より外部に散水される。
図4は図1に示した本発明の消火用散水ノズル1に設けているノズル部8の組立分解図である。本発明のノズル部8は、中央に位置するノズル部本体となる第1部材8A、第1部材8Aの下側の空洞部に両側から組み付けられる一対の第2部材8B、第2部材8Bのそれぞれの外側に組み付けられる一対の第3部材8Cで構成され、ボルト72のナット73により固定される。
第1部材8Aは、上部に円板状の鍔部50を形成しており、鍔部50の上面外側にシート嵌合溝56を形成している。このシート嵌合溝56には、図1のようにシート32が装着される。鍔部50の下側には円筒部57を介して略U字型の支持アーム51が一体に形成される。
円筒部57の内部には図1に示した減速部7のキャリアケース24より延在した固定ガイド25が収納されるスライド溝52が形成され、その内側が流入路となっている。下部に設けた支持アーム51は先端に位置決め突起54を形成しており、その下側に受け穴が形成され、受け穴には図1の感熱作動機構4に設けている支持プレート42の中心部の突起が嵌合される。
図5は図4に示した第1部材8Aの支持アーム51の両側に組み付けられる第2部材8Bと第3部材8Cの組立アッセンブリィである。この組立アッセンブリィから明らかなように、本発明にあっては、ノズル部8に形成する防護用散水穴11と消火用散水穴10の配列方向に沿って第1部材8A、第2部材8B及び第3部材8Cに分割することを基本としている。このため防護用散水穴11と消火用散水穴10は、各分割部材の組合せ面に内側の流入路から外側に向かって矩形溝を加工することにより形成できる。
再び図4を参照するに、第2部材8Bは、内側の組合せ面60に防護用散水穴11と消火用散水穴10を形成する複数の矩形開口をもつ直線溝を所定方向に形成している。このような組合せ面60に対する矩形開口をもつ直線溝の形成により防護用散水穴11と消火用散水穴10が形成できるため、防護用散水穴11と消火用散水穴10の開口及び方向についても簡単な直線溝加工で自由に形成することができる。
第2部材8Bの上部外側には鍔部63が延在しており、鍔部63の下側を切り欠いて第3部材8Cの組合せ面62を形成している。また第2部材8Bの内側は流入路65を形成しており、流入路65の下部に、第1部材8Aの支持アーム51側の位置決め突起54に嵌合する位置決め凹部61を形成している。外周側に図8の第3部材8Cを組み付けるための組合せ面62を加工したことで、内側の流入路65に開放する開口部64が形成されている。
図6は図4の第3部材8Cを取り出して示した説明図である。ここで図6(A)は内側から見た正面図、図6(B)はY−Y断面図、図6(C)は外側から見た背面図、図6(D)は図6(A)の左側の組合せ面70bを正面に見た図、図6(E)は組合せ面70b側の図6(A)の側面図、図6(F)は平面図、図6(E)は底面図である。
第3部材8Cは平面的に見ると扇形形状を持ち、内側の組合せ面70a,70bのそれぞれに図6(A)のように所定の散水方向に向けて直線溝を形成することで、1本の防護用散水穴11と複数の消火用散水穴10を形成している。防護用散水穴11は、水平方向を0°とすると、例えば0°〜10°の範囲に入る所定の仰角をもつ直線溝を加工することで、防護区画の壁面または天井面に向けた散水により防護用散水パターンを形成する。防護用散水穴11の下側には斜め下向きに複数の直線溝を加工することで複数の消火用散水穴10を形成している。
図6(E)の組合せ面70bの側面図から明らかなように、中心から外側に向かって任意の放射角度による直線溝の加工で任意の矩形開口の大きさと方向を持つ防護用散水穴11と消火用散水穴10を容易に形成することができる。
また第3部材8Cにはボルト通し穴71が外側より2箇所に形成されており、図4に示したように、両側に位置する第3部材8Cに対しボルト72とナット73により、間に第1部材8Aを中心に両側に第2部材8Bを配置して組み付けることで、図1のようなノズル部8の組立構造を得ることができる。このような第1部材8A、第2部材8B及び第3部材8Cの組立体でなるノズル部8によれば、平面から見て周囲の6箇所に、軸方向に並んだ防護用散水穴11と消火用散水穴10の配列が形成される。
この場合、スーパーエンジニアリングプラスチックの成形部材である第1部材8A、第2部材8Bおよび第3部材8Cは、面接触するように組合された場合、スーパーエンジニアリングプラスチックの接触面に接着性があるため、分割された部材の隙間から水が漏れ出すことがない。
図7は図3に示した本発明の消火用散水ノズル1の作動状態における散水パターンの説明図である。天井面に設置された消火用散水ノズル1が火災による熱を受けて作動すると、図示のようにノズル部8が突出した状態で周囲6箇所に配列している消火用散水穴より、供給された水道水の放水による散水パターン80が得られる。
このノズル部8からの散水パターン80によって、所定の防護範囲82に6方向に向いた棒状の散布パターン81a,81bが得られ、このときノズル部8は放水による水流を受けて駆動部6の回転により矢印方向に回転し、その結果、各消火用散布パターン81a,81bは防護範囲82を1rpm程度の低速度で回転走査することになる。
ノズル部8の消火用散水穴10は縦方向に配列しているので、実際にはノズル部8からの放水はスポット状の散水パターンが連続的に並んだ散布パターンとなるが、各スポット状の散水パターンが消火対象面に当った際に飛散、および消火対象面を流れることにより、スポット状の散水パターンが広がって隣同志が繋った帯状の散布パターン81a,81bとなる。
このように帯状の散布パターン81a,81bにするために、第2部材、第3部材に形成する散水穴10の溝の方向をそれぞれ設定している。つまり、図6に示したように、第2部材、第3部材に形成する消火用散水穴10につき、遠くに散水するヘッド部8の上側の消火用散水穴10は横方向に溝を形成し、近くに散水するヘッド部8の下側の散水穴10は下方向に形成する。そして、スポット状の散水パターンが消火対象面に散水される際に繋って帯状の散布パターン81a,81bになるように、それぞれ消火用散水穴10の溝の方向を設定する。
尚、消火用散水穴10の大きさを変えることで、一つの消火用散水穴10から放水される消火液の量を変えることができる。ノズル部8の上側の消火用散水穴10は、消火用散水ノズル1の位置から離れた防護範囲に散水するため、近距離に散水する下側の消火用散水穴10よりも大きくして、水量を多くして遠くに散水する。
通常、ノズル部8は直径2cm程度の小さなものであるから、それぞれが方向、穴の大きさが相違する複数の散水穴を1個の円柱部材に形成しようとしても、技術上困難である。ところが、本発明のような矩形開口の直線溝を形成した分割部材を組立てることにより、容易に複数の散水穴の開いた小さいノズル部8を形成することができる。
ここで図4の組立アッセンブリィから明らかなように、第2部材8Bの組合せ面の消火用散水穴10は、その間に入る第1部材8Aの支持アーム51との組合せで軸方向に2列の散水穴10を形成することとなり、この2列の散水穴は近接していることから、図7の散布パターンにあっては、1つの棒状の散布パターン81aとなり、一列の消火用散水穴10の散布パターン81bに比べるとその幅が広くなる。
尚、減速部7を設けた理由は、ノズル部8を駆動部6のケーシング6bのみで回転させると、かなりの高速でノズル部8が回転してしまい、ノズル部8から散水された消火用水は塊状から粒状に分散し、防護範囲内の特定部分に集中的に散水する散布パターンが形成できなくなり、防護範囲のある一点から見ると一回の走査で到達する消火用水の水量が少なくなり、粒子径も小さくなり、また消火用水の打力も低減して消火能力が低下してしまうからである。
これを防止し、集中的に散水する散布パターンを形成するため散布パターンの走査の速度を散布パターンの走査の形状が維持できる程度の比較的低速度にする必要があるために減速部7を設けている。
このような消火用散水穴10からの散水による防護範囲内の特定部分に集中する散水パターン80の散水に加え、本発明の消火用散水ノズル1にあっては、ノズル部8が突出した状態で周囲6箇所に配列している防護用散水穴11より、供給された水道水の散水による散水パターン90が得られる。
防護用散水穴11は図6(E)に示したように、水平方向に対し0°〜10°の範囲で決めた所定の仰角をもち、天井面に近い壁面上部、具体的には天井面に対し0〜50センチメートル以下の壁面位置に当たるように棒状の散水パターン90が得られ、このときノズル部8は放水による水流を受けて駆動部6の回転により矢印方向に回転し、その結果、各散水パターン90は天井面に近い壁面位置を1rpm程度の低速度で回転走査することで棒状の各散水パターン90が分離せずに防護散布パターン軌跡92を形成する。
ここで、ノズル部8はコーナーで直交する矩形壁面に対し外接する例えば半径1800センチメートルの円の中心位置に配置されており、コーナー位置で距離が2600センチメートルと最も遠くなることから、防護散布パターン軌跡92に示すように水の当たる位置が最も下がり、その間では距離の減少に応じて天井面に近づいた円弧状の軌跡となっている。
防護散布パターン軌跡92に示すように、ヘッド部8の防護用散水穴11からの棒状の散水パターン90が当たると、壁に当たった水は、その後、壁を伝わって流れ落ち、これによって防護散布パターン軌跡92の下側となる壁面を水道水で濡らすことができ、壁を濡らす散水はヘット部8の1rpmの回転により、局所的に見ると、1分間に1回、集中的に散布され、防護散布パターン軌跡92の下側となる壁面の濡らし状態を維持する。
このため高齢者施設や一般家庭のように、壁面の耐熱性能が低くとも、防護用散水穴11からの散水により壁面を天井面に近い位置から濡らすことにより、火災時に炎が壁や天井を貫通して拡大することを未然に防止できる。
また壁面の窓にはカーテンが設けられ、防護用散水穴11の放水による防護散布パターン軌跡92がカーテンを通ることもあるが、防護用散水穴11からの散水は棒状のソリッド放水であり、通常のレースカーテンであれば容易に貫通して背後の壁面側を確実に濡らすことができる。カーテンにも散水できることでカーテンによる延焼を防止することができる。
また防護用散水穴11から棒状の防護用の散水パターン90が散水されることで、打力の強い散水となり、たとえ天井面に散水が当たっても、散水の威力が殆ど低減されずに壁面方向に防護散水することができる。
またヘッド部8の防護用散水穴11及び消火用散水穴10による散水パターン90,80は水平回りの6箇所に分かれた散水パターンであり、散水パターンの間は散水のない領域として存在しており、散水のない部分で視界が充分確保でき、火災現場からの避難が容易にできる。
図8は本発明の散水による消火の様子を従来と対比して示している。図8(C)は従来の散水パターンであり、従来の散水能力では防護範囲82全体に均一に散水させるため、消火用水をデフレクタで分散させて粒状にして散水しており、防護範囲82内に比較的粒子径の小さな様々な大きさをもった粒状の水によるスポット状散布パターン84が得られる。
そのため火災の勢いが強い場合には、分散された水は粒子径が小さいため火災の気流に負け、炎83の深部に達する前に蒸発し火災の抑制に時間が掛かり、また全く消火できないこともある。このため消火用水の量も多くなり、水損による被害も大きくなる。
更に防護範囲82内のある一点から見ると、粒状の水により一瞬、その一点の火災の炎83が弱まったとしても、その時点の付近の炎83により一度掛かった水が蒸発し、付近の炎によって再び燃え始める。このため、完全に消火するまでには時間が掛かる。
図8(A)(B)は本発明による帯状の散布パターンの散水であり、図7の防護範囲82内のある部分に集中的に大量の消火用水を散水する散布パターン81を形成して走査している。このため、瞬間的には散水量が増えると同時に、消火対象物に当たる消火用水の打力及び粒子径も増すので、消火能力が増大する。
即ち、本発明の散布パターン81においては、消火用水は図8(C)のように分散された粒状ではなく、特定の部分に集中的に散水される打力の強い水の塊として消火対象物に散水される。このため、火災気流に負けることなく炎83の深部まで到達して消火能力が高くなり、火災抑制までの時間が短くて済み、したがって鎮火までの水量も少なくて済む。
また図8(B)のように、散布パターン81で防護範囲82の全域を走査して塊状の水で消火するため、一度消火した鎮火部分85が再び燃え上がることを抑え、一度消火された場所を継続して鎮火状態に維持できる。
更に防護範囲82内のある部分に集中して水を散水するようにノズル部8を形成したため、低圧で水量の少ない水道水による散水であっても、充分な消火性能が得られる。
図9は図1の消火用散水ノズル1に使用するノズル部の他の実施形態を示した説明図であり、図9(A)に組立分解図を示し、図9(B)に第2部材を取り出して示している。
図9(A)において、本実施形態のヘッド部100は、ヘッド部本体となる第1部材101と第1部材に対し組付け固定される第2部材102で構成される。第1部材は図4の第1部材8Aと同様、上部に円板状の鍔部104を形成しており、鍔部104の上面外側にシート嵌合溝106を形成している。シート嵌合溝106には、図1のようにシート32が装着される。
鍔部104の下側には円筒部108が一体に形成され、円筒部108に受け穴110を2つ並べて形成し、受け穴110に第2部材102を装着固定している。円筒部108の内部には図1に示した減速部7のキャリアケース24より延在した固定ガイド25が収納されるスライド溝111が形成され、その内側が流入路となっている。
第2部材102は図9(B)に示すように、円筒面をもつL字型の部材であり、受け穴110に対する両側の装着面に、矩形開口の防護用散水穴11と消火用散水穴10を形成するための直線溝11a,10aを設けている。
防護用散水穴11に用いる直線溝11aは、水平方向に対し上方へ0°〜10°の範囲で決めた矢印の散水方向となる所定の仰角をもち、天井面になるべく散水パターンが当たらずに、かつ天井面に近い壁面上部、具体的には天井面に対し0〜50センチメートル以下の壁面位置に当たるように棒状の防護用散水パターンを形成する。
防護用散水穴11に用いる直線溝11aに続いては、消火用散水穴10を形成する複数の直線溝10aを設けている。また複数の直線溝10aは下向き角度を順次増加させることで、矢印で示す散水方向を得るようにしている。
この図9の実施形態に示すノズル部100にあっても、第1部材101と第2部材102は、スーパーエンジニアリングプラスチックの成形部材であり、第1部材101に第2部材102を面接触するように組合された場合、スーパーエンジニアリングプラスチックの接触面に接着性があるため、分割された部材の隙間から水が漏れ出すことがない。
また図9(A)の第1部材101の円筒部108の反対側には同様に2つの受け部が隣接して形成され、そこにも第2部材102を装着して防護用散水穴11と複数の消火用散水穴10を形成するようにしている。
このため第1部材101に対する4つの第2部材102の組付けにより、ヘッド部100の周囲の8箇所に縦方向に防護用散水穴11と消火用散水穴10の並びが得られる。そのため図7に示したように、消火用散水ノズル1が火災による熱を受けて作動すると、ヘッド部100から周囲の8方向に防護用散水穴11と消火用散水穴10による散水パターンを生ずるが、第1部材101の隣接する受け部110に第2部材102を組付け固定した場合、隣接する第2部材102の左側面と右側面に開口した散水穴については、間隔が狭いために防護範囲82に当たった場合に横幅の広い1つの散布パターンとなり、その結果、図7に示した同じ6方向に分かれた散布パターンが得られる。
このように図9のノズル部100は図4の組立分解図に示したノズル部8に比べて部品点数が少なく、構造が簡単であり、低コスト化できる。
図10は本発明による消火用散水ノズルの他の実施形態を示す説明図である。図10において、消火用散水ノズル200のノズル本体202上には水道水が供給される配管に接続される接続ネジ部203が設けられている。
接続ネジ部2013には水道水が流入する流入路204が形成され、流入路204は通常の監視時には駆動軸207の先端に固定されたバルブ205により閉鎖されている。駆動軸207のバルブ205の下部にはバルブ205が流入路204を開放したとき水道水の水流を駆動源として駆動軸7を回転させる駆動部としてのインペラ206が取り付けられている。
ノズル本体202内には半球状のノズル部215が収納されている。ノズル部215の上端にはフランジ部215aが形成され、また、ノズル部215の下側には消火用散水穴10が形成され、所定の棒状(ソリッド状)の散水パターンで水道水の塊として防護範囲の特定の部分に集中的に散水する。消火用散水穴10は所定の間隔をおいて上下方向に複数個形成され、また、横方向に所定の間隔をおいて3列となるように形成されている。
ノズル部215に形成した消火用散水穴10の上には、防護区画を区分している天井面または天井面に近い壁面に向けて水道水を棒状の防護用散水パターンとして散水する防護用散水穴11が形成される。防護用散水穴11の方向は水平方向を0°とすると、例えば0°〜10°の範囲となる所定の仰角をもつように形成される。
また、ノズル本体202内には減速部208を収納するケーシング209が設けられている。減速部208は、インペラ206の回転による駆動軸207の回転を入力し、所定の減速比で減速させて出力し、ノズル部215を低速回転させる。
ノズル部215の回転により、消火用散水穴10から所定の防護範囲内の特定の部分に集中的に散水する消火用散水パターンを走査して所定の防護範囲内全域に消火用水を散水して消火を行う。同時に、ノズル部215の回転により、防護用散水穴11から天井面または天井面に近い壁面に向けて散水する防護用散水パターンを走査して壁面を均一に濡らし、炎が壁面や天井面を貫通して拡大することを防止する。
減速部208は、駆動軸207に固定されたウォームギア207aと、ウォームギア207aに噛合しギアシャフト211に固定されたウォームホイールギア210と、ギアシャフト211上に設けられたウォームギア212と、ウォームギア212に噛合しギアシャフト214上に固定されたウォームホイールギア213と、ギアシャフト214に固定されたドリブンギア214aと、ドリブンギア214aに噛合し、ノズル部215の内壁に形成されたインターナルギア216とにより構成される。
駆動軸207の回転はウォームギア207a、ウォームホイールギア210、ギアシャフト211、ウォームギア212、ウォームホイールギア213、ギアシャフト214、ドリブンギア214a、インターナルギア216を経てノズル部215に伝達され、ノズル部215の回転を所定の減速比で減速させる。このような減速部208を設けたのは、ノズル部215をインペラ206のみで回転させると、かなりの高速でノズル部215が回転してしまい、ノズル部215から散水された消火用水は塊状から粒状に分散してしまい、防護範囲内の特定の部分に集中的に散水する散布パターンを形成できなくなり、防護範囲のある一点からみると、一回の走査で到達する消火用水の水量が少なくなり、粒子径も小さくなり、また打力も低減して消火能力が低下してしまうからである。これを防止し、集中的に散水する散布パターンを形成するため、散布パターンの走査の速度を散布パターンの形状が維持できる程度の比較的低速度にする必要があるためである。
減速部208においては、インペラ206が例えば2400rpmで回転する場合、ウォームギア207aとウォームホイールギア210からなる1段目で1/20、ウォームギア212とウォームホイールギア213からなる2段目で1/20、ドリブンギア214aとインターナルギア216からなる3段目で1/6に減速させると、ノズル部215の回転を1rpm程度に減速させることができる。
また本実施形態の減速部208は図2に示したダブル遊星歯車機構に比べて構造が簡単であり、低コスト化できる。
ケーシング209とノズル本体202の内壁との間にはOリング220が介装され、火災の発生でノズル部215が下降するとき、ケーシング209とともにOリング220も一体になって下方に移動する。ノズル本体202の下端には内方に突出する鍔部229が形成され、鍔部229により開口部202bが形成されている。駆動軸207はノズル部215の底部の内側中央部まで突出し、ノズル部215の底部の中央部からは下方に軸215bが突出している。この軸215bは通常の監視時には支持プレート223に形成された円筒部223a内に挿入されている。
ノズル本体202の開口部202bには感熱作動部218が組み込まれ、ノズル部215およびケーシング209を押圧、支持し、通常の監視時にはバルブ205により流入路4を閉止している。リンクプレート219a,219bは半田で接合され、各端部にはリンク221の一端がそれぞれ連結され、アーム221の他端はノズル本体202に形成した係止穴222にそれぞれ係止している。
アーム221上には支持プレート223が配置され、支持プレート223の円筒部223a内にノズル部215の軸215bが挿入された状態で支持プレート223はノズル部215を押圧、支持している。
次に、図10の消火用散水ノズル200の動作を説明する。通常の監視時においては、ノズル本体202の開口部202bに組み込まれた感熱分解部218の支持プレート223によりノズル部215を押圧、支持しており、接続ネジ部203の流入路204は駆動軸207に設けたバルブ204により閉鎖されている。
火災が発生すると、リンクプレート219aとリンクプレート219bとを接合していた半田が火災による熱で熔解して、リンクプレート219a,219bが2つに分解して、さらにリンク221の係止穴222に対する係止が解除されて落下し、リンク221により支持されていた支持プレート223も分解して落下する。
このため、ノズル部215と減速部208を収納したケーシング209はノズル本体202内で下降し、ノズル本体202の下端部に形成した鍔部229にノズル部215のフランジ部215aが係合し、バルブ205は接続ネジ部203の流入路204を開放する。流入路204が開放されると、流入路204まで供給されていた水道水は、流入路204を通ってノズル本体2内に入り、インペラ206を回転させる。
インペラ206は駆動軸207を回転駆動させる。駆動軸207の回転はウォームギア207a、ウォームホイールギア210、ギアシャフト211、ウォームギア212、ウォームホイールギア213、ギアシャフト214、ドリブンギア214a、インターナルギア216を経てノズル部215に伝達され、駆動軸207の回転を所定の減速比で減速させて、ノズル部215を回転させる。
また、流入路204、ノズル本体202からノズル部215に流入した消火用水は、ノズル部215に形成した3列の防護用散水穴11及び消火用散水穴10から棒状の散水パターンによる放水が行われる。
図11は図10の消火用散水ノズル200による散水動作を示している。ノズル部215に設けた消火用散水穴10からの散水パターン224aにより、防護範囲82には帯状の散布パターン224が得られる。帯状の散布パターン224は防護範囲82内で半径方向に伸びる3本の散布パターンを形成し、ノズル部215の回転により中心部を中心として矢印Bで示す方向に回転し、所定の防護範囲82を走査する。
すなわち、天井面に設置した消火用散水ノズル200のノズル部215には消火用散水穴10が所定の間隔をおいて半径部となる周方向に3列に形成されている。これらの3列の消火用散水穴10からそれぞれ図示のような棒状の散水パターン224aで消火用水が散水されると、消火用散水穴10の並びは散水パターン224aが防護範囲25に当った際に飛散して隣接した散水パターン24aの消火用水とくっつき、防護範囲25内で半径方向に伸びる3本の帯状の散布パターン224を形成する。そして、ノズル部215の回転により、帯状の散布パターン224は防護範囲25内を走査する。
このようなノズル部215の消火用散水穴10からの散水による防護範囲内の特定部分に集中して回転走査する散布パターン240の散水に加え、本発明の消火用散水ノズル200にあっては、ノズル部215に形成した3列の消火用散水穴10の上側に防護用散水穴11を1つずつ形成しており、防護用散水穴11より、供給された水道水の放水による散水パターン226が得られる。
防護用散水穴11は、水平方向に対し0°〜10°の範囲で決めた所定の仰角をもち、天井面に近い壁面上部、具体的には天井面に対し0〜50センチメートル以下の壁面位置に棒状の散水パターン226が当たり、このときノズル部215は放水による水流を受けて矢印B方向に回転し、その結果、各散布パターン226は天井面に近い壁面位置を1rpm程度の低速度で回転走査することで防護散布パターン軌跡92を形成する。
ここで、ノズル部215はコーナーで直交する矩形壁面に対し外接する例えば半径1800センチメートルの円の中心位置に配置されており、コーナー位置で距離が2600センチメートルと最も遠くなることから防護散布パターン軌跡92で示す水の当たる位置が最も下がり、その間では距離の減少に応じて天井面に近づいた円弧状の軌跡となっている。
防護散布パターン軌跡92に示すように、ヘッド部215の防護用散水穴11からの棒状放水が当たると、壁に当たった水は、その後、壁を伝わって流れ落ち、これによって防護散布パターン軌跡92の下側となる壁面を水道水で濡らすことができ、壁を濡らす散水はヘッド部215の1rpmの回転により、局所的に見ると、1分間に1回、集中的に散布され、防護散布パターン軌跡92の下側となる壁面の濡らし状態を維持する。
このため高齢者施設や一般家庭のように、壁面の耐熱性能が低くとも、防護用散水穴11からの散水で壁面を天井面に近い位置から濡らすことにより、火災時に炎が壁や天井を貫通して拡大することを未然に防止できる。
図12は図10の実施形態でノズル部215から散水の散水で防護範囲に形成される散布パターンの別の形態を示す。ノズル部215に周方向に90度の間隔をおいて4個の半径方向のスリットとなる消火用散水穴10を形成すると、図12(A)に示すような防護範囲82において帯状の散布パターン224をクロスさせた十字形状の散布パターンが得られる。また、ノズル部215に180度の間隔をおいて2つの半径方向のスリットとなる消火用散水穴10を形成すると、図12(B)に示すように、防護範囲82において、直径方向に帯状の散布パターン224が得られる。
また、ノズル部215に半径方向のスリットとなる散水穴を1個形成すると、図12(C)に示すように防護範囲82において半径方向に帯状の散布パターン24が得られる。また、ノズル部215に半径方向に2列の丸穴の消火用散水穴10を形成し、2列の消火用散水穴の位置を互いにずらせるようにすると、図12(D)に示すように、防護範囲82において、半径方向にスポット状の二列の散布パターン229a,229bが得られる。
勿論、図12(A)〜(D)の何れについても、消火用散水穴10と同じノズル部215の上部位置には防護用散水穴11が少なくとも1つ形成され、防護範囲82に対する散水と同時に、天井面から0〜50センチメートル下がった壁面に散水して均一に濡らすようにする。
このような散布パターンを所定の防護範囲85内で走査しても図10の実施形態と同様な効果が得られる。また散布パターンはこれらに限らず、これらの組み合わせでも、複数のスポット状パターンを設けた構成でも打力の強い塊状の散水ができる。
なお、上記の実施形態にあっては、ノズル部に形成した複数の消火用散水穴10の上部に0°〜10°の範囲に設定した仰角をもつ防護用散水穴11を1つ形成しているが、防護用散水穴11を複数形成して壁面に対する散水量を増して濡らし効率を高めてもよい。防護用散水穴11の形状は矩形穴に限らず、半円などの円形であってもよい。
また、図11の三本の散布パターン224を1組として複数組備えても良い。例えば、3本の散布パターン224を1組とし、回転軸の反対側にも1組対称に用意して計6本の散布パターン224とすると、1組内の3本の散布パターン224が近接させることで短い間隔で3回連続して散水させて消火能力を高められる。そして1組の散水から別の組の散水に切り替わる未散水時間を前述の3本の散布パターンの散水間隔よりも長い間隔とすることで、避難時の視界を確保すると共に、合計散水量を抑えることができる。
また、ノズル部に形成した防護用散水穴11による散水パターンを天井面の壁面とコーナーに近い位置に当てるように、仰角を設定してもよい。このような仰角設定によれば、壁面とのコーナー部分に近い天井面に当たった散水パターンは、天井面から壁面のコーナー部分に流れた後に落下して壁面を濡らすようになり、壁面に近い天井面を含めて壁面を効率良くぬらすことができる。
また上記の実施形態にあっては、ヘッド部分割面に対する直線溝の形成で矩形に開口した防護用散水穴10と防護用散水穴11を形成しているが、直線溝の断面空き形状を変えることで、矩形以外の開口をもつ散水穴を簡単に実現できる。
また、上記実施形態においてはノズル部をスーパーエンジニアリングプラスチックで作成しているが、これに限らず、耐熱性のある部材で形成すれば良く、例えば亜鉛ダイキャストなどであっても良い。
また本発明は、上記の実施形態に限定されず、その目的と作用を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、実施形態に示した数値による限定は受けない。