JPH1168208A - 波長変換素子 - Google Patents

波長変換素子

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JPH1168208A
JPH1168208A JP21648397A JP21648397A JPH1168208A JP H1168208 A JPH1168208 A JP H1168208A JP 21648397 A JP21648397 A JP 21648397A JP 21648397 A JP21648397 A JP 21648397A JP H1168208 A JPH1168208 A JP H1168208A
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貴志 田所
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で、かつ高周波(数ギカビット毎秒以
上)の信号に対しても波長変換を行うことができる波長
変換素子を提供する。 【解決手段】 特定の共振モードに対し異なる利得特性
を持つ複数の活性媒質領域が分布したレーザ共振器と、
前記複数の活性媒質領域のうち少なくとも一つに前記レ
ーザ共振器に垂直な方向から入力光信号を入射する導波
路とから構成され、前記導波路から前記記レーザ共振器
内の少なくとも一つの活性媒質領域に光を入射すると、
クエンチング効果により他の領域で決定されるモード及
び波長のレーザ光が前記レーザ共振器より出射されるよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザを使った波
長変換素子にかかり、特に外部からの入射光に対応して
異なる波長のレーザ光を出射する波長変換素子に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の波長変換素子の概略を図1に示
す。図1(a)は連続光出射半導体レーザ1、半導体ア
ンプ2および干渉計3の組合せからなる波長変換素子の
概念図である。ここに示す波長変換素子においては、外
部からの入力光信号が半導体アンプ2中において連続光
出射半導体レーザ1で決定される波長の信号に変換され
る。また図1(b)は、レーザ共振器中に利得領域4お
よび可飽和吸収領域5を持つ波長変換素子の概念図であ
る。ここでは外部からの入力光信号をレーザの共振器方
向あるいはそれと垂直方向から入射させることで可飽和
吸収領域5の損失を変調し、利得領域4で決定される波
長に変換する。
【0003】しかし、図1(a)に示すような波長変換
素子では、半導体アンプ2の利得飽和を利用するため
に、波長変換された信号は入射信号と反転していおり、
それを元に戻すためにはこの波長変換された信号を干渉
計3に通すか、またはもう一度半導体アンプに通さなけ
ればならない。従ってこの構成では2つの能動素子と一
つの受動素子が必要となり、全体の大きさが大きくなる
という欠点があった。また、図1(b)に示した波長変
換素子は、一つの能動素子から構成されるため、大きさ
も小さくでき、また消費電力も少なくできるという長所
を持つものの、可飽和吸収領域5に蓄積されるキャリア
の寿命で動作速度が決定されるため、その適用範囲は数
ギガビット毎秒以下の信号に制限されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点を改善するために提案されたもので、小型で数ギガビ
ット毎秒以上の信号に対しても波長変換を行うことが可
能な波長変換素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明にかかる波長変換素子は、特定の共振モー
ドに対し異なる利得特性を持つ複数の活性媒質領域が分
布したレーザ共振器と、前記複数の活性媒質領域のうち
少なくとも一つに前記活性媒質領域の共振方向に垂直な
方向から光を入射する導波路とから構成される。本発明
において、上記導波路から上記レーザ共振器内に存在す
る複数の活性媒質領域のうちの少なくとも一つに光を入
射すると、光を入射された活性媒質領域のレーザ利得が
入射光の増幅に用いられ、その活性媒質領域ではレーザ
利得が減少するクエンチング効果がおこる。このように
光を入射された活性媒質領域のレーザ利得が低下する結
果、他の領域で決定されるモード及び波長のレーザ光が
上記レーザ共振器より出射される。このような動作はキ
ャリアの寿命にほとんど左右されないことから、上記導
波路に元信号を入射させることで高速に対応した波長変
換を実現することができる。このとき上記導波路は、特
定の上記活性媒質領域の共振方向に対して垂直に光を入
射するように設けられることが望ましい。
【0006】本発明において、上記複数の活性媒質領域
は、レーザ共振器中に存在していればよい。その中でも
特に請求項2に記載された発明は、これらの活性媒質領
域が同一軸線上に分布していることを特徴とする波長変
換素子である。これによって上記波長変換素子の出射光
の光軸を同一にすることができる。また、これらの活性
媒質領域が異なる利得を持つ共振モードとは、上記レー
ザ共振器が持つあらゆる共振モードを対象とすることが
できる。例えば、請求項3に記載したように、各活性媒
質領域がTEモードまたはTMモードの共振モードに対
して異なる利得特性を持つようにレーザ共振器を構成し
てもよい。なお、上記レーザ共振器は直接遷移型の半導
体材料、例えばInP系やGaAs系のIII−V族化
合物半導体材料を用いて製造することができる。また、
半導体製造プロセスによってレーザ共振器と導波路を一
体に製造することができ、より小型な波長変換素子を得
ることが可能となる。
【0007】本発明にかかる波長変換素子は、また、請
求項4乃至請求項6に記載したように、上記レーザ共振
器の光出射側に偏光子や波長フィルタを備えるようにし
てもよい。本発明においては、これら偏光子や波長フィ
ルタによって出射光のうち特定のモードや波長のレーザ
光を選択的に通過または除去することができる。したが
って、導波路に入射される信号光に対し同位相または逆
位相のレーザ出射光を任意に得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。本発明の第1の実施の形態
にかかる波長変換素子は、半導体レーザ共振器の軸に沿
ってTEモードおよびTMモードに対して異なる利得特
性を有する2つの活性媒質領域が分布したものである。
その基本構造を図2に示す。なお、図2(a)は、上記
波長変換素子を上方から見た図、図2(b)はX−X’
における断面図、図2(c)はY−Y’断面図である。
【0009】本実施の形態にかかる波長変換素子は、図
2(a)に示すように、レーザを構成するレーザ共振器
8と導波路9がn型InP基板11上に略T字状に配置
されたものである。ここで、前記レーザ共振器8は、二
つの利得領域A(6)およびB(7)からなっている。
その断面構造を図2(b)に示す。レーザ共振器8は、
二つのInGaAsP光閉じ込め層12,14に多重量
子井戸活性層が挟まれた構造を有する。そのうち、利得
領域A(6)では第1の活性媒質領域(TEモード利得
領域)として圧縮歪み多重量子井戸活性層13が二つの
InGaAsP光閉じ込め層12,14で挟まれてお
り、また利得領域B(7)では第2の活性媒質領域(T
Mモード利得領域)として引張り歪み多重量子井戸活性
層17がInGaAsP光閉じ込め層12,14’で挟
まれている。これら二つの活性層13および17は、レ
ーザ共振器8中でそれぞれTEモードおよびTMモード
の共振モードに対し異なる利得特性を持つ活性媒質領域
を形成している。また、導波路9は、図2(a)に示す
ように、前記レーザ共振器8と直交するように配置され
ている。その断面は図2(c)に示すように、レーザ共
振器8の利得領域A(6)と同じく、多重量子井戸活性
層13が二つのInGaAsP光閉じ込め層12,14
で挟まれた構造となっている。この導波路9は、外部か
らの信号光を上記活性層13中を伝搬させて、レーザ共
振器8の前記領域A(6)の活性層13に入射するもの
である。
【0010】上述のような波長変換素子の製造方法の例
を以下に説明する。まず、n型InP基板11上に、禁
制帯幅が波長にして1.3μmに対応するノンドープI
nGaAsP光閉じ込め層12を0.1μmと、約1%
の圧縮歪みを加えた8層からなる多重量子井戸活性層1
3と、禁制帯幅が波長にして1.3μmに対応するノン
ドープInGaAsP光閉じ込め層14を0・1μm
と、p型InPクラッド層15を1.5μmと、0.3
μmのp型InGaAsコンタクト層16をそれぞれ順
に成長させる。
【0011】次に利得領域B(7)に相当する部分のエ
ッチングと再成長をおこなう。具体的には、まずコンタ
クト層16上の全面にSiO2 膜(図2には図示せず)
を形成し、フォトリソグラフィとドライエッチングによ
り利得領域A(6)に相当する部分を残して前記SiO
2 膜を取り除く。しかる後、このSiO2 膜をマスクに
し、利得領域B(7)の半導体部分を活性層13の下ま
でエッチングする。その後、利得領域B(7)の再成長
を行う。すなわち、光閉じ込め層12の上に約1.5%
の引張り歪みを加えた4層からなる多重量子井戸活性層
17と、禁制帯幅が波長にして1.3μmに対応するノ
ンドープInGaAsP光閉じ込め層14’を0.1μ
mと、p型InPクラッド層15’を1.5μmと、
0.3μmのp型InGaAsコンタクト層16’をそ
れぞれ成長する。
【0012】上述のように利得領域B(7)に相当する
部分の再成長を行った後、次のようにしてレーザ共振器
8および導波路9を形成する。まず、利得領域A(6)
表面のSiO2 膜を除去した後、再びSiO2 膜(図2
には図示せず)を全面に堆積させ、このSiO2 膜をフ
ォトリソグラフィとドライエッチングにより、レーザ共
振器8と導波路9に対応した略T字型のSiO2 パター
ンに形成する。このとき、本実施の形態では、X−X’
方向のレーザ用ストライプの幅は2μmであり、Y−
Y’方向の光信号伝搬用導波路9に対応するストライプ
幅も2μmである。このSiO2 パターンを使いドライ
エッチングにより半導体部分を4μmの深さまで(n型
InP基板11まで)エッチングする。その結果、n型
InP基板11上にレーザ共振器8と導波路9が一体に
形成される。
【0013】その後、Fe−InPで埋込み成長を行
い、平坦化する。そしてレーザ共振器8を形成するスト
ライプの上にp側電極18を、また裏面の全面にn側電
極19を形成する。p側電極18上にSiO2 膜を堆積
し、電極取り出し用の窓を形成し、電極パッド(図2に
は図示せず)を形成する。最後にレーザ用ストライプ
(レーザ共振器8)の利得領域A(6)と利得領域B
(7)の間、およびレーザ共振器8と導波路9の間をイ
オンミリングにより溝を形成し電極分離する。
【0014】上述のようにして製作した半導体レーザを
共振器長400μm、導波路長300μmの素子に切り
出した後、導波路9のレーザ共振器8と反対側の端面に
反射防止膜(図2には図示せず)を形成して、波長変換
素子を形成した。このような波長変換素子において、レ
ーザ共振器8の圧縮歪みを加えた利得領域A(TEモー
ド利得領域:6)に35ミリアンペア、引張り歪みを加
えた利得領域B(TMモード利得領域:7)に25ミリ
アンペアを流すとレーザは中心波長1.545μmのT
Eモードで発振した。これに対し利得領域B(TMモー
ド利得領域:7)の電流を30ミリアンペアにすると波
長1.558μmのTMモードで発振した。そこで利得
領域A(TEモード利得領域:6)に38ミリアンペ
ア、利得領域B(TMモード利得領域:7)に32ミリ
アンペアを流しレーザをTEモードで発振させておき、
利得領域A(TEモード利得領域:6)に垂直に交わる
導波路9に波長1.54μm、出力0.6mWのレーザ
光を入射したところ、レーザ共振器8からは波長1.5
58μm、出力2.6mWのTMモード発振が得られ
た。
【0015】すなわち、レーザ共振器8と垂直に配置さ
れた導波路9から利得領域A(TEモード利得領域:
6)の活性層13に光を入射することによって、それま
でTEモードのレーザ光を出射していたレーザ共振器8
からTMモードのレーザ光を出射させることができる。
そして、導波路9から光の入射がなくなると、利得領域
A(TEモード利得領域:6)のレーザ利得が即座に回
復し、再びTEモードのレーザ光が出射される。このよ
うに、導波路9からレーザ共振器8の異なる利得特性を
持つ二つの活性媒質領域のうちの一つに入射する光によ
って波長変換を行うことができる。
【0016】なお、本実施の形態においては、多重量子
井戸活性層を用いて活性媒質領域を形成したが、後述す
るように、バルク活性層を用いても良いことは言うまで
もない。また、導波路9のp側電極18からn側電極1
9に電流を流すことによってレーザ増幅器としての機能
を持たせ、外部からの入射光を増幅してレーザ共振器8
の利得領域A(6)に入射するようにしてもよい。ただ
し、この場合は、導波路9の端面に反射防止膜を設けた
り、互いに平行とならないように磨くなどして、共振器
の役目をしないようにする必要がある。
【0017】次に本発明の第2の実施の形態について図
3を参照して説明する。図3(a)は、本実施の形態に
かかる波長変換素子を上方から見た場合の構成を示す概
念図である。ここに示すように本実施の形態にかかる波
長変換素子は、レーザ共振器20は3つの利得領域2
1,22,23と、前記レーザ共振器20の利得領域A
(21)と利得領域C(23)のそれぞれに垂直な方向
から光を入射する二つの導波路24からなっている。上
記レーザ共振器20の長手方向の断面図を図3(b)に
示す。前記レーザ共振器20において、その光軸に沿っ
て3種類の異なる利得特性を有する活性層13,26,
17がノンドープInGaAsP光閉じ込め層12,1
4の間に分布しており、それぞれが利得領域A(2
1)、利得領域B(22)、利得領域C(23)に対応
している。
【0018】上述のような波長変換素子を製造する方法
を以下に説明する。まず、n型InP基板11上に図3
(c)に示す絶縁膜(SiO2 )のパターン25を形成
する。ここでSiO2 パターン25のうち、領域AのS
iO2 の幅は50μm、領域BのSiO2 幅は20μ
m、領域CのSiO2 幅は10μmである。また、対称
なSiO2 パターン25の間隔(ストライプ幅)は20
μmである。
【0019】このようなSiO2 パターン25を設けた
n型InP基板11上に、禁制帯幅が波長にして1.3
μmに対応するノンドープInGaAsP光閉じ込め層
12を0.1μmと、多重量子井戸活性層26と、禁制
帯幅が波長にして1.3μmに対応するノンドープIn
GaAsP光閉じ込め層14を0.1μmと、p型In
Pクラッド層15を1.5μmと、0.3μmのp型I
nGaAsコンタクト層16をそれぞれ順に成長させ
る。すると、上述のSiO2 パターン25のSiO2 幅
に応じて、各利得領域で異なる厚さと組成で多重量子井
戸活性層13,26,17が成長する。その結果、Si
O2 パターン25の間では、図3(b)に示すような利
得特性の異なる3つの利得領域A,B,Cが形成され
る。このとき、領域BにおいてTEモードに対する利得
とTMモードに対する利得が等しくなるような組成の多
重量子井戸を成長することで領域AではTEモードに対
する利得がTMモードに対する利得よりも大きくなり、
一方領域CではTMモードに対する利得がTEモードに
対する利得よりも大きくなる。
【0020】次にコンタクト層16の全面にSiO2 膜
を堆積させ、フォトリソグラフィとドライエッチングに
より、上記SiO2 パターン25の間(ストライプ)の
領域を覆うようにSiO2 膜を残す。そして、半導体部
分をn型InP基板11までエッチングし、再度ノンド
ープInGaAsP光閉じ込め層12と、多重量子井戸
活性層と、ノンドープInGaAsP光閉じ込め層14
と、p型InPクラッド層15と、p型InGaAsコ
ンタクト層16をそれぞれ順に成長させて導波路領域を
形成する。その後、幅2μmのSiO2 のストライプパ
ターンをレーザ共振器20および導波路領域(24)上
に形成する。そして前記ストライプパターンをマスクに
し、半導体部分を4μmの深さまで(n型InP基板1
1まで)エッチングして、利得領域A,B,C(21,
22,23)からなるレーザ共振器20と二つの導波路
24を形成する。Fe−Inpで埋込み成長を行い、平
坦化した後、レーザ共振器20と導波路24に相当する
ストライプの上にp側電極18を、n型InP基板11
の裏面の全面にn側電極19を形成する。そしてp側に
SiO2 膜を堆積し、電極取り出し用の窓を形成し、電
極パッドを形成する。最後にレーザ用ストライプと導波
路間およびレーザ用ストライプの各利得領域間をイオン
ミリングにより形成した溝で電極分離する。このように
して製作したレーザを共振器長400μm、導波路長3
00μmの素子に切り出し、レーザと垂直方向の導波路
24の端面に反射防止膜を形成した。このときレーザ共
振器20は、中央に長さ200μmの偏波無依存の利得
領域B(22)、その左右にそれぞれ長さ100μmの
TEモード利得領域A(21)および長さ100μmの
TMモード利得領域C(23)を有する構造となった。
【0021】上述のようにして製造されたレーザ共振器
20の中央の長さ200μmの偏波無依存の利得領域B
(22)に25ミリアンペア、長さ100μmのTEモ
ード利得領域A(21)に18ミリアンペア、長さ10
0μmのTMモード利得領域C(23)に18ミリアン
ペアを流すと、レーザは中心波長1.628μmのTE
モードで発振し、TMモード利得領域C(23)の電流
を23ミリアンペアにすると波長1.535μmのTM
モードで発振した。そこでTEモード利得領域A(2
1)に22ミリアンペア、TMモード利得領域C(2
3)に25ミリアンペア、偏波無依存の領域B(22)
に25ミリアンペアを流しレーザをTEモードで発振さ
せておき、TEモード利得領域A(21)に垂直に交わ
る導波路24に波長1.58μm、出力0.5mWのレ
ーザ光を入射したところ、波長1.535μm、出力
1.2mWのTMモード発振が得られた。このようにT
Eモード利得領域A(21)に垂直に設けられた導波路
24を通じてこの利得領域に光を入射することによって
この部分のレーザ利得を低くし、中心波長1.628μ
mの出射レーザから波長1.535μmに切り換えるこ
とができた。なお、本実施の形態にかかる波長変換素子
においては、あらかじめレーザ共振器20をTMモード
のレーザを出射するように調節しておき、導波路24か
らTMモード利得領域C(23)に光を入射させるよう
にしても良いことは言うまでもない。
【0022】次に本発明の第3の実施の形態について図
4を参照して説明する。図4(a)は、本実施の形態に
かかる波長変換素子を上方から見た場合の構成を示す概
念図、図4(b)はそのレーザ共振器の断面図である。
本実施の形態にかかる波長変換素子は、図4(a),
(b)に示すように、レーザ共振器30の軸に沿って5
つの利得領域A〜Eが分布している。
【0023】このような波長変換素子は以下のような手
順で製造することができる。まず、n型InP基板11
上に、第2の実施の形態で説明したのと同様に、図4
(c)のようなSiO2 のパターン25を形成する。こ
こでSiO2 パターン25間のストライプ幅は20μm
であり、領域BのSiO2 の幅は50μm、領域DのS
iO2 幅は10μm、領域Cと両端の領域A,EのSi
O2 幅は20μmである。この基板に禁制帯幅が波長に
して1.3μmに対応するノンドープInGaAsP光
閉じ込め層12を0.1μmと、多重量子井戸活性層2
6と、禁制帯幅が波長にして1.3μmに対応するノン
ドープInGaAsP光閉じ込め層14を0.1μm
と、p型InPクラッド層15を1.5μmと、0.3
μmのp型InGaAsコンタクト層16をそれぞれ成
長する。その結果、上述のSiO2 パターン25のSi
O2 幅に応じて、SiO2 パターン25の間では各領域
で異なる厚さと組成で多重量子井戸活性層13,26,
17が成長し、5つの利得領域B(32)とD(34)
およびA,C,E(31,33,35)が形成される。
その際、利得領域A,C,E(31,33,35)にお
いてTEモードに対する利得とTMモードに対する利得
が等しくなるような組成の多重量子井戸活性層26を成
長することで、利得領域BではTEモードに対する利得
がTMモードに対する利得よりも大きくなり、一方、利
得領域DではTMモードに対する利得がTEモードに対
する利得よりも大きくなる。
【0024】次にコンタクト層16の全面にSiO2 膜
を堆積させ、フォトリソグラフィとドライエッチングに
より、上記SiO2 パターン25の間のストライプ領域
を覆うようにSiO2 膜を残す。そして、半導体部分を
n型InP基板11までエッチングし、再度ノンドープ
InGaAsP光閉じ込め層12と、多重量子井戸活性
層と、ノンドープInGaAsP光閉じ込め層14と、
p型InPクラッド層15と、p型InGaAsコンタ
クト層16をそれぞれ順に成長させて導波路領域を形成
する。そして幅2μmのSiO2 のストライプパターン
を5つの領域(31,32,33,34,35)からな
るレーザ共振器30および導波路領域(24)上に形成
する。そして前記SiO2 ストライプパターンをマスク
にし、半導体部分を4μmの深さまでエッチングする。
Fe−InPで埋込み成長を行い、平坦化した後、レー
ザ共振器30と導波路24に相当するストライプの上に
p側電極18を、InP基板11の裏面は全面にn側電
極19を形成する。そしてp側電極18上にSiO2 膜
を堆積し、電極取り出し用の窓を形成し、電極パッド
(図4には図示せず)を形成する。最後にレーザ用スト
ライプと導波路の間およびレーザ用ストライプの各利得
領域間をイオンミリングにより形成した溝で電極分離す
る。このようにして製作したレーザを共振器長400μ
m、導波路長300μmの素子に切り出し、レーザと垂
直方向の導波路端面に反射防止膜を形成した。このとき
レーザ共振器30は、両端および中央に長さ100μm
の偏波無依存の利得領域A,C,E(31,33,3
5)、その間にそれぞれ長さ50μmのTEモード利得
領域B(32)および長さ50μmのTMモード利得領
域C(34)を有する。
【0025】このレーザ共振器30は、両端および中央
のそれぞれ長さ100μmの偏波無依存の領域A,C,
E(31,33,35)に12ミリアンペア、長さ50
μmのTEモード利得領域B(32)に7ミリアンペ
ア、長さ50μmのTMモード利得領域D(34)に1
0ミリアンペアを流すと中心波長1.642μmのTE
モードで発振し、TMモード利得領域D(34)の電流
を15ミリアンペアにすると波長1.549μmのTM
モードで発振した。そこで偏波無依存の利得領域A,
C,E(31,33,35)にそれぞれ12ミリアンペ
ア、TEモード利得領域B(32)に10ミリアンペ
ア、TMモード利得領域D(34)に17ミリアンペア
を流しレーザをTEモードで発振させておき、TEモー
ド利得領域B(32)に垂直に交わる導波路24に波長
1.58μm、出力0.3mWのレーザ光を入射したと
ころ、波長1.549μm、出力1.8mWのTMモー
ド発振が得られた。これは導波路24から入射されたレ
ーザ光によってTEモード利得領域B(32)の活性層
13におけるレーザ利得が低下するクエンチングによる
ものである。
【0026】次に本発明の第4の実施の形態について説
明する。本実施の形態にかかる波長変換素子は、図5
(a)に示すように、第3の実施の形態にかかる波長変
換素子のレーザ共振器30の反射鏡を半導体と空気から
なる多層膜40に置き換えたものである。図5(b)に
このようなレーザ共振器30の断面を示す。半導体と空
気とからなる多層膜40において、ノンドープInGa
AsP光閉じ込め層12まで達する空気の層はドライエ
ッチングにより形成した。この多層膜40の半導体と空
気の間隔は、波長λに対してλ/4nとなるようにす
る。ただし、nは屈折率で、半導体の場合はn=3.
2、空気の場合はn=1である。ここでは半導体の幅を
0.12μm、空気による間隙を0.39μmとした。
このようにレーザ共振器30の反射鏡を構成することに
よって、へき開面を反射鏡とした上記第3の実施の形態
にくらべて反射率を高めることができる。その結果、レ
ーザ共振器30内の電界強度を高めることができ、レー
ザ共振器30の長さを短くすることも可能となる。
【0027】このようにして製作したレーザを共振器長
400μm、導波路長300μmの素子に切り出し、レ
ーザと垂直方向の導波路24の端面に反射防止膜を形成
した。このレーザは偏波無依存の利得領域A,C,E
(31,33,35)のそれぞれに10ミリアンペア、
長さ50μmのTEモード利得領域B(32)に5ミリ
アンペア、長さ50μmのTMモード利得領域D(3
4)に7ミリアンペアを流すとレーザは中心波長1.6
40μmのTEモードで発振し、TMモード利得領域D
(34)の電流を10ミリアンペアにすると波長1.5
45μmのTMモードで発振した。そこで偏波無依存の
領域A,C,E(31,33,35)にそれぞれ10ミ
リアンペア、TEモード利得領域B(32)に8ミリア
ンペア、TMモード利得領域D(34)に12ミリアン
ペアを流しレーザをTEモードで発振させておき、TE
モード利得領域B(32)に垂直に交わる導波路24に
波長1.58μm、出力0.2mWのレーザ光を入射し
たところ、波長1.545μm、出力0.5mWのTM
モード発振が得られた。
【0028】次に本発明の第5の実施の形態を図6に示
す。本実施の形態にかかる波長変換素子のレーザ共振器
は、図6(a)に示すように、上方から見て幅の広い利
得領域A(51)と狭い利得領域C(53)とこれら二
つの利得領域をつなぐテーパー状の導波路領域B(5
2)とからなっている。このような構成のレーザ共振器
50の断面図を図6(b)に示す。これまで説明した第
1から第4の実施の形態と異なり、活性層28の組成等
は領域A,B,C(51,52,53)にわたって同じ
である。しかし、図(a)に示すように、利得領域A
(51)と利得領域C(53)は、その幅の違いから特
定の共振モードに対して異なる利得特性を有する。な
お、上記二つの利得領域A,C(51,53)の間のイ
ンピーダンス整合をテーパー状導波路領域B(52)に
よってとっている。
【0029】このような波長変換素子を次のようにして
製造した。まずn型InP基板11上に禁制帯幅が波長
にして1.55μmの組成のInGaAsPバルク活性
層28を0.5μmと、p型InPクラッド層15を
1.5μmと、0.3μmのp型InGaAsコンタク
ト層16をそれぞれ成長する。次に、図6(a)に示す
ようなレーザ共振器50および導波路(24)をn型I
nP基板11上に形成する。すなわち、幅の異なる2本
の同軸上のストライプをテーパー状に変化する導波路領
域で接続し、かつそのストライプに直交するストライプ
を有するパターンにSiO2 膜を形成し、これをマスク
として半導体部分を4μmエッチングする。ここでは細
い部分の導波路幅を0.3μmに、太い部分を1.2μ
mに、これらと垂直方向の導波路幅24を2μmにし
た。Fe−InPで埋込み成長を行い、平坦化した後、
ストライプの上にp側電極18を、n型InP基板11
の裏面は全面にn側電極19を形成する。そしてp側に
SiO2 膜を堆積し、電極取り出し用の窓を形成し、電
極パッドを形成する。最後にレーザ用ストライプと導波
路24の間をイオンミリングにより形成した溝で電極分
離する。このようにして製作したレーザを、太い導波路
を有する利得領域A(51)の長さを100μm、テー
パー状導波路領域B(52)の長さを100μm、細い
導波路部を有する利得領域C(53)の長さを200μ
mの全共振器長400μm、導波路24の長さが300
μmの素子に切り出し、レーザ共振器50と垂直方向の
導波路24の端面に反射防止膜を形成した。
【0030】このレーザの幅の広い利得領域A(51)
に15ミリアンペア、テーパー状導波路領域B(52)
に15ミリアンペア、細い利得領域C(53)に25ミ
リアンペアを流すとレーザは中心波長1.553μmの
TEモードで発振し、細い利得領域C(53)の電流を
30ミリアンペアにすると波長1.528μmのTMモ
ードで発振した。そこで太い利得領域A(51)に20
ミリアンペア、テーパー状導波路領域B(52)に15
ミリアンペア、細い利得領域C(53)に30ミリアン
ペアを流しレーザをTEモードで発振させておき、太い
導波路領域A(51)に垂直に交わる導波路24に波長
1.54μm、出力0.8mWのレーザ光を入射したと
ころ、波長1.528μm、出力2.2mWのTMモー
ド発振が得られた。
【0031】次に本発明の第6の実施の形態について図
7を参照して説明する。図7は本実施の形態にかかる波
長変換素子を説明するための概念図で、(a)は上面か
ら見た図であり、(b)は側面から見た断面図である。
本実施の形態にかかる波長変換素子のレーザ共振器60
は、図7に示すように、3つの利得領域A,B,C(6
1,62,63)から構成されている。これらの利得領
域A,B,C(61,62,63)は、バルク活性層を
有する。そのうち両側の利得領域A,C(61,63)
の一端が異なる方向の傾斜を有しており、これによって
特定の共振モードに対して異なる利得特性を有する。
【0032】以下にこのようなレーザ共振器60を備え
た波長変換素子の製造方法の例を説明する。まず、n型
InP基板11上に禁制帯幅が波長にして1.55μm
の組成のInGaAsPバルク活性層28を0.5μm
と、p型InPクラッド層15を1.5μmと、0.3
μmのp型InGaAsコンタクト層16をそれぞれ成
長する。その後、コンタクト層16の表面にp側電極1
8を、n型InP基板11の裏面の全面にn側電極19
を形成する。そして、p側電極18上にT字状のSiO
2 膜を形成し、これをマスクとして半導体部分を4μm
エッチングする。その際、まずレーザ用ストライプの片
端面(利得領域A(61)の端面)が上面から見てスト
ライプ方向に対し鋭角になるようにSiO2 膜を形成し
てエッチングする。次に二回目のドライエッチングを基
板を傾けて行い、レーザ用ストライプのもう一方の端面
(利得領域C(63)の端面)がレーザを側面から見て
鉛直方向に対し傾くようにエッチングする。そして、レ
ーザ用ストライプと導波路24の間をイオンミリングに
より形成した溝で電極分離する。また、レーザ共振器6
0の各利得領域間にもバルク活性層28までの深さの溝
を形成する。なお、この溝は必ずしもバルク活性層28
まで達している必要はなく、他の実施の形態同様、光閉
じ込め層14やクラッド層15までであってもよい。
【0033】上述のような傾斜端面を持つ領域61,6
3の長さをそれぞれ100μm、レーザの中央部分62
の長さを100μm、レーザと直交する導波路24の長
さを300μmとし、レーザ共振器60と直交する導波
路24の端面に反射防止膜を形成した。上面から見て端
面が傾斜した利得領域A(61)に15ミリアンペア、
中央の利得領域B(62)に10ミリアンペア、側面か
ら見て端面が傾斜した利得領域C(63)に10ミリア
ンペアを流すとレーザは中心波長1.553μmのTE
モードで発振し、側面から見て端面が傾斜した利得領域
C(63)の電流を25ミリアンペアにすると波長1.
528μmのTMモードで発振した。そこで上面から見
て端面が傾斜した利得領域A(61)に20ミリアンペ
ア、中央の利得領域B(62)に10ミリアンペア、側
面から見て端面が傾斜した利得領域C(63)に30ミ
リアンペアを流しレーザをTEモードで発振させてお
き、上記利得領域A(61)に垂直に交わる導波路24
に波長1.54μm、出力0.8mWのレーザ光を入射
したところ、波長1.528μm、出力2.2mWのT
Mモード発振が得られた。このように一端面に異なる方
向の傾きを持ったレーザ共振器を組み合わせることで、
特定のモードに対して異なる利得領域を有するレーザ共
振器を構成することができる。
【0034】次に本発明の第7の実施の形態について図
8を参照して説明する。本実施の形態にかかる波長変換
素子は、図8に示すように、第3の実施の形態で説明し
た波長変換素子を構成するレーザ共振器30の光出射側
に偏光子である偏光ビームスプリッター70を置いた構
成となっている。この構成において、偏波無依存の利得
領域A,C,E(31,33,35)にそれぞれ12ミ
リアンペア、TEモード利得領域B(32)に10ミリ
アンペア、TMモード利得領域D(34)に17ミリア
ンペアを流しレーザをTEモードで発振させておく一
方、レーザ共振器方向にはTMモードのレーザ光のみが
透過するように波長1.55μm用偏光ビームスプリッ
ター70を配置した。
【0035】そしてTEモード利得領域B(32)に垂
直に交わる導波路24に波長1.58μm、平均パワー
0.5mWの10ギガビット毎秒の疑似ランダムパター
ンを入射した。ここで上述の波長変換素子においては、
TEモード利得領域B(32)の活性層(13;図4参
照)に光信号入射される場合はTEモードの利得が減少
して、レーザはTMモードの発振を起こし偏光ビームス
プリッターを透過することになる。一方、光信号が無い
場合はTEモードで発振し続けるので偏光ビームスプリ
ッターを透過することはない。従って導波路24に入射
される入力信号に対応して、波長変換された出力が得ら
れることになる。この場合波長1.549μm、平均出
力1.0mWのTMモード発振が得られた。さらに変換
後の出力信号の符号誤り率を測定したところ、誤り率は
10-12 以下であった。なお、偏光子として偏光ビーム
スプリッターを使ったが、他のタイプのプリズムあるい
は、偏光依存性のある高分子フィルム、多層膜偏光子な
どを用いても良い。
【0036】次に本発明の第8の実施の形態について図
9を参照して説明する。本実施の形態にかかる波長変換
素子は、図9に示すように、第3の実施の形態で説明し
た波長変換素子を構成するレーザ共振器30の光出射側
に波長フィルタ80を置いた構成となっている。この構
成において、偏波無依存の利得領域A,C,E(31,
33,35)にそれぞれ12ミリアンペア、TEモード
利得領域B(32)に10ミリアンペア、TMモード利
得領域D(34)に17ミリアンペアを流しレーザをT
Eモードで発振させておき、可変波長フィルタ80の透
過中心波長を1.549μmに設定した。
【0037】そして、TEモード利得領域B(32)に
垂直に交わる導波路24に波長1.58μm、平均パワ
ー0.5mWの10ギガビット毎秒の疑似ランダムパタ
ーンを入射した。このとき導波路24から利得領域B
(32)の活性層(13;図4参照)に入射される光信
号がある場合はTEモードの利得が減少し、レーザはT
Mモードの発振を起こし可変波長フィルタ80を透過す
ることになる。一方、光信号が無い場合はTEモードで
発振し続けるので可変波長フィルタ80を透過すること
はない。従って導波路24に入射される入力信号に対応
して、波長変換された出力が得られることになる。この
場合波長1.549μm、平均出力0.8mWのTMモ
ード発振が得られた。さらに変換後の出力信号の符号誤
り率を測定したところ、誤り率は10-12 以下であっ
た。なお、本実施の形態においては波長フィルタ80を
レーザ共振器30の外部に置いた構造であったが、誘電
体多層膜からなる波長フィルタをレーザ共振器30端面
に蒸着する構造でも良い。
【0038】最後に本発明の第9の実施の形態について
図10を参照して説明する。本実施の形態にかかる波長
変換素子は、図10に示すように、第3の実施の形態で
説明した波長変換素子を構成するレーザ共振器30の光
出射側に偏光ビームスプリッター70と波長フィルタ8
0を置いた構成となっている。この構成において、偏波
無依存の領域A,C,E(31,33,35)にそれぞ
れ12ミリアンペア、TEモード利得領域B(32)に
10ミリアンペア、TMモード利得領域D(34)に1
7ミリアンペアを流してレーザをTEモードで発振させ
ておき、可変波長フィルタ80の透過中心波長を1.5
49μmに設定し、また波長1.55μm用偏光ビーム
スプリッター70をTMモードが透過するように前記可
変波長フィルタ80の後に配置した。
【0039】そして、TEモード利得領域B(32)に
垂直に交わる導波路24に波長1.58μm、平均パワ
ー0.5mWの10ギガビット毎秒の疑似ランダムパタ
ーンを入射した。このとき導波路24から利得領域B
(32)の活性層(13;図4参照)に入射される光信
号がある場合はクエンチング効果によってTEモードの
利得が減少し、レーザはTMモードの発振を起こす。従
って可変波長フィルタ80と偏光ビームスプリッター7
0を透過することになる。一方、光信号が無い場合はT
Eモードで発振し続けるので可変波長フィルタ80と偏
光ビームスプリッター70を透過することはない。従っ
て入力信号に対応して、波長変換された出力が得られる
ことになる。この場合波長1.549μm、平均出力
0.5mWのTMモード発振が得られた。さらに変換後
の出力信号の符号誤り率を測定したところ、誤り率は1
-12 以下であった。
【0040】なお、上記第7〜第9の実施の形態では、
あらかじめTEモードで発振するようにしたが、これを
あらかじめTMモードで発振するようにするとともに、
偏光ビームスプリッター70や波長フィルタ80をTE
モードが透過するように設定し、TMモード利得領域D
(34)に垂直な導波路24に光信号を入射させるよう
にしても良いことは言うまでもない。さらには、あらか
じめTEモードで発振するようにするとともに、偏光ビ
ームスプリッター70や波長フィルタ80をTEモード
が透過するように設定し、TEモード利得領域B(3
2)に垂直な導波路24に光信号を入射させること、あ
るいは、TMモードで発振するようにしておき、TMモ
ードが透過するように偏光ビームスプリッター70や波
長フィルタ80を設定し、TMモード利得領域D(3
4)に垂直な導波路24に光信号を入射させることによ
り、入射信号に対し反転した出力光を取り出すことがで
きる。
【0041】また、上記第7〜第9の実施の形態では、
第3の実施の形態にかかる波長変換素子に偏光子や波長
フィルタを備えたが、上記第1、第2、第4〜第6の実
施の形態にかかる波長変換素子の構造において偏光子、
あるいは波長フィルタを光出射側におくようにしても高
速光信号に対応した変換光を得ることができる。
【0042】一方、上記第1〜第5の実施の形態では、
レーザ共振器および導波路を形成した後にFe−InP
埋込みを行っているが、pn埋込みや、リッジ構造でも
良い。また、p側電極の電極分離をイオンミリングによ
って行っているが、イオン注入やウエットエッチングに
よる電極分離でも良い。さらに上記実施の形態では、レ
ーザストライプも利得領域間において電極分離を行って
いるが、この電極分離は必ずしも必要ではない。
【0043】さらに、上記第2、第3の実施の形態で
は、偏波無依存の多重量子井戸活性層26を成長した
が、必ずしも偏波無依存の多重量子井戸を成長する必要
はない。たとえばTEモードの利得が大きい多重量子井
戸を成長した場合、波長の異なる2種類のTEモード間
でのスイッチが可能となり、光出射側に波長フィルタを
設置することで高速信号に対する応答が可能となる。
【0044】また、上記実施の形態では、InP系材料
を用いたが、直接遷移型の化合物半導体材料、例えばG
aAs系材料(GaAsを基板としたGaAlAs)等
のIII−V系材料、あるいはII−VI系材料を用い
ても良い。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、波長変換素子を一つの
能動素子と一つの受動素子、すなわちある特定の共振モ
ードに対し異なる利得特性を持つ活性媒質領域が複数分
布したレーザ共振器と前記活性媒質領域の一つに外部か
ら入射される光を伝搬する導波路で構成されるため小型
な波長変換素子を提供することができる。また、本発明
にかかる波長変換素子は、活性媒質領域に光を入射する
ことによってレーザ利得が低下するクエンチングを利用
しているので、高速な発振モードの切り換えをおこなう
ことができ、従って数ギカビット毎秒以上の高速な信号
に対しても波長変換を行うことができる。
【0046】また、請求項4乃至請求項6に記載したよ
うに、レーザ共振器の光出射側に偏光子や波長フィルタ
を設けることによって特定のモードや波長のレーザ光を
選択的に通過または除去することができる。よって、高
速な光信号に対応しても波長変換された光信号を同位相
あるいは逆位相で出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の波長変換素子を示す概略図であり、
(a)は半導体アンプと干渉計を組み合わせた構成であ
り、(b)は可飽和吸収領域を内部に含むレーザの場合
である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態にかかる波長変換
素子の構成を説明する概念図であり、(a)は上面から
見た図、(b)はX−X’方向の断面図、(c)はY−
Y’方向の断面図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態にかかる波長変換
素子の構成を説明する概念図であり、(a)は上面から
見た図、(b)はレーザ共振器の断面図、(c)は基板
上に形成する絶縁膜パターンである。
【図4】 本発明の第3の実施の形態にかかる波長変換
素子の構成を説明する概念図であり、(a)は上面から
見た図、(b)はレーザ共振器の断面図、(c)は基板
上に形成する絶縁膜パターンである。
【図5】 本発明の第4の実施の形態にかかる波長変換
素子の構成を説明する概念図であり、(a)は上面から
見た図、(b)はレーザ共振器の断面図である。
【図6】 本発明の第5の実施の形態にかかる波長変換
素子の構成を説明する概念図であり、(a)は上面から
見た図、(b)はレーザ共振器の断面図である。
【図7】 本発明の第6の実施の形態にかかる波長変換
素子の構成を説明する概念図であり、(a)は上面から
見た図、(b)はレーザ共振器の断面図である。
【図8】 本発明の第7の実施の形態にかかる波長変換
素子を説明する概念図である。
【図9】 本発明の第8の実施の形態にかかる波長変換
素子を説明する概念図である。
【図10】 本発明の第9の実施の形態にかかる波長変
換素子を説明する概念図である。
【符号の説明】
1…半導体レーザ、2…半導体アンプ、3…干渉計、4
…利得領域、5…可飽和吸収領域、6…利得領域A、7
…利得領域B、8…レーザ共振器、9…光信号伝搬用導
波路、11…InP基板、12…光閉じ込め層、13…
活性層(TEモード)、14、14’…光閉じ込め層、
15、15’…クラッド層、16、16’…コンタクト
層、17…活性層(TMモード)、18…p側電極、1
9…n側電極、20…レーザ共振器、21…利得領域
A、22…利得領域B、23…利得領域C、24…光信
号伝搬用導波路、25…絶縁膜(SiO2 )パターン、
26…活性層(偏波無依存)、28…バルク活性層、3
0…レーザ共振器、31…利得領域A、32…利得領域
B、33…利得領域C、34…利得領域D、35…利得
領域E、40…多層膜反射鏡、50…レーザ共振器、5
1…利得領域A、52…テーパー状導波路領域B、53
…利得領域C、60…レーザ共振器、61…利得領域
A、62…利得領域B、63…利得領域C、70…偏光
ビームスプリッター、80…波長フィルタ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定の共振モードに対し異なる利得特性
    を持つ複数の活性媒質領域が分布したレーザ共振器と、 前記複数の活性媒質領域のうち少なくとも一つに前記活
    性媒質領域の共振方向に垂直な方向から光を入射する導
    波路とからなることを特徴とする波長変換素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記レーザ共振器は、 前記複数の活性媒質領域が同一軸線上に分布しているこ
    とを特徴とする波長変換素子。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、 前記レーザ共振器の前記複数の活性媒質領域は、 TEモードまたはTMモードの共振モードに対して異な
    る利得特性を持つことを特徴とする波長変換素子。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかにおい
    て、 前記レーザ共振器の光出射側に偏光子を備えることを特
    徴とする波長変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれかにおい
    て、 前記レーザ共振器の光出射側に波長フィルタを備えるこ
    とを特徴とする波長変換素子。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれかにおい
    て、 前記レーザ共振器の光出射側に偏光子および波長フィル
    タを備えることを特徴とする波長変換素子。
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