JPH1168133A - 薄膜素子モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜素子モジュールおよびその製造方法

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JPH1168133A
JPH1168133A JP9225076A JP22507697A JPH1168133A JP H1168133 A JPH1168133 A JP H1168133A JP 9225076 A JP9225076 A JP 9225076A JP 22507697 A JP22507697 A JP 22507697A JP H1168133 A JPH1168133 A JP H1168133A
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JP
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substrate
thin film
solar cell
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manufacturing
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JP9225076A
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English (en)
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Takeshi Matsushita
孟史 松下
Kazushi Yamauchi
一志 山内
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Original Assignee
Sony Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造および製造プロセスを簡略化して、低コ
スト化および製造に必要なエネルギーの低減化を図るこ
とのできる薄膜素子モジュールおよびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 太陽電池モジュール300は、柔軟なプ
ラスチックフィルム支持基板320上に、個々に分割さ
れた複数の太陽電池素子310を例えば直列に配列する
と共に隣接する素子間を接続部材330により電気的に
接続して構成される。個々の太陽電池素子310は、プ
ラスチックフィルム基板210に転写された複数の太陽
電池素子間をペーパーカッタ等の切断手段によって切断
することにより得られる。分割された個々の太陽電池素
子310はプラスチックフィルム支持基板320上に接
着されたのち、隣接する太陽電池素子間が導電性フィル
ムからなる接続部材330により電気的に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の薄膜素子を
集積化した集積型の薄膜素子モジュールおよびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽電池が一部実用化されてい
る。この太陽電池が本格的に使用されるためには、特に
省資源,低コスト化を図ることが重要であり、更に、エ
ネルギー変換(光−電気変換)効率、エネルギー回収年
数の短縮化などを考えた場合、厚膜の太陽電池よりも薄
膜の太陽電池が望ましい。また、薄膜で太陽電池を形成
すると、ある程度折り曲げることが可能であり、そのた
め例えば自動車のボディの曲面部やポータブル電気製品
の外部の曲面部に搭載して発電を行うことができるの
で、利用範囲が広がることとなる。
【0003】このような太陽電池を普及させるには、太
陽電池の更なる低コスト化およびその製造にかかるエネ
ルギーの更なる低減化が必要である。そのためには、太
陽電池の製造を単純なプロセスで行う必要がある。
【0004】そこで、このような薄膜の太陽電池を製造
する好適な方法として、本出願人と同一出願人は、先
に、「基体から素子形成層を分離する方法」(特開平7
−37655号明細書)および「薄膜半導体及び太陽電
池の製造方法」(特開平8−61552号明細書)を提
案した。
【0005】特開平7−37655号明細書に開示した
方法は、単結晶シリコン基板上に多孔質層を形成し、こ
の多孔質層上に太陽電池となる半導体層を成長させ、そ
の半導体層上にプラスチック板を接着剤によって接着
し、続いて引っ張り応力をかけて結晶基板からプラスチ
ック板と共に半導体層を剥離するものである。この方法
では結晶基板を再利用することができ、省資源および低
コスト化を図ることが可能である。また、特開平8−6
1552号明細書に開示した方法は、先の方法を更に改
良したもので、基板から半導体層をより容易に剥離でき
るように、剥離層の元になる多孔質層内の多孔率を深さ
方向で変化させて剥離層の引っ張り強度を弱め、かつ多
孔質層上の半導体層の品質の向上を図ったものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
太陽電池を利用する場合、通常、複数の太陽電池素子を
直列に電気的接続もしくは並列に電気的接続して、これ
を太陽電池モジュールとして利用することが多い。しか
し、従来の製造プロセスでは、太陽電池素子のパターニ
ングが高価なレーザ発生装置やプラズマ発生装置等を用
いる集積化技術によって行われていた。そのため太陽電
池モジュールの製造プロセスの更なる低コスト化は難し
く、またその製造にかかるエネルギーの低減化も困難で
あった。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、構造および製造プロセスを簡略化し
て低コスト化および製造に必要なエネルギーの低減化を
図ることのできる薄膜素子モジュールおよびその製造方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薄膜素子モ
ジュールの製造方法は、第1の基板上に形成された複数
の薄膜素子を第1の基板から剥離して第2の基板に転写
する工程と、複数の薄膜素子の間を第2の基板と共に切
断手段によって切断して個々に分割する工程と、分割さ
れた複数の薄膜素子を柔軟性を有する支持基板上に所望
のパターンで搭載して集積化する工程とを含むものであ
る。
【0009】本発明に係る薄膜素子モジュールは、柔軟
性を有する支持基板と、この支持基板に搭載された複数
の薄膜素子と、これら複数の薄膜素子間を互いに電気的
に接続するための導電性部材とを備えたものである。
【0010】本発明による薄膜素子モジュールの製造方
法では、第1の基板から剥離され、第2の基板に転写さ
れた複数の薄膜素子が切断手段によって個々に分割され
たのち、柔軟性を有する支持基板上に所望のパターンで
集積化される。
【0011】本発明による薄膜素子モジュールでは、複
数の薄膜素子が柔軟な支持基板上に支持されているた
め、フレキシブルであり、任意の箇所に容易に設置され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0013】図7は本実施の形態に係る太陽電池モジュ
ール300の平面構成を表すものである。この太陽電池
モジュール300は、柔軟なプラスチックフィルム支持
基板320上に、後述の方法により個々に分割された複
数の太陽電池素子310を例えば直列に配列すると共に
隣接する素子間を接続部材330により電気的に接続し
て構成したものである。
【0014】この太陽電池モジュール300では、複数
の太陽電池素子310が柔軟なプラスチックフィルム支
持基板320上に集積化されているため、フレキシブル
であって例えば自動車の車体等種々の箇所に容易に設置
可能であり、便利性および応用性に優れている。以下、
この太陽電池モジュール300の具体的な製造方法につ
いて説明する。
【0015】図1ないし図3はそれぞれ太陽電池モジュ
ール300の製造工程毎の断面図を表すものである。こ
こでは、太陽電池モジュール300として薄膜単結晶シ
リコン太陽電池を集積化したものについて説明する。
【0016】まず、図1(a)に示したような第1の基
板としての単結晶のシリコン基板(p型,0.01〜0.02Ω
・cm)100を用意し、このシリコン基板100の表面
に、例えば陽極化成法により、図1(b)に示したよう
な多孔質シリコン層110を形成する。陽極化成法は、
シリコン基板100を陽極としてフッ化水素酸水溶液中
で通電を行う方法であり、例えば伊藤等による「表面技
術Vol.46.No.5.P8〜13,1995[多孔質シリコンの陽極化
成] 」に示された二重セル法により行うことができる。
この方法では、2つの電解溶液槽の間に多孔質層を形成
すべきシリコン基板を配置し、両方の電解溶液槽には直
流電源と接続された白金電極を設置する。そして、両電
解溶液槽に電解溶液を入れ、白金電極に直流電圧を印加
し、シリコン基板を陽極、白金電極を陰極とする。これ
によりシリコン基板の一方の面が浸食されて多孔質化す
る。
【0017】本実施の形態では、この陽極化成法を用い
て単結晶シリコン基板に引っ張り強度の弱い分離層を有
する多孔質シリコン層を形成し、この多孔質シリコン層
上に複数の太陽電池素子を形成したのち、これら太陽電
池を多孔質シリコン層内の分離層を介して単結晶シリコ
ン基板から剥離して他の基板へ転写し、更に太陽電池素
子個々に分割したのち、所定の柔軟な基板上に所望のパ
ターンで集積化させるものである。
【0018】具体的には、まず、陽極化成溶液として例
えばHF(フッ化水素) :C2 5OH(エタノール)
=1:1の電解溶液を用い、0.5〜3.0mA/cm2程度
の電流密度で8分間、第1段階の陽極化成を行うことに
より多孔率が小さな第1の多孔質シリコン層を形成す
る。続いて、3〜20mA/cm2の電流密度で8分間、第2
段階の陽極化成を行うことにより多孔率が中程度の第2
の多孔質シリコン層を形成する。更に、40〜300 m
A/cm2 の電流密度で数秒間、第3段階の陽極化成を行う
ことにより多孔率が大きな第3の多孔質シリコン層を形
成する。第3の多孔質シリコン層(多孔質シリコン層1
10)を形成しているときには、この多孔質シリコン層
110内に後述の分離層111(図1(c))の元とな
る多孔率の非常に大きい層も形成される。なお、シリコ
ン基板100としては、陽極化成法によりその上に多孔
質シリコン層110を形成する観点からは、p型の単結
晶であることが望ましいが、条件設定によってはn型の
単結晶や多結晶シリコンなどを用いてもよい。
【0019】続いて、多孔質シリコン層110上に複数
の太陽電池素子を形成する。すなわち、まず、例えば1
100°Cの温度で30分間水素アニールを行い多孔質
シリコン層110の表面に存在する穴を塞いだ後、多孔
質シリコン層110上にSiH4 (シラン)等のガスを
用いて1070°Cの温度条件で膜厚例えば1〜50μ
m程度のエピタキシャル層120を形成する。このエピ
タキシャル層120は、例えば下から高濃度p型層12
1、低濃度p型層122および高濃度n型層123を順
次成長させることにより形成し、エピタキシャル層12
0内にpn接合を形成する。高濃度p型層121の濃度
は例えば1019atoms/cm3 、低濃度p型層122の濃度
は例えば1015〜1018atoms/cm3 、高濃度n型層12
3の濃度は例えば1019〜1020atoms/cm3 とする。な
お、このような構成により、光により低濃度p型層12
2において発生した電子は高濃度p型層121で反射さ
れるため高濃度p型層121での再結合が減少し、高効
率の太陽電池となる。
【0020】このように水素アニールとエピタキシャル
成長を行っている間において、多孔質シリコン層110
中のシリコン原子が移動し再配列される結果、多孔質シ
リコン層110中の多孔率が大きかった部分が更に大き
く変化し、引っ張り強度が最も弱い層すなわち分離層1
11になる。但し、この分離層111は、エピタキシャ
ル層120内に太陽電池(pn接合)を形成している間
において、エピタキシャル層120が部分的にあるいは
全面的に亘ってシリコン基板100から剥がれない程度
の引っ張り強度は十分有する。
【0021】エピタキシャル層120を形成した後、太
陽電池の表面再結合速度を低減させるために、図1
(c)に示したようにエピタキシャル層120上に例え
ば約800℃のウェット酸化により膜厚10nm程度の
シリコン酸化膜(SiO2 )膜130を形成する。
【0022】次に、図2(a)に示したようにシリコン
酸化膜130上にメタルマスク160を介して例えば数
10nmの厚さのチタン(Ti)膜170を選択的に形
成し、更に、このチタン膜170を酸化処理することに
より同図(b)に示したように反射防止膜となる酸化チ
タン(TiO2 )膜180を形成する。なお、この酸化
チタン膜180は酸素雰囲気中においてチタンを蒸着さ
せることにより形成してもよい。その後、10%程度の
フッ化水素(HF)溶液中にシリコン基板100を浸し
てエッチングすることによりシリコン酸化膜130に個
々の太陽電池に対応して電極窓130aを形成する。こ
のときシリコン酸化膜130は酸化チタン膜180に比
べてフッ化水素によるエッチング選択性が十分高いの
で、フォトレジスト等のマスクを使わずにシリコン酸化
膜130の一部を選択的に除去することができる。これ
により太陽電池の電極窓明けを容易に行うことができ
る。続いて、メタルマスク190を介して電極窓130
a内のエピタキシャル層120上に例えばチタン(T
i),パラジウム(Pd),銀(Ag)を連続的に成長
させて電極200を形成する。
【0023】次に、図2(c)に示したように引っ張り
力に対して強い接着剤(例えば紫外線硬化接着剤)21
1によりシリコン基板100の表面に、第2の基板とし
ての例えばポリカーボネイト(PC)やポリエチレンテ
レフタレート(PET)製のプラスチックフィルム基板
210を接着させる。
【0024】その後、図3(a)に示したようにエピタ
キシャル層120に形成された複数の太陽電池素子をプ
ラスチックフィルム基板210と共にシリコン基板10
0から剥離する。剥離する方法としては、超音波を照射
して分離層111の強度を更に弱めて剥離する方法、低
温に冷却してプラスチックフィルム基板210とシリコ
ン基板100の膨張率の差による応力を発生させ、この
応力を用いて剥離する方法、遠心力により引っ張り応力
を加えて剥離する方法等がある。このように太陽電池素
子がシリコン基板100から剥離されることにより、太
陽電池素子がプラスチックフィルム基板210側に転写
される。なお、太陽電池素子等が剥離された後のシリコ
ン基板100については、表面に残存している多孔質シ
リコン層110Aをエッチングにより除去すれば、再利
用することが可能になる。
【0025】続いて、エピタキシャル層120の裏面に
残存している多孔質シリコン層を全てあるいは一部エッ
チング等で除去した後、例えば蒸着法によりアルミニウ
ム(Al)からなる裏面電極220を形成する。この裏
面電極220を形成する際には、太陽電池素子(エピタ
キシャル層120)内で何回も光の反射を繰り返させて
エピタキシャル層120内での光吸収を増大させること
がより望ましい。そのためには太陽電池素子の表面から
入射した光が裏面電極220で反射して太陽電池素子膜
内に拡散しやすい構造とすればよい。このため、本実施
の形態では、RIE(Reactive Ion Etching :反応性イ
オンエッチング) あるいは逆スパッタリング等によりエ
ピタキシャル層120の裏面に凹凸部を形成した後で、
アルミニウムを蒸着して裏面電極220を形成する方法
をとってもよい。
【0026】次に、図3(b)に示したように裏面電極
220に対して電極取り出し用のリードとしての例えば
銅箔からなる導電性フィルム230を接着させる。この
とき導電性フィルム230を太陽電池素子の外側に一部
はみ出させて接着するようにする。この導電性フィルム
230としては例えば図4に示したような銅箔に接着剤
231が付いたものが用いられる。続いて、プラスチッ
クフィルム基板210に、電極200から電極取り出し
用のリードを取り出すための開口部(スルーホール)2
10aを選択的に形成する。この開口部210aは、プ
ラスチックフィルム基板210をポリカーボネイトによ
り形成した場合はシート等をマスクとしてジクロロメタ
ンによって膨潤処理することにより、あるいはメタルマ
スクを用いたアッシング処理により形成することができ
る。
【0027】次に、プラスチックフィルム基板210に
転写された複数の太陽電池素子を図5に示したように個
々の太陽電池素子310に分割する。図5は分割前の複
数の太陽電池素子310の平面構成を表したもので、太
陽電池素子間を2点鎖線で示した切断線310Aに沿っ
てプラスチックフィルム基板210と共に切断する。切
断手段としては、切断対象が薄いプラスチックフィルム
基板210上に薄膜の太陽電池素子が形成されたもので
あるため、断裁機、ペーパーカッタ、ロータリーカッ
タ、NTカッタもしくは鋏などの種々のものを使用する
ことができ、いずれでも容易に切断することができる。
図6は切断された後の太陽電池素子310の平面構成を
表している。ここで、もし、切断の際、エピタキシャル
層120のpn接合面が損傷した場合には、損傷した部
分をアルカリ等のエッチング液に浸してエッチングする
ことにより損傷した部分を除去することが望ましい。
【0028】次に、図7に示したような、支持基板とし
ての柔軟なプラスチックフィルム支持基板320を用意
し、このプラスチックフィルム支持基板320上に分割
された複数の太陽電池素子310を所定のパターン、例
えば直列パターンとなるように接着させる。なお、この
プラスチックフィルム支持基板320は例えば膜厚0.
2〜1.0mm程度により形成されるもので、透明でも
不透明のものでもよい。
【0029】複数の太陽電池素子310をプラスチック
フィルム支持基板320に搭載したのち、これら太陽電
池素子310の隣接する太陽電池素子同士を、例えば図
4に示したと同様の導電性フィルムからなる接続部材3
30により電気的に接続させる。すなわち、接続部材3
30の一方の端部330aを一方の太陽電池素子310
からはみ出した導電性フィルム230に接着させると共
に、接続部材330の他方の端部330bをプラスチッ
クフィルム基板210に形成された開口部210aを介
して電極200に接着させるもので、これにより複数の
太陽電池素子310が集積化された、薄膜のフレキシブ
ルな太陽電池モジュール300が完成する。
【0030】このように本実施の形態の太陽電池モジュ
ールの製造方法によれば、プラスチックフィルム基板2
10に転写された複数の太陽電池素子をカッタ等の切断
手段によって個々の太陽電池素子に分割し、これら個々
の太陽電池素子を柔軟なプラスチックフィルム支持基板
320上に所望のパターンで集積化するようにしたの
で、レーザ装置やプラズマ装置を用いることなくパター
ニングでき、太陽電池モジュールの製造コストが安くな
る。また、カッタ等で容易に分割できるので、スループ
ットも向上する。よって、太陽電池モジュールの製造プ
ロセスを簡略化できると共に、低コスト化および太陽電
池製造エネルギーの低減化が可能になる。また、上記実
施の形態では、マスク合わせ工程が2回でよいため、こ
のことからも低コスト化を図ることができる。更に、こ
のマスク合わせ工程においては、メタルマスクを用いる
ことができるので、フォトレジストの塗布,ベーキン
グ,現像,ポストベーキング,レジスト除去等の工程も
省略できる。すなわち、フォトレジストを使用しないこ
とによる材料費の低減、製造時間の短縮化を図ることが
でき、このことからも太陽電池モジュールの低コスト化
を図ることができる。
【0031】ところで、上記実施の形態では、断裁機等
の切断手段による分割ラインは任意の切断線310A
(図5参照)としたが、エピタキシャル層120のpn
接合を直接切断すると、pn接合が損傷し特性が劣化す
ることが考えられる。このようなpn接合の損傷が生じ
た場合には上述のように損傷部分をエッチングにより取
り除けばよいが、損傷の発生を防止するために、予めエ
ピタキシャル層120に対して切断線310Aに沿った
分割層を形成するようにすることが望ましい。すなわ
ち、エピタキシャル層120の切断線310Aに沿った
位置に図8に示したようなpn接合120aよりも深
く、かつその周辺部分よりも脆い分割層140を選択的
に形成し、pn接合120aが切断線310Aと交差し
ないようにするものである。
【0032】具体的には、上述の実施の形態において、
高濃度p型層121、低濃度p型層122および高濃度
n型層123からなるエピタキシャル層120を形成し
た後、陽極化成法により、多孔質シリコン層(分割層1
40)を低濃度p型層122および高濃度n型層123
からなるpn接合120aよりも深く形成する。次い
で、太陽電池素子の表面再結合速度を減少させるために
例えば800℃の温度でウェット酸化処理すると、この
多孔質シリコン層は酸化され酸化層もしくは高抵抗層と
なり、これが分割層140となる。
【0033】上述の陽極化成は例えば図9に示したよう
な陽極化成装置150を用いて行うことができる。この
陽極化成装置150は、化成溶液槽151内に白金電極
(正極)152および白金電極(負極)153が対向配
置されると共に、白金電極152と白金電極153との
間にシリコン基板100を収容するための保持ケース1
54が配置されている。保持ケース154にはシリコン
基板100上のエピタキシャル層120の分割層形成予
定領域に対応して開口154aが設けられている。すな
わち、この陽極化成装置150では、化成溶液槽151
内に化成溶液155を入れると共に、白金電極152,
153間に直流電圧を印加することにより陽極化成を行
うと、シリコン基板100の一方の面の保持ケース15
4の開口154aに対向する領域が浸食されて多孔質化
する。化成溶液155としては、例えばHF(フッ化水
素) :C2 5 OH(エタノール)=1:1の溶液が用
いられ、電流密度は例えば1〜30mA/cm2程度とし、時
間は1〜10分間とする。。これによりフォトレジスト
等のマスクを使用することなくエピタキシャル層120
内の所定の位置に多孔質シリコン層を形成することがで
きる。
【0034】このようにエピタキシャル層120の切断
線310Aに沿った位置に分割層140を形成すること
により、上述の切断手段による切断が容易になると共
に、切断面とpn接合120aとが交差することがない
ので、pn接合面が損傷することなくなる。
【0035】以上実施の形態を挙げて本発明を説明した
が、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく
種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、太
陽電池素子に接着された第2の基板としてのプラスチッ
クフィルム基板210に対して、転写後、アッシング等
により開口210aを設けるようにしたが、転写後、ジ
クロロメタンよる膨潤処理によってプラスチックフィル
ム基板210を剥がし、別途予め開口が形成されたプラ
スチックフィルム基板等を再度接着させるようにしても
よく、あるいは予め各太陽電池素子に対向して開口が形
成されたプラスチックフィルム基板を太陽電池に接着し
たのち転写させる構成としてもよい。また、上記実施の
形態では、太陽電池モジュールとして太陽電池素子を直
列に配列する構成としたが、並列あるいはマトリクス等
の形状に配列するようにしてもよく、そのパターンは任
意である。更に、上記実施の形態においては、第2の基
板としてプラスチックフィルム基板を用いて説明した
が、その他、用途に応じてガラス板やSUS(ステンレ
ス鋼)等の金属板あるいはシリコン等の半導体基板を用
いるようにしてもよい。
【0036】更に、上記実施の形態においては薄膜素子
として太陽電池を用いたモジュールを製造する場合の例
について説明したが、本発明はその他の受光素子あるい
は発光素子、液晶表示素子、集積回路素子などの薄膜素
子モジュールの製造にも適用することもできる。また、
これらの素子についても単結晶に限らず、多結晶やアモ
ルファス層のいずれか、あるいはそれらの複合膜を形成
するようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし11
のいずれか記載の薄膜素子モジュールの製造方法によれ
ば、第1の基板上に形成された複数の薄膜素子を第1の
基板から剥離して第2の基板に転写したのち、複数の薄
膜素子の間を第2の基板と共に切断手段によって切断し
て個々に分割し、分割された複数の薄膜素子を柔軟性を
有する支持基板上に搭載して集積化するようにしたの
で、構造および製造プロセスを簡略化して、低コスト化
および製造に必要なエネルギーの低減化を図ることが可
能になる。
【0038】特に、請求項10または11記載の薄膜素
子モジュールの製造方法によれば、太陽電池素子間の切
断領域に沿ってpn接合面と交差しない分割層を選択的
に形成するようにしたので、切断作業が容易になり、高
品質の太陽電池モジュールの製造が容易になるという効
果がある。
【0039】また、請求項11または12記載の薄膜素
子モジュールによれば、柔軟性を有する支持基板と、こ
の支持基板に搭載された複数の薄膜素子と、これら複数
の薄膜素子間を互いに電気的に接続するための導電性部
材とを備える構成としたので、フレキシブルであって、
便利性および応用性に優れたモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の係る太陽電池素子モジ
ュールの製造工程を説明するための断面図である。
【図2】図1に続く製造工程を説明するための断面図で
ある。
【図3】図2に続く製造工程を説明するための断面図で
ある。
【図4】導電性フィルムの構成を説明するための断面図
である。
【図5】分割前の太陽電池素子の構成を表す平面図であ
る。
【図6】分割された1の太陽電池素子を拡大して表す平
面図である。
【図7】図6の太陽電池素子を集積化して形成された太
陽電池モジュールの構成を表す平面図である。
【図8】図1の太陽電池素子に選択的に形成される分割
層を説明するための断面図である。
【図9】図8の分割層の形成に用いる陽極化成装置の構
成を説明するための平面図である。
【符号の説明】
100…シリコン基板(第1の基板)、120…エピタ
キシャル層、200…電極、210…プラスチックフィ
ルム基板(第2の基板)、230…導電性フィルム、2
10a…開口部(スルーホール)、300…太陽電池モ
ジュール、310…太陽電池素子、320…プラスチッ
クフィルム支持基板

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板上に形成された複数の薄膜素
    子を第1の基板から剥離して第2の基板に転写する工程
    と、 前記複数の薄膜素子の間を前記第2の基板と共に切断手
    段によって切断して個々に分割する工程と、 前記分割された複数の薄膜素子を柔軟性を有する支持基
    板上に所望のパターンで搭載して集積化する工程とを含
    むことを特徴とする薄膜素子モジュールの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記支持基板上に搭載された複数の薄膜
    素子の隣接する薄膜素子間をそれぞれ導電性部材を用い
    て電気的に接続させることを特徴とする請求項1記載の
    薄膜素子モジュールの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の基板および支持基板をそれぞ
    れ柔軟性を有するフィルム材料で形成することを特徴と
    する請求項1記載の薄膜素子モジュールの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記薄膜素子を第1の基板から剥離して
    第2の基板に転写したのち、第2の基板に対して各太陽
    電池素子の電極取り出し用の開口部を形成することを特
    徴とする請求項1記載の薄膜素子モジュールの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記薄膜素子を第1の基板から剥離して
    第2の基板に転写したのち、前記薄膜素子を第2の基板
    から剥離し、そののち前記薄膜素子に対して、予め各太
    陽電池素子に対応して電極取り出し用の開口部が形成さ
    れた他の基板を接着させることを特徴とする請求項1記
    載の薄膜素子モジュールの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第2の基板として、予め各太陽電池
    素子に対応して電極取り出し用の開口部が形成された基
    板を用いることを特徴とする請求項1記載の薄膜素子モ
    ジュールの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記切断手段として、断裁機、ペーパー
    カッタ、ロータリーカッタ、NTカッタもしくは鋏を用
    いることを特徴とする請求項1記載の薄膜素子モジュー
    ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記薄膜素子がpn接合を含む太陽電池
    素子であることを特徴とする請求項1記載の薄膜素子モ
    ジュールの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記太陽電池素子間を切断手段によって
    切断した際にpn接合面が損傷を受けた場合、切断面を
    エッチング処理することにより損傷部分を除去すること
    を特徴とする請求項8記載の薄膜素子モジュールの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記太陽電池素子間の切断領域に沿っ
    てpn接合面と交差しない分割層を選択的に形成するこ
    とを特徴とする請求項8記載の薄膜素子モジュールの製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記太陽電池素子をシリコンにより形
    成すると共に前記分割層を陽極化成によって多孔質シリ
    コンで形成することを特徴とする請求項10記載の薄膜
    素子モジュールの製造方法。
  12. 【請求項12】 柔軟性を有する支持基板と、 この支持基板に搭載された複数の薄膜素子と、 これら複数の薄膜素子間を互いに電気的に接続するため
    の導電性部材とを備えたことを特徴とする薄膜素子モジ
    ュール。
  13. 【請求項13】 前記薄膜素子がpn接合を含む太陽電
    池素子であることを特徴とする請求項12記載の薄膜素
    子モジュールの製造方法。
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