JPH116489A - 給油式多段スクリュー圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の給油式多段スクリュー圧縮機は中間段で
の冷却性能が低く、また２段圧縮機での低圧段での機械
損失が大きいので、これらを解決する。 【解決手段】 中間段で小径多数の油噴射孔から多量ミ
スト噴射を行うと共に、中間段通路を長くする。さらに
低圧段のみ少量油噴射を行う。 【効果】中間段での中間冷却性能を高めると共に、低圧
段での機械損失が低減し、圧縮機の性能が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は作動室内に油を噴射
する給油式スクリュー圧縮機の多段圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、給油式２段スクリュー圧縮機は、
特公平8-21806号記載のように一つのケーシングに低圧
段及び高圧段の作動空間が設けられ、それぞれの作動空
間には一対のロータを納め、一方を低圧段圧縮機、他方
を高圧段圧縮機として構成している。低圧段圧縮機の吐
出端と高圧段圧縮機の吸気端は同一方向に面し、低圧段
圧縮機と高圧段圧縮機との間には中間通路を設けてい
る。中間通路には中間冷却噴射ノズルを設け、低圧段圧
縮機の圧縮熱を除去するため、このノズルから冷却材
（給油式の場合は油）を噴射する。給油式の場合は中間
通路以外に低圧段圧縮機においても油噴射が行われる。
低圧段圧縮機での油噴射は圧縮空気の冷却、ロータの潤
滑、すきまのシールのためのもので、中間通路での油噴
射はさらに低圧段圧縮機の圧縮空気の二次冷却を行うも
のである。従来、中間通路での冷却効果を高めるため、
油噴射の液滴を小さくさせていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】中間通路での油噴射に
よる中間冷却は噴射量の増加と共に冷却効果は高まる
が、低圧段での油噴射と合流し、高圧段圧縮機に流れ込
み、高圧段圧縮機の油攪拌損失の増加につながる。した
がって中間油噴射は圧縮機空気を効率よく冷却すること
が圧縮機の性能向上に必要なことで、そのためには油の
液滴を小さくさせると共に冷却時間、すなわち低圧段圧
縮機の吐出口から高圧段圧縮機の吸込口までの距離が長
いことが条件となる。しかし、従来の低圧段圧縮機の吐
出口と高圧段圧縮機の吸込口は同一方向にあり、中間通
路が短く、中間冷却時間が十分に取れない問題があっ
た。

【０００４】

【課題を解決するための手段】低圧段圧縮機吐出口と高
圧段圧縮機の吸込口を逆方向とすることで中間通路の流
路を長くさせ、中間通路での油噴射による冷却時間を長
くする。また、中間通路での油噴射は低圧段圧縮機の吐
出側近傍から微粒化噴射する。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図
１、図２を参照して説明する。

【０００６】図１は本発明の給油式２段スクリュー圧縮
機の縦断面図、図２は図１のA-A断面図を示す。１はメ
インケーシング、２は吐出ケーシングで、ギヤケーシン
グ３の一方の端面にメインケーシング１、他方の端面に
モータ４が取り付けられている。メインケーシング１に
は、低段ロータ穴５、高段ロータ穴６、中間段通路７が
設けられ、低段ロータ穴５には低段吸込ポート８、低段
吐出ポート９、高段ロータ穴６には高段吸込ポート10、
高段吐出ポート11が形成されている。また、メインケー
シング１には吸込口12が設けられ、低段ロータ穴５の左
右には低段油噴射孔13a,13bが形成されている。吐出ケ
ーシング２には吐出口14、油ジャケット16が設けられ、
油ジャケット15の壁には中間段油噴射孔16、油導入孔17
が形成されている。

【０００７】低段ロータ孔５には低段雄ロータ18と低段
雌ロータ19、高段ロータ孔６には高段雄ロータ20と高段
雌ロータ21が噛み合い状態で収まっている。低段雄、雌
ロータ18,19及び高段雄、雌ロータ20,21の両端は吐出側
軸受22,23と吸込側軸受（指示せず）で支持され、さら
に雄ロータ18,20の吸込側軸端には低段ピニオン24、高
段ピニオン25が取り付けてある。モータ４軸端にはブル
ギヤ26が取り付けてあり、ギヤケーシング３内で低段ピ
ニオン24、高段ピニオン25と噛み合う。

【０００８】このように構成された給油式２段スクリュ
ー圧縮機の動作について説明する。モータ１によりブル
ギヤ26が回転すると、これに噛み合うピニオン24,25が
回転する。さらに雄ロータ18,20回転すると、雄ロータ1
8,20と噛み合う雌ロータ19,21が回転する。これにより
吸込口12から吸い込まれ空気は、低段吸込ポート8、低
段ロータ孔５を通り低段吐出ポート９から排出される。
さらに、中間段通路７を経由し、高段吸込ポート10、高
段ロータ孔６を通り高段吐出ポート11から排出され、さ
らに吐出口14を通り工場の駆動空気源などに利用され
る。

【０００９】低段吸込ポート8、低段ロータ孔５、低段
吐出ポート９及び低段雄、雌ロータ18,19は低圧段圧縮
機の作動室を構成し、ここで大気圧から0.28Mpa程度に
昇圧する。一方、高段吸込ポート10、高段ロータ孔６、
高段吐出ポート11及び高段雄、雌ロータ20,21は高圧段
圧縮機の作動室を構成し、さらに0.28Mpaから0.79Mpa程
度に昇圧する。低圧段圧縮機の圧縮過程においては低段
油噴射孔13a,13bから油が噴射され、圧縮熱を除去し等
温圧縮に近づける。この油噴射は圧縮空気の冷却以外に
ロータ噛み合いの潤滑、及びロータ回りのシールに作用
する。低圧段圧縮機からの吐出温度は噴射油温度50℃程
度であれば60〜80℃となる。

【００１０】中間段通路７においては空気/油の混合状
態で流れ、この間、多数の中間段油噴射孔16から油が噴
射されるため、さらに空気/油の冷却が進む。中間段油
噴射孔16からの油冷却は、直冷の中間冷却に相当するも
のである。中間段通路７は低段吐出ポート９と高段吸込
ポート10が逆方向に設けており、通路が長く十分な冷却
が行われる。それにより中間段温度は60〜80℃から55〜
70℃程度となる。

【００１１】高段圧縮機ではすでに空気/油混合状態に
なっているため、さらに油噴射は不要で、高圧段での吐
出温度は65〜80℃程度となる。

【００１２】低圧段での油噴射は雄、雌ロータそれぞれ
のロータ外径の接線回転方向に噴射しているため、効率
的に冷却され、かつ、ロータ間のすきまシールを向上さ
せる。

【００１３】中間段での油噴射は２段圧縮機での中間冷
却による等温圧縮効果と、高圧段による等温圧縮効果で
ある。低圧段では高圧段に比べ油噛み合い損失などの油
に起因する機械損失の割合が大きく、低圧段では油粘度
を高くする方が機械損失が低減し、圧縮機性能が高くな
る。そのため、低圧段での油噴射は中間段に比べ少量に
する方が好ましい。また、中間段においては直冷中間冷
効果を高めるため、多量・ミスト化の油噴射と熱交換の
長時間が好ましい。本実施形態はミスト化のための小径
多数の噴射孔の形成、並びに熱交換時間の長時間化のた
めの長い中間段通路が設けられており、十分な冷却効果
が上げられる。

【００１４】上記実施形態では複数個の油噴射孔による
油ミスト化の形態を示し説明したが、単孔のノズルを用
いて噴霧状に噴射しても同様の効果が得られる。

【００１５】また、他の実施例の態様として、前記ケー
シングの一方の端面がロータの吐出側端面とほぼ一致す
る様に構成することができる。

【００１６】さらに他の実施の態様として前段圧縮機と
後段圧縮機を連絡する空気通路の途中に中間段油噴射孔
を設けることができる。

【００１７】さらに他の実施の態様として前記空気通路
の途中に油ジャケットを設け、前記油ジャケットの前記
空気通路側壁に複数個の中間段油噴射孔を設けたができ
る。

【００１８】さらに他の実施の態様として前記油噴射孔
は概ね空気流れ方向に開口するように構成することがで
きる。

【００１９】さらに他の実施の態様として前記雄、雌一
対のロータは２組み収納され、一方が前段である低圧段
圧縮機、他方が高段である高圧段圧縮機で構成すること
もできる。

【００２０】さらに他の実施の態様として前記低圧段圧
縮機に低段油噴射孔を設けたこともできる。

【００２１】さらに他の実施の態様として前記低段油噴
射孔は雄、雌ロータそれぞれのロータ外径の接線回転方
向に概ね開口させることもできる。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば中間段での中間冷却性能
が向上し、多段圧縮機での圧縮機性能が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の給油式２段スクリュー圧縮機の縦断面
図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

７…中間段通路、９…低段吐出ポート、10…高段吸込ポ
ート、13…低段油噴射孔、16…中間段油噴射孔、18…低
段雄ロータ、19…低段雌ロータ、20…高段雄ロータ、21
…高段雌ロータ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一つのケーシングの中に互いに噛み合う
   雄、雌一対のロータを複数個収納した給油式多段スクリ
   ュー圧縮機において、前段圧縮機のロータ吐出し側端面
   と後段圧縮機のロータ吸込み側端面とが逆方向に配置し
   たことを特徴とした給油式多段スクリュー圧縮機。