JP3551758B2 - 給油式２段スクリュー圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は作動室内に油を噴射する給油式の２段スクリュー圧縮機に関する。
【０００２】
【従来の技術】
給油式２段スクリュー圧縮機では圧縮機の小形化を図るため、一つのケーシングに低圧段及び高圧段圧縮機を組み入れたものがある。特開昭４８−２１８０６ 号公報はその一例で、低圧段圧縮機と高圧段圧縮機はそれぞれ上下に配置され、ガスは上から吸い込まれ、下から吐き出される。
【０００３】
一般に、スクリュー圧縮機の吸込ポートは最大ロータ溝の後続の歯形及び歯先に沿って形成され、軸方向に開口する軸方向吸込ポートと半径方向に開口する半径方向吸込ポートとがある。半径方向吸込ポートはガスが遠心力に逆らって吸い込まれるため、吸込効率を低下させる。
【０００４】
そのため、特開昭４８−２１８０６ 号公報記載のように軸方向吸込ポートは完全に開口するが、半径方向吐出ポートはこれに相当する区間を凹部に設けるだけで、直接半径方向からガスは流入しない。
【０００５】
給油式は圧縮過程で油噴射を行い、圧縮ガスを冷却して、等温圧縮に近づけ圧縮効率を高める。特開昭４８−２１８０６ 号公報では低圧段及び高圧段圧縮機それぞれに油噴射しているが、特公平８−２６８６６号公報のように高圧段圧縮機の油噴射を取り止め、中間通路に油噴射することもある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
２段圧縮機を小形化するには特開昭４８−２１８０６ 号公報のように一体ケーシングに低圧段及び高圧段圧縮機を組み入れることが最良である。また、低圧段圧縮機の容積は全体の大きさを決定するため、低圧段圧縮機の容積が小さくなるように構成することが必要である。しかし、従来の軸方向吸込ポートでは軸方向にケーシングが伸びてしまい、小形化の限界があった。
【０００７】
また、従来の中間通路に油噴射する場合、低圧段圧縮機から高圧段圧縮機までの通路長さが不十分で、中間冷却効果に問題があった。
本発明の目的は、一つのケーシングに低圧段及び高圧段圧縮機を収納した給油式２段スクリュー圧縮機において、小形化を図ることができ、かつ中間冷却も十分に行うことができるようにすることにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、一つのケーシング内に互いに噛み合う雄，雌一対のロータを２組上下に配置して収納し、一方の組を低圧段圧縮機、他方の組を高圧段圧縮機とした給油式２段スクリュー圧縮機において、低圧段圧縮機の吸込ポートを半径方向に、高圧段圧縮機の吸込ポートを軸方向にそれぞれ開口させ、かつ低圧段圧縮機のロータ吐出側端面と高圧段圧縮機のロータ吸込側端面とが逆方向に配置されるように構成すると共に、低圧段圧縮機の吐出側と高圧段圧縮機の吸込側とを連絡する中間通路を備え、更に前記低圧段圧縮機のロータに油を噴射する低段油噴射孔を備えていることを特徴とするものである。
また、好ましくは、低圧段圧縮機と高圧段圧縮機を連絡する前記中間通路の途中に中間油噴射孔を設けるようにすると良い。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図１〜図５を参照して説明する。
【００１０】
図１は本発明の給油式２段スクリュー圧縮機の縦断面図、図２は図１のＡ−Ａ断面図を示す。１はメインケーシング、２は吐出ケーシングで、ギヤケーシング３の一方の端面にメインケーシング１，他方の端面にモータ４が取り付けられている。メインケーシング１には、低段ロータ穴５，高段ロータ穴６，中間通路７が設けられ、低段ロータ穴５には低段吸込ポート８，低段吐出ポート９、高段ロータ穴６には高段吸込ポート１０，高段吐出ポート１１が形成されている。また、メインケーシング１には吸込口１２が設けられ、低段ロータ穴５の左右には低段油噴射孔１３、吐出ケーシング２には中間油噴射孔１４が形成されている。
【００１１】
低段ロータ孔５には低段雄ロータ１５と低段雌ロータ１６、高段ロータ孔６には高段雄ロータ１７と高段雌ロータ１８が噛み合い状態で収まっている。低段雄，雌ロータ１５，１６及び高段雄，雌ロータ１７，１８の両端は吐出側軸受１９，２０と吸込側軸受２１，２２で支持され、さらに雄ロータ１５，１７の吸込側軸端には低段ピニオン２３，高段ピニオン２４が取り付けてある。モータ４の軸端にはブルギヤ２５が取り付けてあり、ギヤケーシング３内で低段ピニオン２３と高段ピニオン２４とで噛み合う。
【００１２】
図３は低段ロータ穴５の内面を展開した図、図４は高段ロータ穴５の内面を展開した図を示す。吸込ポート８，１０と吐出ポート９，１１の一部は一点鎖線で示す低段ロータ１５，１６の歯先２７，２８に沿って形成している。低圧段圧縮機の吸込ポート８は半径方向のみ開口し、低段雄，雌ロータ１５，１６、噛み合い部にはＶ型リブ２９が形成されている。高圧段の吸込ポート１０は軸方向のみ開口し、半径方向からは直接開口せず凹部になっている。
【００１３】
このように構成された給油式２段スクリュー圧縮機の動作について説明する。モータ１によりブルギヤ２５が回転すると、これに噛み合うピニオン２３，２４が回転する。さらに雄ロータ１５，１７が回転すると、雄ロータ１５，１７と噛み合う雌ロータ１６，１８が回転する。これにより吸込口１２から吸い込まれ空気は、低段吸込ポート８，低段ロータ孔５を通り低段吐出ポート９から排出される。さらに、中間通路７を経由し、高段吸込ポート１０，高段ロータ孔６を通り高段吐出ポート１１から排出され、さらに吐出口２６を通り工場の駆動空気源などに利用される。
【００１４】
低圧段圧縮機の圧縮過程においては低段油噴射孔１３から油が噴射され、圧縮熱を除去し等温圧縮に近づける。低圧段圧縮機からの吐出温度は噴射油温度５０℃程度であれば６０〜８０℃程度となる。この噴射油は圧縮空気の冷却以外にロータ噛み合いの潤滑、及びロータ回りのシール作用を行う。噴射油の一部は吸込側に漏れ込むが、Ｖ型リブ２９があるため吸込ガスを加熱することはない。
【００１５】
中間通路７においては空気／油の混合状態で流れる。この間、中間油噴射孔１４から油が噴射されるため、さらに空気／油の冷却が進む。中間油噴射孔１４からの油冷却は、直冷の中間冷却に相当するもので、中間通路が十分に長く、これにより中間温度は６０〜８０℃程度から５５〜７０℃程度に低下する。
【００１６】
高圧段圧縮機ではすでに空気／油混合状態になっているため、さらに油噴射は特に不要で、高圧段圧縮機でも圧縮による冷却が行われ、高圧段圧縮機での吐出温度は６５〜８０℃程度となる。
【００１７】
図５は本発明の実施形態での圧縮機と従来の圧縮機のＰ−Ｖ線図を比較したもので、実線は本発明、点線は従来を示す。本発明では中間通路が十分に長く、中間冷却効果が大きいため、従来に比べ圧縮機効率を高める。
【００１８】
【発明の効果】
本発明によれば、一つのケーシング内に低圧段圧縮機と高圧段圧縮機を上下に配置して収納し、低圧段圧縮機の吸込ポートを半径方向に、高圧段圧縮機の吸込ポートを軸方向にそれぞれ開口させ、かつ低圧段圧縮機のロータ吐出側端面と高圧段圧縮機のロータ吸込側端面とが逆方向に配置されるように構成すると共に、低圧段圧縮機の吐出側と高圧段圧縮機の吸込側とを連絡する中間通路を備え、更に前記低圧段圧縮機のロータに油を噴射する低段油噴射孔を備えているので、以下の効果がある。
即ち、一つのケーシング内に低圧段圧縮機と高圧段圧縮機を上下に配置した給油式２段スクリュー圧縮機において、容積が大きくなる低圧段圧縮機の吸込ポートを半径方向に設けているから、軸方向にケーシングが大きくなるのを防止できる。
また、低圧段圧縮機のロータ吐出側と、軸方向吸込ポートを有する高圧段圧縮機のロータ吸込側とが逆方向に配置され、かつ低圧段圧縮機の吐出側と高圧段圧縮機の吸込側とを連絡する中間通路を備えているので、前記空気通路を十分に長くとることができ、低圧段圧縮機から吐出された圧縮空気は、前記中間通路を通過する際に、前記低段油噴射孔から噴射されて圧縮空気に混合している油によって十分な時間冷却されるから、中間冷却を十分におこなうことができ、圧縮機の効率を向上することができる。
請求項２記載の発明によれば、低圧段圧縮機から中間通路に吐出された油を含む圧縮空気に対し、中間油噴射孔からも油が噴射されるから、圧縮空気の冷却を更に促進することができる効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の給油式２段スクリュー圧縮機の縦断面図。
【図２】図１のＡ−Ａ断面図。
【図３】図１の低圧段圧縮機のロータ穴内面展開図。
【図４】図１の高圧段圧縮機のロータ穴内面展開図。
【図５】本発明と従来の圧縮機のＰ−Ｖ線比較図。
【符号の説明】
７…中間通路、８…低段吸込ポート、９…低段吐出ポート、１０…高段吸込ポート、１１…高段吐出ポート、１４…中間油噴射孔、２９…Ｖ型リブ。
Claims (2)
- 一つのケーシング内に互いに噛み合う雄，雌一対のロータを２組上下に配置して収納し、一方の組を低圧段圧縮機、他方の組を高圧段圧縮機とした給油式２段スクリュー圧縮機において、低圧段圧縮機の吸込ポートを半径方向に、高圧段圧縮機の吸込ポートを軸方向にそれぞれ開口させ、かつ低圧段圧縮機のロータ吐出側端面と高圧段圧縮機のロータ吸込側端面とが逆方向に配置されるように構成すると共に、低圧段圧縮機の吐出側と高圧段圧縮機の吸込側とを連絡する中間通路を備え、更に前記低圧段圧縮機のロータに油を噴射する低段油噴射孔を備えていることを特徴とした給油式２段スクリュー圧縮機。
- 請求項１において、低圧段圧縮機と高圧段圧縮機を連絡する前記中間通路の途中に中間油噴射孔を設けたことを特徴とした給油式２段スクリュー圧縮機。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10734098A JP3551758B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 給油式２段スクリュー圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10734098A JP3551758B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 給油式２段スクリュー圧縮機 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11294356A JPH11294356A (ja) | 1999-10-26 |
| JP3551758B2 true JP3551758B2 (ja) | 2004-08-11 |
Family
ID=14456581
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP10734098A Expired - Lifetime JP3551758B2 (ja) | 1998-04-17 | 1998-04-17 | 給油式２段スクリュー圧縮機 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3551758B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN103423165B (zh) * | 2013-08-26 | 2015-08-12 | 天津商业大学 | 立式全封闭双级螺杆制冷压缩机 |
-
1998
- 1998-04-17 JP JP10734098A patent/JP3551758B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11294356A (ja) | 1999-10-26 |
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