JPH1162058A - 制振機能を有するａｌｃ壁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ＡＬＣ壁のロッキング機能と揺れを小さくする
制振機能を有するＡＬＣ壁を提供する。 【解決手段】建物躯体にＡＬＣパネルが上下位置であっ
てかつ幅方向の中央部で取付けられてロッキング機能を
有するとともに、パネルの長辺小口面の目地部に、アス
ファルトと複数種類の有機ポリマーとの混合物から成る
粘性体が狭着されているＡＬＣ壁。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は地震等による建物の
揺れを小さくする制振機能を有するＡＬＣ壁に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ＡＬＣパネル（以下、パネルとい
う）を建物驅体に取付ける際に、パネルの長手方向小口
面同士が突き合わされて形成される目地部の間に、目地
鉄筋とモルタルを充填する挿入筋構法が採用されてき
た。しかし、この挿入筋構法によるＡＬＣ壁は変形追随
性が小さく、いわゆるロッキング性が小さいため地震に
対する安全性があまり高くないという問題点があった。

【０００３】そのため、近年はＡＬＣ壁に地震に対する
安全性を持たせるために、パネル間の目地部にモルタル
等を充填せずに、図５に示すように、パネル１の上下で
あってかつパネル幅方向の中央部に取付金具３を設けて
パネルを建物躯体２に取付けて、パネル１の変形追随性
を大きくした、いわゆる乾式のロッキング構法が採用さ
れるようになってきた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】これらのロッキング構
法によるＡＬＣ壁は、挿入筋構法に比較して変形追随性
に優れているため地震に対する安全性に優れているが、
図４（ａ）の揺れの減衰効果のグラフに示すように、パ
ネル１は躯体の揺れに追随するのみで、その揺れを減衰
する機能はない。従って、建物は地震波に従って揺れ続
くため、壁の内装や開口部のサッシ等の取付け部材に損
傷を与え易く、また安全面や人に不安感を与えるという
問題点も有する。

【０００５】そこで、本発明の目的は、地震や強い風等
によって建物が揺れても、ロッキング構法による変形追
随性の特徴を持ちながら、その揺れを短時間で吸収し、
揺れが持続しない制振機能を有するＡＬＣ壁を提供する
ことにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】このような目的は、ＡＬ
Ｃパネルが建物躯体にロッキングするように取り付けら
れているＡＬＣ壁において、前記ＡＬＣパネルの長手方
向小口面同士が突き合わされて形成される目地部の間
に、アスファルトと複数種類の有機ポリマーとの混合体
から成る粘性体が挟着されている制振機能を有するＡＬ
Ｃ壁によって達成される。

【０００７】

【作用】地震等によって建物が揺れても、パネルはロッ
キング作用によってその変形に追随するため、パネルの
損傷は発生しない。その後、揺れが持続してもパネル相
互の目地間に生じたズレを、パネルの目地部に充填され
たアスファルトと有機ポリマーとの混合体からなる粘性
体が変形して受け止め、パネルの動きに抵抗し、変形エ
ネルギーを熱エネルギーに変換して揺れのエネルギーを
消費する。このことにより、図４（ａ）に示すように、
躯体の揺れが抑制され、建物全体としての振動・変形が
小さくなる。すなわち、減衰効果が生ずる。その結果、
大きな地震が起こっても、建物の破壊を防止し、その後
速やかにその揺れを減衰するため、建物の躯体、外装、
内装、設備を含めた建物内部の物の被害が小さくなると
ともに、安全性が向上し、さらには不安感を少なくす
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図に基づいて説明
する。図１に示すように、パネル１はその上下幅方向の
中心部において、建物驅体２に取付金具３によって取付
けられて、建物が揺れてもパネル１がロッキングするよ
うに構成されている。そして、図２（ａ）に示すよう
に、パネル１の目地部４にアスファルトを主成分としこ
れに約２０種類の有機ポリマーを混入した粘性体５が挟
着されている。また、粘性体５はテープテープ状または
シート状である。

【０００９】目地部４に貼着する粘性体５の厚みは２〜
５ｍｍ程度で良く、またパネル小口面６の全面厚みまた
は全長に貼着する必要はなく、図２（ｂ）のように、中
心部のみに充填し他の部分には防水材９や耐火材が充填
されていることがより望ましい。さらに、粘性体５は目
地部４の他にも、図１に示すサンダープレート８とパネ
ル裏面との間にも挟着させても良い。この粘性体５とし
ては、アスファルトを主成分としこれに複数種類の有機
ポリマーが混入されていれば適用可能であるが、特に日
本耐震工業（株）の製品（商標「ユレピタ」）に使用さ
れているものが好適である。また、この粘性体は、２０
℃のもとで軟化点が１１０℃±３℃、比重が１．７±
０．２、針入度が７３±２のものが好ましい。

【００１０】なお、この粘性体５を目地部４に挟着する
方法としては、図３に示すような、粘性体５の両面に非
接着紙６を貼着してテープ状に形成し、その片面の非接
着紙６を剥がしてパネル１の長辺小口面７に貼着した
後、他の面の非接着紙６を剥がして他方のパネルの長辺
小口面７を当接する方法が作業性の面で望ましい。ま
た、予めシート状に形成して貼着してもよい。その他、
粘性体５の温度をある程度上げて柔軟性を持たせて、パ
ネル１を建込む前に予めパネル長辺小口面７に塗料塗布
用のヘラ等を用いて貼着してもよい。

【００１１】また、建物驅体２に対するパネル１の取付
け構造は、上記のようにパネル幅方向の中心部位置で取
付ける構造が、パネル１が大きくロッキングするため、
本発明の効果がより顕著になり好適であるが、ロッキン
グする構造であればパネル１の上下両端部の合計４カ所
で取付ける構造でも良い。

【００１２】

【発明の効果】本発明によれば、地震や風等によって建
物が大きく揺れても、パネルが先ずロッキング作用によ
って建物驅体の変形に追随するため、パネルの損傷が少
なくなる。そして、パネル目地間に充填された粘性体が
その揺れの持続を速やかに減衰する。従って、大きな地
震等が起こっても、建物の躯体、外装、内装、設備を含
めた建物内部の物の被害が小さくなる。また、安全性が
向上するとともに、不安感も減少する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施形態を示す斜視図。

【図２】図１のパネル目地部に粘性体を充填する形態を
示す断面図。

【図３】粘性体の１実施形態の説明図。

【図４】本発明と従来例との減衰効果を示す図。

【図５】従来の実施形態を示す斜視図。

【符号の説明】

１ ＡＬＣパネル ２ 建物躯体 ３ 取付金具 ４ 目地部 ５ 粘性体 ７ パネル長辺小口面

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ＡＬＣパネルが建物躯体にロッキングする
   ように取り付けられているＡＬＣ壁において、前記ＡＬ
   Ｃパネルの長手方向小口面同士が突き合わされて形成さ
   れる目地部の間に、アスファルトと複数種類の有機ポリ
   マーとの混合体から成る粘性体が挟着されていることを
   特徴とする制振機能を有するＡＬＣ壁。
2. 【請求項２】前記粘性体はテープ状またはシート状であ
   る請求項１記載の制振機能を有するＡＬＣ壁。
3. 【請求項３】前記ＡＬＣパネルは建物躯体に対してその
   ＡＬＣパネルの幅方向の中心部位置で取付けられている
   請求項１または２記載の制振機能を有するＡＬＣ壁。