JPH1160385A - ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法 - Google Patents

ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法

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JPH1160385A
JPH1160385A JP9210969A JP21096997A JPH1160385A JP H1160385 A JPH1160385 A JP H1160385A JP 9210969 A JP9210969 A JP 9210969A JP 21096997 A JP21096997 A JP 21096997A JP H1160385 A JPH1160385 A JP H1160385A
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JP
Japan
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lithium
thin film
lithium niobate
producing
niobate thin
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JP9210969A
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English (en)
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Yutaka Okabe
豊 岡部
Ichiro Koiwa
一郎 小岩
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な屈折率やSHG位相整合定数の光学特
性を有する、緻密なニオブ酸リチウム薄膜を、低温で、
しかも安定、迅速な化学反応を用いて容易に得る。 【解決手段】 少なくとも、有機酸リチウムと、アルコ
キシニオブとを脱エステル化反応させて、ニオブ酸リチ
ウムの前駆体を作成する工程と、ニオブ酸リチウムの前
駆体を下地に積層した後、加熱してニオブ酸リチウム薄
膜を作成する工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ニオブ酸リチウ
ム(LiNbO3 )薄膜の製造方法、特に、低温、かつ
簡易な方法で、均一な光学特性を有するニオブ酸リチウ
ム(LiNbO3)薄膜を製造することができる製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法
として、粉粒体状のニオブ酸リチウムを分散させた溶液
を、下地上に塗布して、それを高温で焼結する方法が一
般に行われていた。
【0003】また、スパッタリング法や、真空蒸着法も
一部、ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法として、検討さ
れている。
【0004】そして、特公平3−75518には、エト
キシリチウムとペンタエトキシニオブのモル比が1:1
となるように混合、溶解し、そして、還流により複合ア
ルコキシドを作成し、この複合アルコキシドを部分加水
分解し、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )の前駆体を
作成し、得られたニオブ酸リチウムの前駆体をサファイ
ア単結晶基板上に塗布して400℃以上の温度で加熱焼
成する工程を少なくとも1回以上繰り返し、基板上に、
ニオブ酸リチウム薄膜を、多層に積層せしめる製造方法
が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、粉粒体
状のニオブ酸リチウムを分散させた溶液を、下地上に塗
布して、それを高温で焼結する方法(高温焼結方法)で
は、均一で、クラックやホールがないニオブ酸リチウム
薄膜を作成することが困難であった。また、かかる高温
焼結方法では、1000℃を超える高温が必要であり、
基材の材料が耐熱性材料に限られてしまい、さらには、
加熱装置も大型化するという問題があった。
【0006】また、スパッタリング法や、真空蒸着法で
は、製造装置が大型化し、また、製造条件の制御が容易
でなく、さらには、緻密なニオブ酸リチウム薄膜を作成
することが困難であるという問題があった。
【0007】さらに、特公平3−75518に開示され
たニオブ酸リチウム薄膜の製造方法は、エトキシリチウ
ムとペンタエトキシニオブからなる複合アルコキシドを
作成しておいて、それからこの複合アルコキシドを部分
的に加水分解する必要があった。そのため、最終的なニ
オブ酸リチウム(LiNbO3 )薄膜を得るために、複
合アルコキシドを作成する工程および、この複合アルコ
キシドを部分的に加水分解する工程の両工程が必須であ
り、全体として製造時間が長くかかり、また、これらの
工程について厳格な工程管理が必要となるなど、ニオブ
酸リチウム薄膜の製造が容易でないという問題があっ
た。
【0008】また、特公平3−75518に開示された
ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法では、エトキシリチウ
ムとペンタエトキシニオブとを、モル比1:1で反応さ
せようとしているが、これらは必ずしも正確なモル比で
反応せず、一般にペンタエトキシニオブが多く反応しや
すい。したがって、できたニオブ酸リチウム薄膜の屈折
率やSHG位相整合定数の光学特性がばらつきやすいと
いう問題があった。
【0009】また、特公平3−75518に開示された
ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法では、例えば、複合ア
ルコキシドを作成する工程で、加水分解しないように、
乾燥窒素を用いる必要があるが、工程管理が大変なばか
りか、コストもかかるという問題があった。そして、複
合アルコキシドにつき、アルコキシ基を一部残して部分
的に加水分解すること自体容易でなく、さらには、加水
分解されたエトキシリチウムおよびペンタエトキシニオ
ブにおける水酸基どうしをそれぞれ反応させて脱水縮合
させることは、反応が遅くて容易なことではなく、ます
ますエトキシリチウムとペンタエトキシニオブとの反応
が不均一になりやすいという問題があった。
【0010】このため、均一な屈折率やSHG位相整合
定数の光学特性を有していて、緻密な薄膜であるニオブ
酸リチウム薄膜を、低温で、しかも安定、迅速な化学反
応を用いて容易に得ることができる製造方法の出現が望
まれていた。
【0011】そこで、発明者らは、鋭意検討した結果、
安定、迅速な化学反応である脱エステル化反応を用いれ
ば、ニオブ酸リチウム薄膜を低温で、しかも均一な薄膜
として得ることができることを見いだし、この発明を完
成させたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明のニオブ酸リチ
ウム薄膜の製造方法によれば、少なくとも、有機酸リチ
ウムと、アルコキシニオブとを脱エステル化反応させ
て、ニオブ酸リチウムの前駆体を作成する工程と、この
ニオブ酸リチウムの前駆体を下地に積層した後、加熱し
てニオブ酸リチウム薄膜を作成する工程とを含むことを
特徴とする。
【0013】このようにニオブ酸リチウム薄膜を作成す
ると、低温反応であり、しかも、安定、迅速な化学反応
である脱エステル化反応を用いているため、屈折率やS
HG位相整合定数について均一な光学特性を有するニオ
ブ酸リチウム薄膜を容易に得ることができる。
【0014】なお、有機酸リチウム(R1 −COO−L
i、R1 は炭化水素)と、アルコキシニオブ(Nb(O
25 、R2 はアルキル基)の脱エステル化反応は、
以下の式(1)で表される。
【0015】 R1 −COO−Li + Nb(OR2 ⇒Li−O−Nb(OR4 + R1 −COO−R2 (1) また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の製造方法によ
れば、有機酸リチウムが、飽和カルボン酸リチウムであ
ることが好ましい。
【0016】飽和カルボン酸リチウムは、それ自体耐熱
性や保存安定性に優れており、より化学的安定性に優れ
た、屈折率やSHG位相整合定数について均一な特性を
有するニオブ酸リチウム薄膜を得ることができる。
【0017】なお、飽和カルボン酸リチウムの好ましい
具体例としては、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、プロピ
オン酸リチウム、酪酸リチウム、吉草酸リチウム、カプ
ロン酸リチウム、エナント酸リチウム、カプリル酸リチ
ウム、ペラルゴン酸リチウム、カプリン酸リチウム、ウ
ンデカン酸リチウム、ドデカン酸リチウム、トリデカン
酸リチウム、テトラデカン酸リチウム、ペンタデカン酸
リチウム、ヘキサデカン酸リチウム、ヘプタデカン酸リ
チウム、オクタデカン酸リチウム、ノナデカン酸リチウ
ム、エイコサン酸リチウム、ヘンエイコサン酸リチウ
ム、ドコサン酸リチウム、トリコサン酸リチウム、テト
ラコサン酸リチウム、ペンタコサン酸リチウム、ヘキサ
コサン酸リチウム、ヘプタコサン酸リチウム、オクタコ
サン酸リチウム、ノナコサン酸リチウム、トリアコサン
酸リチウム、ヘントリアコンタン酸リチウム、ドトリア
コンタン酸リチウム、トリトリアコンタン酸リチウム、
テトラトリアコンタン酸リチウム、ペンタトリアコンタ
ン酸リチウム、へキサトリアコンタン酸リチウム、ヘプ
タトリアコンタン酸リチウム、オクタトリアコンタン酸
リチウム、ノナトリアコンタン酸リチウム、テトラコン
タン酸リチウム、ヘンテトラコンタン酸リチウム、ドテ
トラコンタン酸リチウム、トリテトラコンタン酸リチウ
ム、テトラテトラコンタン酸リチウム、ペンタテトラコ
ンタン酸リチウム、ヘキサテトラコンタン酸リチウム、
ヘプタテトラコンタン酸リチウム、オクタテトラコンタ
ン酸リチウム、ノナテトラコンタン酸リチウム、ペンタ
コンタン酸リチウム、ヘンペンタコンタン酸リチウム、
ドペンタコンタン酸リチウム、トリペンタコンタン酸リ
チウム、テトラペンタコンタン酸リチウム、ペンタペン
タコンタン酸リチウム、ヘキサペンタコンタン酸リチウ
ム、ヘプタペンタコンタン酸リチウム、オクタペンタコ
ンタン酸リチウム、ノナペンタコンタン酸リチウム、ヘ
キサコンタン酸リチウム、ドヘキサコンタン酸リチウ
ム、デセン酸リチウム、ウンデセン酸リチウム、ドデセ
ン酸リチウム、トリデセン酸リチウム、テトラデセン酸
リチウム、ペンタデセン酸リチウム、ヘキサデセン酸リ
チウム、ヘプタデセン酸リチウム、オクタデセン酸リチ
ウム、ノナデセン酸リチウム、エイコセン酸リチウム、
ヘンエイコセン酸リチウム、ドコセン酸リチウム、トリ
コセン酸リチウム、テトラコセン酸リチウム、ペンタコ
セン酸リチウム、ヘキサコセン酸リチウム、ヘプタコセ
ン酸リチウム、オクタコセン酸リチウム、ノナコセン酸
リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、コハ
ク酸リチウム、グルタル酸リチウム、アジピン酸リチウ
ム、ピメリン酸リチウム、スベリン酸リチウム、アゼラ
イン酸リチウム、セバシン酸リチウムおよびこれらの誘
導体等であり、これらの1種または2種以上の使用が好
ましい。
【0018】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、前記有機酸リチウムが、不飽和カル
ボン酸リチウムであることが好ましい。
【0019】不飽和カルボン酸リチウムは、アルコキシ
ニオブとの相溶性に優れており、屈折率やSHG位相整
合定数について、より均一な特性を有するニオブ酸リチ
ウム薄膜を得ることができる。
【0020】不飽和カルボン酸リチウムの好ましい具体
例としては、アクリル酸リチウム、プロピオール酸リチ
ウム、メタクリル酸リチウム、クロトン酸リチウム、イ
ソクロトン酸リチウム、オレイン酸リチウム、フマル酸
リチウム、マレイン酸リチウムおよびこれらの誘導体等
であり、これらの1種または2種以上の使用が好まし
い。
【0021】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、有機酸リチウムが、芳香族カルボン
酸リチウムであることが好ましい。
【0022】芳香族カルボン酸リチウムは、それ自体耐
熱性に優れており、より化学的安定性に優れ、屈折率や
SHG位相整合定数について均一な特性を有するニオブ
酸リチウム薄膜を得ることができる。
【0023】芳香族カルボン酸リチウムの好ましい具体
例としては、安息香酸リチウム、トルイル酸リチウム、
ナフトエ酸リチウム、サリチル酸リチウム、アントラニ
ル酸リチウム、ケイ皮酸リチウム、マンデル酸リチウム
およびこれらの誘導体等があり、これらの1種または2
種以上の使用が好ましい。
【0024】なお、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、上述した有機酸リチウムと反応させ
るアルコキシニオブについては、Nb(O−R)5 (R
は、アルキル基)で表されるものであれば、特に限定さ
れるものではなく、種々のものが使用可能である。
【0025】アルコキシニオブの好ましい具体例として
は、ペンタメトキシニオブ、ペンタエトキシニオブ、ペ
ンタプロポキシニオブ、ペンタブトキシニオブ、ペンタ
ペントキシニオブ、ペンタヘキサキシニオブ、ペンタヘ
プトキシニオブ、ペンタオクトキシニオブ、ペンタノナ
キシニオブ、ペンタデコキシニオブ、1−メトキシ−4
−エトキシニオブ、2−メトキシ−3−エトキシニオ
ブ、3−メトキシ−2−エトキシニオブ、4−メトキシ
−1−エトキシニオブおよびこれらの誘導体等であり、
1種または2種以上の使用が好ましい。
【0026】そして、この発明のニオブ酸リチウム薄膜
の製造方法によれば、アルコキシニオブが、ペンタメト
キシニオブおよびペンタエトキシニオブの双方あるいは
いずれか一方であることが好ましい。ペンタメトキシニ
オブまたはペンタエトキシニオブは、アルコキシニオブ
の中でも、特に反応性が高く、より確実に脱エステル化
反応が行えるためである。
【0027】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、脱エステル化反応を、温度15〜4
0℃および0.1〜100時間の条件で行うことが好ま
しい。
【0028】このような温度範囲で脱エステル化反応を
行えば、副反応が生じるおそれがなく、確実に有機酸リ
チウムと、アルコキシニオブとを反応させることができ
るためである。また、このような脱エステル化反応の温
度条件であれば、沸点の低い溶媒を用いることができる
点でも好ましい。
【0029】また、このような時間の範囲で脱エステル
化反応を行えば、全体としての製造時間が著しく長くな
ることはなく、また、有機酸リチウムと、アルコキシニ
オブとを確実に反応させて、脱エステル化反応を生じさ
せることができるためである。
【0030】したがって、製造時間と、有機酸リチウム
およびアルコキシニオブの反応性のバランスがより良好
な観点から、脱エステル化反応を、温度20〜30℃、
1〜50時間の条件で行うことがより好ましい。
【0031】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、脱エステル化反応を、アルコール中
で行うことが好ましい。
【0032】このようにアルコール中で有機酸リチウム
およびアルコキシニオブの脱エステル化反応を行うこと
により、反応系を適当な粘度に調整することができ、よ
り確実にこれらの反応成分を反応させることができるた
めである。
【0033】また、脱エステル化反応の生成物であるエ
ステル化合物を、かかるアルコール中に溶解または均一
分散させることができるため、アルコール中で有機酸リ
チウムおよびアルコキシニオブの脱エステル化反応と、
脱エステル化反応がより進みやすいという利点もある。
【0034】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、脱エステル化反応の後、ニオブ酸リ
チウムの前駆体の濃度を、0.05〜5.0mol/リ
ットルの範囲内の値に調整する工程を含むことが好まし
い。
【0035】このような範囲にニオブ酸リチウムの前駆
体の濃度を調整すると、一定の厚さのニオブ酸リチウム
薄膜を作成することができ、また、例えば、粘度との関
係で、下地上にかかる前駆体を積層する際に、均一な厚
さのニオブ酸リチウム薄膜を作成することができる点で
好ましい。
【0036】したがって、ニオブ酸リチウム薄膜の厚さ
と、膜の均一性とのバランスがより良好な観点から、ニ
オブ酸リチウムの前駆体の濃度を、0.1〜1.0mo
l/リットルの範囲内の値とすることがさらに良い。
【0037】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、下地上に積層されたニオブ酸リチウ
ムの前駆体を、第1の温度と、第2の温度との、2段階
の温度で加熱し、かつ第2の温度を、第1の温度よりも
高くしてあることが好ましい。
【0038】このように2段階で加熱することにより、
アルコールやエステル化合物等の低沸点化合物を、まず
最初の第1の温度で効率的に飛散させる(除去する)こ
とができ、次に、第2の温度で、ニオブ酸リチウム以外
の高沸点化合物、すなわちニオブ酸リチウムの前駆体に
おけるアルコキシ基に起因した炭素化合物等を効率的に
飛散させる(除去する)ことができる。すなわち、一段
階の加熱で、低沸点化合物および高沸点化合物を飛散さ
せようとすると、低沸点化合物が発泡して、均一なニオ
ブ酸リチウム薄膜が作成されないおそれがあるためであ
る。
【0039】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、ニオブ酸リチウムの前駆体を、第1
の温度として、50〜250℃の範囲内で加熱すること
が好ましい。
【0040】このような範囲に第1の温度を制御する
と、アルコールやエステル化合物等の低沸点化合物を効
率的に飛散させる(除去する)ことができ、また、かか
る低沸点化合物が発泡するおそれも少ないためである。
なお、第1の温度の加熱時間としては、特に限定される
ものではないが、低沸点化合物を十分に飛散させ、ま
た、工程時間が著しく長くならないことから、1〜12
0分の範囲内が好ましい。
【0041】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、ニオブ酸リチウムの前駆体を、第2
の温度として、300〜500℃の範囲内で加熱するこ
とが好ましい。
【0042】このように第2の温度範囲を制御すると、
ニオブ酸リチウム以外の高沸点化合物を効率的に飛散さ
せる(除去する)ことができ、また、均一なニオブ酸リ
チウム薄膜を作成することができるためである。なお、
第2の温度の加熱時間としては、特に限定されるもので
はないが、高沸点化合物を十分に飛散させ、また、工程
時間が著しく長くならないことから、1〜120分の範
囲内が好ましい。
【0043】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、ニオブ酸リチウムを結晶化する工程
を含むことが好ましい。
【0044】このようにニオブ酸リチウムを結晶化する
と、より緻密で、クラックやホ−ルのないニオブ酸リチ
ウム薄膜が得られるためである。
【0045】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、ニオブ酸リチウムを結晶化する結晶
化工程の温度(結晶化温度)が、500〜1000℃の
範囲内の値であることが好ましい。
【0046】ニオブ酸リチウムの結晶化温度を、このよ
うな範囲に制御すると、ニオブ酸リチウムを効率的に結
晶化およびアニールすることができるとともに、簡易な
加熱手段を用いることができるためである。したがっ
て、ニオブ酸リチウムに対して、さらに効率的に結晶化
およびアニールすることができるとともに、より簡易な
加熱手段を用いることができることより、ニオブ酸リチ
ウムの結晶化温度を、600〜800℃の範囲内の値と
することが良い。
【0047】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、ニオブ酸リチウムを結晶化する結晶
化工程を、酸素雰囲気中で行うことが好ましい。
【0048】このように、結晶化工程を、酸素雰囲気下
で行うと、ニオブ酸リチウムを結晶化するとともに、ア
ニール処理を施すことができ、より緻密で、耐久性が高
いニオブ酸リチウム薄膜が得られるためである。
【0049】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、下地が、サファイア(α−Al2
3 )基板、シリコン基板、ニオブ酸リチウム基板および
タンタル酸リチウム基板からなる群から選択されたいず
れか一つであることが好ましい。
【0050】これらの基板は、一定の耐熱性を有してお
り、また、ニオブ酸リチウム薄膜と高い密着力を示す点
で好ましい。さらに、これらの基板表面は、エッチング
直後には比較的荒れて、一定の凹凸を表面に有している
ものの、ニオブ酸リチウム薄膜が、これらの基板表面の
凹凸を容易に埋めて、極めて均一な基板表面とすること
ができる点でも好ましい。
【0051】特に、サファイア(α−Al23 )基
板、シリコン基板およびニオブ酸リチウム基板は、ニオ
ブ酸リチウム薄膜との密着力に優れている点で、この発
明の下地として好ましい。
【0052】また、この発明のニオブ酸リチウム薄膜の
製造方法によれば、ニオブ酸リチウム薄膜の厚さが、
0.1〜1000μmの範囲内の値であることが好まし
い。
【0053】ニオブ酸リチウム薄膜の厚さをこのような
範囲に制御することにより、より緻密で、クラックやホ
−ルのないニオブ酸リチウム薄膜が得られ、したがっ
て、ニオブ酸リチウム薄膜は、より均一な屈折率やSH
G位相整合定数の特性を得ることができる。また、ニオ
ブ酸リチウム薄膜の厚さがこのような範囲の値であれ
ば、例えば、下地としてサファイア基板またはシリコン
基板等を用いたとしても、これらの基板表面の凹凸を埋
めて、極めて均一な基板表面とすることもできる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、この発明のニオブ酸リチウ
ム薄膜の製造方法における実施の形態を、実施例に基づ
いてさらに詳細に説明する。但し、言うまでもないが、
この発明の範囲は特に理由なく、以下に示す実施例の記
載に何ら限定されるものではない。
【0055】(実施例1)まず、有機酸リチウムとして
飽和カルボン酸リチウムを用いて、以下に示す方法でニ
オブ酸リチウム薄膜を作成した。
【0056】(1)有機酸リチウムとして、飽和カルボ
ン酸リチウムである酢酸リチウムを用い、アルコキシニ
オブとして、ペンタエトキシニオブを用い、それぞれ
を、1モルずつエタノール中に溶解させ、エタノール溶
液とした。
【0057】(2)この酢酸リチウムおよびペンタエト
キシニオブを溶解させたエタノール溶液を、還流装置を
用いて、温度23℃、24時間の条件で還流させた。そ
して、このエタノール溶液を還流させている間に、酢酸
リチウムとペンタエトキシニオブとを反応させ、脱エス
テル化反応を行い、ニオブ酸リチウムの前駆体を作成し
た。
【0058】また、還流中、脱エステル化反応の生成物
である酢酸エチルの生成量をFT−IRによりモニタ
し、酢酸エチルの生成量が所定の値となったことによ
り、酢酸リチウムおよびペンタエトキシニオブの脱エス
テル化反応が終了したことを確認した。
【0059】なお、エタノール溶液中に、未反応の酢酸
リチウムおよびペンタエトキシニオブが一部残留してい
た場合にも、精製操作により、これらの未反応物を簡単
に取り除くことができる。
【0060】(3)エタノール溶液の還流を止めた後、
このニオブ酸リチウムの前駆体を含むエタノール溶液の
濃度が、0.2mol/リットルになるように、エタノ
ールを希釈剤として、別途添加した。なお、かかるエタ
ノール溶液の濃度は、蒸発乾固法により容易に求めるこ
とができる。
【0061】(4)この濃度調整されたエタノール溶液
を、スピンコータを用いて、直径6インチのシリコン基
板上に、約2.5μmの厚さに積層(塗布)した。
【0062】(5)そして、オーブン中、150℃(第
1の温度)、30分の条件で、ニオブ酸リチウムの前駆
体を含むエタノール溶液が積層されたシリコン基板を加
熱し、エタノールや酢酸エチルの低沸点化合物を十分に
飛散させて除去した。
【0063】(6)それから、同様に、オーブン中、4
50℃(第2の温度)、30分の条件で、ニオブ酸リチ
ウムの前駆体を含むエタノール溶液が積層されたシリコ
ン基板を加熱し、ニオブ酸リチウム以外の高沸点化合
物、すなわちニオブ酸リチウムの前駆体におけるアルコ
キシ基に起因した炭素化合物等を十分に飛散させ除去し
た。
【0064】(7)そして、上記(4)〜(6)の操作
を、20回繰り返し、ニオブ酸リチウム薄膜が積層され
たシリコン基板を得た。
【0065】(8)それから、高温炉(マッフル炉)
中、酸素雰囲気中、700℃、30分の条件で、このニ
オブ酸リチウム薄膜が積層されたシリコン基板をさらに
加熱し、ニオブ酸リチウム薄膜を結晶化するとともに、
かかる薄膜に対してアニール処理を施した。
【0066】なお、最終的に得られたニオブ酸リチウム
薄膜の厚さは1μmであった。また、かかるニオブ酸リ
チウム薄膜に対してX線回析測定を行ったところ、組成
式LiNbO3 で表されるニオブ酸リチウム(C軸配
向)であることが確認された。
【0067】次に、上記製造方法に準じて得られたニオ
ブ酸リチウム薄膜に、図1(A)〜(D)に示すように
光導波路を作成し、かかる光導波路における光伝播損失
を測定した。すなわち、ニオブ酸リチウム薄膜上に、以
下のようにして光導波路を作成した。
【0068】(A)厚さ500μmのシリコン基板10
を用意した。
【0069】(B)次に、シリコン基板10上に、上述
した(1)〜(8)に記載した製造方法に基づいて、ニ
オブ酸リチウム薄膜12を作成した。なお、この例で
は、ニオブ酸リチウム薄膜12の厚さを、一例として、
1μmとしてある。
【0070】(C)次に、シリコン基板10上における
ニオブ酸リチウム薄膜12の上に、チタン(Ti)14
をフォトリソグラフィ法を用いて、パターニング形成し
た。
【0071】(D)そして、チタン14がパターニング
形成されたニオブ酸リチウム薄膜12を有するシリコン
基板10を、熱拡散炉(図示せず)に入れた。それか
ら、酸素雰囲気下、1000℃、8時間の条件で、チタ
ン14をニオブ酸リチウム薄膜12内に拡散させ、断面
が半円形の光導波路16を形成した。
【0072】なお、上記製造方法により得られた光導波
路における光伝搬損失は、以下のように測定することが
できる。すなわち、長さを変えた光導波路を2種類用意
し、それぞれの光導波路内に、例えば波長1.53μm
のTMモード光を導波させ、光導波路における光出力
を、それぞれパワーメータを用いて測定する。それか
ら、光導波路における伝搬損失を、長さを変えた光導波
路におけるそれぞれの光出力の差として算出することが
できる。
【0073】そして、実際に測定した光導波路における
伝搬損失は、約0.3dB/cmとなり、市販のニオブ
酸リチウム基板を用いた場合の光導波路における伝搬損
失である0.2〜0.5dB/cmの値と同等の特性を
有していることが確認された。
【0074】また、実施例1の製造方法で作られたニオ
ブ酸リチウム薄膜について、屈折率をプリズムカプラを
用いて測定することができ、さらにSHG位相整合定数
についても、スペクトロアナライザとパワーメータとを
組み合わせて測定することができる。
【0075】この発明における実施例1の製造方法で作
られたニオブ酸リチウム薄膜は、酢酸リチウムおよびペ
ンタエトキシニオブを実質的に等モルで正確に反応させ
ることができるため、均一な屈折率やSHG位相整合定
数の光学特性を有していることが推定される。
【0076】(実施例2)実施例1における酢酸リチウ
ムの代わりに、アクリル酸リチウムを用いた以外は、実
施例1と同様に、ニオブ酸リチウム薄膜を作成した。な
お、実施例2において、実施例1と同様の操作や手順に
ついては、既に説明してあるため適宜省略する。
【0077】すなわち、有機酸リチウムとして、不飽和
カルボン酸リチウムであるアクリル酸リチウムを用い、
アルコキシニオブとしては、実施例1と同様にペンタエ
トキシニオブを用い、それぞれを、1モルずつエタノー
ル中に溶解させ、アクリル酸リチウムおよびペンタエト
キシニオブを含むエタノール溶液とした。
【0078】そして、アクリル酸リチウムおよびペンタ
エトキシニオブを含んだエタノール溶液を、還流装置を
用いて、実施例1と同様の条件で還流させ、アクリル酸
リチウムとペンタエトキシニオブとを反応させ、脱エス
テル化反応を行い、ニオブ酸リチウムの前駆体を作成し
た。
【0079】それから、スピンコータを用いて、直径6
インチのシリコン基板上に、実施例1と同様に濃度調整
されたエタノール溶液を、約2.5μmの厚さに積層
(塗布)した。
【0080】そして、オーブン中、150℃(第1の温
度)、30分の条件および、450℃(第2の温度)、
30分の条件で、ニオブ酸リチウムの前駆体を含むエタ
ノール溶液が積層されたシリコン基板を加熱し、さらに
は、濃度調整されたエタノール溶液の積層(塗布)およ
び加熱を、20回繰り返した。
【0081】それから、実施例1と同様に、高温炉(マ
ッフル炉)中、酸素雰囲気下、700℃、30分の条件
で、このニオブ酸リチウム薄膜が積層されたシリコン基
板をさらに加熱し、ニオブ酸リチウム薄膜を結晶化する
とともに、かかる薄膜に対してアニール処理を施した。
【0082】なお、最終的に得られたニオブ酸リチウム
薄膜の厚さは1μmであった。また、かかるニオブ酸リ
チウム薄膜に対してX線回析測定を行ったところ、組成
式LiNbO3 で表されるニオブ酸リチウム(C軸配
向)であることが確認された。
【0083】次に、上記製造方法で得られたニオブ酸リ
チウム薄膜に光導波路を作成し、かかる光導波路におけ
る光伝搬損失をそれぞれ測定した。なお、実施例2にお
ける光導波路の作成方法や条件は、上述した実施例1の
場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0084】そして、長さを変えた光導波路を2種類用
意し、それぞれの光導波路内に波長1.53μmのTM
モード光を導波させ、光導波路における光出力を、それ
ぞれパワーメータを用いて測定した。それから、光導波
路における伝搬損失を、長さを変えた光導波路における
それぞれの光出力の差として算出した。
【0085】その結果、光導波路における伝搬損失は、
実施例2の場合も、約0.3dB/cmとなり、市販の
ニオブ酸リチウム基板を用いた場合の光導波路における
伝搬損失である0.2〜0.5dB/cmの値と同等の
特性を有していることが確認された。
【0086】また、実施例2の製造方法で作られたニオ
ブ酸リチウム薄膜についても、屈折率をプリズムカプラ
を用いて測定することができ、さらにSHG位相整合定
数についても、スペクトロアナライザとパワーメータと
を組み合わせて測定することができる。
【0087】そして、この発明における実施例2の製造
方法で作られたニオブ酸リチウム薄膜は、アクリル酸リ
チウムおよびペンタエトキシニオブをより均一に混合す
ることができ、また、実質的にこれらを等モルで正確に
反応させることができるため、ニオブ酸リチウム薄膜
は、均一な屈折率やSHG位相整合定数の光学特性を有
していると推定される。
【0088】(実施例3)実施例1における酢酸リチウ
ムの代わりに、芳香族カルボン酸リチウムである安息香
酸リチウムを用い、また、実施例1におけるペンタエト
キシニオブの代わりに、ペンタメトキシニオブを用いた
以外は、実施例1と同様に、ニオブ酸リチウム薄膜を作
成した。なお、実施例3において、実施例1と同様の操
作や手順については、既に説明してあるため適宜省略す
る。
【0089】すなわち、有機酸リチウムとして、芳香族
カルボン酸リチウムである安息香酸リチウムを用い、ア
ルコキシニオブとして、ペンタメトキシニオブを用い、
それぞれを、1モルずつエタノール中に溶解させ、安息
香酸リチウムおよびペンタメトキシニオブを含むエタノ
ール溶液とした。
【0090】そして、安息香酸リチウムおよびペンタメ
トキシニオブを含んだエタノール溶液を、還流装置を用
いて、実施例1と同様の条件で還流させ、安息香酸リチ
ウムとペンタメトキシニオブとを反応させて脱エステル
化反応を行い、ニオブ酸リチウムの前駆体を作成した。
【0091】それから、スピンコータを用いて、直径6
インチのシリコン基板上に、実施例1と同様に濃度調整
されたエタノール溶液を、約2.5μmの厚さに積層
(塗布)した。
【0092】そして、実施例1と同様に、オーブン中、
150℃(第1の温度)、30分の条件および、450
℃(第2の温度)、30分の条件で、ニオブ酸リチウム
の前駆体を含むエタノール溶液が積層されたシリコン基
板を加熱し、さらには、粘度調整されたエタノール溶液
の積層(塗布)および加熱を、20回繰り返した。
【0093】それから、さらに実施例1と同様に、高温
炉(マッフル炉)中、酸素雰囲気下、700℃、30分
の条件で、このニオブ酸リチウム薄膜が積層されたシリ
コン基板をさらに加熱し、ニオブ酸リチウム薄膜を結晶
化するとともに、かかる薄膜に対してアニール処理を施
した。
【0094】なお、最終的に得られたニオブ酸リチウム
薄膜の厚さは約1μmであった。また、かかるニオブ酸
リチウム薄膜に対してX線回析測定を行ったところ、組
成式LiNbO3 で表されるニオブ酸リチウム(C軸配
向)であることが確認された。
【0095】次に、上記製造方法で得られたニオブ酸リ
チウム薄膜に光導波路を作成し、かかる光導波路におけ
る光伝播損失を測定した。なお、実施例3における光導
波路の作成方法や条件は、上述した実施例1の場合と同
様であるため、ここでは説明を省略する。
【0096】そして、長さを変えた光導波路を2種類用
意し、それぞれの光導波路内に波長1.53μmのTM
モード光を導波させ、光導波路における光出力を、それ
ぞれパワーメータを用いて測定した。それから、光導波
路における伝搬損失を、長さを変えた光導波路における
それぞれの光出力の差として算出した。
【0097】その結果、光導波路における伝搬損失は、
実施例3の場合も、約0.3dB/cmとなり、市販の
ニオブ酸リチウム基板を用いた場合の光導波路における
伝搬損失である0.2〜0.5dB/cmの値と同等の
特性を有していることが確認された。
【0098】また、実施例3の製造方法で作られたニオ
ブ酸リチウム薄膜についても、屈折率をプリズムカプラ
を用いて測定することができ、さらにSHG位相整合定
数についても、スペクトロアナライザとパワーメータと
を組み合わせて測定することができる。
【0099】そして、この発明における実施例3の製造
方法で作られたニオブ酸リチウム薄膜は、安息香酸リチ
ウムおよびペンタメトキシニオブを実質的に等モルで正
確に反応させることができるため、ニオブ酸リチウム薄
膜は、均一な屈折率やSHG位相整合定数の光学特性を
有していると推定される。
【0100】(比較例1)エトキシリチウムとペンタエ
トキシニオブのモル比が1:1となるように、エタノー
ル中に混合、溶解し、エタノール溶液とした。そして、
このエトキシリチウムとペンタエトキシニオブとを含む
エタノール溶液を、23℃、24時間の条件で還流を行
い、複合アルコキシドを作成した。なお、還流中に、エ
トキシリチウムおよびペンタエトキシニオブが加水分解
しないように、乾燥した窒素雰囲気下に還流を行った。
【0101】次に、還流後の複合アルコキシドを含むエ
タノール溶液に、エタノールに希釈した脱炭酸水を滴下
して、エトキシリチウムおよびペンタエトキシニオブの
部分的な加水分解を行った。すなわち、脱炭酸水を滴下
した複合アルコキシドを含むエタノール溶液に対して、
23℃、24時間の条件でさらに還流を行なった。但
し、エトキシリチウムおよびペンタエトキシニオブがど
の程度加水分解されたかは、FT−IRを用いて、加水
分解により生じる水酸基のピークを測定しても正確に判
断することはできなかった。
【0102】この後、エタノールを一部蒸発させて、濃
度約0.2mol/リットルの、加水分解された複合ア
ルコキシド(エトキシリチウムとペンタエトキシニオ
ブ)、すなわちニオブ酸リチウムの前駆体を含むエタノ
ール溶液とした。
【0103】そして、このニオブ酸リチウムの前駆体を
含むエタノール溶液に、直径3インチのシリコン基板を
浸漬し、一定速度で引き上げ塗布を行い、このエタノー
ル溶液が付着したシリコン基板を乾燥(風乾)させた。
それから、ニオブ酸リチウムの前駆体が積層されたシリ
コン基板を250℃で、酸素と水蒸気の混合雰囲気中に
90分間保持し、さらには、乾燥酸素中に60分間保持
した。そして、約30回、ニオブ酸リチウムの前駆体を
含むエタノール溶液への浸漬および加熱乾燥を繰り返し
た。
【0104】その後、ニオブ酸リチウムの前駆体が積層
されたシリコン基板を500℃の温度で加熱し、ニオブ
酸リチウム薄膜をシリコン基板上に得た。なお、最終的
に得られたニオブ酸リチウム薄膜の厚さは約1μmであ
った。
【0105】そして、かかるニオブ酸リチウム薄膜に対
してX線回析測定を行ったところ、組成式LiNbO3
で表されるニオブ酸リチウム(C軸配向)のピークが、
わずかに観察された。
【0106】また、上記製造方法で得られたニオブ酸リ
チウム薄膜に、実施例1と同様に光導波路を作成し、か
かる光導波路における光伝搬損失を測定した。そして、
長さを変えた光導波路を2種類用意し、それぞれの光導
波路内に波長1.53μmのTMモード光を導波させ、
光導波路における光出力を、それぞれパワーメータを用
いて測定した。
【0107】その結果、比較例1における光導波路にお
ける伝搬損失は、約0.5dB/cmとなり、実施例1
〜3の場合よりも若干光導波路における導波光の伝搬損
失が大きい傾向が見られた。
【0108】また、比較例1におけるニオブ酸リチウム
薄膜については、実施例1〜3と同様に、屈折率やSH
G位相整合定数を測定することができるが、反応が不均
一で、ペンタエトキシニオブがより多く反応しやすく、
したがって、これらの値がばらつきやすいという問題が
あった。
【0109】
【発明の効果】この発明のニオブ酸リチウム薄膜の製造
方法によれば、少なくとも、有機酸リチウムと、アルコ
キシニオブとを脱エステル化反応させて、ニオブ酸リチ
ウムの前駆体を作成する工程と、このニオブ酸リチウム
の前駆体を下地に積層した後、加熱してニオブ酸リチウ
ム薄膜を作成する工程とを含むことにより、均一な屈折
率やSHG位相整合定数の光学特性を有する、緻密なニ
オブ酸リチウム薄膜を、低温で、しかも安定、迅速な化
学反応(脱エステル化反応)を用いて容易に得ることが
できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光導波路の作成工程を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
10:シリコン基板 12:ニオブ酸リチウム薄膜 14:チタン(Ti) 16:光導波路

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法におい
    て、 少なくとも、有機酸リチウムと、アルコキシニオブとを
    脱エステル化反応させて、ニオブ酸リチウムの前駆体を
    作成する工程と、 該ニオブ酸リチウムの前駆体を下地に積層した後、加熱
    してニオブ酸リチウム薄膜を作成する工程とを含むこと
    を特徴とするニオブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のニオブ酸リチウム薄膜
    の製造方法において、前記有機酸リチウムが、飽和カル
    ボン酸リチウムであることを特徴とするニオブ酸リチウ
    ム薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のニオブ酸リチウム薄膜
    の製造方法において、前記有機酸リチウムが、不飽和カ
    ルボン酸リチウムであることを特徴とするニオブ酸リチ
    ウム薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のニオブ酸リチウム薄膜
    の製造方法において、前記有機酸リチウムが、芳香族カ
    ルボン酸リチウムであることを特徴とするニオブ酸リチ
    ウム薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のニ
    オブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記アルコキ
    シニオブが、ペンタメトキシニオブおよびペンタエトキ
    シニオブの双方あるいはいずれか一方であることを特徴
    とするニオブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のニ
    オブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記脱エステ
    ル化反応を、温度15〜40℃および0.1〜100時
    間の条件で行うことを特徴とするニオブ酸リチウム薄膜
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のニ
    オブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記脱エステ
    ル化反応を、アルコール中で行うことを特徴とするニオ
    ブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載のニ
    オブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記脱エステ
    ル化反応の後、前記ニオブ酸リチウムの前駆体の濃度
    を、0.05〜5.0mol/リットルの範囲内の値に
    調整する工程を含むことを特徴とするニオブ酸リチウム
    薄膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載のニ
    オブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記下地上に
    積層されたニオブ酸リチウムの前駆体を、第1の温度
    と、第2の温度との、2段階の温度で加熱し、かつ該第
    2の温度を、該第1の温度よりも高くしてあることを特
    徴とするニオブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のニオブ酸リチウム薄
    膜の製造方法において、前記第1の温度が、50〜25
    0℃の範囲内の値であることを特徴とするニオブ酸リチ
    ウム薄膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載のニオブ酸
    リチウム薄膜の製造方法において、前記第2の温度が、
    300〜500℃の範囲内の値であることを特徴とする
    ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項に記載
    のニオブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記ニオ
    ブ酸リチウムの結晶化工程を含むことを特徴とするニオ
    ブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載のニオブ酸リチウム
    薄膜の製造方法において、前記結晶化工程の温度が、5
    00〜1000℃の範囲内の値であることを特徴とする
    ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12または13に記載のニオブ
    酸リチウム薄膜の製造方法において、前記結晶化工程
    を、酸素雰囲気下で行うことを特徴とするニオブ酸リチ
    ウム薄膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    のニオブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記下地
    が、サファイア(α−Al23 )基板、シリコン基
    板、ニオブ酸リチウム基板およびタンタル酸リチウム基
    板からなる群から選択されたいずれか一つであることを
    特徴とするニオブ酸リチウム薄膜の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    のニオブ酸リチウム薄膜の製造方法において、前記ニオ
    ブ酸リチウム薄膜の厚さが、0.1〜1000μmの範
    囲内の値であることを特徴とするニオブ酸リチウム薄膜
    の製造方法。
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