JP2005247660A - 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ - Google Patents

誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ Download PDF

Info

Publication number
JP2005247660A
JP2005247660A JP2004062883A JP2004062883A JP2005247660A JP 2005247660 A JP2005247660 A JP 2005247660A JP 2004062883 A JP2004062883 A JP 2004062883A JP 2004062883 A JP2004062883 A JP 2004062883A JP 2005247660 A JP2005247660 A JP 2005247660A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
dielectric film
composition
particles
crystal structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004062883A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomotaka Shinoda
智隆 篠田
Kinji Yamada
欣司 山田
Masayuki Takahashi
昌之 高橋
Kyoichiro Ryu
恭一郎 龍
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2004062883A priority Critical patent/JP2005247660A/ja
Publication of JP2005247660A publication Critical patent/JP2005247660A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)
  • Inorganic Insulating Materials (AREA)

Abstract

【課題】 良好な誘電特性およびリーク特性を有する誘電体膜を形成するための誘電体膜形成用組成物およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明の誘電体膜形成用組成物は、
(A)金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する粒子と、
(B)金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物と、
(C)有機溶媒と、を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、誘電体膜を形成するための誘電体膜形成用組成物およびその製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタに関する。
携帯電話を始めとする情報産業分野のデバイスには、今後ますます高速化、高容量化、小型化が要求され、それを実現するための高機能デバイスの研究開発が広範囲で精力的に進められている。その中でも、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛に代表されるABOx型(ペロブスカイト型)結晶構造を有する誘電体材料はキャパシタやメモリー材料を始めとする電子デバイス分野で広く利用されている。しかしながら、それらの電子デバイスのさらなる小型化、高性能化のためには素子の薄膜化が不可欠の条件であり、そのためには高機能、高品質の誘電特性を有する薄膜の製造技術の確立が鍵となっている。
例えば、代表的な高誘電体セラミックスであるチタン酸バリウム(BaTiO3)の薄膜を形成するには、T.Nagatomoand O.Omoto,Jpn.J.Appl.Phys.26−2,11(1987)や、K.Iijima,Appl.Phys.Lett.56(6).Feb.1990などに示されるような真空装置を用いる手法が広く知られている。
しかし、このような気相法による薄膜形成プロセスではスパッタ装置、真空蒸着装置といった成膜装置の設備費用が大きくなり、またランニングコストが高く、成膜される薄膜のコストが高くなるという問題があった。さらに、真空蒸着中でBa、Tiを正確な化学量比に調整するのも非常に困難であり、所望の特性の誘電体膜を得ることは困難であった。
誘電体膜の作成法としては、製造コストの観点や組成制御と形状付与の容易さから、高価な装置を必要としない液相法に期待が寄せられている。
たとえば、特許文献1にはBa、Sr、Tiのアルコキシドを原料としたゾル−ゲル法による誘電体膜を作製する方法が述べられている。これは、Ba、Sr、Tiの各元素を含む前駆体溶液をスピンコーティング法やディップコーティング法等によって基板上に塗布して非晶質の被膜層を形成し、この被膜層を500℃以上に加熱焼成して結晶化させて、たとえば、チタン酸バリウム膜のような誘電体膜を作成する手法である。
しかし、この方法ではセラミックスの誘電体膜が得られる半面、残留する有機物の分解に起因する空隙が膜中に発生したり、加熱生成した結晶の粒界に空隙が発生するなど、緻密な誘電体膜を得ることは難しい。
一方、特許文献2〜6に示されるようなエポキシ樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等に、例えばチタン酸バリウム等の誘電率の高いセラミックス粒子を配合し、緻密な誘電体膜を作成する手法が考案されている。
しかしこの場合、セラミックス粒子を樹脂中に均一に分散させることが難しく、樹脂組成物中のセラミックス粒子の含有率を上げることが困難であった。このため、これらを塗布して得られた誘電体膜は比誘電率が10〜20程度のものしか得られなかった。
また、例えば特許文献7に示されるような有機ポリマー溶液へ誘電率の高い金属酸化物を懸濁させた電着液を用いて誘電体膜を形成する試みもなされてきた。しかし、均一な膜厚を安定して作成するためにはセラミックス粒子の添加量には電着液に対して20重量%程度までであり、誘電体膜の高容量化には限界があった。
特開平9−157008号公報 特開昭55−57212号公報 特開昭61−136281号公報 特開昭61−167547号公報 特開昭62−19451号公報 特公平5−415号公報 特開昭54−48064号公報
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、緻密で高容量の誘電体膜を形成することができる誘電体膜形成用組成物およびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、緻密で誘電特性にすぐれた誘電体膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、この誘電体膜を用いたキャパシタを提供することにある。
本発明の誘電体膜形成用組成物は、
(A)金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する粒子(以下、「ABOx型の結晶構造を有する粒子」という)と、
(B)金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物と、
(C)有機溶媒と、を含む。
本発明の誘電体膜形成用組成物において、前記ABOx型の結晶構造を有する粒子の平均粒径は、100nm以下であることができる。
本発明の誘電体膜形成用組成物において、前記(B)成分は、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物であることができる。
本発明の誘電体膜形成用組成物の製造方法は、
(a)Li、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属を含む化合物と、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む化合物とを有機溶媒に溶解して混合溶液を調整し、
(b)前記混合溶液に水を加えて加水分解・縮合反応を起し、結晶化させてABOx型の結晶構造を有する粒子分散液を形成し、
(c)前記ABOx型の結晶構造を有する粒子分散液に、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物を加えること、を含む。
本発明の誘電体膜形成用組成物の製造方法において、前記工程(b)は、ABOx型の結晶構造を有する粒子を有機溶媒で精製すること、を含むことができる。
本発明の誘電体膜形成用組成物の製造方法において、前記工程(b)は、ABOx型の結晶構造を有する粒子を分離して、有機溶媒に分散させること、を含むことができる。
本発明の誘電体膜は、上述の発明にかかる誘電体膜形成用組成物を用いて形成された膜である。
本発明のキャパシタは、上述の発明の誘電体膜を含む。
本発明の誘電体膜形成用組成物は、(A)成分であるABOx型の結晶構造を有する粒子と、(B)成分の化合物とを含むことにより、(A)成分であるABOx型の結晶構造を有する粒子の空隙を(B)成分の化合物が充填して塗膜を緻密化する、あるいは粒子の異常粒成長に伴う空隙の発生を(B)成分の化合物とを含むことにより抑制する作用を有する。そのため、本発明の誘電体膜形成用組成物を用いると緻密な膜を形成することができる。その結果、緻密な膜を形成できることにより、誘電特性およびリーク特性が向上した誘電体膜を形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
1.誘電体膜形成用組成物
本発明の誘電体膜形成用組成物は、(A)ABOx型の結晶構造を有する粒子と、(B)金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物の群から選ばれる少なくとも一種と、(C)有機溶媒とを、含む。以下に、(A)〜(C)成分のそれぞれについて説明する。
1.1.(A)成分
本発明の誘電体膜形成用組成物のABOx型の結晶構造を有する粒子は、ABOx型の結晶構造を有する粒子であって、金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する粒子である。平均粒径100nm以下のABOx型の結晶構造を有する粒子である。金属種Aとしては、Ca,SrおよびBaが好ましく、金属種Bとしては、Ti,Zr,Hfが好ましい。
また、その平均粒子径は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは、20〜80nmである。平均粒子径が100nmを超える場合(B)成分添加の効果が得られず、膜の緻密が促進されないことがある。
1.2.(B)成分
本発明の誘電体膜形成用組成物に含まれる(B)成分は、金属種Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体、金属水酸化物から選ばれる一種類以上の化合物である。
1.2.1 金属アルコキシド
本発明の誘電体膜形成用組成物に(B)成分として含まれる金属アルコキシドは、金属原子とアルコールとが反応した化合物であり、下記一般式(1)で表される。
a(OR1a ・・・(1)
(式(1)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nb
から選択された金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、R1は、アルコールのOH基を除いた残基である。)
一般式(1)に示される金属アルコキシドの形成に用いられるアルコールは、たとえば、下記式(2)に示すものを好適例として挙げることができる。
1OH ・・・(2)
(式(2)中、R1は、炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素原子数1〜6の、アルコキシル基で置換された炭化水素基を示す。)
上記一般式(2)において、R1が炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の炭化水素基
の場合は、アルコールとして、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール等を挙げることができる。
また、上記一般式(2)において、R1が炭素原子数1〜6の、アルコキシル基で置換
された炭化水素基の場合は、アルコールとして、たとえば、メトキシメタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール等を挙げることができる。
より具体的には、本発明では、上記一般式(1)で表される金属アルコキシドとして、たとえば、ジメトキシバリウム、ジエトキシバリウム、ジプロポキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジブトキシバリウム、ジイソブトキシバリウムなどのバリウムアルコキシド;ジメトキシストロンチウム、ジエトキシストロンチウム、ジプロポキシストロンチウム、ジイソプロポキシストロンチウム、ジブトキシストロンチウム、ジイソブトキシストロンチウムなどのストロンチウムアルコキシド;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、などのチタンアルコキシド;等を好適に使用することができる。
1.2.2.金属カルボキシレート
前記金属カルボキシレートは、金属原子とカルボン酸が反応した化合物であり、下記一般式(3)で表される。
a(OCOR2a ・・・式(3)
(式(3)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nb
から選択された金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、R2は、カルボン酸のCOOH基を除いた残基である。)
上記金属カルボキシレートを形成するカルボン酸としては、たとえば、下記式(4)に示すものを好適例として挙げることができる。
2COOH ・・・式(4)
(式(4)中、R2は、炭素原子数1〜10の飽和または不飽和の炭化水素基で置換された炭化水素基を示す。)
上記一般式(4)で示されるカルボン酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、2−メチルプロピオン酸、ペンタン酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸などを挙げることができる。
より具体的には、本発明では、上記一般式(3)で表される金属カルボキシレートとして、たとえば、酢酸バリウム、プロピオン酸バリウム、2−メチルプロピオン酸バリウム、ペンタン酸バリウム、2,2−ジメチルプロピオン酸バリウム、ブタン酸バリウム、ヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、オクチル酸バリウム、ノナン酸バリウム、デカン酸バリウムなどのバリウムカルボキシレート;酢酸ストロンチウム、プロピオン酸ストロンチウム、2−メチルプロピオン酸ストロンチウム、ペンタン酸ストロンチウム、2,2−ジメチルプロピオン酸ストロンチウム、ブタン酸ストロンチウム、ヘキサン酸ストロンチウム、2−エチルヘキサン酸ストロンチウム、オクチル酸ストロンチウム、ノナン酸ストロンチウム、デカン酸ストロンチウムなどのストロンチウムカルボキシレート;等を好適に使用することができる。
1.2.3 金属錯体
前記金属錯体は、金属原子に有機化合物が配位した化合物であり、下記一般式(5)で表される。
a(OR1b(OCOR2c3 d ・・・式(5)
(式(5)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nb
から選ばれる金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、bは0〜7の整数、cは0〜7の整数であり、a=b+cを満たす。dは1〜7の整数である。R1は、上述したアルコールのOH基を除いた残基であり、R2は、上述したカルボン酸のCOOH基を除いた残基である。R3は、有機化合物である。)
金属原子に配位する有機化合物R3としては、エーテル類があり、たとえば下記式(6
−1)および(6−2)に示す化合物を挙げることができる。
4(OR5m ・・・式(6−1)
(式(6−1)中、R4、R5は、それぞれ炭素原子数1〜10の飽和又は不飽和の炭化
水素基を示し、mは1〜4の整数である。)
(R6O)n ・・・式(6−2)
(式(6−2)中、R6は、炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、nは1〜3の整数である。)
具体的なエーテル類としては、たとえば、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン等を挙げることができる。
また、金属原子へ配位する有機化合物R3としては、ケトン類があり、たとえば下記式
(7)および(8)に示す化合物を挙げることができる。
78C=O ・・・式(7)
7(C=O)(CH2x(C=O)R8 ・・・式(8)
(式(7)および(8)中、R7、R8は、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1
〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。また式(8)中、xは1〜10の整数である。)
具体的なケトン類としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール、アセチルアセトン等を挙げることができる。
金属原子へ配位する有機化合物としてエステル類があり、たとえば、下記式(9−1)および(9−2)に示す化合物を挙げることができる。
9(COOR10y ・・・式(9−1)
(式(9−1)中、R9は、水素原子、または炭素原子数1〜10の、酸素原子、水酸基、アシル基で置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、R10は、炭素原子数1〜10の、アルコキシ基で置換されていてもよい飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、yは1〜2の整数である。)
(COOR112 ・・・式(9−2)
(式(9−2)中、R11は炭素原子数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。)
具体的なエステル類としては、たとえば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等を挙げることができる。
より具体的には、本発明では、上記一般式(5)で表される金属錯体として、たとえば、チタンアリルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンジブトキサイド(ビスー2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイド(ビスー2,4−ペンタンジオネート)、チタンジブトキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンジブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、等を好適に使用することができる。
1.2.4 金属水酸化物
前記金属水酸化物は、金属原子と水酸化物イオンが結合した化合物であり、下記一般式(10)で表される。
a(OH)a ・nH2O ・・・式(10)
(式(10)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選択された金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、nは、金属水酸化物の乾燥状態によって変化する結晶水の数であり1〜12の整数である。)
より具体的には、本発明では、上記一般式(10)で表される金属水酸化物として、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化チタン、水酸化ジルコニウム、水酸化タンタル、水酸化ニオブ等を好適に使用することができる。
1.3.(C)成分 有機溶媒
前記金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体を溶解する際に使用する有機溶媒としては、たとえば、アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることができる。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。
多価アルコール系溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等を挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等を挙げることができる。
上記の溶媒は、1種を用いてもよいし、2種以上を組合せて用いることもできる。
2.誘電体膜形成用組成物の製造方法
本発明の誘電体膜形成用組成物は、(A)成分であるABOx型の結晶構造を有する粒子を調整した後、調整されたABOx型の結晶構造を有する粒子の溶液に、(B)成分を添加することで得られる。
2.1.(A)成分の調整
本発明の誘電体膜形成用組成物に含まれるABOx型の結晶構造を有する粒子は、ABOx型の結晶構造を有し、平均粒径が100nm以下の結晶粒子である。このABOx型の結晶構造を有する粒子は、以下の工程(a)および(b)を含む工程により調整される。
(a)Li、Na、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも一種の金属含む化合物と、Ti、Zr、Hf、TaおよびNbから選ばれる少なくとも一種の金属を含む化合物とを有機溶媒に溶解させて溶液を調整する工程と、
(b)前記工程(a)で調製した溶液に水を添加し、該溶液中の前駆体を加水分解・縮合して結晶粒子を得る工程と、を含む。
以下、各工程について述べる。
2.1.1.溶液を調整する工程(以下「工程(a)」ともいう)
工程(a)では、原料として、前記ABOx型の結晶構造を有する粒子を構成する金属種Aを含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体、金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種と、前記ABOx型の結晶構造を有する粒子を構成する金属種Bを含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種とを用い、これらを常法により有機溶媒に溶解させる。
金属Aとしては、Li、Na、Ca、SrおよびBaが挙げられ、好ましくはCa、SrおよびBaである。金属Bとしては、Ti、Zr、Hf,TaおよびNbが挙げられ、好ましくはTi、ZrおよびHfであり、より好ましくはTiである。
金属種Aまたは金属種Bを含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物については、1.2.1〜1.2.4の項で例示したものを用いることができる。また、これらの物質を溶解させる有機溶媒としては、1.3の項で例示した有機溶媒を用いることができる。
この際、溶液中の金属種Aの濃度は0.1〜2.0mmol/g、好ましくは0.4〜1.5mmol/g、より好ましくは0.5〜1.0mmol/gであり、金属種Bの濃度は0.1〜2.0mmol/g、好ましくは0.4〜1.5mmol/g、より好ましくは0.5〜1.0mmol/gである。
2.1.2.加水分解・縮合工程(以下、「工程(b)」ともいう)
次に、工程(a)において、調整した溶液中に水を添加することにより、溶液中の化合物(前駆体)を加水分解して結晶化を行なう。
工程(b)においては、前記工程(a)で調製した溶液の温度を好ましくは−78〜200℃、より好ましくは−20〜100℃、さらに好ましくは0〜50℃の範囲に保ち、該溶液中に水を金属Aの1モルに対して通常5〜300倍モル、好ましくは10〜200倍モル、より好ましくは20〜100倍モル添加し、溶液中の前駆体を加水分解・縮合して結晶化を行う。
また、加水分解・縮合の際に前記溶液に添加する水の量は、金属Aに対して上記範囲の量が結晶性の高い粒子を得るためには好ましい。添加する水の量が上記下限値よりも少ない場合、あるいは上記上限値よりも多い場合には、結晶性が低下することがある。また、上記範囲の量の水を添加することで、ABOx型の結晶構造を有する粒子の分散性を向上させることもできる。
工程(b)における溶液への水の添加方法は、直接、水のみを溶液中に添加してもよいし、1.4.の項で記載した有機溶媒の1種以上と水と混合して添加してもよい。
このように、工程(b)において、加水分解・縮合のための水を、液体状態の水のみ、あるいは液体状態の水を含む有機溶媒を用いて、溶液中に滴下することにより添加すると、加水分解・縮合を再現性よく、効率的に行うことができる。
また、このとき、添加する水に触媒が含まれていてもよい。この場合の使用可能な触媒としては、たとえば、無機酸(たとえば、塩酸、硫酸、硝酸)、有機酸(たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸)等の酸触媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の無機または有機アルカリ触媒等を挙げることができる。
これらのうちでは、アルカリ触媒を用いることがより好ましい。カルボン酸等の有機酸を用いた場合には、有機酸が分解して生成する二酸化炭素が膜中に残存して、形成される誘電体膜の電気特性に影響を与える場合がある。また、塩酸、硝酸等の無機酸を用いた場合には、酸成分の一部が膜中に残留し、形成される誘電体膜のリーク電流特性を悪化させる場合がある。
水を溶液に添加した後、生成する加水分解・縮合物を通常−10〜200℃、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜100℃の温度に、通常0.5〜200時間、好ましくは1〜100時間、より好ましくは3〜20時間保持することが望ましい。
本発明では、上記工程(a)および工程(b)を経ることにより、ABOx型の結晶構造を有し、かつ平均粒径が好ましくは100nm以下、より好ましくは20〜80nm以下の粒子を得ることができる。
2.1.3. 精製工程(以下、「工程(c)」ともいう)
次に、上記工程(b)により形成された結晶粒子が含有されている溶液中の不純物を除去する精製工程を行なう。上述したようにして加水分解・縮合物を結晶化させて作製した結晶粒子には、未反応の金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体(以下、単に「有機金属化合物」ともいう。)、一部加水分解・縮合された有機金属化合物、有機金属化合物が完全に加水分解・縮合されて生成する金属水酸化物、金属イオン等の不純物が含まれている。このような結晶粒子をそのまま有機溶媒中に分散させた結晶粒子分散体において、不純物における金属Aの液中濃度が1モル%よりも高濃度で存在すると、この結晶粒子分散体を用いて誘電体膜を形成した場合に、
(1)誘電体膜がイオン導電性を示し、リーク電流が増大する、
(2)誘電体膜の誘電損失が大きくなる、
等の問題が生じることがある。
工程(b)で得られた結晶粒子を有機溶媒で精製する方法は、精製後、結晶粒子と有機
溶媒とを分離することが可能であればどのような手法を用いてもよい。結晶粒子の精製方法としては、たとえば、有機溶媒を結晶粒子に加え、デカンテーションあるいは遠心分離によって該結晶粒子を沈降させて、上澄液を除去し、再度、有機溶媒を沈降した結晶粒子に加えて加熱する工程を、2〜5回繰り返す方法を用いることができる。この方法によって、結晶粒子に含まれる不純物および水分を除去し、これらの濃度を減少させることができる。また、たとえば有機溶媒を粒子に加え、半透膜を用いた透析を2〜5回繰り返すことで、含まれる不純物および水の濃度を減少させることもできる。
これにより、精製後の結晶粒子を有機溶媒中に分散させて結晶粒子分散体を得た場合に、該結晶粒子分散体中の、不純物における金属Aの液中濃度および水の濃度を所定の濃度まで低減させることが可能となり、上記の(1),(2)の問題を解決することができる。
前記精製工程において使用する有機溶媒としては、アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒については、1.3.の項で例示したものを用いることができる。
2.1.4.分散工程(以下、「工程(d)」ともいう)
次に、上記工程(c)により精製された結晶粒子を有機溶媒に分散させる工程を行い、本発明の誘電体膜形成用組成物の(A)成分であるABOx型の結晶構造を有する粒子の分散液を得ることができる。
工程(d)では、本発明により得られた結晶粒子を洗液である有機溶媒と分離した後、あらたな有機溶媒に投入し、分散させて結晶粒子分散体を作製することができる。
この場合、結晶粒子を有機溶媒中に分散させる方法は、該結晶粒子を有機溶媒中に均一に分散させることが可能であればどのような手法を用いてもよい。たとえば、機械的攪拌
、あるいは超音波を使用した攪拌を行いながら結晶粒子を溶媒中に分散させる。
分散に用いられる有機溶媒としては、精製工程で用いた有機溶媒として例示したものと同様のアルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることができる。また、分散に用いられる有機溶媒は、精製に用いた有機溶媒と同じでもよく、異なってもよい。
結晶粒子分散体の安定性を考慮すると、該結晶粒子分散体中の結晶粒子の含有量は、固形分濃度として結晶粒子分散体全体の1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%である。
工程(c)では、結晶粒子の分散を容易にするために、精製後の結晶粒子を有機溶媒に分散させる際に、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤を分散剤として用いてもよい。かかる界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン-ポリ
オキシエチレン縮合物(プルロニック型)、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等を使用することができる。
分散剤の種類と添加量は結晶粒子の種類と結晶粒子を分散させる溶媒の種類により適宜選定して使用することができるが、得られる誘電体膜の誘電特性を考慮すると粒子100gに対して好ましくは0.001〜10g、より好ましくは0.005〜3g、さらに好ましくは0.01〜1gの範囲である。
以上の工程により、本発明の誘電体膜形成用組成物(A)成分であるABOx型の結晶構造を有する粒子(結晶粒子)の分散液を得ることができる。
2.2.(B)成分の添加
上述に記載の方法により、ABOx型の結晶構造を有する粒子の分散液を得た後に、(B)成分として、金属種がLi、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体、金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物をABOx型の結晶構造を有する粒子の分散液に添加する。(B)成分の化合物としては、具体的には、1.2.の項で例示したものを挙げることができる。(B)成分の化合物を添加する際には、(B)成分の化合物を有機溶媒などに溶解した後に、その溶液を添加してもよい。また、(A)成分のABOx型の結晶構造を有する粒子分散液に直接添加してもよい。このとき、(B)成分の化合物を溶解させる有機溶媒としては、1.3.の項で例示したものを用いることができる。
(B)成分の化合物を添加する際には、(A)成分の分散安定性、塗布した場合の塗膜の均質性を向上させるために水を添加することができる。具体的には、誘電体膜形成用組成物に含まれる金属種を全て金属酸化物換算した場合、金属酸化物100gに対し、水を0〜50g、好ましくは5〜30g、より好ましくは10〜20gを添加することができる。
(B)成分の添加量は、(B)成分に含まれる金属種を全て金属酸化物換算した場合、(A)成分100gに対し10〜300g、好ましくは50〜200gであることが望ましい。(B)成分の添加量が、(A)成分100gに対し10〜300gの範囲ではない場合、緻密でかつ誘電特性が良好な誘電体膜を得ることができないことがある。また、(B)成分として、好ましい化合物は、金属アルコキシド、金属水酸化物である。
3.誘電体膜およびキャパシタ
本発明の誘電体膜は、上述の誘電体膜形成用組成物を基板に塗布し、基板上に塗布膜を形成し、これを必要に応じて乾燥すること、好ましくはさらに加熱焼成することにより形成された膜である。以下に、本発明の誘電体膜の形成方法について説明する。
具体的には、まず、誘電体膜形成用組成物を基板上に塗布し塗布膜を形成する。塗布膜が形成される基板としては、平面でも非平面(たとえば段差があるもの)でもよく、所望のカバレージを実現できるものであればその形態は特に限定されるものではない。また、基板の形状は特に制限されるものではなく、たとえばバルク、薄板、フィルム形状のものを用いることができる。このような基板の材質の具体例としては、半導体、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。
半導体基板の例としては、シリコンウェーハなどが挙げられる。このシリコンウェーハ上にはシリコン酸化膜、Pt、Ir、Ru等の金属、およびその金属酸化物である導電性金属酸化物などからなる電極などが形成されていてもよい。またGaAsやInPなどの化合物半導体基板も使用可能である。
ガラス基板としては、たとえば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、ランタン系ガラス等からなる基板が使用できる。
金属基板としては、たとえば金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼等からなる基板が使用できる。
プラスチック基板としては、たとえばポリイミドやメタクリル樹脂等からなる基板を使用することができる。これらのプラスチック基板は、ガラス基板や金属基板よりも耐熱性が低い場合があるが、本発明では、低温で誘電体膜(結晶化膜)を形成することができるため、本発明に適用するにあたって原理的な問題は存在しない。
セラミックス基板としては、たとえば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化チタン等からなる基板が使用できる。
これらの基板への誘電体膜形成用組成物の塗布方法としては、たとえば、オープンスピン塗布法、密閉スピン塗布法、ミスト化塗布のLSM−CVD法(溶液気化化学気相堆積法)、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、印刷法、インクジェット法、電気泳動電着法等の公知の塗布法を用いることができる。
塗布膜の乾燥は、通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃の温度で行う。このように、基板上への誘電体形成用組成物の塗布、ならびに必要に応じて乾燥までの一連の操作を数回繰り返して行うことにより、最終的に得られる誘電体膜を所望の膜厚に設定することができる。その後、該塗布膜を、通常300〜900℃以下、好ましくは400〜750℃の温度で加熱して焼成し、誘電体膜を得ることができる。
このようにして得られる本発明の誘電体膜は、誘電特性およびリーク電流特性が良好であるため、キャパシタなどの電子部品として好適に用いることが可能である。
本発明のキャパシタは、下部電極、本発明の誘電体膜および上部電極との積層体である。下部電極および上部電極としては、Pt、Ir、Ru等の金属、およびその金属酸化物である導電性金属酸化物などからなる電極などを用いることができる。
本発明のキャパシタは、誘電特性およびリーク電流特性が良好な誘電体膜を用いているため、特性の向上したキャパシタを提供することができる。
4.実施例
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.実施例
[(A)成分の調整]
(a)エチレングリコールモノメチルエーテル25.77gに、Ba(OCH2CH32を25.77g加えて溶解し、110℃で1時間加熱した。その後、この溶液にTi(OCH(CH324を32.21g加え、さらに110℃で1時間加熱した。生成した濃褐色の溶液にメタノール58gを添加してBa濃度0.8mmol/g、Ti濃度0.8mmol/gの混合溶液を得た。得られた混合溶液の水分濃度を、平沼微量水分測定装置 AQ−7(平沼産業株式会社)によりカールフィシャー電量滴定法にて測定したところ0.4重量%であった。
(b)上記混合液40gを0℃に冷却して、Baの60倍モル相当の水34.56gとメタノール24gとの混合溶液を添加し、激しく攪拌し、加水分解・縮合物を得た。その後、生成した加水分解・縮合物を60℃で3時間静置して結晶化させた。
(c)結晶化後、デカンテーションによって結晶粒子と上澄溶液を分離し、エチレングリコールモノメチルエーテルを120g添加し、再度60℃で静置して3時間放置した。この操作を4回繰り返した。
(d)結晶粒子と上澄溶液を分離した後、BaTiO3換算した場合の固形分濃度が10重量%になるようにエチレングリコールモノメチルエーテルを加え、さらに分散剤としてエチレンジアミンのポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン縮合物を粒子重量100に対して0.1添加し、超音波分散機で結晶粒子を分散させた。このようにして、(A)成分であるABOx型の結晶構造を有する粒子分散液を得た。
得られたABOx型の結晶構造を有する粒子分散液に含有される粒子の粒子径分布を動的光散乱式粒径分布測定装置 LB−500(堀場製作所)により動的散乱法にて測定した結果を図1に示す。これによれば粒子径は40nmを主体とした粒子分布(平均粒径約40nm)であることがわかる。なお、誘電体形成用組成物1は容易に孔径200nmのフィルターで濾過し、粗大粒子を除去することが可能であった。
また、本実施例にかかるABOx型の結晶構造を有する粒子の結晶構造についてX線解析を行ない確認した。得られたABOx型の結晶構造を有する粒子分散液をガラス板へ滴下し、室温で乾燥させたものをX線回折装置MXP18A(株式会社マックサイエンス)で測定したX線回折チャートを図2に示す。図2によれば、ABOx型の結晶構造を有する粒子分散液中の粒子がBaTiO3複合酸化物のABOx型の結晶構造になっていることが判断できる。
[(B)成分の添加]
このABOx型の結晶構造を有する粒子分散液9gへ原料溶液7.22g、水0.45g、エチレングリコールモノメチルエーテル6.27g添加して混合した。これにより、実施例にかかる誘電体膜形成用組成物(1)が形成された。
4.2.比較例
[比較例1]
実施例の工程(a)を終えて得られた混合溶液を、比較例1にかかる誘電体膜形成用組成物(2)とした。
[比較例2]
比較例にかかる誘電体膜形成用組成物として、上記実施例の工程(a)〜(d)を終えて得られたABOx型の結晶構造を有する粒子分散液を比較例2にかかる誘電体膜形成用組成物(3)とした。
4.3.誘電体膜形成用組成物の評価
[誘電体膜の形成]
熱酸化法により得られた膜厚1000nmの酸化シリコン層が表面に形成された直径6インチのシリコンウェーハ上に、スパッタリング法によって、膜厚100nmのPtからなる下部電極を形成した。ついで、前記下部電極上に、誘電体形成用組成物(1)〜(3)をスピンコータを用いて300rpmで5秒間、続いて1000rpmで20秒間回転塗布した後、80℃で1分間乾燥を行ったあと引き続き250℃で1分間乾燥を行った。この操作を3回行ったあと、750℃で60分、塗膜を加熱し焼成することで膜厚約450nmの誘電体膜(1)〜(3)を作製した。
[塗膜形状の評価]
上記誘電体膜(1)〜(3)の膜断面状態を走査電子顕微鏡FE−SEM S-4300(株式会社 日立ハイテクノロジーズ)を用いて5万倍にて観察した。その結果を、それぞれ、図3〜5に示す。この結果、実施例にかかる誘電体膜(1)は緻密な膜であることが確認された。一方、誘電体膜(2),(3)には膜中に空隙が認められ緻密性が劣っていることが確認された。
[誘電特性の評価]
誘電体膜(1)〜(3)に、それぞれメタルマスクを介して、蒸着法により直径0.2mmの200nm膜厚のアルミニウム上部電極を形成した。誘電体膜(1)〜(3)の比誘電率、誘電損失およびリーク電流を測定した。比誘電率、誘電損失はプレシジョンLCRメータHP4284A(横河ヒューレットパッカード株式会社)を用いて測定し、リーク電流はエレクトロメータ6517A(ケースレーインスツルメンツ株式会社)で測定した。ただし、比誘電率、誘電損失の測定周波数100kHzであり、リーク電流は0.2MV/cmにおける値である。
表1から明らかなように、実施例にかかる誘電体膜(1)は誘電体膜(2),(3)と比較して比誘電率が高く、リーク電流も良好であるため、この誘電体形成用組成物(1)からキャパシタとして好適に使用できる良好な誘電特性を有する誘電体膜(1)が作製可能であることが確認された。
実施例において、工程(d)を終えて得られたABOx型の結晶構造を有する粒子分散液の粒子径分布の結果を示すグラフである。 誘電体膜形成用組成物(1)を乾燥させたもののX線回折の結果を示す図である。 誘電体膜(1)の断面状態のSEM写真である。 誘電体膜(2)の断面状態のSEM写真である。 誘電体膜(3)の断面状態のSEM写真である。

Claims (8)

  1. (A)金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する粒子と、
    (B)金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物と、
    (C)有機溶媒と、を含む、誘電体膜形成用組成物。
  2. 請求項1において、
    前記ABOx型の結晶構造を有する粒子の平均粒径は、100nm以下である、誘電体膜形成用組成物。
  3. 請求項1または2において、
    前記(B)成分は、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体および金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物である、誘電体膜形成用組成物。
  4. (a)Li、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属を含む化合物と、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む化合物とを有機溶媒に溶解して混合溶液を調整し、
    (b)前記混合溶液に水を加えて加水分解・縮合反応を行い金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する粒子の分散液を形成し、
    (c)前記ABOx型の結晶構造を有する粒子の分散液に、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属を含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体、金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種の化合物を加えること、を含む、誘電体膜形成用組成物の製造方法。
  5. 請求項4において、
    前記工程(b)は、ABOx型の結晶構造を有する粒子を有機溶媒で精製すること、を含む、誘電体膜形成用組成物の製造方法。
  6. 請求項4または5において、
    前記工程(b)は、ABOx型の結晶構造を有する粒子を分離して、有機溶媒に分散させること、を含む、誘電体膜形成用組成物の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体膜形成用組成物を用いて形成された、誘電体膜。
  8. 請求項7に記載の誘電体膜を含む、キャパシタ。
JP2004062883A 2004-03-05 2004-03-05 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ Pending JP2005247660A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004062883A JP2005247660A (ja) 2004-03-05 2004-03-05 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004062883A JP2005247660A (ja) 2004-03-05 2004-03-05 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005247660A true JP2005247660A (ja) 2005-09-15

Family

ID=35028515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004062883A Pending JP2005247660A (ja) 2004-03-05 2004-03-05 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005247660A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013227192A (ja) * 2012-03-28 2013-11-07 Ngk Insulators Ltd セラミックスペースト及び積層体
WO2019059216A1 (ja) * 2017-09-25 2019-03-28 リンテック株式会社 誘電性シート、及び誘電性シートの製造方法

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59199504A (ja) * 1983-04-27 1984-11-12 Kurita Water Ind Ltd 金属酸化物超微粒子の精製方法
JPH08245263A (ja) * 1994-11-24 1996-09-24 Fuji Xerox Co Ltd 酸化物薄膜およびその作製方法
JPH1160385A (ja) * 1997-08-05 1999-03-02 Oki Electric Ind Co Ltd ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法
JP2001233604A (ja) * 2000-02-24 2001-08-28 Kansai Research Institute 酸化物薄膜形成用塗布液およびその製造方法ならびに酸化物薄膜の製造方法
JP2002029745A (ja) * 2000-07-18 2002-01-29 Korea Advanced Inst Of Sci Technol 結晶性チタン酸バリウム粉末の製造方法
JP2002275390A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Fukuoka Prefecture 結晶性ゲル分散コーティング溶液及び結晶性ゲル分散コーティング溶液を用いた薄膜形成方法
WO2004097854A1 (ja) * 2003-04-30 2004-11-11 Asahi Glass Company, Limited 強誘電体薄膜形成用液状組成物および強誘電体薄膜の製造方法
JP2005075713A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Jsr Corp 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005075714A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Jsr Corp ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法
JP2005075715A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Jsr Corp 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005165282A (ja) * 2003-10-27 2005-06-23 Internatl Business Mach Corp <Ibm> 効率的なポリゴン・ピンニング方法を使用するモデルに基づく光学的近接効果補正エンジンにおける性能の改善

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59199504A (ja) * 1983-04-27 1984-11-12 Kurita Water Ind Ltd 金属酸化物超微粒子の精製方法
JPH08245263A (ja) * 1994-11-24 1996-09-24 Fuji Xerox Co Ltd 酸化物薄膜およびその作製方法
JPH1160385A (ja) * 1997-08-05 1999-03-02 Oki Electric Ind Co Ltd ニオブ酸リチウム薄膜の製造方法
JP2001233604A (ja) * 2000-02-24 2001-08-28 Kansai Research Institute 酸化物薄膜形成用塗布液およびその製造方法ならびに酸化物薄膜の製造方法
JP2002029745A (ja) * 2000-07-18 2002-01-29 Korea Advanced Inst Of Sci Technol 結晶性チタン酸バリウム粉末の製造方法
JP2002275390A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Fukuoka Prefecture 結晶性ゲル分散コーティング溶液及び結晶性ゲル分散コーティング溶液を用いた薄膜形成方法
WO2004097854A1 (ja) * 2003-04-30 2004-11-11 Asahi Glass Company, Limited 強誘電体薄膜形成用液状組成物および強誘電体薄膜の製造方法
JP2005075713A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Jsr Corp 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005075714A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Jsr Corp ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法
JP2005075715A (ja) * 2003-09-03 2005-03-24 Jsr Corp 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005165282A (ja) * 2003-10-27 2005-06-23 Internatl Business Mach Corp <Ibm> 効率的なポリゴン・ピンニング方法を使用するモデルに基づく光学的近接効果補正エンジンにおける性能の改善

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013227192A (ja) * 2012-03-28 2013-11-07 Ngk Insulators Ltd セラミックスペースト及び積層体
US9187374B2 (en) 2012-03-28 2015-11-17 Ngk Insulators, Ltd. Ceramics paste and laminated body
WO2019059216A1 (ja) * 2017-09-25 2019-03-28 リンテック株式会社 誘電性シート、及び誘電性シートの製造方法
JPWO2019059216A1 (ja) * 2017-09-25 2019-12-12 リンテック株式会社 誘電性シート、及び誘電性シートの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101371995B1 (ko) 도포액 및 이 도포액을 이용한 티탄산계 세라믹스막의제조방법
US20060283354A1 (en) Method of producing composition for forming dielectric film, composition for forming dielectric film, dielectric film and method of producing dielectric film
KR101289950B1 (ko) 니오브 2-에틸헥사노에이트 유도체, 그 유도체의 제조방법, 그 유도체를 함유하는 유기산 금속염 조성물, 및 그조성물을 이용한 박막의 제조 방법
US9133349B2 (en) Zinc oxide film-forming composition, zinc oxide film production method, and zinc compound
JP5208758B2 (ja) レリーフ特性を有する基板の形状に適合する酸化物セラミックに基づく塗膜製造プロセス
JP6264447B2 (ja) Mn及びNbドープのPZT系圧電体膜形成用液組成物
EP2784137B1 (en) PZT-based ferroelectric thin film-forming composition, method of preparing the same, and method of forming PZT-based ferroelectric thin film using the same
JP4257518B2 (ja) ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法、ペロブスカイト型結晶粒子分散体の製造方法および誘電体膜
US20050057884A1 (en) Dielectric-forming composition containing particles with perovskite crystal structure, production process and uses of the same, and process for preparing crystal particles having perovskite crystal structure
JP2002047011A (ja) 緻密質ペロブスカイト型金属酸化物薄膜の形成方法及び緻密質ペロブスカイト型金属酸化物薄膜
JP2005075715A (ja) 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005075714A (ja) ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法
JP2005075713A (ja) 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005247660A (ja) 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ
KR102032575B1 (ko) Pzt 계 강유전체 박막 형성용 조성물 및 그 제조 방법 그리고 그 조성물을 사용한 pzt 계 강유전체 박막의 형성 방법
JP5080816B2 (ja) 塗布液組成物および該塗布液組成物を用いる金属酸化物膜の製造方法
EP1860068A1 (en) Method for producing composition for forming dielectric film ,composition for forming dielectric film and method for producing same
JP4702215B2 (ja) 高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法
JP2001072926A (ja) ペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液
JP2003002649A (ja) Blt強誘電体薄膜、その形成用組成物及び形成方法
WO2007007561A1 (ja) 常誘電体薄膜形成用組成物、常誘電体薄膜および誘電体メモリ
JP6183261B2 (ja) MnドープのPZT系圧電体膜形成用組成物
JP5270860B2 (ja) 塗布液組成物および該塗布液組成物を用いる複合金属酸化物膜の製造方法
JP2005343727A (ja) 誘電体形成用組成物
JP2006076842A (ja) チタン酸ジルコン酸鉛系強誘電体前駆物質及びその製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090527

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090902

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100120