JP3865442B2 - 多層酸化物薄膜素子及びその製造方法 - Google Patents

多層酸化物薄膜素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機金属化合物を用いて基板上に形成された、キャパシター素子、メモリー素子、圧電素子、センサー素子、電気光学素子などに利用可能な多層酸化物薄膜素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来提案されている酸化物薄膜の多くは、強誘電体薄膜として利用することができるものであり、その強誘電体薄膜は、強誘電体のもつ強誘電性、圧電性、焦電性、電気光学効果等の多くの性質によりエレクトロニクスの多くの分野で用いられ、不揮発性メモリーを始めとして表面弾性波素子、赤外線焦点素子、音響光学素子、電気光学素子など多くの応用が検討されている。また近年では、DRAM(Dynamic RAM)のメモリセルへの適用が集積化の急速な展開とともに注目を集めている。
【0003】
また、従来、酸化物薄膜の製造方法としては、スパッタリング法や真空蒸着法などのドライプロセスでの成膜や、ゾルゲル法などのウエットプロセスでの成膜が行われている。しかし、ドライプロセスでの成膜の場合、これらの装置は非常に高価な上、元素ごとに蒸気圧が異なるため、化学的量論性に優れた薄膜を安定して製造できない、結晶性が悪くなってしまう、生産性が低くコストが高いといった欠点があり、実用化には程遠い状態にある。
【0004】
一方、有機金属化合物を用いたゾルゲル法は、精密な化学組成制御、分子レベルの均一性、プロセスの低温化、大面積化、低設備コストなどの面で利点があることから、各方面で研究が行われている。例えば、特公昭62−27482号公報には、有機金属化合物を含有する溶液をガラス基板上に塗布し、常温の空気中で30分間、更に110℃の恒温槽中で30分間乾燥して加水分解を終了させた後、電気炉中において強制的に水蒸気を送入しながら550〜800℃の温度で焼成する酸化物薄膜の製造方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、この方法で例示されているプロセスでは、塗布前に加水分解を行わないために薄膜の結晶化には高温を要するという問題がある。また、特開平4−19911号公報には、鉛、ランタン、チタン、ジルコニウムの金属有機化合物を有機溶媒に溶解後、安定化剤および所定量の水を加えた溶液を用いて、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、第3成分添加PZT、ランタン添加チタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)の強誘電体薄膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、この方法で例示されているプロセスでは、金属原子1モル当たり0.1〜1.5モルの水のみによる加水分解を行うために、やはり、薄膜の結晶化には高温を要するという問題がある。
【0006】
また、多結晶薄膜は図4に示すように、基板1上に多結晶薄膜2を有するが、この多結晶薄膜2には粒界3を有するために、ピンホールや粒界を介する電気伝導によってリーク電流を低減することが困難である。これに対し、本発明者らは高密度で屈折率が単結晶並みであるが光学的に平滑ではない表面を持つ第一層目の多結晶強誘電体薄膜を基板上に形成し、さらに比較的低密度で単結晶よりも低屈折率であるが光学的に平滑な表面を持つ第二層目の多結晶強誘電体薄膜を第一層上に形成することにより、表面が光学的に平滑でピンホールもない為にリーク電流が小さく絶縁破壊電圧が大きい強誘電体薄膜を作製できることを見い出し、特開平06−119812に提案している。しかし、酸化物薄膜のリーク電流特性と比誘電率特性との両立という面では、完全なものではない。
【0007】
さらに、酸化物薄膜のリーク電流特性と比誘電率特性の両立させるための方法として、基板上に結晶層とアモルファス層とを積層した構造からなる酸化物薄膜素子がThin Solid Films 259(1995) 264-269に記載されている。しかし、この技術は、前記したドライプロセスによる酸化物薄膜の製造方法であるため、非常に高価な装置を必要する上、元素ごとに蒸気圧が異なるため、化学的量論性に優れた薄膜を安定して製造できない、結晶性が悪くなってしまう、生産性が低くコストが高いといった欠点があり、実用化が困難であるという問題を解消できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機金属化合物を用いて基板上に薄膜キャパシター、圧電体、焦電体等に利用可能な、均一で化学的量論性に優れ、リーク電流が小さいと同時に比誘電率が大きい酸化物薄膜素子を提供することにある。
本発明の他の目的は、簡便な方法で、かつ安価に安定して製造することができる実用性の高い酸化物薄膜素子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、酸化物薄膜が少なくとも1層のアモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する誘電特性に優れ、リーク電流の小さな酸化物薄膜をゾルゲル法で製造することによって上記目的を達成できることを見出し本発明を達成するに至った。
【0010】
すなわち本発明の第1の多層酸化物薄膜素子の製造方法は、複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層のアモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子の製造方法であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して結晶化層を形成する工程と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理してアモルファス層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の第1の多層酸化物薄膜素子は、上記の第1の製造方法によって得られた多層酸化物薄膜素子である。
また、本発明の第2の多層酸化物薄膜素子の製造方法は、複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層がアモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子の製造方法であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して第1層目のアモルファス層を形成する工程と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して第2層目の結晶化層を形成工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の第2の多層酸化物薄膜素子は、上記の第2の製造方法によって得られた多層酸化物薄膜素子である。
さらに本発明の第3の多層酸化物薄膜素子は、上記の第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成した結晶化層と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成したアモルファス層とが交互に積層された構造をすることを特徴とする。
更に、アモルファス層作製時の熱処理温度及び/又は時間と結晶化層作製時の熱処理温度及び/又は時間が、異なる温度及び/又は時間により作製すること、更には、アモルファス層と結晶化層が、加水分解の程度が異なる混合金属アルコキシド化合物又は複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液から作製されることが望ましい。
【0011】
本発明においては、酸化物薄膜中に、アモルファス層を含んでいるので、結晶化層の粒界を膜厚方向でターミネートすることができるとともに、結晶化層の粒界に起因するピンホールのない薄膜を作製することができるために、リーク電流を小さくできる。さらに、この酸化物薄膜中には、結晶化層を含んでいるので、アモルファス層のみの薄膜と比較して誘電特性の優れた薄膜を作製することが可能となる。さらに、金属アルコシキド化合物の有機溶媒溶液を用いて結晶化層とアモルファス層とを形成する方法であるため、ドライプロセスにおける問題が解消され、特に複合金属アルコキシド化合物を加水分解後に塗布することによって低温で結晶化層が形成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における一般式ABO3 で示される酸化物は、Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素から選択され、具体的には、Li、K、Mg、Sr、Ba、La、Pb、Bi等が挙げられ、特にBa及び/又はSrが有効であり、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素から選択され、具体的には、Ti、Zr、Nb、Ta等が挙げられ、特にTiが有効である。なお、本発明においては、化合物の命名は、IUPAC命名法に基づいている。
【0013】
また、本発明における元素Aの金属アルコキシド化合物および元素Bの金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液としては、元素Aの金属アルコキシド化合物および元素Bの金属アルコキシド化合物が有機溶媒に溶解されていれば如何なる場合でも使用できるが、元素Aおよび元素Bを含む複合金属アルコキシドとして有機溶媒に溶解されている場合に特に有効である。
【0014】
また、本発明における複合金属アルコキシド化合物の配位子としては、式R1 O− またはR2 OR3 O− (式中、R1 およびR2 は脂肪族炭化水素基を表し、R3 は、エーテル結合を有しても良い2価の脂肪族炭化水素基を表す。)より選ばれのが望ましく、有機配位子の具体例としては、R1 O− として、C2 5 O−、C3 7 O−、C4 9 O−等、また、R2 OR3 O−としては、CH3 OC2 4 O−、C2 5 OC2 4 O−、C3 7 OC2 4 O−、C4 9 OC2 4 O−、C2 5 OC2 4 OC2 4 O−等である場合に、複合金属アルコシド化合物溶液の安定性や作製した薄膜の均一性、緻密性の点から特に有効である。
【0015】
本発明の複合金属アルコキシド化合物は、例えば、元素Aを含む金属アルコキシド化合物および元素Bを含む金属アルコキシド化合物を所定の組成にて、式R1 OHまたはR2 OR3 OH (式中、R1 およびR2 は脂肪族炭化水素基を表し、R3 は、エーテル結合を有しても良い2価の脂肪族炭化水素基を表す。)で示される有機溶媒中で蒸留や還流、または蒸留及び還流によって合成される。
【0016】
本発明において、Aを含む金属アルコキシドとしては、例えば、LiOCH3 、LiOC2 5 、LiOC3 7 、LiOC4 9 、KOCH3 、KOC2 5 、KOC3 7 、KOC4 9 、Mg(OCH3 2 、Mg(OC2 5 2 、Mg(OC3 7 2 、Mg(OC4 9 2 、Sr(OCH3 2 、Sr(OC2 5 2 、Sr(OC3 7 2 、Sr(OC4 9 2 、Ba(OCH3 2 、Ba(OC2 5 2 、Ba(OC3 7 2 、Ba(OC4 9 2 、Ba(C2 3 2 2 、La(OCH3 3 、La(OC2 5 3 、La(OC3 7 3 、Pb(OCH3 2 、Pb(OC2 5 2 、Pb(C2 3 2 2 、Bi(OC3 7 3 等が挙げられる。
【0017】
また、Bを含む金属アルコキシドとしては、例えば、Ti(OCH3 4 、Ti(OC2 5 4 、Ti(OC3 7 4 、Ti(OC4 9 4 、Zr(OCH3 4 、Zr(OC2 5 4 、Zr(OC3 7 4 、Zr(OC4 9 4 、Nb(OCH3 5 、Nb(OC2 5 5 、Nb(OC3 7 5 、Nb(OC4 9 5 等が挙げられる。
【0018】
これらのAを含む金属アルコキシドと、Bを含む金属アルコキシドとによって合成される複合金属アルコキシドとしては、例えば、LiNb(OC2 5 6 、LiNb(OC2 4 OCH3 6 、SrTi(OC2 5 6 、SrTi(OC2 4 OCH3 6 、SrTi(OC2 4 OC2 5 6 、(Ba,Sr)Ti(OC2 5 6 、(Ba,Sr)Ti(OC2 4 OCH3 6 、(Ba,Sr)Ti(OC2 4 OC2 5 6 、PbTiO2 (OC2 4 OCH3 2 、Pb(Zr,Ti)O2 (OC2 4 OCH3 2 等が挙げられる。
【0019】
上記一般式で示される有機溶剤において、R1 およびR2 の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、R3 としては、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルキレン基がエーテル結合によって結合している全炭素数4〜8の2価の基が好ましい。有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールのモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル等のジエチレングリコールのモノアルキルエーテル類、1,2−プロピレングリコールモノメチルエーテルなどの1,2−プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、1,3−プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−プロピレングリコールモノエチルエーテル、1,3−プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の1,3−プロピレングリコールのモノアルキルエーテル類等があげられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのものは単独で、または2種以上併用しても良い。
【0020】
上記の方法で合成される複合金属アルコキシド化合物は、有機溶媒に溶解した状態で得られるが、さらに有機溶媒を添加してあっても良い。また、使用する金属アルコキシド化合物と有機溶媒との種類によって、形成される複合金属アルコキシド化合物の有機配位子である式R1 O− またはR2 OR3 O− の基と、複合金属アルコキシドを溶解する有機溶媒における基R1 O− またはR2 OR3 O− とが、同一のものになる場合、およびエステル交換反応の結果、異なるものになる場合が生じるが、いずれの場合であっても良い。ただし、有機配位子のR3 の炭素数が4以上の場合には、有機溶媒のR3 は、有機配位子のものとは異なるほうが塗布上好ましい。また、複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液における濃度は、0.01〜10Mであり、好ましくは、0.05〜2.0Mである。
【0021】
上記のようにして得られた複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液は、そのままで、あるいは加水分解した後に基板上へ塗布されるが、結晶化層作製の場合は、特に、加水分解した後に基板上へ塗布した方が低温で結晶化層が得られるので有効である。加水分解を行う際には、複合金属アルコキシド化合物1モルに対して、0.5〜3モルの水、および0.15〜0.5モルの触媒を添加し、50〜150℃の温度で反応させることにより加水分解反応を行うことができる。
【0022】
このような条件で加水分解反応を行うことにより、薄膜の結晶化温度が低くかつ塗布溶液のゲル化が起こらないことを見出した。複合金属アルコキシド化合物に対する水および/または触媒の添加量が、上記の範囲よりも少ない場合には、加水分解反応が進みにくいし、また、多すぎる場合には、加水分解が急激に進行することにより、析出物が生成したり、溶液がゲル化して均質な溶液を作製することはできない。触媒としては、アンモニア、硝酸、塩酸、または酢酸が用いられるがこれらの触媒の中で、作製した薄膜の緻密性の点から特にアンモニアが望ましい。
【0023】
アモルファス層の作製には、上記加水分解条件と同条件か、または上記加水分解条件より複合金属アルコキシド化合物と水のモル比が小さい、例えば、複合金属アルコキシドと水のモル比が1:0〜1:3の条件を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、熱処理温度及び/又は熱処理時間を適度に選択することにより、例えば、結晶化層の場合よりも処理温度を低く、または処理時間を短くすることによってアモルファス層を作製することが可能であるが、なるべく密度の高いアモルファス層を作製する条件を選択することが重要である。
【0024】
ここで塗布する基板としては、目的とする素子に適用できるものであれば、如何なるものでも使用でき、例えば、ITO/ガラス、Pt/Ti/SiO2 /Si、Al2 3 等があげられる。また、基板上に塗布する方法としては、スピンコート法、ディッピング法、スプレー法、スクリーン印刷法、インクジェット法等を用いることができる。
【0025】
更に、塗布された基板は、加熱処理が施される。結晶化層は、例えば、0.1〜500℃/秒の昇温速度で基板を加熱し、300〜900℃の温度範囲で酸化物薄膜を結晶化させる。結晶化時間は、1分〜600分程度が有効であるがこれに限定されるものではない。アモルファス層は、0.1〜500℃/秒の昇温速度で基板を加熱し、次いで200℃〜600℃の温度範囲で酸化物薄膜を緻密化させる。緻密化時間は結晶化時間より短い1分〜300分程度が有効であるがこれに限定されるものではない。前処理として薄膜が結晶化しない100℃〜500℃の温度範囲で塗布層を熱分解することも有効である。塗布を繰り返す場合には、塗布した後に、0.1〜500°C/秒の昇温速度で基板を加熱し、100℃〜500℃の結晶化の起こらない温度範囲で塗布層を熱分解する。この塗布と熱分解を所定の回数繰り返した後、100℃〜800℃の温度範囲で酸化物薄膜を形成する。この熱処理により酸化物薄膜が形成される。
【0026】
図1〜図3は、本発明の方法によって得られる多層酸化物薄膜の実施例を各々示している。図1は、基板1上に結晶化層2とアモルファス層4が交互に積層されており、図2は、基板1上にアモルファス層4と結晶化層2とが順次積層されており、図3は、基板1上に結晶化層2とアモルファス層4とが順次積層されている。これらの図を基に処理条件を説明する。
【0027】
図2のように、基板1上にアモルファス層4と結晶化層2とを順次積層する場合には、結晶化層作製によりアモルファス層が結晶化しないような熱処理条件または金属アルコキシドの有機溶媒溶液を選択しなければならない。
例えば、結晶化層作製には、アモルファス層作製の場合の熱処理温度と同程度またはアモルファス層作製の場合よりも低い熱処理温度で熱処理を行うこと、あるいは、アモルファス層作製の場合の熱処理時間と同程度またはアモルファス層作製の場合よりも短い熱処理時間で熱処理を行うことが有効である。
また、アモルファス層作製の場合と同程度の熱処理温度/熱処理時間で熱処理を行っても結晶化する金属アルコキシドの有機溶媒溶液を用いること、例えば、結晶化層作製には、金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を加水分解した溶液を使用し、アモルファス層作製には、加水分解していない溶液を使用することが有効である。
【0028】
図3のように、基板1上に結晶化層2とアモルファス層4とを順次積層する場合には、アモルファス層作製によっても結晶化層はアモルファス化しないので、、熱処理時間/熱処理温度に注意する必要は特にない。
図1のように、アモルファス層と結晶化層を交互に積層する場合には、図2の時と同様な熱処理温度/熱処理時間、あるいは金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液の制約を受け、結晶化層作製の際に、下層のアモルファス層が結晶化しない条件を選択しなければならない。
【0029】
これらの多層酸化物薄膜層構造の中で,特に図3のようにアモルファス層3が酸化物薄膜の最上部にある構造であると、結晶化層の結晶化が基板が結晶性材料であることによって促進され、結晶化層の作製が容易になるためより好ましい。
【0030】
結晶化層の膜厚としては、10nm〜300nm程度が好ましく、アモルファス層の膜厚は、結晶化層よりも薄い1nm〜100nm程度が望ましいが、結晶化層およびアモルファス層ともリーク電流特性の許容値が許すなるべく薄い膜厚とすることが容量密度の点から有効である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0032】
実施例1
TiとSrのモル比が1:1となるように、Ti(O−i−C3 7 4 とSr(OC2 5 2 をモレキュラー・シーブで脱水したエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解し1.2Mの溶液を得た。次にこの溶液を、攪拌しつつ135℃で2時間蒸留し、さらに18時間の還流を行い複合金属アルコキシドSrTi(OC2 4 OC2 5 6 の溶液Iを得た。次いで溶液Iの一部を濃度が0.06Mになるように調合した溶液IIを得た。一方、溶液Iの一部に、Tiとのモル比が1:2となる水および1:0.2となるアンモニアを加え100℃で3時間撹拌した後、0.6Mになるように調合した溶液IIIを得た。
【0033】
これらの溶液を用いて次のように薄膜を形成した。すなわち、まず溶液IIIをITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10°C/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および430℃で30分間保持した。得られたSrTiO3 薄膜はX線回折の結果、結晶化していることがわかった。その後、溶液IIを、上記薄膜を形成したITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および430℃で10分間保持した。得られたSrTiO3 薄膜の表面は光学的に平滑で且つ透明であった。
【0034】
得られたSrTiO3 薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した所、膜厚約90nmの結晶化層の上に膜厚約10nmのアモルファス層が形成されていた。さらにこの薄膜上にPt電極を設け、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、80(周波数1kHz)、5×10- 7 A/cm2 (印加電圧2V)を得た。
【0035】
比較例1
TiとSrのモル比が1:1となるように、Ti(O−i−C3 7 4 とSr(OC2 5 2 をモレキュラー・シーブで脱水したエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解し0.65Mの溶液を得た。次にこの溶液を、攪拌しつつ135°Cで2時間蒸留し、さらに18時間の還流を行い複合金属アルコキシドSrTi(OC2 4 OC2 5 6 の溶液を得た。この溶液をITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および430℃で30分間保持した。
【0036】
得られた膜厚約100nmのSrTiO3 薄膜はX線回折の結果、アモルファス状態であった。この薄膜の比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、20(周波数1kHz)、1×10-7A/cm2 (印加電圧2V)であった。
【0037】
比較例2
TiとSrのモル比が1:1となるように、Ti(O−i−C3 7 4 とSr(OC2 5 2 をモレキュラー・シーブで脱水したエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解し1.2Mの溶液を得た。次にこの溶液を、攪拌しつつ135℃で2時間蒸留し、さらに18時間の還流を行い複合金属アルコキシドSrTi(OC2 4 OC2 5 6 の溶液を得た。この溶液に、Tiとのモル比が1:2となる水および1:0.2となるアンモニアを加え100°Cで3時間撹拌した後、0.65Mになるように調合した。この溶液を用いて、比較例1と同様に膜厚約100nmの薄膜を形成した。
【0038】
得られたSrTiO3 薄膜はX線回折の結果、結晶化していることがわかった。この薄膜の比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、100(1kHz)、1×10-5A/cm2 (印加電圧2V)であった。
【0039】
実施例2
実施例1で得られた0.6Mの溶液IIIと、この溶液を0.06Mに希釈した溶液IVを用意し次のようにして薄膜を形成した。すなわち、Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に溶液IIIをスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および425℃で300分間保持して結晶化層を得た。更に、溶液IVを上記薄膜を形成したPt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および425℃で10分間保持してアモルファス層を得た。
【0040】
得られたSrTiO3 薄膜の表面は光学的に平滑で且つ透明であった。更にこの薄膜上にPt電極を設け、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、90(周波数1kHz)、2×10-6A/cm2 (印加電圧2V)を得た。
【0041】
比較例3
比較例2で得られた0.65Mの溶液を、Pt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および425℃で300分間保持した。得られたSrTiO3 薄膜は、結晶性がよくペロブスカイト単相よりなり、その表面は光学的に平滑で且つ透明であったが、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、比誘電率は170(周波数1kHz)であったが、リーク電流はおよそ5×10-5A/cm2 (印加電圧2V)であった。
【0042】
実施例3
実施例1で得られた溶液IIを、ITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間保持してアモルファス層を得た。更に、この薄膜上に、実施例1で得られた溶液IIIをスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および430℃で30分間保持した。得られたSrTiO3 薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した所、膜厚約10nmのアモルファス層の上に膜厚約90nmの結晶化層が形成されていた。さらにこの薄膜上にPt電極を設け、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、80(周波数1kHz)、6×10-7A/cm2 (印加電圧2V)を得た。
【0043】
実施例4
実施例1で得られた溶液Iの一部を濃度が0.03Mになるように調合した溶液Vと、溶液Iの一部に、Tiとのモル比が1:3となる水および1:0.3となるアンモニアを加え100℃で3時間撹拌した後、0.3Mになるように調合した溶液VIを用意し、次のように薄膜を形成した。すなわち、まず溶液VIをPt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および425℃で30分間保持した。その後、溶液Vを、上記薄膜を形成したPt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および425℃で30分間保持した。更に、溶液VIおよび溶液Vの塗布、熱処理を繰り返し、Pt/Ti/SiO2 /Si基板上に4層の薄膜を形成した。得られたSrTiO3 薄膜の表面は光学的に平滑で且つ透明であった。
【0044】
得られたSrTiO3 薄膜の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した所、結晶化層とアモルファス層が交互に積層された構造であった。さらにこの薄膜上にPt電極を設け、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、90(周波数1kHz)、5×10-7A/cm2 (印加電圧2V)を得た。
【0045】
実施例5
BaとSrとTiのモル比が、0.6:0.4:1となるように、Ba(OC2 5 2 とSr(OC2 5 2 とTi(O−i−C3 7 4 をモレキュラー・シーブで脱水したエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解し1.2Mの溶液を得た。次にこの溶液を、攪拌しつつ135℃で2時間蒸留し、さらに22時間の還流を行い、複合金属アルコキシド(Ba,Sr)Ti(OC2 4 OC2 5 6 の溶液Iを得た。次いで溶液Iの一部を濃度が0.05Mになるように調合した溶液IIを得た。一方、溶液Iの一部に、Tiとのモル比が1:1となる水および1:0.15となるアンモニアを加え100°Cで3時間撹拌した後、0.6Mになるように調合した溶液IIIを得た。これらの溶液を用いて次のように薄膜を形成した。すなわち、まず溶液IIIをITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および600℃で30分間保持して結晶化層を得た。その後、溶液IIを、上記薄膜を形成したITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および400℃で30分間保持してアモルファス層を得た。
【0046】
得られた(Ba,Sr)TiO3 薄膜の表面は光学的に平滑で且つ透明であった。さらにこの薄膜上にPt電極を設け、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、200(周波数1kHz)、1×10-7A/cm2 (印加電圧2V)であった。
【0047】
比較例4
実施例5で得られた溶液Iの一部に、Tiとのモル比が1:1となる水および1:0.15となるアンモニアを加え100°Cで3時間撹拌した後、0.65Mになるように調合した溶液を、ITO/ガラス基板上にスピンコートし、続いて10℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および600℃で30分間保持した。得られた(Ba,Sr)TiO3 薄膜は、結晶性がよくペロブスカイト単相よりなり、その表面は光学的に平滑で且つ透明であったが、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、260(周波数1kHz)、5×10-6A/cm2 (印加電圧2V)であった。
【0048】
実施例6
モル比でPb:Zr:Ti=1.00:0.52:0.48となるようにPb(CH3 COO)2 、Zr(O−i−C3 7 4 、Ti(O−i−C3 7 4 をモレキュラー・シーブで脱水した2−メトキシエタノールに溶解し、6時間の蒸留を行ったのち18時間の還流を行うことにより1.2MのPb(Zr0.52Ti0.48)O3 (PZT)の前駆体溶液Iを得、更に、この溶液を0.06 Mに調合した溶液IIを得た。一方、溶液Iの一部に、Pbとのモル比が1:1となる水および1:0.1となる硝酸を加え60℃で3時間撹拌した後、0.6Mになるように調合した溶液IIIを得た。これらの溶液を用いて次のように薄膜を形成した。すなわち、まず溶液IIIをPt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて20℃/秒の速度にて加熱し350℃で2分間保持を行った。これを4回繰り返した後、650℃で30分間保持して結晶化層を得た。その後、溶液IIを、上記薄膜を形成したPt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて20℃/秒の速度にて加熱し300℃で2分間および400°Cで30分間保持してアモルファス層を得た。
【0049】
得られたPZT薄膜の表面は光学的に平滑で且つ透明であった。さらにこの薄膜上にPt電極を設け、比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、280(周波数1kHz)、1×10-7A/cm2 (印加電圧5V)であった。
【0050】
比較例5
実施例6で得られた溶液IIIを、Pt/Ti/SiO2 /Si基板上にスピンコートし、続いて20℃/秒の速度にて加熱し350℃で2分間保持を行った。これを4回繰り返した後、650℃で30分間保持して結晶化層を得た。得られたPZT結晶化薄膜の比誘電率およびリーク電流を測定したところ、それぞれ、490(周波数1kHz)、3×10-6A/cm2 (印加電圧5V)であった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の多層酸化物薄膜素子によれば、結晶化層の粒界に起因するピンホールのない薄膜を作製することができるために、リーク電流を小さくできる。さらに、この酸化物薄膜中には、結晶化層を含んでいるので、アモルファス層のみの薄膜と比較して誘電特性の優れた薄膜を作製することが可能となる。
さらに本発明の多層酸化物薄膜素子の製造方法によれば、金属アルコシキド化合物の有機溶媒溶液を用いて結晶化層とアモルファス層とを形成する方法であるため、ドライプロセスにおける問題が解消され、簡便な方法で、かつ安価に安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で得られる多層酸化物薄膜の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の方法で得られる多層酸化物薄膜の他の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の方法で得られる多層酸化物薄膜の更に他の実施例を示す断面図である。
【図4】従来の酸化物薄膜の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 結晶化層
3 粒界
4 アモルファス層

Claims (13)

  1. 複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層アモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子の製造方法であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して結晶化層を形成する工程と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理してアモルファス層を形成する工程と、を有し、前記アモルファス層と前記結晶化層を、加水分解の程度が異なる混合金属アルコキシド化合物又は複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液から作製することを特徴とする多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  2. 前記アモルファス層作製時の熱処理温度と、前記結晶化層作製時の熱処理温度が、異なる温度であることを特徴とする請求項1に記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  3. 前記アモルファス層作製時の熱処理時間と、前記結晶化層作製時の熱処理時間が、異なる時間であることを特徴とする請求項1に記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  4. 一般式ABO3 で示される化合物において、元素AがBa、及び/またはSr、元素BがTiであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  5. 前記AおよびBを含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液に、該複合金属アルコキシド化合物1モルに対し、0.5〜3モルの水と、0.15〜0.5モルの無機触媒を添加し、加水分解した後、基板上に塗布し、次いで熱処理することを特徴とす請求項1乃至請求項のいずれかに記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  6. 加水分解を50〜150℃の温度で行うことを特徴とする請求項に記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  7. 前記無機触媒がアンモニアであることを特徴とする請求項又は請求項に記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  8. 複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層アモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子の製造方法であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して第1層目のアモルファス層を形成する工程と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して第2層目の結晶化層を形成する工程と、を有し、前記アモルファス層と前記結晶化層を、加水分解の程度が異なる混合金属アルコキシド化合物又は複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液から作製することを特徴とする多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  9. 前記第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液の結晶化温度が、前記第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液の結晶化温度よりも低く、前記第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布した後の熱処理温度が、前記第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液の熱処理温度と同程度か、あるいは低い温度で結晶化層を形成することを特徴とする請求項に記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  10. 前記第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液が加水分解されていない有機溶媒溶液であり、前記第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液が加水分解された有機溶媒溶液であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の多層酸化物薄膜素子の製造方法。
  11. 複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層アモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成した第1層目の結晶化層と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成した第2層目のアモルファス層と、を有することを特徴とする多層酸化物薄膜素子。
  12. 複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層アモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成した第1層目のアモルファス層と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成した第2層目の結晶化層と、を有することを特徴とする多層酸化物薄膜素子。
  13. 複数の金属元素を含む混合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液、または、複数の金属元素を含む複合金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を、基板上へ塗布することにより作製される一般式ABO3 (Aは周期律表IA族、IIA族、IIIA族、IVB族およびVB族の単数あるいは複数の元素、BはIVA族およびVA族の単数あるいは複数の元素)で示される酸化物薄膜を有し、該酸化物薄膜が少なくとも1層アモルファス層と少なくとも1層の結晶化層とを有する多層構造である多層酸化物薄膜素子であって、第1の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成した結晶化層と、第2の金属アルコキシド化合物の有機溶媒溶液を塗布し、熱処理して形成したアモルファス層とが交互に積層された構造を有することを特徴とする多層酸化物薄膜素子。
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