JPH1158060A - レーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き合わせ溶接による溶接部構造 - Google Patents

レーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き合わせ溶接による溶接部構造

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JPH1158060A
JPH1158060A JP9222567A JP22256797A JPH1158060A JP H1158060 A JPH1158060 A JP H1158060A JP 9222567 A JP9222567 A JP 9222567A JP 22256797 A JP22256797 A JP 22256797A JP H1158060 A JPH1158060 A JP H1158060A
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welded
welding
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laser
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JP9222567A
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English (en)
Inventor
Akira Akashi
暁 明石
Kazuhiko Kato
和彦 加藤
Yasunobu Miyazaki
康信 宮崎
Masahiro Obara
昌宏 小原
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Mitsubishi Motors Corp
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き
合わせ溶接による溶接部構造に関し、生産性を低下させ
ることなく溶接部の疲労強度を向上させることができる
ようにする。 【解決手段】 2つの被溶接部材3,4を突き合わせて
表面側からレーザビーム5を照射して突き合わせ溶接を
行なう際に、両被溶接部材3,4を裏面側3A,4Aか
ら支持するレーザ突き合わせ溶接用治具2において、両
被溶接部材3,4が上載される支持面2B,2Cと、支
持面2B,2Cの突き合わせ部分8を配置される箇所
に、支持面2B,2C側を溶接部から離隔させるように
延設された溶着防止溝2Aとをそなえ、溶着防止溝2A
内に、補助部材1を着脱可能に設けて、補助部材1の表
面が、溶接部の裏面に対して、溶接時に溶接部の裏面側
の溶融を促進する距離内に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板厚差ある板材を
組み合わせたテーラードブランクのレーザ溶接に用いて
好適の、レーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き合
わせ溶接による溶接部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、板金構造部材を部分的に補強
するには、リンフォースが用いられるが、このリンフォ
ースによる補強の代わりに、予め補強の必要な部分のみ
板厚を厚くしたテーラードブランクにより構造部材を形
成する技術も開発されている。例えば、図6は自動車の
リヤフロアサイドメンバに関してこれらの技術を適用し
た例を示すもので、図6(a)はリンフォースによる補
強を示す図、図6(b)はテーラードブランクによる補
強を示す図である。
【0003】リンフォースによる補強の場合は、図6
(a)に示すように、リヤフロアサイドメンバ30の要
補強部分に合わせてリンフォース31を成形し、リヤフ
ロアサイドメンバ30にリンフォース31を接合するこ
とにより補強を行なう。これに対し、テーラードブラン
クによる場合は、図6(b)に示すように、通常の板厚
の部材32とこの部材32よりも板厚の厚い部材33と
をいずれも平板の状態で突き合わせ溶接してテーラード
ブランクを成形し、これをプレス成形することによりリ
ヤフロアサイドメンバ34を成形する。
【0004】ここで、部材33は、リヤフロアサイドメ
ンバ30のリンフォース31が接合された部分に相当し
ているが、例えば、リヤフロアサイドメンバ30の厚さ
をt 1 ,リンフォース31の厚さをt2 としたとき、部
材33の厚さt3 は、一般にt3 <t1 +t2 とするこ
とができるため、リンフォースによる補強に比べて軽量
化,コスト低減を図ることができる。
【0005】このような比較的板厚の薄いテーラードブ
ランクを成形するにはレーザ突き合わせ溶接が適してお
り、このレーザ突き合わせ溶接には、従来より、図7に
示すようなレーザ突き合わせ溶接用治具が用いられてい
る。ただし、図示する上での便宜のため、図7において
は溶接用治具に対して被溶接部材の板厚や部材間の隙間
を大幅に拡大して示している。
【0006】図7に示すように、溶接用治具12は、溶
接防止溝12Aを挟んで2つの支持面12B,12Cを
そなえており、それぞれにテーラードブランクを構成す
る被溶接部材13,14が互いに突き合わせられてこれ
らの支持面12B,12Cに上載される。このとき、被
溶接部材13,14の突き合わせ部18において、互い
に接触するように配置しても、被溶接部材13,14の
製造誤差等から互いの隙間を完全になくすことはでき
ず、この隙間が開きすぎると確実に溶着させることがで
きない虞がある。そこで、この隙間寸法が所定値(例え
ば0.1mm以下)になるようにセットする必要があ
る。
【0007】このように突き合わせて配置した被溶接部
材13,14にレーザビーム15を照射して接合するわ
けであるが、ここでレーザビームによる溶接の原理につ
いて簡単に説明すると、図8に示すように、図示略のレ
ーザ発振器より照射されたレーザビーム15は、集光レ
ンズ35により集光されてエネルギ密度を高めていき、
焦点Fにてそのエネルギ密度は最大となる。従って、焦
点Fが被溶接部材13,14上に位置するように集光レ
ンズ35の位置を調整することにより、被溶接部材1
3,14に大きなエネルギを与えることができ、このエ
ネルギにより被溶接部材13,14は溶融して互いに溶
着する。
【0008】ここで、被溶接部材13の方が被溶接部材
14よりも板厚が厚いとすると、レーザビーム15は突
き合わせ部18から被溶接部材13側へややずれた位置
に照射される。これは、突き合わせ部18上にレーザビ
ーム15を照射すると、照射されたビームが被溶接部材
13,14を外れて突き合わせ部18の隙間内に入って
しまい、この部分に溶接されない箇所が発生することが
あり、この突き合わせ溶接部分にミシン目上の跡がつき
溶接不良を招く虞があるからである。
【0009】ところで、溶着防止溝12Aは、支持面1
2B,12Cの間に、突き合わせ部18に沿って延設さ
れているが、この溶着防止溝12Aは、溶接時に被溶接
部材13,14と支持面12B,12Cとが溶着しない
ように、支持面12B,12Cを突き合わせ部18から
離隔させるために設けられたものである。また、この溶
着防止溝12Aには、溶接時に発生するスラグ等のゴミ
を下に落として、突き合わせ部18へのゴミの付着を防
止する役割もある。従って、溶着防止溝12Aはこれら
の溶着防止,ゴミの付着防止等の効果を考慮して深さD
2 や幅Wが確保されており、被溶接部材の板厚等にもよ
るが、一般的に深さD2 が30〜40mm,幅Wが20
mm程度確保されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テーラ
ードブランクの生産性を上げるには、レーザ溶接の溶接
速度を高くする必要があるが、上述した従来のレーザ突
き合わせ溶接用治具を用いて、速い速度でレーザ突き合
わせ溶接した場合の溶接部の構造は、図9に示すように
なる。ここで、図9(a)は、図7に示したレーザ突き
合わせ溶接用治具を用いてレーザ突き合わせ溶接した場
合の溶接部の構造を示す模式的側断面図であり、図9
(b)は図9(a)のB部を拡大した模式的側断面図で
ある。
【0011】図9に示すように、被溶接部材13,14
は図7に示すレーザビーム15の照射により溶融して互
いに溶着し、溶接部16を形成する。このとき、被溶接
部材13,14の表面13B,14Bは、レーザビーム
15より与えられるエネルギにより十分に溶融するた
め、互いの溶着が十分な領域で行なわれ溶接部16の表
ビード面16Bが滑らかに形成される。
【0012】逆に、被溶接部材13,14の裏面13
A,14Aには、レーザビーム15からのエネルギが直
接的には与えられないため、裏面13A,14A側は表
面13B,14B側ほどには溶融が促進されない。この
ため、溶接部16の裏ビード面16Aは被溶接部材1
3,14の裏面13A,14Aよりも大きく凹んだ形状
に形成される。
【0013】テーラードブランクにより成形された構造
部材では、異なる板厚の2つの被溶接部材13,14を
接合して形成されているため、板厚が変化する突き合わ
せ溶接部16には応力が集中しやすい。その上、この溶
接部16の裏ビード面16Aは湾曲又は屈曲した凹み状
になっており、溶け込み率〔溶接部16の厚さt/被溶
接部材14の厚さt0 ,図9(a)参照〕が低下するの
で、この部分に応力が集中して疲労破壊の原因となる。
【0014】そこで、疲労強度を高くするためには、溶
け込み率(t/t0 )を大きくすることが考えられる。
しかしながら、レーザ突き合わせ溶接による溶接部構造
においては、溶け込み率(t/t0 )を大きくするため
には溶接速度を遅くする必要がある。つまり、図10
は、溶接速度と溶け込み率の関係について示すグラフで
あり、図示するように、溶け込み率を高くするには、溶
接速度を遅くすればよいが、例えば、溶け込み率80%
の点PA (現状に近い)から、母材とほぼ同等の疲労強
度が得られる溶け込み率90%の点PB まで溶け込み率
を高めるには、溶接速度を約半分程度まで低下させるこ
とが必要になり生産性が大きく低下してしまうという課
題が発生する。
【0015】ところで、溶接部16の裏ビード面16A
と被溶接部材13,14の裏面13A,14Aとの間に
は段差(これを裏ビード段差という)17が形成され
る。溶接部16の疲労強度は、この裏ビード段差17の
形状にも依存することが考えられ、この点に着目すれ
ば、溶け込み率を大幅に上げなくても、従って、溶接速
度を大きく低下させることなく、溶接部に十分な強度を
確保することができるものと考えられる。
【0016】本発明は、このような観点から上述の課題
に鑑み創案されたもので、生産性を低下させることなく
溶接部の疲労強度を向上させることができるようにし
た、レーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き合わせ
溶接による溶接部構造を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のレーザ突き合わせ溶接用治具では、2つの被
溶接部材を突き合わせて表面側からレーザビームを照射
して突き合わせ溶接を行なう際には、まず、両被溶接部
材を本レーザ突き合わせ溶接用治具の支持面に上載する
が、このとき、該支持面側に延設された溶着防止溝内に
予め補助部材を設置して、この溶着防止溝の上に、両被
溶接部材の突き合わせ部分を配置させる。
【0018】そして、2つの被溶接部材の突き合わせ部
分に、その表面側からレーザビームを照射すると、レー
ザビームのエネルギで両被溶接部材の突き合わせ部分が
溶融して接合する。このとき、溶着防止溝内に設置され
た補助部材の表面が、溶接部の裏面に対して、溶接時に
該裏面側の溶融を促進する距離内に配置されるため、溶
融部を透過したレーザビームのエネルギを受けて補助部
材の表面から高温のプラズマが発生して、この高温のプ
ラズマにより溶接時に該溶接部の裏面側の溶融が促進さ
れる。
【0019】また、補助部材は溶着防止溝内に対して着
脱可能であるため、補助部材の表面が溶融したり表面に
スラグ等が付着した場合には、補助部材を溶着防止溝か
ら取り外して、補助部材を交換したり、補助部材を改修
したりすることができる。請求項2記載の本発明のレー
ザ突き合わせ溶接による溶接部構造では、本溶接部構造
は、2つの被溶接部材の突き合わせ部分に表面側からの
レーザビーム照射による溶接で形成されるが、溶接部の
裏面側に形成された裏ビード段差部において、裏ビード
面と該被溶接部材の裏面とのなす角度が鋭角に形成され
ているので、裏ビード段差部への応力集中が低減され、
溶接部の疲労強度が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の一実施形態
としてのレーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き合
わせ溶接による溶接部構造について示すものである。図
1は、本実施形態のレーザ突き合わせ溶接用治具の構成
について示している。ただし、図示する上での便宜のた
め、図1においても溶接用治具に対し被溶接部材の板厚
や部材間の隙間を大幅に拡大して示している。図1に示
すように、本溶接用治具2は、溶接防止溝2Aを挟んで
2つの支持面2B,2Cをそなえており、各支持面2
B,2Cにテーラードブランクを構成する被溶接部材
3,4が互いに突き合わせられて上載されるようになっ
ている。本実施形態にかかるレーザ突き合わせ溶接にお
いては、被溶接部材3,4の裏面3A,4Aを基準面と
してこれらの裏面3A,4Aが互いに面一になるように
溶接を行なうため、2つの支持面2B,2Cは同高さに
設定されている。
【0021】また、被溶接部材3,4の突き合わせ部8
は、支持面2B,2Cの間の溶着防止溝2Aに沿うよう
に配置される。この溶着防止溝2Aは、従来技術と同様
に溶接時に被溶接部材3,4と支持面2B,2Cとが溶
着しないように、支持面2B,2Cを溶接が行なわれる
突き合わせ部8から離隔させるために設けられたもので
あり、被溶接部材3,4の板厚等にもよるが例えば30
〜40mm程度の深さD2 と20mm程度の幅Wとが確
保されている。
【0022】この溶着防止溝2A内には、着脱可能なバ
ックバー(補助部材)1がそなえられる。このバックバ
ー1は、プラズマが発生しやすい材質(例えば鋼)で形
成されており、バックバー1の表面1Aの被溶接部材
3,4からの距離D1 は、被溶接部材3,4からの放出
されたエネルギを十分に受けられ、かつ被溶接部材3,
4がバックバー1に溶着しない程度の距離(例えば約3
mm)に設定されている。そのため、レーザビーム5が
被溶接部材3,4に照射されたときには、裏面3A,4
Aから放出されたエネルギによりバックバー1の表面1
Aよりプラズマが発生するようになっている。
【0023】そして、図2に示すように、被溶接部材
3,4が溶着して形成された溶接部6の裏ビード面6A
は、このプラズマを浴びることにより溶融が促進され、
裏ビード段差7の角度Rが少なくとも鋭角、好ましくは
60°よりも小さい角度になり、被溶接部材3,4の裏
面3A,4Aはなだらかに溶着されるようになってい
る。
【0024】本発明の一実施形態は上述のごとく構成さ
れているので、被溶接部材3,4を接合する場合には、
まず、被溶接部材3,4を溶接用治具2上に載置する
が、ここでは被溶接部材3を支持面2B上に、被溶接部
材4を支持面2C上に配置し、突き合わせ部8が溶着防
止溝2A上のほぼ中央に位置するように設置する。この
とき、突き合わせ部8の隙間寸法が0.1mm以下にな
るようにセットする。そして、被溶接部材3の方が被溶
接部材4よりも板厚が厚いとすると、レーザビーム5は
突き合わせ部8からややずれた被溶接部材3側の表面3
Bに照射する。
【0025】このレーザビーム5の照射により、図2
(a),(b)に示すように、被溶接部材3,4は溶融
して互いに溶着し溶接部6を形成する。このとき、被溶
接部材3,4の表面3B,4Bは、レーザビーム5より
与えられるエネルギにより十分に溶融するため、滑らか
に溶着して溶接部6の表ビード面6Bを形成する。一
方、溶接部6に与えられたレーザビーム5のエネルギの
一部は、裏ビード面6Aより外部に放出されるが、裏ビ
ード面6Aからの至近距離D1 の位置にはバックバー1
がそなえられているため、裏ビード面6Aから放出され
たエネルギはバックバー1に吸収される。そして、この
吸収したエネルギによりバックバー1は表面1Aからプ
ラズマを発生させる。もちろん、溶着防止溝2Aの側壁
2D,2Eのバックバー1の表面1Aよりも上方の部分
もこのプラズマ発生に寄与する。
【0026】このプラズマは非常に高温(約10000
°K)であるため、プラズマを浴びた裏ビード面6Aは
溶融を促進される。その結果、裏ビード面6Aと被溶接
部材3,4の裏面3A,4Aとの間に形成された裏ビー
ド段差7の角度R〔裏ビード面6Aと被溶接部材3の裏
面3A(又は被溶接部材4の裏面4A)とのなす角度〕
も小さくなり、被溶接部材3,4の裏面3A,4Aはな
だらかに溶着する。
【0027】ここで、図3はバックバー1の被溶接部材
3,4からの距離Dと、裏ビード段差7の角度Rとの関
係を示している。図3に示すように、バックバー1がD
a (10mm程度)以上の距離にある場合には、距離に
関係なく裏ビード段差7の角度Rはほぼ100°よりも
大きくほとんど一定である。これは、バックバー1にプ
ラズマの発生に十分なエネルギが届かないためであり、
このDa 以上の距離にバックバー1を配置してもプラズ
マによる溶融促進効果は得られない。
【0028】一方、Da 以下の距離では、バックバー1
にプラズマの発生に十分なエネルギが届くため、バック
バー1の表面1Aよりプラズマが発生して裏ビード段差
7の角度Rも距離Dの縮小にしたがって小さくなってい
る。これは、裏ビード6Aに与えられるプラズマのエネ
ルギはバックバー1との距離に反比例するように大きく
なり、裏ビード6Aに与えられるエネルギが大きくなれ
ば当然溶接部6の溶融が促進され、裏ビード段差7の角
度Rも距離Dに比例して小さくなるからである。ただ
し、バックバー1と被溶接部材3,4とを近づけすぎる
と、今度は溶接部6がバックバー1に溶着してしまう虞
がある。したがって、バックバー1の設定距離は、バッ
クバー1と溶接部6とが溶着しない限界の距離Db (約
3mm)に設定する。
【0029】ここで、図4は、溶け込み率(溶接部6の
厚さt/被溶接部材4の厚さt0 )と疲労限応力との関
係について示すグラフであり、実線L1 は裏ビード段差
7の角度Rが90°の場合の特性を、一点鎖線L2 は裏
ビード段差7の角度Rが40〜50°の場合の特性をそ
れぞれ示しており、図中の点線Lは母材の疲労限応力を
示している。
【0030】図4に示すように、溶け込み率が90%付
近の点P3 以上、又は溶け込み率が65%付近の点P4
以下の各領域では、L1 ,L2 ともに同程度の疲労限応
力となっているが、P3 〜P4 の領域では、L1 ,L2
間で疲労限応力に大きな差が生じている。例えば、溶け
込み率80%で比較した場合、L1 では母材の半分程度
の疲労限応力(点P1 )であるのに対して、L2 では母
材に極めて近い疲労限応力(点P2 )を得ることができ
る。仮に特性L1 の条件、即ち、裏ビード段差7の角度
Rが90°の条件にてP2 と同程度の疲労限応力を得る
には、90%近い溶け込み率が必要となるが、90%近
い溶け込み率を得るには、図10で示したように、溶け
込み率80%で溶接する場合の半分程度の速度で溶接す
る必要があるため、生産性が大きく低下することにな
る。
【0031】このように、裏ビード段差7の角度Rを小
さくすることで、生産性を低下させることなく溶接部の
疲労強度を向上させることができるのである。このよう
に、本実施形態にかかるレーザ突き合わせ溶接用治具に
よれば、溶着防止溝2A内にバックバー1を設け、その
表面1Aを、被溶接部材3,4の裏面側3A,4Aに対
して、被溶接部材3,4の裏面側3A,4Aの溶融を促
進できる距離内(Da 以下)に配置しているので、レー
ザビーム5を照射して被溶接部材3,4を接合する際、
バックバー1の表面1Aより高温のプラズマが発生して
溶接部6の裏ビード面6Aの溶融を促進することがで
き、この結果、形成された溶接部構造(即ち、本実施形
態にかかるレーザ突き合わせ溶接による溶接部構造)で
は、裏ビード面6Aと被溶接部材3,4の裏面3A,4
Aとの間に形成される裏ビード段差7の角度Rが大幅に
縮小されることになり、裏ビード面6Aへの応力集中が
低減されて、溶け込み率を大幅に高めることなく、母材
並の高い疲労強度を得ることができるようになる。
【0032】このように、比較的低い溶け込み率(80
%程度)にて母材と同程度の高い疲労強度を得ることが
できので、溶け込み率を高くするために溶接速度を低く
する必要がなく、高い生産性を得ることができるのであ
る。また、溶着防止溝2A内のバックバー1は着脱可能
なので、溶接時に発生するスラグ等のゴミが付着した場
合にはバックバー1ごと交換することやバックバー1を
取り外して改修することができ、溶接部6へのゴミの付
着を防止することができると同時に、溶着防止溝2Aの
溝管理も容易であるという効果もある。
【0033】また、本実施形態では溶着防止溝2Aの深
さを従来技術と同様の大きさD2 としているが、溶着防
止溝2A内にはバックバー1が装備され、必要なのはバ
ックバー1の表面1Aの被溶接部材3,4の裏面3A,
4Aからの距離D1 であり、この距離D1 はバックバー
1の厚みの設定により、溶着防止溝2Aの深さと関係な
く調整できるので、溶着防止溝2Aの深さの設定は自由
に行なえる。もちろん、本実施形態のように従来同様の
溶着防止溝2Aをそなえた溶接用治具2を用いて、これ
に対応するようにバックバー1の形状を設定すれば、従
来技術のものにバックバー1を追加するだけで本治具を
構成することができ、コスト増を抑制できる。
【0034】なお、裏ビード段差7の角度Rは略60°
よりも小さく形成するのが好ましい(さらに40〜50
°程度ならもっとよい)が、略90°よりも小さく(即
ち、鋭角に)形成することでも一定の効果は得られる。
なお、被溶接部材3,4の接合の基準面(厚み方向の位
置合わせ面)は裏面3A,4Aに限られない。図5は被
溶接部材3,4の他の配置に対応したレーザ突き合わせ
溶接用治具の変形例を示す図であり、図5(a)は、被
溶接部材3,4の上面3B,4Bを基準面として接合す
る場合の構成を示す図、図5(b)は、被溶接部材3,
4の厚み方向中心面3C,4Cを基準面として接合する
場合の構成を示す図である。
【0035】このように、被溶接部材3,4の接合の基
準面が裏面3A,4Aと異なる場合には、バックバー1
の形状もそれに合わせて設定することが好ましい。つま
り、被溶接部材3の方が被溶接部材4よりも板厚が大き
い場合には、被溶接部材3側は低くし、被溶接部材4側
は高くして、バックバー1の表面1Aと被溶接部3,4
の裏面3A,4Aとの距離がほぼ一定となるようにす
る。このようにバックバー1の形状を被溶接部材3,4
の位置関係に合わせて調整することにより、接合の基準
面に関わらず、常にバックバー1による被溶接部3,4
の裏面3A,4Aの溶融促進が可能である。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のレーザ突き合わせ溶接用治具によれば、溶着防止
溝内に補助部材を設け、その表面を、被溶接部材の裏面
に対して、被溶接部材の裏面側の溶融を促進する距離内
に配置しているので、レーザビームを照射して被溶接部
材を接合する際、補助部材の表面より高温のプラズマが
発生し、このプラズマのエネルギにより溶接部の裏ビー
ド面の溶融を促進することができる。この結果、裏ビー
ト段差における裏ビード面と被溶接部材裏面とのなす角
度を縮小して、裏ビード面への応力集中低減によって、
溶け込み率を大幅に高めることなく溶接部の疲労強度を
確保することができるようになっている。したがって、
溶接速度を低減させることなく、高い生産性を得なが
ら、溶接部の疲労強度を確保することができるようにな
る。
【0037】請求項2記載の本発明のレーザ突き合わせ
溶接による溶接部構造によれば、裏ビード面への応力集
中低減によって、溶け込み率を大幅に高めることなく溶
接部の疲労強度を確保することができるようになってい
る。したがって、溶接速度を低減させることなく、高い
生産性を得ながら、溶接部の疲労強度を確保することが
できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのレーザ突き合わせ
溶接用治具を示す模式的側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態としてのレーザ突き合わせ
溶接による溶接部構造を示す図であり、(a)は模式的
側断面図、(b)は(a)のA部拡大図である。
【図3】バックバーと被溶接物の距離と溶接部の裏ビー
ド段差の角度との関係を示すグラフである。
【図4】溶接部の溶込み率と疲労限応力との関係を示す
グラフである。
【図5】本発明の他の実施形態としてのレーザ突き合わ
せ溶接用治具を示す模式的側断面図であり、(a)は2
つの被溶接物の上面を基準面として接合する場合の構成
を示す図、(b)は2つの被溶接物の厚み方向中心面を
基準面として溶接する場合の構成を示す図である。
【図6】板金構造を示す図であり、(a)はリンフォー
スにより補強した場合のリヤフロアサイドメンバの構成
を示す模式的斜視図、(b)はテーラードブランクを適
用した場合のリヤフロアサイドメンバの構成を示す模式
的斜視図である。
【図7】従来のレーザ突き合わせ溶接用治具を示す模式
的側断面図である。
【図8】レーザ溶接の原理を説明するための説明図であ
る。
【図9】従来のレーザ突き合わせ溶接による溶接部構造
を示す図であり、(a)は模式的側断面図、(b)は
(a)のB部拡大図である。
【図10】溶接部の溶接速度と溶込み率との関係を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 バックバー(補助部材) 1A バックバー表面 2 溶接用治具 2A 溶着防止溝 2B,2C 支持面 3,4 被溶接部材 3A,4A 被溶接部材裏面 5 レーザビーム 6 溶接部 6A 裏ビード面 7 裏ビード段差 8 突き合わせ部
フロントページの続き (72)発明者 宮崎 康信 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 小原 昌宏 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの被溶接部材を突き合わせて表面側
    からレーザビームを照射して突き合わせ溶接を行なう際
    に、該両被溶接部材を裏面側から支持するレーザ突き合
    わせ溶接用治具において、 該両被溶接部材が上載される支持面と、 該支持面の該突き合わせ部分を配置される箇所に、該支
    持面側を溶接部から離隔させるように延設された溶着防
    止溝とをそなえ、 該溶着防止溝内に、補助部材が着脱可能に設けられて、 該補助部材の表面が、該溶接部の裏面に対して、該溶接
    時に該裏面側の溶融を促進する距離内に配置されている
    ことを特徴とする、レーザ突き合わせ溶接用治具。
  2. 【請求項2】 2つの被溶接部材の突き合わせ部分に表
    面側からレーザビームを照射することで溶接を行なわれ
    た、レーザ突き合わせ溶接による溶接部構造において、 該溶接部裏面側に形成された裏ビード段差部における裏
    ビード面と該被溶接部材の裏面とのなす角度が、鋭角に
    形成されていることを特徴とする、レーザ突き合わせ溶
    接による溶接部構造。
JP9222567A 1997-08-19 1997-08-19 レーザ突き合わせ溶接用治具及びレーザ突き合わせ溶接による溶接部構造 Pending JPH1158060A (ja)

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