【発明の詳細な説明】
ケト官能性のカルボニル基を
有するポリウレタンを含む分散液
本発明は、次式(I)
に由来する構成単位を含むポリウレタン(A)を含む水性分散液に関し、式中、
R1,R2及びR3は各々水素、C−原子数1〜24のアルキル又はC−原子数6
〜24のアルケニルであり、
R4は水素であり、
R5及びR6はa) 一緒になってC−原子数4〜10のアルカンジイルである、
b) 各々、C−原子数2〜10のアルキル、C−原子数5〜8のシクロア
ルキル又はC−原子数7〜20のアラルキルである、
c) 各々、ヒドロキシル基末端のポリ(C−原子数2〜4のアルキレンオ
キシド)である、又は
d) R5又はR6の一方は上記(a)から(c)に定義したものであり、他
方は水素又は次式
(II)
式中、
XはC−原子数2〜6のアルカンジイルであり、そして
R7は式(II)であることを除く、R5又はR6について定義したものであり、
そして
−R5及びR6は合計2〜5個の脂肪族炭素[sic]に結合したヒドロキシル基
を有し、そして
−R5及び/又はR6は芳香族の構造体に結合する1又は2個のヒドロキシル基を
有することができ、又は遊離又は塩の形状で1個のニトリル、第三級アミノ、カ
ルボキシル又はスルホ基を有してもよい、
ものである。
ポリウレタンを含む水性分散液は広く知られている(D.G.Oertel “Kunstsof
f Handbuch 7”2nd Edition,1983,Carl Hanser Verlag,Munich,Vienna,p
24〜25及びp571〜574)。又、ポリウレタン分散液をコーティング組
成物、例えば塗料又は印刷用インキとして使用することは公知である。
引き続いてのコーティングの処理、経済性及び所望の特性は、ポリウレタン分
散液に未だ完全には満され
ていない広範囲の要件を課すことになる。
表面コーティングの日常求められる特性は、しばしば次の要件を課題とする:
−コーティング材料はその特性(例えば、レオロジー特性)において又はその材
料を使用して製造されるコーティングの特性において何ら変化することなく長期
間保存しうるべきである。
−コーティング材料が使用されそして乾燥された際に有機化合物の放出を最少に
するために、コーティング材料は溶剤、流展剤又はその他の揮発性の有機成分の
量を最少にする特徴を有するべきである。
−物品に使用した時、コーティング材料はその後短時間の後に使用し、又は処理
し得るように、急速に乾燥又はキュアーされるべきである。
−コーティング材料は、それが処理された際にほとんど又は全く泡形成の傾向を
示すべきではない。
高品質のコーティング及びポリウレタンコーティング材料の場合には、以下の
要件の組み合わせを使用する:
−滑らかな表面及び高い光沢
−薄い酸及びアルカリのような化学物質、湿分、水蒸気に対する、及び有機溶剤
並びに界面活性剤に対する抵抗
−衝撃又はひっかきのような機械的ストレスに対する安定性
−固有の色及び泡又は割れ目のような欠点を有しないこと
−木製基材の場合には、コーティング材料は木材の目に見える構造がより強く表
われる(木目を示す)ことを可能とするべきである。
かかる特性の組み合わせを有するコーティングの開発は、個々の性能特性が多
様な構造的特性に基づいているように思われるので、それだけ一層困難になって
いる。擦傷抵抗の必要要件は一定の硬度であるにもかかわらず、衝撃強度は一定
の弾性を必要とする。さらに、光沢のある表面はコーティング材料を良好に流展
する必要があり、これは一般に流展剤として揮発性の有機化合物を使用すること
を意味する。
特に、コーティング材料は、可能な限り広範囲の可能な慣用手法により処理し
得るべきである。変化する複雑性(ここで、この複雑性は得られるコーティング
の特性に関係する)を有する異なる手法は、定義されたレベルの品質を満たすコ
ーティングを最大の経済的効率をもって製造し得るように、要求されている;実
際に、増大した複雑性と努力は、相応の特性に匹敵した場合にのみ、しばしば正
当化されるように思われる。一方、異なる処理手法に対する異なる原料をコーテ
ィング処理機が貯蔵することは、論理的に言っても複雑である。かかる手法の中
で、次のものが特に重要である:
一成分コーティング系を有する冷キュアリング手法(室温でのキュアリング)
はもっとも複雑なものでなく、そして平均的な品質特性を満足すべきである。
使用者側でのより大きな努力を伴う二成分のコーティング系を有する冷キュア
リング手法は、これはこの系を混合するための処理機を必要とし、次いで限定さ
れたポット寿命をもつ混合物を与えるから、高い品質の必要性を満足させるため
に意図される。
乾燥手法(通常100〜160℃でのキュアリング)は、最高の品質のコーテ
ィングを製造するのに適している。
一般に、印刷用インキの表面特性は、他のコーティング材料について既に述べ
たのと同じ必要性が問題となる。加えて、それらは、さらに以下の特別の要件を
満足することが重要である:
−乾燥時間を最少にするための、固体、殊に顔料の高い割合、及び
−ポリエチレン及びポリプロピレンのような非極性の基材上においてさえも良好
な流展性。
インキで印刷された物品により、とりわけ非極性のプラスチックで製造された
物品により適合されるべき要件は、次のとおりである:
−殊に、水の影響下での、基材へのインキの良好な粘着性
−常用の溶剤、脂肪、油、界面活性剤、水溶液、酸及
びアルカリに対するインキの抵抗性
−良好な堅牢性。
この一群の要件は、或る場合においては相反する目的を生じ、そして従前の印
刷用インキはこの矛盾を完全に解決できない。例えば、印刷用インキの流展は界
面活性剤を添加することにより改善させることができるが、これが使用されたイ
ンキは水に対する抵抗性が不足している。溶剤を添加することにより、同様に湿
潤性を改良し得るが、これは水を基剤とするインキの環境上の利点を限定する。
種々の基剤をコーティングするための一成分系として使用できるポリウレタン
分散液はヨーロッパ特許第332326号明細書に記載されている。ケト又はア
ルデヒド官能性のカルボニル基を有し2000以上の分子量をもつ水−分散性の
ポリウレタンに加えて、これらはヒドラジン又はヒドラゾン基を有する他の成分
を含有するか、又はその他の場合には、ポリウレタンはケト又はアルデヒドカル
ボニル基のみならず、ヒドラジン及び/又はヒドラゾン基を有する。ポリウレタ
ンにカルボニル構成単位を導入するために、ジヒドロキシアセトン、ジアセトン
アクリルアミドとジアミン又はアルカノールとのミカエル付加物、又は2モルの
ジアセトンアクリルアミドと2モルのジアミンのミカエル付加的のような単量体
を使用してこれを製造することが推奨される。
しかしながら、ジヒドロキシアセトンを使用して製造される分散液の欠点は、
それが茶色のフィルムを製造することである。
上記文献は、又、ジアセトンアクリルアミドとジエタノールアミンのミカエル
付加物のような単量体を使用してポリウレタンにケト基を導入することを提案し
ている。かかる単量体は冷キュアリングにより満足しうる特性を有するコーティ
ングに導かれる一成分系として処理することができるが、それらはより高いレベ
ルの特性を有するコーティングを製造するための二成分系としては適していない
。加熱乾燥による処理もきびしい要求を満たすコーティングを製造できない。
更に、水分散性の、カルボニル含有ポリウレタン及びポリヒドラジドを含む水
性分散液はドイツ国特許第3837519号明細書により公知であるが、ここで
、カルボニル官能性は、カルボニル−含有のモノ−又はポリアルコール、例えば
ヒドロキシアセトン、ヒドロキシベンズアルデヒド、アセトイン、ベンゾイン、
ジエポキシドとケトカルボン酸の付加物、及び少なくとも1個のヒドロキシ基を
有するケトカルボン酸エステルを製造時に使用することにより、ポリウレタンに
導入される。この文献は、又、コーティング材料又は印刷用インキとしてこれら
の分散液を使用することを推奨している。
ポリヒドロキシカルボニル化合物から製造されるポ
リウレタンを含む分散液は、貯蔵寿命が重要なときは完全に満足しうるものでは
ない。
上述のモノヒドロキシカルボニル化合物から製造されるポリウレタンを含む分
散液から製造されるコーティングの機械的特性及び溶剤抵抗性は、未だ完全に満
足し得るものではない。さらに、これらの分散液は凝塊を生成する傾向がある。
ヨーロッパ特許第646609号明細書は、印刷用インキとしてポリウレタン
分散液を使用することを推奨している。このポリウレタンは末端ヒドラジン官能
基を有しており、イオン性及びポリアルキレンオキシド基の存在のために水中に
分散させることができる。
特開昭50−98913号公報は、アルカノールアミンと酢酸から製造された
アミド(H3CCOCH2CON(CH2CH2OH)2又はH3CCOCH2CON
HC(CH2CH2OH)2C2H5)及び連鎖拡張剤としてアセトアセテートアル
ミニウム又は鉄複合体を使用して製造されるポリウレタンゴムを開示している。
それゆえ、本発明の目的は、先行技術の欠点を有することなく、そして強い光
沢のあるコーティングに処理するのにほとんど又は全く揮発性の流展助剤を必要
としない、オールラウンドの高性能を有する水性のコーティング材料を提供する
ことである。特に、このコーティング材料は最大の柔軟性をもって使用すること
ができなければならない;いいかえると、コーティング特性のレベル、これは種
々の処理手法によりそれを使用して達成し得るものであるが、このレベルは先行
技術のものよりも劣ってはならない。
他の目的は、先行技術の欠点を有することなく、印刷された基材、特に非極性
の印刷された基材であって、その上にインキが均一に接着しているものを製造す
るために使用できる印刷インキを提供することである。
この目的は、上述の分散液により達成されることが見出された。
この分散液は、式(I)
{式中、
R1,R2及びR3は各々水素、C−原子数1〜24のアルキル又はC−原子数6
〜24のアルケニルである、
R4は水素である、
R5及びR6は一般に:
a) 一緒になってC−原子数4〜10のアルカンジイル、好ましくはブタン
−1,4−ジイル又はペンタン−1,5−ジイル、
b) 各々C−原子数2〜10のアルキル、好まし
くはC−原子数2又は3のアルキルであり、又はC−原子数5〜8のシクロアル
キル、好ましくはシクロペンチル又はシクロヘキシルであり、又はC−原子数7
〜20のアラルキル、好ましくはベンジルであり、又は式IIのものである:
[但し、式中
XはC−原子数2〜6のアルカンジイルであり、そして
R7はR5又はR6に対して定義したとおりであるが、式IIのものではない]、
c) 各々、ヒドロキシ末端のポリ(C−原子数2〜4のアルキレンオキシド
)、好ましくは式IIIのものである:
[但し、式中
R8は水素、メチル及び/又はエチルであり、そしてnは1〜10である]、
ここで
−R5及びR6は一緒になって脂肪族炭化水素に結合した2〜5個のヒドロキシル
基を有する、
そして
−R5及び/又はR6は芳香族構造体に結合した1〜2個のヒドロキシル基を有し
てもよく、又は遊離又は塩の形態の1個のニトリル、第三級アミノ、カルボキシ
ル又はスルホ基を有してもよい}
の化合物に由来する構造単位を含むポリウレタン(A)を含む。
所望の架橋密度及びそれに依存する機械特性の観点から、式(I)の化合物に
由来するポリウレタン中の構造元素のカルボニル含量は、一般にポリウレタン1
00g当り3〜140ミリモル、好ましくは6〜100ミリモル、特に好ましく
は10〜90ミリモルのこれらの基が存在するように選ばれる。
新規な水性分散液は、通常、
I.a) 4〜30炭素の多官能性のイソシアナート、
b) 以下のポリオール
b1) (b)のポリオールの全重量に基づいて、10〜100モル%は5
00〜5000の分子量を有する、及び
b2) (b)のポリオールの全重量に基づいて、0〜90モル%は二官能
性であり、そして62〜500g/モルの分子量を有する、
c) 式Iの化合物及び/又はアルコール性のヒドロキシル基を有し、そして
式(I)の化合物に由
来する構造元素を含む縮合生成物(縮合生成物I)、
d) 所望により、単量体(b)及び(c)とは異なり、そしてアルコール性
ヒドロキシル、第一級アミノ及び第二級アミノから成る群から選ばれる反応性基
を有する他の多官能性化合物、及び
e) 上記(a),(b),(c)及び(d)とは異なり、そして少なくとも
一種のイソシアナート基又は少なくとも一種のイソシアナート反応性の基を有し
、ポリウレタンを水分散性にする少なくとも1個の親水性又は本来的に親水性の
基を有する単量体、
を反応させてポリウレタンを製造すること、
II.第1工程で得られたポリウレタンを水中に分散させること、
により製造される。
適当な単量体(a)はポリウレタン化学において常用のポリイソシアナートで
ある。
XがC−原子数4〜12の脂肪族、C−原子数6〜15の環式脂肪族又は芳香
族又はC−原子数7〜15の芳香脂肪族炭化水素基である、ジイソシアナートX
(NCO)2について特に言及し得る。かかるジイソシアナートの例は、テトラ
メチレン、ヘキサンメチレン及びドデカメチレンジイソシアナート、1,4−ジ
イソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3
,5,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、
2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、トリメチルヘキサ
ンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナ
トトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4′−ジイソシアナトジフ
ェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)、2,
4′−ジイソシアナトジフェニルメタン、p−キシリレンジイソシアナート、ト
ランス/トランス、シス/シス及びシス/トランス異性体のようなビス(4−イ
ソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体、及びこれらの化合物から成る混合
物、とりわけジイソシアナトトルエン及びジイソシアナトジフェニルメタンのそ
れぞれの構造異性体の混合物、及び特に80モル%の2,4−ジイソシアナトト
ルエン[sic]及び20モル%の2,6−ジイソシアナトトルエンから成る混
合物である。特別な利点は、2,4−ジイソシアナトトルエン[sic]及び/
又は2,6−ジイソシアナトトルエンのような芳香族イソシアナートとヘキサメ
チレンジイソシアナート又はIPDIのような脂肪族又は環式脂肪族イソシアナ
ートが、好ましくは芳香族に対して脂肪族が4:1から1:4となる混合物にお
いて保持される。
化合物(a)として使用するのに適したイソシアナートは、遊離のイソシアナ
ート基に加えて、更にマス
クされたイソシアナート基、例えばウレトジオン又はカルボジイミド基を有する
ものである。
所望により、同時に、少なくとも1個、一般には全量の単量体に基づいて10
モル%以下の割合でイソシアナート基を有するイソシアナートを使用することも
可能である。モノイソシアナートは通常、オレフィン性の又はカルボニル基のよ
うな他の官能性の基を有し、そしてポリウレタンが分散、架橋又はその他の重合
体−類似の反応を受けることを可能とする官能基をポリウレタンに導入するのに
役立つであろう。この目的に適した単量体は、イソプロペニル−α、α−ジメチ
ルベンジルイソシアナート(TMI)のようなものである。
一定量の分枝又は架橋を有するポリウレタンを製造するために、例えば、二官
能性のイソシアナートを共に反応させ、この反応においてイソシアナート基の一
部をアロファネート、ビウレット又はイソシアヌレート基を形成させるために変
成させて得られるトリ官能性及びテトラ官能性のイソシアナートを使用すること
ができる。商業的に入手しうる化合物の例は、ヘキサメチレンジイソシアナート
のイソシアヌレート又はビウレットである。
より高度の官能性を有する他の適当なポリイソシアナートの例は、ウレタン基
を有しており、一方では2,4−及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエン、
イソホロンジイソシナート又はテトラメチレンジイソシアナートに、そして他方
ではトリメチロールプロパンのような低分子量のポリヒドロキシ化合物に基づく
ポリイソシアナートである。
良好なフィルム形成及び弾性のための理想的な適性を有するポリオオール(b
)は、約500〜5000g/モル、好ましくは約1000〜3000g/モル
の分子量を有する高分子量のポリオール、好ましくはジオール(b1)である。
ポリオール(b1)は、例えばUllmanns Encyklop
62〜65頁から公知のようなポリエステルポリオールであり、好ましくはこれ
は二価のアルコールを二塩基性のカルボン酸と反応させることにより得られるも
のである。ポリエステルポリオールを製造するために、遊離のポリカルボン酸に
代えて、それらの無水物又は低級アルコールとのエステル、又はこれらの混合物
を使用することが可能である。ポリカルボン酸は、脂肪族、環式脂肪族、芳香脂
肪族、芳香族又は複素環式のものでよく、そして不飽和であってもよく及び/又
は例えばハロゲンにより置換し得る。かかる化合物の例は、スベリン酸、アゼラ
イン酸、フタル酸及びイソフタル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸
及びグルタル酸の無水物、
マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸及びダイマー性の脂肪酸である。好ま
しいジカルボン酸は、式HOOC−(CH2)y−COOH、式中yは1〜20
である、のものであり、好ましくは2〜20の偶数のものであり、その例はコハ
ク酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸及びセバシン酸である。
多価アルコールの例は、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、
プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブテン−1,4−ジ
オール、ブチン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンのようなビス
(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2−メチルプロパン−1,3−ジオール
、メチルペンタンジオール及び、さらにジエチレン、トリエチレン、テトラエチ
レン、ポリエチレン、ジプロピレン、ポリプロピレン、ジブチレン及びポリブチ
レングリコールである。好ましいものは、ネオペンチルグリコール及び式 HO
(CH2)x−OH、但し、xは1〜20である、のアルコールであり、さらに
好ましいものは2〜20の偶数のものであり、その例としてはエチレングリコー
ル、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,
8−ジオール及びドデカン−1,12−ジオールが挙げられる。
又、例えば、ホスゲンをポリエステルポリオールの
ための合成成分として言及し得る過剰の低分子量アルコールと反応させることに
より得られるポリカーボネートジオールも適当である。
さらに適当なものは、ラクトンの単独重合体又は共重合体、好ましくは適当な
二官能性の出発物質とラクトンのヒドロキシ−末端付加物である、ラクトンをベ
ースとしたポリエステルジオールまで拡張し得る。適当なラクトンは、好ましく
は式 HO(CH2)z−COOH、式中、Zは1〜20である、の化合物に由
来するものであり、その例は、ε−カプロラクトン、βープロピオラクトン、γ
−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン及びこれらの混合物で
ある。適当な出発成分の例は、ポリエステルポリオールのための合成成分として
言及される低分子量のジオールである。ε−カプロラクトンの相応の重合体は、
特に好ましい。低級のポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、又ラ
クトン重合体を製造するための出発物質として使用できる。ラクトンの重合体の
代りに、ヒドロキシカルボン酸を相応のラクトンへ重縮合させた相応の、化学的
に等価の生成物を使用することもできる。
このポリエステルオールは、又、少量の単官能性の及び/又は多官能性の単量
体から製造し得る。
他の適当な単量体(b1)はポリエーテルジオールである。これらは、特に、
例えばBF3の存在下でエ
チレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン
、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンをそれ自体で重合させることにより
、又は、これらの化合物を単独で又は混合物として、又は連続させて、アルコー
ル又はアミン、例えば水、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、
プロパン−1,3−ジオール、1,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロ
パン又はアニリンのような反応性水素を含有する出発成分と付加反応させること
により得られる。特に好ましいのは、分子量範囲が240〜5000、特には5
00〜4500である、ポリテトラヒドロフランである。
同様に単量体(b1)として適当なものは、ポリヒドロキシオレフィン、好ま
しくは2個の末端ヒドロキシル基をもつもの、例えば、α−w−ジヒドロキシポ
リブタジエン[sic]、α−w−ジヒドロキシポリメタアクリル[sic]エ
ステル又はα−w−ジヒドロキシポリアクリル[sic]エステルである。これ
らの化合物は公知であり、例えばヨーロッパ特許第622378号明細書に記載
されている。
他の適当なポリオールは、ポリアセタール、ポリシロキサン及びアルキッド樹
脂である。
ポリオールは、所望の割合で混合物として使用し得る。
ポリウレタンの硬度及び弾性モジュールは、もし使
用されるポリオール(b)がポリオール(b1)のみならず、約62〜500g
/モル、好ましくは62〜200g/モルの分子量を有する低分子量ジオール(
b2)を含むときは、増大させることができる。
単量体(b2)として使用される化合物は、特にポリエステルポリオールの製
造のために言及した短鎖アルカンジオールの合成成分、好ましくはネオペンチル
グリコール及び2,4,6,8,10又は12炭素を有する分枝を有しないジオ
ールである。
全量のポリオール(b)に基づいて、ポリオール(b1)の割合は好ましくは
10〜100モル%であり、単量体(b2)のそれは好ましくは0〜90モル%
である。単量体(b2)に対するポリオール(b1)の割合は、好ましくは0.
2:1から5:1、特に好ましくは0.5:1から2:1である。
成分(c)として特に適当な化合物は、式(I)のものであり、これは式(IV
)のジケテンを
式(V)
のアルカノールアミンと付加反応させて得られる。
式(IV)のジケテン及び式(V)のアミンにおいて、R1,R2,R3及びR4並
びにR5,R6及びR7はそれぞれ、式(I)に対して定義したものである。
R1,R2及びR3が水素であり、又はR1とR2の一方が水素であり、他方がR3
と同様に、線状、飽和及び非置換のヘキサデシルであるジケテンを使用するのが
好ましい。
特に好ましいアミンは、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ
−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ
ール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1−
フェニル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノー
ルアミン、3−(2−ジヒドロキシエチルアミノ)プロパノール及びN−(3−
ヒドロキシプロピル)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−アミノプロパ
ンのような、2個の脂肪族的に結合したヒドロキシルを含有するモノアミノポリ
オールである。
トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン)[sic]、2−[トリス(ヒド
ロキシメチル)メチルアミノ]エタンスルホン酸、3−[トリス(ヒドロキシメ
チル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸、N−[トリス(ヒドロキシメチル)
メチル]グリシン[sic]、トリス(3−ヒドロキシプロピル)メチルアミン
、グルカミン及びN−(2−ヒドロキシエチル)グルカミンのような2個以上の
脂肪族的に結合したヒドロキシルを有するモノアミノポリオール、又はN,N′
−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのようなジアミノジオール及
びジ第一級ポリエーテルジアミン及びポリエーテルジアミン1モル当たり、2モ
ルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドが反応
した生成物、このポリエーテルジアミンとアルキレンオキシドの反応条件は2個
の第二級アミノを有するN,N′−ビス(ヒドロキシアルキルアミン)[sic
]誘導体を高選択性をもって生成するように選択される、ものも適当である。ポ
リエーテルジアミンの例は、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4
,11−ジオキサテトラデカン−1,14−ジアミン、MWが200〜300で
あるα−(2−アミノメチルエチル)−ω−(2−アミノメチルエトキシ)ポリ
[オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)]、及びMWが300〜3000で
あるα−(3−アミノプロピル)−ω−(3−アミノプロポキシ)ポリ[オキシ
(1,4−ブタンジイル)]である。
同様に、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノ
ールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシルエタノールアミ
ン、N−tert−ブチルエタノールアミン、ロイシノー
ル、イソロイシノール、バリノール、プロリノール、ヒドロキシエチルアニリン
、2−(ヒドロキシメチル)−ピペリジン、3−(ヒドロキシメチル)ピペリジ
ン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、2−アミノ−2−フェニルエタ
ノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、エフェドリン、p−ヒドロキシ
エフェドリン、ノルエフェドリン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セリン、
イソセリン、フェニルセリン、1,2−ジフェニル−2−アミノエタノール、3
−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2
−メチル−1−プロパノール、イソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパ
ノールアミン、2−アミノ−3−フェニルプロパノール、4−アミノ−1−ブタ
ノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノイソブタノール、ネオペンタ
ノールアミン、2−アミノ−1−ペンタノール、5−アミノ−1−ペンタノール
、2−エチル−2−ブチル−5−アミノペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサ
ノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノー
ル、3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−
アミノベンジルアルコール、3−アミノベンジルアルコール、2−アミノ−5−
メチルベンジルアルコール、2−アミノ−3−メチルベンジルアルコール、3−
アミノ−2−メチルベンジルアルコール、3−アミノ
−4−メチルベンジルアルコール、3−アミノメチルベンジルアルコール、1−
アミノエチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール、2−(4−アミノフェニル
)エタノール、2−(2−アミノフェニル)エタノール、1−(3−アミノフェ
ニル)エタノール、セリン[sic]、ホモセリン、スレオニン、エタノールア
ミン酢酸、4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、N−(2−ヒドロキシエチル)グ
リシンニトリル、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン及び1−アミノ−4
−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−ヒドラジノエタノールのような唯
一個の脂肪族的に結合したヒドロキシルを有するモノアミノポリオール又はN−
(2−アミノエチル)エタノールアミン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ
)エチル]ピペラジン及び1,3−ジアミノ−2−プロパノールのようなジアミ
ノモノオールも同様に使用し得る。
全単量体(c)の量に基づいて、50モル%以下の、特に好ましくは20モル
%以下の、モノアミノモノアルコール又はポリアミノモノアルコールから製造さ
れる式(I)の化合物の使用も好ましい。
少量使用されるモノ−又はポリアミノモノアルコールを含む単量体(c)は、
例えばポリウレタン合成の間の粘度を調節するのに役立つ。
式Iの好ましい付加物は、R1,R2及びR3が水素であるジケテンと式(Ia
)の化合物の付加物であ
る。
式(I)の化合物は、例えば、ドイツ特許第1142859号明細書又は英国
特許第715896号明細書においてアセト酢酸アミド誘導体に対して記載され
た態様にて製造し得る。
さらに、分子量が300〜5000のカルボニルを含有するポリエステルポリ
オールであって、例えば
x) 脂肪族炭素に結合しており、そして置換基R5及びR6及び所望によりR7
により所有されるヒドロキシル基の合計が2である式Iの化合物(化合物Ia)
と
y) 所望により、62〜500g/モルの分子量を有する化合物(Ia)以外
のジオール(ジオールy)を
z) ジカルボン酸と、
化合物(Ia)とジオール(y)の合計のジカルボン酸に対するモル比が2:1
から1.05:1にして、重縮合させて得られるもののような、式(I)の化合
物(縮合物I)に由来する構造元素を含む縮合生成物も成分(c)として適して
いる。
好ましいジオール(y)及び好ましいジカルボン酸(z)は、ポリエステルジ
オール(b1)を合成するためにも使用される化合物である。
縮合物(I)を製造するため、好ましくは少量で、単官能性及び/又は二官能
性以上のアルコール又はカ
ルボン酸を使用することも、同様に可能である。かかる縮合物(I)の製造法は
公知であり、例えば、米国特許第5,321,118号明細書に記載されている
。
単量体(d)は、成分(b)及びジオール(c)とは異なり、一般的には架橋
又は連鎖拡張のために作用する。一般に、これらはトリ−又はそれより高い官能
性をもつ非芳香族アルコール、2以上の第一級及び/又は第二級のアミノ基をも
つアミン及び1以上のアルコール性のヒドロキシルに加えて1以上の第一級及び
/又は第二級アミノを有する化合物である。
三価又はそれ以上のアルコールで、一定量の架橋又は分枝を形成させるために
使用されるものの例は、トリメチロールプロパン、グリセロール及びショ糖であ
る。
考えられる他のものは、ヒドロキシルに加えてイソシアナート反応性の基、例
えば1以上の第一級及び/又は第二級のアミノを有するモノアルコールである;
一例はモノエタノールアミンである。
連鎖拡張又は架橋が水の存在下で生じる時は、アミンは一般にアルコールや水
よりも一層早くイソシアナートと反応するから、2以上の第一級及び/又は第二
級のアミノを有するポリアミンが特に使用される。架橋したポリウレタン又は高
分子量のポリウレタンの水性分散液が望ましい場合には、このことはしばしば必
要になる。この場合、イソシアナート基含有プレポリマーが製造され、速やかに
水中に分散され、次に2以上のイソシアナート−反応性のアミノ基を有する化合
物を添加することにより架橋され又は連鎖拡張される操作が続く。
この目的に適しているアミンは、一般には多官能性であり、32〜500g/
モル、好ましくは60〜300g/モルの分子量範囲のものであり、そして少な
くとも2個の第一級、2個の第二級又は1個の第一級と一個の第二級アミノ基を
有するものである。この実例はジアミノエタン、ジアミノプロパン、ジアミノブ
タン、ジアミノヘキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、アミノ−
3−アミノメチル−3,5、5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミ
ン、IPDA)、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミ
ノシクロヘキサン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン又はヒドラジン
水和物のようなジアミン、又はジエチレントリアミン又は1,8−ジアミノ−4
−アミノメチルオクタンのようなトリアミンである。
アミンは、ブロックされた形状で、例えば相応のケトイミンの形態(カナダ国
特許第1129128号明細書を参照)、ケトアジン(米国特許第426974
8号明細書参照)又はアミン塩(米国特許第4292226号明細書参照)とし
て使用することもできる。
加えて、例えば米国特許第4192937号明細書で使用されているオキサゾリ
ジンは、マスクされたポリアミンを構成し、これは新規なポリウレタンを製造す
る際に、プレポリマーの連鎖を拡張するために使用することができる。かかるマ
スクされたポリアミンが使用される時は、これらは一般に水の非存在下でプレポ
リマーと混合して混合物を形成させ、次にこれを分散用の水又は分散用の水の一
部と混合し、そのようにして相応のポリアミンを加水分解により放出させる。
ポリウレタンはポリアミンを好ましくは含有しないか、又は成分(b),(c
)及び(d)の全量に基づいて、単量体(d)として、1〜10モル%、特に好
ましくは4〜8モル%の少なくとも2個のイソシアナート−反応性のアミノ基を
有するポリアミンを含有する。
さらに、連鎖停止剤として、少量の、即ち、成分(b)及び(d)に基づいて
、好ましくは10モル%以下のモノアルコールが使用される。その機能は、一般
には、モノイソシアナートのそれと同様であり、即ち、基本的には遊離基的に重
合可能なC=C二重結合を有するポリウレタンを官能化することである。
さらに、連鎖停止剤として、少量の、即ち成分(b)及び(d)に基づいて、
好ましくは10モル%以下の量のモノアルコールが使用される。この機能は、一
般にはモノイソシアナートのそれと同様であり、即ち
、基本的には遊離基的に重合可能なC=C二重結合[sic]を有するポリウレ
タンを官能化することである。
ポリウレタンを水分散性とするために、これは一般には成分(a)〜(d)の
みならず、成分(a)〜(d)とは異なる単量体(e)から構成され、この単量
体は少なくとも一種のイソシアナート基又は少なくとも一種のイソシアナート−
反応性の基及び、これに加えて、少なくとも一種の親水性基又は親水性の基に転
換し得る基を有するものである。以下の本文において、“親水性基又は潜在的に
親水性の基”という用語は、“(潜在的に)親水性基”と略称される。(潜在的
に)親水性基は、重合体の主鎖を合成するために使用される単量体の官能性の基
よりも実質的に一層ゆっくりとイソシアナート基と反応する。成分(a)〜(e
)の全量に対する(潜在的に)親水性基を有する成分の割合は、一般には(潜在
的に)親水性の基のモル量が、全ての単量体(a)から(e)の重量に基づいて
30〜1000ミリモル/kg、好ましくは50〜500ミリモル/kg、そし
て特に好ましくは80〜400ミリモル/kgであるようなものである。
(潜在的に)親水性基は非イオン性の、又は好ましくは(潜在的に)イオン性
の親水性基を含むことができる。
適当な非イオン性の親水性基は、特には、好ましく
は5〜100、特に好ましくは10〜80個のエチレンオキシド繰り返し単位を
含むポリエチレングリコールエーテルである。ポリエチレンオキシド単位の含量
は、一般には、すべての単量体(a)から(e)の重量に基づいて0〜10重量
%、好ましくは0〜6重量%である。
非イオン性の親水性基を含む好ましい単量体は、末端がエーテル化されたポリ
エチレングリコール基を有するジイソシアナートとポリエチレングリコールの反
応生成物である。この種のジイソシアナート及びこれを製造する方法は、米国特
許第3905929号及び第3920598号明細書に示されている。
イオン性の親水性基は、特には、アルカリ金属又はアンモニウム塩の形態であ
る、スルホネート、カルボキシレート及びホスフェートのような陰イオン性基及
び、さらに、アンモニウム基、特にはプロトン化された第三級アミノ基又は第四
級アンモニウム基のような陽イオン性基である。
潜在的にイオン性の親水性基は、特には、単純な中和、加水分解又は第四級化
反応により上述のイオン性の親水性の基に変換し得るものであり、その実例は、
それゆえ、カルボキシル、第三級アミノ又は無水の基である。
(潜在的に)イオン性の単量体(e)は、例えば、
4版、第19巻、第311〜第313頁及びドイツ国特許第1495745号明
細書に詳細に記載されている。
(潜在的に)陽イオン性の単量体(e)として実際に特に意味のあるものは、
第三級アミノ基を有する単量体であり、その例としては、トリス(ヒドロキシア
ルキル)アミン、N,N′−ビス(ヒドロキシアルキル)アルキルアミン、N−
ヒドロキシアルキルジアルキルアミン、トリス(アミノアルキル)アミン、N,
N′−ビス(アミノアルキル)アルキルアミン及びN−アミノアルキルジアルキ
ルアミンであり、ここでそれぞれアルキル及びアルカンジイルは独立してC−原
子数2〜6の基である。考えられる他のものは、第三級窒素及び好ましくは2個
の末端ヒドロキシルを含有し、例えばアミンの窒素に結合した2個の水素を有す
るアミン、例えばメチルアミン、アニリン又はN,N′−ジメチルヒドラジンを
それ自体公知の方法でアルコキシ化することにより得られるポリエーテルである
。この種のポリエーテルは、一般には500〜6000g/モルの分子量を有す
る。
これらの第三級アミンは、酸、好ましくはリン酸、硫酸又はハロゲン化水素酸
のような強い鉱酸又は強い有機酸によるか、又はC−原子数1〜6のアルキルハ
ライド、例えばブロミド又はクロリドのような適当な第四級化剤との反応により
アンモニウム塩に変換させ
る。
(潜在的な)陰イオン性基を有する適当な単量体は、通常、少なくとも1個の
アルコール性のヒドロキシル基又は少なくとも1個の第一級又は第二級のアミノ
基を有する脂肪族、環式脂肪族、芳香脂肪族又は芳香族カルボン酸又はスルホン
酸である。好ましいのは、米国特許第3,412,054号明細書にそれ自体記
載されているように、ジヒドロキシアルキルカルボン酸、殊に3〜10個の炭素
原子をもつものである。特に好ましいのは、次式
[式中、Ra及びRbはそれぞれC−原子数1〜4のアルカンジイルであり、そし
てRcはC−原子数1〜4のアルキルである]の化合物、特にはジメチロールプ
ロピオン酸(DMPA)である。
相応のジヒドロキシスルホン酸及び2,3−ジヒドロキシプロパンリン酸のよ
うなジヒドロキシリン酸も適当である。
さらに、ドイツ国特許第3911827号明細書から公知のように、500〜
10,000g/モルの分子量及び少なくとも2個のカルボキシレート基をもつ
ジヒドロキシ化合物も適当である。これらは、ジヒドロキシ化合物をジ無水ピロ
メリト酸又はジ無水シクロ
ペンタンテトラカルボン酸のようなジ無水テトラカルボン酸を2:1〜1.05
:1のモル比で重縮合反応させて得ることができる。特に適当なジヒドロキシ化
合物は連鎖拡張剤として記載された単量体(b2)及びポリオール(b1)であ
る。
イソシアナート反応性のアミノ基を含有する適当な単量体(e)は、リジン、
β−アラニン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンカルボン酸のよう
なドイツ特許第2034479号明細書に示されているα,β−不飽和のカルボ
ン酸と脂肪族ジ第一級ジアミンの付加物、及びアルカンジイルが2〜6個の炭素
原子である相応のN−アミノアルキル−アミノアルキルカルボン酸である。
潜在的にイオン性の基が使用される場合、それらは、イソシアナート重付加の
前、その間又は、好ましくはその後でイオン性の形状のものに変換することがで
きる。というのは、イオン性の単量体はしばしば反応混合物に溶解させることが
困難であるからである。特に好ましいものは、カルボキシレート基がカウンター
イオンとしてアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを有する、塩の形態の
ものである。
ポリウレタン化学の領域において、相互に反応性の単量体及び1分子当たりの
反応性官能基の数の数学的平均値を選択することにより、どのようにしてポリウ
レタンの分子量を調節することができるかということ
は一般に公知である。
通常、成分(a),(b),(c),(d)及び(e)並びにそれらのモル比
は、
A) イソシアナート基のモル量及び
B) ヒドロキシル及び付加反応によりイソシアナートと反応し得る官能基のモ
ル量の合計
の間の比A:Bが0.5:1から2:1、好ましくは0.8:1から1.5:1、
特に好ましくは0.9:1から1.2:1、そして極めて特に好ましくは1:1に
出来る限り近くなるように選択される。
成分(a),(b),(c),(d)及び(e)に加えて、一般に成分(a)
〜(e)の全量に基づいて15モル%までの、好ましくは8モル%までの量で、
唯一の反応性基をもつ単量体が使用される。
成分(a)〜(e)の重付加反応は、一般には大気圧下又は自然発生圧力下で
、20〜180℃、好ましくは50〜150℃で実施される。
必要な反応時間は2〜3分から数時間に亘る。ポリウレタン化学の分野におい
ては、反応時間は温度、単量体の濃度及び単量体の反応性といった種々のパラメ
ーターにより如何に影響を受けるかということは公知である。
ジイソシアナートの反応は、ジブチルスズジラウレート、スズ(II)オクトエ
ート及びジアザビシクロ[2.2.2]オクタンのような常用の触媒を使用して促
進させることができる。
特に、低粘性及び良好な熱放散を与えるために溶媒が使用される場合には、適
当な重合装置には撹拌容器が含まれる。溶剤が存しない反応においては、通常の
高粘性及び通常の短時間の反応時間は、押出器、殊にセルフクリーニングマルチ
スクリュー押出器の使用が適当である。
分散液は、通常、以下の手法の一つにより製造される:
アセトン手法によれば、陰イオン性のポリウレタンは大気圧において100℃
以下で沸騰する水−混和性の溶剤中で成分(a)〜(e)から製造される。十分
量の水が分散液を形成させるために添加され、この分散液中で水は凝集(cohere
nt)層となる。
プレポリマー混合手法は、製造された当初の生成物は完全に反応した(潜在的
に)陰イオン性のポリウレタンではなくて、イソシアナート基を有するプレポリ
マーであるという点でアセトン手法とは異なる。この場合、成分(a)〜(d)
は、上記のA:Bの割合が1.0以上3まで、好ましくは1.05から1.5であ
るように選択される。このプレポリマーは最初に水中に分散され、次にイソシア
ナート基を2個以上のイソシアナート−反応性のアミノ基を有するアミン又は2
個以上のイソシアナート−反応性のアミノ基を有するアミンを使用して拡張され
た鎖状物のいずれかを反応
させることにより架橋させる。鎖の拡張はアミンが添加されない場合にも生ずる
。この場合、イソシアナート基は加水分解されてアミノ基となり、これは鎖を拡
張しながらプレポリマーの残りのイソシアナート基と反応する。
アセトンの及びプレポリマー混合手法の特に好ましい変法は、プレポリマーを
2段階で製造することであり、最初の段階で、成分(c)及び、使用される場合
には(b2)及び成分(a)の一部を、成分(a)の実質的にすべてのイソシア
ナート基が反応するまで、互いに反応させる。この反応の進行は、例えば、残留
NCO基の数を測定することによりNCO値を測ることにより確認できる。その
次の工程において、残留成分を互いに反応させてプレポリマーを形成させ、そし
てこれが行なわれるか、又は否かのどちらかにおいて、これを(a),(c)及
び使用される場合には(b2)から成る反応混合物に添加して、反応を続ける。
ポリウレタンを製造する際に溶剤が使用された場合、大部分の溶剤は、例えば
減圧下で残留を実施することにより、通常分散液から除去される。分散液は好ま
しくは10重量%以下の溶剤含量を有し、特に好ましくは溶剤を含有しない。
分散液は、一般には10から75重量%、好ましくは20〜65重量%の固体
含量を有しており、その粘度は(250s-1の剪断速度で20℃にて測定して
)10から500mPasである。
通常、この新規な水性分散液は多価の金属イオンを実質的に有しない。
疎水性の助剤、これは例えばアルデヒドとフェノール及び/又はフェノール誘
導体のフェノール縮合樹脂又はエポキシ樹脂及び、例えばドイツ国特許第390
3538号、同第4309079号及び同第4024567号明細書に記載され
ている他の重合体のような完成した分散液中には均一に分散させることが困難で
あって、接着促進剤としてポリウレタンに添加しうるものを、例えば、ポリウレ
タン中に又は上記2個の文献に記載されている方法に従って、分散させる前にお
いてさえもプレポリマー中に添加することができる。適当な疎水性の助剤の例は
、ドイツ国特許第3903538号、同第4024567号及び同第43090
79号明細書に特定されている。
本発明の変法において、新規なポリウレタン分散液は、C=C二重結合を有す
るがイソシアナート基又はイソシアナート−反応性基を有しない遊離基重合可能
な単量体(単量体f)で修飾することができる。
適当な単量体(f)はC−原子数1〜6のアルキル(メタ)アクリレート及び
ラウリルアクリレート及びブタンジオールジアクリレート、又はカルボニル含有
化合物、例えばメチルビニルケトン、(メタ)アクロレイン、クロトンアルデヒ
ド、ジアセトン(メタ)ア
クリルアミド又はジアセトン(メタ)アクリレートである。
他の単量体の例は、ビニルラウレート、ステアレート、アセテート及びプロピ
オネートのようなC−原子数2〜20のカルボン酸のビニルエステル、スチレン
及びビニルトルエンのようなC−原子数20までのビニル−芳香族化合物、アク
リロニトリル及びメタアクリロニトリルのようなエチレン性不飽和のニトリル、
アクリルアミド及びメタアクリルアミドのようなエチレン性不飽和のアミド、塩
化ビニルのようなビニルハライド及びビニリデンクロリド及びブタジエン及びエ
チレンのような1又は2個のC=C二重結合を有するC−原子数2〜8の脂肪族
炭化水素である。
単量体(f)は、ポリウレタン(A)の合成の間に、ポリウレタン(A)又は
ポリウレタン(A)を含有する水性分散液の分散の前に添加することができ、ポ
リウレタン分散液と単量体(f)の混合物に遊離基開始剤を添加することにより
、常法により遊離基重合させることができる。
もしポリウレタン上に単量体(f)から形成される重合体をグラフト化するこ
とが望ましい場合には、ポリウレタンを合成する時に遊離基的に重合可能なC=
C二重結合を含む単量体を用いることが助言しうる。
ポリウレタン(A)を架橋するために、水性分散液は通常これに、式(I)の
化合物に由来する構造単位
と付加又は縮合反応する官能性置換基を含む架橋剤(B)が添加される。かかる
架橋剤(B)の例は、少なくとも1個のアルデヒド基又は第一級アミノ、第二級
アミノ、ヒドラジン基、ヒドラジド基、アミノオキシ基、イソシアナート基、N
−メチロール基及び保護されたイソシアナート基から成る群より選ばれた少なく
とも2個の官能性置換基を有する化合物である。
適当なポリアミンの例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、1,6−ヘキサン
ジアミン、1,12−ドデカンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジ
ン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、トリレ
ンジアミン、キシリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、メタ
ンジアミン及びm−キシリレンジアミンのような非重合性アミンである。反応性
アミノ化合物は、又、例えばアミノ含有アクリル、ポリエステル又はポリウレタ
ン樹脂、アミノ含有ポリプロピレンオキシド(ジェファミン:Jeffamines)、又
はポリエチレンイミンのような重合体とすることができる。
これらのアミンは、又ブロックされた形状で、即ち、それらのアルジミン又は
ケチミンの形状で使用することができる。これらのブロックされたアミンは公知
であり、例えば、K.J.Kim 及び R.C.Williamsの“Pro
ceedings of the annual Water-Borne and Higher Solids Symposium,New Orlea
ns,57,(1993)”及びB.Vogt-Birnbrichの“Proceedings of the 21st Internatio
nal Conference in Organic Coating,Athens,55,(1995)”及びヨーロッパ特許第
552469号明細書及びヨーロッパ特許第584818号明細書に記載されて
いる。好適なものは、ベンズアルデヒドのような芳香族アルデヒドにより保護さ
れたアミンを使用することである。
適当なポリヒドラジンの例は、例えば、ヨーロッパ特許第442652号明細
書、第11頁第52行から第12頁第1行に記載されているジカルボン酸ジヒド
ラジドである。これらは、好適には成分(b1)として使用することのできるポ
リエステルジオールのためのベースとも成るジカルボン酸に由来する。さらに、
相応のポリヒドラゾン誘導体、例えばアセトン又はブタノンに由来するものも使
用することができる。
高められた水溶性をもつ他の適当なポリヒドラジドは、例えば、ヨーロッパ特
許第629657号明細書に記載されている。
他の適当な架橋剤(B)はトランスイミネーションを通じて架橋効果を有する
ポリイソシアナートである。かかる化合物は、例えば、ドイツ国特許第4121
946号明細書に記載されている。
アミノオキシ基を含有する架橋剤、これはその塩の
形態で使用しうるが、これはヨーロッパ特許第516074号明細書及びドイツ
国特許第4219384号明細書から公知である。
他の架橋剤の選択は、モノ−又はポリ官能性のアルデヒド、これは所望により
保護されていてもよい、を新規な分散液中に添加することである。
適当なモノアルデヒドの例は、式X−R9−CHO、式中、R9はC−原子数1
〜6のアルカンジイルであり、Xは水素又はヒドロキシカルボニルである化合物
である。好適なアルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズ
アルデヒドである。
適当な多官能性のアルデヒドは、低分子量化合物、殊に式 OCH−(CH2
)n−CHO、ここでnは0〜8の整数であり、好ましくは0〜4である、であ
り、例えばグリオキサール、又はグルタルアルデヒドである。
エチレン性不飽和で、遊離基重合可能なアルデヒドのオリゴマー、重合体、共
重合体も、又、架橋成分として使用することができる。このような例として、ア
クロレイン、メタアクロレイン、ホルミルスチレン及びヒドロキシメチルフルフ
リル(メタ)アクリレートである。もし十分に水溶性でない場合には、かかる成
分は分散液の水相に分散させ、この分散液を結合剤として使用する時にフィルム
形成に参加させることができる。好ましい例は、重量平均分子量が1000〜5
00,000である、この種のオリゴマー性又は重合性架橋成分である。
保護されたアルデヒド基を有する誘導体は、その反応性が遊離のアルデヒド基
それ自体の反応性と比較し得るものであると理解される。かかる例は、アセター
ル、メルカプタール及びメルカプトール、ジオキソラン及びジチオランである。
好適なものは、アセタール及びアルデヒド基がC−原子数1〜4のアルカノール
又はC−原子数2〜3のアルカンジオールと反応して形成されるジオキソランで
ある。
保護されたアルデヒド官能性を有する不飽和の単量体の例は、ジエトキシプロ
ピルアクリレート及びメタアクリレート、及びアクリロイル−又はメタアクリロ
イルオキシプロピル−1,3−ジオキソランである。
他の適当なアルデヒド誘導体は、置換又は未置換の芳香族又は複素芳香族アル
デヒドをモノ−又は多官能性の第一級アミンと反応させて得られるアルジミン化
合物である。かかる化合物は一般的知識の一部となっており、例えば、ヨーロッ
パ特許第552469号明細書(A3)及び米国特許第5,451,653号明細
書に記載されている。
架橋は、又、ミカエル受容体方法により生じさせることができ、この種の適当
な化合物は一般に知られており、そしてドイツ国特許第4237492号明細書
に記載されている。
ミカエル付加による架橋は、一般的には、ドイツ国特許第4237492号明
細書に記載されている適当なルイス又はブレンステッド塩基である触媒の存在下
で実施される。
化合物(A)及び(B)は、化合物(B)の官能性置換基に対して式(I)の
化合物に由来する構造単位のカルボニル基のモル比が0.1:1から10:1、
好ましくは1.5:1から0.5:1となるように選ばれる。
他の適当な架橋剤(B)は、例えばD.H.Solomon,The Chemistry of Organic F
ilm Polymers,第235頁以降John Wiley & Son,New York,1967に記載され
ているメラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物である。これらは、好ましくは、
好適には250〜1000の分子量を有するメラミン−ホルムアルデヒド縮合樹
脂、特に好ましくは一部又は全部がエーテル化されている誘導体である。エーテ
ル化の程度は、好ましくは、可能な全量に基づいて少なくとも45%である。メ
ラミン−ホルムアルデヒド縮合物はC−原子数1〜4のモノアルコール、例えば
メタノール、エタノール、プロパノール又は好適にはブタノールにより、及び/
又は全部で2〜7個の炭素を有するジオールのモノエーテルでエーテル化されて
いるものである。
しかしながら、メラミン−ホルムアルデヒド縮合生成物は、又、例えば、Meth
oden der Organischen Che
mic(Houben-Weyl)第1412巻、第2部、第4版、Georg Thieme Verlag,Stuttg
art,1963,第319頁に記載されているような、他の架橋用アミノ樹脂で一部置
換することもできる。
他の架橋剤の選択は、ポリイソシアナートである。特に適当なイソシアナート
化合物は、一般には公知であり、商業的に入手可能な固体の多いイソシアナート
、親水性化した(hydrophilicized)及び/又は保護されたイソシアナート(ド
イツ国特許第4216536号明細書参照)である。
適当なイソシアナートは、ポリウレタンを合成するために使用される、単量体
(a)として記載したものである。これらの中で、特に好ましいものは、2個以
上のイソシアナート基を有する多官能性のイソシアナートである。
適当なイソシアナートのブロッキング剤の例は、アルコール及びオキシム、例
えばアセトンオキシム又はメチルエチルケトオキシムである。
他の可能な架橋剤(B)は、ドイツ国特許第4237030号、同第3345
448号明細書、国際特許出願公表第WO93/01245号明細書及び米国特
許第5358997号明細書に記載されているような、オキシム−保護イソシア
ナート基を有する重合性の樹脂である。
ポリイソシアナートを有する新規な水性分散液中に
存在するポリウレタン(A)の架橋は、通常第三級アルキルアミンのような塩基
性触媒の存在下で起こる。
ブロックされていないイソシアナート及びアルジミンを除いて、新規な分散液
は一般には処理する前に、所望の時はいつでも架橋剤と混合される。同様に水に
分散させる前においてさえも、ポリウレタン(A)に架橋剤を添加することが同
様に可能である。
この新規な分散液は付加的に、重合体、ポリウレタン、ポリエステル、エポキ
シ又はアルキッド樹脂のような水−乳化可能な又は水−分散可能な樹脂及び褐色
着色剤、消泡剤、乳化剤、濃化剤、流展剤及びチキソトロピー剤のような常用の
助剤及び添加剤及び染料並びに顔料のような着色剤を含んでもよい。
架橋剤(B)がアルデヒド、第一級又は第二級アミノ−、ヒドラジン−、アミ
ノオキシ−、ヒドラジド−又はケトオキシム−ブロックイソシアナート基を含有
する化合物であるか、又はアミノ樹脂構成システムである場合には、新規な分散
液は、一成分系に関するものである。というのは、それらはその調製に続いて所
望の時はいつでも処理することができるからである。
ブロックされていないイソシアナート基を有する化合物が架橋剤(B)として
添加された新規な分散液は二成分系として言及される。というのは、相応の混合
物が処理される限定された時間(約8時間)のために、混合は通常、分散液の使
用者により実施されるから
である。
こうして製造されたコーティング組成物は、一般には、塗装産業において常用
の手法、例えば、ローリング、スプレー、スプレッティング、注入、及び浸漬に
より基材物質に適用させることができる。
コーティング物質のその後の乾燥又はキュアリングは、冷キュアリング(即ち
0〜80℃、好ましくは室温)又はストーブ加熱(即ち80〜280℃)のいず
れかにより実施される。
冷キュアリングに特に適した架橋剤は、アルデヒド、アルジミン、第一級又は
第二級アミノ、ヒドラジン、アミノオキシ又はヒドラジド基を含有するものであ
る。
これらの系において架橋を生ずる重付加又は重縮合反応[sic]は、多量の
割合の水が蒸発するときにのみ、生じる。それゆえ、コーティング組成物は結合
剤及び架橋剤を有する一成分系を構成する。
冷キュアリングは、又、遊離のイソシアナート基を含有する架橋剤(B)の存
在下でも実施することができる。この種の処理においては、新規な分散液を物品
に適用することは、架橋剤を混合してから約8時間以上経過する前に実施される
べきである。
冷キュアリングは、使用する架橋剤(B)が(複素)芳香族のアルジミン基を
含有する場合は、同様に実施し得る。この場合、組成物に依存して、新規分散液
の貯蔵時間は1時間から数週間に亘る。
コーティングがストーブ加熱により処理される場合には、特に適当な架橋剤は
上述のアミノ樹脂、ブロックされた及び非ブロックのポリイソシアナート及びミ
カエル受容体である。
架橋剤が存在しない場合であっても、ストーブ加熱の条件下では一定の程度の
ポリウレタンの架橋が生ずる。これは、特に架橋が第三級アミン、例えば1,8
−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)のような、ドイツ国
特許第4237492号明細書に記載されたルイス又はブレンステッド塩基の存
在下で生じるケースである。
新規なコーティング組成物は、木材、金属、プラスチック、紙、皮革及び織物
をコーティングするために、成形物及び印刷用インキを製造するために、及び粘
着剤として特に適している。
新規な分散液の特徴は、比較的少量の又は全く流展剤を有していないものであ
ってさえも、処理すると高品質のコーティング仕上げを与えるということである
。
さらに、この新規な分散液は冷キュアリング及びストーブ加熱の両方の方法に
より、一成分及び二成分系の両方の場合で処理し得る。このことは、異なる方法
に対してほんの少数のポリウレタン分散液を貯蔵する必要があるにすぎないから
、この合計4個の処理の変
法の2以上を用いる処理者にとっては有利である。
さらに、ポリウレタン(A)を含む水性分散液は、著しく印刷用インキを製造
するのに適している。
これらの印刷用インキは、好ましくは次のものを含む:
(I) 15〜30重量%の本質的にポリウレタン(A)及び架橋剤(B)から
成る結合剤
(II) 7〜15重量%の顔料
(III) 2〜5重量%の溶剤として適当なアルコール
(IV) 4.5〜10重量%の常用の添加剤
(V) 45〜70重量%の水。
架橋剤(B)としては、好適には、詳述したポリヒドラジドを上述の割合で使
用する。
常用の添加剤は、印刷用インキにおいて一般に使用される助剤及びアジュバン
ト、即ち、例えば、ワックス、消泡剤、分散剤、湿潤剤及びミクロシド(microc
ide)[sic]である。
その他の場合には、印刷用インキで使用される成分(ii)[sic]から(V
)[sic]は、公知の、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Che
mistry、第5版、第A22巻;1993 VCH Publishers,Inc.第143〜1
55頁から公知のインキで使用されるものである。
これらの印刷用インキは、30〜50、好ましくは35〜40、特に好ましく
は37〜39(mN/m、
23℃で水にて測定)の表面張力を有する、ポリエチレン又はポリプロピレンフ
ィルムのような重合体フィルムを印刷するのに適している。印刷は常用の手法(
上記引用物、第145〜146頁を参照)により行なうことができる。
上述の表面張力を有する重合体フィルムはコロナ(corona)処理された市販の
フィルムである。
推奨した基材と組み合わせることにより、これらの印刷用インキは良好な湿潤
特性を示す。印刷されたフィルムは、通常の機械的ストレス及び溶剤に対して抵
抗性である。
略語及び商標:
ADDH:アジピン酸ジヒドラジド
化可能なイソシアナート架橋剤
ワックス分散液
テアリン酸のジケテン
BD−1,4:BASFから提供される1,4−ブタンジオール
BHAA:ジエタノールアミン1モルとジケテン1モルの付加物
DAAM:ジアセトンアクリルアミド
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウン
デ−7−セン
DETA:BASFから提供されるN−(2−アミノエチル)−1,2−エタン
ジアミン
DMEA:BASFから提供される2−ジメチルアミノエタノール
DMPA:Angus Chemieから提供されるジメチロールプロピオン酸
SC:蒸留後に測定された重量%での固体含量
anat)IPDI/イソホロンジイソシアナート
自動架橋性重合体
MEK:メチルエチルケトン
MW:分子量
Neutral.1:ポリウレタンのイオン性基の中和剤
Neutral.2:Neutral.1と同様
NMP:N−メチルピロリドン
NCD:ADDHと加えたBHAAの反応から生ずる理論的架橋密度(ミリモル
/kg固体)
PD−1,3:1,3−プロパンジオール
ングリコール
P−THF 2000:BASFから提供されるポリテトラヒドロフラン2000
PUD:ポリウレタン分散液
TEA:トリエチルアミン
TMP:トリメチロールプロパン
VCD:DETAとイソシアナート基の反応から生じる理論的架橋剤密度(ミリ
モル/kg固体で)
れる青色の顔料ペースト
実施例
式Iの化合物の合成例
化合物Ia
ジエタノールアミン231.3g(2.22モル)、テトラヒドロフラン100
0ml及びピリジン25gから成る当初充填物に、25℃で1時間かけてジケテ
ン168.14g(2モル)を添加した。過剰のジエタノールアミン及びピリジ
ンはイオン交換体(Lawatit)[sic]100G1、強酸性)を添加して除き
、そして濾過した。脱ガスした透明な溶液にトリフェニルホスフィン2.7gを
添加し、溶剤を回転蒸発器で除去した。淡黄色の液体341.09g(90.14
%の理論量)が分離した。分析データ(1C−及び1H−NMR)は95%以上の
純度であることを示している。生成物中には出発物質は検出されず、トリフェニ
ルホスフィンオキシドが存在している。
化合物Ib
ジエタノールアミン749.5g(7.129モル)及びテトラヒドロフラン1
250mlの当初充填物に
、25℃で90分かけて、ジケテン599.4g(7.129モル)を添加した。
引き続き、テトラヒドロフランを蒸留して除去した。粘性で淡黄色の油状物が分
離し、これを秤量すると1354.4gであった(理論量1348.9g)。13C
−及び1H−NMRスペクトルで生成物の構造は確認され、純度は少なくとも9
5%を示している。出発物質は検出されなかった。
化合物Ic
化合物Ibについて記載した方法を使用して、ジケテン261g(3.105
モル)をアセトン1000ml中でジエタノールアミン326.4g(3.104
モル)と反応させた;しかしながら、反応は15℃で実施し、ジケテンは15分
かけて添加した。アセトンを除去すると、低粘性の淡黄色−橙色の油状物596
.9g(理論量587.4g)が分離した。NMRスペクトルにて生成物の構造を
確認した。出発物質は検出されなかった。
化合物Id
ジエタノールアミン707.2g(6.726モル)とメチルエチルケトン84
8.4gの当初充填物に15℃で2時間かけてジケテン565.4g(6.726
モル)を添加した。続いて、この溶液を40℃に加温し、イソホロンジイソシア
ナート996.79g(4.484モル)とジブチルスズジラウレート0.5ml
をキシレン中50%濃度の溶液として添加し、そしてこ
の混合物を85℃で4時間反応させた。イソシアナート含量の減少を赤外線スペ
クトル(約2270cm-1でのイソシアナートシグナル)によりモニターした。
化合物Ie
化合物Ibについて記載した方法を使用して、THF2422g中でジケテン
1614g(19.2モル)をジエタノールアミン2018.6g(19.2モル
)と反応させた。この際、当初充填物のTHF及びジエタノールアミンは0℃に
冷却し、ジケテンの添加は約2時間30分かけた。続いて減圧下の蒸留により多
量の溶剤を除去した。所望の生成物、これは依然として溶剤の残留物を含んでい
る、は2400mPa.sの粘度の淡黄色の油状物の形態で分離された。
カルボニル基を有するポリウレタン分散液の合成実施例
化合物II
第一段階で、プルリオール(Pluriol)P600をアミノ化した:プルリオー
ル150ml/時とアンモニア450ml/時を50%NiO、20%CuO及
び30%ZrO2から成る触媒500mlを含有する1.2lの管状の反応器中で
反応させた。反応器の反応温度は20°〜215℃であり、圧力は200バール
であり、そして水素の量は50l/時であった。高度に揮発性の成分(水、アン
モニア)を100℃までの液相温度で1〜3ミリバールにて留去した。生成物
は以下のパラメータで特徴付けられる:全アミン数:174.1mgのKOH/
G[sic];第三級アミン数:1.3mgのKOH/G[sic];第二級ア
ミン数:6.3mgのKOH/g;ヒドロキシル基数:30.2mgのKOH/g
、及び含水量0.06重量%。
第2段階で上記のポリエーテルアミン2840gを10lの撹拌容器に充填し
た。反応器の内容物は多数回の排気及び窒素によるフラッシングにより不活性化
した。次に、プロピレンオキシド500gを105℃で計量供給した。反応終了
相を引き続いて一定圧力にし、他の容易に揮発する構成成分を除去するために、
約20分間容器を排気した。その後さらに精製する必要はなかった。生成したポ
リエーテルアミノポリオールは以下の特性を有していた:ヒドロキシル基数:2
91mgのKOH/g;アミン数:147mgのKOH/g;第三アミン数:3
6.3mgのKOH/g;第二級アミン数:102.9mgのKOH/g;含水量
0.12重量%;密度1000g/cm3;pH11.4及び粘度326mPa.s
。
最終段階において、プロポキシ化ポリエーテルアミン2640gとテトラヒド
ロフラン300gを混合し、そして冷却し、さらに0〜15℃で激しく撹拌しな
がら4時間かけてジケテン523.7g(6.23モル)を加えた。この添加が
終了したら、生成物を室温
で1時間撹拌し、次に溶剤を減圧下で除去すると依然として溶剤残留物を含む淡
黄色の油状物を得た。
化合物III
バソプラスト(Basoplast)20conc.512g(1モル)とトルエン500
gから成る40℃の当初の充填物にジエタノールアミン105.14g(1モル
)を添加した。添加が終了したら、トルエンを90〜95℃で蒸留して除去する
と、淡褐色の固体が得られた。IR分析でジケテン構造の消失を確認した。
分散液1
ポリテトラヒドロフラン(MW2000;0.067モル)133.3g、化
合物Ia13.9g(0.073モル)、ジメチロールプロピオン酸10.7g(
0.08モル)、1,4−ブタンジオール21g(0.23モル)及びメチルエ
チルケトン43.3gから成る当初充填物に、イソホロンジイソシアナート11
0.4g(0.497モル)及びジブチルスズジラウレート0.07gをキシレン
中50%の濃度として添加し、この混合物を90℃で2.5時間反応させた。生
成したプレポリマーを次にアセトン200gで希釈し、トリエチルアミン6.5
g(0.063モル)で中和した。中和する前に、イソシアナート含量は0.92
g/100g(理論量0.68%)であった。完全な脱イオン水500g及び水
16.7g中のジエチレントリアミン3g(0.029モル)の溶液を添加し、続
いてアセトンを除去すると、37.5%の固体含量を有し、pHが7.8であるオ
パールのような光彩の分散液が得られた。ケト基の理論量は245であり、理論
的な塩含量は214ミリモル/kg固体である。
分散液1a:カルボニル基を有するポリウレタン分散液と架橋剤としてのアジ
ピン酸ジヒドラジド。
アジピン酸ジヒドラジド0.82gを100gの分散液1に添加した(カルボ
ニル基に対するヒドラジドのモル比は1:1である)。
分散液1b:カルボニル基を有するポリウレタン分散液と架橋剤としてのポリ
エチレンイミン。
100gの分散液1に0.44gのポリエチレンイ
た(ケト基に対するアミノの割合は約1:1)。
分散液2:アジピン酸ジヒドラジドを直接添加した分散液1の再生物。
分散液1の製造方法にならって、400gのポリテトラヒドロフラン2000
、41.8gの化合物Ia、32.19gのジメチロールプロピオン酸、63.0
8gの1,4−ブタンジオール、331.23gのイソホロンジイソシアナート
、19.43gのトリエチルアミン及び8.94gのジエチレントリアミンから分
散液を製造した。アセトンを留去する前に、24.38gのアジピン酸ジヒドラ
ジド(78.5%純度)を添加した。固体含量36.6でpHが7.8のオパー
ルのような光彩を有する分散液が得られた。
分散液3:蒸留後にアジピン酸ヒドラジドを添加した分散液2の再生物。
分散液3を分散液2と同様にして製造したが、化合物Iaの代わりに化合物I
bを使用し、アセトンを留去する前にアジピン酸ジヒドラジドを添加した。
固体含量が36.4%、pHが7.8のオパールのような光彩を有する分散液が
製造された。
分散液4:カルボニル基を有するポリウレタン分散液。
400gのポリテトラヒドロフラン(0.2モル)、81.7gの化合物Ia(
0.43モル)、32.19gのジメチルプロピオン酸(0.24モル)、38.7
5gの1,4−ブタンジオール(0.43モル)及び130gのメチルエチルケ
トンから成る当初の充填物に、59℃で、317.89gのイソホロンジイソシ
アナート(1.43モル)及び0.2gのジブチルスズジラウレートをキシレン中
50%濃度として添加した。この混合物を92℃で5時間反応させた。次に60
0gのアセトンで希釈し、そして19.43gのトリエチルアミン(0.19モル
)で中和した。中和前のイソシアナート含量は、0.87g/100g(理論量
の0.68%)であった。完全に脱イオンした水1350g、水50g中のジエ
チレントリアミンの溶液8.94g(0.086モル)を添加し、アセトンを
続いて除去し、蒸留が終了したら、アジピン酸ジヒドラジド44.16g(84.
7%純度、0.215モル)を添加すると、固体含量40%、pH8.1のオパー
ルのような光彩を有する分散液が得られた。ケト基の理論的含量は478であり
、理論的な塩含量は214ミリモル/kg固体である。ケト基に対するヒドラジ
ド基のモル比は1:1である。
分散液4a
ADDHを添加しないで、分散液4と同様にして分散液4aを製造した。さら
にこれを固体に基づいて、0.5重量%のDBUと混合した。
分散液5:カルボニル基を有するポリウレタン分散液
400gのポリテトラヒドロフラン(0.2モル)、10.2gの化合物Ib(
0.58モル)、46.95gのジメチロールプロピオン酸(0.35モル)、9
0.12gの1,4−ブタンジオール(1モル)及び250gのメチルエチルケ
トンを含む当初充填物に、65℃で517.96gのイソホロンジイソシアナー
ト(2.33モル)及び0.2gのジブチルスズジラウレートをキシレン中50%
濃度の溶液として添加した。混合物を91℃で6時間反応させた。次にアセトン
700gで希釈し、トリエチルアミン28.33g(0.28モル)で中和した。
中和の前でイソシアナート含量は0.90g/100g(理論値の0.79%)で
あった。完全な脱イオン水1800g、水50g
中の溶液としての13.76gのジエチレントリアミン(0.13モル)を添加し
、次いでアセトンを除去し、蒸留の終わりに59.57gのアジピン酸ジヒドラ
ジド(84.7%純度、0.29モル)を添加すると、固体含量が41%、pHが
7.8のオパールのような光彩を有する分散液が得られた。ケト基の理論量は4
80であり、一方理論的の塩の含量は232ミリモル/kg固体である。
比較例1(V):カルボニル基を有しないポリウレタン分散液
分散液1についての方法に従い、400gのポリテトラヒドロフラン(0.2
モル)、32.1gのジメチロールプロピオン酸(0.24モル)、90.1gの
ブタンジオール(1モル)及び348.2gのイソホロンジイソシアナート(1.
565モル)を160[lacuna]のメチルエチルケトン中の0.2gのジブチル
スズジラウレート溶液と反応した。600gのアセトンで希釈した後で、0.8
g/100gのイソシアナート含量を測定した(理論量0.64%)。この生成
物を19.4gのトリエチルアミン(0.192モル)で中和し、1500gの完
全な脱イオン水に分散させ、水50gに溶解した8.6gのトリエチレンジアミ
ン(0.083g[sic])で架橋すると、37.5%の固体含量及び7.9の
pH、オパールのような光彩を有するポリウレタン分散液が得られた。理論的な
塩
含量は214ミリモル/kg固体であった。
比較例2(V):アジピン酸ジヒドラジドを添加しないで、ヨーロッパ特許第
32326号明細書の実施例8を繰り返した。
NMPの代わりに、溶剤としてメチルエチルケトン及びアセトンが使用された
。というのは、比較目的のために、分散液は溶剤を含有しないものとするための
である。
先ず最初に、メチルエチルケトン35.05g中で21.75gのジエタノール
アミン(0.207モル)及び35.05gのジアセトンアクリルアミド(0.2
07モル)から反応性のケト化合物を製造した。
その後のプレポリマーの合成において、オキシフレックスS1063−120
に代えて製品カパ(Capa)120を使用した。というのは、このポリエステルの
組成のより詳細な明細が与えられていなかったからである。カパ210は、10
00g/モル(例910g/モル)の分子量を有する、インタオックス(Intero
x)から提供されるポリカプロラクトンである。このプレポリマーは触媒を使用
することなく、201gのメチルエチルケトン中の400gのカパ210(0.
4モル)、付加物の溶液(0.207モル)、51.18gのDMPA(0.38
9モル)及び437.93gのイソホロンジイソシアナート(1.97モル)から
製造され、90℃で45分の後、35℃に冷却すると
、イソシアナート含量は6.88g/100g(理論値の6.83%)を有してい
た。40gのトリエチルアミン(0.395モル)で中和し、1480gの完全
な脱イオン水に分散させ、このプレポリマーを水92g中に溶解させた45.3
gのヒドラジン水和物(0.906モル)で連鎖を拡張させる。溶剤を蒸留する
とミルク状の白色で、固体含量38.3%及びpH8.1の僅かにオパールのよう
な光彩を有する分散液が得られた。この塩のグループの理論量は377であり、
一方ケト基の理論的含量は201ミリモル/kg固体である。
この分散液はそれ自体強い臭気を有し、蒸留及びその後の処理の間に、泡が増
大する傾向を示した。
比較例2a(V):比較例2(V)で得られる分散液のアジピン酸ジヒドラジド
による処理
比較例2の分散液100gにアジピン酸ジヒドラジド0.67gを添加した(
ケト基に対するヒドラジド基のモル比は1:1)。
比較例3(V):ジエタノールアミン/ジアセトンアクリルアミド付加物からの
PUDの製造
23.13gのジエタノールアミン(0.22モル)及び37.23gのジアセ
トンアクリルアミド(0.22モル)を40gのメチルエチルケトン中で85℃
にて7時間、窒素ガス下で反応させた。この溶液は、その後処理することなく使
用した。
分散液1を製造する方法に従い、0.2gのジブチルスズジラウレート溶液を
使用して、400gのポリテトラヒドロフラン(0.2モル)、60.36gのジ
エタノールアミンとジアセトンアクリルアミドの付加物(0.22モル)、32.
19gのジメチロールプロピオン酸(0.24モル)、57.68gのブタンジオ
ール(0.64モル)及び130gのメチルエチルケトン中の317.89gのイ
ソホロンジソシアナート(1.43モル)からプレポリマーを製造した。アセト
ン600gで希釈した後、イソシアナート含量は0.88g/100g(理論量
の0.68%)であった。この生成物を続いて19.43gのトリエチルアミンで
中和し、完全な脱イオン水1500gを添加して分散させた。架橋のために、8
.94gのジエチレントリアミンも添加した。溶剤を除去すると、多くの異物を
伴う白色の分散液が残った。ポリウレタンの一部が一晩で沈殿した。ケト基の理
論的含量は214ミリモル/kg固体である。
比較例4(V):ジヒドロキシアセトンからのPUDの製造
分散液1を製造する方法に従い、0.2gのジブチルスズジラウレート溶液を
使用して、130gのメチルエチルケトン中の400gのポリテトラヒドロフラ
ン(0.2モル)、19.82gのジヒドロキシアセトン(0.22モル)、32.
19gのジメチロールプロ
ピオン酸(0.24モル)、69.39gのブタンジオール(0.77モル)及び
346.79gのイソホロンジイソシアナート(1.56モル)からプレポリマー
を製造した(反応時間:4時間)。プレポリマーは褐色であった。アセトン60
0gで希釈すると、イソシアナート含量は0.79g/100g(理論量の0.6
8%)であった。生成物をトリエチルアミン19.43g(0.19モル)で中和
し、1500gの完全な脱イオン水に分散させた。続いて、水50gに溶解させ
たジエチレントリアミン8.94gを添加した。溶剤を除去すると、黄色になり
、37.1%の固体含量及び8.1のpHを有していた。ケト基の理論量は245
であり、理論的な塩の含量は214ミリモル/kg固体である。約50μmの乾
燥フィルムの厚さでガラスプレートにこの組成物をナイフによりコーティングす
ると、橙色の表面が剥離(peel)した構造を有する黄色がかったフィルムが
得られた。
比較例5(V):
プレポリマー合成のための以下の成分のものからのジエタノールアミンとジア
セトンアクリルアミド付加物から、ケト基の理論的含量が335ミリモル/kg
固体を有する分散液の製造の試みがなされた:34.7gのジエタノールアミン
と55.85gのジアセトンアクリルアミドの予備付加物をN−メチルピロリド
ン60g中で85℃にて7時間反応させた。400g
のアジピン酸のポリエステルジオール、イソフタル酸及びMWが2000である
1,6−ヘキサンジオール
0.24gのジメチロールプロピオン酸、57.68gの1,4−ブタンジオール
、90gのメチルエチルケトン、362.35gのイソホロンジイソシアナート
及び0.2gのジブチルスズジラウレート溶液を添加した。91℃で2時間後、
プレポリマーはゲル化した。このため、残りの成分(600gのアセトン、24
.3gのトリエチルアミン、1550gの完全な脱イオン水及び8.8gのジエチ
レントリアミン)は添加しなかった。
比較例6(V):ジアセトンアルコールからのPUDの製造
0.2gのジブチルスズジラウレート溶液を有するアセトン160g中の40
0gのポリテトラヒドロフラン(0.2モル)、32.19gのジメチロールプロ
ピオン酸(0.24モル)、81.11gのブタンジオール(0.9モル)、13.
42gのTMP及び393.47gのイソホロンジイソシアナート(1.77モル
)を最初に自然の圧力下86℃で4lの圧力管中にて反応させた。次に、34.
85部のジアセトンアルコール(0.3モル)を添加し、その反応を118℃で
3時間続けた。600gのアセトンで希釈した後、イソシアナート値は0.81
g/100g(理論量0.6
4%)であった。中和のために、19.43gのトリエチルアミン(0.192モ
ル)を添加した。1650部の完全な脱イオン水を添加して分散液を形成させ、
その後に水50gに溶解した8.94gのジエチレントリアミン(0.09モル)
で架橋させた。アセトンを除去すると僅かにオパールのような光彩をもち、ミル
ク状白色の分散液であって、固体含量37.4%、及びpH7.9のものが得られ
た。ケト基の理論的含量は308であり、一方、塩の理論的含量は197ミリモ
ル/kg固体である。この組成物をフィルム形成助剤なしで約50μmの乾燥フ
ィルムの厚さでガラスプレートにナイフコーティングすると、端部から中央に向
けて走る無数の圧力裂け目を有するフィルムが得られた。中性のブチルグリコー
ルをゆっくりと滴下した;僅か最初の滴下後で凝塊が形成された。
実施例6〜10の、及び比較例7(V)〜10(V)の分散液は第1表に示さ
れる単量体を使用し、実施例3に示される方法により製造された。
分散液11
分散液11は、ADDHを添加せずに、分散液6と同様の方法で製造した。固
体含量:39.6%、pH:7.9
分散液11a
固定樹脂に基づいて、0.5重量%のDBUと分散液11を混合することによ
り、分散液11aを製造した。
分散液11b
100部の分散液11をアジピン酸ジヒドラジドと混合することにより(カル
ボニル基に対するヒドラジド基のモル比は1:1)、分散液11bを製造した。
分散液12
分散液11と同様にして分散液12を製造した。
固体含量:40.8%
pH:7.9
分散液12a
100部の分散液12と2.52部のアジピン酸ジヒドラジドを混合すること
により(カルボニル基に対するヒドラジド基のモル比は1:1)、分散液12a
を製造した。
分散液13
実施例3のケースに示されている方法を使用して、次の成分から分散液を製造
した:678.4gの化合物II、53.65gのDMPA、87.42gの1,4
−ブタンジオール、537.97gのIPDI、40.48gのTEA及び17.
2gのDETA。生成物は固体含量23.9%、pH8.4のオパール様の光彩を
有する分散液であった。ケト基の理論的含量は952であり、一方塩の理論的含
量は228ミリモル/kg固体である。
分散液13a
100部の分散液13に、1.96部のアジピン酸ジヒドラジドを添加した(
カルボニル基に対するヒドラジド基のモル比は1:1)。
分散液14
実施例3のケースに示される方法を使用して、次の成分から分散液を製造した
:400gのポリテトラヒドロフラン2000、368.33gの化合物III、8
3.16gのDMPA、36.05gの1,4−ブタンジオール、455.72g
のIPDI、50.19gのTEA及び17.2gのDETA。生成物は固体含量
24.9%、そしてpHが8.0のオパール様の光彩を有する分散液であった。ケ
ト基の理論的含量は400であり、一方、塩の理論的含量は352ミリモル/k
g固体である。
A.コーティング物質の性能試験
コーティング物質としての性能試験の結果は第2a、2b,2c,3,4およ
び5表に再現されている。
B.印刷用インキの製造及び性能試験第6表の分散液
は、以下の成分を以下の順序で分散液中に撹拌することにより、そこで述べる量
の顔料及び助剤と混合した:
1.アンモニアと水の溶液
2.バソフォブ(Basophob)と残りの水の溶液
3.イソプロパノール
4.顔料ペースト
適宜、貯蔵の後、印刷用インキをナイフコーティングにより38mN/mの表
面張力でコロナ処理したポリエチレンに使用し、次に90℃又は60℃で2分間
、強制的に乾燥させた。乾燥したフィルムの厚さは、6μm以下であった。
印刷用インキの性能試験の結果を第7表に示す。
これらの結果は、架橋剤がない場合においてさえも、新規なカルボニル−含有
の分散液は改善された抵抗特性を有することを示している。さらに、比較生成物
の場合においては、架橋剤の添加は抵抗を改善しない。
第3表の結果は、触媒量の塩基性触媒を使用すると、得られた結果は化学的等
量の架橋剤により得られるものに匹敵することを示している。DBU(分散液1
1a)及びADDH(分散液11b)の両方の添加は、フラッシュ腐蝕を回避す
る。
試験方法
a) ガラス上でのフィルム形成
添加物を有しない分散液を約50μmの乾燥フィルム厚さでガラスプレート上
にナイフでコーティングし、そして、標準条件で乾燥させた。乾燥後、フィルム
を視覚により評価した。もし欠点がフィルム上に存在したら(不均等性、圧力裂
け目、曇り、橙色の剥離構造、くぼみ等)、次に分散液に添加されたブチルグリ
コールの量を、乾燥後において透明、光沢のあるそして欠点のないフィルム表面
を与えるものに調節した。必要となったブチルグリコールの量は、重量%での溶
剤需要として示される。
b) パネル上でのフィルム形成
分散液はフィルム引き伸ばしフレームを使用して、標準の金属パネル上に又は
傾斜したオーブンパネル上に、一般に150〜200μmの湿潤−フィルム厚さ
で引き伸ばし、室温で10分間乾燥させ、そしてストーブ乾燥させた。
)装置を使用し、DIN53157により測定した。測定は、第2a表に示され
るように種々の時間で行ない、分散液はナイフコーティングにより使用した。
d) フィルム厚さ:DIN50982に従って測定される。
e) 膨張実験
比較し得る結果を得るために、すべての分散液にフィルム形成を改良するため
5重量%のブチルグリコールを添加した。約2ミリの厚さのフィルムが型取られ
た。10日後に、フィルム片はテトラヒドロフラン(THF)又は50%濃度の
エタノール中で24時間膨張させた。再度乾燥させた後、浸出したロス(AV)
及び膨張値を測定した。
f) スチーム試験
スチーム試験を木材上の2個の塗装系でDIN68860Bに従って実施した
。視覚評価及び爪硬度試験は直ちに及び1時間後に再び実施した。
g) 摩耗試験:
測定量のブチルグリコールが添加された分散液50gをディスパーマット(Di
spermat)を使用して5〜10分間撹拌し、1日間放置し、アブレーザ(Abraser
)ガラスプレートに200μmのワイヤナイフ(wire doctor)で適用した。室
温で1日間、60℃で16時間、制御された環境の室で少なくとも48時間調整
した後、Taber Abraser装置503型を使用して、以下のようにして摩耗試験を
実施した:回転研摩盤CS10;負荷2×1kg;80%吸引で1000回転。
h) クロスハッチ:試験はDIN53151で実施した。
i) エリクセン圧痕(Erichsen indentation):試験はISO1520に従っ
て実施した。
j) アセトン/MEK試験:St1405等級の鉄パネルを試験すべき処方物
又は分散液でコーティングした。乾燥後、僅かに圧力をかけた状態でコーティン
グしたパネルの選択された箇所の上をアセトンに浸した綿の栓で前後にこすった
(前方に1回、後方に1回は、1ダブルストロークDSを構成する)。この試験
は50〜100Dss間実施された。フィルムがその後ですり切れなかった場合
、それは架橋され又は完全にキュアされたものとしてみなされる。
k) 硫酸試験28%濃度:これは、Kurt Herberts博士(DKH)により記載
されているように、以下にて実施された:上記の酸に浸した綿の小さな栓を試験
する片上に置いた。対流オーブン内で60℃にて4時間置いた後、試料は0〜5
の得点を有するDIN53230表1に従って評価した(0=極めて良好、5=
粗末)。
l) 硫酸試験38%濃度及び水酸化ナトリウム溶液試験1及び5%濃度:室温
に24時間貯蔵した後、方法i)のようにして試験を実施した。
m) 粘度:
流動時間は、DIN4カップを使用して、DIN53211に従って測定した
。
n) 粘着強度:
粘着強度はテサ(TESA)切り取り法により%で評価した。この試験におい
て、20〜25ミリの幅の
粘着テープ片(テサフィルム(Tesafilm104-Beiersdorf AG)を試験するプリン
トに貼り付け、均等に圧迫し、そして鋭く引っ張った。試験は、最初に乾燥後に
、そして二番目に水中に貯蔵した後、実施した。
o) 湿時−ふきとり強度:
プリントを湿ったままで、平滑な固体基材上に置いた。僅かに圧力をかけ、同
じ方向に湿分を含む軟らかいペーパー布で50回ふいた。ペーパーが着色される
かどうか、どの程度着色されるか及び/又はプリントが基材からどの程度ふき取
られるかについて、視覚により評価を行なった。
p) 湿時−摩擦抵抗性:
ナイフでコーティングしたフィルムを“水中下”で同一のフィルムに対して2
0回環状にこするという湿時−粘着試験に従って試験を行なった。
q) 湿時粘着:
乾燥したナイフ−コーティングしたフィルムを水バケツ中に置いた。親指を使
用して“水中”のコーティングをゆっくりこすることにより、湿時コーティング
が基材からこすり落とされるかどうかについて評価を行なった。試験は水中に3
0分及び24時間貯蔵した後実施した。
r) 光沢:光沢は視覚的に評価した。
s) 流展性:流展性は視覚的に評価した。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),AU,CA,CN,J
P,US
(72)発明者 ローラント エトル
ドイツ連邦共和国 D−67454 ハスロッ
ホ フリッツ−ハーバー−シュトラーセ
3ベー
(72)発明者 ハラルト ラルビッヒ
ドイツ連邦共和国 D−67063 ルートヴ
ィッヒスハーフェン ガルテンシュトラー
セ 24
(72)発明者 ヨハン−ペーター メルダー
ドイツ連邦共和国 D−67141 ノイホー
フェン ヤーンシュトラーセ 35
(72)発明者 エーリヒ グルビンス
ドイツ連邦共和国 D−69120 ハイデル
ベルク ラーデンブルガー シュトラーセ
80
(72)発明者 トーマス ヴィルト
ドイツ連邦共和国 D−67251 フライン
スハイム アム マンデルガルテン 13