【発明の詳細な説明】
インドリルマレイミドの合成発明の背景
1.発明の分野
本発明は、広くは、インドリルマレイミド、特にビスインドリルマレイミド、
とりわけ非対称なビスインドリルマレイミドを合成するための改善された方法に
向けられる。更に特別な側面では、本発明は有機金属化学を用いたこれらのイン
ドリルマレイミドを製造する改善された方法に関する。更に他の側面では、本発
明はビスインドリルマレイミドを製造するのに有用な新規な中間体、及びビスイ
ンドリルマレイミドの合成における新規な中間ステップに向けられる。
2.関連技術の説明
プロテインキナーゼC(PKC)、特にその種々のイソ酵素は、癌、中枢神経
系の疾患、アルツハイマー、心血管疾患、皮膚疾患、炎症、慢性関節リュウマチ
のような自己免疫疾患、及び糖尿病合併症を含めた種々の疾患状態に関連する。
結果として、これらの種々の症状を治療する方法として、PKC活性を阻害する
治療医薬、特にイソ酵素選択的であるPKC阻害剤を同定することを意図した高
レベルの研究が存在する。置換されたインドリルマレイミド、特に置換されたビ
スインドリルマレイミドは、選択的なPKC阻害剤であることが見いだされた化
合物の主要な群の1つである。(Steglichら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1
980),19,459)。種々の置換されたビスインドリルマレイミドが当分野で知られて
いる。このようなビスインドリルマレイミドであって、インドリル窒素が種々の
部分を介してお互いに結合されたものに基づく化合物も、選択的なPKC阻害剤
として有望であることが示された。結果として、従来技術で、広範囲のこのよう
な化合物が開示され、主要な研究がこれらの物質に向けられている。
このようなインドリルマレイミドを合成するため多くのアプローチが文献で報
告されている(Bitら、J.Med.Chem.,36:21-29(1993);Bitら、Tetrahedron
Lett,34:5623(1993);Bergmanら、Tetrahedron Lett.,28:4441-4444(1987);
Davisら、
Tetrahedron Lett.,31:2353(1990);Davisら、Tetrahedron Lett.,31:5201-
5204(1990);及びBrennerら、Tetrahedron Lett.,44:2887-2892(1988))。し
かしながら、高収率で、より容易な(例えばより穏和な)反応条件で、より複雑
でない工程で、広い範囲の可能な置換基等を可能にする更なるアプローチを探索
することが当分野で続けられている。
この文献に一般に開示されているビスインドリルマレイミドを製造するのに、よ
り一般的に使用されるアプローチの1つには、インドール−1−グリニヤール試
薬をジハロマレイミドと、以下のように縮合することが含まれる。
一般にこの反応は、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン又はエーテルの
ような溶媒中、室温と反応混合物の還流温度の間の温度で行われる。インドール
グリニヤール試薬は、インドールと、臭化エチルマグネシウムまたはヨウ化エチ
ルマグネシウムのようなハロゲン化アルキルマグネシウムから、当分野で公知の
方法で、in situで調製されることが好ましい。
上述の反応は、溶媒の条件に依存することが見いだされている。トルエン:T
HF:エーテル溶媒系で行う場合、この反応は、80%以上の収率及び95%以
上の純度でビスインドリルマレイミドを与える。可能性として非対称のビスイン
ドリルマレイミドの最終合成が可能なモノ置換マレイミドもこのアプローチで製
造することができる。
しかし、この一般的なアプローチの主要な問題は、種々の置換されたビスイン
ドリルマレイミドを合成するための適用性が制限されていることである。特に、
このアプローチでは、1−置換インドールを出発物質に使用することができない
。従って、N−置換されたインドリルマレイミドの調製には容易に適合しえない
。
本発明は、パラジウム触媒を使用した、任意に置換されたインドリルマレイミ
ド、特に対称、並びに非対称、N−置換されたビスインドリルマレイミドを合成
するための特に簡単なアプローチを見いだしたことに基づく。好ましい条件下で
は、所望
の化合物が受け入れられる程度の高収率で製造されうる。本発明の説明
第一の側面では、本発明はインドリルマレイミドを製造する方法であって、パ
ラジウム遷移金属触媒の存在下で、活性化されたマレイミドと、有機金属−3−
インドールとを反応することを具備する方法に向けられる。
他の側面では、本発明はN−置換されたインドリルマレイミド、特に式(I)
の化合物を有機金属試薬、好ましくは以下に説明する任意にN−置換された有機
金属−3−インドールを用いて合成する改善された方法に関する。
出発物質、従って得られるインドリルマレイミド生成物の種々の置換基は、該置
換基が有機金属をベースとした本発明の反応を妨害しないならば、従来技術で開
示された広範囲の何れの置換基からも選択されうる。好ましくは、
R2は、脱離基及び任意に置換されたインドール−3−イルから選択され
る。
R3は、水素及び保護基である。
R7は、水素、又は、例えばハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、
ハロアルキル、ニトロ、−NHCO(アルキル)、又は−NR9R10(但し、R9
及びR10は独立に水素又はメチルである。)から独立に選択される4つまでの任
意の置換基である。
R8は、水素、又は、例えばアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリ
ールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノ
アルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシア
ルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシ
カルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルア
リール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオ
アルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基;アルキルグリコース残基、下式
の基:
但し、
Hetは、ヘテロサイクリル基(hetelocyclyl group)を表す。
Wは、NH又はSを表す。
TはNH又はSを表す。
Vは、O、S、NH、又はNCNを表す。
Aは、アルキルチオ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノ
を表す。及び
Arは、アリールを表す。
R16は、水素、アルキル、ハロアルキル、アセチル、アリール、−CH(
アリール)2、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、グアニジノ、
−C(=N(アルコキシ−カルボニル))−NH−(アルコキシカルボニル)、
アミジノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル又はヘテロサイクリ
ルである。
から独立に選択される任意の置換基である。
R14は、水素又は任意に置換されたアルキルである。
又はR8及びR14は下式の基を介してお互いに結合される。
[−CH2)r−X−(CH2)−]
但し、Xは、以下の通りである。
但し、R17及びR18は、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アシルオキシ
、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアミノ、アジ
ド、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、シアノ、アミジノ又はアミノカルボ
ニルである。及び
nは1、2、3、4、5、又は6であり、p及びqは独立に1、2、3、
又は4であり、rは1、2、又は3であり、sは0、1、2、又は3であり、t
は1又は2であり、uは0又は1である。
更に他の側面では、本発明は、特に、任意にN−モノ置換及びN,N−二置換
されたビスインドリルマレイミド、特に下式の化合物を、
有機金属試薬、好ましくは以下に説明する任意にN−置換された有機金属−3−
インドールを用いて合成する方法に向けられる。上述のように、出発物質、従っ
て得られるビスインドリルマレイミド生成物の種々の置換基は、該置換基が有機
金属をベースとする本発明の反応を妨害しないならば、当分野で開示された広範
囲の何れの置換基からも選択されうる。好ましくは、
R3は、水素及び保護基である。
R4及びR7は、水素、又は、例えばハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコ
キシ、ハロアルキル、ニトロ、−NHCO(アルキル)、又は−NR9R10(但
し、R9及びR10は独立に水素又はメチルである。)から独立に選択される4つ
までの任意の置換基である。
R6及びR8は、独立に、水素、又は、例えばアルキル、ハロアルキル、ア
ル
ケニル、アリールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノア
ルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、ア
シルオキシアルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル
、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アル
キルアリール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジ
ノチオアルキル、ニトログアニジノアルキル、保護基;アルキルグリコース残基
、下式の基:
但し、
Hetは、ヘテロサイクリル基を表す。
Wは、NH、S又は結合を表す。
Tは、NH又はSを表す。
Vは、O、S、NH、又はNCNを表す。
Aは、アルキルチオ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノ
を表す。
Arは、アリールを表す。
R16は、水素、アルキル、ハロアルキル、アセチル、アリール、−CH(
アリール)2、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、グアニジノ、
−C(=N(アルコキシ−カルボニル))−NH−(アルコキシカルボニル)、
アミジノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル又はヘテロサイクリ
ルである。
から独立に選択される任意の置換基である。
又はR6及びR8は、内部にエーテル(−O−)、アミノ(−NH−)又は
アミド(−CONH−)結合を任意に有する任意に置換されたアルキレン部分を
介してお互いに結合される。
R14及びR15は、独立に、水素又は任意に置換されたアルキルである。
又はR8及びR14は、下式の基を介してお互いに結合される。
[−(CH2)r−X−(CH2)−]
但し、Xは下式の通りである。
但し、R17及びR18は、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アシルオキ
シ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアミノ、ア
ジド、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、シアノ、アミジノ又はアミノカル
ボニルである。及び
nは1、2、3、4、5、又は6であり、p及びqは1、2、3、又は4
であり、rは1、2又は3であり、sは0、1、2、3であり、tは1又は2で
あり、uは0又は1である。
本発明の更なる側面では、本発明に関連して有用なインドリルマレイミド中間
体の特別な群を製造する方法が提供される。該方法は、任意に置換されたN−保
護インドール−3−アセトアミドを、ジメチルホルムアミドのような非プロトン
性極性溶媒中、シュウ酸ジメチルのようなシュウ酸アルキル及びカリウムtert−
ブトキシドのような強塩基と反応することを具備する。
本発明の一側面に従えば、インドリルマレイミド、特に式I及びIIの化合物は
、(I)下式(III)の活性化されたまれイミドを、
但し、
R1は、脱離基及び任意に置換されたインドール−3−イルである。
R2は、脱離基である。及び
R3は、−H又は保護基である。
下式(IV)の、任意に置換された有機金属−3−インドール試薬と反応すること
により合成されうる。
但し、
R4は、水素、又は、例えばハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、
ハロアルキル、ニトロ、−NHCO(アルキル)、又は−NR9R10(但し、R9
及びR10は独立に、水素又はメチルである。)から独立に選択される4つまでの
任意の置換基である。
R5は、−B(OH)2、−ZnCl2及び−Sn(R13)3(但し、R13は
アルキル及びアリールから選択される。)から選択される。
R6は、水素、又は、例えばアルキル、ハロアルキル、アルケニル、アリ
ールアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、モノアルキルアミノ
アルキル、ジアルキルアミノアルキル、アシルアミノアルキル、アシルオキシア
ルキル、シアノアルキル、アミジノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシ
カルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アルキルアリール
、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキ
ル、ニトログアニジノアルキル、保護基;アルキルグリコース残基、
下式の基:
但し、
Hetは、ヘテロサイクリル基を表す。
Wは、NH、S又は結合を表す。
Tは、NH又はSを表す。
Vは、O、S、NH、又はNCNを表す。
Aは、アルキルチオ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノ
を表す。及び
Arは、アリールを表す。
R16は、水素、アルキル、ハロアルキル、アセチル、アリール、−CH(
アリール)2、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、グアニジノ、
−C(=N(アルコキシ−カルボニル))−NH−(アルコキシカルボニル)、
アミジノ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル又はヘテロサイクリ
ルである。
から独立に選択される任意の置換基である。
R14は、水素又は任意に置換されたアルキルである。
又は、R6及びR14は、下式の基を介してお互いに結合される。
[−(CH2)r−X−(CH2)−]
但し、Xは下記の基である。
但し、R17及びR18は、独立に、ヒドロキシ、カルボキシ、アシルオキ
シ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアミノ、ア
ジド、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、シアノ、アミジノ又はアミノカル
ボニルである。及び
nは1、2、3、4、5又は6であり、p及びqは独立に1、2、3又は
4であり、rは1、2又は3であり、sは0、1、2又は3であり、tは1又は
2であり、uは0又は1である。
置換基を同定するために本明細書で使用される「ハロ」及び「ハロゲン」の語
は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは塩素又は臭素を表す。
単独で又は組み合わせての「アルキル」の語は、環状、直鎖又は分岐鎖の飽和
炭化水素基を表す。ここで、直鎖及び分岐鎖の場合、これは、好ましくは、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソ
ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等のような1から4の炭素原子(C1−C4
アルキル)を有し、環状炭化水素の場合、これは、好ましくは、シクロプロピル
及びシクロヘキシルのような3から7の炭素原子を有する。「置換されたアルキ
ル」の語は、所望の合成ステップを妨害又はじゃまをしない置換基で置換された
アルキル基を含むことを意図する。
「ハロアルキル」の語は、1以上のハロゲン原子で置換されたこのような置換
されたアルキルの1つ、好ましくは1から3のハロ原子で置換されたC1からC4
アルキルである。
単独で又は組み合わせて使用される「アルコキシ」の語は、−O−結合を、単
独で又は組み合わせて介すことにより親分子に共有結合されたアルキル、好まし
くはC1からC4アルキルである。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びt−ブトキシである。アルコキシアル
キルは、例えばCH3(CH2)−O−O(CH2)m−(但し、mは1から7、又
は好ましく
は1から4である。)である。アルコキシカルボニルの語は、例えばt−ブトキ
シカルボニル、即ちBOCである。
単独又は組み合わせて使用される「アリール」の語は、置換又は無置換のフェ
ニル又はナフチルを表す。アリールは、所望の合成ステップを妨害又はじゃまを
しない何れかの置換基で任意に置換され得、一般には、ヒドロキシ、カルボキシ
、アルコキシ、好ましくはC1からC4アルコキシ、アルキル、好ましくはC1−
C4アルキル、ハロアルキル、ニトロ、−NR9R10、−(NHCO(C1−C4ア
ルキル)、−NHCO(ベンジル)、−NHCO(フェニル)、−SH、−S(
C1−C4アルキル)、−OCO(C1−C4アルキル)、−SO2(NR9R10)、
−SO2(C1−C4アルキル)、−SO2(フェニル)、又はハロ(但しR9及び
R10は先に定義したとおりである。)から独立に選択される4つまで、通常1又
は2の基での置換が含まれる。アリールオキシの語は、−O−結合を介して共有
結合されたこのようアリール基の1つである。アリールアルキルの語は、置換さ
れたアルキルと考えることができ、−(CH2)mアリール(但し、mは一般に、
1から3の整数である。)を表し、好ましくはベンジルである。対照的に、アル
キルアリールの語は、置換アルールと考えることができ、例えば−アリール(C
H2)m−CH3(但し、mは一般に0から2の整数である。)のような部分を表
す。
「アルケニル」の語は、1以上の二重結合、好ましくは1又は2の二重結合を
含有する2から7の炭素原子の直鎖又は分岐した炭化水素を意味する。アルケニ
ルの例には、エチレン、プロピレン、1,3,ブタジエニル、及び1,3,5−
ヘキサトリエニルが含まれる。
アシルアミノ又はアシルアミノアルキル基のアシル部分は、最大7、好ましく
は最大4の炭素原子を含有するアルカノイックアシッド(例えば、アセチル、プ
ロピオニル又はブチリル)又は芳香族カルボン酸(例えばベンゾイル)から誘導
される。アシルオキシは、−O−結合によって結合されたこのようなアシル、例
えばアセチルオキシ、CH3C(=O)O−の1つであろ。アシルアミノは、例
えばCH3(C=O)NH−(アセチルアミノ)である。同様に、アシルアミノ
アルキルはCH3(C=O)NH(CH2)m−である。
「Het」又は「ヘテロサイクリル」で表されるヘテロ環基は、安定な、飽和
、
分的に不飽和、又は芳香族の5−又は6−員のヘテロ環基でありうる。ヘテロ環
は、炭素原子、及び、窒素、酸素、及び硫黄から独立に選択される1から3のヘ
テロ原子よりなる。ヘテロ環基は、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、アルコキ
シ、ハロアルキル、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ、ジア
ルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル及びアルキルスルホニルか
ら独立に選択される1から3の置換基で任意に置換されうるか、又はヘテロ環基
が窒素を含有する芳香族ヘテロ環基である場合は、窒素原子はオキシド基を有し
うる。このようなヘテロ環基の例は、イミダゾリル、イミダゾリニル、チアゾリ
ニル、ピリジル、インドリル、フリル、及びピリミジニルである。
明細書中及び請求の範囲で使用される「脱離基」(LG)の語は、当業者に容
易に理解される。一般に、脱離基は、置換を容易にするための、これが結合され
ている原子の求電子性を高める基又は原子である。好ましい脱離基は、トリフレ
ート(−OSO2CF3)、メシレート、トシレート、イミデート、クロライド、
ブロマイド、及びアイオダイドである。トリフレートが特に好ましい。
「アルキルグリコース残基」の語は、C2−C4アルキルを介してインドリルに
C−1位で結合されたグリコース部分を表す。アルキルグリコース残基に含まれ
るグリコースは、天然又は非天然の5又は6糖であり、好ましくはアロシル、ア
ルトロシル、グルコシル、マンノシル、グロシル、イドシル、ガラクトシル、タ
ロシル、アラビノシル、キシロシル、リキソシル、ラムノシル、リボシル、デオ
キシフラナノシル、デオキシピラノシル、及びデオキシリボシルから選択される
。グリコースは、アジド置換、O−アセチル化、O−メチル化、アミノ、モノ、
及びジ−アルキルアミノ置換、又はアシルアミノ置換されうる。例えば、アルキ
ルグリコース残基には、以下のものが含まれる。
ある状況下では、式(I)及び(II)の化合物の合成の間に中間体の窒素(N
)を公知の適切な「保護基」で保護することが、少なくとも望まれ、しばしば、
必要とされる。このような窒素保護基の導入及び除去は、当業者に周知である。
この点について、同様の状況で使用される場合、及び本明細書及び請求の範囲
で使用される「−NH保護基」及び「保護基」の語は、化合物の他の官能基を反
応すろときに−NH官能基をブロック又は保護するのに通常使用されるアミノ保
護基のサブクラスをいう。本発明の方法を実施する際に使用されろ保護基の種類
は、誘導体化された−NH基が、引き続きの反応条件で安定であり、分子の残り
の基を破壊することなく適切な時点で除去することができる限り、重要ではない
。T.W.Green及びP.Wuts、有機合成における保護基(Protecting Groups
in Organic Synthesis)、7章、385〜394頁及び397〜403頁に
は、インドール及びマレイミドに対して通常使用される保護基が列記されている
。好ましいインドールの保護基は、トリメチルシリルエトキシメチル、ベンジル
、トシル、カルバメート、アミド、アルキル又はアリールスルホネートであり、
一方マレイミド保護基には、アルコキシ、ベンジル、ジアルコキシベンジル、ベ
ンジルオキシアルキル又はアリルが含まれる。関連した「保護された−NH」の
語は、定義したような−NH保護基で置換された基と定義される。
ある状況下では、本発明の合成方法の間にヒドロキシ基及びアミノ基を保護す
る必要もありうる。当業者は、このような「ヒドロキシ保護基」及びこのような
「アミノ保護基」に通じている。「ヒドロキシ保護基」の語は、化合物の他の官
能基で反応が行われる間、ヒドロキシ基をブロック又は保護するのに一般に使用
されるヒドロキシ基のエーテル又はエステル誘導体の1つをいう。使用されるヒ
ドロキシ保護基の種類は、誘導体化されたヒドロキシ基が、引き続きの反応の条
件に対して安定であり、分子の残りの基を破壊することなく適切な時点で除去す
ることができる限り、重要ではない。好ましいヒドロキシ保護基は、tert−ブチ
ルジフェニルシリルオキシ(TBDPS)、tert−ブチルジメチルシリルオキシ
(TBDMS)、トリフェニルメチル(トリチル)、モノ−又はジ−メトキシト
リチル、又はアルキル若しくはアリールエステルである。
「アミノ保護基」の語は、化合物の他の官能基を反応する間、アミノ官能基を
ブ
ロック又は保護するのに一般に使用されるアミノ基の置換基をいう。本発明の方
法を行う際に使用されるアミノ保護基の種類は、誘導体化されたアミノ基が引き
続きの反応の条件に対して安定であり、分子の残りの基を破壊することなく適当
な時点で除去することができる限り、重要ではない。好ましいアミノ保護基は、
t−ブトキシカルボニル、フタルイミド、環状アルキル、及びベンジルオキシカ
ルボニルである。
明細書中で使用される「活性化されたマレイミド」の語は、有機金属試薬、特
に任意にN−置換された有機金属−3−インドールとの反応を促進する少なくと
も1つの脱離基で置換された式(III)の基幹構造により表される3,4−二置
換マレイミド(ピロリル−2,5−ジオン)をいう。
「インドリルマレイミド」の語は、これらの基幹構造として3−(インドール
−3−イル)−ピロリル−2,5−ジオンを有する化合物の属を包含し、これら
の基幹構造として3,4−(インドール−3−イル)−ピロリル−2,5−ジオ
ンを有する「ビスインドリルマレイミド」の亜属を包含する。ここで、1又は複
数のインドール−3−イル部分が任意にN−置換され、インドリル部分の縮合さ
れた芳香族6員環が任意に置換され得、1又は複数のインドール−3−イル部分
の2位が任意に置換されうる。インドリルのN−置換基が以下に説明するような
架橋部分を介してお互いに結合される、これらのビスインドリルマレイミドも包
含される。従来技術には、広範囲の、このような任意に置換されたインドリルマ
レイミドが開示され、本発明が、当業者によって理解されるように、このような
化合物を製造するのに有利に使用されうる。インドリルマレイミドのこの定義に
含まれる化合物が、特に米国特許第5,491,242(PCT公開WO95/
35294)、PCT公開WO95/17182、及び公開された欧州特許出願
EP0657458(これらは全て、参照文献として本明細書に取り込まれる。
)に開示されている。
本明細書中で使用される「有機金属−3−インドール試薬」の語及び同様の句
には、これらの基幹構造として、−B(OH)2、−ZnCl2及び−Sn(R13
)3(但し、R13はアルキル及びアリールから選択される。)から選択される部
分で3位が置換されたインドールを有する化合物が含まれる。
活性化された式(III)のマレイミドと任意に置換された式(IV)の有機金属
−3
−インドールとの反応は、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキサン、
ジクロロメタン及びアセトニトリル又は一般にはテトラヒドロフラン(THF)
のような不活性溶媒中、0℃と反応混合物の還流温度の間の温度、好ましくは1
0°から25℃の範囲の温度で都合よく行われる。
反応は、パラジウム遷移金属触媒(Pd(0)及びPd(II)触媒)の存在下
で行われる。Pd(0)触媒には、Pd(Ph3)4、Pd2(ジベンジリデンア
セトン)(Pd2dba3)、Pd/C、Pd(AsPh3)4、Pd(P(2−フ
リル)3)4、Pd(P(R15)3)4(但し、R15はアルキル又はアリールである
。)が含まれる。Pd(II)触媒には、Pd(OAc)2、PdCl2(ジフェニ
ルホスフィノフェロセン)(PdCl2(dppf))及びPdCl2(CH3C
N)2が含まれる。
反応は、一般に、炭酸ナトリウムのような塩基、及び必要に応じて塩化リチウ
ムのようなハロゲンイオン源の存在下で行われる。好ましくは、反応は、フッ素
イオン(フッ化セシウムが好ましい供給源である。)の存在下で行われる。
最初の反応に続いて、何れかの保護基が公知の手順を用いて所望の置換基に置
き換えられうる。
式(III)の範囲に含まれる多くの活性化されたまれイミド化合物は、公知で
あり、公知の化合物と同様の方法で調製されうる公知の化合物の類似体である。
従って、式(III)の化合物、特にR1及びR2の一方又は両方がハロ、特に臭素
であるものを調製する手順は周知である。Edge,S.ら、Chemistry&Industry
(1991),P.130参照。式(IV)の有機金属試薬も公知であるか、又は公知化合物
と同様の方法で調製されうる。これに関しては、Conwayら、Heterocycles,30
(1):627-633(1990);Zhengら、Heterocycles,37(3):1761-1772(1994);Zhengら
、Tetrahedron Letters,34(14):2235-2238(1993);Giusppeら、Tetrahedron
Letters,35(15):2405-2408(1994);Brennerら、Tetrahedron Letters,44:
2887-2892(1988);及びAmatら、Tetrahedron Letters,35(5):793-796(1994)
(これらは全て、参照文献として本命差書に取り込まれる。)を参照。
式(I)及び(II)の化合物は、これら自身PKC阻害剤として有用であるか
、又はPKC阻害活性を示す化合物を調製するのに有用な中間体である。上述の
よう
に、PKC阻害剤は、癌、中枢神経系の疾患、アルツハイマー、心血管系の疾患
、皮膚疾患、炎症、慢性関節リュウマチのような自己免疫疾患、及び糖尿病合併
症を含めた種々の症状を治療するのに有用である。
本発明の好ましい側面では、式(I)又は(II)の化合物は、(I)下式(V)
の任意に置換されたN−置換されたマレイミド(これは、R1が任意に置換され
たインドール−3−イル基である式(III)の活性化されたマレイミドに対応す
る。)を、
但し、R11置換基は水素であるか、又は4つまでが、ハロ、C1からC4ア
ルキル、ヒドロキシ、C1からC4アルコキシ、ハロ、C1からC4−アルキル、ニ
トロ、−NHCO(C1−C4アルキル)又は−NR9R10(但し、R9及びR10は
独立に水素又はメチルである。)から任意に及び独立に選択され、R12は−NH
保護基であり、R2は脱離基、好ましくはハロ又はトリフレート、最も好ましく
はトリフレートであり、R14は水素又は任意に置換されたアルキルであり、R3
は−H、又は−NH保護基である。
(ii)式(IV)の化合物であって、R4置換基が水素であるか、又は、例えば
ハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、−NHCO
(アルキル)、又は−NR9R10(但し、R9及びR10は独立に水素又はメチルで
ある。)から独立に選択される4つまでの置換基であり、R5が−B(OH)2、
−ZnCl2及び−Sn(R13)3(但し、R13は任意に置換されたアルキル及び
任意に置換されたアリールから選択される。)から選択され、R6が−NH保護
基又は水素であるものと反応することによって調製される。反応は、先に示した
条件下で行われる。
この好ましい側面では、何れかの保護基を、公知の技術及び手順を用いて引き
続き脱保護し、例えば水素、アルキル、アリール、置換アリール、アルキルアリ
ール、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオア
ルキル、ニトログアニジノアルキル又は他の所望の部分を導入する。
本発明のこの側面の特に好ましい特徴は、有機金属試薬と反応することにより
、式(I)又は(II)の化合物を調製するために、下式(VI)のインドリルマレ
イミドを使用することである。
但し、R3、R11、R14及びR12は式(V)に関連して先に定義した意味
を有する。
式(VI)の化合物は、PKC阻害活性を有する式(I)又は(II)の化合物を調
製するため、又はPKC阻害剤の中間体を調製するために有用である。
本発明の他の好ましい側面では、R1及びR2がハロであり、R3が−H又は−
NH保護基である式(III)の活性化されたマレイミドは、式(IV)のN−置換
された有機金属−3−インドール試薬であって、R4置換基が水素であるが、又
は4つまでが、例えばハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル
、ニトロ、−NHCO(アルキル)、又は−NR9R10(但し、R9及びR10は独
立に水素又はメチルである。)から任意に及び独立に選択され、R5が−B(O
H)2であり、R6が−NH保護基又は水素であるものと直接に反応される。所望
であれば、反応は、ハロゲン原子1つずつに対してマレイミド置換基を導入する
2段階で行われうる。この方法で、非対称なビスインドリルマレイミドが合成さ
れる。この特別な側面では、保護基は、公知の技術及び手順を用いて引き続き脱
保護され、例えば水素、アルキル、アリール、置換アリール、アルキルアリール
、アミノアルキル、ヘテロアリール、カルボニルアルキル、アミジノチオアルキ
ル、ニトログアニジノアルキ
ル又は他の所望の部分を導入する。
R1及びR2が両方とも脱離基、特にハロゲン原子を表す式(III)の化合物は
、当分野で周知である。R1がインドール−3−イルであり、R2が脱離基である
好ましい式(III)の化合物、即ち式(V)の化合物は、公知の手法を用いて調製
されるが、又は本発明の方法を用いて製造されうる。後者の場合、ジハロマレイ
ミドを、モノ置換生成物に導く条件下で幾つかの任意に置換された有機金属−3
−インドールと反応する。
本発明の第一の好ましい態様には、商業的に利用可能な物質から出発して、特
に非対称のビスインドリルマレイミドを含めたビスインドリルマレイミドを製造
するのに適した方法が含まれる。特に好ましいアプローチでは、N−メチルイン
ドール−3−アセトアミドのような任意にN−置換されたインドリル−3−アセ
トアミドが、ジメチルホルムアミド(DMF)中で任意に置換されたインドール
−3−アセトアミドを水素化ナトリウム(NaH)/ヨードメタン(CH3I)
でアルキル化することにより、又は、アセトン中でヨードメタン及び水酸化カリ
ウムのようなアルカリ金属水酸化物を用いてインドールアセトニトリルをアルキ
ル化し、引き続いてジメチルスルホキシド(DMSO)中で過酸化水素及び炭酸
ナトリウム、及び従来技術で利用しうる手順を用いてアミドに変換することによ
り製造されうる。この後、N−メチルインドール−3−アセトアミドを、以下の
スキームAに従って、シュウ酸ジメチル又はシュウ酸ジエチルのようなシュウ酸
アルキル、続いてカリウムt−ブトキシドのような強塩基と反応する新規な方法
で環化し、任意に置換された4−(インドール−3−イル)ヒドロキシピロール
−2,5−ジオンを得る。この反応は、DMFのような非プロトン性極性溶媒中
で行われる。
アルキル化条件下で処理(DMF中水素化ナトリウム/ヨードメタン)するよ
うな−NH保護基でのマレイミド窒素の保護の後、マレイミドのヒドロキシ置換
基を
公知のトリフレート化条件を用いて(トリフルオロメチル)スルホニルオキシ(
トリフレート)のような脱離基に置換する。式(VI)の化合物は、任意に置換さ
れた4−(インドール−3−イル)−3−ヒドロキシピロール−2,5−ジオン
を、塩基(トリエチルアミン)の存在下、塩化メチレン中でトリフルオロメチル
スルホン酸無水物と反応することにより調製されうる。他のアプローチとして、
マレイミドのヒドロキシ置換基を、任意に置換された4−(インドール−3−イ
ル)−3−ヒドロキシピロール−2,5−ジオンをDMFの存在下、臭化オキサ
リルと反応することにより、臭素のような別の脱離基に置換しうる。次に、得ら
れた化合物を、パラジウム遷移金属触媒の存在下で本発明に従った有機金属試薬
と反応し、次いで保護された窒素を望むように脱保護し、式(I)又は(II)の
化合物を製造することができる。
スキームB
インドリルマレイミド−トリフレートと適切にN−保護された有機金属−3−
インドールとの反応は、以下のスキームBのように表され、例えばジオキサン中
、好ましくは0°から20℃の温度(約15℃の温度が適切である。)で、N−
トシル保護された−3−インドールボロン酸をインドリルマレイミドに加えるこ
とによって行われる。より高い温度を使用することができるが、低い収率となり
うる。実際に、全収率は、反応混合物の初期温度(15℃で反応を行うことが好
ましい。)に強く影響されることが、予想に反して観測された。既述のように、
反応はパラジウム遷移金属触媒の存在下で行われることが好ましい。Pd2db
a3−クロロホルム錯体が適切であることが見いだされた。反応が、フッ化テト
ラブチルアンモニウム、フッ化カリウム及びフッ化セシウムによって提供される
ようなフッ化物イオンの存在下(フッ化セシウムが好ましい供給源である。)で
行われる場合に、より高い収率が得られる。引き続き、トシル基を公知の方法、
メタノール及び水の、容積
で3:1の混合物中炭酸カリウムで脱保護することができる。
上述のように、出発物質である活性なマレイミドの種々の置換基及び任意にN
−置換された有機金属−3−インドール試薬を適切に選択することにより、本発
明の方法は広範囲のインドリルマレイミド、特にビスインドリルマレイミドを合
成するのに応用されうる。
インドリルマレイミド、特にビスインドリルマレイミドの特に有用な群の1つ
は、2つのインドリルのインドリル窒素が架橋部分を介してお互いに結合されて
いるものである。式(II)に関連して先に述べたように、インドリル窒素は、内
部にエーテル(−O−)、アミノ(−NH−)又はアミド(−CONH−)結合
を任意に有する任意に置換されたアルキレン部分を介してお互いに結合されうる
。この群の化合物は、以下の一般式(VII)で表される。
但し、R3、R4、R7、R14及びR15は先に定義したとおりである。
波線で表した結合は、共有結合である場合、及びマレイミド及びインドリルが、
代わりに独立してこれらの位置で置換基を有する場合の両方を表すことを意図し
ている。この種の化合物は、以下のスキームCに示されるように、式(III)に
関連して先に説明したような活性化されたマレイミドを下式(VIII)のN−置換
された有機金属−3−インドール試薬と反応することによって調製されうる。
但し、R4、R5、R7、R14及びR15は先に定義したとおりであり、R16
はR5とじでありうるが、又はマレイミドと引き続き反応させるためにR5に変換
しうる部分であり、架橋部分は概略的に以下のように表される。
但し、架橋部分は、内部にエーテル(−O−)、アミノ(−NH−)又は
アミド(−CONH−)結合を任意に有する任意に置換されたアルキレン部分を
表す。
スキームC
特に好ましいのは、架橋部分が4から14の炭素原子のアルキレンである化合
物である。従来技術では、アルキル、アルコキシ、アルカリール、アミノ等を含
めた任意の置換基に対して、広範なバリエーションが開示されており、本発明は
これらの変更を包含することを意図している。
上記式(VIII)のビスインドールアルカン(任意に置換されており、内部に任
意のヘテロ原子結合を有するもの。)は、刊行物に開示された手順を用いて調製
されうる。例えば、このような化合物は、任意に置換されたジブロモアルカンを
、水素化ナトリウムのようなアルカリ金属塩の存在下、乾燥ジメチルホルムアミ
ドのような非プロトン性極性溶媒中で、又は、他のアルキル化条件下、即ち継続
中の米国特許出願08/413,311(この開示は、参照文献として本明細書
に取り込まれる。)に開示された手順と同様の方法で任意に置換されたインドー
ルを含有する先に調製した反応混合物にゆっくり加えることにより合成されうる
。他のアプローチとして、任意に置換されたジブロモアルカンを、公開された欧
州特許出願EP0657458(この開示は、参照文献として本明細書に取り込
まれる。)に開示されたように、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン又
はアセトニトリルのような非プロトン性極性溶媒中、Cs2CO3の存在下でほぼ
等モル量のインドールに加えることができる。この出願はまた、末端が保護され
たカルボキシ、保護されたヒドロキシ、又は保護されたアミンを有する結合性ア
ルカン分子及び末端脱離基で開
始する、内部にエーテル(−O−)、アミノ(−NH−)又はアミド(−CON
H−)結合を含有する架橋部分を形成する方法を開示する。
活性化されたマレイミドの種類に依存して、一般に式(I)又は(II)/(VII
)の化合物が製造される。
本発明の実施で予期される種々の反応の生成物は、沈殿、抽出、蒸留、クロマ
トグラフィー等を含めた従来の手順を用いて単離することができる。
先に述べたように、本方法は、式(I)又は(II)の化合物を合成するのに有
用である。これらの化合物は、PKC阻害剤であり、PKCに関係する疾患を治
療するのに有用である。治療目的で投与されるPKC阻害化合物の量は、哺乳動
物でPKC活性を阻害することができる量である。もちろん、投与される化合物
の個々の投与量は、投与する化合物、投与の経路、治療される個々の症状、及び
同様の考慮すべき事項を含めた事例を取り巻く個々の環境により決定されるであ
ろう。これらの化合物は、経口、直腸、経皮、皮下、局所、静脈内、筋肉内又は
鼻腔内経路を含めた種々の経路で投与されうる。例
以下の調製例及び例は、本発明を例示し、及び説明するために提供される。特
に断らない限り、部及びパーセンテージの表記は重量に基づき、全ての温度は摂
氏を表す。本発明の範囲は、単に以下の例より構成されない。以下の例及び調製
例において、融点、核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトル、シリカゲルでの高
速液体クロマトグラフィー、N,N−ジメチルホルムアミド、パラジウム−炭(pa
lladium on charcoal)、テトラヒドロフラン、及び酢酸エチルは、それぞれ、M
.Pt.、NMR、MS、HPLC、DMF、Pd/C、THF、及びEtOA
cと略記した。「NMR」及び「MS」の語は、スペクトルが所望の構造と一致
することを示す。
調製例1:N−メチルインドール−3−アセトアミド
ペンタンで洗浄した水素化ナトリウム(2.73g、68.2mmol、1.2e
q)の無水DMF(125mL)懸濁液へ、窒素下5℃でインドール−3−アセ
トアミド(9.89g、56.8mmol)を加えた。15分後、氷浴を除き、30
分攪拌を続けた。反応物を5℃に冷却し、次いでDMF(15mL)中のヨード
メタン(4.3mL、68.2mmol、1.2eq)を滴下した。添加が完了した
後、反応物を30分間5℃に維持し、次いで3時間かけて室温に暖めた。TLC
(9CH2Cl2/1CH3CN×3)で出発物質は示されなかった。反応物を水(
200mL)及びEtOAc(600mL)にあけ、二相混合物を分離した。水相
部分をEtOAc(5×200mL)で抽出した。合わせたEtOAc部分を食
塩水(2×250mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下に蒸発させた。
蒸発の工程で、白色固体が溶液から生じた。これを濾過し、乾燥して6.78g
(63%)の固体を得た。
1H NMR(d6-DMSO):δ3.41(2H,s);3.69(3H, s); 6.80(1H,bs);
6.97(1H,m); 7.09(1H,m); 7.12(1H,s); 7.29(1H,bs); 7.34(1H,d,
J=8Hz),7.51(1H,d,J=8Hz)
MS: MW=188.23; 観測(FD,MeOH),188
IR: KBr) 1625,3438
EA: 元素分析; C11H12N2Oに対する計算値: C,70.19; H,6.43; N,
14.88.測定値: C,70.39; H,6.60; N,14.91.
調製例2:4−(1−メチルインドール−3−イル)−3−ヒドロキシ−1H
−ピロール−2,5−ジオン
N−メチルインドール−3−アセトアミド(6.06g、32.2mmol)の無
水DMF(100mL)へ、窒素下でシュウ酸ジメチル(4.18g、35.4m
mol、1.1eq)を加えた。この溶液を5℃に冷却し、次いでカリウムt−ブ
トキシド(3.98g、34.5mmol、1.1eq)を加えた。この溶液は迅速
に暗橙色になった。15分後、更にカリウムt−ブトキシド(3.98g、35
.4mmol、1.1eq)を加えた。更に15分後、氷浴を除去し、1時間後、T
LC(EtOAc)で出発物質が残っていないことが示された。時間をかけると
、反応混合物に大量の沈殿が生じる。反応混合物を、水/EtOAcの助けによ
り1NHCl(250mL)/EtOAc(500mL)の二相混合物で洗浄した
。これらの相を分離し、水相をEtOAc(3×200mL)で洗浄した。次に
、合わせたEtOAc部分を食塩水(2×200mL)で洗浄し、乾燥(Na2S
O4)し、濾過し、減圧下に濃縮して13.5gの暗黄色の固体を得た。この物
質を、冷CH2Cl2中で粉末化し、濾過し、6.73g(86%)のオレンジ色
の粉末を得た。
1H NMR(d6-DMSO):δ3.79(3H,s); 7.04(1H,m); 7.16(1H,m);
7.40(1H,d,J=8Hz); 7.80(1H,s); 8.09(1H,d,J=8Hz); 10.48(1H,
s); 11.71(1H,bs)
13C NMR(d6-DMSO,500MHz):δ32.56,103.33,106.18,109.68,
119.25,121.64,122.29,125.78,130.23,136.35,147.09,168.68,
172.42
MS: MW=242.23,観測(FD,MeOH),242
IR: KBr; 1529,1692,1773,3203
EA: 元素分析; C13H10N2O3に対する計算値: C,64.46; H,4.16; N,
11.56.測定値: C,64.24; H,4.18; N,11.70.
調製例3:4−(1−メチルインドール−3イル)−3−ヒドロキシ−1−メ
チル−ピロール−2,5−ジオン
4−(1−メチルインドール−3−イル)−3−ヒドロキシ−1H−ピロール
−2,5−ジオン(4.84g、20mmol)の無水DMF(150mL)溶液へ
、窒素下5℃でNaH(1.76g、44mmol、2.2eq)を加えた。30分
後、氷浴を除去し、攪拌を1.5時間続けた。反応混合物を5℃に冷却し、ヨー
ドメタン(1.37g、22mmol、1,1eq)を加えた。この後、反応混合物
をゆっくり室温まで暖め、3時間後、反応の完結をTLC(2EtOAc/1ヘ
キサン)で確かめた。DMFの一部を減圧下に除去し、残りをEtOAc(80
0mL)にあけた。有機相を1NHCl(200mL)で洗浄し、EtOAc(2
×200mL)で再洗した。次にEtOAc部分を食塩水(2×200mL)で洗
浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下に濃縮して赤色の固体を得た。こ
の固体をCH2Cl2から再結晶し、3.13gの生成物を得た。二回及び三回生
成物を回収し、更に1.06gの生成物を得た。これに対する全収率は82%で
ある。
1H NMR(d6-DMSO):δ2.89(3H,s); 3.80(3H,s); 7.04(1H,m);
7.16(1H,m); 7.41(1H,d,J=8Hz); 7.80(1H,s); 8.09(1H,d,J=8Hz);
11.90(1H,bs)
MS: MW=256.26,観測(FD,MeOH),256
IR: (CHCl3)1704,2978,3482
EA: 元素分析; C14H12N2O3に対する計算値: C,65.61; H; 4.72; N,
10.93.測定値: C,65.70; H,4.76; N,10.66.
調製例4:4−(1−メチルインドール−3−イル)−3−トリフレート−1
−メチル−ピロール−2,5−ジオン(トリフレート)
エノール 4−(1−メチルインドール−3−イル)−3−ヒドロキシ−1−
メチル−ピロール−2,5−ジオン(1.54g、6mmol)のCH2Cl2(12
0mL)懸濁液へ、窒素下、−78℃でトリエチルアミン(2.09g、15mmo
l、2.5eq)を加え、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.51mL.
9mmol、1,5eq)をゆっくり加えた。反応混合物を、−78℃で1時間攪拌
した。固体物質は、徐々に溶解した。CH2Cl2を減圧下に除去し、得られた残
渣をEtOAc(200mL)に溶解した。EtOAcを水(4×100mL)、
0.1NNaOH(100mL)、次いで食塩水(2×100mL)で洗浄し、乾
燥(MgSO4)し、減圧下に蒸発させて2.35gのオレンジ色の固体を得た
。分析的に純粋な物質を、エーテル/ヘキサン中でこの物質を粉末化し、次いで
濾過することにより得、1.85g(79%)の黄色の固体を得た。(小スケー
ルでも、分析的に純粋な物質が粉末化することなく、96%の収率で得られる。
)
1H NMR(d6-DMSO):δ2.97(3H,s); 3.91(3H,s); 7.22-7.34(2H,
m); 7.58(1H,d,J=8Hz); 7.68(1H,d,J=8Hz); 8.25(1H,s)
MS: MW=388.2,観測(FD,MeOH),測定値,388
EA: 元素分析; C15H11F3N2O5Sに対する計算値: C,46.40; H,2.86;
N,7.21.測定値: C,46.59; H,3.12; N,7.33.
調製例5:N−メチル-1H−インドール−3−アセトアミド
インドール−3−酢酸(17.5g、100mmol)のMeOH(200mL)
溶液へ濃硫酸(2mL)を加え、反応混合物を5時間還流した。後処理及び減圧
下での濃縮後、物質をChem.Pharm.Bull.(1990)38,2632に従って、MeOH(
60mL)に溶解し、40%メチルアミン(30mL)で処理した。後処理後、物
質をシリカパッドをEtOAcを用いて通し17.2g(91%)の油状物を得
た。この油状物を更に生成することなく、次の調製例6の反応に使用した。
調製例6:N−メチル−1−(2−(トリメチルシリル)エトキシ)−インド
ール−3−アセトアミド
N−メチル-1H−インドール−3−アセトアミド(17.2g、91.5mmo
l)の無水THF(300mL)溶液へ、窒素下5℃で水素化ナトリウム(4.4
g、110mmol、1.2eq)を加えた。30分後、氷浴を除去し、反応混合物
を更に30分かけて室温間で暖めた。次に、2−(トリメチルシリル)エトキシ
−メチルクロライド(19.3g、110mmol、1.2eq)のTHF(50m
L)溶液を30分かけて滴下した。添加が完了した後、反応混合物を1時間攪拌
した。このとき、TLC(4vol.EtOAc/1vol.ヘキサン)で、残留出発物
質の存在は示されなかった。THFを減圧下に除去し、得られた残渣をEtOA
c(250mL)及び水(250mL)の間に分配した。合わせたEtOAc部分
を食塩水(2×200mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下
に蒸発させて33.1gの黄色の油状物を得た。この物質を、ウォータス200
0LC分取HPLCを用いて精製し、13.3gの白色固体を得た。この物質を
エーテル/ヘキサンから再結晶して11.23g(39%)の白色の薄片(mp
.92〜93℃)を得た。
1H NMR(d6-DMSO):δ-0.10(9H,s); 0.80(2H,t,J=8Hz);
2.55(3H,d,J=4.5Hz); 3.43(2H,t,J=8Hz); 3.46(2H,s); 5.47(2H,
s); 7.03(1H,m); 7.13(1H,m); 7.27(1H,s); 7.47(1H,d,J=8Hz),
7.54(1H,d,J=8Hz); 7.83(NH,bm)
MS: MW=318.49,観測(FD,MeOH),318
IR: (CHCl3) 1531,1660,2957,3432
EA: 元素分析; C17H26N2O2Siに対する計算値: C,64.11; H,8.23;
N,8.80.測定値: C,63.85; H,7.98; N,9.04.
調製例7:N−(P−メトキシベンジル)−1−(メチル)−インドール−3
−アセトアミド
出発物質であるN−メチルインドール−3−酢酸を、エチル 3−インドール
アセテートをヨードメタンでアルキル化し(Synthesis,(1981)461)、次いで塩
基加水分解することによって調製した。
5℃に冷却したN−メチルインドール−3−酢酸(1.89g、10mmol)の
無水CH2Cl2(30mL)溶液へ、窒素下で塩化オキサリル(2.2mL、25
mmol、2.5eq)及び4滴のDMFを加えた。1時間後、氷浴を除き、3時間
後、全ての塩化オキサリルを除去するため、一夜反応混合物を減圧下に蒸発させ
た。得られた茶色の油状物を、無水CH2Cl2(40mL)に溶解し、窒素下で
5℃に冷却した。4−メトキシベンジルアミン(2.74g、20mmol)のCH2
Cl2(20mL)溶液を滴下し、反応混合物を18時間かけて室温まで暖めた
。CH2Cl2を減圧下に蒸発させ、得られた残渣をEtOAc/水の間に分配し
た。水層と有機層を分離し、EtOAcを再度水で洗浄し、次いで水をEtOA
cで再抽出した。合わせたEtOAc部分を、重炭酸ナトリウム、食塩水で洗浄
し、乾燥(Na2SO4)し、濾過し、減圧下に蒸発させて2.8gの茶色の油状
物を得た。この物質を1vol.ヘキサン/1vol.EtOAcを用いてフラッシュカ
ラムに通し、2.10gの固体を得た。この物質を、エーテル/CH2Cl2から
再結晶し、1.73g(4
9%)の白色結晶を得た。
1H NMR(d6-DMSO):δ3.51(2H,s); 3.69(3H,s); 3.71(3H,s); 4.16(2
H,d,J=6Hz); 6.82(2H,m); 7.00(1H,m); 7.12(4H,m); 7.35(1H,
d,J=8Hz); 7.52(1H,d,J=6Hz); 8.31(1H,t,J=6Hz)
MS: MW=308.38; 観測(FD,MeOH),308
EA: 元素分析; C19H20N2O2に対する計算値: C,74.03; H,6.54; N,9.
08.測定値: C,74.06; H,6.53; N,9.21.
調製例8:N−(2,4−ジメトキシベンジル)−1−(メチル)−インドー
ル−3−アセトアミド
3−インドール酢酸(8.76g、50mmol)及びN−ヒドロキシスクシンイ
ミド(5.75g、50mmol)のジメトキシエタン(100mL)溶液へ、窒素
下5℃でジシクロヘキシルカルボジイミド(10.32g、50mmol)を加えた
。反応混合物を20分攪拌し、次いで冷蔵庫に16時間放置した。次に、反応混
合物を濾過し、濾液を減圧下に蒸発させてゴム状の残渣を得た。この物質をイソ
プロパノールから再結晶して7.33g(54%)の白色固体を得た。
MS: MW=272.26; 観測(FD,MeOH),272.
上記のようにして得られたスクシンイミドエステル(7.00g、25.7mm
ol)のCH2Cl2(130mL)溶液へ、窒素下で2,4−ジメトキシベンジル
アミン(5.15g)30.8mmol、1.2eq)のCH2Cl2(20mL)溶
液を加えた。反応混合物を室温で16時間攪拌した。CH2Cl2を減圧下に除去
し、得られた残渣をEtOAcに溶解した。このEtOAcを水(2×)、1N
NaOH(1×)、1NHCl(1×)、及び食塩水(2×)で洗浄し、乾燥(
Na2SO4)し、
濾過し、減圧下に蒸発させて8.33g(定量的収量)の固体を得た。
このインドールマレイミド(8.33g、25.7mmol)の無水DMF(20
0mL)溶液を、上記調製例1と同様な方法でヨードメタン(1.70mL、27
mmol)と処理した。引き続き後処理し、CH2Cl2/ヘキサンから再結晶して6
.65g(77%)の白色固体を得た。
1H NMR(CDCl3):δ3.38(3H,s); 3.72(2H,s); 3.76(3H,s);
3.77(3H,s); 4.28(2H,d,J=6Hz); 6.23(NH,bt); 6.28(1H,d,J=2Hz);
6.36(1H,dd,J=2Hz,J=8Hz); 6.96(1H,s); 7.10(2H,m); 7.24(1H,
m); 7.32(1H,d,J=8Hz); 7.47(1H,d,J=8Hz)
MS: MW=338.41,観測(FD,MeOH),338
EA: 元素分析; C20H22N2O3・0.2M CH2Cl2に対する計算値: C,68.27; H;
6.35; N,7.88.測定値: C,68.51; H,6.45; N,8.08.
調製例9〜11:4−(1−置換インドリル−3−イル)−3−ヒドロキシ−
1−置換−ピロール−2,5−ジオン
調製例1に記載した手順、並びに、調製例6、7、及び8の生成物をそれそれ
出
発物質として使用し、対応する親化合物(NMR、MS、EAで確認した。)を
、それぞれ62%、37%及び71%の収率で製造した。
調製例4の手順を用いて、調製例9、10及び11の化合物を対応するトリフ
レートに変換することができる。
調製例12:ジクロロ−N−メチルマレイミド
磁気攪拌機、デジタル熱電対/温度計、窒素パージ及び固体添加用漏斗を備え
た3L−三口フラスコに450g(269.5mol)のジクロロマレイン酸無水
物、191g(282.8mol)のメチルアミン塩酸塩及び1.6Lの酢酸を充
填した。次に、反応混合物を10℃に冷却し、160gのNaOMeを、10〜
12℃の間の温度を維持しながら1時間かけて固体添加用漏斗から加えた。反応
混合物を42時間(24時間で十分である。)室温で攪拌し、次いで100℃で
3時間加熱した。この時点でのHPLC分析で、出発物質が全て消失しているこ
とが示された。反応物を室温に冷却し、2Lの水を加えた。次に混合物を3〜1
0で1時間冷却し、4℃で濾過した。次に、固体を2Lの冷脱イオン化水で洗浄
した。淡黄色の固体を一夜空気O−文中で乾燥し、360g(75%)の表題化
合物を得た。
調製例13:4−(1−メチルインドール−3−イル)−3−ブロモ−1−(
4−メトキシベンジル)−ピロール−2,5−ジオン
エノール 4−(1−メチルインドール−3−イル)−3−ヒドロキシ−1−
(4−メトキシベンジル)−ピロール−2,5−ジオン(26mg、0.072mmo
l)
のCH2Cl2(0.5mL)懸濁液へ、窒素下でDMF(10uL、0.094mmo
l、1.3eq)を加えた。この懸濁液を5℃に冷却し、臭化オキサリル(8u
L.0.086mmol、1.2eq)で処理した。この懸濁液を室温で1時間攪拌
した。この時点で、TLC(1ヘキサン/1EtOAc)は反応していないこと
を示した。この反応物を、更にDMF(10uL、0.094mmol)及び臭化オ
キサリル(8uL、0.086mmol)で処理し、16時間還流した。CH2Cl2
を減圧下に除去し、得られた残渣をEtOAcと飽和NaHCO3溶液との間に
分配した。層を分離し、水層を更にEtOAcで洗浄した。合わせたEtOAc
部分を食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下に蒸発させて29mgの赤
色のゴム状物を得た。この物質を、4ヘキサン/1EtOAcで溶出することに
よってフラッシュカラムで精製し、12mg(39%)の生成物を得た。
1H NMR(d6-DMSO):δ3.70(3H,s); 3.88(3H,s); 4.63(2H,s);
6.87(1H,d,J=8Hz); 7.16-7.30(2H,m); 7.54(1H; d,J=8Hz); 7.89(1H;
d,J=8Hz); 8.10(1H; s)
MS: MW=425.28,観測(FD,MeOH),測定値,425,427(Brアイソトープ)
例1:4−(1−メチル−3−インドリル)−3−(1−トシル−3−インド
リル)−1−(メチル)−ピロール-2,5−ジオン
トリフレート(777mg、2.0mmol)の無水ジオキサン(15mL)溶液を
窒素下で15℃の水浴に置いた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウ
ム−クロロホルム錯体(80mg、4モルパーセント)、N−トシル−3−インド
リルボロン酸(693mg、2.2mmol、1.1eq)、フッ化セシウム(1.0
0
g、6.6mmol、ボロン酸に対して3eq)及び臭化セシウム(1.4g、6.
6mmol)を加え、10分後水浴を除去し、反応混合物を周囲温度まで暖めた。5
時間後、TLC(3ppvヘキサン/1ppvEtOAc)で約10〜20%のトリフ
レートが残存していることが示され、従って、反応を18時間続けた。この後、
ジオキサンを減圧下に除去し、得られた残渣をEtOAc(75mL)及び水(
50mL)の間に分配した。層を分離し、水層部分をEtOAc(2×50mL)
で洗浄した。合わせたEtOAc部分を0.1NNaOH(2×50mL)(N
aOHをEtOAcで再洗浄した。)、及び食塩水(2×50mL)で洗浄し、
乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧下に蒸発させて、1.21gの粗製の茶色
い固体を得た。この物質を、9ppvヘキサン/1ppvEtOAc、5/1、3/1
、2/1及び1ppvヘキサン/1ppvEtOAcで連続して溶出するフラッシュク
ロマトグラフィーで精製し、559mg(55%)の黄色の固体を得た。
1H-NMR(d6-DMSO):δ2.34(3H,s); 3.02(3H; s); 3.84(3H,s);
6.08(1H,m); 6.28(1H; d,J=8Hz); 6.84(2H,m); 6.92(1H,t,J=8Hz);
7.15(1H,m); 7.37(3H,m); 7.85(3H; m); 7.96(1H,s); 8.02(1H,s)
MS: MW=509.58,観測(FD,MeOH),509
IR: (CHCl3) 1543,1700
EA: 元素分析; C29H23N3O4Sに対する計算値: C,68.35; H,4.55;
N,8.25.測定値: C,68.51; H,4.60; N,8.17.
例2:4−(1−メチル−3−インドリル)−3−(1H−3−インドリル)
−1−(メチル)−ピロール−2,5−ジオン
トシル置換基の除去による例1のインドリルの脱保護を以下のように進めた。
4
−(1−メチル−3−インドリル)−3−(1−トシル−3−インドリル)−1
−(メチル)−ピロール−2,5−ジオン(102mg、0.2mmol)のMeOH
/水(3mL/1mL)懸濁液へ、炭酸カリウム(138mg、1.0mmol、5eq
)を加え、反応混合物を8時間還流し、次いで60℃で16時間加熱した。反応
混合物は1〜2時間後に赤色の溶液になった。MeOHを減圧下に除去し、得ら
れた残渣をEtOAc/1NHCl(10mL/10mL)の間に分配した。水相
を分離し、更にEtOAc(10mL)で洗浄した。合わせたEtOAc部分を
食塩水(2×20mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧下に蒸発
させて74mgの赤色のゴム状物を得た。この物質をフラッシュカラムにかけ、9
8ppvCH2Cl2/1ppvイソプロパノール/1ppvアセトニトリルで溶出し、6
7mg(84%)の赤色固体を得た。これには0.5モルのCH2Cl2が含まれる
。
1H NMR(d6-DMSO):δ3.01(3H,s); 3.82(3H,s); 6.60(2H,m);
6.69(1H; d,J=8Hz); 6.80(1H,d,J=8Hz); 6.97(2H,m); 7.34(1H,d,
J=8Hz); 7.38(1H,d,J=8Hz); 7.70(1H,d,J=3Hz); 7.79(1H,s);
11.64(NH,m)
MS: MW=355.40,観測(FD,MeOH),356
EA: 元素分析; C22H17N3O2・0.5M CH2Cl2に対する計算値: C,67.93;
H; 4.56; N,10.56.測定値: C,68.46; H; 4.65; N,10.54.
本発明の原理、好ましい態様及び操作の方法をこれまでの明細書中で開示した
。しかし、ここで保護されることを意図した本発明は、これらが限定よりもむし
ろ例示と考えられるので、開示された個々の形態に制限されると解釈するべきで
はない。当業者は、先に説明した方法の変更を理解し、式(I)及び(II)の化
合物を製造するための先の開示に基づいて、反応条件の適切な修飾を理解するで
あろう。また、本発明の方法で使用する式(I)及び(II)の化合物を合成する
のに使用することができる他の出発物質は公知であるか、又は公知の方法で調製
することができる。
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O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
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US,UZ,VN
(72)発明者 マクドナルド、ジョン・ハンプトン・サー
ド
アメリカ合衆国、インディアナ州 46285、
カーメル、ポーツマス・コート 433
(72)発明者 ニール、デイビッド
アメリカ合衆国、インディアナ州 46073、
ザイアンスビル、サウス・ナインハンドレ
ッド・イースト 1893