JPH1150801A - 容積形流体機械 - Google Patents

容積形流体機械

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JPH1150801A
JPH1150801A JP9205827A JP20582797A JPH1150801A JP H1150801 A JPH1150801 A JP H1150801A JP 9205827 A JP9205827 A JP 9205827A JP 20582797 A JP20582797 A JP 20582797A JP H1150801 A JPH1150801 A JP H1150801A
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JP
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cylinder
displacer
center
fluid machine
suction
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JP9205827A
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English (en)
Inventor
Shigeru Machida
茂 町田
Hirokatsu Kosokabe
弘勝 香曽我部
Shiyunichi Mitsuya
俊一 三津谷
Yuji Yoshitomi
雄二 吉富
Masahiro Takebayashi
昌寛 竹林
Koichi Inaba
恒一 稲場
Hiroaki Hatake
裕章 畠
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C1/00Rotary-piston machines or engines
    • F01C1/02Rotary-piston machines or engines of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents
    • F01C1/0207Rotary-piston machines or engines of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents both members having co-operating elements in spiral form
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
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    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents
    • F04C18/04Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents of internal-axis type
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2230/00Manufacture
    • F04C2230/60Assembly methods

Abstract

(57)【要約】 【課題】端板間にディスプレーサとシリンダとを配置
し、シリンダ中心とディスプレーサ中心を合わせたとき
前記シリンダ内壁面及びディスプレーサ外壁面により1
つの空間が形成され、ディスプレーサ及びシリンダとの
位置関係を旋回位置においたときは複数の空間が形成さ
れる容積形流体機械の効率低下を抑制する。 【解決手段】端板の一方と、シリンダ内面から内包に向
かって突出するベーンとを固定することにより、ベーン
の変形を抑制して、変形による作動流体の漏れを少なく
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばポンプ、圧
縮機、膨張機等に係り、特に容積形流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから容積形の流体機械として、円筒
状のシリンダ内をピストンが往復運動を繰り返すことに
より作動流体を移動させるレシプロ式流体機械、円筒状
のシリンダ内を円筒状のピストンが偏心回転運動するこ
とにより作動流体を移動させるロータリ式(ローリング
ピストン型)流体機械、端板上に直立した渦巻状のラッ
プを有する一対の固定スクロール及び旋回スクロールを
噛み合わせ、旋回スクロールを旋回運動させることによ
り作動流体を移動させるスクロール式流体機械が知られ
ている。
【0003】レシプロ式流体機械は、その構造が単純で
あることから製作が容易でかつ安価であるという利点が
ある反面、吸入終了から吐出終了までの行程が回転軸の
回転角で180度と短く、吐出過程の流速が速くなるた
め圧力損失の増加による性能低下という問題、及び、ピ
ストンを往復させる運動を必要とするため回転軸系の不
釣合慣性力を完全にバランスさせることができず振動や
騒音が大きいという問題がある。
【0004】また、ロータリ式流体機械は、吸入終了か
ら吐出終了までの行程は回転軸の回転角で360度であ
るため吐出過程の圧力損失が増加するという問題はレシ
プロ式流体機械に比べ少ないものの、軸1回転に1回吐
出するものであるためガス圧縮トルクの変動が比較的大
きくレシプロ式流体機械と同様に振動と騒音の問題があ
る。
【0005】さらに、スクロール式流体機械は、吸入終
了から吐出終了までの行程が回転軸の回転角で360度
以上と長い(空調用として実用化されているものは通常
900度程度)ため吐出過程の圧力損失が小さく、か
つ、一般に複数の作動室が形成されるため1回転中のガ
ス圧縮トルクの変動も小さく振動及び騒音が小さいとい
う利点がある。しかし、ラップ噛み合い状態での渦巻状
のラップ間のクリアランスや、端板とラップ歯先間のク
リアランスの管理が必要で、そのために精度の高い加工
を施さねばならず加工費用が高価になるという問題があ
る。また、吸入終了から吐出終了までの行程が回転軸の
回転角で360度以上と長く、圧縮過程の期間が長けれ
ば長いほど内部漏れが増加するという問題があった。
【0006】ところで、作動流体を移動させるデイスプ
レ−サが作動流体が吸入されたシリンダに対して相対的
に自転運動せずにほぼ一定の半径で公転運動、すなわち
旋回運動することにより作動流体を搬送する容積形機械
の一種が特開昭55−23353号公報(文献1)、米
国特許2112890号公報(文献2)、特開平5−2
02869号公報(文献3)及び特開平6−28075
8号公報(文献4)に提案されている。ここに提案され
ている容積形流体機械は、複数の部材(ベーン)が中心
より放射状に延びている花びら形状を有するピストン
と、このピストンとほぼ相似形の中空部を有するシリン
ダとから構成され、このピストンがこのシリンダ内を旋
回運動することによって、作動流体を移動させるもので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記文献1乃至文献4
に示された容積形流体機械は、レシプロ式のように往復
運動する部分を持たないため、回転軸系の不釣り合いを
バランスさせることができる。このため振動が小さく、
さらに、ピストンとシリンダ間の相対滑り速度が小さい
ので摩擦損失を比較的少なくできるといった特長を備え
ている。
【0008】しかしながら、ピストンを構成する複数の
ベ−ンとシリンダとによって形成される個々の作動室の
吸入終了から吐出終了までの行程が、回転軸の回転角θ
cで約180度(210度)と短い(ロ−タリ式の約半
分でレシプロ式と同程度)ため、吐出過程における流体
の流速が速くなり圧力損失が増加して性能が低下する問
題がある。また、これら文献に示された流体機械では、
個々の作動室の吸入終了から吐出終了までの回転軸の回
転角が小さく、作動流体の吐出が終了してから次の(圧
縮)行程が始まる(吸入終了)までの時間的なずれ(タ
イムラグ)が存在していることとなり、吸入終了から吐
出終了までの作動室が回転軸周りに偏って形成されるよ
うになるため力学的なバランスが悪く、圧縮された作動
流体からの反力としてピストンに、ピストン自身を回転
させようとする自転モ−メントが過大に作用し、ベ−ン
の摩擦や摩耗といった信頼性上の問題が起こりやすいと
いう欠点がある。
【0009】この問題を解決するため、端板間にディス
プレーサとシリンダとを配置し、前記シリンダ中心と前
記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁
面及び前記ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形
成され、前記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置
関係を旋回位置においたときは複数の空間が形成される
容積形流体機械において、前記複数の空間の内、吸入が
終了し吐出が終了するまでの行程となっている空間の数
の最大値が、前記シリンダ内方に向かって突出する突出
部の数以上となるように前記シリンダ内壁面及び前記デ
ィスプレーサ外壁面を形成した(端板間にディスプレー
サとシリンダとを配置し、前記シリンダ中心と前記ディ
スプレーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁面及び
前記ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形成さ
れ、前記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置関係
を旋回位置においたときは複数の空間が形成される容積
形流体機械において、前記複数の空間の内、吸入が終了
し吐出が終了するまでの行程の回転軸の回転角θcが下
式を満たすように、 (((N−1)/N)・360)<θc≦375 (度) ただし、Nは前記シリンダ内方に向かって突出する突出
部の数である。
【0010】前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレー
サ外壁面を形成した)容積形流体機械を開発した。この
容積形流体機械は、吐出過程の流体損失をスクロール式
流体機械並に小さくでき、かつ、スクロール式流体機械
よりも製作容易であるといった特徴を備えている。
【0011】ところで、上記開発したものを含む前記文
献に記載された、端板間にディスプレーサとシリンダと
を配置し、前記シリンダ中心と前記ディスプレーサ中心
を合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレ
ーサ外壁面により1つの空間が形成され、前記ディスプ
レーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回位置におい
たときは複数の空間が形成される容積形流体機械を圧縮
機として運転すると、特に高速域で全断熱効率が低下し
てしまうという問題が発生した。
【0012】本発明の目的は、実運転時に、性能の低下
を抑制しうる容積形流体機械を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は、端板間にデ
ィスプレーサと内方に向かって突出する突出部を有する
シリンダとを配置し、前記シリンダ中心と前記ディスプ
レーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁面及び前記
ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形成され、前
記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置関係を旋回
位置においたときは複数の空間が形成される容積形流体
機械において、前記少なくとも一方の端板と前記突出部
とを固定することにより達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の特徴は以下
の実施形態によりさらに明確になる。以下、本発明の一
実施の形態を図を用いて説明する。まず、本発明の一実
施形態である容積形流体機械の構造を図1乃至図3を用
いて説明する。図1(a)は本発明の一実施形態である容
積形流体機械を圧縮機として用いた場合における密閉型
圧縮機の要部を示す縦断面図((b)のA-A断面図)、(b)
は(a)のB-B矢視で圧縮室を形成している状態を示す平面
図、図2は容積形圧縮要素の作動原理図、図3は本発明
の一実施形態である容積形流体機械を圧縮機として用い
た場合における密閉型圧縮機の縦断面図である。
【0015】図1において、密閉容器3内には、容積形
圧縮要素1及びこれを駆動する電動要素(図3に示す要
素2)が収納されている。容積形圧縮要素1の詳細を説
明する。図1(b)には同様の輪郭形状が3組組み合わさ
れた3条ラップが示されている。シリンダ4の内周形状
は、中空部が120度(中心o’)毎に同じような形状
が表れるように形成されている。この個々の中空部の端
部には、内方に向かって突出する複数(この場合は3条
ラップであるので3つ存在する)のベ−ン4bを有す
る。ディスプレーサ5は、このシリンダ4の内側に配設
されシリンダ4の内周壁4a(ベーン4bよりも曲率が
大きい部分)及びベ−ン4bと噛み合うように互いの中
心をεだけずらして構成されている。尚、シリンダ4の
中心o’とディスプレーサ5の中心oを一致させると、
両者の輪郭形状の間には一定幅の隙間が形成される様に
構成される。
【0016】次に、容積形圧縮要素1の作動原理を図1
及び図2により説明する。記号oはディスプレーサ5の
中心、記号o’はシリンダ4(あるいは回転軸6)の中
心である。記号a,b,c,d,e,fはシリンダ4の
内周壁4a及びベ−ン4bとディスプレーサ5の噛み合
いの接点を表す。ここで、シリンダ4の内周輪郭形状を
みると、同じ曲線の組合せが3箇所連続して滑らかに接
続されている。このうちの1箇所に着目すると、内周壁
4a、ベ−ン4bを形作る曲線を、厚みのある一つの渦
曲線(ベーン4bの先端を渦の巻始めと考える)とみる
ことができ、その内壁曲線(g−a)は、曲線を構成す
る各円弧角の合計である巻き角がほぼ360度(設計思
想は360度であるが製造誤差のため丁度その値にはな
らないという意味である。以下、同様。尚、この巻き角
については詳細を後述する)の渦曲線で、外壁曲線(g
−b)も巻き角がほぼ360度の渦曲線である。このよ
うに、上記1箇所の内周輪郭形状は、内壁曲線及び外壁
曲線から形成されている。これら2つの曲線円周上にほ
ぼ等ピッチ(3条ラップであるので120度)に配設
し、隣合う渦巻体の外壁曲線と内壁曲線とは円弧等の滑
らかな接続曲線(b−b’)で結ぶことによって、シリ
ンダ4の内周輪郭形状全体が構成されている。ディスプ
レーサ5の外周輪郭形状も上記シリンダ4と同じ原理で
構成されている。
【0017】なお、3つの曲線からなる渦巻体を円周上
にほぼ等ピッチ(120度)に配設するとしたが、これ
は後述する圧縮動作に伴う荷重を均等に分散させる目的
と製造のし易さを配慮したためで、特に、これらのこと
が問題にならない場合は、不等ピッチでもよい。
【0018】さて、このように構成されたシリンダ4と
ディスプレーサ5による圧縮動作を図2を用いて説明す
る。7aは吸入ポートであり、8aは吐出ポートであ
り、夫々3か所対応する端板に設けられている。回転軸
6を回転させることにより、ディスプレーサ5が固定側
であるシリンダ4の中心o’の周りを自転することなし
に旋回半径ε(=oo’)で公転運動し、ディスプレー
サ5の中心o周りに複数の圧縮作動室が形成される。こ
の圧縮作動室は,シリンダ内周輪郭(内壁)とディスプ
レーサ5の外周輪郭(側壁)とにより囲まれて密閉され
た複数の空間のうち、吸入が終了し圧縮(吐出)行程と
なっている空間をいう。すなわち吸入終了から吐出終了
までの期間となっている空間である。前述の巻角が36
0度の場合に限ると、圧縮終了時点ではこの空間は無く
なるが、その瞬間に吸入も終了するのでこの空間を1つ
と勘定する。但し、ポンプとして用いる場合は、吐出ポ
ートを介して外部と連通している空間をいう。なお,本
実施例の形態では常時3個の圧縮作動室が形成される。
【0019】接点aと接点bで囲まれハッチングが施さ
れた1つの圧縮作動室15に着目して説明する。この圧
縮作動室15は,吸入終了時点では2つに別れている
が、圧縮行程が開始されると直ぐにこの2つの作動室は
つながって1つになる空間である。図2(1)が吸入ポ
−ト7aからこの作動室への作動ガスの吸入が終了した
状態である。この状態から90度回転軸6が回転した状
態が図2(2)で、回転が進み最初から180度回転し
た状態が図2(3)で、さらに回転が進み最初から27
0度回転した状態が図2(4)である。図2(4)から
90度回転すると最初の図2(1)の状態に戻る。これ
より、回転が進むに従って作動室15はその容積を縮少
し、吐出ポ−ト8aは吐出弁9(図1に示す)で閉じら
れているため作動流体の圧縮作用が行われることにな
る。そして、作動室15内の圧力が外部の吐出圧力より
も高くなると圧力差で吐出弁9が自動的に開き、圧縮さ
れた作動ガスは吐出ポ−ト8aを通って吐き出される。
吸入終了(圧縮開始)から、吐出終了までの回転軸の回
転角は360度で、圧縮、吐出の各行程が実施されてい
る間に次の吸入行程が準備されており、吐出終了時が次
の圧縮開始となる。例えば、接点aとdによって形成さ
れる空間に着目すると、図2(1)の段階で既に吸入ポ
ート7aから吸入が開始されており、回転が進むにつれ
てその容積が増し、図2(4)の状態になると、この空
間は分断される。この分断された量に相当する流体は接
点bとeによって形成される空間から補われる。
【0020】この補われ方について詳述する。図2
(1)の状態の接点aとbとにより形成された作動室の
隣の接点aとdによって形成された空間は吸入が始まっ
ている。この空間は、一旦図2(3)に示されるように
広がった後、図2(4)になると接点dによって分断さ
れてる。従って、接点aとdによって形成された空間の
全ての流体が接点aとbによって形成される空間で圧縮
される訳ではない。分断されて接点aとdによって形成
された空間に取り込まれなかった流体体積と同量の流体
は、図2(4)において吸入過程にある接点bとeによ
って形成される空間が、図2(1)に示されるように接
点bによって分断されて、吐出ポート付近の接点eと接
点bとにより形成される空間に流入している流体によっ
て充当される。これは、前述したように、各ラップを均
等ピッチで配置したことによる。即ち、ディスプレーサ
およびシリンダの形状が同一輪郭形状の繰返しにより形
成されているため、いずれの作動室も異なる空間から流
体を得てもほぼ同量の流体を圧縮することができるので
ある。なお、不均等ピッチであっても各空間に形成され
る容積が等しくなるように加工を施すことは可能である
が製作性が悪い。前出のいずれの従来技術においても吸
込過程にある空間が閉じられて内部の流体がそのまま圧
縮され吐出されるのに対して、このように作動室に隣合
う吸入過程にある空間が分断されて圧縮動作を行うこと
は本実施形態の特徴の一つでである。
【0021】以上説明したように、連続的な圧縮動作と
なる作動室がディスプレーサ5の中心部に位置する回転
軸6のクランク部6aの周りにほぼ等ピッチで分散して
配設され、各作動室は各々位相がずれて圧縮が行われ
る。すなわち、一つの空間に着目すると吸入から吐出ま
では回転軸の回転角で360度ではあるが、本実施形態
の場合3個の作動室が形成され、これらが120度ずれ
た位相で吐出をするので、流体である気体を圧縮する圧
縮機として動作させた場合、回転軸の回転角で360度
間に3回圧縮気体を吐出することになる。
【0022】さて、圧縮動作を終了した瞬間の空間(接
点aとbによって囲まれた空間)を一つの空間として見
做すと、本実施形態の如く巻角が360度の場合、いず
れの圧縮機動作状態においても、吸入行程となっている
空間と圧縮行程となっている空間とが交互になるように
設計されており、このため、圧縮行程が終了した瞬間直
ちに次の圧縮行程に移行することができ、滑らかで連続
的に流体を圧縮することができる。
【0023】次に、このような形状をした容積形圧縮要
素1を組み込んだ圧縮機を図1及び図3を用いて説明す
る。図3において、容積形圧縮要素1は、上記詳述した
シリンダ4及びディスプレーサ5に加えて、ディスプレ
ーサ5の中心部の軸受にクランク部6aが嵌合してディ
スプレーサ5を駆動する回転軸6、前記シリンダ4の両
端開口部を閉塞する端板と回転軸6を軸支する軸受を兼
ねた主軸受部材7と副軸受部材8、前記主軸受部材7の
端板に形成された吸入ポ−ト7a、前記副軸受部材8の
端板に形成された吐出ポ−ト8a、この吐出ポ−ト8a
を差圧で開閉する吐出弁9を有する。但し吐出弁9はリ
−ド弁形式でもよい。一方,回転軸6もしくはこれを回
転可能に軸支する軸受部材の表面は摺動による摩擦損失
の低減を図って表面処理がなされている。また,回転軸
6と各軸受部材7,8との間にはこれらと材質の異なる
軸受部品を介在することもできる。さらに,回転軸6と
ディスプレーサ5との嵌合部も前記と同じように構成し
ている。5bはディスプレーサ5に形成された貫通穴で
ある。また、10は主軸受部材7に取り付けられた吸入
カバ−、11は副軸受部材8に一体的に吐出室8bを形
成するための吐出カバ−である。
【0024】電動要素2は、固定子2aと回転子2bか
らなり、回転子2bは回転軸6に焼き嵌め等で固定され
ている。この電動要素2は、電動機効率向上のため、ブ
ラシレスモータで構成され、3相インバータにより駆動
制御される。ただし、2は他の電動機形式、例えば、直
流電動機や誘導電動機でも差し支えない。
【0025】12は密閉容器3の内の底部に溜められた
潤滑油で、この中に回転軸6の下端部が浸かっている。
13は吸入パイプ、14は吐出パイプ、15はシリンダ
4の内周壁4a及びベ−ン4bとディスプレーサ5の噛
み合いによって形成される前述した作動室である。ま
た、吐出室8bはOリング等のシ−ル部材16により密
閉容器3内の圧力と区画されている。
【0026】本実施形態における容積形流体機械を空調
用圧縮機として利用した場合、その作動ガス(冷媒ガ
ス)の流れを図1により説明する。図中に矢印で示すよ
うに、吸入パイプ13を通って密閉容器3に入った作動
ガスは、主軸受部材7に取り付けられた吸入カバ−10
内に入り吸入ポ−ト7aを通って容積形圧縮要素1に入
り、ここで回転軸6の回転によってディスプレーサ5が
旋回運動を行い作動室の容積が縮少することにより圧縮
される。圧縮された作動ガスは、副軸受部材8の端板に
形成された吐出ポ−ト8aを通り吐出弁9を押し上げて
吐出室8b内に入り、吐出パイプ14を通って外部に流
出する。尚、吸入パイプ13と吸入カバー10との間に
隙間が形成されている理由は、密閉容器3内の圧力を低
く保つためと作動ガスを電動機要素2内にも流通させる
ことによって電動機要素を冷却するためである。
【0027】内部に溜められた潤滑油12は、差圧や遠
心ポンプ給油によって底部から回転軸6内部に設けられ
た穴を通って、各摺動部に送られ潤滑する。この一部は
作動室内部にもディスプレーサと端板間の隙間を通って
供給される。
【0028】ここで、本発明の容積形圧縮要素1を構成
する主要部品であるディスプレーサ5及びシリンダ4の
輪郭形状の構成方法の一例を図4乃至図6を用いて説明
する(3条ラップの場合を例にあげる)。図4(a)
(b)は、一例として平面形状が円弧の組合せにより構
成されたディスプレーサの形状の一例で、(a)は平面
図、(b)は側面図である。図5(a)(b)は、図4
に示したディスプレーサの対となって噛み合うシリンダ
形状の一例で、(a)は平面図、(b)は側面図であ
る。また、図6は、図4に示したディスプレーサの中心
oと図5示したシリンダの中心o’とを重ねてディスプ
レーサとシリンダの壁面の一部分を描いた図である。
【0029】図4(a)において、ディスプレーサの平
面形状は中心o(正三角形IJKの図心)の周りに同一
の輪郭形状が3箇所連続して接続されている。その輪郭
形状は、半径R1から半径R7までの全部で7つの円弧
で形成されており、点p,q,r,s,t,u,v,w
は夫々異なる半径の円弧の接続点である。曲線pqは、
正三角形の一辺IK上に中心を持つ半径R1の円弧、こ
こで、点pは頂点IよりR7の距離にある。曲線qrは
接続点qと半径R1の中心を結ぶ直線の延長線上に中心
を持つ半径R2の円弧、曲線rsは接続点rと半径R2
の中心を結ぶ直線上に中心を持つ半径R3の円弧、曲線
stは同様に接続点sと半径R3の中心を結ぶ直線の延
長線上に中心を持つ半径R4の円弧である。曲線tuは
接続点tと半径R4の中心を結ぶ直線の延長線上に中心
を持つ半径R5の円弧、曲線uvは接続点uと半径R5
の中心を結ぶ直線の延長線上の図心oを中心とする半径
R6の円弧、曲線vwは接続点vと半径R6の中心(図
心o)を結ぶ直線上の頂点Jを中心とする半径R7の円
弧である。尚、半径R1,R2,R3,R4,R5,R
6の夫々の円弧の角度は接続点において滑らかに接続す
る(接続点での接線の傾きが同一)という条件により決
められる。点pから点wに至る輪郭形状を図心oを中心
に反時計周りに120度回転させると点wに点pが重な
り、さらに120度回転させると全周の輪郭形状が完成
する。これによりディスプレーサの平面形状が得られ、
厚みhを与えることによってディスプレーサが構成され
る。
【0030】ディスプレーサの平面形状が決まると、こ
のディスプレーサが旋回半径εで旋回運動したときにこ
れに噛み合うシリンダの輪郭形状は、図6に示されるよ
うにディスプレーサの輪郭形状を構成する曲線の外側の
法線距離がεのオフセット曲線となる。
【0031】図5によりシリンダの輪郭形状を説明す
る。三角形IJKは図4と同一の正三角形である。輪郭
形状は、ディスプレーサと同様に全部で7つの円弧で形
成されており、点p’,q’,r’,s’,t’,
u’,v’,w’は夫々異なる半径の円弧の接続点であ
る。曲線p’q’は、正三角形の一辺IK上に中心を持
つ半径(R1−ε)の円弧、ここで、点p’は頂点Iよ
り(R7+ε)の距離にある。曲線q’r’は接続点
q’と半径(R1−ε)の中心を結ぶ直線の延長線上に
中心を持つ半径(R2−ε)の円弧、曲線r’s’は接
続点r’と半径(R2−ε)の中心を結ぶ直線上に中心
を持つ半径(R3−ε)の円弧、曲線s’t’は同様に
s’と半径(R3−ε)の中心を結ぶ直線上に中心を持
つ半径(R4+ε)の円弧である。曲線t’u’は接続
点t’と半径(R4+ε)の中心を結ぶ直線の延長線上
に中心を持つ半径(R5+ε)の円弧、曲線u’v’は
接続点u’と半径(R5+ε)の中心を結ぶ直線の延長
線上の図心o’を中心とする半径(R6+ε)の円弧、
曲線v’w’は接続点v’と半径(R6+ε)の中心
(図心o’)を結ぶ直線上の頂点Jを中心とする半径
(R7+ε)の円弧である。尚、半径(R1−ε),
(R2−ε),(R3−ε),(R4+ε),(R5+
ε),(R6+ε)の夫々の円弧の角度はディスプレー
サ同様、夫々の接続点において滑らかに接続する(接続
点での接線の傾きが同一)という条件により決められ
る。点p’から点w’に至る輪郭形状を図心o’を中心
反時計周りに120度回転させると点w’に点p’が一
致し、さらに120度回転させると全周の輪郭形状が完
成する。これによりシリンダの平面形状が得られる。シ
リンダの厚みHは、ディスプレーサの厚みhよりわずか
に厚くなっている。
【0032】図6はディスプレーサの中心oとシリンダ
の中心o’を重ねその一部を表した図である。ディスプ
レーサとシリンダとの間に形成される隙間は旋回半径に
等しいεとなるようにしている。尚、この隙間は、全周
においてεであることが望ましいが、ディスプレーサの
外周輪郭とシリンダの内周輪郭とにより形成される作動
室が正常な動作をする範囲において、何らかの理由によ
って、この関係が崩れる箇所があっても差し支えない。
【0033】尚、ここではディスプレーサ外壁及びシリ
ンダ内壁の輪郭形状の構成方法として複数円弧の組合せ
による方法を説明したが、本発明はこれに限定されるも
のではなく任意の(n次式で表される曲線等)曲線の組
合せによっても同様の輪郭形状を構成することができ
る。
【0034】図1乃至図6にて説明した1実施形態の作
用効果を以下説明する。図7は、吸入終了時からの回転
軸の回転角θを横軸にとって本発明における作動室の容
積変化特性(吸入容積Vsと作動室容積Vの比で表す)
を他形式の圧縮機と比較して示す。これより本実施形態
に係る容積形圧縮要素1の容積変化特性は、吐出開始容
積比0.37の空調機の一種の運転条件(例えば作動ガ
スがフロンHCFC22の場合、吸入圧力Ps=0.6
4MPa,吐出圧力Pd=2.07MPa)で比べて見
ると、圧縮過程はレシプロ式とほぼ同等で、短時間に圧
縮過程が終了するため作動ガスの漏れが低減され、圧縮
機の能力及び効率を向上することができる。一方、吐出
過程はロ−タリ式(ロ−リングピストン式)よりも約5
0%長くなり、吐出流速が遅くなるため圧力損失が低減
され、吐出過程の流体損失(過圧縮損失)を大幅に低減
して性能向上を図ることができる。
【0035】図8は、本実施形態における回転軸1回転
中の仕事量の変化、すなわちガス圧縮トルクTの変化を
他形式の圧縮機と比較して示す(ここに、Tmは平均ト
ルクである)。これより本発明の容積形圧縮要素1のト
ルク変動はロ−タリ式の約1/10と非常に小さく、ス
クロ−ル式と同等だが、スクロ−ル式のオルダムリング
のような旋回スクロ−ル自転防止のために往復摺動する
機構をもたないため、回転軸系の慣性バランスがとれた
圧縮機の振動・騒音を低減することができる。
【0036】また、図4に示すように輪郭線はスクロ−
ル式のような長い渦巻き形状でないため、加工時間の短
縮、コスト低減が図れるとともに、渦巻き形状を保持す
るための端板(鏡板)が無いので、冶具を貫通させて加
工することができなかったスクロール式に比べてロータ
リ式並の加工で製作することができる。
【0037】さらに、ガス圧によるスラスト荷重はディ
スプレーサに作用しないので、スクロール圧縮機に見ら
れるような圧縮機の性能に重要な影響をおよぼす軸方向
クリアランスの管理もしやすくなるため性能向上が図れ
る。さらに、計算の結果、同一容積、同一外径のスクロ
ール圧縮機と比較すると、厚みを薄くすることができ、
圧縮機の小型、軽量化にも寄与することができる。
【0038】次に前述の巻き角と吸入終了から吐出終了
までの回転軸の回転角θcとの関係について説明する。
前述の1実施形態では巻き角を360度として説明した
が、巻き角を変えることによって回転軸の回転角θcを
変えることも可能である。例えば、図2では、巻き角が
360度であるので、吸入終了から吐出終了までの回転
軸の回転角θcが360度で元の状態に戻る。この巻き
角を360度よりも小さくすることによって吸入終了か
ら吐出終了までの回転軸の回転角θcを小さくする場
合、吐出ポートと吸入ポートが連通する状態が生じ、吐
出ポート内の流体の膨張作用で一旦吸入された流体が逆
流するといった問題が起こる。巻き角を360度よりも
大きくすると回転軸の回転角も360度より大きくな
り、吸入終了から吐出ポートのある空間に連通するまで
の間に大きさの異なるの2つの作動室が形成される。こ
れを圧縮機として用いたとき、これら2つの作動室の圧
力上昇が各々異なるために両者合流時に不可逆的な混合
ロスが生じ、圧縮動力の増加になる。また、液体ポンプ
として用いようとしても、吐出ポートに連通しない作動
室が形成されることからポンプとしては適用しにくくな
る。このため、巻き角は許容される精度の範囲内におい
て極力360度が望ましいといえる。
【0039】前述の特開昭55−23353号公報(文
献1)に記載の流体機械における圧縮行程の回転軸の回
転角θcは、θc=180度であり、特開平5−202
869号公報(文献3)及び特開平6−280758号
公報(文献4)に記載の流体機械における圧縮行程の回
転軸の回転角θcは、θc=210度である。作動流体
の吐出が終了してから次の圧縮行程が始まる(吸入終
了)までの期間は、文献1においては回転軸の回転角θ
cで180度、文献3及び文献4においては150度で
ある。
【0040】圧縮行程の回転軸の回転角θcが210度
の場合における軸の1回転中の各作動室(符号I、II、I
II、IVで示す)の圧縮行程線図を図9(a)に示す。但
し、条数N=4である。回転軸の回転角θcが360度
内には4個の作動室が形成されるが、ある角度において
同時に形成される作動室数nは、n=2あるいは3とな
っている。同時に形成される作動室数の最大値は条数よ
りも少ない3である。
【0041】同様に条数N=3であり圧縮行程の回転軸
の回転角θcが210度の場合を図10(a)に示す。
この場合も同時に形成される作動室数nは、n=1ある
いは2であり、同時に形成される作動室数の最大値は条
数よりも少ない2である。
【0042】このような状態では、作動室が回転軸の周
りに偏って形成されるため、力学的アンバランスが発生
し、ディスプレーサに働く自転モーメントが過大にな
り、ディスプレーサとシリンダとの接触荷重が増大し機
械摩擦損失の増加による性能低下やベーンの摩耗による
信頼性低下の問題がある。
【0043】この問題を解決するため、本実施の形態で
は、吸入終了から吐出終了までの(圧縮行程という場合
有り)回転軸の回転角θcが、 (((N−1)/N)・360)<θc≦360 (度)(数1) を満たすように、ディスプレーサの外周輪郭形状及びシ
リンダの内周輪郭形状を形成している。換言すると、前
述の巻き角が数式1の範囲になっている。図9(b)を
参照すると、圧縮行程の回転軸の回転角θcが、270
度より大きくなっており、同時に形成される作動室数n
は、n=3あるいは4となり、作動室数の最大値は4で
ある。この値は、条数N(=4)に一致する。また、図
10(b)では、圧縮行程の回転軸の回転角θcが、2
40度より大きくなっており、同時に形成される作動室
数nは、n=2あるいは3となり、作動室数の最大値は
3である。この値は、条数N(=3)と一致する。
【0044】このように圧縮行程の回転軸の回転角θc
の下限値を数式1の左辺の値よりも大きくすることによ
り、作動室数の最大値が条数N以上となり、作動室が回
転軸の周りに分散して配置されるようになるため、力学
的なバランスがよくなり、ディスプレーサに働く自転モ
ーメントが低減され、ディスプレーサとシリンダとの接
触荷重も低減され機械摩擦損失の低減による性能向上と
共に接触部の信頼性を向上することができる。
【0045】一方、圧縮行程の回転軸の回転角θcの上
限は数式1によると360度となっている。この圧縮行
程の回転軸の回転角θcの上限は360度である。前述
したように、作動流体の吐出が終了してから次の圧縮行
程が始まる(吸入終了)までのタイムラグを0にするこ
とができ、θc<360度の場合に起こる隙間容積内の
ガスの再膨張による吸入効率の低下を防止することがで
きると共に、θc>360度の場合に起こる2つの作動
室の圧力上昇が異なるために両者合流時に発生する不可
逆的な混合ロスを防止することができる。後者について
図11を用いて説明する。
【0046】圧縮行程が回転軸の回転角θcで375度
となる容積形流体機械を図11に示す。図11(a)
は、図中2つの作動室15aと15bの吸入が終了した
状態である。このとき2つの作動室15aと15bの圧
力は吸入圧力Psで両者等しくなっている。吐出口8a
は作動室15aと15bの間に位置しており、両作動室
とは連通していない。この状態から回転軸の回転角θc
で15度回転が進んだ状態を図11(b)に示す。吐出
口8aと両作動室15aと15bが連通する直前の状態
である。このとき作動室15aの容積は図11(a)の
吸入終了時よりも小さく圧縮が進行しており圧力も吸入
圧力Psよりも高い圧力になっている。これに対して、
作動室15bの容積は逆に吸入終了時よりも大きくなっ
ており、膨張作用により圧力も吸入圧力Psよりも低く
なっている。次の瞬間作動室15aと15bが合体(連
通)する際に、図11(c)に矢印で示すような不可逆
的な混合が起こり、圧縮動力の増加による性能低下が発
生することとなる。従って、圧縮行程の回転軸の回転角
θcの上限は360度が望ましい状態である。
【0047】図12は文献3若しくは文献4に記載され
た容積形流体機械の圧縮要素であり、(a)が平面図
(b)が側面図である。条数Nは3であり、圧縮行程の
回転軸の回転角θcは210度である。この図におい
て、作動室数nは図10(a)に示したようにn=1あ
るいは2となる。この図は回転軸の回転角θが0度の状
態を示しており、作動室数nは2である。本図から明ら
かなように、ディスプレーサの外周輪郭形状とシリンダ
の内周輪郭形状とにより形成される空間の内右側の空間
は作動室となってなく、吸入口7aと吐出口8aが連通
している。このため、吐出口8aの隙間容積内ガスの再
膨張により一旦吸入口7aからシリンダ4内に流入した
ガスが逆流し、吸入効率が低下する問題がある。
【0048】ところで、図12に示した容積形流体機械
の圧縮行程の回転軸の回転角θcを、本実施の形態の考
え方を用いて拡大する場合を考える。圧縮行程の回転軸
の回転角θcを拡大するためには2点鎖線で図示するよ
うにシリンダ4の輪郭曲線の巻角を大きくしなければな
らないが、図示の如くベーン4bの厚さが極端に薄くな
り、作動室数nの最大値が条数N(N=3)以上となる
ように圧縮行程の回転軸の回転角θcを240度より大
きくすることは困難である。
【0049】図13に図12に示された容積形流体機械
と同一行程容積(吸入容積)、同一外径寸法、同一旋回
半径の容積形流体機械の圧縮要素の実施形態の一例を示
す。この図13に示された圧縮要素の圧縮行程の回転軸
の回転角θcは240度より大きい360度を実現して
いる。これは、図12に示された圧縮要素では、作動室
を形成するシール点間が滑らかな曲線によって構成され
ているため、例え、本実施の形態の考え方に基づいて圧
縮行程の回転軸の回転角θcを拡大しようとしても最大
で240度が限界であるが、図13に示された本実施の
形態による圧縮要素では、シール点間(a−c)が滑ら
かではなく(一様の曲線ではなく)接点b付近の形状が
ディスプレーサから見て突出するように形成され、ディ
スプレーサの各条が中心部から先端部に向かう途中にく
びれ部が存在している。これらは図1に示した実施の形
態についても云えることである。これらの形状により、
接点aから接点bまでの巻き角を240度より大きい3
60度とすることができ、接点bから接点cまでの巻き
角を240度より大きい360度とすることができる。
この結果、圧縮行程の回転軸の回転角θcを240度よ
り大きな360度とすることができ、作動室数nの最大
値を条数N以上とすることができる。このため、作動室
が分散配置され自転モーメントを小さくすることができ
る。
【0050】さらに、このように有効に機能しうる作動
室数が増加したことで、図12に記載の圧縮要素のシリ
ンダ高さ(厚み)をHとしたとき、図13に記載の圧縮
要素のシリンダ高さは0.7Hとなり、30%低くなる
ので、圧縮要素の小型化を図ることができる。
【0051】図14は、本実施形態におけるディスプレ
ーサ5に作用する荷重及びモ−メントの説明図である。
記号θは回転軸6の回転角、εは旋回半径である。作動
ガスの圧縮に伴い、各作動室15の内圧によってディス
プレーサ5には、図に示すように偏心方向に直角な接線
方向力Ftと偏心方向にあたる半径方向力Frが作用す
る。FtとFrの合力がFである。この合力Fのディス
プレーサ5の中心oからのずれ(腕の長さl)によって
ディスプレーサを回転させようとする自転モ−メントM
(=F・l)が働く。この自転モ−メントMを支えるの
がディスプレーサ5とシリンダ4の接点eと接点bにお
ける反力R1と反力R2である。本発明では常時、吸入
ポ−ト7aに近い2ないし3箇所の接点でモ−メントを
受け、その他の接点には反力が作用しない。本発明の容
積形圧縮要素1は、ディスプレーサ5の中心部に嵌合さ
れた回転軸6のクランク部6aの周りにほぼ等ピッチで
吸入終了から吐出終了までの回転軸の回転角がほぼ36
0度となる作動室を分散して配設しているため、合力F
の作用点をディスプレーサ5の中心oに近付けることが
でき、モ−メントの腕の長さlを縮少して自転モ−メン
トMを低減することができる。したがって、反力R1と
反力R2が軽減される。また、接点gと接点bの位置か
らわかるように、自転モ−メントMをうけるディスプレ
ーサ5とシリンダ4の摺動部位を、温度が低く油粘度の
高い作動ガスの吸入口7a付近になるようにしているた
め摺動部の油膜が確保され、摩擦・摩耗の問題を解決し
た信頼性の高い容積形流体機械を提供することが出来
る。
【0052】図15は作動流体の内圧によってディスプ
レーサに働く軸1回転中の自転モーメントMを図12に
示された圧縮要素及び図13に示された圧縮要素で比較
したものである。計算条件は作動流体HFC134aの
冷凍条件(吸入圧力Ps=0.095MPa、吐出圧力
Pd=1.043MPa)である。これにより作動室数
nの最大値が条数以上となる本実施の形態による圧縮要
素では、吸入終了から吐出終了までの作動室が回転軸の
周りにほぼ等ピッチで分散して配置されるため力学的な
バランスがよくなり、圧縮による荷重ベクトルがほぼ中
心を向くように構成できる。このためディスプレーサに
働く自転モーメントMを低減することができる。この結
果、ディスプレーサとシリンダの接触荷重も軽減され機
械効率を向上することができると共に圧縮機としての信
頼性を向上することができる。
【0053】ここで、吸入口7aと吐出口8aとが連通
する期間と圧縮行程回転軸の回転角との関係について説
明する。吸入口と吐出口が連通する期間、すなわち作動
流体の吐出が終了してから次の圧縮行程が始まる(吸入
終了)までの間の回転軸の回転角で表すタイムラグΔθ
は、圧縮行程の回転軸の回転角θcとして、Δθ=36
0度−θcで表される。
【0054】Δθ≦0度の場合は、吸入口と吐出口が連
通する期間が存在しないため、吐出口の隙間容積内ガス
の再膨張による吸入効率の低下はない。
【0055】Δθ>0度の場合には吸入口と吐出口が連
通する期間が存在するため、吐出口の隙間容積内ガスの
再膨張に起因する吸入効率の低下が起こり、圧縮機の
(冷凍)能力が低下することになる。また、吸入効率
(体積効率)の低下は圧縮機のエネルギ効率である断熱
効率あるいは成績係数の低下にもつながる。
【0056】圧縮行程の回転軸の回転角θcはディスプ
レーサあるいはシリンダの輪郭曲線の巻き角と吸入口及
び吐出口の位置によって決定される。ディスプレーサあ
るいはシリンダの輪郭曲線の巻き角を360度にした場
合には、圧縮行程の回転軸の回転角θcは360度にで
きると共に吸入口あるいは吐出口のシール点を移動する
ことによってθc<360度にもすることができる。し
かし、θc>360度にはすることはできない。例え
ば、前述の図11に示した圧縮要素の圧縮行程の回転軸
の回転角θc=375度を吐出口の位置や大きさを変え
ることによりθc=360度に変更することができる。
これは、図11における吸入終了状態の直後に作動室1
5aと作動室15bとが連通するように吐出口を大きく
することにより実現することができる。このような変更
を行うことによりθc=375度の時に発生していた2
つの作動室の圧力上昇が異なるために起こる不可逆的な
混合ロスを低減することができる。従って、輪郭曲線の
巻き角は、圧縮行程の回転軸の回転角θcを決定する必
要条件ではあるが十分条件ではないと云うことができ
る。
【0057】さて、上記説明した本実施形態、即ち図3
に示す実施形態では、密閉容器3内の圧力が低圧(吸入
圧力)に保持されるタイプの密閉型圧縮機について説明
したが、低圧タイプにすることにより以下のような利点
がある。
【0058】(1)圧縮された高温の作動ガスによる電
動要素2の加熱が少なく、吸入ガスによって冷却される
ため、固定子2a,回転子2bの温度が低下し、モ−タ
効率が向上して性能向上が図ることができる。
【0059】(2)フロン等の潤滑油12と相溶性のあ
る作動流体では、圧力が低いため潤滑油12中に溶解す
る作動ガスの割合が少なくなり、軸受等での油の発泡現
象が起こりにくく、信頼性を向上することができる。
【0060】(3)密閉容器3の耐圧を低くでき、薄肉
・軽量化が図ることができる。
【0061】次に、密閉容器3内の圧力が高圧(吐出圧
力)に保持されるタイプのものについて説明する。図1
6は、本発明の他の実施形態に係る容積形流体機械を圧
縮機として用いた高圧タイプの密閉型圧縮機の要部拡大
断面図である。図16において、前述の図1〜図3と同
一符号を付したものは同一部品であり、同一の作用をな
す。図において、7bは吸入カバ−10によって主軸受
部材7に一体的に形成された吸入室で、シ−ル部材16
等によって密閉容器3内の圧力(吐出圧力)と区画され
ている。17は吐出室8b内と密閉容器3内を連通する
吐出通路である。容積形圧縮要素1の作動原理等は前述
した低圧(吸入圧力)タイプと同様である。
【0062】作動ガスの流れは図中に矢印で示すよう
に、吸入パイプ13を通って吸入室7bに入った作動ガ
スは、主軸受部材7に形成された吸入ポ−ト7aを通っ
て容積形圧縮要素1に入り、ここで回転軸6の回転によ
ってディスプレーサ5が旋回運動を行い作動室15の容
積が縮少することにより圧縮される。圧縮された作動ガ
スは、副軸受部材8の端板に形成された吐出ポ−ト8a
を通り吐出弁9を押し上げて吐出室8b内に入り、吐出
通路17を通って密閉容器3内に入り、この密閉容器3
に接続された吐出パイプ(図示せず)より外部に流出す
る。
【0063】このような高圧タイプの利点は、潤滑油1
2が高圧になっているため、回転軸6の回転による遠心
ポンプ作用等によって各軸受摺動部に給油された潤滑油
12がディスプレーサ5の端面の隙間等を通ってシリン
ダ4内に供給され易くなるため、作動室15のシ−ル性
及び摺動部の潤滑性を向上できる点にある。
【0064】以上、本発明の容積形流体機械を用いた圧
縮機では機器の仕様や用途あるいは生産設備等に応じて
低圧タイプ、高圧タイプどちらでも選択することが可能
となり、設計の自由度が大幅に拡大する。
【0065】ところで、以上説明した端板間にディスプ
レーサとシリンダとを配置し、前記シリンダ中心と前記
ディスプレーサ中心を合わせたとき前記シリンダ内壁面
及び前記ディスプレーサ外壁面により1つの空間が形成
され、前記ディスプレーサ及び前記シリンダとの位置関
係を旋回位置においたときは複数の空間が形成される容
積形流体機械を圧縮機として動作させた際に、比較的高
速回転領域において全断熱効率が低下することが判明し
た。
【0066】シリンダ4の内包に向かって突出したベー
ン4bの壁面は圧縮機として動作させた場合、作動室を
構成する構成要員である。例えば図2(2)作動室15
に示されるように、この作動室15は冷媒を圧縮中であ
り、この作動室15のベーン4bを挟んで吸入孔7aに
繋がっている空間の圧力は吸入圧となっている。このと
き端板7、8は作動室の圧力により膨らむ変形が生じ、
ベーン4bは両端面の押さえがなくなり自由な状態とな
ってしまう。即ち、このベーン4bは、一端が固定さ
れ、他端が自由な梁の状態となってしまい、圧力が低い
方に変形し、このときわずかでもシール点に隙間ができ
るとこの隙間から冷媒が圧力の低い方に移動してしまう
ため全断熱効率が低下してしまうのである。
【0067】さらに、ベーン4bは一端が固定され、他
端が自由な梁の状態であるため、圧力差などの外力を受
けるとベーン4bの根本付近で応力集中が起こり、強度
面で安全率が低下するという問題もある。
【0068】このような問題を解決するための一実施の
形態を図17を用いて説明する。図17は、図1(b)
のAA`断面である。上記問題を解決するために、本実
施の形態では少なくとも一方の端板7と、ベーン4b先
端を固定するようにしたものである。即ち、図17にお
いて、ベーン4bの先端に貫通しないネジ穴4cを切
り、対向する端板7の部分に貫通孔(ネジの頭を収納す
る貫通孔よりも径が大きい穴も含む)7cを開けて、先
端にネジ溝が切られたネジ20によって両部材を固定す
る。
【0069】このようにすることで、ベーン4bは一端
固定から少なくとも二面固定の状態となり、圧縮動作時
に発生するガスに抗して十分な強度を発揮することがで
き、およそ2Mpにもなる吐出圧力であっても変形量を
最小限に押さえることができるので、変形による全断熱
効率の低下を抑制することができるという効果がある。
【0070】前述の文献4には、両端板及びディスプレ
ーサに貫通孔を開けてネジ止めする記載がある。このネ
ジ止めの理由は両端板を極力中心付近で押さえるためで
ある。すなわち、両端板はその端部にてネジ止めされる
が、中央部は軸があり、その付近はディスプレーサの運
動領域であるため貫通したネジ止めをすることは不可能
である。そこで静止部材で極力中央に近い部分はベーン
先端部ということになりそこに貫通孔を開けてネジ止め
している。
【0071】ところが、この考え方をそのまま適用する
と、第1に組み立て性の問題、第2に両端板間とディス
プレーサ間のクリアランスの管理の問題が発生する。旋
回形流体機械を組み込む際、ディスプレーサとシリンダ
との間のシール点がディスプレーサが旋回運動するに伴
ってスムースに移動するような位置関係となるように組
み込まなければならない。この組み込み作業は、シリン
ダを微小回転させることで、両者の相対位置を決めてい
る。もし、文献4に記載のように端板間を締め付けると
この作業を行うことができなくなってしまう。本実施の
形態では、少なくとも一方の端板とベーン先端とを固定
するので、一方の端板は開口しており位置決めを容易に
行うことができる。位置決めの後、接着などの方法によ
って残りの端板とベーン先端とを固定しても差し支えな
い。さらに、両端板によってベーン先端を挟むようにネ
ジによって固定すると、ベーンは十分に端板に接触する
ので強度は増すが、締め付けすぎるとディスプレーサが
端板に過度に接触した状態で旋回運動を行うこととなっ
てしまい、焼き付の原因や、電動機入力が増加して効率
が低下すると云った問題がある。反対に緩く締めると、
ベーンに開けられたネジ穴はネジ(ボルト)を挿入する
ため内径がネジよりも大きくなっており、その分ベーン
の移動自由度が増すことになる。この場合、ベーン変形
時に冷媒の移動が起こり全断熱効率の低下をきたすとい
う問題がある。本実施の形態によれば、上記両問題が一
挙に解決されると云う効果がある。
【0072】上記実施の形態では、ベーン4b先端にネ
ジ溝を切る必要があり工程数が増え、別部品であるネジ
を必要とすると云った問題がある。この点を解決した実
施の形態を図18(a)を用いて説明する。端板7のベ
ーン4b先端に対向する位置にベーン4bの先端形状よ
りも細くて先端形状に沿う溝7dを形成し、この溝7d
に、耐熱樹脂などの弾性のある抑え部品21を挿入して
シリンダ周囲でネジ止めを行う。図18(b)示されて
いるように組み立て前抑え部品21は溝7dから端面に
対して僅かに突出するような大きさのものが選定され
る。
【0073】この実施の形態でも、組立性能を損なわず
に、クリアランスの管理も容易に行うことができつつ、
ベーンの変形を抑制することができるという効果があ
る。
【0074】上記図18に示した実施の形態では、別部
品である抑え部品を必要としたが、別部品を必要としな
い実施の形態を図19を用いて説明する。ベーン4b先
端端面に軸方向に延びる凸部4dを形成し、端板7のこ
の凸部4dに対向する位置にこの凸部4dが嵌合する凹
部7eを形成した。この凹部4dの形状は、矩形でも円
筒形でもよく、製作性に合致した形状を選定することが
できる。尚、当然ながら端板7に施した凹部7eは凸部
4dの形状に合致させる必要がある。さらに、この凸凹
を逆にして組み合わせることも可能である。本実施の形
態によれば、上記実施の形態で説明した効果の他、別部
品を使わずにベーン先端を固定することができるという
効果がある。
【0075】上記実施の形態では、ベーン4bに加工を
施す必要があったが、その手間を省いた実施の形態を図
20を用いて説明する。端板7のベーン4b先端に対向
する位置にベーン4bに近い方が径が小さい貫通孔7f
を開け、端板7とベーン4b先端とをスポット溶接や、
接着剤などで固定するものである。22は、溶接痕、耐
熱性金属用接着剤である。これにより、簡単な穴開け作
業と溶接または接着剤などの接着作業だけでベーン4b
を一方の端板に固定することができる効果がある。
【0076】ところで、ベーン4bの強度を増すために
シリンダ4と一方の端板(7若しくは8)とを、スクロ
ール形流体機械と同様、エンドミル等によって一体に成
形することも可能である。しかし、加工費を低減するた
めに端板間にディスプレーサとシリンダとを配置し、前
記シリンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたと
き前記シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面に
より1つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前
記シリンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数
の空間が形成される容積形流体機械を採用したのである
から、この解決法は採用しがたい。
【0077】尚、本実施の形態は、条数によらず例えば
少し形状が異なるが図21に示されるような4条ラップ
にも採用することができる。
【0078】図22に、本発明の容積形圧縮機を適用し
た空調システムを示す。このサイクルは冷暖房が可能な
ヒ−トポンプサイクルで、前述の図3で説明した本発明
の容積形圧縮機30、室外熱交換器31とそのファン3
1a、膨張弁32、室内熱交換器33とそのファン33
a、4方弁34から構成されている。一点鎖線35は室
外ユニット、36は室内ユニットである。
【0079】容積形圧縮機30は、図2に示した作動原
理図に従って動作し、圧縮機を起動することによりシリ
ンダ4とディスプレーサ5間で作動流体(例えばフロン
HCFC22やR407C,R410A等)の圧縮作用
が行われる。
【0080】冷房運転の場合、圧縮された高温・高圧の
作動ガスは破線矢印で示すように吐出パイプ14から4
方弁34をとおり室外熱交換器31に流入して、ファン
31aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁32で絞ら
れ、断熱膨張して低温・低圧となり、室内熱交換器33
で室内の熱を吸熱してガス化された後、吸入パイプ13
を経て容積形圧縮機30に吸入される。一方、暖房運転
の場合は、実線矢印で示すように冷房運転とは逆に流
れ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは吐出パイプ14
から4方弁34を通り室内熱交換器33に流入して、フ
ァン33aの送風作用で室内に放熱して、液化し、膨張
弁32で絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、室外
熱交換器33で外気から熱を吸熱してガス化された後、
吸入パイプ13を経て容積形圧縮機30に吸入される。
【0081】図23は、本発明の容積形圧縮機を搭載し
た冷凍システムを示す。このサイクルは冷凍(冷房)専
用のサイクルである。図において、37は凝縮器、37
aは凝縮器ファン、38は膨張弁、39は蒸発器、39
aは蒸発器ファンである。
【0082】容積形圧縮機30を起動することによりシ
リンダ4とディスプレーサ5間で作動流体の圧縮作用が
行われ、圧縮された高温・高圧の作動ガスは実線矢印で
示すように吐出パイプ14から凝縮器37に流入して、
ファン37aの送風作用で放熱、液化し、膨張弁38で
絞られ、断熱膨張して低温・低圧となり、蒸発器39で
吸熱ガス化された後、吸入パイプ13を経て容積形圧縮
機30に吸入される。ここに、図22、図23ともに本
発明の容積形圧縮機を搭載しているので、エネルギ効率
に優れ、低振動・低騒音で信頼性の高い冷凍・空調シス
テムが得られる。なお、ここでは容積形圧縮機30とし
て低圧タイプを例にあげて説明したが、高圧タイプでも
同様に機能し、同様の効果を奏することができる。
【0083】これまでに述べた実施形態では、容積形流
体機械として圧縮機及びポンプを例に挙げて説明した
が、本発明はこれ以外に膨張機や動力機械にも応用する
ことができる。また、本発明では運動形態として、一方
(シリンダ側)が固定しもう一方(ディスプレーサ)が
ほぼ一定の旋回半径で自転せずに公転運動を行う形式と
したが、相対的に上記の運動と等価な運動形態となる両
回転式の容積形流体機械にも適用することができる。
【0084】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、実運転時に、性能の低下を抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る容積形流体機械を圧縮機に適用し
た密閉型圧縮機の圧縮要素の縦断面図及び平面図。
【図2】本発明に係る容積形流体機械の作動原理説明
図。
【図3】本発明に係る容積形流体機械の縦断面図。
【図4】本発明に係る容積形流体機械のディスプレーサ
の輪郭構成法を示す図。
【図5】本発明に係る容積形流体機械のシリンダの輪郭
構成法を示す図。
【図6】図4及び図5に示されるディスプレーサとシリ
ンダを重ねあわせた図。
【図7】本発明における作動室の容積変化特性図。
【図8】本発明におけるガス圧縮トルク変化図。
【図9】4条ラップにおける回転軸の回転角と作動室と
の関係を示す図。
【図10】3条ラップにおける回転軸の回転角と作動室
との関係を示す図。
【図11】圧縮要素の巻き角が360度より大きい場合
の動作説明図。
【図12】圧縮要素の巻き角の拡大を説明する図。
【図13】図1に示した容積形流体機械の変形例。
【図14】本発明のディスプレーサに作用する荷重及び
モ−メント説明図。
【図15】圧縮要素の回転軸の回転角と自転モーメント
比との関係を示す図。
【図16】本発明の他の実施形態に係る密閉型圧縮機の
要部縦断面図。
【図17】本発明に係るベーンを端板に固定する一実施
の形態を説明する図。
【図18】本発明に係るベーンを端板に固定する一実施
の形態を説明する図。
【図19】本発明に係るベーンを端板に固定する一実施
の形態を説明する図。
【図20】本発明に係るベーンを端板に固定する一実施
の形態を説明する図。
【図21】本発明の他の実施形態に係る容積形流体機械
の圧縮要素図で、作動室が4個の場合を示す図。
【図22】本発明の容積形圧縮機を適用した空調システ
ムを示す図。
【図23】本発明の容積形圧縮機を適用した冷凍システ
ムを示す図。
【符号の説明】
1…容積形圧縮要素、2…電動要素、3…密閉容器、4
…シリンダ、4a…内周壁、4b…ベ−ン、4c…ネジ
穴、4d…凸部、5…ディスプレーサ、5a…軸受、5
b…貫通穴、6…回転軸、6a…クランク部、7…主軸
受、7a…吸入ポ−ト、7c…貫通孔、7d…溝、7e
…凹部、7f…貫通孔、8…副軸受、8a…吐出ポ−
ト、8b…吐出室、9…吐出弁、10…吸入カバ−、1
1…吐出カバ−、12…潤滑油、13…吸入パイプ、1
4…吐出パイプ、15…作動室、16…シ−ル部材、1
7…吐出通路、18…加工治具、18a…ベ−ス、18
b…ピン部、18c…クランプ、19…加工工具、19
a…研削工具、19b…切削工具、20…ネジ、21…
抑え部品、22…溶接痕または接着剤、30…容積形圧
縮機、31…室外熱交換器、32…膨張弁、33…室内
熱交換器、34…4方弁、37…凝縮器、38…膨張
弁、39…蒸発器、40…固定側部材、40a…固定渦
巻体、40b…端板部、40c…主軸受部、41…旋回
側部材、41a…旋回渦巻体、41b…補強板、41c
…軸受、42…リング部、42a…吸入室42a、42
b…吸入ポ−ト、43…逆止弁、44…軸封装置、45
…作動室、o…ディスプレーサ中心、o’…シリンダ中
心、Om…旋回側部材中心、Of…固定側部材中心。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉富 雄二 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 竹林 昌寛 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 稲場 恒一 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 畠 裕章 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】端板間にディスプレーサと内方に向かって
    突出する突出部を有するシリンダとを配置し、前記シリ
    ンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記
    シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1
    つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリ
    ンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間
    が形成される容積形流体機械において、前記少なくとも
    一方の端板と前記突出部とを固定した容積形流体機械。
  2. 【請求項2】端板間にディスプレーサと内方に向かって
    突出する突出部を有するシリンダとを配置し、前記シリ
    ンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記
    シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1
    つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリ
    ンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間
    が形成される容積形流体機械において、前記シリンダ突
    出部に非貫通孔を形成した容積形流体機械。
  3. 【請求項3】端板間にディスプレーサと内方に向かって
    突出する突出部を有するシリンダとを配置し、前記シリ
    ンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記
    シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1
    つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリ
    ンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間
    が形成される容積形流体機械において、前記シリンダ突
    出部にを形成されたネジ穴と、このネジ穴に対向する前
    記端板に形成された貫通孔と、この貫通孔とネジ穴とに
    挿入されるネジとを備えた容積形流体機械。
  4. 【請求項4】端板間にディスプレーサと内方に向かって
    突出する突出部を有するシリンダとを配置し、前記シリ
    ンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記
    シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1
    つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリ
    ンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間
    が形成される容積形流体機械において、前記シリンダ突
    出部に形成された凹部若しくは凸部と、端板のこの凹部
    若しくは凸部に対向する位置に形成された凸部若しくは
    凹部とを備えた容積形流体機械。
  5. 【請求項5】端板間にディスプレーサと内方に向かって
    突出する突出部を有するシリンダとを配置し、前記シリ
    ンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記
    シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1
    つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリ
    ンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間
    が形成される容積形流体機械において、前記シリンダ突
    出部に対向する少なくとも一方の端板に形成された溝
    と、この溝に挿入する抑え部材とを備えた容積形流体機
    械。
  6. 【請求項6】端板間にディスプレーサと内方に向かって
    突出する突出部を有するシリンダとを配置し、前記シリ
    ンダ中心と前記ディスプレーサ中心を合わせたとき前記
    シリンダ内壁面及び前記ディスプレーサ外壁面により1
    つの空間が形成され、前記ディスプレーサ及び前記シリ
    ンダとの位置関係を旋回位置においたときは複数の空間
    が形成される容積形流体機械において、前記シリンダ突
    出部に対向する端板に形成された貫通孔を備え、この貫
    通孔から前記突出部とこの端板とを溶接若しくは接着し
    たを形成した容積形流体機械。
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