JPH11506184A - ダイナミックコンプレッサーのためのサージ防止制御システム - Google Patents

ダイナミックコンプレッサーのためのサージ防止制御システム

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JPH11506184A JP9524627A JP52462797A JPH11506184A JP H11506184 A JPH11506184 A JP H11506184A JP 9524627 A JP9524627 A JP 9524627A JP 52462797 A JP52462797 A JP 52462797A JP H11506184 A JPH11506184 A JP H11506184A
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Abstract

(57)【要約】 ダイナミックコンプレッサー(11)用のサージ防止制御システムは、ダイナミックコンプレッサー(11)の周りに流れをバイパスするためにアンチサージバルブ(12)を作動させるための複合モジュール制御装置(20)を提供する。PID制御モジュール(21)は、サージ制御ライン(71)の周辺でのダイナミックコンプレッサーの運転点を制御するために、アンチサージバルブ(12)を制御する。速度制御モジュール(40)は、サージ制御ライン(71)に対する運転点の接近速度をそのプロセス変数として用いる。接近速度が高速である場合、速度制御モジュール(40)はアンチサージバルブ(12)の制御を担う。速度制御モジュール(40)の設定値は、PID制御の行過ぎ量を低減すべくサージ制御ライン(71)への接近速度を制御するためにアンチサージバルブ(12)を開くよう、調整される。

Description

【発明の詳細な説明】 ダイナミックコンプレッサーのためのサージ防止制御システム 発明の分野 この発明は、概してダイナミックコンプレッサーの運転を制御するための制御 システムに関するものであり、より詳細には、ダイナミックコンプレッサー内に おけるサージ(圧力変動)を防止するための制御システムとその方法に関するも のである。 発明の背景 ダイナミックコンプレッサーは、工業過程において、圧縮ガスを供給するため に広く用いられている。圧縮ガスを受ける下流工程の運転を中断することのない ように、ダイナミックコンプレッサーの運転は、下流工程が必要とする安定した 吐出圧力あるいは流量を供給するよう適切に制御されなければならない。しかし ながら、下流工程の状況変化といったような理由で、ダイナミックコンプレッサ ーの流量がある閾値以下に落ちた場合には、コンプレッサー内でサージが生じた り流れが想到に減衰したりすることがよく知られている。このサージは、必然的 に下流工程を中断させることに加えて、ダイナミックコンプレッサーにとって深 刻な現象となり得、コンプレッサー内に可聴雑音や強い振動を引き起こす可能性 がある。そして、深刻な場合には、重篤なダメージを与えるおそれがある。 それ以下でダイナミックコンプレッサーがサージを起こす閾流量は、ダイナミ ックコンプレッサーにおける差圧の関数である。サージの条件はしばしば、コン プレッサーの運転を、ポリトロープヘッドに対する実流量という関係で表したコ ンプレッサーマップを用いて説明されるものである。コンプレッサーマップ上の コンプレッサーの運転点がサージ領域内に入った場合に、サージが起きることが 発見されている。サージ領域とは、次式で定義される放物線に非常に近いサージ ラインによって境界された領域である。 (実流量)2/(ポリトロープヘッド)=K <Kは定数> ダイナミックコンプレッサーのサージ防止、あるいはサージ状態からの脱却の ために一般的に採用されている方法は、コンプレッサーの吐出口に連結されたア ンチサージバルブを開放し、ダイナミックコンプレッサーの吐出流の一部を入口 に戻すというものである。この方法においては、コンプレッサーの流量は増加さ れ、コンプレッサーの運転点がサージ領域から離れていく。運転点がサージ領域 内に移動するのを防止すべく運転点を制御するために、比例積分偏差(PID) 制御装置を用いたシステムが開発され、アンチサージバルブの開閉を制御するよ うにしている。このような制御装置は一般に、コンプレッサーの運転点が所定の サージ制御ライン(コンプレッサーマップ内でサージラインから安全マージンを もって配置されている)を越えた後に作動する。 サージの発生を効果的に防止する目的で、流れの乱れによりコンプレッサーの 運転点がサージラインを横切る可能性があるか否かを評価することによって、ア ンチサージバルブを開放する必要性を予期できることが非常に有効である。サー ジの可能性の有効な指標は、運転点がサージラインに接近する速度、即ち、運転 点とサージ限界ラインとの間の距離における時間の微分(time derivative)で ある。運転点がサージ制御ラインに達する前に、アンチサージバルブを開放する ことによりサージ制御システムが高速度の接近に適正に応答することができるな らば、サージの危険性は大幅に低減される。 しかし、安定性を考慮しているため、サージ制御のために通常用いられている PID制御装置は、微分動作に拘わらず接近速度に応答するという作業には不適 当である。多くのアンチサージ制御用例においては、PID制御装置に対するプ ロセス変数は、計測されたガス流量に基づく算出値である。測定されるガス流量 は、本来ノイズが入っており、信号対雑音比は低い。PIDの微分機能が接近速 度に応答するよう用いられたならば、それはノイズに応じてアンチサージバルブ を開閉させ、プロセスの制御に対して好ましくない干渉を与え、エネルギを不要 に浪費する。このような理由から、PIDの微分動作は、接近速度に応答するに は信頼性がない。 サージラインに対する運転点の接近の速度に応答する方法としては、スタロセ ルスキー(Staroselsky)等の米国特許第4,949,276号明細書に開示さ れているものがある。その方法は、PID制御装置のプロセス値が設定値(ない し は設定値)に迅速に横切るよう、アンチサージバルブを制御すべくPID制御装 置の設定値をサージラインから離れるように移動させることを含んでいる。その 結果として、PID制御装置は、他の場合よりも迅速に、アンチサージバルブを 開放するよう機能する。上記文献によれば、設定値が移動される量は、サージ限 界に運転点が接近する速度の関数となる。このような方法はいくつかの問題点を 有している。例えば、設定値が連続的に変わることは、PID制御装置の動作の 監視ないしはモニターを困難とする。更に、この方法は、常に変化する人為的な 誤差をPID制御装置に発生させるので、PID制御装置の動作は殆ど予測でき ないものとなる。更にまた、円滑で安定した作動が求められているので、アンチ サージバルブの開度を制御する一般的なPID制御装置は、鋭い流れの乱れに応 答するには適しておらず、従って、サージ限界ラインに対する運転点の接近の速 度に反応するにはあまり適した応答性を提供するものではなく、効果的なサージ 制御のための設定が困難となっている。 発明の概要 前述の観点から、本発明の総括的な目的は、ダイナミックコンプレッサーと共 に用いられ、コンプレッサーのサージを効果的に防止する改善された制御システ ムを提供することである。 従って、ダイナミックコンプレッサーのためのサージ防止制御システムであっ て、サージ制御ラインの周辺におけるコンプレッサーの運転点の位置を制御し、 同時にサージラインに対する運転点の高速の接近速度に最適に応答する制御シス テムを提供することを本発明の目的の一つとしている。 本発明の関連の目的は、サージ制御ライン周辺におけるダイナミックコンプレ ッサーの運転点の全位置にわたって最適なPIDを可能とし、かつまた、サージ ラインに対する運転点の高速の接近速度に最適に応答することができPID制御 の操作に悪影響を与えることがない、ダイナミックコンプレッサー用のサージ防 止制御システムを提供することにある。 本発明の以上のような目的や他の諸目的によれば、ダイナミックコンプレッサ ーのサージを防止するための制御システムであって、コンプレッサーの運転点の 速度制御と位置制御の両方に最適化された複合モジュール制御を用いた制御シス テムが提供される。コンプレッサーは、サージ領域と、安定領域と、これらの2 つの領域を分けるサージラインと、前記安定領域内にあって前記サージラインか ら離れたサージ制御ラインとを含むコンプレッサーマップ上で定義される可変の 運転点を有する。この制御システムはアンチサージバルブを作動させる。このア ンチサージバルブは、ダイナミックコンプレッサーを通る流れを制御可能に増加 させるためにバルブ開度を調節するための電気入力を有する。また、この制御シ ステムは複合モジュール制御装置を用いている。複合モジュール制御装置は、ダ イナミックコンプレッサーの運転点を示す制御変数を受けるための入力を有し、 また、アンチサージバルブの開度を制御するための出力信号を有する。複合モジ ュール制御装置におけるPID制御モジュールは、プロセス入力として制御変数 を受け、また、このモジュールは、サージ制御ラインの範囲内でダイナミックコ ンプレッサーの運転点に制御動作を及ぼす第1の出力信号を生成するよう、サー ジ制御ラインに対応する設定値(目標値)を有している。複合モジュール制御装 置における微分モジュール(derivative module)は、制御変数を受け、サージ 制御ラインに対する運転点の接近速度を示す大きさないしは量を有する速度信号 を生成する。複合モジュール制御装置における速度制御モジュールは、プロセス 入力として速度信号を受け、接近速度が設定値を越えた場合にアンチサージバル ブの矯正的な開放を開始するための第2の出力信号を生成する。出力信号セレク ターが第1の出力信号及び第2の出力信号を含む複数の入力信号を受け、複合モ ジュール制御装置の出力信号としてそれらの入力信号の中から一つを選択する。 本発明の特徴は、サージ制御ラインの領域でのコンプレッサーの運転点の位置 を制御するために閉ループPID制御モジュールを用いること、及び、運転点の 接近速度を直接制御するために速度制御モジュールを用いることである。速度制 御モジュールは、接近速度が過度に速くなった場合に、PID制御モジュールが 活性(機能している状態)となる前でも、アンチサージバルブの制御を引き継ぎ 、アンチサージバルブを開き始める。 また、本発明の特徴は、速度制御装置が誤差をゼロに減ずることのできる積分 機能を速度制御モジュールに設けたことである。 本発明の他の特徴は、アンチサージバルブの不必要な開放を防止するために、 速度制御モジュールの設定値がサージ制御ラインに対する運転点の近接度に応じ て調整される点にある。 本発明の更に別の特徴は、速度制御モジュールのゲインが、速度制御モジュー ルの動作を線形化するためにダイナミックコンプレッサーの運転状態に応じて調 整される点にある。 他の目的や利点は、図面に関連して以下の詳細な説明から明らかとなろう。 図面の簡単な説明 図1は、本発明の一例である複合モジュール制御装置によって制御されるアン チサージバルブを具備するダイナミックコンプレッサーを示す概略図である。 図2は、PID制御モジュールと速度制御モジュールとを有するサージ防止用 の複合モジュール制御装置を示す概略図である。 図3は、積分器及びトラッキング要素を有するサージ防止用の速度制御モジュ ールの一実施形態を示す概略図である。 図4は、PID制御モジュールの設定値に対する制御変数の近接度に対しての 、速度制御モジュールの設定値の関数依存性を示す図である。 図5は、速度制御モジュールのゲイン、設定値及びプロセス変数を設定するス テップを示すブロック図である。 図6は、ダイナミックコンプレッサーについてのコンプレッサーマップであり 、異なる位置にあるコンプレッサーの運転点を示す図である。 図7は、ダイナミックコンプレッサーのサージを防止するための本発明による 方法を理解するのに役立つプロック図である。 発明の詳細な説明 さて、図面に戻る。図1は、サージ防止制御システムを有するダイナミックコ ンプレッサー11を示す概略図である。サージ防止制御は、ダイナミックコンプ レッサー11の出口ないしは吐出口に取り付けられたアンチサージバルブ12を 調整するものである。図1のシステムにおいて、アンチサージバルブ12はダイ ナミックコンプレッサー11の入口ないしは吸込口10にも接続されている。ア ンチサージバルブ12は調節可能な開口部を具備し、その開口部はアンチサージ バルブ12の制御入力部112に送られる電気信号によって制御される。アンチ サージバルブ12が開放された場合には、ダイナミックコンプレッサー11の吐 出流の一部がコンプレッサー11の周りをバイパスされて、入口10に戻され、 アンチサージバルブ12を通してバイパスされた流れが循環されるようになって いる。このダイナミックコンプレッサー11の周囲のバイパス流は、ダイナミッ クコンプレッサー11の全流量を増加させ、運転点をサージ領域から離脱させる 効果がある。図1に示すようなガスの再循環の代わりに、アンチサージバルブ1 2を通してダイナミックコンプレッサー11の吐出流の一部を単純にダンピング (排出)することによっても、ダイナミックコンプレッサー11の流量を増加さ せることが可能であることは理解されよう。本明細書中で「バイパス」という用 語が用いられた場合には、文脈によって違ったものを指す場合を除いて、より好 ましい再循環形態のもの、及び、あまり好ましくないダンピング形態のものを包 含する意図を持つものである。 コンプレッサー11のサージを効果的に防止し、同時に圧縮ガスを受け取る下 流工程14への妨害を最小限にくいとめるために、アンチサージバルブ12の開 閉は慎重に制御されなければならない。図1に示したように、バルブの開度は、 複合モジュール制御装置20によって制御される。本発明によれば、複合モジュ ール制御装置20は、コンプレッサー11の運転点がサージラインに接近した場 合にその運転点を制御するようアンチサージバルブ12を作動させるのみならず 、サージラインに対する運転点の接近の速度が高速度である場合に、そのような 接近速度を直接制御するようアンチサージバルブ12を作動させる。言い換える ならば、複合モジュール制御装置20は、接近速度を監視することによりサージ の可能性を予期し、アンチサージバルブ12を開放することにより是正措置を採 って、運転点がサージラインのほうに急速に移動した場合に接近速度を制御する 。 より詳細に述べるならば、ダイナミックコンプレッサー11は、符号10で概 略的に示すガス入口を有しており、ガスを圧縮し、その圧縮ガスを出口18を通 して下流工程14に供給するように機能する。複数のセンサーが従来と同様に入 口10及び出口18に配置されており、コンプレッサーの運転状態を監視するよ うになっている。図1に示すように、センサーは、通常、入口温度センサー91 、 入口圧力センサー92、流量センサー93、吐出し圧力センサー94および吐出 し温度センサー95等である。また、他の型式のセンサーも使用可能である。こ れらのセンサーからの出力信号は、プロセス計測モジュール15に送られ、そこ で処理されてコンプレッサー11の運転状態が決定される。プロセス計測モジュ ール15の出力はプロセス変数計算機16により用いられ、そこでは計測された 運転状態に基づいて制御変数が算出される。かかる制御変数は、複合モジュール 制御装置20によって、出力制御信号の発生に利用される。この後、出力制御信 号は、アンチサージバルブ12のバルブ開度を制御するために、バルブ位置制御 装置17により利用される。 図2は複合モジュール制御装置20の詳細図を示している。この複合モジュー ル制御装置20は、PID制御モジュール21と速度制御モジュール40とを具 備しており、その両方ともコンプレッサー11(図1)のサージを防止すべくア ンチサージバルブ12のバルブ開度を制御するよう働く。PID制御モジュール 21は、運転点がサージ領域内に移動しないように、所定のサージ制御ラインと サージラインとの間にダイナミックコンプレッサー11の運転点の位置を制限す るよう最適化されている。 図5にはコンプレッサーマップが簡単に示されており、このコンプレッサーマ ップにおいてサージライン70は2つの領域を区画し、その左側を不安定な運転 領域73(サージ領域)、右側を暗転運転領域74としている。サージ制御ライ ン71は、これとサージライン70との間に運転領域を画成し、この領域で、P ID制御モジュール21はアンチサージバルブを制御するよう初期チューニング (調整)がなされる。 本発明を実施する場合、PID制御モジュール21に加えて、速度制御モジュ ール40を機能させ、コンプレッサーマップにおける運転点の位置に拘わらず、 アンチサージバルブ12を開放して運転点がサージライン73に接近する速度を 減じるようにアンチサージバルブ12の制御を行うと仮定することによって、サ ージへと向かう運転点の速い移動に対応するようにしている。言い換えるならば 、速度制御モジュール40は、サージの可能性を予期し接近速度を直接制御する よう、最適化されている。従って、速度制御モジュール40は、運転点がサージ ラ イン73から比較的離れている場合であっても、アンチサージバルブ12を開放 することにより高速の接近に対応する。 より詳細に述べるならば、図2に示すように、複合モジュール制御装置20は 、制御変数計算機16により生成された制御変数を受けるための制御信号入力部 120を有している。算出された制御変数は、コンプレッサーマップにおけるダ イナミックコンプレッサー11の運転点を示すものである。コンプレッサーサー ジ制御システムにおいて通常用いられる制御変数は、次のように定義される。 制御変数=(実流量)2/ポリトロープヘッド このように定義した場合、制御変数の各値は、コンプレッサーマップにおける放 物線に対応することは理解されよう。制御変数の所定値に対応するコンプレッサ ーマップにおけるコンプレッサー11の運転点の位置は、実流量が知られている 場合、独自に決定され得る。 制御変数は、PID制御モジュール21によって、そのプロセス変数として受 け取られる。更に、制御変数は、微分モジュール22に送られる。微分モジュー ル22は、サージライン70(図5)に対する運転点の接近速度を示す大きさを 有する速度信号を生成するよう、制御変数に作用する。速度信号は、次いで、速 度制御モジュール40にそのプロセス変数として送られる。速度信号は、サージ 領域への或いはサージ領域から離れる運転点の移動を示すことができることは理 解されよう。なお、特に明示しない限り、本明細書で用いた「接近速度」という 語は、サージ領域に向かう運転点の移動速度をいうものとする。 PID制御モジュール21は、制御変数に対して閉ループ制御を行い、比例項 、積分項及び微分項を形成し、最終的にはアンチサージバルブ12の位置を制御 するための第1の出力信号を生成するようになっている。PID制御モジュール 21には、サージ制御ライン71(図5)に対応する設定値が与えられ、また、 PID制御モジュール21は、制御変数の値がサージ制御ライン71とサージラ イン70との間にある場合に制御変数を制御するよう働く。別言すれば、PID 制御モジュール21は、ダイナミックコンプレッサー11の運転点がサージ制御 ライン71とサージライン70との間の位置であると仮定した場合、制御作用を 及ぼすよう機能する。PID制御モジュール21の設定値は、サージラインとサ ー ジ制御ライン71との間で、通常は5%〜15%の所定の安全マージンを許容す るよう選択されるのが好適である。 速度制御モジュール40も、比例項、積分項及び微分項を有する閉ループPI D制御装置の形態をとっている。速度制御モジュール40は、そのプロセス変数 として速度信号を用いており、接近速度が速度制御モジュール40の設定値を越 えた場合にアンチサージバルブ12の開度を制御するための第2の出力信号を生 成する。例えばダイナミックコンプレッサー11の流量の突然の低下により引き 起こされる高速度接近に対応して、速度制御モジュール40は、当該速度制御モ ジュール40の設定値に向かう接近速度を減ずるためにアンチサージバルブ12 を開放して流量を増加させるための出力信号を発する。また、速度制御モジュー ル40の設定値はしきい値として機能し、接近速度が設定値を下回った場合に速 度制御モジュール40がバルブを開かないようにする。このようにして、アンチ サージバルブ12の不必要な開放や、下流工程14(図1)に対する妨害が低減 される。 図2に示すように、PID制御モジュール21と速度制御モジュール40とは 、アンチサージバルブ12の開度を制御する出力信号を発する。好適な実施形態 において、PID制御モジュール21及び速度制御モジュール40の制御作用は 、出力信号セレクター25を用いることで調和されている。出力信号セレクター 25は、典型的には、複数の入力信号がある。本発明の目的において、PID制 御モジュール21と速度制御モジュール40からの信号のみが重要である。しか しながら、開ループ制御装置や負荷割当て制御装置等の他の制御装置がアンチサ ージバルブ12のための出力信号を発してもよいことは理解されよう。各入力信 号は、アンチサージバルブ12のバルブ開度の度合いに対応するよう標準化され る。入力信号の一つが、出力信号セレクター25によって、アンチサージバルブ 12を制御するための複合モジュール制御装置20の出力信号として選択される 。好ましくは、出力信号セレクター25は、多数の入力信号の中から最も大きな バルブ開度に対応する入力信号を選択するという意味で、ハイシグナルセレクタ ーである。 このようにして、速度制御モジュール40とPID制御モジュールとは、それ ぞれが求められる状況が生じた場合に、それぞれの機能を効果的に果たすことが できる。例えば、接近速度が速度制御モジュール40の設定値を越えてはいるが 、運転点は未だ安定運転領域にある場合において、速度制御モジュール40がバ ルブ12を開いてサージを防止するよう選定される。他方、運転点がサージライ ンの近くにあるが、低速で移動している場合、PID制御モジュール21は、運 転点がサージ制御ラインに戻るようバルブ開度を制御するために選定される。別 の実施形態では、運転点が安定領域にあり、サージ領域から離れていっている場 合、速度制御モジュールがバルブを迅速に閉じるようにしてもよい。このような 場合、PID制御モジュール21はゆっくりとしたペースで、バルブを閉じる傾 向があるのが典型となろう。また、このような場合、PID制御モジュールはバ ルブの制御を受け持ち、バルブをゆっくりと閉じる。 従来、サージ制御ライン71(図5)に対する運転点の接近速度は、差し迫っ たサージの指標となり得るものであったことは理解されよう。従来、サージ制御 において速度に関する情報を用いようとする試みがなされたが、その制御手法は 全て間接的であった(即ち、通常のPID制御装置についての設定値を移動する ような他の変数に作用を及ぼすものであった)と信じられている。 本発明によって速度を直接制御する場合、制御装置のプロセス信号が速度情報 であって、位置情報ではないということを考慮した特別な目的の制御装置が用い られる。この制御装置は、従来の閉ループ制御装置と同様であり、誤差信号を生 成するために比較されるプロセス信号と設定値とを有しており、それらの大きさ は、出力に作用して誤差信号をゼロにするものである。しかしながら、プロセス 信号が速度信号であり、制御装置がPIDである場合、誤差信号をゼロにする能 力は、特別なステップが採られない限り、失われる。 本発明の重要な特徴によれば、速度制御モジュール40には、PID制御装置 に一般に用いられる比例・積分・微分の項に加えて積分作用を提供する積分器が 設けられている。従って、好適な実施形態における速度制御モジュール40はI PID制御装置である。この積分器は、速度制御モジュール40が、その設定値 とそのプロセス変数との間の差として定義される誤差をゼロに減ずるよう設けら れている。積分器は、この目的において必要とされる。何故ならば、現場計測さ れた信号又は算出された信号の導関数であるプロセス変数に対して従来一般のP IDを行うことは信号に作用するものであるが、誤差を遷移状況においてゼロに 減ずるには十分な制御応答性を有していないからである。例えば、ガスを用いる 下流工程が停止した場合、一定の期間、例えば30秒間にわたり流れは連続的に 低下する。通常のPIDが速度制御に用いられた場合、プロセス入力が設定値と 等しいならば、PIDはバルブ開度を一定のレベルに保持する。しかしながら、 バルブ開度が一定に保持されると、速度は再び増加し、従って速度誤差が増加す る。速度制御モジュール40はIPIDであり、プロセス入力が速度設定値と等 しい場合であっても、即ち誤差がゼロであっても、バルブを連続的に開き続ける 従来一般のPID制御装置とは異なっている。このような応答性は、速度制御モ ジュールにおける付加的な積分器の機能によるものである。このように、速度制 御モジュール40は速度誤差をゼロに減ずることができる。積分器の効果は、次 のようなラプラス変換法を用いて示すことができる。即ち、好適な実施形態にお いて、制御変数は、 WS =(Q2/H)Normallzed として定義される。ここで、WSは制御変数であり、Qは実流量、Hはポリトロ ープヘッドである。速度制御についてのプロセス変数は、次のように定義される 。 プロセス変数=(s)WS 速度制御の設定値は、次のように定義される。 設定値=(s)WSMAX そして、速度制御における誤差の項は、 誤差=設定値−プロセス変数 =s・(WSMAX−WS) である。従来一般のPIDは、 のように定義される伝達関数を有している。従来一般のPIDの出力は、誤差と 共に表されると、次式となる。 このような出力において「積分」の項がないことが分かるであろう。これは、積 分項がPID制御装置において最終的に誤差信号をゼロにする項であることは明 らかであるので、制御という観点からは重要である。積分の項がない場合、PI D制御装置は、所望の設定値に対するプロセス信号の微分値を制御することがで きない。即ち、誤差はゼロに減じられない。 本発明によれば、速度制御装置には、その伝達関数が次式を有するよう積分器 が設けられている。 速度制御モジュールが誤差に対して作用する場合、出力は次式となる。 ここで、I/(1+s)で表される積分項が出力に組み込まれていることは分か るであろう。積分器がある場合、速度制御は、従来のPID型の制御装置に代わ り、積分・比例・積分・偏差(IPID)型の制御装置となる。 図3は積分器を有する速度制御モジュール40の一実施形態を示している。こ の実施形態において、積分器46は、速度制御モジュール40のPID部分47 にフィードバックライン44の微分演算器45を付加することにより、効力が与 えられる。フィードバックライン44における微分演算器45の微分機能を組み 込むことは積分動作をエミュレートするものであり、PID部分47における「 積分」項に加えられたものである。 図3に示すように、速度制御モジュール40のPID部分47は、比例演算器 38と、積分演算器39と、微分演算器41とを有している。積分演算器39の 出力は微分演算器45により処理され、微分演算器45の出力はフィードバック ライン44を通して積分演算器39の入力部に送られる。積分演算器39の出力 を微分演算器45を介して積分演算器39の入力部にフィードバックさせるとい うこの構成は積分関数をエミュレートするものであり、上述した伝達関数を与え るものである。このような積分関数ないしは積分動作によって、速度制御モジュ ール40の誤差をゼロに減ずることができる。 図3を更に詳細に参照すると、微分演算器45の入力部は積分演算器39の出 力部に相当し、比例演算器38の後、PIDモジュール47の微分演算器41の 前に位置していることが分かるであろう。従って、微分演算器45に対する入力 は、位置に関連する情報を含んでいる。これは、第1の加算器34に与えられる プロセス変数が積分モジュール39に与えられる速度情報を含むものであるから である。なお、積分モジュール39は、位置に関連する情報を生成するよう速度 情報を積分する。この直後に、微分演算器45は、積分された速度情報における 変動を見て、その情報を加算器35を介して積分演算器39の入力部にフィード バックする。従って、位置に関する情報はPID関数ないしはPID機能に導入 され、その情報により速度制御モジュール40の改良されたPID(IPID) が誤差信号をゼロとすることは理解されよう。 複合モジュール制御装置20がモジュールと制御装置との間での伝達を許容し 、適正に履行しない場合には、モジュール間での切り替えが行われる際における 、アンチサージバルブ12に与えられる出力信号の実質的な不連続を生ずること ができることは理解されよう。これを防止するために、本発明によれば、複合モ ジュール制御装置40にはトラッキング機能が与えられ、それにより制御装置4 0はいずれのモジュールがアンチサージバルブ12の制御に寄与しているモジュ ールであるか(活性モジュールであるか)、不活性であるかを決定する。すべて のモジュールはその入力信号を監視し続け、ステップが取られない場合に、モジ ュール毎に異なる出力信号を生ずる。しかし、本発明によれば、複合モジュール 制御装置40には、不活性なモジュールが活性モジュールの出力をトラッキング させるためのトラッキング手段が設けられている。この目的で、出力信号セレク ター25の出力部は、すべてのモジュールのトラッキング入力部に接続され、す べての不活性モジュールが出力信号セレクター25の出力をトラッキングさせる ためにトラッキング制御ラインが設けられている。 より詳細には、PID制御モジュール21又は速度制御モジュール40のいず れかが、その出力が他方よりも大きい限り、アンチサージバルブ12の制御を担 うことができる。制御がPID制御モジュール21から速度制御モジュール40 に或いは速度制御モジュール40からPID制御モジュール21に切り替えられ た場合に、アンチサージバルブ12の円滑な作動を確保するために、PID制御 モジュール21及び速度制御モジュール40の両者にはトラッキング特性が与え られ、それらの出力信号が出力信号セレクター25の出力信号をトラッキングす るようになっている。図2に示すように、出力信号セレクター25の出力信号は 、出力トラッキングライン27,29を通してPID制御モジュール21及び速 度制御モジュール40にフィードバックされる。また、出力信号セレクター25 は、PID制御モジュール21及び速度制御モジュール40にそれぞれ接続され たトラッキング制御ライン26,28を有している。 トラッキング制御ライン 26,28は、制御モジュール21,40の各々に、その出力信号が選択さけた か否か、即ちそれが現在、アンチサージバルブ12の制御にあるか否かを示すト ラッキング制御信号を伝えるために用いられる。そして、制御に係わっていない 制御モジュールは、出力信号セレクター25の出力をトラッキングするために、 その出力を調整する。 図3は、上述したPID制御モジュール21と速度制御モジュール40のトラ ッキング機能の一実施例を示している。この実施形態において、スイッチ42が 、トラッキング出力ライン43上の出力信号セレクター25の出力信号と微分演 算器45の出力とを選択するために設けられている。速度制御モジュール40が アンチサージバルブ12(図2)の制御に係わっていないことをトラッキング制 御ライン26上のトラッキング制御信号が示した場合、スイッチ42は、トラッ キング出力ライン43上の出力信号セレクター25の出力信号を積分演算器39 への入力として加算器35に接続するよう制御される。出力信号セレクター25 の出力を加算器35に提供することは、積分モジュール39に予負荷をあたえる よう機能し、もって速度制御モジュール40の出力信号が活性PID制御モジュ ール21の出力信号と同じレベルにされる。従って、活性と不活性の制御モジュ ー ル21,40の間での役割を切り替えることが望まれる場合、それらの出力は同 じレベルにあり、バンプレス切替えを可能とする。しかしながら、スイッチ40 の後の制御は、今や活性の制御モジュールに関連されるPID機能及びプロセス 入力に応答する。 速度制御モジュールPIDに積分器の機能を加えること、そして、従来一般の PIDモジュール21と並列的に速度制御モジュール40を機能させることは、 相当に強化された制御システムを提供する。各制御モジュールの出力部に接続さ れた出力信号セレクター25は、バルブ最大開度を要求する制御モジュールから 信号を選択する。従って、PID制御モジュール21は、運転点がサージ制御ラ イン71(図5)の近傍にあるとき、機能しており、その領域において、その出 力信号は通常通り制御する。しかし、運転点がコンプレッサーマップのいかなる 部分にある場合でも、サージ制御ライン71に対する運転点の接近速度が速度制 御モジュール40の設定値を越えたときには、速度制御モジュール40は、高い 出力信号を発し、アンチサージバルブ12の制御を担う。 単純化されたシステムにおいて、速度制御モジュール40についての設定値は 、コンプレッサーシステムにおいて受け入れることのできる最大接近速度に対応 する一定レベルに設定できる。接近速度がその予め設定された値を越えた場合、 速度制御モジュール40は出力信号を発する。その出力が、PID制御モジュー ル21により生成された出力信号よりも大きい場合には、その出力はアンチサー ジバルブ12の担当し、バルブ開度を制御する。 しかしながら、このシステムの更なる改良点として、速度制御モジュール40 をサージ制御ラインの近くでも、またサージ制御ラインから離れても等しく効果 的なものとするように、速度制御モジュール40の設定値を調整するための手段 が設けられている。このために、本発明によれば、速度制御モジュール40の設 定値は、コンプレッサー11の運手点とサージライン70(図5)との間の距離 に応じて調整される。概して、設定値は、運転点がサージライン70から離れて いる場合には高く設定され、運転点がサージライン70に近い場合には減じられ る。このような方法において、流量が多い場合に、速度制御モジュール40を起 動することなく、より大きな流量の変動が生じ、それによってアンチサージバル ブ12の不必要な開放を防止することができる。しかし、運転点がサージライン 70に近い場合、接近速度が低速であっても運転点はサージ領域に入るおそれが ある。従って、速度制御モジュール40の設定値は、運転点がサージライン70 に近い場合、より高い感応性を与えるよう減じられる。速度制御モジュール40 の目標点がゼロに減じられることが認められないことに注目することは重要であ る。もしそれが可能ならば、速度制御モジュール40は、そのプロセス変数の定 常状態の状況に拘わらず、アンチサージバルブ12を全開に保つことなろう。こ の状況は、設定値調整器24の出力についての最小でゼロでない下限を設定する ことにより回避される。 好適な実施形態において、PID制御モジュール21の設定値に対する制御変 数の近接度、即ち制御変数とPID制御モジュール21のサージ制御ライン設定 値との間の差が、速度制御モジュール40の設定値を調整する目的で、サージラ イン70に対するダイナミックコンプレッサー11の運転点の近接度の示度とし て用いられる。速度制御モジュール40の設定値の、“PID制御モジュール2 1の設定値に対する制御変数の近接度”による関数依存性の一例が、図4に示さ れている。図4に示すように、速度制御モジュール40の設定値は、最大値と最 小値との間で可変である。制御変数とPID制御モジュール21の設定値との間 の差が、点61により示される値を越える場合、設定値は、点63で示される最 大値で固定される。制御変数とPID制御モジュール21の設定値との間の差が 、点62により示される値を下回る場合、設定値は、点64で示されるゼロでな い最小値で固定される。制御変数とPID制御モジュール21の設定値との間の 差が点61と点62との間の範囲内にある場合、速度制御モジュール40の設定 値は前記差に対して直線的に変化する。なお、図4に示すような速度制御モジュ ール40の設定値を設定する方法は一例として提示されたものに過ぎず、設定値 の値を選定する他の方法も本発明の範囲及び精神から逸脱することなく使用され 得ることは、理解されよう。図2に示すような好適な実施形態において、速度制 御モジュール40の設定値は設定値調整器24により調整される。この設定値調 整器24は、制御変数計算機16からの信号を受け、制御変数とPID制御モジ ュール21の設定値との間の差を決定する。 本発明の他の特徴によれば、速度制御モジュール40のゲイン(利得)は、ダ イナミックコンプレッサー11のプロセス状態が変化した場合、速度制御モジュ ール40のダイナミクスを調整するよう調節される。ガス特性、コンプレッサー 11の入口10(図1)や出口18(図1)の圧力及び温度が変化したとき、ア ンチサージバルブ12を通る流れは相当に変化し得る。その結果として、バルブ 開度の調節が同じ割合であっても、ダイナミックコンプレッサー11のプロセス 状況に応じて、流れに対する効果の度合いは相当に異なる。速度制御モジュール 40の動作を線形化するために、そして、プロセス変動を補償するために、速度 制御モジュール40のゲインは以下のゲインの関数に従って制御される。 ゲイン = K・F(Ps,Pd,Td,SG) ここで、Ps、Pd及びTdはそれぞれダイナミックコンプレッサー11の吸込み 圧力、吐出し圧力及び吐出し温度であり、SGはコンプレッサー11により処理 されるガスの比重であり、Kはシステム応答性についての典型的なゲインである 定数である。また、Fは、プロセス状態が変動した場合にバルブ動作と流れとの 間の関係における正規化された変動を示す関数であり、アンチサージバルブ12 の流れ特性に依存するものである。プロセス状態の変動に対するアンチサージバ ルブ12の応答性に従って調整されるゲインを用いることにより、速度制御モジ ュール40のダイナミクスは、プロセス状態が変化すると、適正に変化する。こ の態様において、ダイナミックコンプレッサー11の全運転レンジにわたり機能 可能な一組のPIDダイナミクスを生成するよう、速度制御モジュール40は、 ダイナミックコンプレッサー11のただ一組のプロセス状態でチューニングされ る必要がある。図2に示す複合モジュール制御装置20の実施形態において、速 度制御モジュール40のゲインはゲイン調整器によって設定される。 図6は、本発明の好適な実施形態における速度制御モジュール40のゲイン、 設定値及びプロセス変数の値を設定するための要素間の相互関係を示すブロック 図である。図6に示すように、モジュール81は、コンプレッサー11の運転状 態を決定するために、プロセス計測を行う。プロセス計測の結果はモジュール8 2で用いられ、制御変数、典型的には(流量)2/ヘッドを計算する。次いで、 制御変数は設定値調整器24で用いられ、制御変数とPID制御モジュール21 の 設定値との間の差の関数として速度制御モジュール40の設定値を設定する。速 度制御モジュール40のプロセス変数は、一次の(流量)2/ヘッド・プロセス 変数の微分であり、微分モジュール22で決定される。速度制御モジュール40 のゲインを決定するために、アンチサージバルブ12の流れ特性がモジュール8 5で決定される。次いで、バルブ流れ特性とプロセス計測の結果が、モジュール 86においてプロセス状態の関数としてアンチサージバルブ12の応答性を標準 化するために用いられる。システム応答性についてのゲイン定数がモジュール8 6の出力を用いて設定される。ゲイン定数と標準化されたプロセス応答はモジュ ール88で積算され、速度制御モジュール40のゲインの値を制御する。 次に、PID制御モジュール21と速度制御モジュール40との間の相互作用 を例をあげて説明する。この例においては、出力信号セレクター25(図2)が PID制御モジュール21(図2)及び速度制御モジュール40(図2)のみか らの入力信号を受け、これら2つの制御モジュール21,40のいずれかの出力 信号がアンチサージバルブ12(図2)の開度を制御するための出力信号セレク ター25の出力信号として選択されるようになっているものとする。また、PI D制御モジュール21についての設定値が100.0に標準化されているものと する。制御変数が100.0以下の値を有する場合、PID制御モジュール21 はアンチサージバルブ12(図2)を開放するように働く。制御変数が100. 0よりも大きい場合、PID制御モジュール21はPID制御モジュール21を 閉じるよう機能する。 他方、速度制御モジュール40は、制御変数がPID制御モジュール21の設 定値に接近する速度に効力を及ぼす。この例において、複合モジュール制御装置 20(図2)は、10秒のループ応答時間を有していると仮定されている。速度 制御モジュール40の設定値は、105.0〜200.0の範囲内の制御変数値 に関し、次の式を用いて設定される。 SR=(CV−SPID)/10.0 ここで、SRは速度制御モジュール40の設定値であり、SPIDはPID制御モジ ュール21の設定値であり、CVは制御変数である。設定値は、制御変数が20 0.0を越えた場合、10.0という最大値に設定され、制御変数が105.0 を下回った場合には、0.5という最小値に設定される。 図6は、例示の目的で、複合モジュール制御装置20により制御されるダイナ ミックコンプレッサー11(図1)のコンプレッサーマップを示している。この コンプレッサーマップの垂直軸はポリトロープヘッドであり、水平軸はダイナミ ックコンプレッサー11の実流量である。サージライン70はサージ領域73と 安定運転領域74とを分割している。サージ制御ライン71は、PID制御モジ ュール21の選定された設定値に対応し、安定運転領域74内にサージライン7 0から所定の安全マージンをとって置かれている。この例において、サージライ ン70は、90.0という制御変数の値に対応するよう想定されている。 図6に示すコンプレッサーマップにおいて、点A、B、C、D、Eはそれぞれ 制御変数値150.0、140.0、130.0、95.0、100.0に対応 しているものとする。また、最初にダイナミックコンプレッサー11の運転点が 点Aにあるものとする。点Aで、速度制御モジュール40の設定値は5.0であ る。今、運転点が点Aから点Cへと、毎秒4.0の速度で移動すると仮定する。 最初、速度制御モジュール40は、速度がその設定値よりも低いので、このよう な移動には反応しない。しかし、運転点が点Bを通過すると、制御変数が140 .0以下に下がり、速度制御モジュール40の設定値が4.0以下に下がる。次 いで、速度制御モジュール40は活性となり、その設定値が制御変数の減少率よ りも低くなるので、アンチサージバルブ12を開くための出力信号を発する。同 時に、PID制御モジュール21は、制御変数が未だPID制御モジュール21 の設定値よりも高いので、アンチサージバルブ12を閉じるための出力信号を発 する。この状況において、速度制御モジュール40の出力信号が出力信号セレク ター25により選択され、速度制御モジュール40はアンチサージバルブ12を 開き始め、制御変数の減少率を制御する。制御変数とコンプレッサーマップ上の 運転点の一との間における数学的対応の故に、制御変数の変化の割合を制御する ことは、サージ制御ライン71又はサージライン70のいずれかに対する運転点 の接近速度を制御することに概念的には等価のものである。 運転点が点Cに達したとき、速度制御モジュール40の設定値は3.0に減じ られる。制御変数が130.0で安定となるよう運転点が点Cで停止したならば 、 速度制御モジュール40はアンチサージバルブ12の閉止を開始する。しかしな がら、運転点が点Cから点Dに移動を続け、制御変数が速度制御モジュール40 の設定値よりも高い割合で低下するならば、速度制御モジュール40は、制御変 数の減少率を制限するために、アンチサージバルブ12を開き続ける。 運転点がサージ制御ライン71上の点Eを通過したならば、制御変数は100 .0(PID制御モジュール21の設定値)よりも減じられる。次いで、PID 制御モジュール21は活性となり、制御変数を制御するためにアンチサージバル ブ12を開くよう出力信号を発する。PID制御モジュール21の出力信号は、 速度制御モジュール40の出力信号と比較され、2つの出力信号のうち大きい方 がアンチサージバルブ12を制御するために選択される。運転点が点Eで停止し 、サージライン70に最早接近しないならば、制御変数の変化の割合は、速度制 御モジュール40の設定値(点Eで0.5)よりも低い。そして、速度制御モジ ュール40は、アンチサージバルブ12を閉じるための出力信号を発する。同時 に、PID制御モジュール21は、制御変数を100.0という設定値に移動さ せるために、アンチサージバルブ12を開く出力信号を発する。この状況におい て、PID制御モジュール21はアンチサージバルブ12を制御する。 PID制御モジュール21と速度制御モジュール40との間でのアンチサージ バルブ12の制御の切替えは、制御変数の変化がどのくらい速いか、制御変数の 値、速度制御モジュール40及びPID制御モジュール21のチューニング、シ ステムダイナミクスに依存する。運転点がゆっくりと移動するが、サージ制御ラ イン71の左側に位置している場合、PID制御モジュール21はアンチサージ バルブ12の制御を担う傾向がある。他方、運転点がサージ制御ライン71に極 めて近いが、十分に高速でサージライン70の方向に移動している場合、速度制 御モジュール40がアンチサージバルブ12の制御を行うであろう。 次に、ダイナミックコンプレッサー11(図1)におけるサージを防止するた めの本発明による方法について図7を参照して説明する。サージを防止すべくダ イナミックコンプレッサー11の流れを制御するために、アンチサージバルブ1 2(図1)がダイナミックコンプレッサー11に接続されている。アンチサージ バルブ12のバルブ開度が、ダイナミックコンプレッサー11を通る流れを増加 させるために、ダイナミックコンプレッサー11の周りに吐出し流れをバイパス するよう制御可能に調節される。アンチサージバルブ12の開度を適正に制御す るために、流量、圧力、温度等のコンプレッサー11のプロセス状態が計測され る(ステップ102)。このプロセス計測の結果は、コンプレッサーマップにおけ るコンプレッサー11の運転点を示す制御変数を生成するために、用いられる( ステップ103)。 ステップ105は、制御変数103に閉ループPID制御を行わせる。符号1 04で概略的に示すように、ステップは設定値を有し、この設定値はプロセス変 数が制御されるべき点を決定する。本発明の好適な実施形態において、設定値1 04はサージ制御ライン71(図5)であり、ステップ105は、サージ制御ラ イン71とサージライン70(図5)との間の領域において主としてアンチサー ジバルブの制御を行う。このようにした場合、PID制御機能が、アンチサージ バルブ12の出力を制御する第1の出力信号を発生するために用いられる(ステ ップ106)。 サージの危険性を予期するために、サージに迎え運転点の接近速度が監視され る(ステップ107)。好ましくは、ステップ105での制御運転のためのプロセ ス入力として機能するのと同じ信号が、ステップ107への入力として用いられ 、ステップ107はプロセス信号の時間微分を単に生成する。その時間微分は、 サージライン70への或いはサージ制御ライン71へのコンプレッサー運転点の 接近速度の指標として機能するものである。 本発明によれば、接近速度は、接近速度に対して第2の閉ループPIDを行わ せることにより、直接制御される(ステップ108)。また、ステップ108のP IDは、符号108′で概略的に示す設定値を有しており、これは、プロセス変 数としての速度信号と共に用いられ、誤差信号を発すると共に、アンチサージバ ルブ12を制御することができるステップ108のPIDからの出力信号を生成 する。最も単純な実施形態において、設定値108′は、単に、サージ制御ライ ンに対する運転点の接近速度の許容可能な最大値を示す一定レベルである。或い はまた、図2の設定値調整モジュール24が用いられることも有効である。 ステップ108は、上で詳細に説明したように、積分器との組み合わせでPI D制御を利用し、設定値とプロセス変数との間の誤差をゼロに減ずることのでき る出力信号を生成する。出力信号は、速度制御PIDにより要求されたアンチサ ージバルブの開度の計測値であり、その出力信号の生成はブロック109で示さ れている。次いで、第1と第2の出力信号の選択がなされ(ステップ110)、ア ンチサージバルブ12のより大きな開度に対応する出力信号が、アンチサージバ ルブ12の開度を制御するために選択される(ステップ111)。斯くして、第1 の出力信号が選択された場合には、ステップ105の第1のPID動作が制御変 数を制御するためにアンチサージバルブ12の制御を担う。他方、サージ制御ラ イン71に対する運転点の接近速度が高速の場合、ステップ108の第2のPI D動作が、第1のPID制御よりも大きな出力信号を生成する。このような場合 において、第2のPID動作はアンチサージバルブ12の制御に係り、接近速度 を制御するためにアンチサージバルブ12を開く。 以上の本発明による種々の好適な実施形態は、例示ないしは説明のための目的 で提示されたものである。従って、本発明は、上記の特定形態に限定されるもの ではない。上記内容に基づいて自明の変更や修正が可能である。取り上げた実施 形態は、様々な実施形態において、また予想される個々の用例に適した変更を加 えた上で、当業者によって本発明を利用することができるよう、本発明の精神と 実際の応用について最良の実例を提供するために選択され説明されたものである 。様々な変形や変更等は、それらが公正、合法的、正当に与えられた広がりに従 って解釈される場合、特許請求の範囲により特定される発明の範囲内にあるとさ れる。
【手続補正書】 【提出日】1998年9月1日 【補正内容】 (1)明細書の第5頁第16行〜同頁第19行に「図5は、速度制御モジュール ・・・運転点を示す図である。」とあるのを、「 図5は、ダイナミックコンプレッサーについてのコンプレッサーマップであり 、異なる位置にあるコンプレッサーの運転点を示す図である。 図6は、速度制御モジュールのゲイン、設定値及びプロセス変数を設定するス テップを示すブロック図である。」と補正する。 (2)明細書の第19頁第2行目の「図6」を、「図5」と補正する。 (3)明細書の第19頁第10行目の「図6」を、「図5」と補正する。 (4)請求の範囲を別紙の通り補正する。 請求の範囲1. サージ領域と、安定領域と、これらの2つの領域を分けるサージラインと、 前記安定領域内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含む コンプレッサーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコンプ レッサーにおいてサージを防止するための制御システムであって、 前記コンプレッサーの流れを制御可能に増加させるための、前記コンプレッサ ーに接続された選択的な応答性を有するアンチサージバルブと、 前記コンプレッサーの運転点を示す制御変数を受け取り、且つ、アンチサージ バルブを制御するための制御信号を生成する複合モジュール制御装置と の組み合わせから成り、 前記複合モジュール制御装置が、 前記サージ制御ラインと前記サージラインとの間で前記コンプレッサーの運 転点に制御動作を及ぼす第1の出力信号を生成するための、制御変数に応答する PID制御モジュールと、 前記サージ制御ラインへの運転点の接近速度を制限すべく前記コンプレッサ ーの運転点に制御動作を及ぼす大きさを有する第2の出力信号を生成するための 、前記接近速 度を示す信号に応答する閉ループの速度制御モジュールと、 出力信号として前記第1の出力信号又は前記第2の出力信号を前記アンチサ ージバルブに選択的につなげるための、出力信号セレクターと を含んでいる、制御システム。 2.前記複合モジュール制御装置は、前記サージ制御ラインに対する運転点の接 近速度を示す速度信号を生成するための、制御変数に応答する微分モジュールと 、前記速度制御モジュールに速度信号をつなぐ手段とを含んでいる、請求項1に 記載の制御システム。 3.前記PID制御モジュールは、プロセス入力として制御変数を有し且つサー ジ制御ラインに対応する設定値を有する閉ループ制御装置である、請求項2に記 載の制御システム。 4.前記速度制御モジュールは、プロセス入力として速度信号を有し且つサージ 制御ラインに対する運転点の接近速度の許容可能な最大値に対応する設定値を有 する閉ループPID制御装置を含んでいる、請求項3に記載の制御システム。 5.前記速度制御モジュールは、ゼロレートの誤差で出力を制御可能に増加させ るための補助的な積分器を有し、それによりプロセス入力と設定値との間の速度 誤差信号をゼロにするのを助けるようになっている、請求項4に記載の制御シス テム。 6.前記速度制御モジュールにおける前記積分器は、前記閉ループPID制御装 置のフィードバックラインにおける微分演算器を有している、請求項5に記載の 制御システム。 7.前記出力信号セレクターは、前記PID制御モジュールと前記速度制御モジ ュールとに接続されると共に、前記アンチサージバルブに制御信号として、前記 アンチサージバルブの最大開度を要求する出力信号を通すようになっているハイ シグナルセレクターから成る、請求項4に記載の制御システム。 8.前記速度制御モジュールは、前記PID制御モジュールの設定値に対する制 御変数の近接度に従って前記速度制御モジュールの設定値を調整するための設定 値調整器を有している、請求項1に記載の制御システム。 9.前記設定値調整器は、制御変数と前記PID制御モジュールとの間の差が減 少した場合に前記速度制御モジュールの設定値を減ずるようになっている、請求 項8に記載の制御システム。 10.前記設定値調整器は、制御変数と前記PID制御モジュールとの間の差が 所定の値よりも小さい場合に、ゼロではない最小値を生ずるようになっている、 請求項8に記載の制御システム。11. 前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号の各々はアンチサージバルブ のバルブ開度に対応しており、前記出力信号セレクターは最大のバルブ開度に対 応する出力信号を選択するためのハイシグナルセレクターである、請求項1に記 載の制御システム。 12.前記PID制御モジュール及び前記速度制御モジュールの各々は、前記出 力信号セレクターからの制御信号を受ける出力トラッキングラインと、前記モジ ュールのいずれが前記アンチサージバルブの制御を行っているのかを示すトラッ キング制御ラインとを有し、もって前記アンチサージバルブの制御に係わってい ないモジュールが制御信号をトラッキングするようになっている、請求項1に記 載の制御システム。 13.前記速度制御モジュールは、前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス 状態に応じて前記速度制御モジュールのゲインを調整するためのゲイン調整器を 有している、請求項1に記載の制御システム。 14.サージ領域と、安定領域と、これらの2つの領域を分けるサージラインと 、前記安定領域内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含 むコンプレッサーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコン プレッサーにおいてサージを防止するための制御システムであって、 前記コンプレッサーの流れを制御可能に増加させるための、前記コンプレッサ ーに接続され且つ前記制御信号に応答するアンチサージバルブと、 前記制御信号を生成するため、前記コンプレッサーの運転点を示す制御変数に 応答する複合モジュール制御装置と の組み合わせから成り、 前記複合モジュール制御装置が、 前記コンプレッサーの運転点が前記サージ制御ラインと前記サージラインと の間にある場合に前記運転点に制御動作を及ぼすため制御変数に応答する閉ルー プPID制御モジュールと、 前記サージ制御ラインに対する運転点の接近速度が所定のレベルを越えた場 合に、前記コンプレッサーマップにおける前記コンプレッサーの前記運転点の位 置に拘わらず、前記運転点に制御動作を及ぼすため、前記接近速度を示す信号に 応答する閉ループ速度制御モジュールと、 前記PID制御モジュールと前記速度制御モジュールとの間で前記アンチサ ージバルブの制御を通すためのセレクター手段と を含んでいる、制御システム。 15.前記セレクター手段は、アンチサージバルブの最大開度を要求するモジュ ールの出力を制御信号として出力するための、前記PID制御モジュール及び前 記速度制御モジュールに接続されたハイシグナルセレクターを備えている、請求 項14に記載の制御システム。 16.前記速度制御モジュールは、前記サージ制御ラインに対する運転点の接近 速度に応答するプロセス入力を有し且つ接近速度の許容可能な最大値に対応する 設定値を有するPID制御装置である、請求項14に記載の制御システム。 17.前記速度制御モジュールについての設定値を設定し、コンプレッサー運転 点と前記サージ制御ラインとの間の距離に従って接近速度の許容可能な最大値を 変えるための設定値調整器を備える、請求項16に記載の制御システム。 18.前記速度制御モジュールにおける前記PID制御装置は、速度制御装置が プロセス入力と設定値との間で決められる速度誤差信号をゼロとすることができ るように、接近速度のプロセス入力を積分する積分項を含むよう変更されている 、請求項16に記載の制御システム。 19.サージラインにより区画されたサージ領域及び安定領域と、前記安定領域 内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含むコンプレッサ ーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコンプレッサーにお いてサージを防止するための方法であって、 前記ダイナミックコンプレッサーを通る流れを増加させるために、開度が調整 可能であるアンチサージバルブを設けるステップと、 前記ダイナミックコンプレッサーの運転点を示す制御変数を生成するために、 前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス状態を検知するステップと、 前記サージ制御ラインの周辺での運転点を制御すべく前記アンチサージバルブ を制御するための第1の出力信号を発するために、第1の閉ループPIDを作動 させるステップと、 前記サージ制御ラインに対する運転点の接近速度を監視するステップと、 接近速度を制御すべく前記アンチサージバルブを制御するための第2の出力信 号を発するために、第2の閉ループPIDを作動させるステップと、 前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号から制御信号として選択するステ ップと、 前記制御信号に従って前記アンチサージバルブの開度を調整するステップとを 含む方法。 20.前記制御変数と前記サージ制御ラインとの間の差に従って前記第2の閉ル ープPIDの設定値を調整するステップを含んでいる、請求項19に記載の方法 。 21.設定値を調整する前記ステップは、制御変数とサージ制御ラインとの間の 差が減少した場合に前記第2の閉ループPIDの設定値を減じる、請求項20に 記載の方法。 22.前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス状態に従って前記第2の閉ル ープPIDのゲインを調整するステップを含んでいる、請求項19に記載の方法 。 23.出力信号を選択する前記ステップは、前記第1の出力信号と前記第2の出 力信号の大きな方を選択する、請求項19に記載の方法。 24.前記第2の閉ループPIDを作動させる前記ステップは、誤差をゼロとす るためにPIDプロセスに関連して積分を行うことを含む、請求項19に記載の 方法。25. 選択する前記ステップは、出力信号が制御信号となる活性のPIDと、出 力信号が選択されない不活性のPIDとを定めるものであり、 PID間の伝達のための制御信号に非選択PIDの出力信号を適合させるため に非選択PIDをトラッキングするステップを更に含んでいる、請求項19に記 載の方法。 26.サージラインにより区画されたサージ領域及び安定領域と、前記安定領域 内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含むコンプレッサ ーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコンプレッサーにお いてサージを防止するための方法であって、 前記ダイナミックコンプレッサーを通る流れを増加させるために、開度が調整 可能であるアンチサージバルブを設けるステップと、 前記ダイナミックコンプレッサーの運転点を示す制御変数を生成するために、 前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス状態を検知するステップと、 プロセス変数として制御変数を用い且つ設定値としてサージ制御ラインを用い て前記アンチサージバルブに閉ループPID制御を行うステップと、 サージ制御ラインに向かう運転点の接近速度を監視するステップと、 接近速度が高速である場合に、プロセス変数として接近速度を用いて閉ループ PID制御を行うことにより前記アンチサージバルブの制御を行うステップと を含む方法。27接近速度に閉ループPIDを遂行するステップは、誤差をゼロとするため にPID操作に関連して積分操作を行うことを含んでいる、請求項26に記載の 方法。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.サージ領域と、安定領域と、これらの2つの領域を分けるサージラインと、 前記安定領域内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含む コンプレッサーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコンプ レッサーにおいてサージを防止するための制御システムであって、 前記コンプレッサーの流れを制御可能に増加させるための、前記コンプレッサ ーに接続された選択的な応答性を有するアンチサージバルブと、 前記コンプレッサーの運転点を示す制御変数を受け取り、且つ、アンチサージ バルブを制御するための制御信号を生成する複合モジュール制御装置と の組み合わせから成り、 前記複合モジュール制御装置が、 前記サージ制御ラインと前記サージラインとの間で前記コンプレッサーの運 転点に制御動作を及ぼす第1の出力信号を生成するための、制御変数に応答する PID制御モジュールと、 前記サージ制御ラインへの運転点の接近速度を制限すべく前記コンプレッサ ーの運転点に制御動作を及ぼす第2の出力信号を生成するための、前記接近速度 を示す信号に応答する閉ループの速度制御モジュールと、 出力信号として前記第1の出力信号又は前記第2の出力信号を前記アンチサ ージバルブに選択的につなげるための、出力信号セレクターと を含んでいる、制御システム。 2.前記複合モジュール制御装置は、前記サージ制御ラインに対する運転点の接 近速度を示す速度信号を生成するための、制御変数に応答する微分モジュールと 、前記速度制御モジュールに速度信号をつなぐ手段とを含んでいる、請求項1に 記載の制御システム。 3.前記PID制御モジュールは、プロセス入力として制御変数を有し且つサー ジ制御ラインに対応する設定値を有する閉ループ制御装置である、請求項2に記 載の制御システム。 4.前記速度制御モジュールは、プロセス入力として速度信号を有し且つサージ 制御ラインに対する運転点の接近速度の許容可能な最大値に対応する設定値を有 する閉ループPID制御装置を含んでいる、請求項3に記載の制御システム。 5.前記速度制御モジュールは、ゼロレートの誤差で出力を制御可能に増加させ るための補助的な積分器を有し、それによりプロセス入力と設定値との間の速度 誤差信号をゼロにするのを助けるようになっている、請求項4に記載の制御シス テム。 6.前記速度制御モジュールにおける前記積分器は、前記閉ループPID制御装 置のフィードバックラインにおける微分演算器を有している、請求項5に記載の 制御システム。 7.前記出力信号セレクターは、前記PID制御モジュールと前記速度制御モジ ュールとに接続されると共に、前記アンチサージバルブに制御信号として、前記 アンチサージバルブの最大開度を要求する出力信号を通すようになっているハイ シグナルセレクターから成る、請求項4に記載の制御システム。 8.前記速度制御モジュールは、前記PID制御モジュールの設定値に対する制 御変数の近接度に従って前記速度制御モジュールの設定値を調整するための設定 値調整器を有している、請求項1に記載の制御システム。 9.前記設定値調整器は、制御変数と前記PID制御モジュールとの間の差が減 少した場合に前記速度制御モジュールの設定値を減ずるようになっている、請求 項8に記載の制御システム。 10.前記設定値調整器は、制御変数と前記PID制御モジュールとの間の差が 所定の値よりも小さい場合に、ゼロではない最小値を生ずるようになっている、 請求項8に記載の制御システム。 11.前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号の各々はアンチサージバルブ のバルブ開度に対応しており、前記出力信号セレクターは最大のバルブ開度に対 応する入力信号を選択するためのハイシグナルセレクターである、請求項1に記 載の制御システム。 12.前記PID制御モジュール及び前記速度制御モジュールの各々は、前記出 力信号セレクターからの制御信号を受ける出力トラッキングラインと、前記モジ ュールのいずれが前記アンチサージバルブの制御を行っているのかを示すトラッ キング制御ラインとを有し、もって前記アンチサージバルブの制御に係わってい ないモジュールが制御信号をトラッキングするようになっている、請求項1に記 載の制御システム。 13.前記速度制御モジュールは、前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス 状態に応じて前記速度制御モジュールのゲインを調整するためのゲイン調整器を 有している、請求項1に記載の制御システム。 14.サージ領域と、安定領域と、これらの2つの領域を分けるサージラインと 、前記安定領域内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含 むコンプレッサーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコン プレッサーにおいてサージを防止するための制御システムであって、 前記コンプレッサーの流れを制御可能に増加させるための、前記コンプレッサ ーに接続され且つ前記制御信号に応答するアンチサージバルブと、 前記制御信号を生成するため、前記コンプレッサーの運転点を示す制御変数に 応答する複合モジュール制御装置と の組み合わせから成り、 前記複合モジュール制御装置が、 前記コンプレッサーの運転点が前記サージ制御ラインと前記サージラインと の間にある場合に前記運転点に制御動作を及ぼすため制御変数に応答する閉ルー プPID制御モジュールと、 前記サージ制御ラインに対する運転点の接近速度が所定のレベルを越えた場 合に、前記コンプレッサーマップにおける前記コンプレッサーの前記運転点の位 置に拘わらず、前記運転点に制御動作を及ぼすため、前記接近速度を示す信号に 応答する閉ループ速度制御モジュールと、 前記PID制御モジュールと前記速度制御モジュールとの間で前記アンチサ ージバルブの制御を通すためのセレクター手段と を含んでいる、制御システム。 15.前記セレクター手段は、アンチサージバルブの最大開度を要求するモジュ ールの出力を制御信号として出力するための、前記PID制御モジュール及び前 記速度制御モジュールに接続されたハイシグナルセレクターを備えている、請求 項14に記載の制御システム。 16.前記速度制御モジュールは、前記サージ制御ラインに対する運転点の接近 速度に応答するプロセス入力を有し且つ接近速度の許容可能な最大値に対応する 設定値を有するPID制御装置である、請求項14に記載の制御システム。 17.前記速度制御モジュールについての設定値を設定し、コンプレッサー運転 点と前記サージ制御ラインとの間の距離に従って接近速度の許容可能な最大値を 変えるための設定値調整器を備える、請求項16に記載の制御システム。 18.前記速度制御モジュールにおける前記PID制御装置は、速度制御装置が プロセス入力と設定値との間で決められる速度誤差信号をゼロとすることができ るように、接近速度のプロセス入力を積分する積分項を含むよう変更されている 、請求項16に記載の制御システム。 19.サージラインにより区画されたサージ領域及び安定領域と、前記安定領域 内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含むコンプレッサ ーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコンプレッサーにお いてサージを防止するための方法であって、 前記ダイナミックコンプレッサーを通る流れを増加させるために、開度が調整 可能であるアンチサージバルブを設けるステップと、 前記ダイナミックコンプレッサーの運転点を示す制御変数を生成するために、 前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス状態を検知するステップと、 前記サージ制御ラインの周辺での運転点を制御すべく前記アンチサージバルブ を制御するための第1の出力信号を発するために、第1の閉ループPIDを作動 させるステップと、 前記サージ制御ラインに対する運転点の接近速度を監視するステップと、 接近速度を制御すべく前記アンチサージバルブを制御するための第2の出力信 号を発するために、第2の閉ループPIDを作動させるステップと、 前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号から制御信号として選択するステ ップと、 前記制御信号に従って前記アンチサージバルブの開度を調整するステップと を含む方法。 20.前記制御変数と前記サージ制御ラインとの間の差に従って前記第2の閉ル ープPIDの設定値を調整するステップを含んでいる、請求項19に記載の方法 。 21.設定値を調整する前記ステップは、制御変数とサージ制御ラインとの間の 差が減少した場合に前記第2の閉ループPIDの設定値を減じる、請求項20に 記載の方法。 22.前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス状態に従って前記第2の閉ル ープPIDのゲインを調整するステップを含んでいる、請求項19に記載の方法 。 23.出力信号を選択する前記ステップは、前記第1の出力信号と前記第2の出 力信号の大きな方を選択する、請求項19に記載の方法。 24.前記第2の閉ループPIDを作動させる前記ステップは、誤差をゼロとす るためにPIDプロセスに関連して積分を行うことを含む、請求項19に記載の 方法。 25.選択する前記ステップは、出力信号が制御信号となる活性のPIDと、出 力信号が選択されない不活性のPIDとを定めるものであり、 PID間の伝達のための制御に非選択PIDの出力信号を適合させるために非 選択PIDをトラッキングするステップを更に含んでいる、請求項19に記載の 方法。 26.サージラインにより区画されたサージ領域及び安定領域と、前記安定領域 内にあって前記サージラインから離れたサージ制御ラインとを含むコンプレッサ ーマップ上で定義される可変の運転点を有するダイナミックコンプレッサーにお いてサージを防止するための方法であって、 前記ダイナミックコンプレッサーを通る流れを増加させるために、開度が調整 可能であるアンチサージバルブを設けるステップと、 前記ダイナミックコンプレッサーの運転点を示す制御変数を生成するために、 前記ダイナミックコンプレッサーのプロセス状態を検知するステップと、 プロセス変数として制御変数を用い且つ設定値としてサージ制御ラインを用い て前記アンチサージバルブに閉ループPID制御を行うステップと、 サージ制御ラインに向かう運転点の接近速度を監視するステップと、 接近速度が高速である場合に、プロセス変数として接近速度を用いて閉ループ PID制御を行うことにより前記アンチサージバルブの制御を行うステップと を含む方法。 27.速度に閉ループPIDを遂行するステップは、誤差をゼロとするためにP ID操作に関連して積分操作を行うことを含んでいる、請求項26に記載の方法 。
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