【発明の詳細な説明】
スキンケア組成物
技術分野
この発明は化粧用組成物に関する。特にこの発明は、肌に潤いを与える特性、
肌の感触、スキンケアおよび外観が改善され、脂っこさが少なく、また、肌への
擦り込みや吸収特性が優れているエマルジョン状の化粧用組成物に関する。これ
らの組成物は、常温および常温より高い温度で優れた安定性も示す。
発明の背景
皮膚は、皮膚構造の骨格を形成するケラチンおよびコラーゲン線維たんぱく質
を被覆し、保護するいくつかの細胞層から構成されている。角質層と呼ばれるこ
れらの最外層は、厚さ8nmの層により囲まれた25nmの束状たんばく質構造
から構成されている。アニオン性界面活性剤や有機溶媒は、通常、角質層の膜に
浸透し、脱脂作用(すなわち、角質層からの脂質の除去)により皮膚の保全性を
破壊する。このように皮膚の表面構造が破壊されると、肌が荒れた感じになり、
ついには界面活性剤や溶媒がケラチンと反応して肌を刺激する。
現在では、角質層の水分勾配を適切に保つことが角質層の機能にとって重要で
あると認識されている。ときには角質層の可塑剤であると考えられている角質層
の水分は、大部分が体内から出てくるものである。気候が寒冷な時のように湿度
が低いと、角質層の外側に残っている水分が組織に適正な可塑性を与えるには不
十分であり、皮膚は表面がはげ落ち始めてむずがゆくなる。角質層の水分が不足
すると、皮膚の透過性も幾分低下する。一方、皮膚の外側に水が過剰に存在する
と、角質層に自身の重量の3〜5倍の結合水を吸収させることになり、これが、
皮膚を膨潤させ、収縮させ、水や他の極性分子に対する皮膚の透過性を約2〜3
倍引き上げることになる。
したがって、皮膚が洗浄、ワーク、および休養時に出会う可能性がある有害な
相互作用にもかかわらず、角質層が最適性能におけるそのバリアと水保持機能を
保持するのに役立つ組成物を求めるニーズが存在する。
たとえば、Wiley Interscience から1972年に発行されたSagarin のCosmetics
Science and Technology の第2版第1巻、およびEncyclopedia of Chemical T
echnology の第3版、に記載されている従来からの化粧用クリームおよびローシ
ョン組成物は、皮膚軟化作用、バリアおよび保水(肌に潤いを与える)効果にい
ろいろな度合いがあることが知られている。しかし、これらの組成物は、肌の感
触に重大な欠点があり(すなわち、肌に非常に脂っこい感じがある)、皮膚への
擦り込みおよび残留特性が不足し、さらに皮膚への吸収も遅い。
したがって、角質層がその水分勾配を保持するのに役立つが、肌の感触、皮膚
への擦り込み、残留特性および皮膚への吸収が改善されている組成物を求めるニ
ーズが依然として残されている。
液晶特性を示す化合物は、スキンケア組成物で使用できることが知られている
。液晶は特殊な物質相である。液晶相は、固体相と等方性液体相の境界にある(
すなわち、3次元配列した結晶状態と無秩序な溶解状態の中間にある)。液晶状
態では、分子会合構造とロングレンジ(long range)の分子間秩序のために、固体
相の分子秩序特性が幾分液体状態で保持されている。ある種の化合物に液晶中間
相を形成する能力があることは、ほぼ1世紀前に認められていた。それ以来、液
晶特性を示す多数の化合物が合成され、薬剤、調味料、栄養剤および他の配合物
用、並びにスキンケア組成物で使用するデリバリ-ビヒクルとしてカプセル封入
し、作用させるために使用されてきた。
例えばシリコーン流体やシリコーンガムのようなシリコーンベース材料は、皮
膚への感覚、用途、伸ばし特性の改善のために化粧用組成物に使用することがよ
く知られている。しかしながら、いまだ皮膚への感覚や吸収特性、さらに粘着性
/油性を改善することが求められている。
驚いたことに、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーおよびシリコーンオイル
を含むシリコーン含有相を有する化粧用エマルジョン組成物に、特定の液晶形成
可能物質を添加すると、潤いを与えて肌の感触を高めるとともに、特に、吸収が
速く、同時に皮膚の粘着性や脂っこい感触を下げる組成物が得られることが判明
した。
発明の概要
この発明によると、下記成分を含むスキンケア組成物が提供される:
(a)架橋ポリオルガノシロキサンポリマー及びシリコーンオイルを含むシリ
コーン含有相であり、前記組成物に対し、架橋ポリオルガノシロキサンポリマー
及びシリコーンオイル約0.1〜約20重量%含み、
(b)約0.1〜約20重量%の有機液晶を形成する両親媒性界面活性剤、
(c)水。
そして、組成物は、水中油型エマルジョンの形態である。
この発明の組成物は、肌の感触が改善されており、脂っこさや粘着性が少なく
、その上吸収が速い。
発明の詳細な説明
この発明の組成物は、必須成分である液晶形成乳化剤、並びに下に示す種々の
随意成分とともに一つ以上の乳化油相を含有する水中油型エマルジョンである。
この発明の組成物は、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーおよびシリコーンオ
イルを含むシリコーン含有相を有する。濃度と比は、特に明記しないかぎり、組
成物全体の重量による。鎖長とエトキシ度も重量平均ベースで明記している。
この明細書で使われている「皮膚コンディショニング剤」という用語は、「皮
膚コンディショニング効果」を与える物質を意味する。この明細書で使われてい
るように、「皮膚コンディショニング効果」という用語は、肌に潤いを与える、
湿潤化(すなわち、肌に水や湿気を保持する能力)、皮膚の軟化、皮膚表面の見
た目の改善、肌の感触の改善、などを含めるが、これらに限定しない、皮膚に対
する何らかの化粧上のコンディショニング効果を意味する。
この明細書で使われている「完全な融点」という用語は、示差走査熱量計(D
SC)という周知の方法により測定した融点を意味する。完全な融点は、ベ
ースライン、すなわち、比熱線が吸熱ピークの末端における接線と交差する温度
である。完全な融点を測定する場合、この発明では、5℃/分という走査温度が
一般に適している。しかし、特定環境における分析化学の熟練者は、より頻度の
高い走査速度が適していると考えていることを認める必要がある。完全な融点を
測定するDSC法については、この発明の参考文献の一つである、1994年4月26
日に発行されたLetton らの米国特許第5,306,514 号にも記載されている。
この明細書で使われている「非吸蔵性」という用語は、そのように記載された
成分が皮膚表面を通過する空気や水分の通路を実質的にブロックしないことを意
味する。
この明細書の組成物には油または油の混合物が含まれている。物理的には、こ
れらの組成物は一般に、連続水性相の中に一つ以上の油相が存在するエマルジョ
ンの形をしており、各油相には単一の油成分または油成分の混合物(混合または
均一な状態にある)が含まれているが、油相それぞれにはそれぞれの物質または
物質を相互に組み合わせたものが含まれている。この発明の組成物の油相成分の
全濃度は、重量で、約0.1〜約60%、好適には約1〜約30%、そしてより
好適には約1〜約10%が好ましい。
この組成物は、油相の全部または一部もしくは上で述べた油相として、架橋ポ
リオルガノシロキサン-ポリマーおよびシリコーン油を含む第1のシリコーン含
有相を含むのが好ましい。この場合、この組成物には、組成物重量で、約0.1
〜約20%、好適には約0.5〜約10%、より好適には約0.5〜約5%の架橋
シリコーンとシリコーン油の混合物が含まれている。
第1のシリコーン含有相には、この相の重量で、約10〜約40%、好適には
約20〜約30%の架橋ポリオルガノシロキサン-ポリマー、およびこの相の重
量で、約60〜約90%、好適には約70〜約80%のシリコーン油が含まれて
いる。
架橋ポリオルガノシロキサン-ポリマーには、架橋剤により架橋されたポリオ
ルガノシロキサン-ポリマーが含まれている。この明細書で使用する架橋剤には
、架橋シリコーン類の調製に役立つあらゆる架橋剤が含まれている。適切な架橋
剤
には、下記一般式で表せるものがある:
式中、R1 はメチル、プロピルまたはフェニル、R2 はHまたは-(CH2)nC
H=CH2(ここでnは約1〜約50の範囲にある)、zは約1〜約1000、好適に
は約1〜約100 の範囲にあり、そしてRは1〜50炭素原子を有するアルキル基
である。
好適にはこの架橋剤は下記一般式を持っている:
式中、R1、R2 およびzは上で規定された通りである。
特に好適な実施態様では、架橋剤は下記一般式を持っている:
式中、zは約1〜約1000、好適には約1〜約100 の範囲にある。
架橋ポリシロキサン-ポリマーには、このポリマーの重量で、好適には約10
〜約50%、より好適には約20〜約30%の架橋剤が含まれている。
スキンケア組成物で使用するのに適しているポリオルガノシロキサン-ポリマ
ーはすべて、この明細書で使用できる。この明細書で使用に適したポリオルガノ
シロキサン-ポリマーには、下記一般式で表せるものがある:
式中、R1 はメチル、プロピルまたはフェニル、R2 はHまたは-(CH2)nC
H=CH2(ここでnは約1〜約50の範囲にある)、R3 とR4 はメチル、エ
チル、プロピルおよびフェニルから独立に選択し、Rは1〜50の炭素原子を有
するヒドロキシル置換アルキル基、好適には1〜5の炭素原子を有するアルキル
基、より好適には1〜2の炭素原子を有するアルキル基などの末端ギャップであ
り、pは約1〜約2000、好適には約1〜約500 の範囲の整数であり、qは約1〜
約1000、好適には約1〜約500 の範囲の整数である。
好適な実施態様では、ポリオルガノシロキサンは、下記一般式を持つポリマー
から選択する:
式中、R1、R2、R3、R4、pおよびqは上で規定した通りである。
この明細書で規定されているように、pとqはポリマー鎖のSi-O結合の数を
反映しており、R1、R2、R3、R4は一つのポリマーユニットから次のユニ
ットに移ると変わることがある。たとえば、この明細書で使用に適したポリオ
ルガノシロキサン-ポリマーには、メチルビニル-ジメチコン、メチルビニルジフ
ェニル-ジメチコンおよびメチルビニルフェニル-メチルジフェニル-ジメチコン
がある。
ポリオルガノシロキサン-ポリマーと架橋剤の間で架橋をつくるためには、(-
Si-H)基を-Si-(CH2)nCH=CH2基と架橋させねばならず、したがって
、すべての架橋で、ポリオルガノシロキサン-ポリマーのR2 基は架橋剤のR2
基とは別のものである必要がある。たとえば、ポリオルガノシロキサン-ポリマ
ーのR2 基が-(CH2)nCH=CH2である場合は、架橋剤のR2 基はHでな
ければならない。あるいはその逆でもよい。しかし、ポリオルガノシロキサン-
ポリマーと架橋剤の各々について、R2 の混合物もありうる。
好適な実施態様では、ポリオルガノシロキサン-ポリマーは下記一般式のアル
キルアリル(aryl)ポリシロキサン-ポリマーから選択する:
式中、R2 は-CH=CH2またはHから選択し、好適には-CH=CH2であり
、また、1は約1〜約1000、好適には約1〜約500 の範囲の整数であり、mは約
0〜約1000、好適には約0〜約500 の範囲の整数であり、nは約1〜約1000、好
適には約1〜約100 の範囲の整数である。
特に好適な実施態様では、ポリオルガノシロキサン-ポリマーは下記一般式の
アルキルアリル(aryl)ポリシロキサン-ポリマーから選択する:
式中、l、mおよびnは上で規定された通りである。好適な実施態様では、mは
約1〜約1000、好適には約200〜約800 の範囲にある。
第1のシリコーン含有相には、シリコーン油も含まれている。スキンケア組成
物で使用に適している直鎖、分岐および環状のあらゆるシリコーンがこの明細書
で使用できる。シリコーン油は揮発性でも非揮発性でもよい。この明細書で使用
に適しているシリコーン油には、重量平均分子量が約100,000 以下、好適には約
50,000 以下のシリコーン油がある。シリコーン油は、重量平均分子量が約100〜
約50,000、好適には約200〜約40,000 の範囲のシリコーン油から選択するのが好
ましい。好適な実施態様において、シリコーン油は、ジメチコン、デカメチルシ
クロペンタ-シロキサン、オクタメチルシクロペンタ-シロキサンおよびフェニル
メチコン、およびそれらの混合物から選択し、フェニルメチコンが最も好適であ
る。
第1のシリコーン含有相で使用するのに適した物質は、信越化学(株)から商
品名KSG(たとえば、KSG-15、KSG-16、KSG-17、KSG-18)として
利用できる。これらの物質には、架橋ポリオルガノシロキサン-ポリマーとシリ
コーン油の両方が含まれている。有機両親媒性乳化剤と組み合わせて、この明細
書で使用するのが特に好適なのは、KSG-18である。KSG-15、KSG-16、
KSG-17、KSG-18に対し付与されたINCI名は、それぞれ、シクロメチコ
ン-ジメチコン/ビニルジメチコン-クロスポリマー、ジメチコン-ジメチコン/ビ
ニルジメチコン-クロスポリマー、シクロメチコン-ジメチコン/ビニルジメチコ
ン-クロスポリマーおよびフェニルトリメチコン-ジメチコン/ビニルジメチコン-
クロスポリマーである。
この明細書の組成物には、好適には、第2の非架橋シリコーン含有相も含まれ
ている。好適な実施態様では、第2のシリコーン含有相は、組成物の重量で、約
0.1〜約20%、特に約0.1〜約10%の濃度で存在する。
この明細書の第2のシリコーン含有相で使用に適したシリコーン流体には、非
揮発性のポリアルキルおよびポリアリル(aryl)シロキサンゴムと流体、揮発性
環状および直鎖ポリアルキルシロキサン類、ポリアルコキシシリコーン類、アミ
ノおよび4級アンモニウム変性シリコーン類、およびそれらの混合物がある。
好適な実施態様では、第2のシリコーン含有相には、シリコーンゴムまたはシ
リコーンゴムを含むシリコーンの混合物がある。この明細書で用いているように
、「シリコーンゴム」という用語は、質量平均分子量が約200,000 を超え、好適
には約200,000〜約400,000 の範囲にある高分子量シリコーンベース流体を意味
する。一般に、シリコーン油の分子量は約200,000 未満である。通常、シリコー
ンゴムの25℃における粘度は約1,000,000mm2/sを超えている。シリコーン
ゴムには、1979年5月1日に発行されたSpitzer らの米国特許第4,152,416 号お
よび1968年にニューヨークのAcademic Press から発行されたNoll、WalterのChe mistry and Technology of Silicones
を含むPetrarch およびその他が記載した
ジメチコン類がある。General Electric Silicone Rubber Product Data Sheets
SE30、SE33、SE54 およびSE76 にも記載されている。
この明細書で使用するシリコーンゴムには、スキンケア組成物で使用するのに
適しているあらゆるシリコーンゴムが含まれている。この明細書で使用に適して
いるシリコーンゴムは、ジメチコノール、フロロシリコーン、ジメチコンおよび
それらの混合物から選択した、約200,000〜約4,000,000 の分子量を有するシリ
コーンゴムである。
この明細書で使用に適したジメチコノール-ベースのシリコーンは化学式(II
)を持ち:
HO(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]n(CH3)2SiOH
式中、nは約2,000〜約40,000、好適には約3,000〜約30,000 である。
この明細書で有用な代表的フロロシリコーンの分子量は、約200,000〜約300,0
00、好適には約240,000〜約260,000、最も好適には約250,000 である。
シリコーンゴムの具体的な例には、ポリジメチル-シロキサン、(ポリジメチル
-シロキサン)(メチルビニル-シロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン
)(ジフェニル)(メチルビニル-シロキサン)コポリマーおよびそれらの混合物があ
る。
この明細書で用いたシリコーンゴムは、シリコーン類の混合物の一部として組
成物に混ぜることができる。このシリコーンゴムをシリコーン類の混合物の一部
として混ぜる場合、このシリコーンゴムは、このシリコーン混合物の重量で、約
5〜約40%、特に約10〜約20%の範囲にあることが好ましい。シリコーン
またはシリコーン混合物は、組成物の重量で、好適には約0.1〜約20%、よ
り好適には約0.1〜約15%、そして特に約0.1〜約10%を占めている。
この明細書の組成物の第2シリコーン含有相で使用するのに適したシリコーン
ゴムベース-シリコーン混合物には、下記必須成分からなる混合物がある:
(i)ジメチノコール、フロロシリコーン、ジメチコン、およびそれらの混合
物から選択した約200,000〜約4,000,000 の分子量を有するシリコーン、および
(ii)約0.65〜約100mm2/sの粘度を有するシリコーン-ベースのキャリ
ア、
ここで(i)と(ii)の比は、約10:90〜約20:80であり、このシリコ
ーンゴム-ベース成分の最終粘度は約500〜10,000mm2/sである。
この明細書で使用に適したシリコーン-ベースのキャリアには特定のシリコー
ン流体がある。これらのシリコーン流体には、ポリアルキル-シロキサン、ポリ
アリル(aryl)シロキサン、ポリアルキルアリル(aryl)シロキサンまたはポリ
エーテルシロキサン-コポリマーがある。これらの流体の混合物も、特定の実施
態様において使用することができ、また、推奨されている。
使用できるポリアルキル-シロキサン流体には、たとえば、25℃で、約0.6
5〜約600,000mm2/s、好適には約0.65〜約10,000mm2/sの範囲の粘度を
有するポリジメチル-シロキサン類がある。これらのシロキサン類は、たとえば
、General Electric 社からViscasil(RTM)シリーズとして、また、Dow Corni
ng からDow Corning 200 シリーズとして利用できる。使用可能な非揮発性ポリ
アルキルアリル(aryl)シロキサン流体には、たとえば、25℃で、約0.65
〜約30,000mm2/sの粘度を有するポリメチルフェニル-シロキサン類がある。
これらのシロキサン類は、たとえば、General Electric 社からSF 1075メチル
フェニル流体として、または、Dow Corning から 556 Cosmetic Grade Fluidと
して利用できる。この明細書で使用に適したものには、約3〜約7の(CH3)2S
iO部分を組み込んだ環状構造を有する特定の揮発性環状ポリジメチル-シロキ
サン類がある。
粘度は、Dow Corning 社のテスト方法CTM0004(1970年7月29日)に記載され
ているガラス毛細管粘度計により測定できる。第2の流体相を構成するシリコー
ン-ブレンドの粘度は、約500〜約100,000mm2/s、好適には約1,000〜約10,000
mm2/sの範囲が好ましい。
この明細書の組成物で使用する特に好適なシリコーンゴム-ベースの成分は、
約0.65〜約100mm2/sの粘度を有するシリコーン-キャリアと約200,000
〜約4,000,000 の分子量を有するジメチコノール-ゴムとの混合物である。この
シリコーン成分の1例は、Dow Corning から利用できるDow Corning Q2-1403
[(85%)5mm2/sジメチコン流体/(15%)ジメチコノール]およびDow Corni
ng Q2-1401 である。
この明細書で第2シリコーン含有相で使用に適した別種のシリコーンには、一
つ以上のポリジオルガノ-シロキサン-セグメントと一つ以上のポリオキシアルキ
レン-セグメントを含むポリジオルガノシロキサン-ポリオキシアルキレン-コポ
リマーがある。この場合、ポリジオルガノ-シロキサン-セグメントはシロキサン
ユニット RbSiO(4−b)/2 からなり、式中、コポリマーにおけるす
べてのシロキサンユニットについてSiあたり平均約2のR基があることを含
めて、bは約0〜約3の値を持ち、さらに、Rはメチル、エチル、ビニル、フェ
ニルおよびポリジオルガノ-シロキサン-セグメントとポリオキシアルキレン-セ
グメントを結合する2価基から選択した基を表し(ただし、R基の約95%以上
はメチルである)、さらに、ポリオキシアルキレン-セグメントは約1000 以上の
平均分子量を持ち、また、このセグメントは約0〜約50モル%のポリオキシプ
ロピレン-ユニットと約50〜約100モル%のポリオキシエチレン-ユニットか
らなり、このポリオキシアルキレン-セグメントの少なくとも一つの末端部分は
このポリジオルガノ-シロキサン-セグメントが結合しており、このポリジオルガ
ノ-シロキサン-セグメントに結合されていないこのポリオキシアルキレン-セグ
メントの末端部分は末端基により満たされ、このコポリマーにおけるポリジオル
ガノ-シロキサン-セグメントとポリオキシアルキレン-セグメントの重量比は約
2〜約8である。この種のポリマーは米国特許第 4,268,499 号に記載されてい
る。
この明細書で使用に好適なのは、下記一般式を持つポリジオルガノシロキサン
-ポリオキシアルキレン-コポリマーである:
式中、xとyは、ポリジオルガノ-シロキサン-セグメントとポリオキシアルキレ
ン-セグメントの重量比が約2〜約8になるように選択し、a:(a+b)のモ
ル比は約0.5〜約1であり、そしてRは水素、ヒドロキシル、メチル、エチル
、プロピル、ブチル、ベンジルなどのアルキル、フェニルなどのアリル(aryl)
、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ、ベンジルオキ
シ、フェノキシなどのアリル(aryl)オキシ、ビニルオキシやアリル(allyl)
オキシなどのアルケニルオキシ、アセトキシ、アクリルオキシおよびプロピオン
オキシなどのアシルオキシ、およびジメチルアミノなどのアミノから選択した鎖
末端基である。
これらのコポリマーのこれらのセグメントの数と平均分子量は、コポリマーの
ポリジオルガノ-シロキサン-セグメントとポリオキシアルキレン-セグメントの
重量比が好適には約2.5〜約4.0になるようなものである。
適切なコポリマーが、ドイツのWacker-Chemie Gmbh から商品名Belsil(RTM
)として、また、イギリスのTh.Goldschmidt Ltd.からAbil(RTM)として商業
的に利用できる。たとえば、Belsil(RTM)6031 およびAbil(RTM)B88183
である。この明細書で使用に特に好適なコポリマーには、ジメチコン/ジメチコ
ン-コポリオールというCTFA名があるDow Corning DC3225C がある。両親媒性界面活性剤
この明細書の組成物のもう一つの必須成分は、製品を周辺温度またはそれより
上の温度で肌に塗布した時に、製品にスメクティックなリオトロピック液晶を形
成しうる有機両親媒性界面活性剤である。約20〜約40℃の範囲の温度で液晶
を形成しうる両親媒性界面活性剤が好適である。スメクティックなリオトロピッ
ク液晶を形成しうる両親媒性界面活性剤が好適である。肌への製品の塗布が完了
したら、皮膚表面または角質層で液晶を識別できる必要はない。両親媒性界面活
性剤の濃度は、重量で、約0.1〜約20%、好適には約0.1〜約10%である
。
この明細書における使用に適した液晶形成性両親媒性界面活性剤には、親水性
基と親油性基の両方が含まれており、表面または中間面で吸着する顕著な傾向を
示す、すなわち、これらは界面活性である。この明細書で使用する両親媒性界面
活性剤には、水性媒体中でイオン化するか、しないかに基づいて、非イオン性(
無電荷)、アニオン性(負電荷)、カチオン性(正電荷)および両性(両電荷)
がある。
文献では、液晶は、異方性流体とか第4状態の物質とか界面会合構造とかメソ
フェーズとも呼ばれている。これらの用語の使い方には互換性があることが多い
。「リオトロピック」という用語は、水のような極性溶媒を含む液晶系を意味す
る。この明細書で使われる液晶は、層状、六方晶、棒状、小胞構造またはそれら
の混合物が好適である。
この発明の組成物で使われる液晶相は、いろいろな方法で確認することができ
る。液晶相は剪断力の下で流れ、かつ、粘度がその等方性溶液相の粘度とは全く
異なるという特徴がある。堅いゲルは剪断力の下では液晶のように流れない。偏
光顕微鏡を用いて見た場合も、液晶は、たとえば、平坦な層状複屈折のような識
別可能な複屈折を示すが、一方、等方性溶液や堅いゲルを偏光の下で見た場合は
、両方とも暗い視野を示す。
液晶を識別する適切な方法には、他に、X線回折、NMR分光光度法および透
過型電子顕微鏡がある。
文献では、液晶は、異方性流体とか第4状態の物質とか界面会合構造とかメソ
フェーズとも呼ばれている。これらの用語の使い方には互換性があることが多い
。「リオトロピック」という用語は、水のような極性溶媒を含む液晶系を意味す
る。この明細書で使われる液晶は、層状、六方晶、棒状、小胞構造またはそれら
の混合物が好適である。
この発明の組成物で使われる液晶相は、いろいろな方法で確認することができ
る。液晶相は剪断力の下で流れ、かつ、粘度がその等方性溶液相の粘度とは全く
異なるという特徴がある。堅いゲルは剪断力の下では液晶のように流れない。偏
光顕微鏡を用いて見た場合も、液晶は、たとえば、平坦な層状複屈折のような識
別可能な複屈折を示すが、一方、等方性溶液や堅いゲルを偏光の下で見た場合は
、両方とも暗い視野を示す。
液晶を識別する適切な方法には、他に、X線回折、NMR分光光度法および透
過型電子顕微鏡がある。
一般的にみると、この明細書で使用に好適な有機両親媒性界面活性剤は、化学
式X-Y(Xは親水性、特に非イオン性部分を表し、Yは親油性部分を表す)を
有する液体、半固体またはワックス水分散性物質である。
この明細書で使用に好適な有機両親媒性界面活性剤には、約2〜約12、好適
には約4〜約8の範囲の重量平均HLB(親水性、親油性バランス)を有するも
のがある。
この明細書で用いた好適な有機両親媒性界面活性剤には、オレイン酸、ラノリ
ン酸、テトラデシル酸、ヘキサデシル酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ココ
ナッツ鎖、ステアリックまたはアルキルフェニル鎖などの約12〜約30の炭素
原子を有する長い飽和または不飽和、分岐または直鎖親油性鎖がある。液晶相を
形成する両親媒性物質の親水性基が非イオン性基である場合は、ポリオキシエチ
レン、ポリグリセロール、ポリオールエステル、オキシアルキル化されているか
されていないポリオキシアルキル化ソルビトールまたは砂糖エステルを用いるこ
とができる。液晶相を形成する両親媒性界面活性剤の親水性基がイオン性基であ
る場合は、親水性基としてレシチンにおいて見られるホスファチジルコリンを用
いると有利である。
この明細書で使用に適した親水性部分は、下記4つのグループから選択する:
(1)下記化学式を有する直鎖または分岐鎖ポリグリセロール:
R-(Gly)n−OH
式中、nは1〜6の自然数であり、Rは12〜30の炭素原子の脂肪族直鎖また
は分岐、飽和または不飽和鎖、ラノリンアルコール類の炭化水素基および長鎖、
アルファ-ジオール類の2-ヒドロキシアルキル残基から選択し、さらに、Glyは
グリセロール残基を表す、
(2)たとえば、下記化学式のポリエトキシ脂肪族アルコール類:
R1(C2R4O)xOH
式中、R1はC12-C30 の直鎖または分岐アルキルまたはアルケニルであり
、xは約0〜約20、好適には約0.1〜約6、より好適には約1〜約4の範囲
にある、
(3)ポリオールエステル類とポリアルコキシ-ポリオールエステル類[ポリオー
ルエステル1モルあたり約2〜約20、好適には約2〜約4モルの酸化アルキレ
ン(特に酸化エチレン)]、およびそれらの混合物、好適には砂糖類、C2-C
6 アルキレングリコール類、グリセロール、ポリグリセロール類、ソルビトー
ル、ソルビタン、ポリエチレングリコール類とポリプロピレングリコール類、か
ら選択するポリオール類、
(4)天然および合成のホスホグリセリド類、グリコリピド類とスフィンゴリピド
類、たとえばセレブロシド類、セラミド類とレシチン。
この明細書で使用に適している両親媒性界面活性剤の例には、下で述べるC8
-C30 のアルキルおよびアシル含有両性、アニオン性、カチオン性および非イ
オン性界面活性剤がある。両性
N-アルキルアミノ酸類(たとえば、N-アルキルアミノ酢酸ナトリウム)、
N-ラウロイルグルタミン酸コレステロールエステル(たとえば、味の素のEldew
CL-301)アニオン性
アシルグルタメート類(たとえば、N-ラウロイルグルタミン酸ジナトリウム)
、
サルコシネート類(たとえば、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、Grace、Seppi
c)、
タウレート類(たとえば、ラウリルタウリンナトリウム、メチルココイルタウリ
ンナトリウム)、
カルボン酸類および塩類(たとえば、オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム
、
10-ウンデセン酸カリウム、11-(p-スチリル)-ウンデカン酸カリウム)、
エトキシカルボン酸塩類(たとえば、メチルアルキル-エトキシカルボン酸ナト
リウム)、
エーテルカルボン酸類、
リン酸エステル類と塩類(たとえば、レシチン、DEA-oleth-10 ホスフェート
)、
アシルイソチオネート類(たとえば、2-ラウロイルオキシ-エタンスルホン酸ナ
トリウム)、
アルカンスルホネート類(たとえば、分岐x-アルカンスルホン酸ナトリウム(x
/1))、
スルホサクシネート類(ジブチルスルホ-こはく酸ナトリウム、ジ-2-ペンチルス
ルホ-こはく酸ナトリウム、ジ-2-エチルブチルスルホ-こはく酸ナトリウム、ジ-
ヘキシルスルホ-こはく酸ナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホ-こはく酸ナ
トリウム(AOT)、ジ-2-エチルドデシルスルホ-こはく酸ナトリウム、ジ-2-エ
チルオクタドデシルスルホ-こはく酸ナトリウム、ジオクチルスルホ-こはく酸ナ
トリウム、laureth スルホこはく酸ジナトリウム(MacKanate El,McIntyre Grou
p Ltd.))、
硫酸エステル類(たとえば、2-エチルヘブト-6-エニル硫酸ナトリウム、11-ヘネ
イコシル硫酸ナトリウム、9-ヘプタデシル硫酸ナトリウム)、
アルキルサルフェート類(たとえば、MEAラウリルサルフェートなどのMEA
アルキルサルフェート)。カチオン性
アルキルイミダゾリン類(たとえば、アルキルヒドロキシ-エチルイミダゾリン
、ステアリルヒドロキシ-エチルイミダゾリン(供給者:Akzo,Finetex およびHo
echst))、
エトキシアミン類(たとえば、PEG-nアルキルアミン、PEG-nアルキルアミ
ノ-プロピルアミン、ポロキサミン、PEG ココプロピルアミン、PEG-
15 タロウアミン、)、
アルキルアミン類(たとえば、ジメチルアルキルアミン、ジヒドロキシエチル-
アルキルアミン-ジオレエート)。
4級塩類:
アルキルベンジル-ジメチルアンモニウム塩類(たとえば、塩化ステアラコニウ
ム)、
アルキルベタイン類(たとえば、ドデシルジメチル-アニモニオアセテート、オ
レイルベタイン)、
複素環アンモニウム塩(たとえば、アルキルエチル-モルホリニウム-エトサルフ
ェート)、
テトラアルキルアンモニウム塩(たとえば、ジメチルジステアリル4級塩化アン
モニウム(witco))、
ビス-イソステアラミドプロピル-ヒドロキシプロピル-ジアンモニウムクロライ
ド(Scher Chemicals のSchercoquat 21AP)、
1,8-ビス(デシルジメチルアンモニオ)-3,6-ジオクサオクタン-ジトシレー
ト。非イオン性界面活性剤
エトキシグリセリド類、
モノグリセリド類(たとえば、モノオレイン、モノリノレイン、モノラウリン、
1-ドデカノイルグリセロール-モノラウリン、1,13-ドコセノイルグリセロール-
モノエルシンジグリセリド脂肪酸(たとえば、Nisshin Oil Mills Ltd.が分別し
た、ジグリセロール-モノイソステアレートCosmol 41))、
ポリグリセリル-エステル類(たとえば、トリグリセロール-モノオレエート(Gri
ndsted TS-T122)、ジグリセロール-モノオレエート(Grindsted TST-T101))、
多価アルコールのエステル類とエーテル類(たとえば、スクロース-ココエート
、セトステアリル-グルコシド(Seppic のMontanol))、ベータ-オクチル-グルコ
フラノシド-エステル類、C10-C16などのアルキルグルコシド(Henkel)、
リン酸のジエステル類(たとえば、ジオレイルリン酸ナトリウム)、
アルキルアミド-プロピルベタイン(たとえば、ココアミド-プロピルベタイン)
、
アミド(たとえば、N-(ドデカノイルアミノエチル)-2-ピロリドン)、
アミンオキサイド類(たとえば、1,1-ジヒドロパーフロロ-オクチルジメチル-
アミンオキサイド、ドデシルジメチル-アミンオキサイド、2-ヒドロキシドデシ
ルジメチル-アミンオキサイド、2-ヒドロキシドデシル-ビス(2-ヒドロキシエ
チル)-アミンオキサイド、2-ヒドロキシ-4-オキサヘキサデシルジメチル-アミ
ンオキサイド)、
エトキシアミド類(たとえば、PEG-nアクリルアミド)、
アンモニオホスフェート類(たとえば、ジデカノイル-レシチン)、
アミン(たとえば、オクチルアミン)、
アンモニオアミド類(たとえば、N-トリメチルアンモニオ-デカンアミデート、
N-トリメチルアンモニオ-ドデカンアミデート)、
アンモニオカルボキシレート類(たとえば、ドデシルジメチル-アンモニオアセ
テート、6-ジドデシルジメチル-アンモニオヘキサノエート)、
ホスホン酸とリン酸の各エステル類とアミド類(たとえば、メチル-N-メチルド
デシル-ホスホンアミデート、ジメチルドデシル-ホスホネート、ドデシルメチル
-メチルホスホネート、N,N-ジメチルドデシル-ホスホニックジアミド)。
エトキシアルコール類:
ポリオキシエチレン(C8)(たとえば、ペンタオキシ-エチレングリコールp-n
-オクチルフェニルエーテル、ヘキサオキシ-エチレングリコール p-n-オクチル
フェニルエーテル、ノナオキシ-エチレングリコール p-n-オクチルフェニルエー
テル、)、
ポリオキシエチレン(C10)(たとえば、ペンタオキシ-エチレングリコールp
-n-デシルフェニルエーテル、デシルグリセリルエーテル、4-オキサテトラデカ
ン-1,2-ジオール、ノナオキシ-エチレングリコール p-n-デシルフェニルエ
ーテル)、
ポリオキシエチレン(C11)(たとえば、テトラオキシ-エチレングリコール-
ウンデシルエーテル)、
ポリオキシエチレン(C12)(たとえば、3,6,9,13-テトセオキサペンタコ
サン-1,11-ジオール、3,6,10-トリオラドコサン-1,8-ジオール、3,6,9,
12,16-ペンタオキサオクタコサン-1,14-ジオール、3,6,9,12,15-ペンタオキ
サノナコサン-1,17-ジオール、3,7-ジオキサノナデカン-1,5-ジオール、3
,6,12,15,19-ヘキサオキサヘン-トリアコンタン-1,16-ジオール、ペンタオキシ
-エチレングリコール-ドデシルエーテル、モナオキシ-エチレングリコールp-n-
ドデシルフェニルエーテル)、
ポリオキシエチレン(C14)(たとえば、3,6,9,12,16-ペンタオキサオク
タコサン-1,14-ジオール、3,6,9,12,15,19-ヘキサオキサトリアコンタン-1
,17-ジオール)、
スルホンジイミン類(たとえば、デシルメチル、スルホンジイミン)
スルホキサイド類(たとえば、3-デシルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-メチル
スルホキサイド)
スルホキシミン類(たとえば、N-メチルドデシル-メチル)スルホキシミン。
この明細書で使用するのに好適な有機両親媒性界面活性剤は、ポリオールエス
テル類、ポリアルコキシ-ポリオールエステル類およびそれらの混合物から選択
した親水性部分を有する非イオン性両親媒性界面活性剤である。この場合、ポリ
オール類は砂糖類、C2-C6アルキレングリコール類、グリセロール、ポリグ
リセロール類、ソルビトール、ソルビタン、ポリエチレングリコール類およびポ
リプロピレングリコール類から選択するのが好適であり、また、ポリアルコキシ
-ポリオールエステル類には、ポリオールエステル1モルあたり約2〜約20、
好適には約2〜約4モルの酸化アルキレン(特に酸化エチレン)およびオレイン
酸、ラノリン酸、テトラデシル酸、ヘキサデシル酸、イソステアリン酸、ラウリ
ン酸、ココナッツ鎖、ステアリックまたはアルキルフェニル鎖などの約12
〜約30の炭素原子を有する長い飽和または不飽和、分岐鎖または親油性直鎖か
ら選択した親油性基が含まれている。
この明細書で使用するのに非常に好適な有機両親媒性界面活性剤は、多価アル
コールのエステル類とエーテル類から選択する。この明細書で使用するのに特に
好適な両親媒性界面活性剤は、砂糖エステル類とポリアルコキシ砂糖エステル類
である。
この発明で使用する砂糖エステル類は、環状ポリヒドロキシ糖類のハイドロカ
ルビルおよびアルキルポリオキシ-アルキレンエステル類に分類できる。ここで
、糖類部分に付いている一つ以上のヒドロキシル基がアシルまたはポリオキシア
ルキレン基で置換されている。ハイドロカルビル砂糖エステル類は、砂糖と酸ま
たは酸ハライドを加熱するという周知の方法、すなわち、単純なエステル化反応
によりつくることができる。
砂糖エステル類の調製に使われる砂糖類には、当該技術で周知の単糖類、二糖
類、オリゴ糖類、たとえば、右旋性と左旋性のグルコース、フラクトース、マン
ノース、ガラクトースおよびキシロースがある。代表的な二糖類にはマルトース
、セリビオース、ラクトース、およびトレハロースがある。代表的な三糖類には
ラフィノースとジェンティアノースがある。この明細書で使用に好適なのは二糖
類、特にスクロースである。
スクロースはその8つのヒドロキシル基の一つ以上でエステル化することがで
き、この明細書で役立つスクロースエステル類が得られる。スクロースをエステ
ル化剤とモル比1:1で化合させると、スクロースモノエステル類が形成され、
エステル化剤とスクロースの比が2:1、またはそれ以上の場合は、ジ-、トリ-
、など最高オクタエステルまでのエステル類が形成される。
この明細書で好適な砂糖エステル類は、エステル化剤:砂糖のモル比が1:1
および3:1における砂糖のエステル化によりつくられたもの、すなわち、モノ
-アシルおよびジ-またはより高次のアシル砂糖エステル類である。特に好適なの
は、アシル置換基が約8〜約20、好適には約8〜約20の炭素原子と0〜2の
不飽和基を含むモノ-、ジ-およびトリ-アシル砂糖エステル類およびそれらの混
合物である。モノ-アシルおよびジ-アシル砂糖エステル類の中で、特に好適なの
は、アシル基が約8〜約20の炭素原子を含む二糖類、特にスクロースのそれぞ
れのエステル類である。この明細書で好適な砂糖エステル類は、スクロース-コ
コエート、スクロース-モノオクタノエート、スクロース-モノデカノエート、ス
クロース-モノラウレート、スクロース-モノミリステート、スクロース-モノパ
ルミテート、スクロース-モノステアレート、スクロース-モノオレエート、スク
ロース-モノリノレート、スクロース-ジオレエート、スクロース-ジパルミテー
ト、スクロース-ジステアレート、スクロース-ジラウレートおよびスクロースジ
-リノレート、およびそれらの混合物である。この明細書の組成物で、スクロー
ス-ココエートが特に効果があることが判明している。モノ-アシル砂糖エステル
類とジ-、トリ-およびより高次のアシル砂糖エステル類との混合物において、砂
糖エステル混合物全体の重量により、モノ-およびジ-アシルエステル類が好適に
は約40%以上、より好適には約50%〜約95%含まれている。
この発明の組成物において使用に適している砂糖エステル類には、他に、一つ
のヒドロキシル基がC8-C18 アルキル基で置換され、さらに、砂糖分子の一
つ以上のヒドロキシル基が[(CH2)x−O]y基(式中、xは2〜約4の整
数、好適には2であり、一方、yは約1〜約50、好適には8〜30の整数であ
る)を含むエステルまたはエーテルにより置換されているアルキルポリオキシ-
アルキレン砂糖エステル類がある。この明細書で特に好適なのは、ポリオキシア
ルキレン置換基が約8〜約30のポリオキシエチレン基を含むポリオキシエチレ
ン置換基である砂糖エステル類である。ソルビタンが砂糖部分であるこの種の物
質は、商品名「Tweens」として商業的に利用できる。この種の混合エステル類は
、まず、モル比1:1にてハイドロカルビル酸ハライドにより砂糖をアシル化し
、続いて、対応するポリオキシアルキレン酸ハライドまたは酸化アルキレンとの
反応により所望の物質を取得して調製することができる。ポリオキシアルキレン
基が約20までの酸化アルキレン基を含む、二糖類、特にスクロースの単純なポ
リオキシアルキレン-エステルは、この明細書で有用なもう一つの種類の砂糖エ
ステル類である。この種の好適な砂糖エステルは、20モルの酸化エチレンで
エトキシ化したソルビトール-トリオレエートである。他のポリオールエステル
類と砂糖エステル類の混合物も、この明細書で使用するのに適している。たとえ
ば、Palm Oil Sucroglyceride(Rhone-Poulenc)。
この明細書で使われているように、「レシチン」という用語はホスファチドと
いう物質を指している。天然または合成ホスファチド類を使用できる。ホスファ
チジルコリンまたはレシチンは、リン酸と2種類の脂肪酸(普通は、16〜20
の炭素と4までの二重結合を有する長鎖飽和または不飽和脂肪酸である)のコリ
ンエステルでグリセリンをエステル化したものである。層状または六方晶液晶を
形成しうる他のホスファチド類は、レシチンの代わりまたはレシチンと組み合わ
せて使用できる。これらのホスファチド類はレシチンのように、2種類の脂肪酸
を用いたグリセロールエステルであるが、コリンはエタノールアミン(セファリ
ン)またはセリン(アミノプロピオン酸、ホスファチジルセリン)またはイノシ
トール(ホスファチジル-イノシトール)により置換されている。この明細書で
はこの発明はレシチンで例示しているが、他のホスファチド類もこの明細書で利
用できることが了解されよう。
種々のレシチン類を使用できる。American Lecithin Co.はNattermann Phosp
holipid,Phospholipan 80 およびPhosal 75 を供給している。単独またはこれ
らと併用して使用できる他のレシチン類には、Central Soya からのActifla シ
リーズ,Centrocap シリーズ,Central Ca,Centrol シリーズ,Centrolene,Ce
ntrolex,Centromix,Centrophase およびCentrophil シリーズ、American Leci
thin からのAlcolec およびAlcolec 439-C、Canada Packers からのCanaspersa
、American Lecithin からのLexin KおよびNatipide、W.A.Cleary Co.からのL
-Clearate,Clearate LVおよびClearate WDがある。レシチン類はエタノール、
脂肪酸類、トリグリセリド類および他の溶媒に溶かして供給される。これらは通
常レシチン類の混合物であり、15〜50%の範囲の溶液として供給される。
天然および合成の両レシチン類を使用できる。天然レシチン類は、ひまわりの
種、大豆、べにばなの種および綿実などの脂肪種子から得られる。これらのレ
シチン類は精製工程において油から分離される。
有機両親媒性界面活性剤は、この発明の組成物の安定性と肌の感触を改善する
上で特に価値があることが判明している。
この組成物における両親媒性界面活性剤の添加量は、組成物の重量で、約0.
1〜約20%、好適には約0.1〜約10%、そしてより好適には約0.1〜約8
%が好ましい。
この明細書で非常に好適なのは、ソルビタンまたはソルビトール脂肪酸エステ
ルとスクロース脂肪酸エステルの混合物をベースにした脂肪酸エステルのブレン
ドである。この場合、各例の脂肪酸は、好適にはC8-C24、より好適にはC
10-C20である。肌に潤いを与えるという観点から好適な脂肪酸エステル乳
化剤は、スクロースC10-C16脂肪酸エステルとソルビタンまたはソルビト
ールC16-C20 脂肪酸エステルのブレンド、特にソルビタン-ステアレート
とスクロース-ココエートのブレンドである。これはICIから商品名Arlatone
2121 として商業的に利用できる。随意成分
好適な実施態様では、第3の油相は、組成物の重量で、約0.1〜約15%、
より好適には約1〜約10%の量で存在する。第3の相は、分離相でもよいし、
第1と第2のシリコーン相のいずれかまたは両方と一つの相を形成してもよい。
好適には、第3の相は分離相である。
第3の油相には、鉱物油、野菜油、動物油、脂肪とワックス、脂肪酸エステル
、脂肪族アルコール、脂肪酸およびそれらの混合物などから選択した天然または
合成油のような非シリコーン系有機油が含まれているのが好ましく、これらの成
分は皮膚軟化化粧特性を実現するのに役立つ。第1の油相成分は、好適には、シ
リコーンのない成分であり、すなわち、第1の油相成分のシリコーン-ベース物
質の含有量は、重量で、約10%程度、好適には5%程度にすぎない。この油相
には、たとえば、約25%まで、好適には約10%までの油相可溶乳化剤成分が
含まれていることが、了解されよう。この種の成分は、油相濃度および必要なH
L
Bを決める観点からは油相成分とは見なされていない。好適な実施態様では、油
相の必要な全HLBは約8〜約12、特に約9〜約11である。必要なHLBは
、油相の各成分について必要な個々のHLB値を総和し、油相のそのW/W%を
かけ算して求められる(HLBシステムに関するICI文献、すなわち、1976年
に最初に印刷され、1984年と1992年5月に改訂されたICI参考論文 ref51/001
0/303/15m を参照のこと)。
この明細書で使用に適した第1の油相成分には、たとえば随意に、ヒドロキシ
置換C8-C50の不飽和脂肪酸類とそのエステル類、ミリスチン酸イソプロピ
ル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチルおよびオクチルドデシル-
ミリステート(Wickenol 142)などのC8-C30の飽和脂肪酸類のC1-C24
エステル類、みつろう、ブヘニルアルコールやセチルアルコールなどの飽和およ
び不飽和脂肪族アルコール類、鉱油、ペトロラタムおよびスクアレンなどの炭化
水素類、脂肪族ソルビタンエステル類(1976年10月26日に発行されたSeiden の
米国特許第 3,988,255 号を参照のこと)、ラノリンとラノリン誘導体、アーモ
ンド油、ピーナッツ油、小麦麦芽油、あまに油、ホホバ油、アンズ種油、くるみ
油、やしの実油、ピスタチオの実油、ゴマ油、なたね油、カデ油、トウモロコシ
油、桃実油、ケシの実油、松根油、ひまし油、大豆油、アボガド油、ベニバナ油
、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、オリーブ油、ぶどう種油、シアバター、シ
ョリーバター、およびひまわりの種油、などの動物および植物トリグリセリド類
、ダイマ酸ジイソプロピル、りんご酸ジイソステアリル、ダイマ酸ジイソステア
リルおよびトリマ酸トリイソステアリルなどのダイマ酸とトリマ酸のC1-C2
4エステル類がある。上の物質の中で、非常に好適なのは、鉱油、ペトロラタム
、不飽和脂肪酸類とそのエステル類、およびそれらの混合物である。
この明細書で好適な実施態様には、約0.1〜約10%の不飽和脂肪酸または
エステルが含まれている。この明細書で使用に好適な不飽和脂肪酸とエステル類
には、随意に、ヒドロキシ置換C8-C50不飽和脂肪酸とエステル類、特に、
リシノレイン酸のエステル類がある。不飽和脂肪酸またはエステル成分は、この
明細書では、組成物の肌の感触と擦り込み特性を改善する場合、液晶形成乳化剤
と組み合わせると価値がある。この点で非常に好適なのは、リシノレイン酸セチ
ルである。
有機両親媒性界面活性剤の他に、この明細書の組成物の好適な成分としては、
ポリオール-エステルのスキン-コンディショニング剤がある。
この明細書の組成物には、重量で、約0.01〜約20%、より好適には約0.
1〜約15%、そして特に約1〜約10%のポリオール-エステルが含まれてい
るのが好ましい。この組成物におけるポリオール-エステルの濃度は、油の重量
で、好適には約1〜約30%、より好適には約5〜約20%である。
この明細書で使用に好適なポリオール-エステルは、非吸蔵性液体または融解
性ポリオール-カルボン酸エステルである。これらのポリオール-エステル類は、
ポリオール基(または部分)と一つ以上のカルボン酸基(または部分)から得ら
れる。言い換えると、これらのエステル類には、ポリオールから導かれた部分と
カルボン酸から導かれた一つ以上の部分が含まれている。これらのカルボン酸エ
ステル類は、カルボン酸から導くこともできる。これらのカルボン酸エステル類
は、カルボン酸と脂肪酸という用語は当業者により相互互換的に使用されること
も多いので、液体ポリオール、脂肪族エステル類と呼ぶこともできる。
この発明で使われる好適な液体ポリオール-ポリエステル類には、4つ以上の
脂肪酸基でエステル化された特定のポリオール類、特に砂糖または砂糖アルコー
ル類がある。したがって、ポリオール出発物質は4つ以上のエステル化可能なヒ
ドロキシル基を持たねばならない。好適なポリオール類の例には、単糖類と二糖
類を含む砂糖類と砂糖アルコール類がある。4つのヒドロキシル基を含む単糖類
の例には、キシロースとアラビノースおよびキシロースから導かれた5つのヒド
ロキシル基がある砂糖アルコール、すなわち、キシリトールがある。単糖類であ
るエリスロースは、ヒドロキシル基が3つしかないので、この発明の実施には適
していないが、エリスロースから導かれた砂糖アルコールであるエリスリトール
は4つのヒドロキシル基が含まれており、したがって、使用することができる。
5つのヒドロキシル基を含む適切な単糖類には、ガラクトース、フラクトースお
よびソルボースがある。スクロース、並びにグルコースとソルボースの加水分解
生成物から導かれた6つのヒドロキシル基を含有する砂糖アルコール類、たとえ
ば、ソルビトールも適切である。使用可能な二糖類ポリオール類の例には、マル
トース、ラクトースおよびスクロースがあり、これらにはすべて8つのヒドロキ
シル基がある。
この発明で使用する好適なポリエステル類製造用ポリオール類は、エリスリト
ール、キシリトール、ソルビトール、グルコースおよびスクロースからなる群か
ら選択する。スクロースが特に好適である。
4つ以上のヒドロキシル基を有するポリオール出発物質は、4つ以上のヒドロ
キシル基を、約8〜約22の炭素原子を有する脂肪酸でエステル化する。この種
の脂肪酸の例には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリ
ストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リシノレイン酸、リノレイン酸、リノレニン酸、エレオステアリン酸、アラキジ
ン酸、アラキドニン酸、ベヘン酸、およびエルシン酸がある。これらの脂肪酸は
、天然または合成脂肪酸から導くことができ、また、位置異性体や幾何学的異性
体を含む飽和または不飽和脂肪酸である。しかし、この明細書で使用に好適な液
体ポリエステル類を得るためには、ポリエステル分子に組み込まれた脂肪酸の5
0重量%以上が不飽和である必要がある。オレイン酸とリノレイン酸、およびそ
れらの混合物が特に好適である。
この発明で役立つポリオール-脂肪酸ポリエステル類は、4つ以上の脂肪酸エ
ステル基を含む必要がある。ポリオールのヒドロキシル基のすべてが脂肪酸でエ
ステル化する必要はないが、このポリエステルの非エステル化ヒドロキシル基の
数は多くても2個程度が好ましい。最も好適には、ポリオールのほとんどすべて
のヒドロキシル基が脂肪酸でエステル化されていることである、すなわち、ポリ
オール部分はほとんど完全にエステル化されている。ポリオール分子にエステル
化された脂肪酸は同じ物でも混合物でもよいが、上で指摘したように、不飽和酸
エステル基の大部分が液体として存在できるようなものである必要がある。
上で述べたことを説明すると、スクロース脂肪酸トリエステルは、必要な4つ
の脂肪酸エステル基を持っていないので、この明細書での使用に適していない。
スクロース-テトラ脂肪酸エステルは適切なはずであるが、非エステル化ヒドロ
キシル基の数が3つ以上あるので好適ではない。スクロース-ヘキサ脂肪酸エス
テルは、非エステル化ヒドロキシル基の数が2つたけであるから好適である。ヒ
ドロキシル基がすべて脂肪酸によりエステル化されている非常に好適な化合物に
は、液体のスクロース-オクタ置換脂肪酸エステル類がある。
4つ以上の脂肪酸エステル基を含有する、この発明で使用に適した具体的なポ
リオール脂肪酸ポリエステル類の無数にある例には、グルコース-テトラオレエ
ート、大豆油脂肪酸(不飽和)のグルコース-テトラエステル類、混合大豆油脂
肪酸のマンノース-テトラエステル類、オレイン酸のガラクトース-テトラエステ
ル類、リノレイン酸のアラビノース-テトラエステル類、キシロース-テトラリノ
レート、ガラクトース-ペンタオレエート、ソルビトール-テトラオレエート、不
飽和大豆油脂肪酸類のソルビトール-ヘキサエステル類、キシリトール-ペンタオ
レエート、スクロース-テトラオレエート、スクロース-ペンタオレエート、スク
ロース-ヘキサオレエート、スクロース-ヘプタオレエート、スクロース-オクタ
オレエート、およびそれらの混合物がある。
上で指摘したように、非常に好適なポリオール脂肪酸エステル類は、脂肪酸が
約14〜約18の炭素原子を含有するものである。
この明細書で使用に好適な液体ポリオール-ポリエステル類の完全融点は、約
30℃未満、好適には約27.5℃未満、より好適には約25℃未満である。こ
の明細書で報告された完全融点は示差走査熱量計(DSC)により測定している
。
この明細書で使用に適したポリオール脂肪酸ポリエステル類は、当業者には周
知の種々の方法でつくることができる。これらの方法には、種々の触媒を用いた
メチル、エチルまたはグリセロール脂肪酸エステル類によるポリオールのトラン
スエステル化、脂肪酸クロライドによるポリオールのアシル化、脂肪酸無水物に
よるポリオールのアシル化、脂肪酸それ自体によるポリオールのアシル化がある
。米国特許第 2,831,854 号、1977年1月25日に発行されたJandacek の米国特許
第 4,005,196 号、1977年1月25日に発行されたJandacek の米国特許第 4,005,1
96 号を参照のこと。
この明細書の組成物として非常に好適な成分は尿素で、尿素は組成物の重量で
、約0.1〜約20%、より好適には約0.5〜約10%、そして特に約1〜約5
%の濃度で存在するのが好ましい。
好適な実施態様では、油相と有機両親媒性界面活性剤は、有機両親媒性界面活
性剤のクラフト点以上の温度(ただし、約60℃以下が好ましい)で水と予め混
合し、尿素を添加する前に液晶/油の水分散体を形成する。尿素は、両親媒性乳
化剤界面活性剤およびポリオール脂肪酸ポリエステルと併用するとこの明細書で
特に効果を発揮し、水中油型スキンケア乳化剤組成物の状態で肌に潤いを与え、
軟化する特性が優れていることが判明している。その上驚いたことに、尿素は加
水分解に対する安定性を高め、組成物のpHを上げることが判明している。
非吸蔵性モイスチャーライザ、湿潤剤、ゲル化剤、中和剤、香料、着色剤およ
び界面活性剤などの多種多様な随意成分を、この明細書のスキン組成物に添加す
ることができる。
この明細書の組成物は湿潤剤を含むことができる。この明細書で使用に適した
湿潤剤には、ソルビトール、プロピレン-グリコール、ブチレングリコール、ヘ
キシレン-グリコール、エトキシ-グルコース誘導体、ヘキサン-トリオール、グ
リセリン、グリシン、ヒアルロン酸、アルギニン、Ajidew(NaPCA)、水溶
性ポリグリセリル-メタクリレート潤滑剤およびパンテノール類がある。この明
細書で好適な湿潤剤はグリセリン(グリセロールともいう)である。化学的には
、グリセリンは1,2,3-プロパントリオールであり、商業製品でもある。グリ
セリンの一大資源は石鹸の製造である。グリセリンは潤いを与える作用を高める
という観点からこの発明の組成物において特に好適である。ブチレングリコール
もこの明細書で使用するのに好適である。潤いを与える作用を高めるという観点
から特に好適なのは、グリセリンと尿素の併用である。
この組成物で、湿潤剤は組成物の重量で、約0.1〜約20%、より好適には
約1〜約15%、そして特に約5〜約15%の濃度で存在するのが好ましい。
この発明の組成物で使用に適したポリグリセリル-メタクリレート潤滑剤は、G
uardian Chemical Corp.(11787 ニューヨーク州ホーページのMarcus Blvd.
230)から商品名Lubrajel(RTM)として利用できる。一般には、Lubrajel は
メタクリル酸ポリマーとナトリウム-グリセレートの反応により形成される水和
物やクラスレートとして説明することができる。その後、その水和物またはクラ
スレートは、少量のプロピレン-グリコールを添加して安定化し、続いて得られ
た生成物の水和を調節した。Lubrajel はグリセレート:ポリマーの比や粘度を
変えた多数のグレードが販売されている。適切なLubrajel には、Lubrajel TW、
Lubrajel CGおよびLubrajel MS、Lubrajel WA、Lubrajel DVおよびいわゆるLubr
ajel 油がある。
湿潤剤の少なくとも一部(組成物の約5重量%まで)は、微粒子状親油性また
は疎水性キャリア物質との混合物の形で添加することができる。キャリア物質と
湿潤剤は水相と分散相のいずれに添加してもよい。
このコポリマーは、効果的に潤いを与えるのに役立ちながら光沢を低減し、か
つ、油をコントロールする場合に特に価値がある。架橋疎水性ポリマーは、コポ
リマー格子全体に均一に分散し、かつ、コポリマー格子内に捕捉された少なくと
も1種の活性成分とコポリマー格子を形成するのが好ましい。一方、疎水性ポリ
マーは、50〜500m2/g、好適には100〜300m2/gの範囲の表面積(窒素を用
いたBET法)を持ち、かつ、その中に吸着された活性成分を有する多孔性粒子
の形をとることができる。
架橋疎水性ポリマーは、約0.1〜10重量%の範囲の量で存在し、かつ、外
部水相に添加するのが好ましい。活性成分は、皮膚親和性油、皮膚親和性湿潤剤
、皮膚軟化剤、モイスチャーライザおよび日焼け防止剤の1種または2種以上の
混合物である。ある態様では、ポリマー物質は粒子の複合系の粉末である。粉末
粒子系が、平均直径約1ミクロン未満のユニット粒子、平均直径が約20〜100ミ
クロン範囲のサイズの溶融ユニット粒子の集塊、および平均直径が約200〜1,200
ミクロンの範囲のサイズの溶融集塊のクラスタの集合体を含む格子の形をしてい
る。
この態様の粉末物質は、架橋「後吸着した」疎水性ポリマー格子として幅広く
規定することができる。この粉末に、固体、液体または気体の活性成分が捕捉さ
れ、分散しているのが好ましい。格子は微粒子状であり、活性物質を担持した時
に自由に流動するばらばらの固体粒子を構成する。格子には所定量の活性物質が
含まれている。適切なポリマーは下記構造式を持っている:
式中、XとYの比は80:20、R’は-CH2CH2-そしてR”は-(CH2)11C
H3である。
この疎水性ポリマーは高度に架橋したポリマーで、具体的には、高度に架橋し
たポリメタクリレート-コポリマーである。この物質はDow Corning 社(USA
、ミシガン州ミッドランド)が製造し、商品名POLYTRAP(RTM)として
販売されている。それは超軽量の自由流動性白色粉末であり、そしてこの粒子は
自由流動性粉末特性を維持しながら、親油性液体は高水準で吸収し、また、親水
性液体もかなり吸収する能力がある。粉末構造は、1ミクロン未満のユニット粒
子の格子から構成されている。このユニット粒子は溶融して20〜100ミクロンの
集塊になり、さらに、この集塊は緩くクラスタ化して約200〜約1200ミクロンの
サイズのマクロ粒子または集合体になる。このポリマー粉末はその重量の4倍程
度の液体、エマルジョン、分散体または溶融固体を含むことができる。
ポリマー粉末への活性成分の吸着は、ステンレス鋼製の混合ボウルとスプーン
を用いて行うことができる。すなわち、粉末に活性成分を加え、スプーンを用い
て活性成分をポリマー粉末の中に折り込んでいく。低粘度流体は、ポリマーを入
れた密封可能な容器に流体を加えて吸着させ、粘ちゅう度が出てくるまで材料を
転動させる。リボン、ブレンダやツインコーン、ブレンダなどの精巧なブレンド
装置も使用できる。この明細書で使用する好適な活性成分はグリセリンである。
好適には、湿潤剤:キャリアの重量比は約1:4〜約3:1である。
Microsponges 5647 も、高度に架橋したポリメタクリレート-コポリマーとし
て適している。これは一般には、約0.01〜約0.05μmの気孔サイズと200
〜300m2/gの表面積を持つ、架橋疎水性ポリマーの球状粒子である。やはり、
上で述べたレベルの湿潤剤を担持させるのが好ましい。
この発明の組成物は、好適には約0.01〜約10%、より好適には約0.02
〜約2%、そして特に約0.02〜約0.5%のレベルで親水性ゲル化剤を含むこ
とができる。ゲル化剤は、少なくとも約4,000mPa.s、より好適には少なくとも
約10,000mPa.s、そして特に少なくとも約50,000mPa.s、の粘度(1%水溶液、
20℃、ブルックフィールドRVT)を持つのが好ましい。
適切な親水性ゲル化剤は、一般には、水溶性ポリマーまたはコロイド状水溶性
ポリマーとして規定することができ、そして親水性ゲル化剤には、セルローズ-
エステル類(たとえば、ヒドロキシエチル-セルローズ、メチルセルローズ、ヒ
ドロキシプロピルメチル-セルローズ)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
ルコール、グアルゴム、ヒドロキシプロピル-グアルゴムおよびキサンタンゴム
がある。
しかし、この明細書で好適な親水性ゲル化剤は、B.F.Goodrich 社からCarbopo
l 樹脂として販売されているアクリル酸/エチルアクリレートのコポリマーおよ
びカルボキシビニル-ポリマーである。これらの樹脂は、基本的には、ポリアリ
ル(allyl)スクロースやポリアリル(allyl)ペンタエリスリトールなど0.7
5〜2.0%の架橋剤を用いて架橋したアクリル酸のコロイド状水溶性ポリアル
ケニル-ポリエーテル架橋ポリマーからなる。例には、Carbopol 934、Carbopol
940、Carbopol 950、Carbopol 954、Carbopol 980、Carbopol 951 およびCarbop
ol 981 がある。Carbopol 934 は、各スクロース分子について平均約5.8のア
リル(allyl)基を有するスクロースのポリアリル(allyl)エーテ
ルを約1%用いて架橋したアクリル酸の水溶性ポリマーである。最も好適なポリ
マーはCarbopol 954 である。商晶名Carbopol 1382、Carbopol 1342 およびPemu
len TR-1(CTFA名称:アクリレート/C10−30 アルキルアクリレー
トのクロスポリマー)として利用できる両親媒性特性を有するアクリル酸の疎水
性変性架橋ポリマーも、この明細書で使用に適している。ポリアルケニル-ポリ
エーテル架橋アクリル酸ポリマーと疎水性変性架橋アクリル酸ポリマーの組合せ
も、この明細書での使用に好適である。この明細書でゲル化剤は、常温とそれよ
り高い温度で優れた安定性を与える場合に特に価値がある。
この明細書で親水性ゲル化剤を含有する酸性基を中和する場合に使用に適した
中和剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンがある。
この発明の組成物はエマルジョン状であり、少なくとも約4,000m Pa.s、好適
には約4,000〜約300,000m Pa.s、より好適には約8,000〜約200,000m Pa.s、そ
して特別には約10,000〜約100,000m Pa.s、そしてより特別には約10,000〜約50
,000m Pa.s、の範囲の粘度(25℃、組成物純品、ブルックフィールドRVT
スピンドルNo.5)を生成物が持つように処方するのが好適である。
この発明の組成物は、約0.1〜約10%、好適には約1〜約5%のパンテノ
ール-モイスチャーライザを含むことができる。パンテノール-モイスチャーライ
ザは、D-パンテノール[(R)-2,4-ジヒドロキシ-N-(3-ヒドロキシプロピル)
-3,3-ジメチルブタミド]、DL-パンテノール、パントテン酸カルシウム、ロ
ーヤルジェリー、パンテチン、パントテイン、パンテニル-エチルエーテル、パ
ンガム酸、ピリドキシン、パントイルラクトースおよびビタミンB錯体から選択
することができる。スキンケアと粘着性低減の観点から非常に好適なのは、D-
パンテノールである。
この発明の組成物は、約0.001〜約0.5重量%、好適には約0.002〜
約0.05重量%、より好適には約0.005〜約0.02重量%のカルボキシ-メ
チルキチンを追加成分として含むことができる。キチンはロブスタやカニの殻に
存在する多糖類であり、N-アセチル-D-グルコサミンベータ(1-4)結合を有す
るムコ多糖類である。カルボキシ-メチルキチンは、精製キチンをまずアルカリ
、続いてモノクロル酢酸で処理してつくる。それは、A & E Connock Ltd.(イン
グランド、ハンプシャー、フォルディングブリッジ)から利用できるキチン-リキ
ッドの名称で、希釈(約0.1〜0.5重量%)水溶液の形で商業的に販売されて
いる。
他の随意物質には、サリチル酸などの角質溶解剤、たんぱく質、ポリペプチド
およびそれらの誘導体、Germall 115、ヒドロキシ安息香酸のメチルとエチルと
プロピルおよびブチルエステル類、ベンジルアルコール、EDTA、Euxyl(RT
M)K400、Bromopol(2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール)およびフェ
ノキシプロパノールなどの水溶性または可溶性防腐剤、Irgasan(RTM)および
フェノキシエタノール(好適には約0.1〜約5%の濃度で)などの抗菌剤、米
国特許第 4,076,663 号に記載されているCelanese Superadsorbent Materials(
USA、バージニア州ポーツマス)から利用できるSanwet(RTM)IM-1000、I
M-1500 およびIM-2500 などの澱粉グラフト化ポリアクリル酸ナトリウムおよ
びヒアルロン酸などの可溶性またはコロイド状可溶性モイスチャーライサ、ビタ
ミンA、ビタミンC、ビタミンEおよびビタミンKなどのビタミン類、アルファ
およびベータ-ヒドロキシ酸、アロエベラ、スフィンゴシン類とフィトスフィン
ゴシン類、コレステロール、皮膚漂白剤、N-アセチルシステイン、着色剤、香
料と香料溶解剤、脂肪族アルコールエトキシレート、エトキシポリオール脂肪酸
エステル類(ここで、ポリオールはグリセリン、プロピレン-グリコール、エチ
レングリコール、ソルビトール、ソルビタン、ポリプロピレン−グリコール、グ
ルコースおよびスクロースから選択できる)などの追加の界面活性剤/乳化剤が
ある。具体的な例には、グリセリル-モノヒドロキシ-ステアレートおよびアルコ
ール1モルにつき平均10〜200モルの酸化エチレンでエトキシ化したステアリル-
アルコールおよびPEG-6カプリリック/カプリック-グリセリド類がある。
この明細書では、日焼け止め剤も有用である。1992年2月11日に発行されたHa
ffey らの米国特許第 5,087,445 号、1991年12月17日に発行されたTurner ら
の米国特許第 5,073,372 号、1991年12月17日に発行されたTurner らの米国特許
第 5,073,371 号、およびSegarin らのCosmetics Science and Technologyの第
8章189頁以下参照、に多種多様な日焼け止め剤が記載されている。この発明の
組成物で役立つこれらの日焼け止め剤の中で好適なのは、2-エチルヘキシル p-
メトキシシナメート、2-エチルヘキシル N,N-ジメチル-p-アミノベンゾエー
ト、p-アミノ安息香酸、2-フェニルベンツイミダゾール-5-スルホン酸、オク
トクリレン、オキシベンゾン、ホモメンチル-サリシレート、オクチルサリシレ
ート4,4'-メトキシ-t-ブチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピル-ジベンゾ
イルメタン、3-ベンジリデン-カンファ、3-(メチルベンジリデン)カンファ、
二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄、Parsol MCX、Eusolex 6300、Oct
ocrylene、Parsol 1789、およびそれらの混合物がある。
さらに、有用な日焼け止め剤は、1990年6月26日に発行されたSabatelli の米
国特許第 4,937,370 号、および1991年3月12日に発行されたSabatelli らの米
国特許第 4,999,186 号にも開示されている。この明細書で開示された日焼け止
め剤には、単一の分子に、異なるUV放射線吸収スペクトルを示す2種類の発色
団がある。発色団の一つは、主として、UVB放射線領域に吸収があり、もう一
つの発色団はUVA放射線領域に強い吸収がある。これらの日焼け止め剤は、従
来の日焼け止め剤に比べて、効率が高く、UV吸収の幅が広く、皮膚への浸透性
は低く、効果が長続きする特性がある。これらの日焼け止め剤の内、特に好適な
例には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンの4-N,N-(2-エチルヘキシル)メ
チルアミノ安息香酸エステル、4-ヒドロキシジベンゾイルメタンの4-N,N-(
2-エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、2-ヒドロキシ-4-(2-ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの4-N,N-(2-エチルヘキシル)メチルアミ
ノ安息香酸エステル、4-(2-ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの4-N,
N-(2-エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル、およびそれらの混合物
から選択したものがある。
一般には、この明細書で有用な組成物は、約0.5〜約20%の日焼け止め剤
を含むことができる。正確な量は、選択した日焼け止め剤と所望の日光保護因子
(SPF)によって左右される。SPFは紅斑に対する日焼け止め剤の光保護に
ついて普通に使われる目安である。連邦官報、43巻166号、38206〜38269頁、1
978年8月25日、を参照のこと。
この発明の組成物は、さらに、約0.1〜約5重量%のアルミニウム澱粉オク
テニル-サクシネートを含むことができる。アルミニウム澱粉オクテニル-サクシ
ネートは、オクテニルこはく酸無水物と澱粉の反応生成物のアルミニウム塩であ
り、National Starch & Chemical Ltd.から商品名Dry Flo として商業的に利
用できる。Dry Flo は、肌の感触と塗布特性の観点からこの明細書で有用である
。
この明細書でその他の随意物質には顔料があり、顔料は水不溶性で、油相成分
の総濃度に寄与し、それに含められる。この発明の組成物で使用に適した顔料は
、有機顔料でも無機顔料でもよい。つや消し仕上げ剤などの色や光沢の弱い物質
や光散乱剤も顔料に含められる。適切な顔料の例には、酸化鉄、アシグルタメー
ト酸化鉄、ウルトラマリン-ブルー、D&C染料、カルミン、およびそれらの混
合物がある。組成物の種類によっては、顔料混合物が普通に使われる。肌に潤い
を与える作用、肌の感触、肌の外見およびエマルジョン親和性の観点からこの明
細書で使用するのに好適な顔料は、化学処理した顔料である。顔料は、アミノ酸
類、シリコーン類、レシチンおよびエステル油などの化合物で処理することがで
きる。
この組成物のpHは、好適には約4〜約9、より好適には約6〜約8.0であ
る。
組成物の残りは、皮膚に局所塗布する場合に適した水または水性キャリアであ
る。この明細書の組成物の水含有量は、重量で、一般には約30〜約98.89
%、好適には約50〜約95%そして特別には約60〜約90%である。
この発明を下記実施例により説明する:実施例I〜V
これらの組成物は下記のようにしてつくった:
増ちょう剤の第1プレミックスは、二酸化珪素(添加する場合は)、メチルパ
ラベン、グリセリン/二酸化チタンのプレミックス、Arlatone 2121、および尿素
以外の他の水溶性成分を水とともに混合し、約80℃に加熱してつくる。シリコ
ーンゴム以外の油相成分の第2プレミックスは、混合、加熱し、水性プレミック
スに添加してつくる。
得られた混合物を約60℃に冷却する。苛性ソーダ溶液、EDTA、ポリエチ
レン(添加する場合は)、シリコーンゴム、KSG-18(添加する場合は)およ
び尿素溶液(水1mlに1g溶解した)を、得られた水中油型エマルジョンに添加
し、この混合物を少量成分を添加する前に冷却する。この組成物をパッケージす
る。
これらの組成物は肌に潤いを与える作用、肌の感触およびスキンケア特性が改
良されており、また、脂っこさが少なく、肌への擦り込みが優れており、吸収も
速い。