【発明の詳細な説明】
アニオン性基を有するポリイソシアネートを使用する紙の仕上げ法
本発明は、a)アニオン性またはアニオン性となり得る基を有するポリイソシ
アネート、およびb)カチオン性またはカチオン性となり得る基を有するポリマ
ーを使用して、大きく改良された湿潤および乾燥強度、サイズならびに固有歩留
まりを有するように仕上げられた紙の製造法に関する。
欧州特許出願公開第582 166号明細書は、第三級アミノ基および/またはアン
モニウム基を有する、すなわちカチオン性または潜在的なカチオン性基を有し、
そして場合によってはポリエーテル基を有する水−分散性のポリイソシアネート
、およびこのような水−分散性ポリイソシアネートを使用して乾燥強度および湿
潤強度処理および/またはサイジングが成されたセルロース含有材料の製造法に
関する。例えば歩留まり剤のようなカチオン性の補助剤を同時に使用することは
、通例のカチオン性の歩留まり剤と言われる歩留まり剤、ならびにカチオン性ま
たはカチオン性もしくはアニオン性、および適当であればシリカゾルのような個
々の成分を含んで成るいわゆる二重系に関連している。さらなる歩留まり剤は、
欧州特許出願公開第582 166号明細書の実施例中では同時に使用されていない。
このように読者は、歩留まり剤の少なくとも一部が、しかし好ましくは全部がカ
チオン性生成物を含んで成るならば、せいぜいカチオン性ポリイソシアネートと
一緒に使用されるべきであるという印象を受けるが、この理由は与えられず、利
点または欠点も検討されていない。
独国特許出願公開第4 211 480号明細書は、水−分散性ポリイソシア
ネートを使用して紙の湿潤強度を増大させる方法に関する。適当であれば、この
生成物は通常のカチオン性の定着剤および歩留まり剤と共に、好ましくは湿潤強
度を増大させるための薬品と一緒に使用することもできる。この内容で述べられ
ている歩留まり剤はポリアミン、好ましくはN-メチル-ビス-(3-アミノプロピル)
-アミンと、アルキレンジハリド、好ましくはジクロロエタンのカチオン性の重
縮合物である。この水−分散性ポリイソシアネートおよびカチオン性の歩留まり
剤との共同使用の効果は、独国特許出願公開第4 211 480号明細書の実施例4に
記載されている。実施例4のデータは、1.ポリエチレンオキシド基を含むポリ
イソシアネートおよび2.カチオン性歩留まり剤の合同添加が、まさに特記すべ
き(望ましい)灰分含量の増加を導くが、(望ましくない)湿潤強度の減少も導
くことを示している。独国特許出願公開第4 211 480号明細書によれば、カルボ
キシル基を含むポリイソシアネートは、少なくともカルボキシル基の部分的な中
和後に水中へ容易に分散できる好適な水−分散性のポリイソシアネートとして述
べられているが、この実施例では非−イオン性の水−分散性ポリイソシアネート
(ポリエーテル基を含有する)のみが使用されている。
今回、驚くべきことには、アニオン性(またはアニオン性となり得る)基を有
する水−分散性のポリイソシアネート、および歩留まり剤としてカチオン性(ま
たはカチオン性となり得る)化合物を使用すれば、灰分含量に反映される(填料
を含む等級の紙の場合には)歩留まりだけでなく、乾燥および湿潤強度およびサ
イジング(sizing)も向上し得ることが分かった。
したがって本発明は紙の仕上げ法に関し、この方法は、
A)1−21.5、好ましくは4−20重量%のNCO含量、および100gのポリイソシ
アネートAあたり50−5,000、好ましくは50−3,500ミリ当量のアニオン性および
/またはアニオン性となり得る基を有するポリイソシアネート、ならびに
B)100gの化合物Bあたり、5−5,000、好ましくは50−3,500ミリ当量のカチオ
ン性および/またはカチオン性となり得る基を有する化合物を、
それぞれ固体(乾燥)に基づき、繊維原料:A:Bの重量比が、100:(0.001−2
5、好ましくは0.1−10):(0.001−25、好ましくは0.01−10)の量となるように、
パルプ、すなわちセルロース−含有繊維原料懸濁水に計量しながら供給するか(
パルプでの使用において)、または
化合物Bをパルプに計量しながら供給し、そしてポリイソシアネートAをセルロ
ース−含有原紙の表面上に計量しながら供給する(表面上での使用において)。
好適なポリイソシアネートAは、数平均として測定した300−25,000、好まし
くは400−5,000の分子量を有する。
ポリイソシアネートAは、
a)1.8−4.2の平均NCO官能価を有する有機ポリイソシアネート、
b)アニオン性(またはアニオン性となり得る)基を含んで成るNCO-反応性化合
物、および適当である場合には、
c)ポリアルキレンオキシドアルコール、アミンおよび/またはチオールの反応
により得ることができる。
可能な有機ポリイソシアネートa)は、例えばW.SiefkenのLiebigs
Annalen der Chemie 562.page75-136により記載されているような脂肪族、環式
脂肪族、アル脂肪族、芳香族または複素環式ポリイソシアネートである。
好適なポリイソシアネートa)は、1500未満の平均分子量を有する式Q(NCO)n
の化合物であり、式中、nは2−4の数を表し、そしてQは脂肪族C4−C12-炭
化水素基、環式脂肪族C6−C15-炭化水素基、アル脂肪族C7−C15-炭化水素基
または酸素、硫黄および窒素から成る群からの1−3個のヘテロ原子を有する複
素環式C2−C12-基を表し、例えば(i)エチレンジイソシアネート、テトラメ
チレン 1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン 1,6-ジイソシアネート、ドデカ
ン 1,12-ジイソシアネート、シクロブタン 1,3-ジイソシアネート、シクロヘキ
サン 1,3-および1,4-ジイソシアネートのようなジイソシアネートおよびこれら
異性体の任意の望ましい混合物、1-イソシアナト-2-イソシアナトメチル-シクロ
ペンタン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘ
キサンおよびヘキサヒドロトリレン 2,4-および2,6-ジイソシアネートおよびこ
れら異性体の任意の望ましい混合物、ヘキサヒドロフェニレン 1,3-および/も
しくは1,4-ジイソシアネート、ペルヒドロ-ジフェニルメタン 2,4'-および/も
しくは4,4'-ジイソシアネート、フェニレン 1,3-および1,4-ジイソシアネート、
トリレン2,4-および2,6-ジイソシアネートおよびこれら異性体の任意の望ましい
混合物、ジフェニルメタン 2,4'-および/もしくは4,4'-ジイソシアネートおよ
びナフタレン 1,5-ジイソシネート、例えばビス-(6-イソシアナトヘキシル)-ウ
レチジオンのようなウレチジオン基を含有するポリイソシアネートまたはウレチ
ジオン構造を含有する1-イソシアナト-3,3,5-トリメ
チル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンの二量体、ならびに上記ポリイソシ
アネートの任意の望ましい混合物;(ii)一連のトリイソシアナトトリフェニルチ
オホスフェートの異性体のような三官能性以上のポリイソシアネート、およびそ
れらの混合物;一連のトリイソシアナトトリフェニルメタン異性体(トリフェニ
ルメタン-4,4’,4''-トリイソシアネートのような)およびそれらの混合物;なら
びにアニリン/ホルムアルデヒド縮合、そして続いてホスゲネーションにより得
られるようなポリフェノール-ポリメチレンポリイソシアネート;ならびに(iii
)ポリイソシアネート(i)および/または(ii)からアロファネーション、三
量化、ビウレッテーションまたはウレタネーションにより製造され、そして1分
子あたり少なくとも3個のイソシアネート基を有する化合物。三量化により製造
されるポリイソシアネートの例は、イソシアヌレート形成により得られる1-イソ
シアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンの三量体、お
よび適当であれば2,4-ジイソシアナトトルエンと混合し、そしてイソシアヌレー
ト基を含むヘキサメチレンジイソシアネートの三量化により得ることができるポ
リイソシアネートである。ビウレッテーションにより製造できるポリイソシアネ
ートの例は、トリス-(イソシアナト-ヘキシル)-ビウレットおよびそれらの混合
物、ならびに例えば独国特許出願公開第23 08 015号明細書に従い得ることがで
きるようなそのより高次同族体である。ウレタネーションにより製造されるポリ
イソシアネートの例は、ジイソシアネート(i)と、ポリオールのすべてのNCO-
反応性ヒドロキシル基が反応するときには、得られる生成物が1分子あたり少な
くとも平均2.5、好ましくは少なくとも3個の遊離のイソシアネート基を含むよ
うになる割合の、少なくと
も3個の水素を含む、好ましくは3−または4−個の水素を含む低分子量のポリ
オールとの反応生成物である。そのような生成物には、例えば1-イソシアナト-3
,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサンおよびヘキサメチレン
ジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート(それら異性体の混合物を含
む)の反応生成物、ならびにジイソシアナトジフェニルメタン(それら異性体の混
合物を含む)と、トリメチルオールエタンまたは−プロパンまたはペンタエリト
リトールのような3または4個のヒドロキシル基を有する不足当量的量のC3−
C10-ポリオールとの反応生成物である。これらのポリオールは、例えばエステ
ル構造および/または酸アミド構造も有することができる。ウレタン基を含有す
るこれらのポリイソシアネート(iii)は、低分子量のポリオールを大過剰のジ
イソシアネート(i)と反応させ、続いて過剰なジイソシアネートを蒸留により
除去することにより製造できる。ウレタン基を含有する、より高官能価のポリイ
ソシアネート (iii)の代わりに、すべての、または幾つかのウレタン基がウ
レア基により置き換えられた化合物を使用することも可能である;そのような化
合物は、ジイソシアネート(i)との反応に、低分子量のポリアミンを同時に使用
することにより得ることができる。
イオン性基を導入するために、構造成分(b)として一般的に使用できる化合
物は、少なくとも1つのNCO-反応性基に加えて、1分子あたり少なくとも1つの
アニオン性基(例えばカルボキシレート、スルホネート、ホスフェート、ホスホ
ネートまたはホスフィネート基のような)を含むものである。アニオン性となり
得る基を導入するために、適当な構造成分(b)は、少なくとも1つのNCO-反応
性基に加えて、1分子あた
りアニオン性基を形成できる少なくとも1つの基を含む化合物である。そのよう
な可能性のあるアニオン性基は例えば、カルボキシル、スルホ、ホスホン酸、リ
ン酸およびホスフィン酸基である。
特に好適な成分(b)は、塩を形成できるカルボキシルまたはスルホ基を含む
化合物である:
1)グリコール酸、チオグリコール酸、乳酸、トリクロロ乳酸、ジメチルオール
プロピオン酸、マレイン酸、ジヒドロキシマレイン酸、ジヒドロキシフマル酸、
酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、粘液酸、糖酸、クエン酸、サリチル酸、2,6-ジヒ
ドロキシ安息香酸、プロトカテキュ酸、α-レゾルシル酸、β-レゾルシル酸、ヒ
ドロキノン-2,5-ジカルボン酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、4,6-ジヒドロキシ
イソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフトール-
3-カルボン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,8-ジヒドロキシ-3-ナフトエ酸、
β-ヒドロキシプロピオン酸、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオン酸およびm-
ヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシ−およびメルカプト−カルボン酸、
2)オキサルル酸、アニリド酢酸、2-ヒドロキシカルバゾール-3-カルボン酸、
グリシン、サルコシン、メチオニン、α-アラニン、β-アラニン、6-アミノカプ
ロン酸、6-ベンジルアミノ-2-クロロカプロン酸、4-アミノ酪酸、アスパラギン
酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アントラニル酸、2-エチルアミノ安息香酸、N-
(2-カルボキシフェニル)-アミノ酢酸、2-(3'-アミノベンゼンスルホニルーアミ
ノ)-安息香酸、3-アミノ安息香酸、4-アミノ安息香酸、N-フェニルアミノ酢酸、
3,4-ジアミノ安息香酸、5-アミノベンゼンジカルボン酸および5-(4'-アミノベン
ゾイルア
ミノ)-2-アミノ安息香酸のようなアミノカルボン酸、
3)2-ヒドロキシエタンスルホン酸、フェノール-2-スルホン酸、フェノール-3-
スルホン酸、フェノール-4-スルホン酸、フェノール-2,4-ジスルホン酸、2-ヒド
ロキシ-1-安息香酸-5-スルホン酸、1-ナフトールスルホン酸、1-ナフトールジス
ルホン酸、8-クロロ-1-ナフトールジスルホン酸、1-ナフトールトリスルホン酸
、2-ナフトール-1-スルホン酸、2-ナフトールトリスルホン酸、1,7-ジヒドロキ
シナフタレン-3-スルホン酸、1,8-ジヒドロキシナフタレン-2,4-ジスルホン酸、
クロモトロープ酸、2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸-6-スルホン酸および2-ヒドロキ
シカルバゾール-7-スルホン酸のようなヒドロキシスルホン酸、ならびに
4)アミドスルホン酸、ヒドロキシアミンモノスルホン酸、ヒドラジンジスルホ
ン酸、スルファニル酸、N-フェニルアミノメタンスルホン酸、4,6-ジクロロアニ
リン-2-スルホン酸、フェニレン-1,3-ジアミン-4,6-ジスルホン酸、N-アセチル-
1-ナフチルアミン-3-スルホン酸、1-ナフチルアミンスルホン酸、2-ナフチルア
ミンスルホン酸、ナフチルアミンジスルホン酸、ナフチルアミントリスルホン酸
、4,4'-ジ-(p-アミノベンゾイルアミノ)-ジフェニルウレア-3,3'-ジスルホン酸
、フェニルヒドラジン−2,5-ジスルホン酸、2,3-ジメチル-4-アミノ-アゾベンゼ
ン-4',5-ジスルホン酸、4'-アミノスチルベン-2,2'-ジスルホン酸-〈4-アゾ-4〉
-アニソール、カルバゾール-2,7-ジスルホン酸、タウリン、メチルタウリン、ブ
チルタウリン、3-アミノ-1-安息香酸-5-スルホン酸、3-アミノトルエン-N-メタ
ンスルホン酸、6-ニトロ-1,3-ジメチルベンゼン-4-スルファミン酸、4,6-ジアミ
ノベンゼン-1,3-ジスルホン酸、2,4-ジアミノトルエン-5-スルホン酸、4,4'-ジ
アミノジフェニル-2,2'-ジスルホン
酸、2-アミノフェノール-4-スルホン酸、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル-2-
スルホン酸、2-アミノ-アニソール-N-メタンスルホン酸および2-アミノ-ジフェ
ニルアミンスルホン酸のようなアミノスルホン酸。
適当な造塩剤は、無機および有機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニアおよび第一級、第二級およ
び第三級アミンである。
最後に、例えばビス-(α-ヒドロキシイソプロピル)-ホスフィン酸、ヒドロキ
シアルカンホスホン酸およびリン酸ビス−グリコールエステルのような有機リン
化合物も造塩可能な化合物として使用できる。
反応参加物の反応は、溶媒を用いて、または用いなくても行うことができる。
好適な化合物(b)は、このようなポリヒドロキシカルボン酸および−スルホ
ン酸、ポリアミノカルボン酸および−スルホン酸ならびにこのような化合物の塩
(中でもアルカリ金属およびアンモニウム塩、特にナトリウムおよびカリウム塩
)である。それらは式
(H−Y)n−X−(A)m
式中、
YはOおよび/またはNHを表し、
XはC1−C15-アルキレン、C5−C15-シクロアルキレンまたは式
式中、R'およびR''は互いに独立して、水素またはメチルを表すが、ただし
少なくとも基の1つは水素であり、そしてaは0−15の
数を表す、
の基を表し、
Aは-COOH、-SO3H、-COO-Me+または-SO3 -Me+(式中、Meは金属カチオンまたは
アンモニウムカチオンを表し、これは多価金属の場合は、そのような金属イオン
の1等価体を表し、そしてnおよびmは1−5の整数を表す)を表す、
に対応することができる。
成分(b)としてスルホネート−またはカルボキシレート−ジオールを使用す
ることももちろん可能であり、この種の適当な化合物は、例えば独国特許出願公
開第24 46 440号明細書に記載されている。それらは一般的に式
式中、
AおよびBは、1−6個の炭素原子を有する同一または異なる二価の脂肪族炭
化水素基を表し、
R1およびR2は互いに独立して、水素、1−4個の炭素原子を有する脂肪族炭
化水素基またはフェニル基を表し、
X+は、アルカリ金属カチオンまたは場合によっては置換されてもよ
いアンモニウム基を表し、
nおよびmは、互いに独立してゼロまたは1−30の数を表し、
oおよびpは、各々の場合でゼロまたは1を表し、そして
qはゼロ、1または2を表す、
に対応する。
好適なカチオンX+は、カリウム、ナトリウムおよびアンモニウムイオンを含
み、ここでアンモニウム窒素は最高4個の有機C1−C10基により置換すること
ができ、そしてここで2つのそのような置換基の代わりに、場合によってはヘテ
ロ原子(酸素、窒素または硫黄のような)を含み、そしてX+に属する窒素原子と
一緒に複素環式環、例えばモルホリンまたはヘキサヒドロピリジン環を形成する
二価の4−または5−員の基を生じることもできる。
好適な化合物(c)は、単−および多−官能性、特に単官能性ポリエーテルア
ルコールを含む。このように適当な成分(c)は、1水素含有アルコールから始
まり、特にポリ-C2−C6-、好ましくは-C2−C3-アルキレンエーテルを含む。
ヒドロキシル末端基の代わりに、ポリアルキレンエーテル(c)は、アミノまた
はメルカプト末端基を持つこともできる。
ポリイソシアネートAは好ましくは、ポリイソシアネートAに基づき、3−25
重量%の反復アルキレンオキシ基[O-アルキレン-]xとして数えられる取り込
まれたポリアルキレンエーテル基の含量を有する。このポリアルキレンエーテル
基は好ましくは、エチレンオキシド単位を、50−100重量%まで、そして好まし
くはこのような全くのプロピレンオキシド単位に加えて含む。したがってこのよ
うな、エチレンオキシド単位
を主な重量含量として有するエチレンオキシドポリエーテルおよびエチレンオキ
シド/プロピレンオキシドコポリエーテルが好ましい。純粋なエチレンオキシド
ポリエーテルが好ましい。取り込まれたポリエチレンオキシドブロックは、220
−6,000、好ましくは500−3,000の平均分子量を有することができる。
ポリイソシアネートAは、ポリイソシアネート(a)を成分(b)と、そして
適当であるならば(c)と同時に、または任意の所望の順序で反応させることに
より製造できる。好適な反応温度は50−120℃であり;反応は一般的に1−3時
間内で終了する。
有機溶媒を全く使用しないことが特に有利であることが多いが、もちろん有機
溶媒をポリイソシアネートAの製造に使用することもできる。大変粘度が高いポ
リイソシアネートAの場合には、有機溶媒を同時に使用することが適当である。
中でも好適な有機溶媒には、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキ
サノンのようなケトン類、ジエチルエーテルおよびジブチルエーテル、テトラヒ
ドロフランおよびジオキサンのようなエーテル類、エチレングリコールモノメチ
ルおよびモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルおよびモノエチル
エーテルアセテートのようなエチレングリコールおよびプロピレングリコールの
エーテルおよび/またはエステルおよびブチルアセテートのようなC2−C4-カ
ルボン酸C1−C6-アルキルエステル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチ
ルアセトアミドおよびN-メチルピロリドンのようなアミド類、スルホラン、N-メ
チル-カプロラクタム、プロピレングリコールジアセテート、ベンゼン、トルエ
ンおよびキシレンのようなベンジンおよび芳香族を含む。ポ
リイソシアネートAの製造過程における、例えばメタノール、エタノールまたは
n-もしくはイソプロパノールのようなNCO-反応性基を含む有機溶媒の使用は薦め
られない。所望により有機溶媒は、例えば蒸留によりポリイソシアネートAから
再度、除去することができる。
ポリイソシアネートAは、分散水を調製するために抜群に適している。それら
はこの状態でも好ましく使用される。このような分散水中のポリイソシアネート
Aの含量は、広い限界内で変動でき、そして原則として20−80、好ましくは25−
50重量%である。ポリイソシアネートAは、ポリイソシアネートAを水に加える
ことにより分散できる。この2成分は、撹拌を用いて都合よく混合される。分散
操作は、有機性の、好ましくは水−混和性溶媒の不在または存在下で行うことが
できる。
ポリイソシアネートAは一般的に通常は自然に水との分散物を形成するので、
分散操作中の有機溶媒の使用は通常、不要である。
分散操作中の温度は、一般的に20−100、好ましくは30−80℃であることがで
きる。生成した分散水は、一般的に50−500、好ましくは100−300μmの平均直径
d50を有する粒子としてポリイソシアネートAを含んで成る。
平均粒子直径d50は、各々の場合で粒子の50重量%が存在する上下の直径であ
る。これは超遠心測定(W.Scholtan,H.Lange,Kolloid.Z.およびZ.Polymere 250(1
972),782-796)により、または電子顕微鏡そして続いて粒子の計数(G.Kampf,H.S
chuster,Angew.Makromolekulare Chemie 14(1970),111-129)により測定できる。
カチオン性またはカチオン性となり得る基を有する適当な化合物Bは、特許請
求する量の第一級、第二級および第三級アミノ基を有するすべて
の化合物、ならびにそれらから陽子付加およびアルキル化により得られるアンモ
ニウム基である。中でも好適な(可能性のある)カチオン性基は、基−NR'''2、
-N+R3および-N+HR'''2(式中、R'''は水素またはC1−C10-アルキルを表す)であ
る。
好適な化合物Bは、上記アミノまたはアンモニウム基あたり、2−3個、好ま
しくは2−12個のC原子を含む。好適な化合物Bは、500−108、好ましくは500
−107の数−平均として測定される分子量を有する。好適な化合物Bは、歩留ま
り剤1、2、3として推薦したようなカチオン性(またはカチオン性となり得る)
化合物を含む。以下で述べるすべての分子量は特に言及しないかぎり、同様に数
−平均として測定する。
化合物Bは、例えばアミノアルキルハリドまたはエポキシドをアルカリ性媒質
中の澱粉、すなわち例えばアルカリ性澱粉懸濁液に高温(例えば100℃)で作用さ
せることにより得られるようなカチオン性澱粉を含む;“有機化学の方法(Metho
ds of Organic Chemistry)(Houben-Weyl)、第XIV/2巻、ゲオルグチーメ(Georg
Thieme)出版、シュツットガルト1963、第913頁およびそこに引用されている技術
文献を参照にされたい。
この種の好適なカチオン性となり得る基は、N,N-ジエチルアミノエチルおよび
-プロピルエーテル基である。β-ハロゲン化アルキル、2,3-エポキシプロピルま
たは3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル基を含む第三級アミンは、第三級アミン基
を導入するために好ましく適する(米国特許第2 970 140号明細書)。第三級アミ
ノの導入に最も頻繁に使用される薬品は、N,N-ジエチルアミノエチルクロライド
ヒドロクロライドである。2,3-エポキシプロピル-トリメチルアンモニウムクロ
ライドのようなエポキシ化合物は、第四級アンモニウム基を導入するために適す
る(米国特
許第3 649 616号明細書)。一般的にカチオン性澱粉は、0.1−0.4重量%の窒素含
量を有する。
カチオン性澱粉には、ベタイン ヒドラジド ヒドロクロライドを用いた処理に
よりジアルデヒド澱粉から得られる澱粉誘導体も含む;引用文献脚注2、第90− 92頁を参照にされたい。
1 D.EklundおよびT.Lindstrom、製紙化学(Paper Chemistry)、DT 製紙科学出
版(DT Paper Science Publications)、グランクルーラ 1991
2 J.C.Roberts(編集)、製紙化学(Paper Chemistry)、ブラッキー アンドサン
ズ社(Blackie & Sons Ltd.)、グラスゴー、ロンドン 1991
3 G.Tegge、澱粉および澱粉誘導体(Starch and starch derivatives)、ベヘル
ズ出版(Behr's Verlag)、ハンブルグ、第2版、1988、第188-189頁 第90-92頁
。
化合物Bは、例えばポリジアルキルジメチルアンモニウムクロライド(ポリ-DA
DMAC)、すなわち構造
のピロリジニウム基を含むジアルキルジメチルアンモニウムクロライドのホモ−
およびコポリマーを含む。
そのような化合物は、例えば米国特許第4 742 134号明細書(通常100,000−600
,000の分子量)に記載されている。
化合物Bはさらに、ポリエチルイミン類、すなわちエチレンイミンの酸−触媒
化開環重付加により得られ、そしてこれは場合によっては1,2-ジクロロエタンの
ような1,2-置換された求電子性エタン誘導体で架橋結合されることができる直鎖
および分枝生成物を含む。30−50重量%の固体含量を有するアルカリ性溶液状態
の高分子量ポリエチレンイミンは、市販されている。この種の化合物は、“有機
化学の方法(Methods of Organic Chemistry)(Houben-Weyl)、第E20/2巻、ゲオル
グチーメ出版、シュツットガルト、第1483頁以下、およびウルマンの化学工業辞
典(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第5版、A3巻、第24
0頁(分子量450-100,000)に記載されている。
好適な化合物Bは、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドまたは−メタクリ
ルアミドのホモ−またはコポリマーも含む。50−100重量%の四級化ジメチルア
ミノプロピル(メト)アクリルアミドおよび0−50重量%のアクリルアミドから
好ましくは得られるようなポリマー、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらの
混合物およびは、25℃で10重量%の塩化ナトリウム水溶液中で測定したとき、15
0ml/g未満の限界粘度を有する。そのようなポリマーは、例えば独国特許出願公
開第3 905 049号明細書に記載されている。
好適な化合物Bはさらに、モル比が2:1−1:2のポリアミン類(例えばジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペ
ンタエチレンヘキサミンのような)と、シアナミドまたはそれらの誘導体(例え
ばグアニジンのような)またはそれらのポリマー(例えばジシアンジアミドおよ
びビグアニジンのような)から、適当であるならばアンモニアが分離したアンモ
ニウム塩の存在下で、例えば
独国特許出願公開第3 940 481号明細書に記載されているように得られる重縮合
物を含む。そのような化合物は通常、1,000−105の分子量を有する。
好適な化合物Bは、ポリアミドアミンとアルキレンジハリド、好ましくは1,2-
ジクロロエタンから得られ、そして数−平均として測定した少なくとも5,000の
分子量、および25℃で20−60重量%水溶液で測定した50−4,000mPa.sの粘度を有
する重縮合物でもある。これらの出発物質は、好ましくは数−平均として測定し
た2,000−20,000の分子量を有するポリアミドアミンであり、これは1,2-ジクロ
ロエタンをアンモニア水と0.75:1.3のモル比で反応させ、続いてエチレンジア
ミン、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミンならびに琥珀酸、グ
ルタル酸、アジピン酸またはセバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸を除去する
ことにより得られるようなポリアミン類から得ることができる。ここでアルキレ
ンジハリド/ポリアミドアミンの比は、好ましくはポリアミドアミンの1モルの
塩基性窒素あたり0.01−0.1モルのアルキレンジハリドである;独国特許出願公
開第2 756 431号および同第3 721 057号明細書を参照にされたい。分子量は最高
107であることができる。
好適な化合物Bは、例えば独国特許出願公開第1 906 450号、同第2 756 431号
および同第4 136 289号明細書から周知の、ポリアミンおよび/またはポリアミ
ドアミンおよびエピクロロヒドリンから得られ、そして25℃で15重量%水溶液で
測定した時に10−150mPa.sの粘度を有する重縮合物でもある。この反応では、好
ましくはポリアミンまたはポリアミドアミン中に存在する全塩基性窒素1モルあ
たり、0.3−0.8モルのエピクロロヒドリンが反応する。
好適なそのような重縮合物は、エピハロゲノヒドリンおよび/またはα-ジハ
ロゲノヒドリン、少なくとも3個の炭素原子により、そして適当であるならば酸
素または硫黄原子により互いに分けられた少なくとも2個の窒素原子および異な
る窒素原子に結合した少なくとも2つの水素原子を含む水溶性の塩基性ポリアミ
ドおよび水溶性のポリアミンからすでに調製された、エピハロゲノヒドリンおよ
び/またはα-ジハロゲノヒドリンの自己架橋化、水溶性反応生成物である。
自己架橋化、水溶性反応生成物の基本となる挙げることができる水溶性ポリア
ミンの例は:
1,3-ビス-(2-アミノエチルアミノ)-プロパン、3-(3-ジエチルアミノ-プロピルア
ミノ)-プロピルアミン、ビス-(2-アミノ-エチル)-エーテル、2,2'-ビス-メチル
アミノ-ジエチル エーテル、2,2'-ビス-(2-アミノ-エチルアミノ)-ジエチルエー
テル、ビス-(3-アミノ-プロピル)エーテル、ビス-(3-アミノ-プロピル)スルフィ
ド、1,6-ビス-(2-アミノ-エチルアミノ)-ヘキサン、1,6-ビス-(3-アミノ-プロピ
ルアミノ)-ヘキサン、ビス-(6-アミノ-n-ヘキシル)-アミンおよび1,3-ジアミノ-
ブタンのような水溶性の脂肪族ポリアミン類であり、そして特に式
式中、
R1およびR2は互いに独立して、水素または場合によってはアミノもしくはヒ
ドロキシル基により置換されてもよいC1−C4-アルキル基を表し、
mは1−8、好ましくは2−4の数を表し、そして
nは3−10、好ましくは3−6の数を表す
のポリアルキレンポリアミン、例えば1,3-ジアミノ-プロパン、1-アミノ-3-メチ
ルアミノ-プロパン、1,3-ビス-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-プロパン、1,4-ジ
アミノ-ブタン、1,4-ビス−メチルアミノ-ブタン、N-(3-アミノ-プロピル)-テト
ラメチレンジアミン、N,N'−ビス-(3-アミノ-プロピル)-テトラメチレンジアミ
ン、ならびに中でもビス-(3-アミノ-プロピル)-アミンおよびヘキサメチレンジ
アミンであり、
そしてさらに式
式中、
R1は場合によってはアミノもしくはヒドロキシル基により置換されてもよい
C1−C18-アルキル基を表し、
R2およびR3は互いに独立して、水素またはメチル基を表し、そしてp+qの
和は、1−20、好ましくは2−5の数を表す、
のポリアミン、例えばエチル-ビス-(3-アミノ-プロピル)-アミン、2-ヒドロキシ
エチル-ビス-(3-アミノ-プロピル)-アミン、n-ブチル-ビス-(3-アミノ-プロピル
)-アミン、トリス-(3-アミノ-プロピル)-アミン、および中でもメチル-ビス-(3-
アミノ-プロピル)-アミンである。
1,4-ジアミノ-シクロヘキサン、1-アミノ-メチル-5-アミノ-1,3,3-ト
リメチル-シクロヘキサン、1,3-ビス-アミノメチルベンゼンおよびベンジル-ビ
ス-(3-アミノ-プロピル)-アミンのような水溶性の環式脂肪族およびアル脂肪族
ポリアミンも、さらに可能である。
自己架橋化、水溶性反応生成物の基本となる可能な水溶性の塩基性ポリアミド
は、特に;琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ジグリコール酸またはセバシン酸
のような飽和脂肪族C4−C10ジカルボン酸、またはそれらの機能的誘導体、例
えば無水物およびエステルと、少なくとも2個の第一級アミノ基および少なくと
も1個の第二級または第三級アミノ基を含む脂肪族ポリアミン;例えばメチル-
ビス-(3-アミノ-プロピル)-アミン、エチル-ビス-(3-アミノ-プロピル)-アミン
、2-ヒドロキシエチル-ビス-(3-アミノ-プロピル)-アミン、N-(3-アミノ-プロピ
ル)-テトラメチレンジアミンおよびN,N'-ビス-(3-アミノ-プロピル)テトラメチ
レンジアミンとの反応生成物であるが特に、式
式中、
AはC2−C8-アルキレン基を表し、
R2およびR3は互いに独立して、水素または場合によってはヒドロキシルもし
くはアミノ基により置換されてもよいC2−C10-アルキル基を表し、そして
nは2−5の数を表す、
のポリアルキレンポリアミン、例えばジ-1,2-プロピレン-トリアミン、ビス-(3-
アミノ-プロピル)-アミン、トリ-1,2-プロピレン-テトラミン、
および中でもジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびテトラエチ
レンペンタミンである。
特に好適な出発ポリアミンの例は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレ
ンヘプタミン、ジプロピレントリアミン、ジヘキサメチレントリアミン、N-メチ
ル-ビス-(3-アミノプロピル)-アミン、トリス-(2-アミノエチル)アミン、ピペラ
ジン、ビス(ピペラジニル)エタン、N-(2-アミノ-エチル)-ピペラジン、ビスアミ
ノエチルピペラジンおよびビスアミノプロピルピペラジンである。
適当なポリアミドアミン出発成分は、
a)脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸、ならびに
b)アミド形成できる少なくとも2個のアミノ基、および少なくとも1つの他の
第二級または第三級アミノ基を含むポリアミン、そして適当であるならば、
c)アミド形成できる2個のアミノ基を含むが、他の第二級および第三級アミノ
基は含まないポリアミン、そして適当であるならば、
d)ω-アミノカルボン酸および/またはラクタム
からのポリアミドアミンであり、各々の場合で1モルの成分a)あたり、好まし
くは0.8−1.2モルの成分b)、および適当であるならば最高0.8モルの成分c)
および適当であるならば最高1.5モルの成分d)を使用し、たただし(b+c)
:aのモル比は0.8:1から1.2:1の間の値と仮定する。
好適なジカルボン酸a)は、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン
酸およびイタコン酸を含む。
好適なポリアミンb)およびc)は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチ
レンヘプタミン、ジプロピルトリアミン、ジヘキサメチレントリアミン、N-メチ
ル-ビス-(3-アミノプロピル)アミン、トリス-(2-アミノエチル)アミン、N-(2-ア
ミノエチル)ピペラジン、ビスアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピ
ペラジン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、N-(2
-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N'-ジメチルエチレンジアミン、N-メ
チル-1,3-ジアミノプロパン、イソホロネジアミン、4,4'-ジアミノ-ジシクロヘ
キシルメタンおよびピペラジンを含む。
ω-アミノカルボン酸およびラクタムd)は、アミノカプロン酸、11-アミノウ
ンデカン酸、カプロラクタムおよびラウリルラクタムを含む。
所望の粘度に達するとすぐに、全部の未熟な架橋は酸を添加することにより防
ぐことができる。そのような生成物の分子量は、103−106であることができる。
他の好適な化合物Bは、20℃で20重量%水溶液について測定した時、少なくと
も100mPa.sの粘度を有する架橋化ポリアルキレンポリアミンであり、例えばポリ
アルキレンポリアミンをカルボン酸、カルボン酸エステル、無水カルボン酸また
はカルボン酸ハリドを用いて部分アミド化し、そして続いて1重量部の部分アミ
ド化ポリアルキレンポリアミンあたり、0.001−10重量部の少なくとも二官能性
架橋剤を用いて架橋することにより得られるようなものである。そのような生成
物は、例えば独国特許出願公開第4 240 110号明細書に記載されている。
好適な化合物Bは、さらに例えば“有機化学の方法(Methods of Organic Che
mistry)(Houben-Weyl)、第XIV/2巻、ゲオルグチーメ出版、シュツットガルト、
1963、第357頁以下に記載されているようなメラミン/ホルムアルデヒド縮合物
である。好適なメラミン/ホルムアルデヒド縮合物は、例えば1モルのメラミン
あたり1−7モルのホルムアルデヒドの酸−触媒反応により得られ、そして2つ
の窒素原子の間にN-メチロールエーテル基および/またはメチレンブリッジを含
む縮合物である。
好適な化合物Bはまた、例えばジアルキルアミノエチルアクリレートもしくは
メタクリレート、好ましくはジメチルアミノエチルアクリレートもしくはメタク
リレート、またはアクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライドもしく
はメタクリルアミドプロピル-トリメチルアンモニウムクロライドのような、ア
クリルアミドおよびカチオン性ビニルモノマーの共重合により、あるいは例えば
ジメチルアミンおよびホルムアルデヒドを用いた反応による非イオン性ポリアク
リルアミドのカチオン性修飾(A.Einhorn in Liebigs Ann.343(1905),207)のい
ずれかにより得ることができるような、カチオン性(およびカチオン性となり得
る)ポリアクリルアミドでもある:上記脚注2の文献、第45−48頁の対応する箇
所を参照にされたい。これら物質の分子量は、最高107であることができる。
好適な化合物Bは、例えば独国特許出願公開第4 241 117号および欧州特許出
願公開第580 078号および同第580 079号明細書に記載されているようなビニルア
ミンホモ−およびコポリマーでもある。これらは部分的または完全に加水分解さ
れたポリビニルカルボン酸アミド、好ましくはホルムアミドである。好適なその
ようなコポリマーは、例えば
a)式
式中、R1およびR2はHまたはC1−C6-アルキルを表す、
の5−99モル%のN-ビニルカルボン酸アミド、
b)95−1モル%のモノエチレンで不飽和化された3−8個のC原子を有するカ
ルボン酸および/またはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらのアンモ
ニウム塩、ならびに適当である場合には
c)モノマーa)およびb)と共重合できる、最高30モル%の他のモノエチレン
で不飽和化された化合物、ならびに適当である場合には、
d)分子中に少なくとも2個のエチレンで不飽和化された非−共役二重結合を含
む、最高2モル%の化合物、
の共重合化、そして続いてホルミル基をコポリマー中に共重合されたモノマーか
ら部分的または完全に分離して、アミンまたはアンモニウム基を形成することに
より得られる。
他のビニルアミンコポリマーの例は、ビニルカルボン酸アミドとアクリロニト
リルの部分的または完全に加水分解されたコポリマーであり、アクリロニトリル
含量は、重合されるモノマーに基づき、最高80モル%であることが可能である。
そのようなコポリマーは、例えば独国特許出願公開第4 328 975号明細書に記載
されている。
好適な化合物B)は、例えば独国特許出願公開第4 323 560号明細書に記載さ
れているようなアミン官能性を有するポリビニルアルコールも
含む。これらは好ましくは、ビニル酢酸および重合されるモノマーに基づき1−
25モル%のN-ビニルカルボン酸アミド、好ましくはN-ビニルホルムアミドの部分
的または完全に加水分解されたコポリマーである。
本発明の方法に適するセルロース含有材料は、例えば板紙または厚紙のような
紙または紙−様の材料である。
アニオン性ポリイソシアネートAおよびカチオン性化合物Bを使用するために
、種々の変更方法が可能である。
パルプに使用するために、場合によっては填料を含んでもよい出発の繊維原料
懸濁液は、最初にカチオン性またはカチオン性となり得る化合物Bを、例えば水
溶液または分散水の状態で添加することにより処理できる。アニオン性ポリイソ
シアネートAは、水溶液または懸濁水の状態で直接加えることができる。好適な
態様では、カチオン性またははカチオン性となり得る化合物Bを、最初の工程段
階で、出発の繊維原料中のセルロースの負電荷が完全に、または部分的にのみ埋
め合わされるような量で加える。出発繊維原料の荷電状態は、例えばゼータ電位
膜測定により検査できる。荷電状態を試験するための別の可能性は、繊維原料懸
濁水の水相中の過剰なカチオンおよびアニオン電荷を滴定することを含んで成る
。それほど好ましくはない態様では、2つの工程段階を同時に、例えば添加前に
成分を前混合することにより行うことができる。
この方法を工業的に行うために、2つの工程段階により前処理した出発の繊維
原料懸濁液を、連続的に抄紙機で脱水することにより、周知様式で、紙、板紙ま
たは厚紙に処理する。
直前に記載した2工程段階を含んで成るパルプでの使用に加えて、パルプ中で
第一工程段階を行い、そしてこのように得られた原紙をその表
面上で、アニオン性またはアニオン性になり得るポリイソシアネートAを用いて
、第二工程段階中にサイズプレスして後−処理することも可能である。
特別な態様に従い、市販されている歩留まり剤、脱水助剤または湿潤強化剤が
、特許請求する要件に合うならば、それらをカチオン性化合物として使用するこ
とができる。この利点は価格的に好ましいだけでなく、例えば装飾紙のような、
例えば大変高い湿潤強化処理を受け、そして高い填料含量を有する紙の場合は、
使用する従来の湿潤強化剤の量を下げることができ、しかも例えば填料粒子の凝
集のような大量の湿潤強化剤の使用が原因である影響が除かれるという事実にあ
る。
例えば高度にカチオン性のポリアミンまたはポリアミドアミン/エピクロロヒ
ドリン縮合物Bと、アニオン性ポリイソシアネートAとの組み合わせにより、繊
維原料懸濁水中の電荷状態を大変良好に制御することが可能であり、装飾紙の製
造における填料の歩留まり、および不透明度を最適に調整することが可能となる
。
このように本発明の方法は、例えば装飾紙またはラベル用紙のような特に高い
湿潤強化処理が与えられる紙の製造に適するだけでなく、証券紙または銀行券用
紙のような特別な表面特性を持つ紙にも適する。
カチオン性化合物Bをパルプ中に使用するが、アニオン性ポリイソシアネート
Aは表面に適用する直前に記載した変更方法のように、ポリイソシアネートAは
塗工原紙にも使用できる。この場合、ポリイソシアネートAを原紙上に塗料と一
緒に適用する;このように紙のコーティングで防水性およびウェットピック耐性
に関しても向上する。
澱粉、蛍光増白剤およびサイズ剤のような通例の添加剤も、もちろん
同時に使用できる。
ポリイソシアネートAの分散水を、60分間、好ましくは15分間にわたって繊維
物質に計量しながら供給することが特に好ましい。連続的に生産し、そして抄紙
機のパルプ流中へ分散水を計量しながら供給することが特に有利である。ここで
最適活性を得るためには、濃いパルプの添加が高いパルプ濃度および長い滞留時
間のために好ましい。
本発明の方法は、機械で直ちに良好な湿潤強度の、即使用可能な紙を提供する
。
この湿潤強度および乾燥強度作用は、仕上げた紙を室温で保存することにより
、および/または高温で後−圧縮することにより強化することができる。しかし
より高レベルの湿潤強度は、一般的には従来の湿潤−強化剤を用いるよりも機械
ですでに達成されている。乾燥強度も従来の湿潤強化剤を使用した生成物と比べ
て向上する。
本発明の方法は、製紙工業で通例の処理温度、好ましくは30−70℃で行うこと
ができる。
紙の強度レベルは、出発成分の適切な選択により、所望の様式で調整できる。
本発明の方法は、乾燥強度および防水性を有する紙の生産に適するだけでなく、
油および石油に耐性な紙の生産にも適する。改良された固有歩留まりおよび検出
できるサイズ作用も重要である。部分的な疎水性およびサイジングは、書かれた
り、または印刷されるために改良された能力を与える。
以下の実施例では、割合に関するデータは特に言及しない限り重量により、部
は重量部である。実施例
1.)水−分散性イソシアネート
1.1 水−分散性イソシアネート1(本発明)
1,6-ジイソシアナトヘキサンの幾つかのイソシアネート基を三量化することに
より調製した81.3gのポリイソシアネート(イソシアネート基を含み、本質的に
トリ-(6-イソシアナト-ヘキシル)イソシアヌレートおよびそれらのより高次同族
体を含んで成り、そして20.5%のNCO含量、0.3%未満のモノマー性1,6-ジイソシ
アナトヘキサン含量、および1000mPa.s(25℃)の粘度を有する)を、60℃で一晩
、2-(2-メトキシエトキシ)-エタノールから出発したエチレンオキシドに基づく1
6.7gのポリエーテル(350g/モルの数平均分子量および160mgのKOH/gのヒドロキシ
ル数を有する)を用いて撹拌し、2gのヒドロキシエチルスルホン酸ナトリウム(3
00mlのジメチルアセトアミドに溶解)を加える。反応重量を処理するために、溶
媒を70℃/10ミリバールで水流真空ポンプ下で蒸留し、その後、反応生成物は未
だに10%の溶媒を含んでいる。イソシアネート含量は11.1%であり、そして粘度
は25℃で400mPa.sである。
1.2 水−分散性イソシアネート2(本発明)
82.6gの実施例1.1のポリイソシアネートを、16.9gの実施例1.1のポリエ
ーテルと60℃で反応させ、0.5gの乳酸を加える。15.4%のイソシアネート含量お
よび25℃で2250mPa.sの粘度を有する透明な油状物質が生成する。
1.3 水−分散性イソシアネート3(本発明)
82.2gの実施例1.1のポリイソシアネートを、16.0gの実施例1.1のポリエ
ーテルと60℃で反応させ、1.0gの乳酸を加える。14.3%のイソシアネート含量お
よび25℃で2250mPa.sの粘度を有する透明な油状物質
が生成する。
1.4 水−分散性イソシアネート4(欧州特許出願公開第582 166号対応する 比較例)
1,6-ジイソシアナトヘキサンの幾つかのイソシアネート基を三量化することに
より調製した82.2gのポリイソシアネート(イソシアネート基を含み、本質的に
トリ-(6-イソシアネート-ヘキシル)イソシアネレートおよびそれらのより高次同
族体を含んで成り、そして21.6%のNCO含量、0.3%未満のモノマー性1,6-ジイソ
シアナトヘキサン含量、および3000mPa.s(25℃)の粘度を有する)を、60℃で7
時間、2-(2-メトキシエトキシ)-エタノールから出発したエチレンオキシドに基
づく16.7gのポリエーテル(350g/モルの数平均分子量および160mgのKOH/gのヒド
ロキシル数を有する)と撹拌し、1gのジエチルアミノエタノールを加える。14.4
%のイソシアネート含量および25℃で2708mPa.sの粘度を有する透明な油状物質
が生成する。即使用可能な水-分散性イソシアネートを調製するために、調製し
た80重量%の物質を、20%のプロピレングリコール二酢酸を用いて希釈する。
全ての反応生成物は、水に容易に分散できる、油状の外観の水中で透明な液体
である(スパチュラによりガラスビーカー中で撹拌)。
2.カチオン性ポリマー
2.1 カチオン性ポリマー1
第一級アミノ基を含み、そしてBASF AGから商標名BASOCOLL PR 8546で市販さ
れているポリビニルアミン型のポリマー。使用状態:11%の固体を含んで成る水
溶液。
2.2 カチオン性ポリマー2
独国特許出願公開第3 940 481号明細書、実施例1に記載されているようなジ
シアンジアミドおよびジエチレントリアミンの重縮合生成物。使用状態:45%の
活性物質を含んで成る水溶液。
調製:
277.2部のジシアンジアミドを240部のジエチレングリコールに懸濁し、そして
懸濁液を309部のジエチレントリアミンと混合し、この間に温度が約40−45℃ま
で上昇する。24部の塩化アンモニウムを加え、そして混合物を20分間にわたって
110℃に加熱し、アンモニアが50℃から発生し始める。放出したアンモニアを冷
凍トラップに集める。反応混合物を2時間にわたって連続的に温度を上げながら
150℃に加熱し、そして150℃で60分間撹拌する。アンモニアの発生はほとんど完
全に停止し、そして透明で大変粘性が高いメルトが生成した。反応混合物を約14
0℃に冷却し、そして600部の水を急速に加えると、透明な溶液が形成され、これ
を40−50℃に冷却する。冷却しながら溶液に275部の36.5%塩酸を加えてpHを6.5
−7.0とする。49.5%の固体含量(100℃で3時間、真空中で乾燥する)を有する
1555gの透明な淡い黄色の溶液を得る。119.5gのアンモニアが、冷凍トラップに
集められた。
2.3 カチオン性ポリマー3
Emsland-Starke GmbHから商標名Emcat C3で販売されているカチオン性澱粉。
使用状態:固体として。
2.4 カチオン性ポリマー4
a)2.45kgのジエチレントリアミンを、3.39kgのアジピン酸とメルト状態で縮合
反応に供する。0.84kgの反応水をこの反応により分離する。反応後、全メルトを
5.00kgの水に溶解する。
b)手順a)に従い調製した1.09kgの前縮合物(水溶液)を、3.58kgの水と室温で
混合する。0.18kgのエピクロロヒドリンを同温度で30分間にわたって計り入れ、
そして反応混合物を3時間撹拌する。その後、これを55℃に加熱し、そしてさら
に手順a)に従い調製した0.01kgの前縮合物を計り入れる。100mPasの粘度に達し
た時、反応を0.09kgの硫酸(48%)を加えることにより停止させ、そして水溶液を
ギ酸で2.8のpHとする。
ここで使用した使用状態は、15%の固体を含んで成る水溶液である。
2.5 カチオン性ポリマー5
a)50g/当量の塩基窒素の塩基当量重量および20℃で250mPasの粘度を有する3.
76kgのポリアミン混合物(ポリエチレンポリアミン混合物)を、1.65kgのアジピン
酸とメルト状態の縮合反応に供する。0.41kgの反応水をこの反応により分離する
。反応後、メルトを5.00kgの水に溶解する。
b)手順a)に従い調製した4.68kgの前縮合物(水溶液)を、5.18gの水と室温で混
合する;撹拌しながら0.19kgのジクロロエタンを125℃で密閉反応槽に計り入れ
る。反応後(1−2.5時間の反応時間)、反応槽を止め、冷却した後、生成物の
ガス抜きする。これを100μmのPerlonフィルターで濾過する。
ここで使用した使用状態は、28−29%の固体を含んで成る水溶液である。
2.6 カチオン性ポリマー6
a)2.54kgのジエチレントリアミンを、3.27kgのアジピン酸とメルト状態の縮合
反応に供する。0.81kgの反応水をこの反応により分離する。反応後、全メルトを
5.00kgの水に溶解する。
b)0.31kgのジエチレントリアミンおよび5.72gの水と混合した、手順a)に記載
した3.56kgの前縮合物(水溶液)を、最初に密閉反応槽に125℃で
入れる。次に2.5の章で記載したように、0.41kgのジクロロエタンを撹拌しな
がら計量しながら供給する。反応時間は約3時間である。冷却した後、反応混合
物を止め、そしてガス抜きする。
ここで使用した使用状態は、25%の固体を含んで成る水溶液である。使用例1−7(本発明)および8−15(比較)
セルロース(重量比が80:20のマツ/カバ スルフェート)を、38°SRの叩解度(fr
eeness)に、ビーター中で2.5%のパルプ濃度で叩解する。生成したセルロース懸
濁液の100gの部分を、1000mlの容量に水を用いてガラスビーカー中で希釈する。
以下の表1(セルロースに基づき、使用状態の重量%)に示すカチオン性ポリ
マー量が、磁気棒により撹拌されながら加えられ、そして混合物を10分間撹拌す
る。イソシアネート(セルロースに基づき、活性物質の重量%)を、1%の分散
水状態で加える。セルロース分散物を3分間撹拌する。
その後、単位面積あたり約80g/m2(DIN 54358、パート1に従う)の重量を有す
る紙のシートが、ガラスビーカー中の内容物を用いてシート抄紙機(Rapid-Kothe
n 装置)上で形成される。この紙のシートを50mm Hgの真空中、85℃で8分間乾燥
させ、そして110℃で乾燥キャビネット中でさらに10分間、後-加熱する。
調湿した後、1.5cm幅の5枚の試験片を各紙のシートから切り取り、そして蒸
留水に5分間浸漬する。濡れた片は、直ちにそれらの湿潤破壊荷重について、引
張試験機(DIN 53112 パート2)で試験する。生成された紙の含浸特性を、さら
にドロップ試験で試験する。このために、水滴を紙シート上に適用し、そして水
滴が吸収されるまでの通過時間をス
トップウォッチを用いて測定する。
実施例態様 16−25(本発明による)および26−30(比較)
実施例態様1−15に従いサンプルシートを作成し、そして試験した。繊維物
質懸濁液への添加および測定値を表2にまとめる。
実施例態様 31−46(本発明)
実施例態様1−15に従いサンプルシートを作成し、そして試験した。繊維物
質懸濁液への添加および測定値を表3にまとめる。