【発明の詳細な説明】
発明の名称
メタロプロテアーゼ阻害剤としての
ヒドロキサム酸およびカルボン酸
本出願は1995年4月18日出願の米国特許出願番号08/423,192の一部継続出願
である。この先の出願の開示は参照によって本明細書に加入する。
本発明はアグレカナーゼ(aggrecanase)を含むマトリックスメタロプロティ
ナーゼおよび腫瘍壊死因子(TNF)の生成を阻害する小分子、それらを含有する医
薬製剤、並びに薬剤としてのそれらの使用に関する。
ストロメリシン(MMP-3)および他のメタロプロティナーゼ(MMP)は、細胞外
マトリックスの吸収をもたらす、プロテオグリカンおよびコラーゲンなどの結合
組織の抑制されない破壊において重要であるという証拠が多数ある。これはリウ
マチ性関節炎、骨関節炎、角膜潰瘍、表皮性潰瘍または胃潰瘍;腫瘍の転移また
は浸潤;歯周病および骨疾患のような多くの病的状態の特徴である。通常、これ
らの異化酵素は、MMPと不活性な複合体を形成するα−2−マクログロブリンお
よびTIMP(マトリックスメタロプロティナーゼの組織阻害剤)のような特定の阻
害剤の作用により、それらの合成の段階で、またそれらの細胞外活性の段階でし
っかりと調整される。
骨関節炎およびリウマチ性関節炎(それぞれOAおよびRA)は、軟骨表面の局在
性びらんを特徴とする関節軟骨の破壊性疾患である。例えばOAの患者の大腿骨頭
の関節軟骨はコントロール下で放射性標識スルフェートの取り込みが減少したこ
とが報告されており、このことはOAにおいて軟骨分解の速度は増加するに違いな
いということを示唆している
(MankinらのJ.Bone Joint Surg.52A,424〜434(1970年))。哺乳動物の細胞に
は、4種類のタンパク質分解性酵素;セリン、システィン、アスパラギン酸およ
びメタロプロティナーゼがある。有効な証拠は、メタロプロティナーゼがOAおよ
びRAにおける関節軟骨の細胞外マトリックスの分解の原因であることを支持して
いる。コラゲナーゼおよびストロメリシンの増大した活性がOAの軟骨で見い出さ
れており、その活性は外傷の程度と互いに関連する(MankinらのArthritis Rheum
.21,761〜766(1978年);WoessnerらのArthritis Rheum.26,63〜68(1983年
)および同27,305〜312(1984年))。さらに、アグレカナーゼ(メタロプロティ
ナーゼ酵素活性を有すると新しく確認された)はRAおよびOA患者に存在するプロ
テオグリカンの特定の分解生成物を与えることが確認されている(Lohmander L.
S.らのArthritis Rheum,36,1214〜22(1993年))。
免疫組織化学研究(OkadaらのAnn.Rheum.48,645(1989年))は、RAにおいて
ストロメリシンは滑液ライニング細胞により合成され分泌されることを証明して
いる。また、ストロメリシン染色が病状の組織学的スコアおよびプロテオグリカ
ンの喪失と互いに関連するOA軟骨の90%において、通常より高い濃度のストロメ
リシンが軟骨細胞で検出された(OkadaらのLab Invest.66,680(1992年))。
したがって、ストロメリシンおよび他のマトリックスメタロプロティナーゼ(
MMP-3)は、哺乳動物の軟骨および骨の破壊において主要な酵素であると考えら
れている。このような疾患の病因はMMP阻害剤の投与により有益な方法で軽減で
きると考えられ、多くの化合物が本目的のために提案されている(WahlらのAnn
.Rep.Med.Chem.25,175〜184(1990年)を参照)。
ストロメリシン、コラゲナーゼおよびゼラチナーゼのような結合組織の破壊と
関係があるメタロプロティナーゼの作用を阻害する性質を有する化合物は、その
ような組織破壊と関係がある症状、例えばリウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗鬆
症のような骨減少症、歯周炎、歯肉炎、角膜潰瘍、表皮性潰瘍、胃潰瘍、腫瘍の
転移、浸潤および成長の治療または予防において潜在的に有用である。
腫瘍壊死因子(TNFまたはTNF-a)は初めに細胞が関与する28KD前駆物質として
生成するサイトカインである。それは活性な17KD形態で放出され、生体内の多数
の有害な作用と関係がある。動物または人間に投与されると、それは急性感染お
よびショック状態中に見られるものと似た炎症、熱、心臓血管作用、出血、凝集
をひき起こす。
動物モデルでの研究から、特定の抗体でTNFの作用をブロックすることは、急
性感染、ショック状態、移植片対被移植体反応および自己免疫性疾患において有
益であると証明されている。TNFはまた、ある種の骨髄腫およびリンパ腫のオー
トクリン(autocrine)成長因子であり、これらの腫瘍を有する患者において通
常の造血を阻害するよう作用し得る。
したがって、TNFの生成または作用を阻害する化合物は、多くの炎症、感染、
免疫学的疾患または悪性疾患の治療または予防において潜在的に有用である。こ
れらの病気の例としては、敗血症性ショック、血行力学的ショック、敗血症候群
、虚血後再潅流損傷、マラリア、クローン病、マイコバクテリア感染、髄膜炎、
乾せん、うっ血性心不全、線維症、悪液質、移植組織に対する拒絶反応、ガン、
自己免疫性疾患、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、放射線損傷および酸素過剰
肺胞損傷が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの疾患または症状は過剰のTNF生成、さらにMMPが関与する組織破壊を特
徴とするため、MMPおよびTNF生成を阻害する化合物はこれらのメカニズムと関係
がある疾患または症状の治療または予防において特に有利である。
PCT国際公開No.WO 92/213260はマトリックスメタロプロティナーゼが関与す
る疾患の阻害剤としての一般式
(式中、AAはアミノ酸である)のN−カルボキシアルキルペプチジル化合物を開
示している。
PCT国際公開No.WO 90/05716は一般式
のヒドロキサム酸系コラゲナーゼ阻害剤を開示している。
PCT国際公開No.WO 92/13831はコラゲナーゼ阻害活性を有する一般式
の、関連するヒドロキサム酸を開示している。
PCT国際公開No.WO 94/02446は一般式
の天然アミノ酸誘導体であるメタロプロティナーゼ阻害剤を開示している。
PCT国際公開No.WO 93/09097は、ガン転移抑制剤として有用な、IV型コラゲ
ナーゼに対して阻害活性を有する一般式
のピペラジン酸誘導体を開示している。
OgitaらはJ.Anti.45,1723〜1732(1992年)で、IV型コラゲナーゼの阻害剤
に対するスクリーニングにより同定された、下記の一般式
を有する、構造的に関連する微生物の代謝物質、マトリスタチンの単離を報告し
ている。
欧州特許出願公開No.574,758は一般式
を有するコラゲナーゼ阻害剤としてのヒドロキサム酸誘導体を開示している。
PCT国際公開No.WO 94/00119は下記
のようなメタロプロテアーゼ阻害特性を有するアミノブタン酸化合物を開示して
いる。
本発明の化合物はストロメリシンおよび他のマトリックスメタロプロティナー
ゼ、特にアグレカナーゼの阻害剤として作用し、それにより軟骨の損傷および破
壊を予防する。さらに、本発明の化合物はTNF、炎症性疾患に関与するサイトカ
インの生成を阻害する。本発明のヒドロキサム酸、カルボン酸およびその誘導体
はさらに経口的に生物学的有効性があることがわかった。コラゲナーゼのような
メタロプロティナーゼの阻害剤であると報告された幾つかの化合物は生物学的有
効性が十分ではないため、特に経口投与が望ましい場合、治療剤として有用では
ない。不良な経口活性は、比較的高い分子量、不十分な溶解性、および生体内で
哺乳動物プロテアーゼによる分解を受けやすく一般にヒト血清中で分子を広く結
合させるペプチド結合の存在によるものと考えられている。本
発明のヒドロキサム酸、カルボン酸およびその誘導体はこれに関して著しい利点
を有し、すなわち容易に分解されるペプチド結合を含まず、低分子量であり、そ
して親水性であるがマトリックスメタロプロティナーゼを阻害することができる
。
本発明は新規なヒドロキサム酸、炭素環式酸およびその誘導体、医薬組成物、
並びにアグレカナーゼおよびストロメリシンのようなマトリックスメタロプロテ
ィナーゼを阻害し、腫瘍壊死因子アルファの生成を阻害し、また関節炎および他
の関連する炎症性疾患を治療するためにこれらの新規化合物を使用する方法を提
供する。これらの新規化合物、その医薬的に許容しうる塩またはプロドラッグ形
態は下記の式I
〔式中、Aは-C(R1)C(R1a)CONHOHまたは-CH(R11)C(R9)(R9a)CO2Hであり;
QはCONHR13であり;
R1は0〜3個のR4で置換されたC1〜C4アルキル、
0〜3個のR4で置換されたC2〜C4アルケニル、
0〜3個のR4で置換されたC2〜C4アルキニル、
0〜3個のR18で置換されたC6〜C10アリール、
0〜3個のR4で置換されたC1〜C4アルコキシカルボニル、
0〜3個のR4で置換されたC1〜C4アルキルカルボニル、
N、OまたはSから選択された1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合により0
〜3個のR18で置換されたC3〜C11複素環、または
C3〜C8シクロアルキルから選択され;
R1aはR1、ハロゲン、OR17、NR10R10a、NR8R10a、またはS(O)mR17aから選択さ
れ;
あるいは、R1およびR1aは一緒になって3〜7員の単環式または二環式の炭素
環または複素環を形成し、前記複素環はN、OまたはSから選択された1〜2個
のヘテロ原子を含有し、そして場合により飽和炭素原子上においてケトで置換さ
れ;
R2は0〜2個のR17bで置換されたC1〜C8アルキル、
-O-(C1〜C8アルキル)-R20、
-S-(C1〜C8アルキル)-R20、
-CH2O-(C1〜C8アルキル)-R20、または
-CH2S-(C1〜C8アルキル)-R20から選択され;
R3は水素、または
0〜3個のR4で置換されたC1〜C6アルキルから選択され;
R4は-OR17a、-SOmR17a、-CO2R12、-CONR10R10a、
-NR8R10、-NHC(=NR8)N(R8)R10、
C1〜C4アルキル、
C1〜C4アルキルカルボニル、
0〜2個のR18で置換されたアリール、
ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシで置換されたアリ
ール、
C3〜C8シクロアルキル、または
チエニル、ピリジニル、モルホリニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル
、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピペリジニル、ピリミジ
ニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピロリル、N−メチルピロリ
ル、トリアゾリル、トリアゾリジニル、オキ
サゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリニル、イソキサゾリニル、オキサゾリジ
ニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジ
ニルからなる群より選択され、0〜5個のR19で置換された複素環から選択され
;
m=0〜2であり;
R8は窒素上の置換基であり、水素、
0〜3個のR20で置換されたC1〜C6アルキル、
C1〜C6アルキルカルボニル、
アルコキシカルボニル、
アリールアルコキシカルボニル、
アルキルアミノカルボニル、
アリールスルホニル、
ヘテロアリールアルコキシカルボニル、
シクロアルコキシカルボニル、
ヘテロアリールスルホニル、
アルキルスルホニル、または
シクロアルキルスルホニルから選択され;
R9はハロゲン、
0〜3個のR4で置換されたC1〜C4アルキル、
0〜3個のR4で置換されたC2〜C4アルケニル、
0〜3個のR4で置換されたC2〜C4アルキニル、
0〜3個のR18で置換されたC6〜C10アリール、
N、OまたはSから選択された1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合により0
〜3個のR18で置換されたC5〜C11複素環、または
C3〜C8シクロアルキルから選択され;
R9aはR9、ハロゲン、OR17、NR10R10a、NR8R10a、またはS(O)mR17aから選択さ
れ;
あるいは、R9およびR9aは一緒になって3〜7員の炭素環または複素環を形成
し、前記複素環はN、OまたはSから選択された1〜2個のヘテロ原子を含有し
、そして場合により飽和炭素上においてケトで置換され;
R10は水素、
C1〜C4アルコキシ、または
0〜4個のR4で置換されたC1〜C6アルキルであり;
R10aは水素、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルキルカルボニルから選択され;
あるいはR10およびR10aは結合して−(CH2)4−、−(CH2)5−、-CH2CH2N(R16)CH2
CH2-または-CH2CH2OCH2CH2-を形成し;
R11およびR12は独立してHまたはC1〜C4アルキルであり;
R13は独立してR13aで置換されたC1〜C6アルキルまたはフェニルから選択され
;
R13aはアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アシルアミノ、フ
ェニル、複素環から選択され、R13aがフェニルである場合、それは場合によりア
ミノ、アルコキシ、アルキルアシルまたはヒドロキシで置換され;
R14は水素、メチルまたはエチルから選択され;
R15はHまたはC1〜C4アルキルから選択され;
R16は水素またはメチルから選択され;
R17は水素、
0〜3個のR17aで置換されたC1〜C6アルキル、
0〜3個のR17aで置換されたC1〜C6アルキルカルボニル、
0〜3個のR17aで置換されたC1〜C6アルコキシカルボニル、
0〜3個のR18で置換されたフェノキシカルボニルから選択され;
R17aは水素、
C1〜C4アルキル、
0〜2個のR18で置換されたアリール、
ハロゲン、OH、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシで置換されたアリール、
C3〜C8シクロアルキル、
チエニル、ピリジニル、モルホリニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル
、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピペリジニル、ピリミジ
ニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピロリル、N−メチルピロリ
ル、トリアゾリル、トリアゾリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサ
ゾリニル、イソキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジ
アゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニルからなる群より選択され、0〜
5個のR19で置換された複素環から選択され;
R17bは0〜2個のR18で置換されたアリール、
ハロゲン、OH、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシで置換されたアリール、
C3〜C8シクロアルキル、
チエニル、ピリジニル、モルホリニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル
、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピペリジニル、ピリミジ
ニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピロリル、N−メチルピロリ
ル、トリアゾリル、トリアゾリジニル、オキ
サゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリニル、イソキサゾリニル、オキサゾリジ
ニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジ
ニルからなる群より選択され、0〜5個のR19で置換された複素環から選択され
;
R18は炭素上の置換基である場合、1個以上のフェノキシ、ベンジルオキシ、
ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、
-CO2H、スルホンアミド、-NR10R10aで置換されたC1〜C4アルキル、-NR10R10a、C1
〜C4ヒドロキシアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、C1〜C4ハロ
アルキル、C1〜C4ハロアルコキシ、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4アルキ
ルカルボニルオキシ、C1〜C4アルキルカルボニル、C1〜C4アルキルカルボニルア
ミノ、-S(O)mR11、-NHSO2R11、
場合によりハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ヒドロキシまたは
NR10R10aで置換されたフェニル、
チエニル、ピリジニル、モルホリニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル
、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピペリジニル、ピリミジ
ニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピロリル、N−メチルピロリ
ル、トリアゾリル、トリアゾリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサ
ゾリニル、イソキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジ
アゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニルからなる群より選択され、0〜
5個のR19で置換された複素環から選択され;
あるいは、R18は環上の隣接する炭素に結合して5または6員の縮合環を形成
する3または4炭素鎖であってもよく、前記5または6員環は場合によりハロゲ
ン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ヒドロキシ、
-NR10R10a、飽和炭素原子に結合する場合は=Oまたは=S、硫黄に結合する場
合は=Oで置換され;
R18は窒素上の置換基である場合、1個以上のフェニル、ベンジル、フェネチ
ル、ヒドロキシ、C1〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキ
ル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルメチル、-CH2NR10R10a、-NR1 0
R10a、C2〜C6アルコキシアルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシカ
ルボニル、-CO2H、C1〜C4アルキルカルボニルオキシ、C1〜C4アルキルカルボニ
ルから選択され;
R19は炭素上の置換基である場合、1個以上のフェノキシ、ベンジルオキシ、
ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、
-CO2H、スルホンアミド、-NR10R10aで置換されたC1〜C4アルキル、-NR10R10a、C1
〜C4ヒドロキシアルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、C1〜C4ハロ
アルキル、C1〜C4ハロアルコキシ、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4アルキ
ルカルボニルオキシ、C1〜C4アルキルカルボニル、C1〜C4アルキルカルボニルア
ミノ、-S(O)mR11、-NHSO2R11、
チエニル、ピリジニル、モルホリニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル
、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピペリジニル、ピリミジ
ニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピロリル、N−メチルピロリ
ル、トリアゾリル、トリアゾリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサ
ゾリニル、イソキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジ
アゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニルからなる群より選択される複素
環から選択され;
あるいは、R19は環上の隣接する炭素に結合して5または6員の縮合
環を形成する3または4炭素鎖であってもよく、前記5または6員環は場合によ
りハロゲン、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ヒドロキシ、-NR10R10aで置
換され;
R19は窒素上の置換基である場合、1個以上のフェニル、ベンジル、フェネチ
ル、ヒドロキシ、C1〜C4ヒドロキシアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキ
ル、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6シクロアルキルメチル、-CH2NR10R10a、-NR1 0
R10a、C2〜C6アルコキシアルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシカ
ルボニル、-CO2H、C1〜C4アルキルカルボニルオキシ、C1〜C4アルキルカルボニ
ルから選択され;そして
R20は0〜5個のR18で置換されたアリール、
チエニル、ピリジニル、モルホリニル、フリル、チアゾリル、イソチアゾリル
、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピペリジニル、ピリミジ
ニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリジニル、ピロリル、N−メチルピロリ
ル、トリアゾリル、トリアゾリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサ
ゾリニル、イソキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジ
アゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニルからなる群より選択され、0〜
5個のR19で置換された複素環から選択される〕
により表わされる。
好ましい本発明の化合物は式I(式中、R1は0〜3個のR4で置換されたC1〜C4
アルキルから選択され;
R1aはOR15またはNHR15から選択され;
R2は場合によりR17bで置換されたC2〜C6アルキル、
-O-(C1〜C6アルキル)-R20、
-S-(C1〜C6アルキル)-R20、
-CH2O-(C1〜C5アルキル)-R20、または
-CH2S-(C1〜C5アルキル)-R20から選択され;
R3は水素、または場合によりR4で置換されたC1〜C6アルキルから選択され;
R15はH、またはC1〜C4アルキルから選択され;そして他のすべての変数は上
記で定義された通りである)の化合物である。
より好ましい本発明の化合物は式I(式中、Aは-C(R1)(R1a)CONHOHである)
の化合物である。
特に好ましい本発明の化合物は
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−イ
ソブチルスクシニル)〕−L−フェニルアラニン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−L−フェニルアラニン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−フェニルアラニン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−ヘ
キシルスクシニル)〕−L−フェニルアラニン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−イ
ソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−
2R−エチルフェニルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチル
アミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミ
ド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−ヘ
キシルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−イ
ソブチルスクシニル)〕−L−リシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−ヘ
キシルスクシニル)〕−L−リシン−N1−メチルアミド、
N−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−t−ブチルエステル、
N−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−フェニルアラニン−t−ブチルエステル、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−イ
ソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−S−メチルベンジ
ルアミン、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−S−メチルベンジルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−S−メチルベ
ンジルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−S−メチルベンジルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−t−ロイシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−L−t−ロイシン−N1−メチルアミド、
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−フェネチルアミド
からなる群より選択される。
本発明において、上記の化合物はストロメリシンや同様のマトリックスメタロ
プロティナーゼ、例えばアグレカナーゼ;およびTNFの生成の阻害剤として、ま
たリウマチ性関節炎、骨関節炎および同様の病的状態の治療において有用である
ことが見い出された。
本発明はまた、医薬的にまたは治療的に、有効なまたは許容しうる量の上記式
(I)の化合物を患者に投与することにより骨関節炎およびリウ
マチ性関節炎および他の関連する炎症性疾患を治療する方法を提供する。治療的
に有効な量とは、ストロメリシンや関連するマトリックスメタロプロティナーゼ
、例えばアグレカナーゼ;およびTNFの生成を阻害するのに、あるいは患者の骨
関節炎、リウマチ性関節炎または関連する炎症性疾患の症状を治療するのに有効
な本発明の化合物の量を意味する。
本発明の化合物はまた、1種以上の付加的な治療剤と組み合わせて投与するこ
とができる。本発明の式Iの化合物をこのような付加的な治療剤と組み合わせて
投与することは本化合物および治療剤を単独で使用する場合よりも有効であり、
またそれぞれをより低い投与量で使用してもそうである。
より低い投与量は副作用の可能性を最小限にし、安全性の範囲を広げる。
「治療的に有効な量」とは、細胞または哺乳動物に単独でまたは付加的な治療
剤と組み合わせて投与した時に、ストロメリシンを阻害して炎症性疾患の症状ま
たは進行を予防または改善するのに有効な式Iの化合物の量を意味する。
「組み合わせて投与する」または「組み合わせ療法」とは、治療する哺乳動物
に式Iの化合物および1種以上の付加的な治療剤を同時に投与することを意味す
る。組み合わせて投与する場合、各成分は同時に、または異なる時点で順を追っ
て継続的に投与することができる。したがって、各成分は別々ではあるが十分に
接近した時間に投与して所望の治療効果を得ることができる。
本明細書で開示した化合物は不斉中心を有することもある。特に断りがなけれ
ば、すべてのキラルな形態、ジアステレオマー形態およびラセミ形態は本発明に
含まれる。オレフィン、C=N二重結合などの幾何異
性体もまた、本明細書で開示した化合物に多く存在し、このような安定な異性体
はすべて本発明に包含される。本発明の化合物は不斉置換された炭素原子を含有
し、光学的に活性な形態またはラセミ形態で単離することができる。光学的に活
性な出発物質から、例えばラセミ形態の分割または合成により光学的に活性な形
態を製造する方法は当該技術分野でよく知られている。特に立体化学または異性
体が表示されていなければ、構造式のすべてのキラルな形態、ジアステレオマー
形態およびラセミ形態、並びにすべての幾何異性体を包含する。
何れかの変数(例えばR1〜R20、R10a、n、m、z、xなど)が何れかの構成
部分または式に2回以上存在する場合、それぞれの存在におけるその定義は他の
すべての存在におけるその定義と互いに独立している。したがって、例えば、あ
る基が「0〜3個のR17で置換された」と示されている場合、この基は場合によ
り3個までのR17で置換することができ、それぞれの存在におけるR17は、定義さ
れた可能なR17のリストから互いに独立して選択される。
置換基との結合が環中の2個の原子を連結する結合に交差するよう示されてい
る場合、このような置換基は環上の何れかの原子と結合しうる。
ある置換基が原子を介して式Iの化合物の残基と結合するにあたりこの原子を
表示することなくこのような置換基が列挙されている場合、このような置換基の
何れかの原子を介して結合しうる。例えば、置換基がピペラジニル、ピペリジニ
ルまたはテトラゾリルである場合、特に断りがなければ、前記ピペラジニル、ピ
ペリジニル、テトラゾリル基はこのようなピペラジニル、ピペリジニル、テトラ
ゾリル基の何れかの原子を介して式Iの化合物の残基と結合しうる。
置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化
合物をもたらす場合のみ許容される。本明細書において、「安定な化合物」また
は「安定な構造」とは反応混合物から使用可能な純度で単離し、有効な治療剤に
製剤化する工程の間存在し続ける程十分耐久性がある化合物を意味する。
本明細書で使用される「置換された」なる用語は表示した原子上の1個以上の
水素が表示したグループから選択された基で置き換えられることを意味するが、
但し表示した原子の原子価数は正規の原子価数を越えず、その置換は安定な化合
物をもたらす。置換基がケト(すなわち=O)である場合、その原子上の2個の
水素が置き換えられる。
本明細書において、「アルキル」は特定の数の炭素原子を有する分枝状および
直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基(例えば、「C1〜C10」は1〜10個の炭素原子を
有するアルキルを意味する)を包含し;「ハロアルキル」は1個以上のハロゲン
で置換された、特定の数の炭素原子を有する分枝状および直鎖状の飽和脂肪族炭
化水素基(例えば-CvFwであり、ここでv=1〜3であり、そしてw=1〜(2
v+1)である)を包含し;「アルコキシ」は酸素ブリッジを通して結合される
、表示した数の炭素原子のアルキル基を意味し;「シクロアルキル」は単環式、
二環式または多環式環系を含む飽和環基、例えばシクロプロピル、シクロブチル
、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびア
ダマンチルを包含し;そして「ビシクロアルキル」は飽和二環式環基、例えば〔
3.3.0〕ビシクロオクタン、〔4.3.0〕ビシクロノナン、〔4.4.0〕ビシクロデカ
ン(デカリン)、〔2.2.2〕ビシクロオクタンなどを包含する。「アルケニル」
は主鎖に沿って何れかの安定な位置に存在する1個以上の不飽和炭素−炭素結合
を有する直鎖状または分枝状の
炭化水素鎖、例えばエテニル、プロペニルなどを包含し;そして「アルキニル」
は主鎖に沿って何れかの安定な位置に存在する1個以上の炭素−炭素三重結合を
有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖、例えばエチニル、プロピニルなどを包
含する。
「アルキルカルボニル」は表示した位置で化合物の残基にカルボニル基を通し
て結合される、表示した数の炭素原子のアルキル基を包含する。「アルキルカル
ボニルアミノ」は表示した位置で化合物の残基に結合されるアミノブリッジにカ
ルボニル基を通して結合された、表示した数の炭素原子のアルキル基を包含する
。「アルキルカルボニルオキシ」は表示した位置で化合物の残基に酸素原子を通
して結合されるカルボニル基に結合された、表示した数の炭素原子のアルキル基
を包含する。
「アルキレン」、「アルケニレン」、「フェニレン」などの用語は、それぞれ
式Iの構造式の残基に2つの結合により連結されるアルキル、アルケニルおよび
フェニル基を意味する。本明細書において、このような「アルキレン」、「アル
ケニレン」、「フェニレン」などは選択的かつ等価的に「−(アルキル)−」、
「−(アルケニル)−」および「−(フェニル)−」などと示される。
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロ
モおよびヨードを意味し;「対イオン」は小さい負電荷の化学種、例えばクロラ
イド、ブロミド、ヒドロキシド、アセテート、スルフェートなどを示すために使
用される。
本明細書において、「アリール」または「芳香族残基」はフェニルまたはナフ
チルを意味し;「アリールアルキル」なる用語はアルキルブリッジを通して結合
されるアリール基を意味する。
本明細書において、「炭素環」または「炭素環式残基」または「炭素
環式環系」は、飽和、部分的に不飽和または芳香族の安定な3〜7員の単環式ま
たは二環式、7〜14員の二環式または三環式、あるいは26員までの多環式炭素環
を意味する。このような炭素環の例としてはシクロプロピル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル
またはテトラヒドロナフチル(テトラリン)が挙げられるが、これらに限定され
ない。
本明細書において、「複素環」、「ヘテロアリール」または「複素環式」なる
用語は、飽和、部分的に不飽和または芳香族の安定な5〜7員の単環式または二
環式、7〜10員の二環式複素環式環を意味し、それは炭素原子とそれぞれ独立し
てN、OおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子からなり、窒
素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化され、窒素は場合により四級化され、
そして上記で定義された複素環式環の何れかがベンゼン環と縮合された二環式基
を含む。複素環式環は安定な構造をもたらす何れかのヘテロ原子または炭素原子
でそのペンダント基に結合されうる。ここに記載した複素環式環は得られる化合
物が安定ならば、炭素または窒素原子上で置換されうる。このような複素環の例
としてはピリジル(ピリジニル)、ピリミジニル、フラニル(フリル)、チアゾ
リル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾ
フラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソ
キノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジ
ニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキ
ノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロ
イソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,
6H−1,5,2−ジチアジニル、チオフェニル、チアントレニル、ピラニ
ル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−
ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾ
リル、オキサゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、
インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、1H−インダソ
リル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリニル、キノリニル、フタラジニ
ル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジ
ニル、4aH−カルバゾール、カルバゾール、β−カルボリニル、フェナントリジ
ニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェ
ナルサジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマ
ニル、クロマニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリ
ニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヘキサヒ
ドロピリダジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホ
リニルまたはオキサゾリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。例えば
、上記の複素環を含有する縮合環およびスピロ化合物もまた含まれる。
本明細書において、「アミノ酸」なる用語は塩基性アミノ基および酸性カルボ
キシル基を含有する有機化合物を意味する。この用語には、天然アミノ酸、修飾
アミノ酸、例外のアミノ酸、および生物学的に遊離形態または複合形態で存在す
ると知られているが、通常はタンパク質中に存在しないアミノ酸が含まれる。こ
の用語には、例えばRobertsおよびVellaccioの「ペプチド」,5;342-429(1983
年)(その教示は参考文献として本明細書に組み込まれる)に開示されているよう
な修飾アミノ酸および例外のアミノ酸が含まれる。本発明を実施するのに使用で
きる修飾アミノ酸または例外のアミノ酸の例としてはD−アミノ酸、ヒドロキ
シリシン、4−ヒドロキシプロリン、N−Cbz−保護アミノ酸、オルニチン、2,4
−ジアミノ酪酸、ホモアルギニン、ノルロイシン、N−メチルアミノ酪酸、ナフ
チルアラニン、フェニルグリシン、β−フェニルプロリン、t−ロイシン、4−
アミノシクロヘキシルアラニン、N−メチルノルロイシン、3,4−デヒドロプロ
リン、N,N−ジメチルアミノグリシン、N−メチルアミノグリシン、4−アミノ
ピペリジン−4−カルボン酸、6−アミノカプロン酸、トランス−4−(アミノ
メチル)−シクロヘキサンカルボン酸、2−、3−および4−(アミノメチル)−
安息香酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、1−アミノシクロプロパンカ
ルボン酸、および2−ベンジル−5−アミノペンタン酸が挙げられるが、これら
に限定されない。
本明細書において、「アミノ酸残基」なる用語はペプチド中に存在する(上記
で定義されたような)アミノ酸の部分を意味する。
本明細書において、「ペプチド」なる用語はペプチド結合により結合される(
上記で定義されたような)2個以上のアミノ酸からなる化合物を意味する。「ペ
プチド」なる用語はまた、ペプチドおよび非ペプチド成分、例えば擬似ペプチド
またはペプチド模擬残基、あるいは他の非アミノ酸成分を含有する化合物を包含
する。このようなペプチドおよび非ペプチド成分を含有する化合物は「ペプチド
類似体」と表示することもできる。
「ペプチド結合」なる用語は、第1のアミノ酸のカルボキシル基と第2のアミ
ノ酸のアミノ基の間で水分子が失なわれることにより形成するアミド共有結合を
意味する。
本明細書において、「医薬的に許容しうる塩」は、式Iの親化合物が式Iの化
合物の酸または塩基塩を製造することにより修飾される開示化
合物の誘導体を意味する。医薬的に許容しうる塩の例としては、アミンのような
塩基性残基の鉱酸または有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリまた
は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
「プロドラッグ」は、このプロドラッグが哺乳動物の患者に投与された時に、
生体内で式Iの活性な親ドラッグを放出する共有結合担体を意味する。式Iの化
合物のプロドラッグは、その修飾基がルーチン操作でまたは生体内で分解されて
親化合物になるような方法で、本化合物に存在する官能基を修飾することにより
製造される。プロドラッグは、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリルまたはカ
ルボキシル基が哺乳動物の患者に投与された時にそれぞれ分解して遊離のヒドロ
キシル、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシル基を生成する何れかの基に
結合された式Iの化合物を包含する。プロドラッグの例としては、式Iの化合物
のアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート
誘導体、式Iの化合物のアルコールおよびフェノール官能基のホスフェートエス
テル、ジメチルグリシンエステル、アミノアルキルベンジルエステル、アミノア
ルキルエステルおよびカルボキシアルキルエステルなどが挙げられるが、これら
に限定されない。
式Iの化合物の医薬的に許容しうる塩は、例えば非毒性の無機または有機酸か
ら生成した式Iの化合物の慣用の非毒性塩または第四アンモニウム塩を包含する
。例えば、このような慣用の非毒性塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミ
ン酸、リン酸、硝酸などのような無機酸から誘導されたもの;および酢酸、プロ
ピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、
クエン酸、アスコルビン酸、パモエ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フ
ェニル酢酸、グルタ
ミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フ
マル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタン二スルホン酸、シュウ
酸、イセチオン酸などのような有機酸から製造された塩を包含する。
本発明の医薬的に許容しうる塩は、慣用の化学方法により塩基性または酸性部
分を含有する式Iの化合物から合成することができる。一般に、塩は遊離塩基ま
たは酸を適当な溶媒または様々な組み合わせの溶媒中で、理論量のまたは過剰の
、所望の塩を生成する無機または有機酸、あるいは塩基と反応させることにより
製造される。
式Iの酸の医薬的に許容しうる塩は、適当な量の塩基、例えばナトリウム、カ
リウム、リチウム、カルシウムまたはマグネシウムのようなアルカリまたはアル
カリ土類金属水酸化物;あるいはアミンのような有機塩基、例えばジベンジルエ
チレンジアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ベンジルアミン
など;あるいは水酸化テトラメチルアンモニウムなどのような第四アンモニウム
水酸化物を用いて得られる。
上記したように、本発明の化合物の医薬的に許容しうる塩は、これらの化合物
の遊離酸または塩形態をそれぞれ理論量の適当な塩基または酸と、水、有機溶媒
またはこれらの混合物中で反応させることにより製造することができ、一般にエ
ーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのよ
うな非水性溶媒が好ましい。適当な塩はReming ton's Pharmaceutical Sciences
,第17版、第1,418頁、マック出版社(1985年)に記載されており、その開示は
参考文献として本明細書に組み込まれる。
合成
本発明の化合物は有機合成分野の当業者によく知られている幾つかの方法によ
り製造することができる。本発明の化合物は合成有機化学の分野で知られている
合成法または当業者により理解されるようなその変形法と一緒に、下記の方法を
使用して合成することができる。好ましい方法には下記のものが含まれるが、こ
れらに限定されない。ここで引用した文献はすべて、参考文献として本明細書に
組み込まれる。
式Iの新規化合物は下記の反応および方法を使用して製造することができる。
反応は使用する試薬および物質に対して適当な溶媒中で行われ、また変換を実施
するのに適している。さらに、下記の合成法の記載において、溶媒の選択、反応
雰囲気、反応温度、実験期間および後処理の手順などの提案する反応条件はすべ
て、当業者により容易に理解される、その反応にとって標準条件であるように選
択される。遊離体分子の様々な部分に存在する官能基が提案する試薬および反応
に適合しなければならないことは、有機合成分野の当業者により理解される。所
定の部類に入る式Iの化合物がすべて、記載する幾つかの方法で必要とされる反
応条件に適合するとは限らない。反応条件に適合する置換基に対するこのような
制限は当業者にとって明白であり、代替法を使用しなければならない。
式I(式中、AはHONHCOC(R1a)(R1)であり;R1、R2、R3、R14およびQは上記で
定義された通りであり;そしてR1aはヒドロキシである)の化合物はスキーム1に
従って式(II)
(式中、Rはエステル保護基であり、そしてR1およびR2は上記の式Iで定義され
た通りである)の酸を適当に置換されたアミンと縮合させてアミド結合を形成す
ることにより製造される。
縮合は有機合成分野の当業者に知られているアミド結合を形成するための多く
の方法の何れかを使用して行われる。これらの方法には酸(II)の対応する酸塩化
物への変換、あるいは標準的なカップリング法、例えばアジド法、混合無水カル
ボン酸(イソブチルクロロホルメート)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシル
カルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、または水溶性カルボジイミド
)法、活性エステル(p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イ
ミドエステル)法、カルボニルジイミダゾール法、BOP-Clのようなリン試薬の使
用が含まれるが、これらに限定されない。これらの方法の幾つか(特にカルボジ
イミド法)は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを加えることにより促進される
。有機合成分野の当業者によく知られている方法を使用してエステル保護基を除
去し、得られる酸を例えばBOP-Clで活性化し、O−ベン
ジルヒドロキシアミンと反応させてベンジル−保護ヒドロキサミン酸を得る。接
触水添分解により標的のヒドロキサミン酸を得る。
式(II)の酸はスキーム2に示した経路により製造される。適当に置換されたカ
ルボン酸(VIII)をEvansの方法(M.D.Ennis,Ph.D.Thesis;Cal Tech,1983年)
によりキラルなオキサゾリジノン(IX)に変換する。強塩基で脱プロトン化し、α
−ケトエステルまたは式(X)で処理して中間体(XI)を生成する。キラルな補助物
質をアルカリ性過酸化水素で加水分解して酸(II)を得ることができる。
アミノ酸誘導体(III)
は、適当なN−保護アミノ酸からアミノ酸アミドを製造するための当業
者に知られている方法を使用して、その相当するアミノ酸から製造される。本発
明で使用される例外のアミノ酸は当業者によく知られている標準法(「ペプチド
:分析、合成、生物学」、第5巻、第342〜449頁、アカデミックプレス(1981年
))により合成することができる。N−アルキルアミノ酸はCheungらのCan.J.
Chem.55,906(1977年)およびFreidingerらのJ.Org.Chem.48,77(1982年)
に記載の方法を使用して製造することができ、それらは参考文献として明細書に
組み込まれる。
構成アミノ酸の官能基は望ましくない結合が形成するのを回避するため、カッ
プリング反応の間保護する必要がある。使用することのできる保護基はGreeneの
「有機合成の保護基」、John Wiley & Sons(1981年)、および「ペプチド:分析
、合成、生物学」、第3巻、アカデミックプレス(1981年)に記載されており、
その開示は参考文献として本明細書に組み込まれる。
さらに、式Iの化合物はスキーム3に記載のようにして式XIIのエステルから
製造することができる。XIIのトリフレートXIIIでアルキル化してジエステルを
得る。水添分解によりベンジルエステルを選択的に除去して式IIaの酸を得、上
記の方法を使用して式IIIのアミノ酸誘導体と縮合させて中間体のエステルIVa
を得る。上記のようにしてエステル加水分解し、ヒドロキサミン酸に変換して標
的化合物Ibを得る。
Aが-CH(R11)C(R9a)(R9)CO2Hである式Iの化合物はスキーム4に記載のように
して酸(XV)
をTBTUのような活性化剤の存在下でアミノ酸誘導体IIIと縮合させ、その後エス
テル保護基を加水分解することにより製造される。
式XVの酸は当該技術分野で知られている方法により、または例えばR2=ArCH2
CH2-の場合はスキーム5に示されるようにして製造することができる。
本発明の第2の見地によれば、式Iの化合物(表示した条件付き)の医薬製剤
はそれらの軟骨保護剤としての作用により関節炎の治療において有用であり、経
口的に利用可能な薬剤である。
次の実施例により本発明の化合物およびそれらの製造をさらに詳しく説明する
が、本発明はこれらに限定されない。
実施例
本実施例において使用される用語は次のように定義される:〔1×〕は1回、
「2×」は2回、「3×」は3回、「bs」は広い一重項、「℃」はセ氏温度、「
Cbz」はベンジルオキシカルボニル、「d」は二重項、「dd」は二重の二重項、
「eq」は当量、「g」はグラム、「mg」はミリグラム、「ml」はミリリットル、
「H」は水素、「1H」はプロトン、「hr」は時間、「m」は多重項、「M」はモ
ル、「min」は分、「mp」は融点範囲、「MHz」はメガヘルツ、「MS」は質量スペ
クトル、「nmr」または「NMR」は核磁気共鳴分光分析法、「t」は三重項、「tl
c」は薄層クロマトグラフィー、「v/v」は容量対容量比を意味する。「α」、「
β」、「R」および「S」は当業者によく知られている立体化学表示である。
実施例 1
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−イ
ソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミド
A.N−(4−メチルペンタノイル)−4S−フェニルメチル−2−オキサゾリ
ジノン
本化合物はEP 0498 665に記載の方法に従って製造した。
B.3−〔2R−イソブチル−3−ヒドロキシ−3−(メトキシカルボニル)ブ
タノイル〕−4S−フェニルメチル−2−オキサゾリジノン
乾燥テトラヒドロフラン(600ml)中における実施例1、パートAの化合物(32.
95g、0.120モル)の溶液を−78℃に冷却し、反応の内部温度を−70℃以下に維
持しながら25分間にわたってリチウムジイソプロピルアミド(2M、65.8ml、ア
ルドリッチ)で処理した。ピルビン酸メチル(13.44g、0.133モル)を15分間に
わたって加えた。得られた反応混合物をさらに2時間撹拌し、その間に温度が−
20℃まで上昇した。過剰の飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応混合物を急
冷し、濃縮し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、5%クエ
ン酸およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。得られた黄色の油
状物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(10%酢酸エチル−ヘキサン)により処
理して所望の生成物を単独のジアステレオマー(9.7g、22%)として得た。MS
m/e 364(M+H)+。
C.2R−イソブチル−3−ヒドロキシ−3−(メトキシカルボニル)ブタン酸
250mlのテトラヒドロフラン/水(4:1)に溶解した実施例1、パートBの
化合物(9.73g、26.77ミリモル)の冷却溶液(0℃)に、過酸化水素(30%溶液
、3.64g、0.107モル)、次に水酸化リチウム水溶液(3.6M溶液、11.15ml、40.16
ミリモル)を加えた。溶液を0℃で2時間撹拌し、亜硫酸ナトリウム(13.49g、
0.107モル)で処理した。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、得られた水相
を塩化メチレンで洗浄した。水相を冷却し、冷濃HClでpH4.0まで酸性にした。溶
液を塩化メチレンで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させて粗
生成物(1.7g、30%)を得た。MS m/e 219(M+H)+。
D.N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−メトキシカルボニル)−2
R−イソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロ
シン−N1−メチルアミド
実施例1、パートCの化合物(1.2g、5.50ミリモル)をN,N−ジメチルホルム
アミド(50ml)に溶解し、HBTU(2.29g、6.05ミリモル)、N−メチルモルホリン(2
.11ml、19.24ミリモル)およびO−メチル−L−チロシン N−メチルアミドで
処理した。得られた反応混合物を周囲温度で3日間撹拌し、減圧下で濃縮し、塩
化メチレンで希釈し、水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥
し、濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィー(5%MeOH-CH2Cl2)により処理
して生成物(0.68g、30%)を得た。MS m/e 409(M+H)+。
E.N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−カルボキシ)−2R−イソ
ブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミド
実施例1、パートDの化合物(320mg、0.783ミリモル)をテトラヒドロフラン
/水の混合物(12ml、4:1)に溶解し、0℃まで冷却した。溶液を水酸化リチ
ウム水溶液(3.6M、0.246ml、0.862ミリモル)で処理し、2時間撹拌した。テト
ラヒドロフランを減圧下で除去し、得られた水相を酢酸エチルで洗浄し、0℃ま
で冷却し、冷濃HClでpH3.5〜4.0まで酸性にした。水溶液を酢酸エチルで抽出し
た。有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥して粗生成物を得た。シリカゲル
上のクロマトグラフィー(5%、MeOH-CH2Cl2)により処理して所望の酸(95mg、
31%)を得た。MS m/e 395(M+H)+。
F.N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ベンジルオキシアミノカル
ボニル)−2R−イソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1
−メチルアミド
実施例1、パートEの化合物(309mg、0.783ミリモル)をテトラヒド
ロフランおよび水(4:1、15ml)に溶解し、0℃まで冷却し、EDCI(300mg、1.
57ミリモル)およびO−ベンジル−ヒドロキシルアミン塩酸塩(187mg、1.18ミリ
モル)で処理した。得られた溶液を周囲温度で18時間撹拌し、減圧下で濃縮した
。粗製混合物を酢酸エチルで希釈し、5%クエン酸、50%重炭酸ナトリウム、ブ
ラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィー
(0.5%、MeOH:CH2Cl2)により処理して生成物(75mg、20%)を得た。MS m/e
500(M+H)+。
G.N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R
−イソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミド
実施例1、パートFの化合物(50mg、0.10ミリモル)を酢酸エチル(5ml)に溶
解し、10%Pd/C(10mg)を加えた。溶液を1気圧の水素下で18時間撹拌した。不
均質混合物を微孔質フィルターに通して濾過し、蒸発乾固して表題化合物(35mg
、89%)を得た。MS m/e 410(M+H)+。
実施例 38
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 470(M+H)+。
実施例 45
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−メチルアミ
ド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 472.5(M+H)+。
実施例 50
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−メチルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 423.5(M+H)+。
実施例 85
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−t−ロイシン−N1−メチルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 408.5(M+H)+。
実施例 86
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−L−t−ロイシン−N1−メチルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 378.5(M+H)+。
実施例 87
N−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−t−ブチルエステル
方法1と同様にして製造した。MS m/e 466.6(M+H)+。
実施例 89
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−イ
ソブチルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−S−メチルベンジ
ルアミン
方法1と同様にして製造した。MS m/e 500.6(M+H)+。
実施例 90
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−フ
ェネチルスクシニル)〕−L−リシン−N1−S−メチルベンジルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 499.6(M+H)+。
実施例 91
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−エ
チルフェニルスクシニル)〕−4−メトキシ−L−チロシン−N1−S−メチルベ
ンジルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 548.7(M+H)+。
実施例 93
N2−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−リシン−N1−フェネチルアミド
方法1と同様にして製造した。MS m/e 513.4(M+H)+。
実施例 94
N−〔3−ヒドロキシ,3−メチル−4−(N−ヒドロキシアミノ)−2R−プ
ロピルフェニルスクシニル)〕−L−フェニルアラニン−t−ブチルエステル
方法1と同様にして製造した。MS m/e 513.4(M+H)+。
上記の方法および有機合成分野の当業者に知られている他の方法を使用して、
下記の表1〜3に示した他の化合物を製造することができる。
実用性
式Iの化合物はマトリックスメタロプロティナーゼおよび/またはTNF阻害活
性を有する。本発明の化合物のMMP-3阻害活性はMMP-3活性試験、例えばMMP-3活
性の阻害物質を評価する下記の試験を使用して証明される。本発明の化合物は例
えば下記の生体外試験を使用して証明されるように、生体内で生物学的利用可能
性がある。式Iの化合物は例えば下記の急性軟骨退化の動物モデルを使用して証
明されるように、生体内で軟骨退化を抑制/阻害する能力を有する。
本発明の化合物はまた、潜在的薬剤のMMP-3を阻害する能力を測定する場合に
基準および試薬として有用である。これらは本発明の化合物を含有する商用キッ
トとして提供される。
マトリックスメタロプロティナーゼはまた、ガン細胞の循環系への浸潤とその
後の他の組織への侵入を可能にして腫瘍の転移をひき起こす基底膜の退化と関係
があるとされている(Stetler-Stevensonの「ガンおよび転移の再調査」,9,28
9〜303(1990年))。本発明の化合物はこのような転移を阻害することにより浸潤
性腫瘍の予防および治療に使用できる。
本発明の化合物はまた、骨粗鬆症の患者に起こるマトリックスメタロプロティ
ナーゼが関与する軟骨および骨の破壊を伴う骨減少症の予防および治療に使用で
きる。
TNFおよび/またはMMPの生成または作用を阻害する化合物は、潜在的に様々な
炎症性、感染性、免疫性または悪性疾患の治療または予防において有用である。
これらの例としては炎症、熱、心臓血管効果、出血、凝集および急性相反応、急
性感染、敗血症性ショック、血行動態ショック、敗血症、虚血後再潅流損傷、マ
ラリア、クローン病、マイコバクテ
リア感染、髄膜炎、乾癬、歯周炎、歯肉炎、うっ血性心不全、線維症性疾患、悪
液質、食欲不振、移植拒絶反応、ガン、角膜潰瘍、2次転移による腫瘍の浸潤、
自己免疫性疾患、骨関節炎、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、放射線傷害およ
び酸素過剰歯槽損傷が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の化合物は例えば下記のマウスにおけるTNF誘導試験を使用して、リポ
多糖類で刺激したマウスのTNF生成を阻害することが証明されている。
ここで使用される「μg」はミクログラム、「mg」はミリグラム、「g」はグ
ラム、「μl」はミクロリットル、「ml」はミリリットル、「l」はリットル、
「nM」はナノモル、「μM」はミクロモル、「mM」はミリモル、「M」はモル、
そして「nm」はナノメートルを意味する。「シグマ」はシグマ−アルドリッチ社
を意味する。
化合物はMMP-3の阻害に関して約1mM未満のIC50またはKi値を有する場合、活
性であるとみなされる。
ビスアセチル化物質P/MMP-3 ケイ光試験
潜在的なMMP-3阻害物質を見い出すための高い処理能力の酵素試験を開発した
。この試験では、もっぱらグルタミン−フェニルアラニン結合においてMMP-3に
より分解されるペプチド基質の誘導体、物質P(Arg-Pro-Lys-Pro-Gln-Gln-Phe-P
he-Gly-Leu-Met)が使用される。この試験を高い処理量のスクリーニングに適合
させるために、本発明者らは生成物の検出についてケイ光分析法を開発した。加
水分解生成物、物質P7〜11は、フルオレサミン、このフラグメントの第1アミ
ンと反応するケイ光助剤化合物と反応させることにより測定される。物質P基質
は無傷の基質の第1アミンをブロックするためにビスアセチル化される。
したがって、得られるケイ光はMMP-3での分解による生成物(7〜11ペプチド)
の生成を示し、既知濃度の7〜11ペプチドを用いて作成された標準曲線を使用し
て定量される。ビスアセチル化基質を使用する動力学的研究はMMP-3について次
のパラメーターを与えた:Km=769+/−52μM;Vmax=0.090+/−0.003ナノモ
ルの7〜11ペプチド/分。
MMP-3の阻害を評価するために、化合物を100%メタノール中、10mMの濃度で調
製し、さらに希釈して20倍モルのストックとした。各薬剤の5ミクロリットルの
ストックを67.5mMのトリシン(pH7.5)、10mMのCaCl2、40mMのNaClおよび0.005
%ブリジ中、20nMの截形(truncated)MMP-3の存在下で試験液に加え、最終容量を
100ミクロリットルとした。ビスアセチル化物質P(1000mM)を加え、試験を25
℃で1時間行った。反応混合物をEDTA(20mM)で急冷し、生成物をフルオレサミ
ン(0.075mg/ml)の添加後、ケイ光分析法により検出した。各試料のケイ光を
物質P7〜11標準曲線を使用して生成物の量に変換した。これらの条件下で、本
試験は10ピコモルまでのMMP-3と比例関係にある。MMP-3の阻害は化合物の存在下
および不在下で生成した生成物の量を比較することにより測定した。
選択された本発明の化合物を上記の試験法で試験した結果、活性を有すること
がわかった。
MMP-3阻害物質の生物学的利用可能性についての生体外試験
存在する阻害物質の量を測定するために、化合物を静脈内的、腹腔内的または
経口的に投与した後、異なる時間にラットから心臓穿刺により血液を採取した。
血漿を95%メタノール中の10%TCAで抽出し、氷上に10分間置いた。次に、血漿
をエッペンドルフ微小遠心機において14,000rpmで15分間遠心した。上澄みを取
り出し、再び遠心し、得られる上澄
みを50mMのトリシン(pH8.5)で1:10に希釈した。試料のpHを7.5に調整し、次に
MMP-3物質Pケイ光酵素試験で試験した。まだ実験に使用されたことのないラッ
トから同様の方法により血漿を抽出し、陰性のコントロールとして使用した。さ
らに、この血漿を使用して本化合物のスパイク波形血漿曲線を作成した。既知濃
度の化合物をコントロールの血漿に加え、その血漿を同様の方法により抽出し、
MMP-3酵素試験で試験した。MMP-3試験の阻害パーセントとスパイクした試料中に
加えた薬剤の濃度との関係を示す標準曲線を作成した。投与したラットから採取
した血漿の存在下での阻害パーセントに基づいて、標準曲線を使用して化合物の
濃度を測定した。
急性軟骨退化のラットモデル
生体内モデルとして急性軟骨退化のラットを使用して、軟骨退化の誘導後の滑
液中のプロテオグリカン含量を測定した。実験動物群は対照ラットと比べてそれ
らの滑液中のプロテオグリカン含量が増加していた。このモデルにおいて、化合
物の活性を示す判定基準は、化合物の投与後にラットの滑液中のプロテオグリカ
ン含量が増加することにより判断されるように、軟骨退化の進行を阻害する能力
である。インドメタシン、非ステロイド系抗炎症剤はこのモデルにおいて不活性
であ。インドメタシン投与は実験動物の軟骨退化の進行を阻害しない。対比して
、本発明の化合物の投与はこのモデルにおいて軟骨退化の進行を有意に阻害した
。
マウスにおけるTNF誘導
試験化合物をゼロ時において腹腔内的または経口的にマウスに投与する。化合
物の投与直後、マウスに20mgのD−ガラクトサミンおよび10μgのリポ多糖を腹
腔内注射する。1時間後、動物に麻酔をかけ、心臓
穿刺により血液を採取した。血漿をマウスのTNFに対して特異的なELISAによりTN
F量について評価した。
本発明の代表的な化合物をマウスに投与することにより、上記の試験において
1時間後の血漿のTNF量が抑制される。
投与および製剤化
本発明の化合物は当該技術分野で知られている医薬的に許容しうる投与形態を
使用して経口的に投与することができる。活性成分は乾燥粉末、顆粒剤、錠剤ま
たはカプセル剤のような固体状投与形態、あるいはシロップ剤または水性懸濁液
のような液状投与形態で供給することができる。活性成分は単独で投与すること
ができるが、一般には薬用担体と一緒に投与される。薬用投与形態に関する有用
な文献はRemington's Pharmaceutical Sciences(マック出版社)である。
本発明の化合物は錠剤、カプセル剤(それぞれ持効性製剤を含む)、丸剤、粉
末、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤および乳剤のような
経口投与形態で投与することができる。さらに、これらは製薬分野の当業者によ
く知られている投与形態を使用して静脈内(濃縮塊または浸剤)、腹腔内、皮下
または筋肉内的に投与することもできる。抗炎症剤および抗関節炎剤として、有
効であるが非毒性の量の所望化合物を使用することができる。
本発明の化合物は、哺乳動物の体内で活性剤がその作用部位、MMP-3と接触す
るような方法により投与することができる。これらは単独の治療剤として、また
は治療剤の組み合わせとして、薬剤と共に使用できる慣用の方法により投与する
ことができる。これらは単独で投与することができるが、一般には選択された投
与経路および標準的な製薬実務に基づいて選択される薬用担体と一緒に投与され
る。
本発明の化合物の投薬法はもちろん既知要因、例えば特定の薬剤の薬力学的特
性、その投与方法および経路;レシピエントの種類、年令、性別、健康、臨床状
態および体重;症状の性質および程度;同時治療の種類;治療の頻度;投与経路
、患者の腎および肝機能、並びに所望の効果に応じて変わる。通常の技術を有す
る医者または獣医ならば、病気の進行を予防、阻止または停止するのに必要な薬
剤の有効量を容易に決定し、処方することができる。
一般的な手引きにより、表示した効果に対して使用される場合、それぞれの活
性成分の1日あたりの経口投与量は約0.001〜1000mg/kg体重の範囲であり、好
ましくは1日あたり約0.01〜100mg/kg体重であり、そして最も好ましくは約1.0
〜20mg/kg/日である。体重が約70kgの標準的な成人男性の場合、この投与量は
70〜1400mg/日となる。
静脈内投与では、最も好ましい投与量は定速注入の間、約1〜約10mg/kg/分
の範囲である。有利には、本発明の化合物は1日量を1回で投与することができ
、また1日量を1日に2、3または4回に分けて投与することができる。
本発明の化合物は適当な鼻内賦形剤を局所的に使用して鼻内形態で、または当
業者によく知られている皮膚パッチのような経皮形態を使用して経皮的に投与す
ることができる。経皮デリバリーシステム形態で投与する場合、その投与はもち
ろん、投薬の間断続的によりもむしろ継続的に行われる。
本発明の方法において、ここで詳しく開示した化合物は活性成分となることが
でき、典型的に適当な薬用希釈剤、賦形剤、または所期の投与形態、すなわち経
口錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤などに関して適当に選択された
担体(ここでは集合的に担体物質と呼ぶ)と
混合して、または慣用の製薬実務に従って投与される。
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で経口的に投与する場合、活性薬剤成分
はラクトース、スターチ、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステア
リン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソ
ルビトールなどのような非毒性の医薬的に許容しうる経口用不活性担体と混合す
ることができる。液状形態で経口的に投与する場合、経口薬剤成分はエタノール
、グリセロール、水などのような非毒性の医薬的に許容しうる経口用不活性担体
と混合することができる。さらに、所望により、または必要に応じて適当な結合
剤、潤滑剤、崩壊剤および着色剤もまた混合物中に加えることができる。適当な
結合剤には、スターチ、ゼラチン、天然糖、例えばグルコースまたはβ−ラクト
ース、コーン甘味剤、天然および合成ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカント
ゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン
グリコール、蝋などが含まれる。これらの投与形態で使用される潤滑剤には、オ
レイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安
息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤に
は、スターチ、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが
含まれるが、これらに限定されない。
本発明の化合物はまた、小さな単ラメラ小胞、大きな単ラメラ小胞および多重
ラメラ小胞のようなリポソームデリバリーシステム形態で投与することができる
。リポソームはコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン
のような種々のリン脂質から生成することができる。
本発明の化合物はまた、標的薬剤の担体としての可溶性ポリマーと結
合させることができる。このようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピラ
ンコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒ
ドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換され
たポリエチレンオキシド−ポリリシンが含まれる。さらに、本発明の化合物は薬
剤の放出を制御するのに有用な生分解性ポリマー群、例えばポリ乳酸、ポリグリ
コール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリエプシロン、カプロ
ラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジ
ヒドロピラン、ポリシアノアシレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性
ブロックコポリマーと結合させることができる。
投与に適した投与形態(医薬組成物)は投与単位あたり約1mg〜約100mgの活性
成分を含有する。これらの医薬組成物において、活性成分は通常、組成物の全重
量に基づいて約0.5〜95重量%の量で存在する。
活性成分はカプセル剤、錠剤および粉末のような固体状投与形態、またはエリ
キシル剤、シロップ剤および懸濁剤のような液状投与形態で経口的に投与するこ
とができる。それはまた、無菌の液状投与形態で非経口的に投与することができ
る。
ゼラチンカプセル剤は活性成分および粉末状担体、例えばラクトース、スター
チ、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含有す
る。同様の稀釈剤を使用して圧縮錠剤を製造することができる。錠剤およびカプ
セル剤は共に、薬剤を所定の時間にわたって継続的に放出する持効性薬剤として
製造することができる。圧縮錠は不快な味をマスクし、大気から錠剤を保護する
ため糖コーチングまたはフィルムコーチングすることができ、また選択的に胃腸
管で崩壊するように腸溶コーチングすることができる。経口投与用液状投与形態
は患者の受
容性を高めるため着色剤および芳香剤を含有することができる。一般に、水、適
当な油、塩水、水性デキストロース(グルコース)、関連の糖溶液およびグリコ
ール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールは注射液に適
した担体である。非経口的投与用液剤は好ましくは活性成分の水溶性塩、適当な
安定剤、必要ならば緩衝物質を含有する。重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウ
ムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤は適当な安定剤であり、単独でまたは
組み合わせて使用される。クエン酸とその塩やナトリウムEDTAもまた使用される
。さらに、注射液は塩化ベンズアルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベ
ン、およびクロロブタノールのような保存剤を含有することができる。
適当な薬用担体は当該技術分野において標準的な参考テキストであるRemingto
n's Pharmaceutical Sciences、マック出版社に記載されている。本発明の化合
物の投与において有用な薬用投与形態を以下に説明する。
カプセル剤
カプセル剤は投与単位が500ミリグラムの活性成分、100ミリグラムのセルロー
スおよび10ミリグラムのステアリン酸マグネシウムを含有するように慣用の方法
により製造される。
標準的な2個構成硬質ゼラチンカプセルにそれぞれ100ミリグラムの粉末状活
性成分、150ミリグラムのラクトース、50ミリグラムのセルロースおよび6ミリ
グラムのステアリン酸マグネシウムを充填することにより多数の単位カプセル剤
を製造することもできる。
シロップ剤
重量%
活性成分 10
液状糖 50
ソルビトール 20
グリセリン 5
芳香剤、着色剤および保存剤 必要なだけ
水 必要なだけ
蒸留水を加えて最終容量を100%とする。
水性懸濁液
重量%
活性成分 10
ナトリウムサッカリン 0.01
Keltrol(登録商標)(食品用銘柄キサンタンゴム) 0.2
液状糖 5
芳香剤、着色剤および保存剤 必要なだけ
水 必要なだけ
キサンタンゴムをゆっくりと蒸留水に加えてから、活性成分および残りの構成
成分を加える。最終製品の品質を確かにするため最終懸濁液をホモジナイザーに
付す。
再懸濁可能な粉末
重量%
活性成分 50.0
ラクトース 35.0
糖 10.0
アラビアゴム 4.7
ナトリウムカルボキシルメチルセルロース 0.3
それぞれの成分を微粉砕し、互いに均一に混合する。別法として、粉
末を懸濁液として調製し、噴霧乾燥することができる。
半固体ゲル剤
重量%
活性成分 10
ナトリウムサッカリン 0.02
ゼラチン 2
芳香剤、着色剤および保存剤 必要なだけ
水 必要なだけ
ゼラチンを温水中で調製する。微粉砕した活性成分をゼラチン溶液中で懸濁し
、残りの成分を混入する。懸濁液を適当な包装容器に充填し、冷却してゲルを生
成する。
半固体ペースト
重量%
活性成分 10
Gelcarin(登録商標)(カラゲニンゴム) 1
ナトリウムサッカリン 0.01
ゼラチン 2
芳香剤、着色剤および保存剤 必要なだけ
水 必要なだけ
Gelcarin(登録商標)を温水(約80℃)に溶解し、微粉末の活性成分をこの溶
液中で懸濁する。温かいままでナトリウムサッカリンおよび残りの構成成分を懸
濁液に加える。懸濁液を均質化し、適当な容器に充填する。
乳化性ペースト
重量%
活性成分 30
Tween(登録商標)80およびSpan(登録商標)80 6
Keltrol(登録商標) 0.5
鉱 油 63.5
すべての成分を注意しながら一緒に混合して均質なペーストを作る。
軟質ゼラチンカプセル剤
消化性油、例えば大豆油、綿実油またはオリーブ油中における活性成分の混合
物を調製し、容量形ポンプによりゼラチン中に注入して100ミリグラムの活性成
分を含有する軟質ゼラチンカプセルを作る。カプセルを洗浄し、乾燥する。
錠剤
錠剤は、投与単位が500ミリグラムの活性成分、150ミリグラムのラクトース、
50ミリグラムのセルロースおよび10ミリグラムのステアリン酸マグネシウムを含
有するように慣用の方法により製造することができる。
投与単位が100ミリグラムの活性成分、0.2ミリグラムのコロイド状二酸化ケイ
素、5ミリグラムのステアリン酸マグネシウム、275ミリグラムの微結晶性セル
ロース、11ミリグラムのスターチおよび98.8ミリグラムのラクトースを含有する
ように、慣用の方法により多数の錠剤を製造することもできる。口当たりを良く
し、また吸収を遅らせるために適当なコーチングを施すことができる。
注射剤
注射による投与に適した非経口組成物は、1.5重量%の活性成分を10
容量%のプロピレングリコールおよび水中で撹拌することにより製造される。溶
液を塩化ナトリウムで等張にし、滅菌する。
懸濁剤
経口投与用水性懸濁液は、それぞれ5mlが100mgの微細な活性成分、200mgのナ
トリウムカルボキシメチルセルロース、5mgのナトリウムベンゾエート、1.0g
のソルビトール溶液(U.S.P.)および0.025mlのバニリンを含有するように調製
される。
本発明の化合物は第2の治療剤、特に非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)と組み
合わせて投与することができる。式Iの化合物およびこのような第2の治療剤は
、上記のような投与形態および様々な投与経路を使用して別々に、または単独の
投与単位として物理的に組み合わせて投与することができる。
式Iの化合物は第2の治療剤と一緒に単独の投与単位として製剤化することが
できる(すなわち、1個のカプセル剤、錠剤、粉末または液体などにおいて互い
に混合される)。式Iの化合物および第2の治療剤が単独の投与単位として一緒
に製剤化されない場合、式Iの化合物および第2の治療剤は本質的に同時に、ま
たは順番に投与することができる;例えば最初に式Iの化合物を投与し、その後
第2の治療剤を投与することができる。同時に投与されない場合、好ましくは式
Iの化合物および第2の治療剤は約1時間未満の間隔で、より好ましくは約5〜
30分の間隔で投与される。
好ましくは、式Iの化合物の投与経路は経口である。式Iの化合物および第2
の治療剤は共に同じ経路により(すなわち、例えば、共に経口的に)投与するの
が好ましいが、所望ならば、これらはそれぞれ異なる経路により、および異なる
投与形態で投与することができる(すなわち、
例えば、組み合わせ製剤の一方の成分を経口投与し、もう一方の成分を静脈内投
与することができる)。
単独でまたは第2の治療剤と組み合わせて投与される式Iの化合物の投与量は
、様々な要因、例えば特定の薬剤の薬力学的特性、その投与方法および経路;レ
シピエントの年令、健康および体重;症状の性質および程度;同時治療の種類、
治療の頻度、並びに上記のような所望の効果に応じて変わる。特に単独の投与単
位として提供する場合、組み合わせた各活性成分の間に化学的相互作用が潜在的
に存在する。このため、式Iの化合物および第2の治療剤が単独の投与単位とし
て組み合わされる場合、これらは活性成分が単独の投与単位として組み合わされ
ても、各活性成分間の物理的接触が最小になる(すなわち、減少する)ように製
剤化される。例えば、一方の活性成分を腸溶コーチングしてもよい。一方の活性
成分を腸溶コーチングすることにより、組み合わせた活性成分間の接触を最小に
するだけでなく、一方の成分が胃で放出されるのではなく腸で放出されるように
胃腸管での一方の成分の放出を制御することができる。また、一方の活性成分を
、胃腸管の全体にわたって持続した放出をもたらし、組み合わせた活性成分間の
物理的接触を最小にするのに役立つ特効性物質でコーチングすることもできる。
さらに、持効性成分をこの成分の放出が腸でだけ行なわれるように追加的に腸溶
コーチングすることができる。さらに活性成分を分離するために、一方の成分が
持効性および/または腸溶性ポリマーでコーチングされ、もう一方の成分が低粘
度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマーま
たは当該技術分野で知られているような他の適当な物質でコーチングされる組み
合わせ製剤の製剤化を含む他のアプローチもある。ポリマーコーチングは他方の
成分との相互作用に対するさらなる
防壁を形成するのに役立つ。
当業者ならば、本明細書を一度読めば、単独の投与形態で投与されるにせよ、
また別々の形態であるが同じ方法により同時に投与されるにせよ、本発明の組み
合わせ製剤の成分間の接触を最小にするこれらの方法および他の方法を容易に理
解できよう。
本発明はまた、治療的に有効な量の式Iの化合物を含有する医薬組成物を含む
1個以上の容器からなる、例えば骨関節炎またはリウマチ性関節炎の治療または
予防において有用な薬用キットを包含する。当業者により容易に理解されるよう
に、このようなキットはさらに、所望により1種以上の様々な慣用の薬用キット
成分、例えば1種以上の医薬的に許容しうる担体を有する容器、追加の容器など
を含有することができる。投与する成分の量、投与方法、および/または成分の
混合方法を表示する取扱説明書もまた、インサートまたはラベルとしてキットに
含めることができる。
本発明の開示において、特記した物質および条件は本発明を実施するのに重要
であるが、特記していない物質および条件はそれらが本発明の利点を実現する妨
げとならない限り除外されない。
本明細書で使用される「本質的に〜からなる」という用語はその慣用の意味を
有する;すなわち、すべての特記した物質および条件は本発明を実施するのに非
常に重要であるが、特記していない物質および条件はそれらが本発明の利点を実
現する妨げとならない限り除外されない。
前記の開示は、当業者が本発明を実施するのに不可欠であると考えられるすべ
ての情報を含む。しかしながら、引用した文献はさらに有用な情報を与えるため
、これらの引用文献は参照により本明細書に加入される。
本発明を特定の実施態様に関して説明したが、これらの実施態様の詳細は本発
明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。本発明の精神および範囲を逸脱
することなく種々の等価態様、変形態様および変更態様を行うことができ、また
このような等価態様は本発明の一部であるとみなされる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 31/38 ABL A61K 31/38 ABL
31/40 ABA 31/40 ABA
31/415 31/415
31/42 31/42
31/425 ADU 31/425 ADU
31/44 ABN 31/44 ABN
31/445 31/445
C07C 259/08 C07C 259/08
C07D 207/40 C07D 207/40
211/60 211/60
213/40 213/40
233/56 233/56
233/64 105 233/64 105
263/48 263/48
277/30 277/30
277/40 277/40
333/38 333/38
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),AU,CA,JP,M
X,NZ
(72)発明者 チヤーニー,ロバート・ジヨーゼフ
アメリカ合衆国デラウエア州 19711−
2449.ニユーアーク.ブライドルシヤーコ
ート104