JPH1150260A - クロムフリー金属表面処理用組成液及び表面処理金属材料 - Google Patents

クロムフリー金属表面処理用組成液及び表面処理金属材料

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JPH1150260A
JPH1150260A JP21178897A JP21178897A JPH1150260A JP H1150260 A JPH1150260 A JP H1150260A JP 21178897 A JP21178897 A JP 21178897A JP 21178897 A JP21178897 A JP 21178897A JP H1150260 A JPH1150260 A JP H1150260A
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JP
Japan
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acid
resin
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weight
radical polymerizable
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JP21178897A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Shimizu
敏之 清水
Toshio Odajima
壽男 小田島
Tomozo Takahashi
智三 高橋
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロムを使用しないで耐食性に優れた金属表
面処理剤を提供する。 【解決手段】 グラフト変性ポリエステル又はポリエス
テルウレタン、リン酸、Cu、Co、Fe、Mn、Zn
などのリン酸系化合物を含有する金属表面処理用組成液
及びそれで処理した金属材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種金属材料表面
に塗布・乾燥して防錆皮膜を形成する防錆被覆用表面処
理組成液及び該組成液により処理された金属材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板、亜鉛系合金
めっき鋼板等の耐食性改善を目的に、各種処理を行うこ
とは公知である。公知技術の中でクロム酸を含む化合物
を用いた表面処理であるクロメート処理は、得られる鋼
板の耐食性が良好であり、また、その他の特性(下地と
の密着性、塗料との密着性等)においても良好な特性を
示すことから、最も一般的な方法であるといえる。しか
しながら、近年の世界的な環境問題の面から、クロムに
関する規制が大幅に強化されつつあり、クロムを用いな
い防錆処理方法の開発が精力的に行われている。この点
に関して、例えば、不飽和カルボン酸を特定量共重合し
たもの(特開平5-222324号)、アセトアセチル基を有す
る水系樹脂を主剤として被覆するもの(特開平5-148432
号)、特殊ケト酸と陽イオン、アミン、グアニジン、ア
ミジンから選択される塩基との実質的に非水溶性のモノ
−またはポリ−塩基性塩の混合物を被覆するもの(特開
平5-70715 号)、不飽和カルボン酸−グリシジル基含有
不飽和単量体−アクリル酸エステルの共重合体を被覆す
るもの(特開平3-192166号)などを挙げることができ
る。上記の技術についてはいずれもアクリル系樹脂が使
用されているが、十分な耐食性を確保するためには皮膜
を厚く形成させる必要があり、また、鉄や各種メッキ鋼
鈑など各種金属との密着性も必ずしも十分とは言えず、
特にウエットな環境下では密着性は著しく低下し、皮膜
は剥離・脱落する。ウエットな環境下でも優れた密着性
を維持できる皮膜は皆無である。そこで、より高度な密
着性発現の面ではポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、エポキシ樹脂などが有利と考えられるが、これらは
いずれもその合成上の問題から導入される官能基種及び
官能基量が限定されており、十分な耐食性や密着性を発
現するには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、本発明
は上記の従来の技術の欠点を解決し、冷延鋼鈑、Znメッ
キ鋼鈑、Zn-Ni 系、Zn-Ni-Co系、Zn-Ni-Cr系、Zn-Fe
系、Zn-Co 系、Zn-Cr 系、Zn-Mn 系などのZn系合金メッ
キ鋼鈑あるいはNi、Cu、Pb、Sn、Cd、Al、Tiなどの金属
メッキ鋼鈑あるいはこれら金属の合金メッキ鋼鈑の上に
極薄い皮膜を形成した場合にも基材と優れた密着性を示
し、かつ、極めて優れた耐食性及び塗料密着性を確保で
きるクロムフリーのグラフト変性ポリエステル系樹脂ま
たはグラフト変性ポリエステルポリウレタン系樹脂(以
下、変性樹脂)を含有する表面処理材を提供することを
目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、変性樹脂(A)
100重量部、リン酸2〜60重量部、無機金属化合物(B)
0.015〜1.5 グラム部を含み、前記の変性樹脂(A)及び
無機金属化合物(B)が(1)〜(4) 以下の要件を満たすこ
とを特徴とする金属表面処理用組成液。 (1) 変性樹脂(A)が、主鎖が全カルボン酸成分中、芳香
族ジカルボン酸を60モル%以上含むポリエステル、また
は、それを用いたポリエステルポリウレタンであり、側
鎖がラジカル重合性単量体の重合体であるグラフト生成
物である。 (2) 変性樹脂(A)のグラフト化された側鎖を構成するラ
ジカル重合性単量体の重合体において、Q-e 値における
e値が0.9 以上の電子受容性単量体とe値が-0.6以下の
電子供与性単量体の重量和が、全ラジカル重合性単量体
の少なくとも50重量%を占め、側鎖を構成するラジカル
重合性単量体の重合物において、Q-e 値におけるe値が
0.9以上の電子受容性単量体とe値が-0.6以下の電子供
与性単量体のそれぞれが、全ラジカル重合性単量体の少
なくとも20重量%を占める。 (3) 変性樹脂(A)のグラフト化された側鎖を構成するラ
ジカル重合性単量体の重合体において、芳香族系ラジカ
ル重合性単量体が全ラジカル重合性単量体の少なくとも
10重量%を占める。 (4) 無機金属化合物(B) がCu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、M
g、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 、Zn のリン酸系化合物の1
種あるいは2種以上である。
【0005】ここで、塗布された鋼板などの金属板の耐
食性や形成された皮膜と下地金属との密着性は、リン酸
系金属化合物、リン酸、変性樹脂により確保され、形成
された皮膜とその上に塗装される塗料との密着性は変性
樹脂により確保される。
【0006】変性樹脂について、その変性樹脂の側鎖に
用いるラジカル重合性単量体の組成は、Alfrey-Priceに
よって提案されたQ−e値のe値が 0.9以上、望ましく
は1.0 以上、更に望ましくは 1.5以上のラジカル重合性
単量体と、e値が-0.6以下、望ましくは-0.7以下、更に
望ましくは-0.8以下の単量体の組み合わせを必須とする
ラジカル重合性単量体から主として構成される。
【0007】e値がマイナスに小さい場合は、強い電子
供与性の置換基を持つことを示し、不飽和結合部分に存
在する、結合に関与しない電子が過剰に存在するため二
重結合及びそれから生成するラジカルは電荷が負に偏っ
ていることを表す。逆にプラスに大きい場合は、強い電
子吸引性の置換基を持つことを示し、結合に関与しない
電子が不足しているため二重結合及びそれから生成する
ラジカルは電荷が正に偏っていることを表す。ラジカル
重合性単量体を共重合させる場合、電子供与性の置換基
を持つラジカル重合性単量体、すなわち、e値がマイナ
スに大きい単量体と電子吸引性の置換基を持つラジカル
重合性単量体、すなわち、e値がプラスに大きい単量体
のような電子状態が逆であるような単量体同士を組み合
わせると、重合中に生成するいずれのラジカルも、付加
しやすい単量体はe値の正負が逆の単量体であり、しか
も、e値の差が大きい場合にその傾向は顕著になる。以
上に述べたような、e値の大きく違う単量体同士が、実
際に共重合が起こりやすいことを利用することで、ブロ
ック的な共重合ではなく、より円滑にランダムな共重合
が起こりやすくなることになり、実際に得られる側鎖の
組成を仕込みの組成に近づけることが可能になる。
【0008】また、変性される樹脂中の不飽和結合は、
フマル酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸や、グ
リセリンモノアリルエーテルなどのヒドロキシル基また
はカルボキシル基を有するアリル化合物に由来するもの
であるが、これらの化合物のe値については、フマル
酸、イタコン酸などは不飽和結合部に電子吸引性のカル
ボキシル基が置換基としてついているため、 1.0〜3.0
(ジエステルの場合は1.0 〜2.0 )と正に極めて大き
く、不飽和結合は、電荷が正に偏っており、アリル化合
物の場合はアリル共鳴により-1.0〜-2.0と負に極めて大
きく、不飽和結合は負に偏っている。グラフト化を行う
場合、変性される樹脂中の不飽和結合に対して共重合性
の高い(つまり、e値において、正負が逆でかつ、その
e値の差が大きい)ラジカル重合性単量体を使用するこ
とで、変性されるべき樹脂と全く反応せず単独に重合す
ることを抑制できる。すなわち、e値が正に大きいフマ
ル酸を共重合した被変性樹脂は、本発明に必須のe値が
0.9以上の単量体と-0.6以下の単量体の組み合わせのう
ちの、負に大きい単量体と共重合しやすいことにより、
グラフト効率が改善され、また、e値が負に大きいアリ
ル基を有する被変性樹脂は、正に大きい単量体と共重合
しやすいことにより、この場合もグラフト効率が改善さ
れ、いずれの場合も変性される樹脂と反応していないラ
ジカル重合性単量体の単独重合体の量を低減できる。更
に、本発明に必須のe値が 0.9以上の単量体と-0.6以下
の単量体の組み合わせの比によりゲル化が抑制できる。
従来、不飽和結合を含有する樹脂のラジカル重合性単量
体による変性において、変性される樹脂中の不飽和結合
量が少ない場合は、十分なグラフトが行われず、ラジカ
ル重合性単量体の単独重合体が生成してしまい、また、
不飽和結合量が多い場合は、グラフト側鎖間でのカップ
リングによりゲル化を起こしてしまい、変性される樹脂
中の実際に利用できる不飽和結合量の範囲は極めて狭い
ものであったが、本発明においては、必須のe値が 0.9
以上の単量体と-0.6以下の単量体の組み合わせの比によ
り不飽和結合量がかなり多い場合でもゲル化が抑制でき
る。また、ここで用いる側鎖は、上記のように側鎖の成
分が、ラジカル共重合におけるQ−e値のe値が 0.9以
上のラジカル重合性単量体と、e値が-0.6以下の単量体
の組み合わせを必須とする混合物からなり、かつ、その
成分中に芳香族系ラジカル重合性単量体を含むことも必
須とする。本発明者らは、変性により各種物性が低下す
る原因について検討を重ねた結果、変性する樹脂が芳香
族系のポリエステル及びポリエステルポリウレタン(以
下、ベース樹脂と略)の場合、側鎖の組成により、各種
物性が変化し、特に、芳香族系ラジカル重合性単量体を
側鎖の一成分として利用し、主鎖と側鎖の相溶性を高め
た場合において、密着性、耐食性、耐水性等が大幅に改
善されることを見いだした。
【0009】
【発明の実施の形態】
(ポリエステル樹脂)本発明における共重合ポリエステ
ル樹脂とは、分子量5000〜100000であり、そ
の好ましい組成は、ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボ
ン酸60〜99.5モル%、脂肪族およびまたは脂環族
ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を
含有するジカルボン酸0.5〜20モル%よりなり、芳
香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル
酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェ
ニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸として
は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることがで
き、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水
物等を挙げることができる。
【0010】重合性不飽和二重結合を含有するジカルボ
ン酸としては、α、β−不飽和ジカルボン酸類としてフ
マル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シ
トラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボ
ン酸として2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、
テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。こ
の内最も好ましいものはフマル酸、マレイン酸、イタコ
ン酸および2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物で
ある。さらにp−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒド
ロキシエトキシ)安息香酸、あるいはヒドロキシピバリ
ン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒ
ドロキシカルボン酸類も必要により使用できる。
【0011】一方、グリコ−ル成分は炭素数2〜10の
脂肪族グリコ−ルおよびまたは炭素数が6〜12の脂環
族グリコ−ルおよびまたはエ−テル結合含有グリコ−ル
よりなり、炭素数2〜10の脂肪族グリコ−ルとして
は、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−
ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−
ル、1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−
ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−
ペンタンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、2−エチ
ル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプ
タン等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グ
リコ−ルとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノ−
ル、トリシクロデカンジメチロール等を挙げることがで
きる。
【0012】エ−テル結合含有グリコ−ルとしては、ジ
エチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ジプロ
ピレングリコ−ル、さらにビスフェノ−ル類の2つのフ
ェノ−ル性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレン
オキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリ
コ−ル類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキ
シフェニル)プロパンなどを挙げることが出来る。ポリ
エチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリ
テトラメチレングリコ−ルも必要により使用しうる。
【0013】本発明で使用されるポリエステル樹脂は、
ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸60〜99.5
モル%、望ましくは70〜99モル%、脂肪族ジカルボ
ン酸、およびまたは脂環族ジカルボン酸が0〜40モル
%であるが望ましくは0〜30モル%である。芳香族ジ
カルボン酸が60モル%未満でである場合、基材への密
着性や力学特性が低下する。また脂肪族ジカルボン酸が
40モル%を超えると、脂肪族エステル結合が芳香族エ
ステル結合に比して耐加水分解性が低いために保存する
期間にポリエステルの重合度を低下させてしまうなどの
トラブルを招くことがある。
【0014】重合性不飽和二重結合を含有するジカルボ
ン酸は0.5〜20モル%であるが、望ましくは1〜1
2モル%であり、更に望ましくは1〜9モル%である。
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5
モル%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル
重合性単量体組成物の有効なグラフト化が行なわれず、
ラジカル重合性単量体組成物からのみなる単独重合体が
主として生成され、目的の変性樹脂を得ることができな
い。重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が2
0モル%以上の場合、各種物性の低下が大きく、また、
グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し反応の均
一な進行をさまたげるので望ましくない。重合性不飽和
二重結合を含有するグリコールとしては、グリセリンモ
ノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリル
エーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、
等を挙げることができる。
【0015】重合性不飽和二重結合を含有するグリコー
ルは0.5〜20モル%であるが、望ましくは1〜12
モル%であり、更に望ましくは1〜9モル%である。重
合性不飽和二重結合を含有するグリコールが0.5モル
%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合
性単量体組成物の有効なグラフト化が行なわれず、ラジ
カル重合性単量体組成物からのみなる単独重合体が主と
して生成され、目的の変性樹脂を得ることができない。
重合性不飽和二重結合を含有するグリコールが20モル
%以上の場合、各種物性の低下が大きく、また、グラフ
ト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し反応の均一な進
行をさまたげるので望ましくない。
【0016】本発明で使用されるポリエステル樹脂は、
3官能以上のポリカルボン酸および/又はポリオ−ルを
共重合することが可能であるが、3官能以上のポリカル
ボン酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピロ
メリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン
酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒド
ロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロ
トリメリテート)等が使用される。一方3官能以上のポ
リオ−ルとしてはグリセリン、トリメチロ−ルエタン、
トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等が使
用される。
【0017】本発明で使用されるポリエステル樹脂は重
量平均分子量が5000〜100000の範囲であり、
望ましくは重量平均分子量が7000〜70000の範
囲であり、更に望ましくは10000〜50000の範
囲であることが必要である。重量平均分子量が5000
以下であると各種物性が低下し、また、重量平均分子量
が100000以上であるとグラフト化反応の実施中、
高粘度化し、反応の均一な進行が妨げられる。
【0018】(ポリウレタン樹脂)本発明におけるポリ
ウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール(a) 、有機ジ
イソシアネート化合物(b) 、及び必要に応じて活性水素
基を有する鎖延長剤(c) より構成され、分子量は500
0〜100000、ウレタン結合含有量は 500〜4000当
量/106g、重合性二重結合含有量は鎖一本当たり平均
1.5〜30個である。
【0019】本発明で使用するポリエステルポリオール
(a) はジカルボン酸成分及びグリコール成分成分として
既にポリエステル樹脂の項で例示した化合物を用いて製
造され、両末端基がヒドロキシル基であり分子量が50
0〜10000であるものが望ましい。ポリエステル樹
脂の場合と同様に、本発明で使用されるポリエステルポ
リオールはジカルボン酸成分が少なくとも60モル%以
上、望ましくは70モル%以上が芳香族ジカルボン酸よ
りなることが必要である。この理由についても、前述の
ポリエステル樹脂で述べたのと同様である。また、ポリ
エーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリ
オレフィンポリオールなども必要に応じて、これらポリ
エステルポリオールと共に使用することができる。
【0020】本発明で用いる有機ジイソシアネート化合
物(b) としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ
−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、p−キシ
リレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネ
ート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキサン、
4,4’−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イ
ソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシ
アネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−
ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−
4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−
ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】本発明において、必要に応じて使用する活
性水素基を有する鎖延長剤(c) としては、例えば、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ
ール、ジエチレングリコール、スピログリコール、ポリ
エチレングリコールなどのグリコール類、ヘキサメチレ
ンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミンなどのアミン類が挙げられる。
【0022】本発明に用いるポリウレタン樹脂は、ポリ
エステルポリオール(a) 、有機ジイソシアネート(b) 、
及び必要に応じて活性水素基を有する鎖延長剤(c) と
を、(a)+(c) の活性水素基/イソシアネート基の比で
0.4〜1.3 (当量比)の配合比で反応させて得られるポ
リウレタン樹脂であることが必要である。(a)+(c) の活
性水素基/イソシアネート基の比がこの範囲外であると
き、ウレタン樹脂は充分高分子量化することが出来ず、
所望の塗膜物性を得ることが出来ない。
【0023】本発明で使用するポリウレタン樹脂は、公
知の方法、溶剤中で20〜150℃の反応温度で触媒の
存在下あるいは無触媒で製造される。この際に使用する
溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル類が使用できる。反応を促進す
るための触媒としては、アミン類、有機錫化合物等が使
用される。本発明で使用するポリウレタン樹脂はラジカ
ル重合性単量体によるグラフト化反応の効率を高めるた
めに重合性二重結合をウレタン鎖一本当たり平均 1.5〜
30個、望ましくは2〜20個、更に望ましくは3〜15個含
有していることが必要である。
【0024】この重合性二重結合の導入については、下
記の3つの方法があり、 1)ポリエステルポリオール中にフマル酸、イタコン
酸、ノルボルネンジカルボン酸などの不飽和ジカルボン
酸を含有せしめる。 2)ポリエステルポリオール中に、アリルエーテル基含
有グリコールを含有せしめる。 3)鎖延長剤として、アリルエーテル基含有グリコール
を用いる。 これらの単独または組み合わせにおいて実施可能であ
る。
【0025】1)において導入された主鎖中の重合性二
重結合はe値が 0.9以上の強い電子受容性を有し、
2)、3)により導入された重合性二重結合はe値が-
0.6以下の強い電子供与性を有する。このようにベース
樹脂中の導入された重合性二重結合の電子受容性または
電子供与性の大きさ及び量を考慮し、それに対してラジ
カル重合性単量体の方も、電子供与性及び電子受容性単
量体の組み合わせ方法、量比を勘案して、グラフト化反
応に供するのが本発明の要点の一つである。
【0026】グラフトまたはブロック重合体形成につい
ての従来の定説は、主鎖一本当たりの重合性二重結合個
数は、主鎖中若しくは末端に一個とするものであった。
事実、先行特許のいくつかにおいては、1近傍の極めて
狭い範囲がクレームされている。これらの先行特許の方
法では、主鎖に導入される重合性二重結合数は、実際に
は統計的分布をもって組み込まれるので、主鎖一本当た
り0個である鎖成分の比率が増加し、それによりグラフ
ト効率は低下する。そこで二重結合量を高めると今度は
ゲル化を起こすというように適正範囲の極めて狭いもの
であった。これに対し、ラジカル重合性化学種間の反応
交番性原理に基づく本発明の方法は、高いグラフト効率
とゲル化回避という二つの要請を満足する適正範囲が広
いという長所を有している。
【0027】(ラジカル重合性単量体)一般にラジカル
共重合におけるAlfrey-Priceによって提案されたQ−e
値のe値は、ラジカル重合性単量体の不飽和結合部分の
電子状態を経験的に示す値であり、Q値に大きな違いが
ない場合、共重合反応の解釈に有用とされ、Polymer Ha
ndbook, 3rd ed. John Wiley and Sons.などにその値が
与えられている。本発明において必ず使用されるQ−e
値のe値が 0.9以上のラジカル重合性単量体としては、
不飽和結合部分に電子吸引性の置換基を持つものであ
り、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチ
ル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸モノエステル及び
フマル酸ジエステル、マレイン酸及びその無水物、マレ
イン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ
ブチルなどのマレイン酸モノエステル及びマレイン酸ジ
エステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステル及びイ
タコン酸ジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミ
ド、アクリロニトリル、などの中から少なくとも一種類
以上の混合物が使用され、もっとも好ましくは、マレイ
ン酸無水物及びそのエステル、フマル酸及びそのエステ
ル類である。
【0028】本発明において必ず使用されるQ−e値の
e値が-0.6以下のラジカル重合性単量体としては、不飽
和結合部分に電子供与性の置換基を持つもの、あるいは
共役系モノマーであり、スチレン、α−メチルスチレ
ン、t-ブチルスチレン、N−ビニルピロリドンなどのビ
ニル系ラジカル重合性単量体、酢酸ビニルなどのビニル
エステル、ビニルブチルエーテル、ビニルイソブチルエ
ーテルなどのビニルエーテル、アリルアルコール、グリ
セリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノ
アリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエ
ーテルなどのアリル系ラジカル重合性単量体、ブタジエ
ンなどの中から少なくとも一種類以上の混合物が使用さ
れ、もっとも好ましくは、スチレンなどのビニル系ラジ
カル重合性単量体である。
【0029】本発明においては、e値が 0.9以上のラジ
カル重合性単量体とe値が-0.6以下のラジカル重合性単
量体の組み合わせが必須であり、全ラジカル重合性単量
体の少なくとも50重量% 以上、更に望ましくは60重量%
以上がその組み合わせにおいて占められていることが好
ましい。また、変性される樹脂中に含まれる不飽和結合
に対して、上記の2種のラジカル重合性単量体のうち、
共重合性の高いラジカル重合性単量体(すなわち、変性
される樹脂中の不飽和結合のe値との差の大きい単量
体)が全ラジカル重合性単量体中、20重量% 以上含まれ
ていることが好ましく、共重合性の低いラジカル重合性
単量体(すなわち、変性される樹脂中の不飽和結合のe
値との差の小さい単量体)が全ラジカル重合性単量体
中、20重量%以上含まれていることが好ましい。前者が2
0%未満である場合、主鎖に対して十分なグラフト効率
が得られず、ラジカル重合性単量体が単独に重合を起こ
してしまう。また、後者が20%未満である場合、グラフ
ト重合中にゲル化を起こしてしまい、円滑なグラフト化
が行えない。
【0030】また、上記必須成分と必要に応じて共重合
させることのできるその他のラジカル重合性単量体とし
て、e値が-0.6〜0.9 である、ラジカル重合性単量体を
挙げることができる。例えば、、アクリル酸、メタクリ
ル酸、及びそれらのエステル類としてアクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチルなど、窒素原子を含有するラジ
カル重合性単量体としてアクリルアミド、メタクリロニ
トリルなどの一般に単量体一分子当り一ケのラジカル重
合性二重結合を含有する単量体の中から一種または複数
種を選んで用いることができる。これにより、側鎖のTg
や主鎖との相溶性を調節し、また、任意の官能基を導入
することができる。また、側鎖成分中に必須の芳香族系
ラジカル重合性単量体として、芳香環を持つラジカル重
合性単量体が挙げられ、スチレン、α-メチルスチレ
ン、クロロメチ ルスチレンなどのスチレン誘導体、フ
ェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタク
リレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレ
ートなどの2−ヒドロキシエチルアクリレート(HE
A)及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)と芳香族化合物との反応物、2−アクリロイルオキ
シエチルハイドロゲンフタレートなどのフタル酸誘導体
とHEA、HEMAのエステル、さらにはアクリル酸、
メタクリル酸とフェニルグリシジルエーテルとの反応
物、すなわち、2-ヒドロキシ-3- フェノキシプロピル
(メタ)アクリレートなどにより、側鎖に芳香環を導入
することができる。本発明において、かかる芳香族ラジ
カル重合性単量体の使用割合は、全ラジカル重合性単量
体に対して、少なくとも10重量% 以上、望ましくは20重
量% 以上、もっとも望ましくは30重量% 以上であること
が好ましい。
【0031】(グラフト化反応)本発明におけるグラフ
ト重合体は、前記ベース樹脂中の重合性不飽和二重結合
に、ラジカル重合性単量体をグラフト重合させることに
より得られる。本発明においてグラフト重合反応は、重
合性二重結合を含有するベース樹脂を有機溶剤中に溶解
させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重
合性単量体混合物を反応せしめることにより実施され
る。グラフト化反応終了后の反応生成物は、グラフト重
合体の他にグラフトを受けなかったベース樹脂およびベ
ース樹脂とグラフト化しなかった単独重合体より成るの
が通常である。一般に、反応生成物中のグラフト重合体
比率が低く、非グラフトベース樹脂及び非グラフト単独
重合体の比率が高い場合は、変性による効果が低く、そ
ればかりが、非グラフト単独重合体により塗膜が白化す
るなどの悪影響が観察される。従ってグラフト重合体生
成比率の高い反応条件を選択することが重要である。
【0032】ベース樹脂に対するラジカル重合性単量体
のグラフト化反応の実施に際しては、溶媒に加温下溶解
されているベース樹脂に対し、ラジカル重合性単量体混
合物とラジカル開始剤を一時に添加して行なってもよい
し、別々に一定時間を要して滴下した後、更に一定時間
撹拌下に加温を継続して反応を進行せしめてもよい。ま
た、ベース樹脂の重合性二重結合のe値との差の小さい
ラジカル重合性単量体を先に一時的に添加しておいてか
らベース樹脂の重合性二重結合のe値との差の大きなラ
ジカル重合性単量体、開始剤を一定時間を要して滴下し
た後、更に一定時間撹拌下に加温して反応を進行させる
ことは本発明の望ましい実施様式の一つである。反応に
先立って、ベース樹脂と溶剤を反応機に投入し、撹拌下
に昇温して樹脂を溶解させる。ベース樹脂と溶媒の重量
比率は 70/30〜30/70 の範囲であることが望ましい。こ
の場合、重量比率はベース樹脂とラジカル重合性単量体
の反応性や溶剤溶解性を考慮して、重合工程中、均一に
反応が行える重量比率に調節される。グラフト化反応温
度は50〜120℃の範囲にあることが望ましい。
【0033】本発明の目的に適合する望ましいベース樹
脂とラジカル重合性単量体の重量比率はベース樹脂/側
鎖部の表現で25/75〜99/1の範囲であり、最も
望ましくは50/50〜95/5の範囲である。ベース
樹脂の重量比率が25重量%以下であるとき、既に説明
したベース樹脂の優れた性能、即ち優れた耐水性、各種
基材への密着性を充分に発揮することが出来ない。ベー
ス樹脂の重量比率が99重量%以上であるときは、グラ
フト生成物中のグラフトされていないベース樹脂の割合
がほとんどになり、変性の効果が低く好ましくない。
【0034】本発明におけるグラフト鎖部分の重量平均
分子量は1000〜100000である。ラジカル反応によるグラ
フト重合を行なう場合、グラフト鎖部分の重量平均分子
量を1000以下にコントロールすることは一般に困難であ
り、グラフト効率が低下し、ベース樹脂への官能基の付
与が十分に行なわれないため好ましくない。また、グラ
フト鎖部分の重量平均分子量を100000以上にした場合、
重合反応時の粘度上昇が大きく、目的とする均一な系で
の重合反応が行えない。ここで説明した分子量のコント
ロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応
溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や
重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが
出来る。
【0035】(ラジカル開始剤)本発明で使用されるラ
ジカル重合開始剤としては、良く知られた、過硫酸塩、
有機過酸化物類、有機アゾ化合物類を利用しうる。すな
わち過硫酸塩として過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、有機過酸化物としてベンゾイル
パ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシピバレ−ト、有
機アゾ化合物として2,2’−アゾビスイソブチロニト
リル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)などを例示することが出来る。ラジカル開始剤
化合物の選定については、その化合物の反応実施温度に
おけるラジカル生成速度すなわち半減期(Half−l
ife)を考慮して行なわれる必要がある。一般に、そ
の温度における半減期の値が1分ないし2時間の範囲に
あるようなラジカル開始剤を選定することが望ましい。
グラフト化反応を行うためのラジカル開始剤の使用量
は、ラジカル重合性単量体に対して少なくとも 0.2重量
%以上が必要であり、望ましくは、 0.5重量%以上使用
されることが必要である。
【0036】連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタ
ン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α
−メチルスチレンダイマーの添加も、グラフト鎖長調整
のため、必要に応じて使用される。その場合、ラジカル
重合性単量体に対して0〜20重量%の範囲で添加される
のが望ましい。
【0037】(反応溶媒)反応溶媒として、例えば、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類
といった汎用の溶媒が利用できる。しかし、グラフト化
反応に用いられる反応溶媒の選択はきわめて重要であ
る。望ましい反応溶媒として具備すべき条件は、1)溶
解性、2)ラジカル重合溶媒としての適性、3)溶媒の
沸点、4)溶媒の水への溶解性、である。1)につい
て、ベース樹脂を溶解または分散し、同時に不飽和単体
混合物から成るグラフト重合体の枝部分および非グラフ
ト単独重合体を可及的に良く溶解することが重要であ
る。2)について、溶媒自体がラジカル開始剤を分解せ
しめたり(誘発分解)、或は特定の有機過酸化物と特定
のケトン類溶媒の間で報告されているような爆発性危険
を招く組み合せでないこと、更にラジカル重合の反応溶
媒として適当に小さい連鎖移動定数を有することが重要
である。3)について、ラジカル重合性単量体のラジカ
ル付加反応は一般に発熱反応であるから、反応温度を一
定に保つためには溶媒の還流条件下で行なわれることが
望ましい。4)についてはグラフト化反応それ自体には
必ずしも本質的要件とは言えないが、変性によりベース
樹脂に親水性官能基を導入し、その変性樹脂を水分散化
させることを目的とする場合、工業的実施の観点より望
ましいのは1)〜3)の要件下に選定された溶媒が水に
自由に混合しうる有機溶媒であるか、水と該有機溶媒間
の相互溶解性が高いことである。この第4番目の要件が
満たされるとき、溶媒を含んだままのグラフト化反応生
成物に加熱状態のまま、直接、塩基性化合物による中和
後に水を添加することにより水分散体を形成せしめう
る。更に望ましいのは自由に混合しうるか或は相互溶解
性の高い有機溶剤の沸点が水の沸点より低い場合であ
る。その場合は上記によって形成された水分散体中より
簡単な蒸留によって有機溶剤を系外に取り除くことが出
来る。
【0038】本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒
は単一溶媒、混合溶媒のいずれでも用いることが出来
る。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度が
遅く、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが
出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下で
は、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、
50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いね
ばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。
【0039】生成するグラフト生成物を水に分散させる
ことを目的とする場合にグラフト反応に利用できる反応
溶媒は、ベース樹脂を溶解もしくは分散せしめ、かつラ
ジカル重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良
く溶解する望ましい溶媒として、ケトン類例えばメチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオ
キサン、グリコ−ルエ−テル類例えばプロピレングリコ
−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ
−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレン
グリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチ
ルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト
−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級
エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エ
チレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンア
ルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−
置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、N−メチルピロリドン等を例示する事が出
来る。
【0040】グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合
は、ベース樹脂をよく溶解する有機溶媒から一種を選ん
で行なうことが出来る。また、混合溶媒で行なう場合
は、上記の有機溶媒からのみ複数種選び反応を行うか、
あるいは、上記のベース樹脂をよく溶解する有機溶媒か
ら少なくとも一種を選び、それにベース樹脂をほとんど
溶解しない、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低
級アミン類などの有機溶媒の中から少なくとも一種を加
えて反応を行う場合があり、いずれの溶媒においても反
応を行うこともできる。
【0041】(変性樹脂の水性化)本発明における変性
樹脂はグラフト化により導入された親水性官能基を塩基
性化合物などで中和することなどによって水分散化する
ことが出来る。ラジカル重合性単量体混合物中の親水性
官能基含有ラジカル重合性単量体と親水性官能基不含ラ
ジカル重合性単量体の比率は、選ばれる単量体の種類、
グラフト化反応に供されるベース樹脂/側鎖部の重量比
にも関係するが、グラフト体の酸価は、望ましくは 200
〜4000当量/106g、更に望ましくは 500〜4000当量/10
6gである。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化
剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、
アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい
化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N-ジエチル
エタノールアミン、N,N-ジメチルエタノ−ルアミン、ア
ミノエタノールアミン、N-メチル-N,N- ジエタノールア
ミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミ
ン、エチルアミン、ジエチルアミン、3-エトキシプロピ
ルアミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、sec-ブチ
ルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミ
ン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビス
プロピルアミン、3-メトキシプロピルアミン、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールア
ミンなどを挙げることが出来る。塩基性化合物は、グラ
フト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に
応じて、少くとも部分中和、若しくは、完全中和によっ
て水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲であるよう
に使用するのが望ましい。
【0042】水分散化の実施に際してはグラフト化反応
生成物中に含有される溶媒をあらかじめ減圧下のエクス
トルダ−などにより除去してメルト状、若しくは固体状
(ペレット、粉末など)のグラフト化反応生成物を塩基
性化合物を含有する水中へ投じて加熱下撹拌して水分散
体を作成することも出来るが、最も好適には、グラフト
化反応を終了した時点で直ちに塩基性化合物及び水を投
入し、さらに加熱撹拌を継続して水分散体を得る方法
(ワン・ポット法)が望ましい。後者の場合、必要に応
じてグラフト化反応に用いた水に混和しうる溶媒を蒸留
若しくは水との共沸蒸留によって一部又は全部を取り除
くことが出来る。
【0043】(リン酸系化合物及びリン酸)特殊元素の
リン酸系化合物とはCu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、Mg、Ba、
Al、Ca、Sr、Nb、Y 、Znのリン酸系化合物をいう。これ
ら特殊元素のリン酸系化合物の一種あるいは二種以上を
0.015〜1.5 グラム分子部配合する必要がある。ここで
のリン酸系化合物はリン酸化物のほかに、ポリリン酸、
次亜リン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、第一
リン酸、第二リン酸、第三リン酸、ポリメタリン酸、重
リン酸などの化合物を使用することができる。更に、上
記の本有機樹脂 100重量部とリン酸2〜60重量部を配合
する必要がある。リン酸については、リン酸の代わり
に、例えば、ポリリン酸、次亜リン酸、トリポリリン
酸、ヘキサメタリン酸、第一リン酸、第二リン酸、第三
リン酸、ポリメタリン酸、重リン酸なども用いることが
できる。
【0044】リン酸系化合物については、Mn化合物を例
に挙げて説明すると、一般に、リン酸Mn、塩化Mn、硫酸
Mn、硝酸Mn、酢酸Mnなど(一般式MnXnと表記)は水溶液
中で無機酸が共存する場合に、MnXn→Mn2++nX(1/2)n-
なり、いずれも良好な溶解性を示し、イオン化する。こ
れら化合物は溶解後、Mn2+にX(1/2)n-が配位するが、そ
の強度はPO4 3-<NO3 -<Cl-<SO4 2-<<CH3COO- であり、PO4
3- は極めて弱く配位するのに対して、NO3 -、Cl- 、SO4
2- 、CH3COO- は強く配位する。ここで、Mn2+は樹脂を
酸化し、Mn2+→Mnとなって自身は架橋の役割を果たし、
緻密な皮膜を形成するものと考えられるが、NO3 -、Cl
- 、SO4 2- 、CH3COO- などが配位すると、これらイオン
の配位が強固であるため、配位したイオンの妨害により
Mn2+は樹脂を酸化することが困難となる。つまり、塩化
Mn、硫酸Mn、硝酸Mn、酢酸Mnを添加した場合にはMn2+
架橋材としての機能を有さない。一方、リン酸Mnの場合
にはMn 2+に対するPO4 3- の配位が極めて弱いため、Mn2+
はヒドロキシル基を酸化し、架橋材としての機能する。
また、Mn2+に弱く配位したPO4 3- はMn2+による樹脂の酸
化を促進する触媒的機能を有するものと思われ、新たに
添加するリン酸は適正なPO4 3- の配位を行うために必要
と思われる。しかし、塩化Mn、硫酸Mn、硝酸Mn、酢酸Mn
の場合には、NO3 -、Cl- 、SO4 2- 、CH3COO- の配位が強
く、PO4 3- が共存する場合においても配位しているN
O3 -、Cl- 、SO4 2- 、CH3COO- が置換されることは無
く、従って、PO4 3- は触媒的機能を果たすことができな
い。すなわち、該変性樹脂、リン酸Mn、リン酸を共存さ
せた水溶液を塗布し、乾燥して造膜する際に、Mn2+に弱
く配位するPO4 3- の触媒作用によって樹脂をMn2+が酸化
し、自身は樹脂の架橋の役割を果たし、造膜後極めて緻
密な皮膜を形成するものと思われる。この新たに形成さ
れた緻密な皮膜によって素材と皮膜との密着力がより強
化され、かつ、極めて優れた耐食性が確保できるものと
思われる。
【0045】また、該変性樹脂の持つ優れた密着性とリ
ン酸の密着性改善効果の相乗効果によって優れた塗料密
着性が確保されるものと思われる。なお、水酸化Mn、酸
化Mnの場合は、無機酸でもほとんど溶解せず、Mn2+は極
めて微量しか形成されないため、上記のような機能を果
たすことはできない。
【0046】(無機微粒子状物)本発明における無機微
粒子状物とは、コロイダルシリカのほかにも、SiO2粉末
や、SnO2、Cr2O3 、Fe2O3 、Fe3O4 、MgO 、Al2O3 、Zr
O2のコロイド(ゾル)あるいは粉末の一種または二種以
上を使用することが可能である。これらは耐食性、塗料
密着性の改善以外にも、耐傷つき性などの改善に効果が
ある。これらの無機微粒子状物の粒子径は、耐食性、塗
料密着性、耐傷つき性の点で1〜12nmであることが
好ましい。
【0047】(その他の添加物)本発明における金属表
面処理用組成液は、ベース樹脂とグラフト側鎖の相溶性
を高めることで、ベース樹脂由来の塗膜物性の維持と側
鎖に導入される官能基による無機成分との反応性の改善
が両立できる。この理由については、現在のところ不明
であるが、相溶性の悪い組み合わせにおいて得られるグ
ラフト生成物の塗膜の力学物性は、ベース樹脂と比較す
ると破断点伸度の大幅な低下が観察され、それにより塗
膜の加工性が低下するのに対して、主鎖−側鎖間の相溶
性を高めていくと、伸度の低下が抑制され、また、耐水
性の低下もほとんど観察されず、実用上ベース樹脂と変
わらないことを発見した。また、側鎖の組成によらず、
グラフト化後の熱乾燥塗膜の耐ブロッキング性はベース
樹脂より向上するのが観察されており、塗膜の力学物性
および耐ブロッキング性の優れた塗膜を得るためには、
主鎖が芳香族原料からなるポリエステル樹脂やポリウレ
タン樹脂の場合は側鎖の成分中に芳香族系ラジカル重合
性単量体を含有させ、主鎖−側鎖の相溶性を高めたグラ
フト生成物を設計することが必要である。ここで、相溶
性の判定は、主鎖ポリマー及び側鎖ポリマーをそれぞれ
単独に合成し、それらを適当な溶媒に溶解したのち、両
者のポリマー溶液を混合し、それより形成される皮膜の
濁度を観察することによって行うことができる。透明性
の高い皮膜が与えられる場合、主鎖ポリマーと側鎖ポリ
マーの相溶性は良好である。
【0048】本発明の金属表面処理用組成液はそのまま
でも利用できるが、架橋剤(硬化用樹脂)を配合して焼
付硬化を行うことによりベース樹脂と比較して、より高
度の耐溶剤性、耐水性、硬度を発現することができる。
この場合、ベース樹脂であるポリエステルやポリウレタ
ンでは、その合成上の原理から側鎖に導入できる架橋性
官能基が限定されており、分子の末端の官能基を利用す
ることでしか三次元化できないため、架橋密度を高める
場合にも限界があった。しかし、本発明のグラフト体で
は側鎖に導入できる官能基はその側鎖組成により任意で
あることから、ベース樹脂を架橋させた場合と比較して
架橋密度を大幅に高めることができより高度の耐溶剤
性、耐水性、硬度を付与できることを見いだした。架橋
剤としては、フェノ−ルホルムアルデヒド樹脂、アミノ
樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネ−ト化
合物およびその各種ブロックイソシアネート化合物、多
官能アジリジン化合物などを挙げることが出来る。
【0049】フェノール樹脂としてはたとえばアルキル
化フェノール類、クレゾール類のホルムアルデヒド縮合
物を挙げることが出来る。具体的にはアルキル化(メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)フェノ
ール、p-tert- アミルフェノール、4、4'-sec- ブチリデ
ンフェノール、p-tert- ブチルフェノール、o-,m-,p-ク
レゾール、p-シクロヘキシルフェノール、4,4'- イソプ
ロピリデンフェノール、p-ノニルフェノール、p-オクチ
ルフェノール、3-ペンタデシルフェノール、フェノー
ル、フェニル-o- クレゾール、p-フェニルフェノール、
キシレノールなどのホルムアルデヒド縮合物が挙げられ
る。
【0050】アミノ樹脂としては、例えば尿素、メラミ
ン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、
さらにこれらの炭素原子数が1〜6のアルコールによる
アルキルエーテル化合物を挙げることができる。具体的
にはメトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロール
N,N-エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジア
ミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチ
ロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミ
ン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げ
られるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブ
トキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベン
ゾグアナミンであり、それぞれ単独または併用して使用
することができる。
【0051】エポキシ化合物としてはビスフェノールA
のジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオ
リゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソ
フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシ
ジルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジルエステ
ル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸
ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステ
ル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエ
ーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルお
よびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル
類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリ
シジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベン
ゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリ
グリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリ
シジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジル
エーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物の
トリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0052】さらにイソシアネート化合物としては芳香
族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシ
アネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれ
でもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素
化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネ
ート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化
合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピ
レングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンな
どの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリ
オール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の
高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端
イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0053】イソシアネート化合物としてはブロック化
イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロッ
ク化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、
メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レ
ゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等
のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキ
シム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど
のアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロ
ロ-2- プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、
t-ブタノール、t-ペンタノールなどの第3級アルコール
類、ε- カプロラクタム、δ- バレロラクタム、γ- ブ
チロラクタム、β- プロピルラクタムなどのラクタム類
が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、ア
セチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチル
エステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、
イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダ
なども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イ
ソシアネート化合物とイソシアネート化合物とイソシア
ネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加
反応させて得られる。
【0054】これらの架橋剤には硬化剤あるいは促進剤
を併用することもできる。架橋剤の配合方法としてはベ
ース樹脂に混合する方法が挙げられるが、さらにあらか
じめグラフト生成物の有機溶剤溶液中に溶解させ、その
混合溶液を水に分散させる方法があり、架橋剤の種類に
より任意に選択することが出来る。
【0055】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。実施例中、単に部とあるのは重量部を表し、%
とあるのは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従
った。
【0056】(1)重量平均分子量 樹脂0.005gをテトラヒドロフラン10ccに溶かし、GPC
−LALLS装置低角度光散乱光度計LS-8000 (東ソー
株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:
ポリスチレン)で測定した。
【0057】(2)グラフト側鎖の重量平均分子量の測
定 グラフト重合により得られた生成物を、KOH/水- メタノ
ール溶液中で還流下共重合ポリエステルの加水分解を行
なった。分解生成物を酸性条件下でTHFを用いて抽出
を行ない、ヘキサンで再沈澱によりアクリル重合体を精
製した。この重合体をGPC 装置(島津製作所製、テトラ
ヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)で測定し、グラ
フト側鎖の重量平均分子量を計算した。
【0058】(3)水分散体粒子径 水分散体をイオン交換水を用いて固形分濃度 0.1重量%
に調節し、レーザー光散乱粒度分布計CoultermodelN4
(Coulter 社製)により20℃で測定した。 (4)水分散体B型粘度 水分散体の粘度は回転粘度計(東京計器社製,EM型)を
用い、25℃で測定した。
【0059】(5)主鎖−側鎖間の相溶性評価 グラフト体の主鎖となる樹脂及び側鎖となる樹脂を単独
で合成し、それぞれを固形分濃度5%の透明なテトラヒド
ロフラン溶液にした後、固形重量比50/50の割合で混合
し、乾燥後の膜厚が 100μm となるようにガラス上に塗
布し、 120℃、10分乾燥させることで塗膜を得た。この
塗膜の透明性を目視で判断した。 ○:塗膜は透明性が高い、△:塗膜は濁る、×:塗膜は
白化する
【0060】(6)基材との密着性 表面処理液を電気亜鉛メッキ鋼鈑(亜鉛付着量30g/m2
に全固形分が0.5g/m2となるように塗布した後、乾燥し
て得られた鋼鈑を沸騰水に30分浸漬し、その後2mm碁盤
目に皮膜をカットし、テープ剥離を行い、塗膜の剥離面
積を評価した。 A :剥離面積0%、B :剥離面積5%以内、C :剥離面積10
% 以内、D :剥離面積50% 以内、E :剥離面積50% 以上
【0061】(7)塗料との密着性 表面処理液を電気亜鉛メッキ鋼鈑(亜鉛付着量30g/m2
に全固形分が0.5g/m2となるように塗布した後、乾燥し
て得られた鋼鈑上にメラミン系焼き付け塗料(アミラッ
ク#1000 、関西ペイント社製)を焼き付け後に膜厚30μ
m となるように塗布し、その後沸騰水に30分間浸漬し、
その後2mm碁盤目に皮膜をカットし、テープ剥離を行
い、塗膜の剥離面積を評価した。 A :剥離面積0%、B :剥離面積5%以内、C :剥離面積10
% 以内、D :剥離面積50% 以内、E :剥離面積50% 以上
【0062】(8)耐食性 JIS-Z-2371 規格に準拠した塩水噴霧装置(塩水濃度5
%、槽内温度35℃、噴霧圧力20PSI )により1200時間放
置後の錆の発生量により評価した。 A :赤錆発生面積0%、B :赤錆発生面積5%以内、C :赤
錆発生面積10% 以内、D :赤錆発生面積50% 以内、E :
赤錆発生面積50% 以上
【0063】変性ポリエステル樹脂及び変性ポリエステ
ル樹脂水分散体(A-1)の製造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレ
ート 466部、ジメチルイソフタレート 466部、エチレン
グリコール 443部、ネオペンチルグリコール 401部、お
よびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、 1
60℃〜220 ℃まで4時間かけてエステル交換反応を行な
った。次いでフマル酸23部を加え 200℃から 220℃まで
1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次い
で 255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち0.2m
mHg の減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステル樹脂
を得た。得られたポリエステル樹脂は淡黄色透明であ
り、ポリスチレン換算の重量平均分子量は20000 であっ
た。また、NMR 等により測定した組成は次の通りであっ
た。テレフタル酸47モル%;イソフタル酸48モル%;フ
マル酸5モル%;エチレングリコール50モル%;ネオペ
ンチルグリコール50モル%。
【0064】次に、撹拌機、温度計、還流装置と定量滴
下装置を備えた反応器に上記のポリエステル樹脂60部、
メチルエチルケトン70部、イソプロピルアルコール20
部、マレイン酸無水物 6.4部、フマル酸ジブチル 3.6部
をいれ加熱、撹拌し還流下で樹脂を溶解した。樹脂が完
溶した後、スチレン8部、アクリルアミドメチルプロパ
ンスルホン酸トリエチルアミン塩 2.5部、α−メチルス
チレンダイマー1部、アゾビスイソブチルニトリル2部
をメチルエチルケトン25部、イソプロピルアルコール5
部の混合溶液に溶解した溶液を、 1.5時間かけてポリエ
ステル溶液中に滴下し、さらに3時間反応させ、変性ポ
リエステル樹脂溶液を得た。このグラフト体溶液にエチ
レングリコール20部を添加し、30分間還流状態でグラフ
ト体側鎖中のマレイン酸無水物と反応させた後、室温ま
で冷却した。次いでこれにトリエチルアミン15部を添加
し中和した後にイオン交換水 160部を添加し30分間撹拌
した。その後、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去
し、最終的な水分散体(A-1)とした。生成した水分散体
は乳白色で平均粒子径80nm、25℃におけるB型粘度は50
cps であった。なお、ポリエステル部分を加水分解する
ことにより得られるグラフト側鎖部分のポリスチレン換
算の重量平均分子量は8000であった。また、主鎖−側鎖
の相溶性の評価の結果は○であった。
【0065】変性ポリエステルポリウレタン樹脂及び変
性ポリエステルポリウレタン樹脂水分散体(A-2)の製造
例 ポリエステルポリウレタン樹脂の製造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレ
ート 437部、ジメチルイソフタレート 437部、5-ナトリ
ウムスルホイソフタル酸ジメチル59.2部、エチレングリ
コール 341部、3-メチル-1,5- ペンタンジオール 649
部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込
み、 160℃〜220 ℃まで4時間かけてエステル交換反応
を行なった。次いでフマル酸35部を加え 200℃から 220
℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なっ
た。次いで 255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した
のち0.3mmHg の減圧下で1時間反応させ、ポリエステル
を得た。得られたポリエステルは淡黄色透明であり、ポ
リスチレン換算の重量平均分子量は3000であった。ま
た、NMR 等により測定した組成は次の通りであった。テ
レフタル酸、45モル%;イソフタル酸45モル%;5-ナト
リウムスルホイソフタル酸4モル%;フマル酸6モル
%;エチレングリコール20モル%;3-メチル-1,5- ペン
タンジオール80モル%。
【0066】このポリエステルポリオール 100部を撹拌
機、温度計および還流装置を備えた反応器中にメチルエ
チルケトン 100部と共に仕込み溶解後、ネオペンチルグ
リコール3部、ジフェニルメタンジイソシアネート15
部、ジブチル錫ラウレート0.02部を仕込み、60〜70℃で
6時間反応させた。次いでジブチルアミン1部を加え反
応系を室温まで冷却し反応を停止した。得られたポリエ
ステルポリウレタン樹脂のポリスチレン換算の重量平均
分子量は15000 であった。引き続き、メチルエチルケト
ン40部、イソプロピルアルコール40部、マレイン酸無水
物12.8部、フマル酸ジブチル11.2部を添加し、還流下で
撹拌後、スチレン16部、α- メチルスチレンダイマー4
部、アゾビスイソブチルニトリル 2.4部をメチルエチル
ケトン50部、イソプロピルアルコール10部の混合溶液に
溶解した溶液を、1.5 時間かけてポリウレタン溶液中に
滴下し、さらに3時間反応させ、変性ポリエステルポリ
ウレタン樹脂溶液を得た。
【0067】このグラフト体溶液にプロピレングリコー
ル40部を添加し、30分間還流下でグラフト体側鎖中のマ
レイン酸無水物と反応させた後、室温まで冷却した。次
いでこれにトリエチルアミン20部を添加し中和した後に
イオン交換水 320部を添加し30分間撹拌した。その後、
加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去し、最終的な水
分散体(A-2)とした。生成した水分散体は乳白色で平均
粒子径70nm、25℃におけるB型粘度は50cps であった。
なお、ポリエステル部分を加水分解することにより得ら
れるグラフト側鎖部分のポリスチレン換算の重量平均分
子量は8000であった。また、主鎖−側鎖の相溶性の評価
の結果は○であった。
【0068】変性ポリエステル樹脂及び変性ポリエステ
ル樹脂水分散体(A-3)の製造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレ
ート 182部、ジメチルイソフタレート 178部、エチレン
グリコール 186部、BPE20F(ビスフェノールA のEO付加
物、三洋化成社製)448 部、およびテトラ−n−ブチル
チタネート0.52部を仕込み、 160℃〜220 ℃まで4時間
かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマル酸17
部を加え200℃から 220℃まで1時間かけて昇温し、エ
ステル化反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反
応系を徐々に減圧したのち0.2mmHg の減圧下で1時間30
分反応させ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエ
ステル樹脂は淡黄色透明であり、ポリスチレン換算の重
量平均分子量は20000 であった。また、NMR 等により測
定した組成は次の通りであった。テレフタル酸47モル
%;イソフタル酸46モル%;フマル酸7モル%;エチレ
ングリコール30モル%;BPE20F70モル%。
【0069】次に、撹拌機、温度計、還流装置と定量滴
下装置を備えた反応器に上記のポリエステル樹脂60部、
メチルエチルケトン70部、イソプロピルアルコール20
部、マレイン酸無水物12部をいれ加熱、撹拌し還流下で
樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、スチレン11部、α
−メチルスチレンダイマー2部、アクリルアミドメチル
プロパンスルホン酸2部、アゾビスイソブチルニトリル
1.2部をメチルエチルケトン25部、イソプロピルアルコ
ール5部、水6部の混合溶液に溶解した溶液を、1.5時
間かけてポリエステル溶液中に滴下し、さらに3時間反
応させ、変性ポリエステル樹脂溶液を得た。このグラフ
ト体溶液にエチレングリコール20部を添加し、30分間還
流下でグラフト体側鎖中のマレイン酸無水物と反応させ
た後、室温まで冷却した。次いでこれにトリエチルアミ
ン20部を添加し中和した後にイオン交換水 160部を添加
し30分間撹拌した。その後、加熱により媒体中に残存す
る溶媒を溜去し、最終的な水分散体(A-1)とした。生成
した水分散体は乳白色で平均粒子径100nm 、25℃におけ
るB型粘度は50cps であった。なお、ポリエステル部分
を加水分解することにより得られるグラフト側鎖部分の
ポリスチレン換算の重量平均分子量は10000 であった。
また、主鎖−側鎖の相溶性の評価の結果は○であった。
【0070】変性ポリエステル樹脂及び変性ポリエステ
ル樹脂水分散体(A-4)の製造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステ
ンレススチール製オートクレーブにテレフタル酸ジメチ
ル45.6部、イソフタル酸ジメチル45.6部、5-ナトリウム
スルホイソフタル酸ジメチル5.96部、エチレングリコー
ル46.5部、BPE20F(ビスフェノールA のEO付加物、三洋
化成社製) 112部、およびテトラ−n−ブチルチタネー
ト0.01部を仕込み、 160℃〜220 ℃まで4時間かけてエ
ステル交換反応を行なった。次いでフマル酸1部を加え
200℃から 220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化
反応を行なった。次いで 255℃まで昇温し、反応系を徐
々に減圧したのち0.2mmHg の減圧下で1時間30分反応さ
せ、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹
脂は淡黄色透明であり、ポリスチレン換算の重量平均分
子量は12000 であった。また、NMR 等により測定した組
成は次の通りであった。テレフタル酸47モル%;イソフ
タル酸47モル%;5-ナトリウムスルホイソフタル酸4モ
ル%;フマル酸2モル%;エチレングリコール30モル
%;BPE20F70モル%。
【0071】次に、撹拌機、温度計、還流装置と定量滴
下装置を備えた反応器に上記のポリエステル樹脂66部、
メタクリル酸メチル14部、フマル酸ジブチル5部、グリ
セリンモノメタクリレート10部、メタクリル酸7部、イ
ソプロピルアルコール16部をいれ加熱、撹拌し還流下で
樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、スチレン8部、水
180部を順に添加した後、スチレンスルホン酸ナトリウ
ム1部を水40部に溶解したものを添加した。その後、過
硫酸カリウム1部を水10部に溶解した溶液を添加し、70
℃において4時間反応させ、変性ポリエステル樹脂水分
散体(A-4)とした。生成した水分散体は乳白色で平均粒
子径150nm 、25℃におけるB型粘度は60cps であった。
なお、ポリエステル部分を加水分解することにより得ら
れるグラフト側鎖部分のポリスチレン換算の重量平均分
子量は30000 であった。また、主鎖−側鎖の相溶性の評
価の結果は○であった。
【0072】脂肪族ポリエステル樹脂及び水分散体(B-
1)の製造例 撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したガラ
ス製フラスコにアジピン酸 730部、ネオペンチルグリコ
ール 401部、エチレングリコール 443部、およびテトラ
−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、 160℃〜240
℃まで5時間かけてエステル化反応を行なった。次い
で、 230℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち0.
2mmHg の減圧下で1時間反応させた後、無水トリメリッ
ト酸19.2部を加え、 220℃で30分反応させた。このよう
にして得られたポリエステルのポリスチレン換算の重量
平均分子量は15000 であった。
【0073】次に、撹拌機、温度計、還流装置と定量滴
下装置を備えた反応器に上記のポリエステル樹脂60部、
メチルエチルケトン70部、イソプロピルアルコール20部
をいれ加熱、撹拌し還流下で樹脂を溶解した。樹脂が完
溶した後、これにトリエチルアミン20部を添加し中和し
た後にイオン交換水 140部を添加し30分間撹拌した。そ
の後、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去し、最終
的な水分散体(B-1)とした。生成した水分散体は乳白色
で平均粒子径300nm 、25℃におけるB型粘度は200cpsで
あった。
【0074】樹脂水分散体(B-2)の製造例 温度計、撹拌機、還流式冷却器を具備した反応器中にジ
メチルホルムアミド100 部、スチレン40部、マレイン酸
無水物40部、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸
20部を添加し、溶解した後、アゾビスイソブチロニトリ
ル5部を添加し80〜100 ℃で四時間反応させ、スチレン
−マレイン酸無水物−アクリルアミドメチルプロパンス
ルホン酸共重合体を得た。これを減圧下で乾燥した。次
に温度計、撹拌機、還流式冷却器を具備した反応器中に
乾燥させたスチレン−マレイン酸無水物−アクリルアミ
ドメチルプロパンスルホン酸共重合体 100部、トリエチ
ルアミン20部、水 400部を順に加え加熱し、樹脂の水溶
液とした。
【0075】実施例1 Zn-Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2、Ni=13.9%)
に、変性ポリエステル樹脂(A-1)70g/l 、リン酸Mn10g/
l 、リン酸5g/l、粒子径8〜11nmのコロイダルシリカ
(日産化学社製、スノーテックST−O−S)6g/lとな
るように配合した水溶液をロールで塗布し、 130℃で乾
燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成し
た。
【0076】実施例2 Zn-Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2、Ni=13.9%)
に、変性ポリエステル樹脂(A-2)70g/l 、リン酸Ca10g/
l 、リン酸5g/lとなるように配合した水溶液をロールで
塗布し、 130℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるよ
うに皮膜を形成した。
【0077】実施例3 Zn-Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2、Ni=13.9%)
に、変性ポリエステル樹脂(A-3)70g/l 、リン酸Sr10g/
l 、リン酸5g/l、粒子径4〜6nmのコロイダルシリカ
(日産化学社製、スノーテックST−O−XS)6g/lと
なるように配合した水溶液をロールで塗布し、 130℃で
乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成し
た。
【0078】実施例4 Zn-Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2、Ni=13.9%)
に、変性ポリエステル樹脂(A-4)60g/l 、リン酸Mn2g/
l、リン酸Ca8g/l、リン酸22g/l 、粒子径40〜50nmのコ
ロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックST-O-L)
6g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、 1
30℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を
形成した。
【0079】比較例1 Zn-Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2、Ni=13.9%)
に、ポリエステル樹脂(B-1)70g/l 、リン酸Mn10g/l 、
リン酸2g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布
し、 130℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように
皮膜を形成した。
【0080】比較例2 Zn-Ni 系合金めっき鋼板(目付量:30g/m2、Ni=13.9%)
に、樹脂(B-2)70g/l、リン酸Mn10g/l 、リン酸12g/l
となるように配合した水溶液をロールで塗布し、 130℃
で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成
した。
【0081】
【表1】 以上より、本発明のクロムフリー金属表面処理用組成液
で処理して表面皮膜を形成させると、該皮膜は密着性に
優れ、金属板は耐食性に優れていることがわかる。
【0082】
【発明の効果】本発明における金属表面処理材はクロム
を使用しない、いわゆる無公害型のノンクロメート処理
材として、従来、自動車、家電、建材分野で使用されて
いる塗布型クロメート、電解型クロメート、樹脂型クロ
メート及び反応型クロメートなどの全てのクロメート材
の代替として使用することが可能である。また、クロム
を使用しない無公害表面処理材であることから、容器関
連、食器関連、玩具類、屋外用建材に至るまでの幅広い
用途に有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変性樹脂(A)100 重量部、リン酸2〜60
    重量部、無機金属化合物(B) 0.015〜1.5 グラム部を含
    み、前記の変性樹脂(A)及び無機金属化合物(B)が下記
    (1)〜(4) の要件を満たすことを特徴とするクロムフリ
    ー金属表面処理用組成液。 (1) 変性樹脂(A)が、主鎖が全カルボン酸成分中、芳香
    族ジカルボン酸を60モル%以上含むポリエステル、また
    は、それを用いたポリエステルポリウレタンであり、側
    鎖がラジカル重合性単量体の重合体であるグラフト生成
    物である。 (2) 変性樹脂(A)のグラフト化された側鎖を構成するラ
    ジカル重合性単量体の重合体において、Q-e 値における
    e値が0.9 以上の電子受容性単量体とe値が-0.6以下の
    電子供与性単量体の重量和が、全ラジカル重合性単量体
    の少なくとも50重量%を占め、側鎖を構成するラジカル
    重合性単量体の重合物において、Q-e 値におけるe値が
    0.9 以上の電子受容性単量体とe値が-0.6以下の電子供
    与性単量体のそれぞれが全ラジカル重合性単量体の少な
    くとも20重量%を占める。 (3) 変性樹脂(A)のグラフト化された側鎖を構成するラ
    ジカル重合性単量体の重合体において、芳香族系ラジカ
    ル重合性単量体が全ラジカル重合性単量体の少なくとも
    10重量%を占める。 (4) 無機金属化合物(B) がCu、Co、Fe、Mn、Sn、V 、M
    g、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y 、Znのリン酸系化合物の1
    種あるいは2種以上である。
  2. 【請求項2】 粒子径1〜12nmのSiO2、Fe2O3 、Fe
    3O4 、MgO 、ZrO2、SnO2、Al2O3 、Sb2O5 等の無機微粒
    子状物の1種あるいは2種以上を10〜300 重量部含む請
    求項1記載の金属表面処理用組成液。
  3. 【請求項3】 表面を請求項1記載の表面処理組成液で
    処理することにより得られ、表面の皮膜量が 0.3〜10g/
    m2であることを特徴とする表面処理金属材料。
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KR100484596B1 (ko) * 2002-10-31 2005-04-20 윤명중 내식성이 우수한 유무기 복합형 아연도금강판용 크로메이트 대체 처리 용액을 이용한 아연도금강판의 제조방법
WO2015080463A1 (ko) * 2013-11-27 2015-06-04 주식회사 포스코 무방향성 전기 강판 조성물, 무방향성 전기 강판 제품의 제조 방법 및 무방향성 전기 강판 제품

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