JP3901871B2 - 樹脂塗装金属材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、めっき鋼板、合金めっき鋼板、合金板、珪素鋼板、ステンレス鋼板、これらの材質の形鋼、パイプ、線材、成形済みの金属体などの表面に塗布、乾燥して形成された防錆皮膜を有し、さらには樹脂が塗装された金属材料に関するものであり、これらの塗装金属材料の中でも金属材料にクロムを含まない表面処理液により防錆被膜が施された、樹脂塗工金属材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷延鋼板、Znめっき鋼板、Zn-Ni 系、Zn-Ni-Co系、Zn-Ni-Cr系、Zn- Fe系、Zn-Co 系、Zn-Cr 系、Zn-Mn 系等のZn系合金めっき鋼板あるいはNi、Cu、Pb、Sn、Cd、Al、Ti等の金属めっき鋼板あるいはこれら金属の合金めっき鋼板、等は、通常、耐蝕性を改善するために、クロメート処理してクロメート皮膜を形成することが一般的に行われ、さらにその上に樹脂の表面塗装を行っている。
【0003】
このクロメート処理は大別すると電解型クロメート処理、塗布型クロメート処理に分けることができる。電解型クロメートはクロム酸を主成分とし、各種化合物を添加して鋼板を陰極電解処理することによりクロメート皮膜を形成する。
塗布型クロメートは3価及び6価クロムを主成分とし、無機コロイド化合物、無機アニオン及び無機カチオン化合物などを含有する液を塗布することによりクロメート皮膜を形成する。
【0004】
また、塗布型クロメートの1種であるが、有機樹脂を添加した塗布型クロメート、いわゆる樹脂型クロメートが最近開発されている。
例えば、クロム酸の中にアモルファスシリカ、リン酸化合物、ポリアクリル酸で構成し、かつ、皮膜最表層のC/Si比を特定する処理法( 特開平2-163385号公報)、クロメート液中にメチルメタクリレート等の共重合体のアクリル系共重合体のエマルジョンを特定条件で添加して処理する方法( 特開平2-179883号公報)、クロム酸、クロム酸還元生成物、アクリルエマルジョン、シリカゾルを特定条件で含有する液を塗布する方法( 特開平3-215683号公報)、クロム酸、クロム酸還元生成物、アクリルエマルジョン、湿式タイプシリカゾルを特定条件で含有する液を処理する方法( 特開平3-215681号公報)、エチレン系不飽和カルボン酸成分、水酸基含有モノマ- 成分、その他のエチレン系不飽和化合物からなる水性エマルジョンと水溶性クロム化合物と無機化合物の水系コロイド及び両性金属と反応して難水溶性塩を形成する無機物とを混合してなる金属表面処理用組成物(特開平5-230666号公報) 等を挙げることができる。
【0005】
クロメート皮膜のうち電解によって形成されたクロメート皮膜はCrの溶出は少ないものの耐食性は充分とは言えず、また、加工時の皮膜の耐疵付性は悪く、従って加工後の耐食性は極端に低下する。また、塗布型によって形成されたクロメート皮膜は処理後そのままの状態で使用するとクロメート皮膜中のクロム成分が溶出し易く、公害上支障をきたすため、好ましくない。また,耐食性及び塗料密着性も必ずしも充分では無く、加工時においても皮膜に疵が付きやすく加工後の耐食性もかなり低下する。
また、樹脂型クロメート処理は処理液がゲル化したり層分離し易く、浴寿命が短い点、及び形成された皮膜の耐クロム溶出性の点で不充分である。
【0006】
一方、最近の傾向として環境及び公害問題から、クロム(特に6価クロム) に関する規制が大幅に強化されようとしている。それに応じてクロムを用いない耐食性被覆組成物の開発が行われている。例えば不飽和カルボン酸を特定量含有する重合性不飽和単量体を重合して得られる乳化重合体を被覆するもの(特開平5-222324号公報)、アセトアセチル基含有合成樹脂水性分散液を主剤として被覆するもの(特開平5-148432号公報)、特殊ケト酸と陽イオン、アミン、グアニジン、アミジンから選択される塩基との実質的に非水溶性のモノ- 又はポリ- 塩基性塩の混合物を被覆するもの(特開平5-70715 号公報),不飽和カルボン酸-グリシジル基を有する不飽和単量体- アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマー- アクリル酸アルキルエステルの共重合体樹脂を被覆するもの(特開平3-192166号公報) 等をあげることができる。いずれも特殊樹脂あるいは特殊樹脂と無機化合物を混合したものを被覆するものであるが, 耐食性は悪くかなり厚く(例えば3〜5μ)皮膜を形成しても充分な耐食性を確保することは出来ない。また、鉄や各種めっき鋼板など各種金属との密着性も必ずしも良くなく、特にウエットな環境下では密着性は著しく低下し、皮膜は剥離し脱落する。ウエットな環境下でも優れた密着性を維持できる皮膜は皆無である。また、形成された皮膜は加工時破壊されやすく、かつ、剥離し易い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、本発明は上記従来の技術の欠点を解決し、金属、めっき鋼板、合金めっき鋼板、無機物を分散させためっき鋼板、合金板、珪素鋼板、ステンレス鋼板等、また、鋼材においても冷延鋼板、黒皮熱延鋼板、酸洗熱延鋼板、厚板、形鋼、パイプ、線材などの上に、極めて優れた耐食性及び塗料密着性を示すクロムフリーの表面処理皮膜を有し、さらにはその上に樹脂による表面塗装が施された耐食性、密着性に優れた樹脂塗装金属材料を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の通りである。
(1)少なくとも金属材料、クロムを含有しない厚さ5μm以下の表面処理層、樹脂の塗膜層が順次積層された樹脂塗装金属材料において、当該樹脂塗装金属材料の樹脂塗装層表面を金属材料層まで到達するまでナイフによりX字型に切れ込みを入れ、これをJIS Z 2371に規定された塩水噴霧処理したときの、塩水噴霧360時間後の樹脂塗装層の最大膨れ幅が5mm以下であることを特徴とする樹脂塗装金属材料。
(2)金属材料が金属メッキされた材料である上記(1)の樹脂塗装金属材料。
(3)樹脂塗装金属材料がプレコートメタルであることを特徴とする(1)又は(2)の樹脂塗装金属材料。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願発明の樹脂塗装金属材料は、少なくとも金属基材、クロムを含有しない厚さ5μm以下の表面処理層、樹脂塗膜層が順次積層された塗装金属材料において、当該塗装金属材料の樹脂塗装層表面を金属基材まで到達するまでナイフによりX字型に切れ込みを入れ(クロスカット)、これをJIS Z 2371に規定された塩水噴霧処理したときの、塩水噴霧360時間後の樹脂塗装層の最大膨れ幅が5mm以下であることを特徴とする樹脂塗装金属材料である。
【0010】
表面処理層が5μmを越えると、樹脂塗膜を塗装する前に溶接を行う場合に溶接の熱により表面処理層が炭化し、溶接特性が劣ったり、樹脂塗膜形成を電着塗装で行う場合に電着塗装が均一に行えなくなり好ましくない。表面処理層の厚さは3μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2μmであり、最も好ましくは1.5μm以下である。
【0011】
樹脂塗装層の最大膨れ幅が5mmを越えるような塗装金属材料では樹脂塗装層面にピンホールが発生したり、傷が付いたりした場合にその部分から急速に錆が広がり、塗膜層が剥離するため実用に耐えられなくなる。膨れ幅は、3mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mm以下である。
【0012】
本発明の塗装金属鋼板としては家電製品や自動車の車体等への多様な展開が可能性の面から、冷間圧延鋼板に金属メッキが施されているものを用いることが好ましく、金属メッキとしては、ZnまたはZn系合金の電解メッキ、または溶融メッキが好ましく、Zn系合金メッキとしては亜鉛−ニッケルメッキが好ましい。
【0013】
このようなメッキ金属材料の場合は、その防錆性能を正確に評価するためにはナイフの切れ込みはメッキ層までにとどめる必要がある。
【0014】
本願発明の塗装金属材料の膨れ幅を5mm以下にするためには適正なクロムを含まない金属表面処理剤を選択し、この表面処理剤により、金属表面を処理し、強固な防錆被膜を形成し、その上に樹脂塗装被膜を施す必要がある。金属表面処理剤としては、例えば、アルミニウム塩と無機酸化物粒子、および/またはアルミニウムと酸素とこれら2つ以外の少なくとも1種類の元素を含むアルミニウム含有無機酸化物粒子と、アルミニウム以外の金属の塩と、リン化合物と、樹脂および/またはその前駆体を構成成分とし、クロムを含有しない金属表面処理剤を挙げることができる。
この例示の表面処理剤を用いるとにより形成された表面処理層は各種金属と極めて優れた密着性を確保し、加工後の裸耐食性に優れ、かつ、各種塗装膜の有機樹脂との密着性にも優れる。この優れた密着性を達成するには有機樹脂を含むことが好ましい。この優れた金属材料や塗装塗膜との密着性は有機樹脂とアルミニウム塩と無機酸化物粒子、および/またはアルミニウムと酸素とこれら2つ以外の少なくとも1種類の元素を含むアルミニウム含有無機酸化物粒子と、アルミニウム以外の金属の塩と、リン化合物との組み合わせにより確保される。また、コロイダルシリカ等の無機酸化物粒子やアルミニウム表面処理コロイダルシリカ等のアルミニウムと酸素とこれら2つ以外の少なくとも1種類の元素を含むアルミニウム含有無機酸化物粒子が処理層中に存在することにより極めて優れた裸耐食性が確保することが出き好ましい。これらが存在することにより、処理層中の有機樹脂、アルミニウム塩、アルミニウム以外の金属の塩、リン化合物と相互作用をもち、鋼板表面から処理層成分が脱落しにくくなり、耐食性が向上したものと考えられる。
【0015】
以下、まず本発明の表面処理金属材料を得るために使用する表面処理剤の例について説明する。
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る金属表面処理剤は、アルミニウム塩と無機酸化物粒子、および/またはアルミニウムと酸素とこれら2つ以外の少なくとも1種類の元素を含むアルミニウム含有無機酸化物粒子(以下、単にアルミニウム含有無機酸化物粒子という)と、アルミニウム以外の金属の塩と、リン化合物と、樹脂および/またはその前駆体を構成成分とし、クロムを含有しない金属表面処理剤であることが好ましい。
【0016】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤の樹脂および/またはその前駆体は金属表面処理剤中の、アルミニウム塩と無機酸化物粒子、および/またはアルミニウム含有無機酸化物粒子と、アルミニウム以外の金属の塩と、リン化合物と、その他の溶媒以外の成分を金属表面上に強固な膜として固定する役割を担う。表面処理剤中に用いられる樹脂とは、分子量1000以上のものであって特に限定されるものではなく、分子量は好ましくは1500以上、更に好ましくは2000以上である。本発明の樹脂前駆体とはそれ自身は樹脂と表現できる分子量は持たないが、金属表面に付着後、自然放置、熱、電磁波などにより反応を起こし、樹脂被膜を形成する能力のあるものである。具体的には各種樹脂のモノマー類、オリゴマー類である。
【0017】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤の樹脂および/またはその前駆体の含有量は、金属表面処理剤中の全構成成分中、好ましくは30−80重量%、より好ましくは40−80重量%である。
【0018】
樹脂としては、重合系樹脂、重縮合系樹脂、付加重合系樹脂、セルロース系樹脂、天然ゴム、ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0019】
重合系樹脂としては、ポリアクリル酸エステル及びその共重合体、ポリメタクリル酸エステル及びその共重合体、ポリスチレンおよびその共重合体、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体、ポリアクリロニトリル及びその共重合体、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、ポリビニルピロリドンおよびその重合体、ポリブタジエン及びその共重合体樹脂、ポリイソプレン及びその共重合体樹脂、ポリネオプレン及びその共重合体、ポリエチレン及びその共重合体、ポリプロピレン及びその共重合体などの二重結合含有化合物の重合体やポリエチレンオキサイドおよびその共重合体、ポリプロピレンオキサイドおよびその共重合体、ポリテトラメチレンオキサイドおよびその共重合体、ポリエチレンイミンおよびその共重合体など開環重合型樹脂が挙げられる。これらの前駆体としてはこれら樹脂のモノマーやオリゴマーが挙げられる。
【0020】
重縮合系樹脂としてはポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、これらの共重合体などが挙げられ、前駆体としてはこれらのモノマーやオリゴマーが挙げられる。付加重合系樹脂としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前駆体としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物やそのブロック体、などが挙げられる。また、ポリエステルポリアミド、ポリウレタン変成ポリエステル、エポキシ変成ポリエステル、などの樹脂変成物も挙げられる。
【0021】
更にこれら、樹脂類およびその前駆体を金属表面に付着させた後、フェノール樹脂やアミノ樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、等で硬化させることも本発明の樹脂および/またはその前駆体の範疇に入ることは言うまでもない。
【0022】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤の樹脂および/またはその前駆体は処理液中に溶解、または分散した状態で含まれる。溶剤は有機系溶剤か水系溶剤かを特に選ぶものではないが、通常、処理液は水系の溶剤で用いられるため、樹脂は水に溶解または分散している形態が好ましい。
【0023】
樹脂および/またはその前駆体を水系の溶剤に溶解させるためには樹脂および/またはその前駆体中に水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、やこれらの塩、エーテル基、など親水性の官能基を導入する。この中でも特に水酸基が好ましい。樹脂および/またはその前駆体を分散させるためには、上記の官能基を導入したり、界面活性剤を添加する。樹脂および/またはその前駆体にこれら官能基を導入する方法としては、それぞれの官能基を含有するモノマーを用いる方法や樹脂合成後に導入するなど公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。
【0024】
樹脂および/またはその前駆体を溶解または分散させる方法としては、樹脂および/またはその前駆体を直接水や熱水に溶解・分散させる方法、水と装用する有機溶媒に溶解後に水を加える方法、重合系樹脂においてはエマルション重合後そのまま用いる方法など公知の方法が挙げられる。
【0025】
これらの樹脂および/またはその前駆体の中でも、本発明の処理液としては、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリウレタン、アクリル変性ポリエステルポリウレタン樹脂が好ましい。
【0026】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤において、アクリル系樹脂では、水酸基含有アクリル系モノマー単独からなる樹脂、あるいは水酸基含有アクリルモノマーと他のモノマーを共重合させた樹脂やこれらモノマーからなる重合物を他の樹脂に結合させたものが更に好ましい。
【0027】
なお、以後単に%と示す場合は重量%を意味し、部とあるのは重量部を示す。水酸基含有アクリル系モノマー成分の例としては、(メタ)アクリル酸−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、(メタ)アクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−クロル−2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類、アリルアルコール類及びN−メチロールアクリルアミド類、の水酸基を含有するモノマー及び酸性液中で水酸基と同様な反応性を期待できるグリシジル(メタ)アクリレートアリルグリシジルエーテル、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基を有するモノマー、アクロレインアミドのアルデヒド基を有する、モノマーが使用できるが、特に好ましくはアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。(メタ)アクリル酸の表現はは、メタアクリル酸及び/又はアクリル酸を表している。
【0028】
他の有機モノマーとしてエチレン系不飽和カルボン酸やその他のエチレン系不飽和化合物のいずれか1者或いは2者を同時に使用することが好ましい。エチレン系不飽和カルボン酸成分としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸などのエチレン系不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのエチレン系不飽和ジカルボン酸と、それらのカルボン酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が使用できる。また、その他のエチレン系不飽和化合物としては、エチレン系不飽和カルボン酸化合物としては、エチレン系不飽和カルボン酸成分と水酸基含有モノマー成分の例示以外のエチレン系不飽和化合物であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステルやその他のビニル化合物芳香族ビニル化合物などである。
【0029】
これらモノマーからなる重合物を結合させる樹脂とは、上記の重合系樹脂、重縮合系樹脂、付加重合系樹脂、セルロース系樹脂、天然ゴム、ポリシロキサンなどが挙げられる。
【0030】
上記モノマーからなる重合物を樹脂と結合させる方法としては、樹脂中に上記モノマーとラジカル重合できるような官能基を導入したり、樹脂中にラジカルを発生させ、その樹脂の存在下に上記モノマーを重合させるグラフト重合による方法、上記モノマーを重合後、上記モノマーの重合体に導入した官能基と樹脂中の官能基とを直接反応させる方法、上記モノマーの重合体に導入した官能基と樹脂中の官能基とをイソシアネート化合物やエポキシ化合物などで結合させる方法等が挙げられる。
【0031】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤において、ポリエステル樹脂は主にジカルボン酸性分とグリコール成分を反応させたものである。芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げることができる。不飽和二重結合を含有するジカルボン酸としては、α、β−不飽和ジカルボン酸類としてフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。さらにp−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、あるいはヒドロキシピバリン酸、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸類も必要により使用できる。
【0032】
一方、グリコ−ル成分は炭素数2〜10の脂肪族グリコ−ルおよびまたは炭素数が6〜12の脂環族グリコ−ルおよびまたはエ−テル結合含有グリコ−ルよりなり、不飽和結合を含有するグリコールも使用できる。炭素数2〜10の脂肪族グリコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グリコ−ルとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、トリシクロデカンジメチロール等を挙げることができる。
【0033】
エ−テル結合含有グリコ−ルとしては、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、さらにビスフェノ−ル類の2つのフェノ−ル性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコ−ル類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることが出来る。ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルも必要により使用しうる。
【0034】
不飽和結合を含有するグリコールとしては、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル等を挙げることができる。
【0035】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤に使用されるポリエステル樹脂中に0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/又はポリオ−ルが共重合されるが3官能以上のポリカルボン酸としては(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。一方3官能以上のポリオ−ルとしてはグリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオ−ルは、全酸成分あるいは全グリコ−ル成分に対し0〜5モル%、望ましくは、0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を越えると充分な加工性が付与できなくなる。好ましい組成は、ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸50〜100モル%、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸0〜50モル%を含む。また、本発明で使用されるポリエステル樹脂は、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物などの酸無水物を分子末端に付加させたものも使用できる。
【0036】
ポリエステルを水系溶媒に溶解または分散させるためには、前述の親水性基を含有するジカルボン酸性分かジオール成分の少なくともいずれか一方を共重合させる。
【0037】
親水性基含有ジカルボン酸としては、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホこはく酸などのスルホン酸基含有ポリカルボン酸及び誘導体が、メチル−2,3−ジカルボキシプロピルリン酸などのリン酸基含有ポリカルボン酸が挙げられる。
【0038】
親水基含有ジオールとしては、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-テトラブチルホスホニウム、スルホイソフタル酸、ナトリウムスルホこはく酸などのアルキレンオキサイド付加物、ナトリウムスルホビスフェノールA、2−ナトリウムスルホ−1,4−ブタンジオールなどスルホン酸基含有ジオール及びその誘導体やビス(ヒドロキシメチル)リン酸ナトリウム、ビス(2−ヒドロキシエトキシメチル)リン酸ナトリウムなどのリン酸基含有ジオール及びその誘導体が挙げられる。また、親水性基含有ジオールとしては、分子量100以上のポリエチレングリコールも挙げられる。これらの中でも、5-ナトリウムスルホイソフタル酸が特に好ましい。
【0039】
さらにポリエステルを水系溶媒に溶解または分散させる方法としては、先述のようにポリエステルの分子末端にトリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物を付加させることによっても可能である。
【0040】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤において、ポリウレタン樹脂については、ポリオール(a)、有機ジイソシアネート化合物(b)、及び必要に応じて活性水素基を有する鎖延長剤(c)より構成される。ポリオール(a)は各種のポリオールが使用でき、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等の他に、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、セルロース系樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂なども挙げることができ、これらの一種または二種以上を使用することができるが、好ましいポリオールとしてはジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸を含むポリエステルポリオールであり、より好ましくは芳香族ジカルボン酸30〜100モル%、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸0〜40モル%を含むポリエステルポリオールであり、該ポリエステルを全ポリオール中、50〜100wt%含むことが望ましい。
【0041】
有機ジイソシアネート化合物(b)としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、1,3-ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、4,4'-ジイソシアネートジシクロヘキサン、4,4'-ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-ナフタレンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5-ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0042】
必要に応じて使用する活性水素を有する鎖延長剤(c)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、スピログリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミン類などの他に、ジメチロールプロピオン酸などの活性水素を2個以上とその他の官能基を有する化合物なども挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤のにおいて、ポリウレタン樹脂は、ポリオール(a)、有機ジイソシアネート(b)、及び必要に応じて活性水素を有する鎖延長剤(c)とを、(a)+(c)の活性水素/イソシアネート基の比で0.4〜1.3(当量比)の配合比で反応させて得られるポリウレタン樹脂であることが必要である。
【0044】
なお、ポリウレタン樹脂中の不飽和結合は上記の(a)、(b)、(c)中に含有させることができ、例えば、(c)に不飽和結合を含有させる場合はグリセリンモノアリルエーテル、グリセロールモノメタクリレートなどのグリコールを使用することが出来る。
【0045】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤のポリウレタン樹脂は、公知の方法、溶剤中で20〜150℃の反応温度で触媒の存在下あるいは無触媒で製造される。この際に使用する溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用できる。反応を促進するための触媒としては、アミン類、有機錫化合物等が使用される。
【0046】
ポリウレタンを水系溶媒に溶解または分散させる方法としては、ポリオール(a)に水系溶媒に溶解又は分散可能なポリオールを用いる方法、具体的には、前述した水系溶媒に溶解または分散可能なポリエステルを用いる、分子量100以上のポリエチレングリコールを用いる等の方法や前述の親水基含有の鎖延長剤(c)を用いる方法がある。
【0047】
親水基含有の鎖延長剤としては、前述のポリエステルの部分で述べた親水性基含有ジオール、他にはグリセリン酸、ジメチロールプロピオン酸、N,N-ジエタノールグリシン、ヒドロキシエチルオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、ジアミノプロピオン酸、ジアミノ安息香酸などのアミノカルボン酸及びその誘導体がある。
【0048】
また、他の方法としては、ポリウレタン製造時にイソシアネート基が過剰になるようにイソシアネート化合物を用いてイソシアネート末端ポリウレタンを作り、これに多価アルコール化合物を反応させる方法もある。多価アルコール化合物としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを使用することができる。
【0049】
エポキシ樹脂としては、分子内にエポキシ基を複数持ったエポキシ化合物それ自体、または、エポキシ化合物とヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、酸無水物、アミノ基等のエポキシ基と反応可能な基を複数持った化合物との反応物である。エポキシ化合物としては、二価のアルコール、フェノール、これらのフェノール類の水素化生成物及びハロゲン化生成物、ノボラック類(多価フェノール類とホルムアルデヒドなどのアルデヒド類との酸性触媒存在下での反応生成物)より得られるエポキシ化合物、それらの脂肪酸などの酸変性体の1種または2種以上の混合物が使用できるが、その中で好適なものとしては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添化ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物及びそれらの変性体などが挙げられる。
【0050】
ポリエステルをそのまま、または前述の酸末端にし、エポキシ化合物と反応させたエポキシ変性ポリエステル樹脂も使用することができる。
【0051】
また、不飽和結合の導入については、不飽和酸化合物や不飽和アミン化合物などのエポキシ樹脂中のエポキシ基やヒドロキシル基との反応性の高い官能基を有する不飽和化合物を反応させることで可能である。不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸及びその無水物、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート(商品名Phosmer M等、ユニケミカル製)などが使用でき、不飽和アミン化合物として、アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチルなどが使用できる。その場合、ピリジンなどの各種触媒下で行うことも可能である。また、エポキシ変性ポリエステル樹脂の場合はポリエステルに不飽和基を導入しておきことも可能である。
【0052】
エポキシ樹脂を水系溶媒に溶解または分散させる方法としては、エポキシ化合物の反応相手として、前述のポリエステルの部分で述べた親水性基含有多価カルボン酸や多価ジオールをて用いる方法、ジアミノプロピオン酸、ジアミノ安息香酸などのアミノカルボン酸及びその誘導体を用いる方法等があり、エポキシ変性ポリエステル樹脂の場合は前述した水系溶媒に溶解または分散可能なポリエステルを用いる方法が挙げられる。また、エポキシ基を過剰にし、エポキシ末端のエポキシ樹脂とした後、ポリカルボン酸化合物と反応させてカルボン酸末端にし、場合によってこれを中和し塩とすることでも可能である。ポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)などが上げられる。
【0053】
アクリル変性ポリエステル樹脂とは、5〜1000mol/106gの不飽和結合を有する重量平均分子量1000〜100000のポリエステル樹脂(A)と、不飽和単量体混合物より得られる重合体(B)が化学的に結合した樹脂であり、(B)が、150℃以下の温度において(A)を溶解することが出来る不飽和単量体(B−1)、ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体(B−2)、酸または塩基で中和されているイオン性の不飽和単量体(B−3)を含むことを特徴とするアクリル変性ポリエステル樹脂である。
【0054】
以下に各項について説明する。
(樹脂A)
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤において、ポリエステル樹脂Aは分子内に不飽和結合を有する、重量平均分子量1000〜100000の樹脂であり、グラフト体の主鎖を形成するポリエステル樹脂である。分子内に含まれる不飽和結合量は、5〜1000mol/106gであることが好ましい。5mol/106g未満であると、十分なグラフト化を行いにくいことによりアクリル変性による効果が見られず、また、1000mol/106gを越えるとグラフト化の際にゲル化などが観察されるため、好ましくない。
【0055】
不飽和結合の導入に関しては、前述のようにポリエステル中に不飽和結合を有する共重合可能なジカルボン酸やグリコールを使用することができるが、その他にも、ポリエステル末端のカルボキシル基及びヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を含有する不飽和化合物を反応させて導入することが可能である。例えば、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有不飽和単量体、メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有不飽和単量体、マレイン酸無水物などの不飽和酸無水物などが使用できる。
【0056】
ポリエステル樹脂Aとして用いられるジカルボン酸やグリコールは前述したが、二重結合を導入するために最も好ましいものはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸および2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物である。
【0057】
(樹脂B)
樹脂Bは、150℃以下の温度においてポリエステル樹脂(A)を溶解することが出来る不飽和単量体(B−1)、ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体(B−2)、酸または塩基で中和されているイオン性の不飽和単量体(B−3)を含むモノマーからなることを特徴とする。
【0058】
150℃以下の温度において樹脂(A)を溶解することが出来る不飽和単量体(B−1)は、塗膜中での樹脂(A)と樹脂(B)の相溶性を改善するものとして働く。なお、150℃以下の温度で樹脂(A)を溶解することが出来る不飽和単量体とは、樹脂(A)100部に対して不飽和単量体200部を添加し、150℃以下の温度で、樹脂(A)を溶解できる不飽和単量体を指す。溶解性の有無に関する大まかな目安としては、ポリエステル樹脂(A)を溶解できる、芳香族系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤及びこれらの混合溶剤に構造が類似した不飽和単量体の中から選ぶことが出来る。以下に例示する。
【0059】
汎用の芳香族系溶剤と構造の類似した不飽和単量体:スチレン、スチレン誘導体
汎用のエステル系溶剤と構造の類似した不飽和単量体:(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル、ビニルエステル類
汎用のエーテル系溶剤と構造の類似した不飽和単量体:ビニルエーテル類、(メタ)アクリル酸グリコールエーテルエステル類
その他の溶剤と構造の類似した不飽和単量体:N,N−ジメチルアクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリンなど
【0060】
これらの不飽和単量体の1種または2種以上を使用することができる。これらのうちで、好ましいのは、スチレン及びその誘導体や(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステルであり、より好ましくはスチレン及びその誘導体と(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステルの混合物である。
ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体(B−2)は、そのヒドロキシル基等の官能基により塗膜に対して硬化性や密着性の付与に寄与する。ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体としては、公知の不飽和単量体が使用できる。水溶性とは、100℃以下の温度においていかなる比率においても水と完全に混和しうることを指す。以下に例示する。
【0061】
ヒドロキシル基含有不飽和単量体:(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど
カルボキシル基含有不飽和単量体:アクリル酸、メタクリル酸など
アミノ基含有不飽和単量体:N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなど
【0062】
これらは1種または2種以上の混合物で使用され、好ましいのは1種以上のヒドロシキル基含有不飽和単量体、1種以上のヒドロキシル基含有不飽和単量体と1種以上のカルボキシル基含有不飽和単量体の混合物、1種以上のヒドロシキル基含有不飽和単量体と1種以上のアミノ基含有不飽和単量体の混合物であり、B−2成分中、ヒドロキシル基含有不飽和単量体は30重量%以上であることが好ましい。
【0063】
酸または塩基で中和されているイオン性の不飽和単量体(B−3)は、塗膜中での不飽和単量体混合物の重合体の会合を起こしやすくする効果があり、硬化効率の改善や密着性低下の抑制に効果があるが、過剰量が含まれる場合には耐水性を低下させる原因となるため、最小限にとどめることが望ましい。これらの不飽和単量体として、塩基により中和された不飽和カルボン酸化合物、不飽和リン酸化合物、不飽和スルホン酸化合物や、4級アンモニウム基含有不飽和単量体などが挙げられる。以下に例示すると、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、スチレンスルホン酸ナトリウム、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート(商品名Phosmer M等、ユニケミカル製)のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ののアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムサルフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムサルフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムホスフェート、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルの酢酸塩、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルの酢酸塩、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられるが、より好ましいのは、強酸・強塩基の組み合わせの不飽和単量体であり、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。また、不飽和単量体B−3については重合後にアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩とすることも可能である。
【0064】
また、樹脂(B)には、多官能性不飽和単量体を含む、その他の公知の各種不飽和単量体も必要に応じて使用可能である。各種不飽和単量体として、各種のビニル化合物、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類などを挙げることができ、それらにより、樹脂Bの溶剤溶解性、Tg、その他の反応性などを調節/付与できる。多官能性不飽和単量体としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールなどを挙げることが出来る。
【0065】
樹脂(B)は、150℃以下の温度において(A)を溶解することが出来る不飽和単量体(B−1)、ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体(B−2)、酸または塩基で中和されているイオン性の不飽和単量体(B−3)を含むことを特徴とするが、樹脂(A)の重量をX、樹脂Bの重量をY、とすると、樹脂(B)/樹脂(A)の重量比(Y/X)は、1/99〜90/10の範囲であることが好ましく、更に好ましくは10/90〜80/20である。樹脂(A)がこの比率よりも少ない場合は樹脂(A)の特性が発現しにくく、この比率よりも多い場合は硬化性の改善などの効果が小さい。
【0066】
また、150℃以下の温度において(A)を溶解することが出来る不飽和単量体(B−1)の重量をY1、ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体(B−2)の重量をY2、酸または塩基で中和されているイオン性の不飽和単量体(B−3)の重量をY3とした場合、0.6≦(Y1+Y2+Y3)/Y≦1.0であることが好ましく、(Y1+Y2+Y3)/Yがこの範囲よりも小さい場合は硬化性の改善などの効果が小さい。不飽和単量体(B−1)については0.005≦Y1/Xかつ0.3≦Y1/Y≦0.7であることが好ましく、Y1/XまたはY1/Yがこの範囲よりも小さい場合は相溶性の付与が困難になる。不飽和単量体(B−2)については0.005≦Y2/Xかつ0.3≦Y2/Y≦0.7であることが好ましく、Y2/XまたはY2/Yがこの範囲より小さい場合は樹脂(B)の硬化性が低下する。不飽和単量体(B−3)についてはY3/X≦0.05かつ0.0001≦Y3/Y≦0.1であることが好ましく、Y3/XまたはY3/Yがこの範囲より大きい場合は耐水性などが低下するので好ましくない。
【0067】
本発明においては、アクリル変性ポリウレタン樹脂とは、前述の二重結合含有ポリエステルAの変わりに二重結合含有ポリウレタン樹脂を用いたものであり、該ポリウレタン樹脂には、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル等の二重結合含有グリセリンが使用される。
【0068】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤においては、アクリル変性ポリエステルポリウレタンとは前述の二重結合含有ポリエステル(A)の代わりに二重結合含有ポリエステルポリウレタン樹脂を用いたものである。他は、アクリル変性ポリエステルと同様である。
【0069】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤におけるアルミニウム塩としとは、たとえば、リン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸2水素アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、フッ化アルミニウム、しゅう酸アルミニウム、蟻酸アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、亜硫酸水素アルミニウム、けい酸アルミニウム、重しゅう酸アルミニウム、重炭酸アルミニウム、重フッ化アルミニウム、重硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、炭酸水素アルミニウム、硫酸水素アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、ヘキサメタリン酸アルミニウム、ポリメタリン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウム等の化合物が挙げられ、特にリン酸アルミニウム、リン酸水素アルミニウム、リン酸2水素アルミニウムが好ましい。
【0070】
また、これらの塩は塩として配合されていなくても、溶媒を含む金属表面処理液中でアルミニウム塩に変化し得るアルミニウム化合物を配合しても良い。また、これらアルミニウム塩は表面処理液に使用する溶媒に溶解し得ることが好ましい。
【0071】
本発明におけるアルミニウム以外の金属の塩としては2価以上の金属の塩が好ましく、アルミニウム以外の金属としては、例えば、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Ba、Mg、Zr、W、Mo、Ca、Sr、Nb、YおよびZnが挙げられ、好ましいのはMn、Mg、Zr、W、Mo、CaおよびSrである。最も好ましいのはMnである。塩としてはリン酸塩、リン酸水素塩、リン酸2水素塩、酢酸塩、蟻酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物、フッ化物、しゅう酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、けい酸塩、重しゅう酸塩、重炭酸塩、重フッ化物、重硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、ポリリン酸塩、次亜リン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ポリメタリン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられ、特にリン酸塩、リン酸水素塩、リン酸2水素塩が好ましい。また、これらの塩は塩として配合されていなくても、溶媒を含む金属表面処理液中で塩と変化し得る化合物を配合しても良い。また、これらアルミニウム以外の金属の塩は表面処理液で溶解し得ることが好ましい。
【0072】
ここでのアルミニウム以外の金属の塩をリン酸系化合物を例に挙げて示すと、リン酸銅、リン酸コバルト、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸スズ、リン酸バナジウム、リン酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸タングステン、リン酸ジルコニウム、リン酸モリブデン、リン酸ストロンチウム、リン酸ニオブ、リン酸イットリウム、リン酸亜鉛、リン酸水素銅、リン酸水素コバルト、リン酸水素鉄、リン酸水素マンガン、リン酸水素スズ、リン酸水素バナジウム、リン酸水素バリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸水素タングステン、リン酸水素ジルコニウム、リン酸水素モリブデン、リン酸水素ストロンチウム、リン酸水素ニオブ、リン酸水素イットリウム、リン酸水素亜鉛、リン酸2水素銅、リン酸2水素コバルト、リン酸2水素鉄、リン酸2水素マンガン、リン酸2水素スズ、リン酸2水素バナジウム、リン酸2水素バリウム、リン酸2水素カルシウム、リン酸2水素マグネシウム、リン酸2水素タングステン、リン酸2水素ジルコニウム、リン酸2水素モリブデン、リン酸2水素ストロンチウム、リン酸2水素ニオブ、リン酸2水素イットリウム、リン酸2水素亜鉛、ポリリン酸銅、ポリリン酸コバルト、ポリリン酸鉄、ポリリン酸マンガン、ポリリン酸スズ、ポリリン酸バナジウム、ポリリン酸バリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸マグネシウム、ポリリン酸タングステン、ポリリン酸ジルコニウム、ポリリン酸モリブデン、ポリリン酸ストロンチウム、ポリリン酸ニオブ、ポリリン酸イットリウム、ポリリン酸亜鉛、次亜リン酸銅、次亜リン酸コバルト、次亜リン酸鉄、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸スズ、次亜リン酸バナジウム、次亜リン酸バリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸タングステン、次亜リン酸ジルコニウム、次亜リン酸モリブデン、次亜リン酸ストロンチウム、次亜リン酸ニオブ、次亜リン酸イットリウム、次亜リン酸亜鉛、トリポリリン酸銅、トリポリリン酸コバルト、トリポリリン酸鉄、トリポリリン酸マンガン、トリポリリン酸スズ、トリポリリン酸バナジウム、トリポリリン酸バリウム、トリポリリン酸カルシウム、トリポリリン酸マグネシウム、トリポリリン酸タングステン、トリポリリン酸ジルコニウム、トリポリリン酸モリブデン、トリポリリン酸ストロンチウム、トリポリリン酸ニオブ、トリポリリン酸イットリウム、トリポリリン酸亜鉛、ヘキサメタリン酸銅、ヘキサメタリン酸コバルト、ヘキサメタリン酸鉄、ヘキサメタリン酸マンガン、ヘキサメタリン酸スズ、ヘキサメタリン酸バナジウム、ヘキサメタリン酸バリウム、ヘキサメタリン酸カルシウム、ヘキサメタリン酸マグネシウム、ヘキサメタリン酸タングステン、ヘキサメタリン酸ジルコニウム、ヘキサメタリン酸モリブデン、ヘキサメタリン酸ストロンチウム、ヘキサメタリン酸ニオブ、ヘキサメタリン酸イットリウム、ヘキサメタリン酸亜鉛、ポリメタリン酸コバルト、ポリメタリン酸鉄、ポリメタリン酸マンガン、ポリメタリン酸スズ、ポリメタリン酸バナジウム、ポリメタリン酸バリウム、ポリメタリン酸カルシウム、ポリメタリン酸マグネシウム、ポリメタリン酸タングステン、ポリメタリン酸ジルコニウム、ポリメタリン酸モリブデン、ポリメタリン酸ストロンチウム、ポリメタリン酸ニオブ、ポリメタリン酸イットリウム、ポリメタリン酸亜鉛、ホスホン酸銅、ホスホン酸コバルト、ホスホン酸鉄、ホスホン酸マンガン、ホスホン酸スズ、ホスホン酸バナジウム、ホスホン酸バリウム、ホスホン酸カルシウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸タングステン、ホスホン酸ジルコニウム、ホスホン酸モリブデン、ホスホン酸ストロンチウム、ホスホン酸ニオブ、ホスホン酸イットリウム、ホスホン酸亜鉛などを使用することができる。
【0073】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤におけるアルミニウム塩の量は上記の樹脂および/またはその前駆体100gに対して0.005〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましく0.015〜1.5モル、最も好ましくは0.05〜1.0モルである。またアルミニウム以外の金属の塩の量は上記の樹脂および/またはその前駆体100gに対して0.005〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましく0.015〜1.5モル、最も好ましくは0.05〜1.0モルである。さらに、アルミニウム塩とアルミニウム以外の金属の塩の合計量は上記の樹脂および/またはその前駆体100gに対して0.005〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましく0.015〜1.5モル、最も好ましくは0.02〜1.0モルである。
【0074】
アルミニウム塩とアルミニウム以外の金属の塩の組み合わせとしてはリン酸2水素アルミニウムとリン酸Mnが最も好ましい。
【0075】
無機酸化物粒子としては、Si、Fe、Ge、Ti、Zr、Mg、Sn、Sb、およびAlの酸化物粒子が好ましく、例えばコロイダルシリカ、SiO2粉末、SnO2、Fe2O3、Fe3O4、MgO、Al2O3、ZrO2のコロイド(ゾル)あるいは粉末の一種または二種以上を使用することが可能である。この中でもSiO2が含まれていることが最も好ましい。これらは耐食性、塗料密着性の改善以外にも、耐傷つき性などの改善に効果がある。
【0076】
アルミニウムと酸素以外にも少なくとも1種類の他の元素を含むアルミニウム含有無機酸化物粒子とは、アルミニウムと酸素以外にも少なくとも1種類の他の元素を無機粒子を構成する無機化合物の構成単位の一部としていれば特に限定されるものではない。
【0077】
アルミニウム以外の他の元素としては、Si、Fe、Ge、Ti、Zr、Mg、Sn、Sb、が好ましく、中でも、SiO2、Fe2O3、Fe3O4、MgO、ZrO2、SnO2、Sb2O5のコロイド(ゾル)或いは粉末の少なくとも1種を構成単位の主とすることが好ましい。この中でもさらにはSiO2が構成成分の一つであることが好ましい。
【0078】
上記のアルミニウム含有無機酸化物粒子は、アルミニウムにより表面処理された無機金属酸化物粒子であることが好ましく、具体的にはアルミニウム表面処理コロイダルシリカが挙げられる。
【0079】
アルミニウム表面処理コロイダルシリカの製造方法としては、例えばゾル・ゲル法で製造されたコロイダルシリカをアルミネートイオン(Al(OH)4-)で処理する方法があり、具体的なには米国特許2892797号に記載されている方法が例として挙げられる。
【0080】
上記のアルミニウム含有無機酸化物粒子は一種または二種以上を使用することが可能である。また、アルミニウム元素を含まない、SiO2、Fe2O3、Fe3O4、MgO、ZrO2、SnO2、Sb2O5のコロイドまたはゾル等を含有してもかまわない。
【0081】
上記無機酸化物粒子、上記アルミニウム含有無機酸化物粒子の粒径としては1〜20nmであることが好ましく、最も好ましくは4〜6nmである。
【0082】
上記無機酸化物粒子、上記アルミニウム含有無機酸化物粒子の含有量はそれぞれ樹脂100重量部に対して好ましくは2〜80重量部、より好ましくは2〜70重量部、さらに好ましくは10〜70重量部、最も好ましくは20〜70重量部である。
【0083】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤は、上記の成分以外にリン化合物を含有する。リン化合物としては、例えばリン酸類が挙げられる。リン酸類は、金属表面を溶解し表面を荒らすため、金属と樹脂の密着性を向上させる働きがある。リン酸類としては、例えば、リン酸、ポリリン酸、次亜リン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸、ポリメタリン酸、およびこれらの塩なども用いることができる。また、リン酸メチル、リン酸ジメチル等のリン酸にアルキル基、フェニル基が付いたリン酸でも良い。さらには、上記のアルミニウム塩やアルミニウム以外の金属の塩が当該リン酸化合物を兼ねてもよい(例えば、アルミニウム塩やアルミニウム以外の金属の塩がリン酸類の塩である。)。
【0084】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤のリンの量としては、金属表面処理剤中にアルミニウム塩が含まれる場合は、リン/アルミニウムの元素の当量比が0.1以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上であることが必要である。リン/アルミニウムの元素の当量比が0.1未満であると、リン化合物の金属材料への作用が弱くなるためか、表面処理剤の金属材料への密着性が低下したり、防錆効果が低下する。
【0085】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤は、各構成成分を溶媒に溶解および/または分散させて使用する。本発明で使用できる溶剤としては、有機性溶剤、水系溶剤があるが、水系溶剤が好ましい。水系溶剤としては、水、あるいは水と相溶しうる溶媒との混合物が挙げられる。水と相溶しうる溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアルデヒド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、セロソルブ類、カルビトール類等が挙げられる。
【0086】
さらに、表面処理剤には各種酸化剤を添加することにより、耐食性をさらに向上させることができる。酸化剤としては、N2O4, N2O3, N2O, Cu(NO3)2, AgNO3, NH4NO3, BaO2, FeCl2, CuSO4, Cu(CH3COO)2, Hg(CH3COO)2, Bi(CH3COO)3, Ag2O, CuO, Bi2O3, HMnO4及びMnO2を用いることが好ましい。また、これらの1種あるいは2種以上を使用しても良い。酸化剤の効果により、金属表面が不動態化すると考えられる。
【0087】
本発明の樹脂塗装金属材料に用いられ得る表面処理剤のpHは1.5〜3.5であることが好ましく、さらには2.0〜3.0であることが好ましい。pHをこの範囲にすることで金属表面から微量の金属が溶解し、その作用により、処理液中の金属元素、溶出した金属が再度金属表面に析出することで金属表面に複合金属膜を作ると同時に、樹脂がAlや他の金属、等により疑似架橋され、これらが一体となって強固な表面処理膜を形成する。
【0088】
上記作用は、この表面処理剤は各種金属の中でも特に冷延鋼板、黒皮鋼板、酸洗熱延鋼板、厚板、形鋼、パイプ線材などの鋼材、銅または銅合金、チタンまたはチタン合金、ニッケルまたはニッケル合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金、ステンレスなど不働態化し易い金属、或いはFe, Ni, Cr, Cu, Al, Mg, Tiなどの不働態化し易い元素を含有するめっき層に処理するとより効果がでる傾向にある。
【0089】
その理由について現地点では必ずしも明確ではないが、表面処理剤を各種金属に塗布した際、金属材料表面中の金属元素が一部イオンとして金属表面処理層中に溶出するが、これらイオンが過剰に溶出すると金属表面処理層の構成成分のいずれかに吸着あるいは結合、この構成成分の機能を低下させ、被膜全体の機能を低下させる場合が多々ある。これに対し、表面処理剤に酸化剤を共存させ、塗布時金属表面が不動態化すると表面処理被膜へのイオンの過剰の溶出が極力抑えられるため、イオン溶出による弊害が抑制され、その結果として、より優れた皮膜性能が安定して確保されるものと思われる。
【0090】
本発明の樹脂塗装金属材料の表面処理層を形成する方法としては、表面処理剤を各種金属材料に塗布する。塗布方法としては、ロールコート、スプレー塗装、刷毛塗り、浸漬塗装、カーテンフロー等いずれの塗装方法を用いても良い。
【0091】
本発明は金属、例えばZn, Ni, Cu, Fe, Al, Co, Cr, Ti, Mg, Mn, Sn, Pb,などの金属の1 種を鋼板にめっきしためっき鋼板、あるいはこれら金属の2 種あるいはこれら金属の2 種あるいは3 種以上をめっきした合金めっき鋼板、さらにはこれらのめっき層に第3 金属または/ 及びシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの無機物を分散させためっき鋼板、あるいはさらに上記金属の2 種あるいは3 種以上からなる合金板、例えば亜鉛または亜鉛合金板、銅または銅合金板、アルミニウムまたはアルミニウム合金板、マグネシウムまたはマグネシウム合金板、チタンまたはチタン合金板、ニッケルまたはニッケル合金板、珪素鋼板、ステンレス等、また、鋼材においても冷延鋼板、黒皮熱延鋼板、酸洗熱延鋼板、厚板、形鋼、パイプ、線材など基材の金属材料を選ぶものでは無く、腐食を生じやすい金属であれば用いることが出来る。
【0092】
本願発明の樹脂塗装金属材料は、これら金属材料に表面処理剤を塗布し、乾燥、必要により後硬化等させることにより、素材と優れた密着性を示し、かつ、極めて優れた耐食性及び塗料密着性を示すクロムフリ−の表面処理皮膜を有する金属材料を得、さらにこの上に上塗りのための樹脂塗装を施すことにより得ることが出来る。
【0093】
本願発明の樹脂塗装金属材料の樹脂塗装層はアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、これらの変性樹脂等公知のものを用いることができ、各種の顔料、紫外線吸収剤、安定剤を含有する事ができる。また、イソシアネート化合物、アルキルエーテル化ホルムアルデヒド化合物、エポキシ化合物、ラジカル重合性化合物等の各種の硬化剤により架橋硬化していても良い。
【0094】
樹脂塗装層は有機溶剤、水系の塗料を塗工する方法、粉体塗料を熱により固着させる方法、電着による方法等により設けることができる。
【0095】
本発明の樹脂塗装金属材料は、特に電気洗濯機、テレビ、パソコン、ワープロ等を始めとする家電用部品あるいは事務用部品、屋根・壁材あるいはガードレール、各種鉄柱等を始めとする建材用部材、ボデーやガソリンタンクを始めとする自動車部品などを挙げることが出来る。
【0096】
さらに、造船用部材、厚板や形鋼より形成された橋梁型鋼、線材より形成されたワイアーロープ類、パイプより形成された各種輸送用配管、冷延鋼板より形成されるスチール家具や簡易家具類、あるいは黒皮熱延鋼板、酸洗熱延鋼板より形成されるドラム缶を始めとする容器類、コンテナを始めとするボックス、車両用部材などを挙げることが出来る。
【0097】
また、クロムを使用しない無公害の表面処理剤を用いていることから、食缶や雑缶をはじめとする容器関連や玩具類などにも使用することができ用途は大きく広がる。
【0098】
本発明の樹脂塗工金属材料の形態としては、表面処理された金属材料を成形後に樹脂塗料で塗工したポストコート品であっても良いが、金属材料をカットや成型する前のロール状に巻いた金属鋼板に塗装層を設けたプレコートメタルであることが好ましい。このようなプレコートメタルは家電用部品あるいは事務用部品の外装材として好ましく用いることができる。
【0099】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明する。実施例の中で、単に部とあるのは重量部を表し、%とあるのは重量%を示す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0100】
(1)重量平均分子量
樹脂 0.005 g をテトラヒドロフラン10ccに溶かし、GPC−LALLS装置 低角度光散乱光度計 LS−8000 (東ソー株式会社製、テトラヒドロフラン溶媒、リファレンス:ポリスチレン)で測定した。
【0101】
(2)水分散体粒子径
水分散体をイオン交換水を用いて固形分濃度 0.1 wt% に調節し、レーザー光散乱粒度分布計 Coulter model N4 (Coulter社製)により 20℃で測定した。
【0102】
(3)沸水処理後の塗料密着性
表面処理液を、電気亜鉛メッキ鋼板(亜鉛付着量30g/m2)に、全固形分が1.0g/m2(膜厚1.0μ)となるように塗布し、200℃、10秒で乾燥させた後、メラミン系低温焼き付け塗料(関西ペイント製、アミラック1000)を焼き付け後の膜厚が30μmとなるように塗布し、135℃、30分焼き付けた。その後、沸水中に1時間浸漬して処理を行ったものを、2mm碁盤目に皮膜をカットし、テープ剥離を行い、塗膜の剥離面積を評価した。
◎:剥離面積0%、○:剥離面積5%以内、△:剥離面積10%以内、×:剥離面積50%以内、××:剥離面積50%以上
【0103】
(4)クロスカット試験
表面処理液を、70mm×150mmの電気亜鉛メッキ鋼板(亜鉛付着量30g/m2)に、全固形分が1.0g/m2(膜厚1.0μ)となるように塗布し、200℃、10秒で乾燥させた後、メラミン系低温焼き付け塗料(関西ペイント製、アミラック1000)を焼き付け後の膜厚が30μmとなるように塗布し、135℃、30分焼き付けた。この塗膜にメッキ層まで達する切れ込みをオルファ社製カッターナイフで入れ(長さ約10cmの2本の切れ込みが長さの中心部で約45度の角度で交わる)、塩水噴霧試験を360時間行なった。試験終了後、クロスカット部からの最大膨れ幅を測定した。最大膨れ幅はノキスで測り、膨れ幅が不明瞭な場合は膨れた塗装層を針等で剥がし取り、測定した。
【0104】
樹脂(A−1)の製造例
撹拌機、温度計および還流装置を具備した反応器に、水360部、スチレンスルホン酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム2部を仕込み、70℃に加熱した後、スチレン16部、メタクリル酸メチル36部、グリセリンモノメタクリレート20部、メタクリル酸16部を70℃に保ちながら3時間かけて系内に添加しを加えた。その後、反応を70℃、3時間継続した後、室温まで冷却し、固形分濃度20%のアクリル樹脂(A−1)の水分散体を得た。得られた水分散体の平均粒子径は200nmであった。
【0105】
樹脂A−2の製造例
撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにテレフタル酸ジメチル262部、イソフタル酸ジメチル262部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル89部、エチレングリコール279部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(三洋化成製、BPE20F)672部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、160℃〜220℃まで 4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで 255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち0.2mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステルを得た。得られたポリエステルは、淡黄色透明、重量平均分子量は11000であった。次に、撹拌機、温度計および還流装置を具備した反応器に、得られたポリエステル80部、メチルエチルケトン40部、テトラヒドロフラン40部を仕込み、還流下で溶解した。樹脂が溶解した後、水200部を添加し、10分間撹拌を続けた。その後、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去し、最終的なポリエステル樹脂(A−2)の水分散体とした。生成した水分散体は乳白色で平均粒子径150nmであった。
【0106】
樹脂(A−3)の製造例
撹拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにテレフタル酸ジメチル456部、イソフタル酸ジメチル456部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル59部、エチレングリコール233部、3−メチル−1,5−ペンタンジオール443部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(三洋化成製、BPE20F)1120部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52部を仕込み、160℃〜220℃まで 4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いでフマル酸11.6部を加え 200℃から 220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行なった。次いで
【0107】
255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち 0.2 mmHgの減圧下で1時間30分反応させ、ポリエステルを得た。得られたポリエステルは淡黄色透明であった。得られたポリエステルの重量平均分子量は18000、不飽和結合含有量は51mol/106gであった。次に、撹拌機、温度計および還流装置を具備した反応器に、得られたポリエステル66部、メタクリル酸メチル18部、グリセリンモノメタクリレート10部、メタクリル酸8部、イソプロピルアルコール16部、ハイドロキノン0.01部を添加し、90℃に加熱して溶解した。樹脂が溶解した後、スチレン8部を加え、その後、液温を70℃に保ちながら、水180部を添加し、10分間撹拌を続けた。次にスチレンスルホン酸ナトリウム0.6部を水40部に溶かした水溶液を添加した後、過硫酸カリウム0.9部、水10部を加えて重合を開始した。反応を70℃、4時間継続した後、室温まで冷却し、固形分濃度30%のアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)の水分散体を得た。得られた水分散体の平均粒子径は150nmであった。
【0108】
樹脂(A−4)の製造例
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成製、YD−017)60部、メチルエチルケトン100部をいれ加熱、撹拌し還流下で樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、マレイン酸無水物2部を添加し、溶解したのを確認後、ピリジン0.01部を添加し、還流下で2時間反応させた。次に、還流下において、スチレン10部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル6部、メタクリル酸8部、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸2部、フマル酸ジブチル4部、アゾスイブチロニトリル2部、α−メチルスチレンダイマー2部、メチルエチルケトン60部、水3部の混合物を1.5時間かけて反応器内に滴下し、その後、2.5時間反応を継続して不飽和単量体混合物の重合を行った。次いでこれにトリエチルアミン20部を添加し中和した後にイソプロピルアルコール60部、イオン交換水200部を添加し30分間撹拌した。その後、加熱により媒体中に残存する溶媒を溜去し、最終的なエポキシ樹脂(A−4)の水分散体とした。生成した水分散体は乳白色で平均粒子径50nm、25℃におけるB型粘度は50cpsであった。なお、不飽和単量体混合物の重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量は8000、ヒドロキシル基量は0.17当量/100g、カルボキシル基量は0.31当量/100g、スルホン酸基量は0.03当量/100gであった。
【0109】
実施例1
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、酢酸アルミニウム3g/l、リン酸マンガン(II)10g/l、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスST−O−S、粒子径8〜11nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0110】
実施例2
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸2水素アルミニウム4g/l、リン酸鉄(III)12g/l、コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−O−XS、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0111】
実施例3
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、硝酸アルミニウム15g/l、リン酸銅10g/l、リン酸10g/l、コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−O−XS、粒子径4〜6nm)15g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、150℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0112】
実施例4
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、硫酸アルミニウム10g/l、リン酸水素マグネシウム12g/l、リン酸12g/l、コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−O−XS、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、150℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0113】
実施例5
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)60g/l、塩化アルミニウム2g/l、リン酸2水素カルシウム4g/l、リン酸マンガン(II)4g/m2、リン酸12g/l、コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−O−XS、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0114】
実施例6
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例7
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例2と同様に行った。
実施例8
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例3と同様に行った。
実施例9
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例4と同様に行った。
実施例10
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例5と同様に行った。
【0115】
実施例11
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変刻した以外は実施例1と同様に行った。
実施例12
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変刻した以外は実施例2と同様に行った。
実施例13
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変刻した以外は実施例3と同様に行った。
実施例14
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変刻した以外は実施例4と同様に行った。
実施例15
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変刻した以外は実施例5と同様に行った。
【0116】
比較例1
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、硝酸アルミニウム8g/l、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスST−O−S、粒子径8〜11nm)10g/l となるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0117】
比較例2
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、ポリエステル樹脂(A−2)70g/l、リン酸マンガン(II)5g/l、リン酸2水素カルシウム4g/m2、リン酸5g/l、コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−O−XS、粒子径4〜6nm)15g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0118】
比較例3
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)70g/l、リン酸2水素カルシウム10g/l、リン酸10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0119】
比較例4
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)70g/l、硫酸アルミニウム20g/l、リン酸0.1g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0120】
【表1】
【0121】
実施例16
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸マンガン(II)10g/l、Al表面処理コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスST−C、粒子径10〜20nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0122】
実施例17
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸鉄(II)12g/l、Al表面処理コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−CXS−9、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0123】
実施例18
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸Cu10g/l、リン酸10g/l、Al表面処理コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−C、粒子径10〜20nm)15g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、150℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0124】
実施例19
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸マンガン(II)12g/l、リン酸2水素カルシウム、リン酸12g/l、Al表面処理コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−CXS−9、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、150℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成した。
【0125】
実施例20
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例16と同様に行った。
実施例21
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例17と同様に行った。
実施例22
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例18と同様に行った。
実施例23
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例19と同様に行った。
【0126】
実施例24
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例16と同様に行った。
実施例25
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例17と同様に行った。
実施例26
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例18と同様に行った。
実施例27
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例19と同様に行った。
【0127】
実施例28
樹脂をアクリル−エポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例16と同様に行った。
実施例29
樹脂をアクリル−エポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例17と同様に行った。
実施例30
樹脂をアクリル−エポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例18と同様に行った。
実施例31
樹脂をアクリル−エポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例19と同様に行った。
【0128】
比較例5
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸Cu10g/l、コロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスST−20、粒子径10〜20nm)10g/l となるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0129】
比較例6
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、ポリエステル樹脂(A−2)70g/l、リン酸マンガン(II)5g/l、リン酸5g/l、コロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−O−XS、粒子径4〜6nm)15g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0130】
比較例7
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)70g/l、リン酸マンガン(II)10g/l、リン酸10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2(膜厚1.0μ)になるように皮膜を形成した。
【0131】
比較例8
電気Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、化成処理(リン酸亜鉛2.00g/m2)を施した。
【0132】
【表2】
【0133】
実施例32
Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸マンガン(II)12g/l、硝酸アルミニウム5g/l、Alで表面処理されたコロイダルシリカ(日産化学製スノーテックスST−CXS−9、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成した。
【0134】
実施例33
Zn−Niめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸10g/l、リン酸アルミニウム4g/l、リン酸2水素カルシウム、Alで表面処理されたコロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスST−C、粒子径10〜20nm)12g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成した。
【0135】
実施例34
Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、硫酸アルミニウム6g/l、リン酸鉄(II)12g/l、Alで表面処理されたコロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−CXS−9、粒子径4〜6nm)12g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、200℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成した。
【0136】
実施例35
Znめっき鋼板(目付量:30g/m2)に、アクリル樹脂(A−1)70g/l、リン酸マンガン(II)12g/l、リン酸アルミニウム 6g/l、リン酸12g/l、Alで表面処理されたコロイダルシリカ(日産化学製、スノーテックスST−CXS−9、粒子径4〜6nm)10g/lとなるように配合した水溶液をロールで塗布し、150℃で乾燥し、全付着量が1.00g/m2になるように皮膜を形成した。
【0137】
実施例36
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例32と同様に行った。
実施例37
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例33と同様に行った。
実施例38
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例34と同様に行った。
実施例39
樹脂をポリエステル樹脂(A−2)に変更した以外は実施例35と同様に行った。
【0138】
実施例40
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例32と同様に行った。
実施例41
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例33と同様に行った。
実施例42
樹脂をアクリル変性ポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例34と同様に行った。
実施例43
樹脂をポリエステル樹脂(A−3)に変更した以外は実施例35と同様に行った。
【0139】
実施例44
樹脂をエポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例32と同様に行った。
実施例45
樹脂をエポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例33と同様に行った。
実施例46
樹脂をエポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例34と同様に行った。
実施例47
樹脂をエポキシ樹脂(A−4)に変更した以外は実施例35と同様に行った。
【0140】
【表3】
【0141】
【発明の効果】
本発明の樹脂塗装金属材料は、耐食性、樹脂層の接着性に優れ、様々な用途に使用することができる。さらに、クロムを含まないため、廃棄する場合の処理工程も簡略化できる。
Claims (5)
- 少なくとも、金属材料、クロムを含有しない厚さ5μm以下の表面処理層、樹脂の塗膜層が順次積層された樹脂塗装金属材料において、表面処理層がリン酸化合物とアクリル樹脂を含有し、当該樹脂塗装金属材料の樹脂塗膜層を30μmとしたときの表面を金属材料層まで到達するまでナイフによりX字型に切れ込みを入れ、これをJIS Z 2371に規定された塩水噴霧処理したときの、塩水噴霧360時間後の樹脂塗装層の最大膨れ幅が2mm以下であることを特徴とする樹脂塗装金属材料。
- 表面処理層が、リン酸化合物とエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂塗装金属材料。
- 表面処理層が、リン酸化合物と下記アクリル変性成ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の樹脂塗装金属材料。
アクリル変性ポリエステル樹脂:5〜1000もl/106gの不飽和結合を有する重量平均分子量1000〜10000のポリエステル樹脂(A)と、不飽和単量体混合物により得られる重合体(B)が化学的に結合した樹脂であり、(B)が、150℃以下の温度において(A)を溶解することが出来る不飽和単量体(B−1)、ヒドロキシル基等の官能基を含有する水溶性の不飽和単量体(B−2)、酸または塩基で中和されているイオン性の不飽和単量体を含む。 - 金属材料が金属メッキされた材料であることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の樹脂塗装金属材料。
- 請求項1〜4に記載された樹脂塗装金属材料がプレコートメタルであることを特徴とする樹脂塗装金属材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP11379299A JP3901871B2 (ja) | 1999-04-21 | 1999-04-21 | 樹脂塗装金属材料 |
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