【発明の詳細な説明】
バチルス由来の熱安定中性プロテアーゼの変異体
発明の分野
本発明は新規なサーモリシン様中性金属プロテアーゼおよびその利用、特にベ
ンジルオキシカルボニル-α-L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエス
テルの製造への利用に関する。
サーモリシンは、市販され、多様な分野、例えば洗剤組成物、食品加工および
化粧品処方において利用されている有用な酵素である。さらにこの酵素は人工甘
味料であるアスパルテームの前駆体であるベンジルカルボニル-α-L-アスパル
チル-L-フェニルアラニンメチルエステル(以下Z−APMと簡単に称する)の
合成に利用されている。
発明の背景
サーモリシンはバチルス・サーモプロテオリチカス(Bacillus thermoproteol yticus
)の培養液中で最初に発見され(Endo,S.(1962)J.Ferm.Tech.,40,3
46-353)、この酵素について数多くの研究が行なわれてきた。例えば、そのアミ
ノ酸配列(Titani,K.,et al.,(1972)Nature New Biol.,238,35-37)および
この酵素の三次元構造(Holmes,M.A.and Matthews,B.W.,(1982)J.Mol.Bio
l.160,623-639)が明らかにされている。その間、プロテアーゼ遺伝子がバチ ルス・サーモプロテオリチカス
(Bacillus thermoproteolyticus)からクローン
化され(EP-A-0418625)、そして上述の遺伝子の塩基配列から導かれる成熟酵素
のアミノ酸配列は、Titaniにより示された最初の一次構造と二つの位置で異なる
ことがわかった。即ち、成熟酵素の(アミノ末端から)第37番目のアミノ酸残基
はアスパラギン酸ではなくアスパラギンであり、第119番目のアミノ酸残基はグ
ルタミン酸ではなくグルタミンであると報告された。このアミノ酸配列は、バチ ルス・ステアロサーモフィラス
(Bacillus stearothermophilus)からクローン
化されたプロテアーゼ遺伝子の一つであるnprMによってコードされたアミノ
酸配列と同一であった(Kubo,M.,et al.,(1988),Journal of General Micro
biology 134,1883-1892)。
従って、本明細書においては、このnprM遺伝子またはバチルス・サーモプ
ロテオリチカスからの遺伝子によってコードされたプロテアーゼを「野性型サー
モリシン様中性金属プロテアーゼ」と称する。
サーモリシン様中性金属プロテアーゼの比活性および安定性の改変が報告され
ている(Kubo M.,et al.,(1992)Applied and Environmental Micro biology,58
,3779-3783)。この文献においては、一次構造において1つ以上のアミノ酸
残基、特に93位、110位、114位、115位、136位、137位、143位、151位、157位、
193位、211位、217位および221位で異なる多様な変異体が記載されている。だが
、この文献では、その活性はカゼイン分解法のみによって測定されたものである
。しかし、これら変異体はZ−APMの合成または分解に関しては実質的に向上
した活性を示さなかった。カゼイン分解活性はZ−APM合成活性とは関係ない
ことも現在(本出願人の以前の欧州特許出願No.93200773.5の実施例中にさらに
記載されているように)立証されている: たとえカゼイン分解比活性が増加し
ても、Z−APM合成活性が常に増加するわけではないと思われる。
さらに、本出願人は、有用な新規プロテアーゼが、以下に示す配列番号1の(
野性型)アミノ酸配列を持つサーモリシン様中性金属プロテアーゼの1つ以上特
定の位置のアミノ酸残基を元のアミノ酸残基から他のものへと置換することによ
り導くことのできることを先に見いだした。
具体的には、本出願人は、第144番目(ロイシン)、第150番目(アスパラギン
酸)、第187番目(グルタミン酸)および第227番目(アスパラギン)のアミノ酸
残基の少なくとも1つをそれとは異なるアミノ酸で置換することによって野性型
酵素から得られたそうした新規な変異体プロテアーゼの欧州特許(出願No.9320
0773.5)を既に出願している。
この先に出願された特許(本出願の出願日ではまだ公開されていない)で述べ
られ、第144番目、第150番目、第187番目および第227番目のうちの
1つの位置でアミノ酸置換を行った変異体酵素の比活性は、Z−APMの合成ま
たは分解において野性型酵素の比活性の2倍を超えるものではなかった。
これらの観察に基づき、および当該酵素の比較的低い活性、縮合反応時の酵素
の失活、そして長い反応時間および/または好適ではないpH条件による生成物
Z−APMと出発物質のL−またはD,L−フェニルアラニンメチルエステル(
PM)の加水分解等、Z−APMの酵素的合成には種々の問題が存在するために
、より高いZ−APM合成活性を持つ改良酵素を開発する必要性がまだ存在する
。勿論、PMが本明細書中で言及される場合、その塩もPMの意味に含めること
ができる。
発明の要約
驚くべきことに、配列番号1の第150番目の位置にトリプトファン残基を持
つ変異体酵素の活性の上昇は、これまでに述べた修飾プロテアーゼのものよりも
非常に大きいことがわかった。
これらの観察からこの発明は完成され、それにより、上記に示されたアミノ酸
配列(配列番号1)を有するが、少なくともその第150番目のアミノ酸残基が
アスパラギン酸(野性型)からトリプトファンへと置換している変異体プロテア
ーゼを提供する。よって、それはバチルス・ステアロサーモフィラスに由来する
サーモリシン様中性金属プロテアーゼのZ−APM合成活性の更なる増強を提供
する。
したがって、本発明による変異体プロテアーゼは、Z−APMの大量生産に非
常に有用である。
図面の簡単な説明
図1は、既知のプラスミドpMK4からpUCTZ37と名付けられた組換え
プラスミドを構築するために用いられた方法を示す。
図2は、プラスミドpMK4とプラスミドpUCTZ37からpUCTZ47
と名付けられた組換えプラスミドを構築するために用いられた方法を示す。
図3は、公知プラスミドpUCTZ47とプラスミドpUB110からpUB
TZ1と名付けた組換えプラスミドを構築するために用いられた方法を示す。
図4は、プラスミドpUBTZ1からpUBTZ2と名付られた組換えプラス
ミドを構築するために用いられた方法を示す。
図5は、プラスミドpUBTZ2とポリメラーゼ連鎖反応によって得られた変
異DNA断片からpUBTZ2(D150W)と名付けられた組換えプラスミド
を構築するために用いられた方法を示す。
図6は、既知プラスミドpMK1からpUCTZ55と名付られた組換えプラ
スミドを構築するために用いられた方法を示す。
図7は、プラスミドpUCTZ55からM13TZSp−Bcと名付られた組
換えM13ファージを構築するために用いられた方法を示す。
図8は、プラスミドpUBTZ2とM13TZSp−Bc(N227H変異体
)から組換えプラスミドpUBTZ2(N227H変異体)を構築するために用
いられた方法を示す。
図9は、プラスミドpUBTZ2とポリメラーゼ連鎖反応によって得られた変
異DNA断片からpUBTZ2(D150W−N227H)と名付けられた組換
えプラスミドを構築するために用いられた方法を示す。
図10は、プラスミドpUBTZ2とポリメラーゼ連鎖反応によって得られた
変異DNA断片からpUBTZ2(L144S)と名付けられた組換えプラスミ
ドを構築するために用いられた方法を示す。
図11は、プラスミドpUBTZ2(L144S)とプラスミドpUBTZ2
(D150W−N227H)からpUBTZ2(144S−D150W−N22
7H)と名付けられた組換えプラスミドを構築するために用いられた方法を示す
。
図12は、変異体酵素のZ−APM合成活性を示す。略号はアミノ酸の一文字
コードを示している。150番目のアミノ酸残基における”D”は野性型サーモ
リシン様中性金属プロテアーゼを意味する。1秒間に1モルのZ−APMを合成
する酵素活性を1katal(kat)と定義する。
図13は、変異体酵素のZ−APMに対する加水分解活性を示す。
発明の詳細な説明
上述した以前の特許出願において、150番目の位置でアスパラギン酸からア
スパラギン、ヒスチジン、リシンに置換した修飾プロテアーゼが開示された。こ
れらの改良プロテアーゼのZ−APM合成および加水分解に対する活性は、野性
型サーモリシン様中性金属プロテアーゼのものよりもせいぜい2倍程度のもので
あった。
本発明による新規な変異体プロテアーゼは、配列番号1のサーモリシン様中性
金属プロテアーゼの第150番目の位置でアスパラギン酸残基の代わりにトリプ
トファン残基を有する誘導体である(以下、D150Wとも称する)。特に、こ
れらの新規なプロテアーゼは、Z−APM合成および/または分解において高く
増強した活性を有している。得られたプロテアーゼの適用性は、最終的には用い
るアッセイ試験によって決定することができる。典型的には、これはZ−APM
の合成および/または分解のための活性を分析し、これらの活性を、同じ方法で
アッセイ試験した野性型サーモリシン様中性金属プロテアーゼの活性と比較する
ことによって決定した。この方法は実施例でさらに詳細に記載されている。
この変異体プロテアーゼ(D150W)の他の位置のアミノ酸残基も他のアミ
ノ酸残基に置換することができる。例えば、第150位でアスパラギン酸からト
リプトファンに、そして第227位でアスパラギンからヒスチジンに置換した二
重変異体(D150W−N227H)、そして第144残基でロイシンからセリ
ンに、第150位でアスパラギン酸からトリプトファンに、そして第227位で
アスパラギンからヒスチジンへ置換した三重変異体(L144S−D150W−
N227H)が合成され、これらはZ−APM合成において非常に活性が高く安
定であることが示された。
変異体酵素は当業者にそれ自体公知の方法によって生産することができる。
クローニングされたDNAに変異を組み込むために用いることのできる多様な
方法が知られている。例えば、変異nprM遺伝子断片を、M13ファージを利
用した突然変異導入方法によって作成することができる(Vandeyar,M.,et al.
,(1988)Gene,65,129)。
この方法で鋳型用に使用されるプラスミドとファージDNAは、公知のプラス
ミドpMK1から得ることができる(Kubo,M.and Imanaka,T.,(1989)J.Bac
teriol,171,4080-4082)。いくつかの制限酵素を用いて、nprM遺伝子の断
片を消化し、他のプラスミドまたはファージベクターにクローニングすることが
できる。変異導入用のプライマーは、置換されるアミノ酸残基を除けば、npr
M遺伝子を含む一本鎖鋳型DNAに対して相補的でなければならない。多様なヌ
クレオチド配列がこの目的のために考えられる。置換されるアミノ酸残基のため
に異なるコドンを持つこれらの変異導入用プライマーを用いることにより、どの
ような所望のアミノ酸置換も達成することができる。
他の方法としては、化学合成したプライマーを使用して、PCR法(ポリメラ
ーゼ連鎖反応)によってnprM遺伝子を変異させることができる(Higuchi,R
.,Krummel,B.,and Saiki,R.K.,(1988)Nucleic Acids Res.16,7351-7367
)。制限酵素認識部位が変異導入部位の近くに存在するときに、このPCR法は
特に有用である。例えば、野性型サーモリシン様金属プロテアーゼの第150位
のアスパラギン酸のコドン近くに制限酵素SphIの切断部位が存在するので、
このSphI部位を含む変異導入用プライマーを、第150位に変異を作るため
に使用することができる。よって、変異導入用プライマーはセンスプライマーと
して用いられる。逆方向プライマー(アンチセンス)として、例えば、nprM
遺伝子のAatI切断部位の下流のnprM遺伝子に相補的なオリゴヌクレオチ
ドを使用することができる。
2つ以上の部位に変異導入を行なうために二つの方法を利用することができる
。一つの方法は全ての標的部位で同時に変異導入を行なうことからなり、別の方
法は最初の変異後に次の変異を導入することからなる。両方法では、複数の位置
で変異を有するプラスミドが実際に与えられる。
組換体サーモリシン様中性金属プロテアーゼの一般的な製造法は文献(Kubo,
M.and Imanaka,T.,(1989)J.Bacteriol.,171,4080-4082)に記載されてお
り、当該方法は、変異体サーモリシン様中性金属プロテアーゼをコードするDN
Aを発現ベクターに挿入し、このベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、宿主
細胞を培養して変異体金属プロテアーゼを培地に蓄積させ、次に変異体酵素を培
地から回収する工程からなる。しかしながら、この文献中で用いられるプラスミ
ドpMK1は大きさが20kbを超えるため、該プラスミドで大腸菌を形質転換
するには実質的に困難である。さらに、枯草菌においても、プラスミドpMK1
は培養の後半期にかなりの程度まで脱落することがわかった。
従って、そのような問題点を克服するために、本発明者らは、両方の宿主(大
腸菌と枯草菌)を形質転換することができ、これらの宿主中でnprM遺伝子を
発現することができるシャトルベクターを構築した。図1〜図4に示されている
ように、nprM遺伝子を含む二つのシャトルベクター(pUBTZ1とpUB
TZ2)を構築した。これらはHB101およびJM103などの大腸菌株の形
質転換に用いる場合、nprM遺伝子がそれら株の中で発現する。さらに、これ
らのプラスミドによるDB104、DB117およびMT−2などの枯草菌株の
形質転換は、nprM遺伝子発現の成功をもたらした。また、培養の後半時の脱
落は見られない。
これらのシャトルベクターの使用の同様の結果や利点は、野性型遺伝子の代わ
りに変異体サーモリシン様中性金属プロテアーゼ遺伝子を使用しても得られる。
変異体サーモリシン様中性金属プロテアーゼは、組換え体細菌中で産生させる
ことができ、培養培地に分泌される。これらのプロテアーゼを硫酸アンモニウム
による沈殿で回収し、通常の方法、例えば疎水クロマトグラフィーおよび/また
はゲル濾過により均一に精製する。
この変異体プロテアーゼはアスパルテームの前駆体であるZ−APMを野性型
サーモリシン様中性金属プロテアーゼよりも効率良く生産するために使用できる
。このことは、これらの変異体プロテアーゼのZ−APM分解活性およびZ−A
PM合成活性を野性型プロテアーゼのものと比較することにより示される。これ
らの変異体プロテアーゼの活性は、野性型酵素や、上記欧州特許出願(出願番号
No.93200773.5)に記載の修飾プロテアーゼよりも非常に高いことがわかった。
これらの活性の測定値は後の実施例に記載する。
既に記載のように、本発明による新規な変異体プロテアーゼは、配列番号1の
サーモリシン様中性金属プロテアーゼにおいて第150番目のアスパラギン酸残
基がトリプトファンに置換されたプロテアーゼ(D150W)である。
カゼインの分解活性は、Z−APMの合成活性または分解活性に対して関係が
ないことに注目すべきである。変異体酵素のカゼインおよびZ−APMに対する
活性を比較すると、たとえカゼインの分解活性が低下しても、Z−APMの合成
活性および/または分解活性を著しく高めることができることは明らかである。
以下の実施例は、本発明を単に具体的に説明するためだけのものであり、本発
明の範囲を決して限定するものではない。
実施例1
[第150番目のアミノ酸残基をアスパラギン酸からトリプトファンに置換した
変異体プロテアーゼ(D150W)の合成]
a)野性型nprM遺伝子を含む発現プラスミドpUBTZ2の構築
プラスミドpMK4(Yamada et al.,(1991)Gene,99,109-114)から、B cl
I消化で得られたnprM遺伝子の一部を含む約1.0kbのDNA断片を
プラスミドpUC9のBamHI部位にクローニンク化てプラスミドpUCTZ
37を構築した(図1)。
プラスミドpUCTZ37は、nprM遺伝子の5’側末端領域を持っていな
い不完全なものである。プラスミドpUCTZ37は制限酵素HindIIIで
消化し、pMK4の約1.2kb HindIII断片を大きい方のpUCTZ
37断片にクローン化してプラスミドpUCTZ47を構築した(図2)。この
組換え体プラスミドpUCTZ47はnprMの全ての配列およびその転写プロ
モーター配列を含む。
図3に示されているように、大腸菌と枯草菌の間のシャトルベクターを構築す
るために、pUCTZ47とpUB110の両方(Keggins,,K.M.et al.,Pro
c.Natl.Ac.Sci.USA,(1978),75,1423-1427)をEcoRIで消化し、T4
DNAリガーゼでライゲーションしてプラスミドpUBTZ1を構築した。
最後に、図4に示されたように、プラスミドpUBTZ1からSmaIとPv u
IIの制限酵素部位間のDNA断片を除去することによりプラスミドpUBT
Z2を構築した。
プラスミドpUBTZ2は、nprM遺伝子に制限酵素BamHI、SphI
およびAatIの認識部位を一ヶ所ずつ有する。
b)部位150のTrp変異導入
この変異導入に利用したオリゴヌクレオチドは、アプライドバイオシステムズ
社製380B型DNA合成装置を用いて合成した。その変異導入用プライマーの
ヌクレオチドの塩基配列を以下に示す。
さらに、以下のヌクレオチド配列を持つ逆方向プライマーを合成した。
1ngのプラスミドpUBTZ2を、100μlのPCR反応混合物(67m
Mトリス−塩酸(pH8.8)、16.6mM硫酸アンモニウム、6.7mMM
gCl2、10mM 2−メルカプトエタノール、0.05mM dATP、0
.05mM dTTP、0.05mM dGTP、0.05mM dCTP、1
μM変異導入用プライマー、1μM逆方向プライマー)に溶かして1ユニットのTth
DNAポリメラーゼを加えた。その溶液を一滴のミネラルオイルにより
被覆した。93℃1分間の変性、45℃1分間のアニーリングおよび72℃45
秒間の伸長を30サイクル繰り返した。反応終了後、水層を回収し、フェノール
で抽出し、エタノールで処理して、増幅されたDNAを回収した。
この増幅DNAの半量を含む20μlの反応混合物(50mMトリス−塩酸p
H7.5、10mM MgCl2、100mM NaCl、1mM DTT)をAat
IおよびSphIの各5ユニットにより37℃で2時間消化させ、70℃
で5分間インキュベートした。この変異SphI−AatI断片をpUBTZ2
のSphI−AatI断片(7.6kb)に宝酒造社製DNAライゲーションキ
ットを用いて連結させた。このライゲーション混合物を用いて常法に従って大腸
菌JM103を形質転換し、形質転換体JM103/pUBTZ2(D150W
)を得た。置換されたアミノ酸は、このプラスミドのヌクレオチド配列の同定に
より確認した。
c)組換え枯草菌からの精製変異酵素の調製
上述のプラスミドDNAは迅速アルカリ−SDS法によって抽出した(Maniat
is,T.,Fritsch E.F.,Sambrook,Jr.,(1989)Molecular Cloning: a labora
tory manual(2nd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring H
arbor,N.Y.USA.1.25-1.28)。枯草菌MT−2株の形質転換はコンピテントセ
ル法によって行なった(Hardy,K.G.,(1985)in: Glover,D.M.,ed.,DNA Clo
ning Volume II(1st ed.),IRL Press Limited,Oxford,England,1-17)。
このようにして得られた組換え枯草菌MT−2/pUBTZ2(D150W)
の単一コロニーを、カナマイシン(5μg/ml)を含むLB培地5mlに移し
、37℃にて一晩培養した。その培養液を、カナマイシン(5μl/ml)を含
む500mlの2L培地(2%バクトトリプトン、1%イーストエキストラクト
、0.5%NaCl)に移し、37℃、20時間培養した。培養液を8,000
rpmで30分間遠心分離し、菌体を除去し、上澄に60%飽和になるように硫
酸アンモニウムを加えて4℃で一晩撹拌した。
遠心分離により沈殿を回収し、この沈殿を10mlの緩衝液A(20mMトリ
ス−塩酸 pH9.0、10mM CaCl2)に溶解した。この溶液を20m
lのブチルトヨパールにアプライした後、緩衝液Aで1.5ml/分の流速で溶
出した。活性画分を集め、60%飽和硫安にして塩析した。析出物を15,00
0rpmにて30分間遠心して集め、5mlの緩衝液B(10mMトリス−塩酸
pH7.0、0.1M NaCl、10mM CaCl2)に溶解した。さら
に、その酵素溶液をゲル濾過カラム(TSK Gel G2000SW(21.
5×300mm))にアプライし、緩衝液Bにより1ml/分の流速で溶出した
。活性画分を集めて精製酵素を得た。
図5に組換えプラスミドpUBTZ2(D150W)を構築するために用いた
方法を示す。
実施例2
[150番目のアミノ酸残基をアスパラギン酸からトリプトファンへ、227番
目のアミノ酸残基をアスパラギンからヒスチジンに置換した2置換を有する変異
体プロテアーゼ(D150W−N227H)の合成]
サーモリシン様中性金属プロテアーゼのD150W−N227Hの2部位変異
体を以下の通り作製した。
a)部位227のHis変異導入
バチルス・ステアロサーモフィラスMK232(Kubo,M,and Imanaka,T.,
(1989)J.Bacteriol.,171,4080-4082)に由来するサーモリシン様中性金属プ
ロテアーゼ遺伝子nprMを含むプラスミドpMK1の1μgを、5ユニットの
制限酵素PstIとBamHIによって20μlの反応混合物(50mMトリス
−塩酸(pH7.5)、10mM MgCl2、0.1M NaCl、1mMD
TT)中で37℃、2時間消化した。この試料を1%アガロースゲル電気泳動
にかけ、約3.5kbのDNA断片を分離し、Bio-101 Gene Clean DNA精製キッ
トを用いて精製した。
これとは別に、1μgのプラスミドpUC9を各5ユニットのPstIとBa m
HIによって、前述した20μlの同じ反応混合物中で37℃、2時間の消化
を行なった。
nprM遺伝子のPstI−BamHI断片を宝酒造のDNAライゲーション
キットを用いてpUC9のPstI−BamHI断片に連結した。このライゲー
ション混合物を用いて常法により大腸菌JM109を形質転換し、nprM遺伝
子のPstI−BamHI断片を含む組換えプラスミド(pUCTZ55)を得
た(図6)。
1μgの組換えプラスミドpUCTZ55を、各5ユニットの制限酵素Sph
IとBclIによって20μlの反応混合物(50mMトリス−塩酸(pH7.
5)、10mM MgCl2、0.1M NaCl、1mM DTT)中で37
℃2時間消化した。その試料を1%アガロースゲル電気泳動にかけ、約550b
pのDNA断片を分離し、Bio-101 Gene Clean DNA精製キットを用いて精製した
。
これとは別に、1μgのファージベクターM13mp18を各5ユニットの制
限酵素SphIとBamHIによって、上述の同じ反応混合物20μl中で37
℃2時間消化した。
nprM遺伝子のSphI−BclI断片を宝酒造のDNAライゲーションキ
ットを用いてM13mp18のSphI−BclI断片と連結した。このライゲ
ーション混合物を用いて常法により大腸菌JM109を形質転換し、nprM遺
伝子のSphI−BclI断片を含む組換えファージ(M13TZSp−Bc)
を得た(図7)。
一本鎖DNAをM13TZSp−Bcから常法によって調製し、変異導入に供
した。変異導入に用いたオリゴヌクレオチドはアプライドバイオシステムズ社製
380B型DNA合成装置を用いて合成した。
227番目残基の置換(アスパラギンからヒスチジン)に用いられた変異導入
用オリゴヌクレオチドを以下に示す。
変異導入はUSB社製T7-GENinvitro mutagenesisキットを用いて行い、DN
Aの配列決定によって変異の確認を行なった。
変異M13TZSp−Bcの二本鎖DNAを常法によって調製し、この1μg
の二本鎖DNAを各5ユニットの制限酵素SphIとAatIによって20μl
の反応混合物(50mMトリス−塩酸(pH7.5)、10mM MgCl2、
0.1M NaCl、1mM DTT)中で37℃、2時間の消化を行い、1%
アガロースゲルを用いて電気泳動を行なった。約550bpのDNA断片をM1
3TZSp−Bc消化物から単離し、Bio-101 Gene Clean DNA精製キットを用い
て精製した。
プラスミドpUBTZ2は制限酵素SphIとAatIで消化し、7.6kb
断片を単離した。nprM遺伝子の変異を導入したSphI−AatI断片(約
550bp)を、このようにして得られたpUBTZ2 SphIとAatI断
片に宝酒造DNAライゲーションキットを用いて連結した。このライゲーション
混合物を用いて組換え体プラスミドpUBTZ2(N227H)(図8)を得、
大腸菌JM103を通常の方法で形質転換した。
b)部位150のTrp変異導入と変異体酵素(D150W−N227H)の調
製
プラスミドpUBTZ2(N227H)をポリメラーゼ連鎖反応の鋳型として
用いた。配列番号2の変異導入用プライマーおよび配列番号3の逆方向プライマ
ーを用いた。
プラスミドpUBTZ2(N227H)の1ngを100μlのPCR反応混
合物(67mMトリス−塩酸(pH8.8)、16.6mM硫酸アンモニウム、
6.7mM MgCl2、10mM 2-メルカプトエタノール、0.05mMd
ATP、0.05mM dTTP、0.05mM dGTP、0.05mMdC
TP、1μM変異導入プライマー、1μM逆方向プライマー)に溶かして、
1ユニットのTth DNAポリメラーゼを加えた。その溶液をミネラルオイル
一滴により被覆した。93℃1分間の変性、45℃1分間のアニーリングおよび
72℃45秒間の伸長を30サイクル繰り返した。反応後、水層を回収し、フェ
ノールで抽出し、エタノールで処理して増幅されたDNAを回収した(D150
W−N227H)。
この増幅DNAの半量を含む20μlの反応液(50mMトリス−塩酸pH7
.5、10mM MgCl2、100mM NaCl、1mM DTT)をSp h
IとAatIの各5ユニットにより37℃で2時間消化させ、70℃で5分間
インキュベートした。この変異SphI−AatI断片をpUBTZ2の7.6
kbのSphI−AatI断片に宝酒造社製DNAライゲーションキットを用い
て連結させた。このライゲーション混合物を用いて常法により大腸菌JM103
を形質転換し、形質転換体JM103/pUBTZ2(D150W−N227H
)を得た。置換されたアミノ酸は、このプラスミドのヌクレオチド配列の決定に
より確認した。
このプラスミドDNAを用いて枯草菌MT−2を形質転換し、変異体酵素(1
50W−N227H)を実施例1に記載の同じ方法によって調製した。
図9に組換えプラスミドpUBTZ2(D150W−N227H)を構築する
ために用いられた方法を示す。
実施例3
[144番目のアミノ酸残基をロイシンからセリン、150番目のアミノ酸残基
をアスパラギン酸からトリプトファン、227番目のアミノ酸残基をアスパラギ
ンからヒスチジンに置換した3置換を有する変異体酵素(L144S−D150
W−N227H)の合成]
サーモリシン様中性金属プロテアーゼの三重変異体を以下のように構築した。
a)部位144のSer変異導入
144位残基の置換(ロイシンからセリン)に用いられた変異導入用オリゴヌ
クレオチドを以下に示す。
さらに、以下のヌクレオチド配列を持つ逆方向プライマーを合成した。
1ngのプラスミドpUBTZ2を100μlのPCR反応混合物(67mM
トリス−塩酸(pH8.8)、16.6mM硫酸アンモニウム、6.7mM M
gCl2、10mM 2−メルカプトエタノール、0.05mM dATP、0
.05mM dTTP、0.05mM dGTP、0.05mM dCTP、1
μM変異導入プライマー、1μMセンスプライマー)に溶かして、1ユニットのTth
DNAポリメラーゼを加えた。その溶液をミネラルオイル一滴により被
覆した。93℃、1分間の変性、45℃、1分間のアニーリングおよび72℃、
45秒間の伸長を30回繰り返した。反応後、水層を回収し、フェノールで抽出
し、エタノールで処理して、増幅されたDNAを回収した。
この増幅DNAの半量を含む20μlの反応混合物(50mMトリス−塩酸p
H7.5、10mM MgCl2、0.1M NaCl、1mM DTT)をB am
IおよびSphIの各5ユニットにより37℃で2時間消化させ、70℃で
5分間インキュベートした。この変異導入BamI−SphI断片をpUBTZ
2のBamHI−SphI断片(7.4kb)に宝酒造社製DNAライゲーショ
ンキットを用いて連結させた。このライゲーション混合物を用いて常法により大
腸菌JM103を形質転換し、形質転換体JM103/pUBTZ2(L144
S)を得た。置換アミノ酸は、このプラスミドのヌクレオチド配列の決定により
確認した。
図10に組換えプラスミドpUBTZ2(L144S)を構築するために用い
られた方法を示す。
b)プラスミドpUBTZ2(L144S−D150W−N227H)の構築
実施例2で得られた1μgのpUBTZ2(D150W−N227H)を含む
20μlの反応混合物(50mMトリス−塩酸 pH7.5、10mM MgC
l2、0.1M NaCl、1mM DTT)をSphIとAatIの各5ユニ
ットにより37℃で2時間消化させ、70℃で5分間インキュベートした。この
変異導入SphI−AatI断片をpUBTZ2(L144S)の7.6kbS ph
I−AatI断片に宝酒造社製DNAライゲーションキットを用いて連結さ
せた。このライゲーション混合物を用いて常法により大腸菌JM103を形質転
換し、形質転換体JM103/pUBTZ2(L144S−D150W−N22
7H)を得た。置換アミノ酸は、このプラスミドのヌクレオチド配列の決定によ
り確認した。
このプラスミドDNAを用いて枯草菌MT−2の形質転換を行い、変異体酵素
(L144S−D150W−N227H)を実施例1に記載の同じ方法によって
調製した。
図11に組換えプラスミドpUBTZ2(L144S−D150W−N227
H)を構築するために用いられた方法を示す。
実施例4
[修飾プロテアーゼ活性の測定]
(1)Z−APMの合成活性
Z−APMの合成活性は、ベンジルオキシカルボニル-L-アスパラギン酸(Z
−Asp)とL-フェニルアラニンメチルエステル塩化物(L−PM)の縮合反
応後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。変異体酵素を
0.1Mトリス−マレイン酸緩衝液(pH6または7)中で0.1M Z−As
pと0.1M L−PMとともに35℃、30分間インキュベートした。反応は
等量の0.125M EDTAを添加することによって停止した。合成されたZ
−APMの量はコスモシルC−18カラム(ナカライテスク)を用いたHPLC
で測定した。HPLCは溶出液として40%アセトニトリルを含む60mMトリ
エチルアミン−リン酸緩衝液(pH3.0)を用い、流速を1.0ml/分とし
て行ない、溶出したZ−APMは224nmの吸光度により定量した。1秒間に
1モルのZ−APMを合成する活性値を1katal(kat)と定義した。
比較の目的のために、ランダム変異導入用プライマーを用いてほかのすべての
D150変異体も合成し、調べた。
ランダム変異導入用プライマーの塩基配列は以下の通りである。
(各XはG、A、TまたはCを示す。)
このプライマーは150位アミノ酸残基のコドンで変異を有し、この150位
で20種類のアミノ酸すべてを導入することができる。我々はこの変異導入用プ
ライマーを用いて多様な変異を150番目の位置に導入し、トリプトファンを除
く様々な変異体を調べた。
1ngのプラスミドpUBTZ2を100μlのPCR反応混合物(67mM
トリス−塩酸(pH8.8)、16.6mM硫酸アンモニウム、6.7mM M
gCl2、10mM 2−メルカプトエタノール、0.05mM dATP、0
.05mM dTTP、0.05mM dGTP、0.05mM dCTP、1
μM変異導入プライマー、1μM逆方向プライマー)に溶かして、1ユニットのTth
DNAポリメラーゼを加えた。その溶液をミネラルオイル一滴により被
覆した。93℃、1分間の変性、45℃、1分間のアニーリングおよび72℃、
45秒間の伸長を30回繰り返した。反応後、水層を回収し、フェノールで抽出
し、エタノールで処理し、増幅されたDNAを回収した。
この増幅DNAの半量を含む20μlの反応混合物(50mMトリス−塩酸p
H7.5、10mM MgCl2、0.1M NaCl、1mM DTT)をS ph
IとAatIの各5ユニットにより37℃で2時間消化させ、70℃で5分
間インキュベートした。この変異導入SphI−AatI断片をpUBTZ2の
7.6kbのSphI−AatI断片に宝酒造社製DNAライゲーションキット
を用いて連結させた。このライゲーション混合物を用いて常法により大腸菌JM
103を形質転換し、形質転換体JM103/pUBTZ2を得た。置換アミノ
酸はこのプラスミドのヌクレオチド配列の決定により確認した。
D150W変異体以外のプラスミドDNAを迅速アルカリ−SDS法により単
離した。枯草菌MT−2株への形質転換はコンピテントセル法によって行なった
。
異なる各々の枯草菌MT−2/pUBTZ2(変異)形質転換体の単一コロニ
ーをカナマイシン(5μg/ml)を含む5mlのLB培地に接種し、37℃に
て一晩インキュベートした。その培養液を、カナマイシン(5μl/ml)を含
む2L培地(2%バクトトリプトン、1%イーストエキストラクト、0.5%N
aCl)の500mlに移し、37℃、20時間インキュベートした。培養液を
8,000rpmにて30分間遠心して菌体を除去し、上澄に60%飽和になる
ように硫安を加え、混合物を4℃で一晩撹拌した。
遠心分離により沈殿を回収し、これを10mlの緩衝液A(20mMトリス−
塩酸 pH9.0、10mM CaCl2)に溶解した。この酵素溶液を20m
lのブチルトヨパールにアプライし、緩衝液Aで1.5ml/分の流速で溶出し
た。その活性画分を集め、60%飽和硫安で塩析した。この析出物を15,00
0rpmで30分間遠心して集め、5mlの緩衝液B(20mMトリス−塩酸p
H7.5、10mM CaCl2)に溶解した。その酵素溶液をゲル濾過カラム
(TSK Gel G2000SW(21.5×300mm))にアプライした後、緩衝液Bに
より1ml/分の流速で溶出させた。活性画分を集めて精製酵素を得た。
150番目のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換された変異体酵素(D1
50変異体)の合成活性を図12に示す。150位のアスパラギン酸残基がトリ
プトファンに置換された変異体(D150W)は顕著に高い比活性(すなわち野
性型サーモリシン(D)よりも約4倍高い)を示している一方で、他のほとんど
の変異体は野性型サーモリシン(D)よりも高い活性を示しているものの、これ
らの活性はD150Wよりはかなり低い。トリプトファン変異体は明らかに活性
が最大である。
表1に示されているように、さらに二つの多重変異体、つまり2重変異体D1
50W−N227H(150番目のアスパラギン酸をトリプトファンに置換し、
227番目のアスパラギンをヒスチジンに置換したもの)や3重変異体L144
S−D150W−N227H(144番目のロイシンをセリンに、150番目の
アスパラギン酸をトリプトファンに、そして227番目のアスパラギンをヒスチ
ジンに置換したもの)でも高い。
(2)Z−APMの加水分解活性
変異体酵素によるZ−APMのZ−AspとPMへの加水分解は井上の方法に
よって224nmの吸光度の減少を追うことにより測定した(Inoue,K.,(1992
),J.Biochem.112,335-340)。0.1Mのトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)
に1mMのZ−APMを溶かした溶液3mlを変異体酵素とともに35℃でイン
キュベートし、224nmの吸光度の減少をモニターした。加水分解されたZ−
APMの量は、△ε224の吸光度の差が−493(M-1・cm-1)として求め
た。
D150変異体の活性を図13に示す。D150W変異体は野性型サーモリシ
ンに比べて約4倍の高活性を示した。他のほとんどの変異体酵素は野性型サーモ
リシン(D)と比較して約1〜3倍のZ−APM分解活性しか示さなかった。ト
リプトファン変異体酵素は明らかに最も高い活性を示している。
D150W−N227HとL144S−D150W−N227Hの活性も表1
に示す。Z−APMの加水分解に対するそれらの活性は野性型酵素に比べて、そ
れぞれ6〜7倍、9〜10倍である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,E
E,FI,GE,HU,JP,KG,KR,KZ,LK
,LR,LT,LV,MD,MG,MN,NO,NZ,
PL,RO,RU,SI,SK,TJ,TT,UA,U
S,UZ,VN
(72)発明者 半澤 敏
神奈川県海老名市今泉六丁目1番13−103
号
(72)発明者 大江 正剛
神奈川県横浜市緑区たちばな台2−7−3
(72)発明者 城所 俊一
神奈川県相模原市南台1−9−2
(72)発明者 三木 洋一郎
新潟県長岡市下山三丁目2361−5
(72)発明者 遠藤 きみ子
東京都町田市金森1733−10
(72)発明者 和田 昭充
東京都港区赤坂八丁目11番4号