JPH06181761A - 新規プロテアーゼ - Google Patents

新規プロテアーゼ

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JPH06181761A
JPH06181761A JP5045387A JP4538793A JPH06181761A JP H06181761 A JPH06181761 A JP H06181761A JP 5045387 A JP5045387 A JP 5045387A JP 4538793 A JP4538793 A JP 4538793A JP H06181761 A JPH06181761 A JP H06181761A
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JP
Japan
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residue
replaced
amino acid
enzyme
plasmid
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Application number
JP5045387A
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English (en)
Inventor
Takashi Yoneya
隆 米屋
Atsuo Aoyama
淳夫 青山
Kenichi Kai
建一 甲斐
Hiromasa Nagao
洋昌 長尾
Koichi Misawa
孝一 三沢
Masatake Oe
正剛 大江
Tomomi Hanya
友美 半谷
Harutaka Iekame
晴宇 家亀
Shunichi Kidokoro
俊一 城所
Yoichiro Miki
洋一郎 三木
Kimiko Endo
きみ子 遠藤
Akimitsu Wada
昭允 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sagami Chemical Research Institute
Tosoh Corp
Original Assignee
Sagami Chemical Research Institute
Tosoh Corp
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Publication date
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Publication of JPH06181761A publication Critical patent/JPH06181761A/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】配列表1のアミノ酸配列を有するサーモライシ
ン様中性金属プロテアーゼにおいて、次の群(アミノ末
端から、144番目のロイシン残基、150番目のアス
パラギン酸残基、187番目のグルタミン酸残基)から
選ばれた少なくとも1種以上のアミノ酸残基が他のアミ
ノ酸残基に置換された新規プロテアーゼ。特に、上記の
新規プロテアーゼにおいて、アミノ末端から227番目
のアスパラギン残基が他のアミノ酸残基に置換された新
規プロテアーゼが好ましい 【効果】本発明における変異体酵素は、Z−APMの分
解及びその合成に対して、野生型酵素に比べて有意にそ
の比活性が向上しており、種々の用途における本酵素の
利用に際し、反応効率の上昇や反応時間の短縮などの点
で優れた効果を発揮する可能性がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、新規なサーモライシ
ン様中性金属−プロテアーゼ及びその用途、特にベンジ
ルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル−L−フェ
ニルアラニンメチルエステルの合成への使用に関わるも
のである。
【0002】サーモリシンは工業的に製造されている有
用な酵素であり、その用途は多分野に及ぶ。例えば、洗
剤、食品製造、化粧品等の分野にわたっている。更に、
人工甘味料の一種であるアスパルテームの前駆体である
ベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチル−L
−フェニルアラニンメチルエステル(以下Z−APMと
略する)の合成等に使用される。
【0003】
【従来の技術】サーモリシンは好熱菌の一種であるバチ
ルスサーモプロテオリチカスBacillus t
hermoproteolyticus)の培養上清中
に見つけられた金属プロテアーゼであり(J. Fer
mentation.,40,p.346(1962)
参照)、これまで数多くの研究が行われてきた。たとえ
ば、アミノ酸配列表(Titani K.,et a
l.,Nature New Biol.238,p.
35−37(1972))や、当該酵素の三次元構造(
Holmes, M.A. and Matthew
s, B.W., J.Mol.Biol.160.,
p.623−639(1982))が明らかにされてい
る。ところが最近、バチルスサーモプロテオリチカス
Bacillus thermoproteolyt
icus)よりプロテアーゼ遺伝子がクローン化され
(特開平3−232494)、その塩基配列から推測さ
れる成熟酵素のアミノ酸配列は、これまで推定されてい
た配列とは2つの位置で異なることがわかった。即ち成
熟酵素のアミノ末端から37番目のアスパラギン酸の代
わりにアスパラギン及び119番目のグルタミン酸の代
わりにグルタミンとなっていることが報告された。とこ
ろがこの配列は以前、バチルスステアロサーモフィラ
Bacilulus stearothermop
hilus)からクローン化されたプロテアーゼ遺伝子
の一つ(nprM,微工研菌寄託 9645号)と全く
同一であることがわかった(Kubo M.,et a
l.,Journal of General Mic
robiology,134,p.1883−1892
(1988))。
【0004】従って、以下、本明細書においてはこの
prM遺伝子又はバチルスサーモプロテオリチカス
Bacillus thermoproteolyt
icus)に由来するプロテアーゼを「野生型サーモリ
シン様金属プロテアーゼ」と呼ぶ。
【0005】サーモリシン様中性金属−プロテアーゼの
活性及び安定性の変化については、最近報告された(K
ubo M., et al., Environme
n−tal Microbiology, 58
p.3779−3783(1992))。この文献にお
いては、1又はそれ以上のアミノ酸残基、特に、アミノ
末端から93番目、110番目、114番目、115番
目、136番目、137番目、143番目、151番
目、157番目、193番目、211番目、217番目
及び221番目のアミノ酸残基が最初の構造と異なる種
々のミュータントが記載されている。しかしながら、こ
の文献中では、カゼインの分解活性しか測定されておら
ず、どの酵素においても、Z−APMの合成又はZ−A
PMの分解に関する活性が実際に良くなったことは示さ
れていない。又、カゼインの分解活性はZ−APMの合
成活性とは関連しないことが明かとなった(詳細は、実
施例中で述べる。): 例え、カゼイン分解比活性が増
加してもZ−APM合成比活性がいつも増加するもので
ない。
【0006】これらの知見と、当該酵素の活性が比較的
低いこと、縮合反応の間での酵素の失活及び長時間の反
応時間及び/又は好ましくないpH条件による生成物Z
−APMと出発物質であるL−フェニルアラニンメチル
エステル(PM)の加水分解の様な種々の問題点によ
り、Z−APMの合成活性が元の野生型サーモライシン
よりも高い改良酵素を開発する必要がある。
【0007】なお、本願明細書中では、PMと言う語中
にはPMの塩も含まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本願発明の目的は上記
課題を解決することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】優れた特性を有する酵素
は、種々の位置からある特定の位置にある適当な置換基
を選択することにより得られることが明らかとなった。
すなわち、アミノ酸配列1を有する当該サーモライシン
様中性金属プロテアーゼから配列の特定の位置の1又は
それ以上のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換する
ことにより得られる。特に、本発明の新規なプロテアー
ゼは以下のアミノ酸残基の少なくとも1つを他のアミノ
酸残基に置換することにより得られる。:144番目の
ロイシン基、150番目のアスパラギン酸基、187番
目のグルタミン酸基及び227番目のアスパラギン基の
アミノ酸残基(但し、227番目のアスパラギン基の
み、他のアミノ酸残基に置換されている新規なプロテア
ーゼは除く。)。
【0010】特に、これらの酵素はZ−APMの合成ま
たはZ−APMの分解に対して、野生型酵素よりも高い
活性を示す。このことにより、バチルスステアロサー
モフィラスBacilulus stearothe
rmophilus)由来のサーモライシン様中性金属
プロテアーゼのZ−APMの合成の活性を高めるという
課題を解決する。更に、これらの酵素は低いpHで活性
が高く、このことによりZ−APMの合成の間のZ−A
PM及びPMの加水分解が起こりにくくなる。上記の特
定の位置を2つ以上置換することにより得られる酵素も
当然、本特許の範囲に入ることを断っておく。又、上記
の特定の位置の少なくとも1つアミノ酸残基を他のアミ
ノ酸残基に置換し、更に他の位置の少なくとも1つのア
ミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した酵素も本特許
の範囲に入る。
【0011】
【作用】本発明に記載されている新規プロテアーゼは、
野生型サーモライシン様中性金属プロテアーゼのアミノ
酸配列とは異なる変更されたアミノ酸配列を有する由来
物である。特に、その新規プロテアーゼはZ−APMの
合成及び/又は分解に対して高い活性を有している。代
表的には、このことは、Z−APMの合成及び/又は分
解に対する活性を分析し、同じ方法で分析した野生型サ
ーモライシン様中性金属プロテアーゼの活性とを比較す
ることにより決定される。この方法は実施例において、
詳細に記載されている。
【0012】変更された酵素は、それ自体当業者には公
知の方法により製造することが可能である。
【0013】本発明の新規プロテアーゼを製造するのに
好ましい方法は、遺伝子組換方法により野生型サーモラ
イシン様中性金属プロテアーゼの144番目、150番
目、187番目及び227番目の内少なくとも1つの予
め決められた位置に他のアミノ酸残基を導入する方法で
ある(但し、227番目のアスパラギン基のみ、他のア
ミノ酸残基を導入する場合は除く。)。その得られたプ
ロテアーゼの性能は、本来の適用に於ける分析により決
定することが出来る。クローン化された遺伝子にアミノ
酸置換の導入する方法としては、種々の方法が知られて
いる。例えば、nprM遺伝子の断片のミュータント
は、M13ファ−ジ変異生成方法(Vandeyar
M.,et al.,Gene, Vol. 65,
p.129(1988))を使用することにより製造さ
れる。
【0014】本発明において、塩基配列の鋳型として使
用されるプラスミドDNA及びファージDNAは公知の
プラスミドpMK1(Kubo M. and Ima
naka T., J. Bacteriol, Vo
l. 171, p.4080〜4082, 198
9)から作り出すことができる。幾つかの制限酵素が
prM遺伝子の断片の消化と他のプラスミド又はファー
ジベクトルへのクローニングに使用される。
【0015】変異導入プライマーは、置換アミノ酸残基
のコドン以外は、nprM遺伝子を含む一本鎖DNA鋳
型と相補正がなければならない。種々のヌクレオチドが
この目的に使用出来る。置換アミノ酸残基の為の種々の
コドンを有する変異導入プライマーを使用することによ
り、任意の所望するアミノ酸残基の置換が可能となる。
【0016】別に、nprM遺伝子は化学的に合成され
たプライマー(Higuchi,R., Krumme
l, B., and Saiki, R.K.,
(1988) Nucleic Acids Res.
16, 7351−7367)を使用するPCR技術
(polymerase chain reactio
n)により変異を導入することが出来る。酵素の制限位
置が変異導入位置の近傍に存在する時にこの方法は特に
適している。例えば、野生型サーモライシン様中性金属
プロテアーゼの150番目の位置でのアスパラギン酸に
対するコドンの近傍に制限酵素SphIの切断部位が存
在する為に、このSphI位置を含む変異プライマーは
150番目の位置での変異導入に使用することが出来
る。この様にして変異プライマーはセンスプライマーと
して使用される。逆方向プライマー(アンチセンスプラ
イマー)として、nprM遺伝子のAatI切断部位か
ら下方のnprM遺伝子と相補性のあるオリゴヌクレオ
チドが製造できる。
【0017】一つ以上位置に変異を導入する方法には二
つの方法が使用できる。一つの方法は同時に全ての位置
に変異を導入する方法であり、別の方法は最初に変異を
導入した後に次の位置に変異を導入する方法である。両
方の方法では、1つ以上の位置に変異が導入されたプラ
スミドが実際に得られる。
【0018】一般的な組換体サーモライシン様中性金属
プロテアーゼの製造法は公知文献(Kubo, M.
and Imanaka, T., (1989)
J.Bacteriol., 171, 4080−4
082)に記載されており、以下の工程を含んでい
る。:修飾サーモライシン様中性金属プロテアーゼを記
録されたDNAを展開ベクターに挿入し、宿主細胞に形
質転換する為にベクターを使用し、修飾金属プロテアー
ゼが培地で蓄積し、修飾酵素が培地から取り出される迄
その形質転換体を培養する。しかしながら、この文献中
で使用されているプラスミドpMK1は20kb以上の
大きさであり、従ってそのプラスミドを大腸菌に形質転
換するのは実質的に困難である。さらに、枯草菌におい
てもプラスミドpMK1は培養の後半時にかなりの部分
が脱落することが明かとなった。
【0019】従って、この様な問題点を克服する為に、
両方の宿主、大腸菌と枯草菌を形質転換することが出
来、それらの宿主にnprM遺伝子を発現することが出
来るシャトルベクターを本発明者は組み立てられた。図
1〜図4に示された様に、nprM遺伝子を含む二つの
シャトルベクターが組み立てられた(pUBTZ1及び
pUBTZ2)。これらのシャトルベクターは大腸菌H
B101及びJM103株を形質転換するのに使用する
時、nprM遺伝子がその株の中で発現する。付け加え
て、DB104,DB117及びMT−2の枯草菌株の
形質転換は、効率の良いnprM遺伝子発現をもたら
す。又、培養の後半時の脱落は見られない。これらのシ
ャトルベクターの使用による同様の結果や利点は、野生
型遺伝子の代わりにサーモライシン様中性金属プロテア
ーゼのアミノ酸置換体を使用すると得られる。
【0020】サーモライシン様中性金属プロテアーゼの
アミノ酸置換体は組換体バクテリア中で製造することが
出来、培養溶媒中に分泌される。これらのプロテアーゼ
は硫酸アンモニウム添加による沈殿化により回収され、
通常の方法、例えば疎水クロマトグラフィー及び/又は
ゲル濾過により精製される。
【0021】新規プロテアーゼはアスパルテームの前駆
体であるZ−APMを野生型サーモリシン様中性金属プ
ロテアーゼよりも効率良く製造するのに使用される。こ
のことは、これらの新規プロテアーゼのカゼイン分解活
性、Z−APM分解活性及びZ−APM合成活性を野生
型プロテアーゼのそれらの活性とを比較することにより
示される。それらの新規プロテアーゼの活性は、野生型
プロテアーゼの活性よりも非常に高いことが明らかとな
った。これらの活性の測定値は後の実施例に記載され
る。
【0022】本発明においては、サーモライシン様中性
金属プロテアーゼにおいて、アミノ末端アミノ酸から1
44番目、150番目、187番目及び227番目の位
置がZ−APM分解及びZ−APM合成に対する活性を
高める大きな効果があり、特にこれらの位置の2つ又は
3つの位置が重なるとさらに大きな効果があることが明
らかとなった。
【0023】カゼインの分解活性は、Z−APMの合成
活性又はZ−APMの分解活性に対して関係がないこと
に注目すべきである。ミュータント酵素のカゼイン及び
Z−APMに対する活性を比較すると、例えカゼインの
分解活性が低下しても、Z−APMの合成活性及び又は
分解活性を著しく高められることは明らかである。以下
の実施例は、本発明を単に具体化するものであり、本発
明の範囲をけっして制限するものではない。
【0024】
【実施例】実施例 1 (アミノ末端から187番目のアミノ酸残基でのアミノ
酸置換を有するサーモライシン様中性金属プロテア−ゼ
のアミノ酸置換体の合成)バチルス・ステアロサーモフ
ィラス(Bacillus stearothermo
philus)MK232株由来のサ−モリシン様金属
プロテア−ゼ遺伝子nprMを含むプラスミドpMK1
の1μgを20マイクロリットルの反応液(50mM
トリス−塩酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウ
ム、100mM 塩化ナトリウム 1mM DTT)に
於いて、PstIおよびBamHIの各5ユニットによ
り37℃で2時間分解させた。このサンプルから1%ア
ガロースゲル電気泳動で約3.5kbのDNA断片を分
離し、バイオ101社ジーンクリーンDNA精製キット
を用いて精製した。
【0025】一方、プラスミドベクターpUC9の1μ
gを含む20マイクロリットルの反応液(50mM ト
リス−塩酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウ
ム、100mM 塩化ナトリウム 1mM DTT)に
於いて、PstI及びBamHIの各5ユニットにより
37℃で2時間分解させた。
【0026】このようにして得られたpMK1のnpr
M遺伝子のPstI−BamHI断片と、pUC9の
stI−BamHI消化物を宝酒造社製DNAライゲー
ションキットを用いて反応させ、常法に従って大腸菌J
M109に形質転換し、nprM遺伝子のPstI−
amHI断片を含む組換体ファ−ジ(pUCTZ55)
を得た(図5)。
【0027】図6に示すプラスミドpUCTZ55から
M13ファ−ジM13TZSp−Bcを構築する工程を
以下に説明する。
【0028】組換体プラスミドpUCTZ55の1μg
を、20マイクロリットルの反応液(50mMトリス−
塩酸 pH7.5 10mM 塩化マグネシウム 10
0mM 食塩 1mM DTT)に於いて、SphI及
BclIの各5ユニットを加えて37℃で2時間分解
させた。このサンプルから1%アガロースゲル電気泳動
で約550bpのDNA断片を分離し、バイオ101社
ジーンクリーンDNA精製キットを用いて精製した。
【0029】一方、ファージベクタ−M13mp18の
1μgを、20マイクロリットルの反応液(50mM
トリス−塩酸 pH7.5 10mM 塩化マグネシウ
ム100mM 食塩 1mM DTT)に於いて、Sp
I及びBclIの各5ユニットを加えて37℃で2時
間分解させた。
【0030】このようにして得られたnprM遺伝子の
SphI−BclI断片と、M13mp19のSph
BclIの分解物とを宝酒造社製DNAライゲーショ
ンキットを用いて連結反応を行なった。この反応混合物
を、通常の方法で、大腸菌JM109に形質転換し、
prM遺伝子のSphI−BclI断片を含む組換体フ
ァ−ジ(M13TZSp−Bc)を得た(図6)。
【0031】得られた組換体ファ−ジ(M13TZSp
−Bc)から、通常の方法で、1本鎖DNAを調製し、
アミノ酸置換の導入に用いた。アミノ酸置換の導入に用
いたオリゴヌクレオチドはアプライドバイオシステムズ
社製380B型DNA合成装置を用いて作製した。
【0032】187番目残基の変換(グルタミン酸から
グルタミンへの変換)に使用されたアミノ酸置換導入用
オリゴヌクレオチドを以下に示した。
【0033】 5´−CCAGATTGGCAAATTGGAGAG−3´ Gln 187 アミノ酸置換の導入は、東洋紡社製T7−GENインビ
トロミュータゲネシスキットを用いて行い、DNAの配
列決定によってアミノ酸置換の導入を確認した。
【0034】アミノ酸置換を導入したM13TZSp−
Bc及びpUCTZ55の二本鎖DNAを通常の方法に
より調製し、その二本鎖DNAの1μgを、20μリッ
トルの反応液(50mMトリス−塩酸 pH7.5 1
0mM 塩化マグネシウム100mM 食塩1mM D
TT)に於いて、SphI及びAatIを各5ユニット
により37℃で2時間反応させ、一部を切り取り、この
サンプルを1%アガロ−スゲルで電気泳動した。約55
0bpのDNA断片をM13TZSp−Bc分解物から
分離し、そのDNA断片をバイオ−101遺伝子DNA
精製キットを用いて精製した。
【0035】同時に、枯草菌体中での発現の為のベクタ
ー断片を以下に記載した方法製造した。プラスミドpM
K4(Yamada et al.,(1991) G
ene, 99, 109−114)から、nprM遺
伝子の一部を含む約1.0kbのDNA断片をBcl
で分解し、プラスミド pUCTZ37を組み立てる為
に、プラスミドpUC9のBamHI位置にクローン化
した(図1)。
【0036】プラスミドpUCTZ37はnprM遺伝
子の5´末端領域を有さない不完全なプラスミドであ
る。プラスミドpUCTZ37は制限酵素HindII
Iで分解し、その大きな断片と、プラスミドpMK4か
HindIII消化により得られた約1.2kb断片
とを連結し、プラスミドpUCTZ47を作製した(図
2)。この組換体プラスミドpUCTZ47はnpr
の全ての配列及び転写プロモーター配列を含む。
【0037】図3に示された様に、大腸菌と枯草菌との
間のシャトルベクターを組み立てる為に、pUCTZ4
7とpUB110(Lacey et al., 19
74)をEcoRIにより消化し、プラスミドpUBT
Z1を組み立てる為にT4ポリヌクレオチドキナーゼで
ライゲーションを実施した。
【0038】最終的に、図4に示された様に、プラスミ
ドpUBTZ1から制限酵素SmaIとPvuIIとの
間のDNA断片を除去することによりプラスミドpUB
TZ2を作製した。プラスミドpUBTZ2はnpr
遺伝子領域に制限酵素BamHI、SphI及びAat
Iの切断部位を一ケ所づつを有する。野生型遺伝子から
変異型遺伝子への変換は以下の様に実施した。
【0039】プラスミドpUBTZ2はSphI及び
atIで消化し、7.6kbの断片を単離した。この様
にして得られたpUBTZ2とnprM遺伝子のアミノ
酸置換を導入したSphI及びAatI断片(約550
kb)とを宝酒造DNAライゲーションキットにより、
ライゲーションした。このライゲーション混合物はJM
103大腸菌を通常の方法により組換体プラスミド(E
187Q)を得ることに使用される(図7)。
【0040】組換体プラスミドpUBTZ2(アミノ酸
置換体)は通常の方法で、枯草菌MT−2株に形質転換
された。その細胞液を1%カゼイン、5μg/ミリリッ
トルのカナマイシンを含むLB寒天培地に塗布し、37
℃にて一夜培養した。最終的に、ハロ−形成コロニ−を
単離することにより、組換体プラスミドpUBTZ2
(アミノ酸置換体)を得た。
【0041】組み換え枯草菌MT−2株/pUBTZ2
(アミノ酸置換体)の単一コロニーを、5μg/ミリリ
ットルの濃度でカナマイシンを含む5ミリリットルのL
B培地で37℃にて一夜培養した。その培養液を、5μ
g/ミリリットルの濃度でカナマイシンを含む500ミ
リリットルの2L培地(2%バクトトリプトン、1%イ
−ストエクストラクト、0.5%塩化ナトリウム)に移
し、37℃、20時間培養した。培養液を8000rp
mにて30分間遠心し菌体を除去し、上澄に60%飽和
になるように硫安を加えて4℃一夜攪拌した。
【0042】遠心分離により沈殿を回収し、この沈殿を
10ミリリットルの緩衝液A(20mMトリス−塩酸
pH9.0、10mM塩化カルシウム)に溶解した。そ
の溶液を、20ミリリットルのブチルトヨパ−ルにアプ
ライし、緩衝液Aで1.5ミリリットル/分の流速で溶
出させた。その活性画分を集め、60%飽和硫安にて塩
析した。沈殿を15000rpmにて30分間遠心分離
して集め、この沈殿を5ミリリットルの緩衝液B(20
mMトリス−塩酸 pH7.5、10mM塩化カルシウ
ム)に溶解した。その酵素溶液はさらにゲル濾過カラム
(TSK Gel G2000 SW 21.5x60
0mm)にアプライし、緩衝液Bで1ミリリットル/分
の流速で溶出した。活性画分を集め各種の精製酵素を得
た。
【0043】実施例2 (アミノ末端から144番目のアミノ酸残基におけるア
ミノ酸置換を有するサーモライシン様中性金属プロテア
ーゼの無作為なアミノ酸置換導入による製造)npr
遺伝子のBamHI−SphI断片を含む組換体ファー
ジM13TZBa−Spは制限酵素をPstI−Bam
HIではなくBamHI−SphIを使用し、mp18
ではなくmp19のM13ファージを使用する以外は実
施例1と同じ方法で得られた。組換体ファ−ジM13T
ZBa−Spの製造手順は図8に示されている。
【0044】M13TZBa−Sp1本鎖DNA5マイ
クログラムを、1M亜硝酸ナトリウム(pH=4.3)
を含む20マイクロリットルの0.25M酢酸ナトリウ
ム緩衝液中で21.5℃、4.5時間培養されたのち、
エタノ−ル沈殿により亜硝酸を除去、DNAを回収し
た。
【0045】回収したDNA0.5マイクログラムをP
CR反応溶液(67mM トリス(pH8.8、16m
M 硫酸アンモニウム、6.7mM 塩化マグネシウ
ム、10mM 2−メルカプトエタノ−ル、0.2mM
dATP、0.2mMdGTP、0.2mM dTT
P、0.2mM dGTP, 0.2mM dCTP,
1μM 順方向M13ユニバ−サルプライマ−,1μM
逆方向M13プライマ−)に溶かして、1ユニットの
Tth DNAポリメラ−ゼを加えた。その溶液の表面
をミネラルオイル1滴で覆った。93℃で1分間変性さ
せ、45℃で1分間アニ−ルし、72℃で45秒間の伸
長を30サイクル繰り返した。反応終了後、水層を回収
し常法に従って、フェノ−ルで抽出、エタノ−ルで処理
し、増幅されたDNAを沈殿化により回収した。
【0046】このようにして得られたDNAの半量を、
20マイクロリットルの反応液(50mM トリス−塩
酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウム、100
mM塩化ナトリウム 1mM DTT)中で、Bam
I、SphI各5ユニットにより37℃2時間で消化さ
せた。その後、反応混合物を70℃で5分間反応させ
た。このようにして得られた変異の導入されたBam
SphI断片と、pUBTZ2のBamHIーSph
I断片(7.4kb)とを宝酒造社製DNAライゲ−シ
ョンキットを用いてライゲーションした。そのライゲー
ション混合物を、常法に従って大腸菌JM103に形質
転換し、アミノ酸置換を導入された形質転換体JM10
3/pUBTZ2を得た。
【0047】形質転換体を含む寒天培地上にアルカリ溶
液(0.2N 水酸化ナトリウム、0.2% SDS)
3ミリリットルを加えてコロニーを溶かし、1ミリリッ
トルの溶液を回収した。回収した液に5Mの酢酸カリウ
ムを1ミリリットル加え、氷中に10分間放置したのち
8000rpm、20分間遠心して沈殿を除去した。得
られた上澄を常法に従ってフェノ−ルで処理し、エタノ
ールで処理して沈殿させた。その沈殿を真空乾燥したの
ち、0.2ミリリットルのTE(10mM トリス(p
H 7.5)、1mM EDTA)に溶解しミュ−タン
トライブラリーとした。
【0048】得られたミュ−タントライブラリーで常法
によって枯草菌MT−2を形質転換した。この細胞溶液
を、1%カゼイン及び5μg/ミリリットルのカイナマ
イシンを含むLB寒天培地に展開し、37℃にて一夜培
養し、最終的に140個のハロ−形成コロニ−を単離し
た。
【0049】選択したコロニ−を5μg/ミリリットル
のカイナマイシンを含むLB培地3ミリリットルに移
し、37℃にて一夜培養した。この培養液を10,00
0rpmで5分間遠心分離し、上澄1.2ミリリットル
に硫酸アンモニウムの飽和水溶液0.3ミリリットル及
びブチルトヨパール650Sを0.04ミリリットルを
加えて撹拌し、室温で5分間放置した。続いて10,0
00rpm、1分間遠心し上澄を除去し、洗浄液(8m
M トリス塩酸(pH8.0)、8mM 塩化カルシウ
ム、20%飽和硫酸アンモニウム)0.2ミリリットル
に懸濁し、容量1ミリリットルのピペットチップで作製
した遠心カラムに詰めた。0.6ミリリットルの洗浄液
で洗浄したのち、酵素溶液は0.2ミリリットルの溶離
液(10mM トリス塩酸(pH8.0)、 10mM
塩化カルシウム)で溶出した。こうして得られた酵素
液を先の溶離液で平衡化したファルマシア社製脱塩ゲル
濾過カラム(セファデックスPD10)によって脱塩を
行い、精製された酵素液0.5ミリリットルを得た。
【0050】その酵素溶液の酵素濃度は色素結合法(B
radford,M.M. Anal. Bioche
m.,72,(1976) 248−254)によって
測定し、アミノ酸置換の導入された酵素をスクリーニン
グする為に、Z−APMの分解特性を以下の方法により
測定した。
【0051】1ミリリットルの基質溶液(10mM ト
リス−マレイン酸(pH8.0)、10mM 塩化カル
シウム、 5mM Z−APM)に0.05ミリリット
ルの酵素溶液を混合し37℃、20分反応させたのち、
0.5ミリリットルの反応停止液(0.1M 酢酸)を
加え、続いて1ミリリットルのニンヒドリン溶液を加え
た。100℃で15分間反応させた後、2ミリリットル
の50%エタノ−ルを加えて、570nmの吸光度を測
定した。酵素蛋白質1mg当たりの吸光度の変化を比活
性として野生型酵素との相対値で表した。その結果、Z
−APM分解活性が高い2つのクローンが得られた。そ
の結果を以下に示す。
【0052】 野生型 クローン1 クロ−ン2 Z−APM分解活性(%) 100 260 280 得られた2つのクロ−ンより常法に従ってプラスミドD
NAを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、2つの
クローンは同じものであり、アミノ末端から38番目の
グリシンがグルタミンに、144番目のロイシンがセリ
ンに置換された変異体であった。以後これらのクローン
をG38Q−L144Sと示す。
【0053】プラスミドpUBTZ2(G38Q−L1
44S)1μgとpUBTZ2(野生型)1μgとを2
0マイクロリットルの反応液(50mM トリス−塩酸
pH7.5、10mM 塩化マグネシウム、 50m
M 塩化ナトリウム、 1mM DTT)中で、Hin
dIII 5ユニットにより、37℃で2時間消化させ
た。これらのサンプルを1%アガロ−スゲルで電気泳動
し約1.1kb及び約7kbのDNA断片を分離し、バ
イオ101社ジ−ンクリ−ンDNA精製キットを用いた
精製した。
【0054】この様にして得られたpUBTZ2(G3
8Q−L144S)由来の約7kb断片とpUBTZ2
(野生型)由来の約1.1kbのDNA断片を宝酒造社
製DNAライゲ−ションキットを用いてライゲーション
した。そのライゲーション混合物を常法に従って大腸菌
JM103を形質転換した。その形質転換体を急速なD
NA分離とDNA配列調査により、pUBTZ2(L1
44S)を単離した。組換枯草菌MT−2/pUBTZ
2(G38Q−L144S)及び組換枯草菌MT−2/
pUBTZ2(L144S)のそれぞれの単一コロニー
を5μg/ミリリットルのカナマイシンを含むLB培地
の5ミリリットルに移し37℃にて一夜培養した。5μ
g/ミリリットルのカナマイシンを含む2リットルの培
地(2% バクトトリプトン、1%イーストエクストラ
クト、0.5% 塩化ナトリウム)の500ミリリット
ルに移し、37℃、20時間培養した。その培養液を
8,000rpmにて30分間遠心分離し、菌体を除去
し、60%飽和にする為に、硫酸アンモニウムを上澄液
に添加し、その混合物を一夜間4℃に撹拌した。
【0055】遠心分離により沈殿を回収し、この沈殿を
10ミリリットルの緩衝液A(20mMトリス−塩酸
pH9.0、10mM塩化カルシウム)に溶解した。そ
の溶液を、20ミリリットルのブチルトヨパ−ルにアプ
ライし、緩衝液Aで1.5ミリリットル/分の流速で溶
出させた。その活性画分を集め、60%飽和硫安にて塩
析した。沈殿を15000rpmにて30分間遠心分離
して集め、この沈殿を5ミリリットルの緩衝液B(20
mMトリス−塩酸 pH7.5、10mM塩化カルシウ
ム)に溶解した。その酵素溶液はさらにゲル濾過カラム
(TSK Gel G2000 SW 21.5x60
0mm)にアプライし、緩衝液Bで1ミリリットル/分
の流速で溶出した。活性画分を集め各種の精製酵素を得
た。
【0056】実施例3 (150番目のアミノ酸残基に変異を有するサーモリシ
ン様中性金属プロテアーゼの合成)変異導入に用いたオ
リゴヌクレオチドは、アプライドバイオシステムズ社製
380B型DNA合成装置を用いて合成した。その変異
導入プライマーのヌクレオチドの塩基配列を以下に示
す。
【0057】 5´−AACGATGCGGTAACCAATTTATACAGC−3´ SphI Asn 150 5´−AACGATGCGGTAACCCATTTATACAGC−3´ SphI His 150 5´−AACGATGCGGTAACCAAATTATACAGC−3´ SphI Lys 150 以下、このオリゴヌクレオチドを変異導入プライマ−と
呼ぶ。
【0058】一方、以下のヌクレオチド配列を持つ逆方
向プライマ−も同じ装置により、合成した。
【0059】 5´−GAGATACCACTTTATTTCACCCCA−3´ プラスミドpUBTZ2、1ngをPCR反応溶液(6
7mMトリス(pH8.8)、16.6mM 硫酸アン
モニウム、6.7mM 塩化マグネシウム、10mM
2−メルカプトエタノ−ル、0.05mM dATP、
0.05mMdGTP、0.05mM dCTP、0.
05mM dTTP、1μM 変異導入プライマ−、1
μM 逆方向プライマ−)の100マイクロリットルに
溶かして、1ユニットのTth DNAポリメラ−ゼを
加えた。その溶液をミネラルオイル一滴により被覆し
た。93℃1分間の変性、45℃1分間のアニ−リング
及び72℃45秒間の伸長を30サイクル繰り返した。
反応終了後、水層を回収し常法に従って、フェノ−ルで
抽出し、エタノ−ルで沈殿化を行い、増幅されたDNA
を回収した。
【0060】このようにして得られたDNAの半量を含
む20マイクロリットルの反応液(50mM トリス−
塩酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウム、10
0mM 塩化ナトリウム、1mM DTT)にSph
及びAatI各5ユニットにより37℃で2時間消化さ
せ、70℃で5分間反応させた。このようにして得られ
た変異の導入されたSphIーAatI断片約530b
pを、pUBTZ2のSphIーAatI断片7.4k
bにより宝酒造社製DNAライゲ−ションキットを用い
てライゲーションさせた。このライゲーション混合物
を、常法に従って大腸菌JM103に形質転換し、変異
の導入された形質転換体JM103/pUBTZ2を得
た。置換されたアミノ酸残基は、これらのプラスミドの
ヌクレオチドの配列の同定により確認した。
【0061】例えば、組み換え枯草菌MT−2/pUB
TZ2(D150N)の単一コロニ−を、5μg/ミリ
リットルの濃度でカナマイシンを含むLB培地5ミリリ
ットルに移し、37℃にて一夜培養した。その培養液
を、500ミリリットルの5μg/ミリリットルの濃度
でカナマイシンを含む2L培地(2%バクトトリプト
ン、1%イ−ストエクストラクト、0.5%塩化ナトリ
ウム)に移し、37℃、20時間培養した。培養液を
8,000rpmにて30分間遠心分離し、菌体を除去
し、上澄に60%飽和になるように硫安を加えて4℃で
一夜撹拌した。
【0062】遠心分離により沈殿を回収し、この沈殿を
10ミリリットルの緩衝液A(20mMトリス−塩酸
pH9.0、 10mM 塩化カルシウム)に溶解し、
20ミリリットルのブチルトヨパ−ルにアプライし、緩
衝液Aで1.5ミリリットル/分の流速で溶出した。そ
の活性画分を集め、60%飽和硫安にて塩析、1500
0rpmにて30分間遠心して、沈殿を集めた。続い
て、この沈殿を5ミリリットルの緩衝液(20mMトリ
ス−塩酸 pH7.5、10mM塩化カルシウム)に溶
解した。その酵素溶液を、ゲル濾過カラム(TSK G
el G2000SW(21.5x600mm))に供
給し、緩衝液により1ミリリットル/分の流速で溶出、
活性画分を集め各々の精製酵素を得た。
【0063】実施例4 (144番目、150番目及び227番目のアミノ酸残
基に変異を導入したサーモリシン様金属プロテアーゼの
合成)三つの位置に変異が導入されたサーモリシン様金
属プロテアーゼを以下の様に組み立てた。227番目の
アミノ酸残基のコドンでのアスパラギン残基からヒスチ
ジン残基への変異を含むプラスミドpUBTZ2(N2
27H)をPCR反応用一本鎖DNAとして使用した。
【0064】尚、プラスミドpUBTZ2(N227
H)は以下の様に作成した。
【0065】バチルス・ステアロサーモフィラス(Ba
cillus stearothermophilu
)MK232株由来のサ−モリシン様金属プロテア−
ゼ遺伝子nprMを含むプラスミドpMK1の1μgを
20マイクロリットルの反応液(50mM トリス−塩
酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウム、100
mM 塩化ナトリウム 1mM DTT)に於いて、
stIおよびBamHIの各5ユニットにより37℃で
2時間分解させた。このサンプルから1%アガロースゲ
ル電気泳動で約3.5kbのDNA断片を分離し、バイ
オ101社ジーンクリーンDNA精製キットを用いて精
製した。一方、プラスミドベクターpUC9の1μgを
含む20マイクロリットルの反応液(50mM トリス
−塩酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウム、1
00mM 塩化ナトリウム 1mM DTT)に於い
て、PstI及びBamHIの各5ユニットにより37
℃で2時間分解させた。
【0066】このようにして得られたpMK1のnpr
M遺伝子のPstI−BamHI断片と、pUC9の
stI−BamHI消化物を宝酒造社製DNAライゲー
ションキットを用いて反応させ、常法に従って大腸菌J
M109に形質転換し、nprM遺伝子のPstI−
amHI断片を含む組換体ファ−ジ(pUCTZ55)
を得た(図5)。
【0067】図6に示すプラスミドpUCTZ55から
M13ファ−ジM13TZSp−Bcを構築する工程を
以下に説明する。
【0068】組換体プラスミドpUCTZ55の1μg
を、20マイクロリットルの反応液(50mMトリス−
塩酸 pH7.5 10mM 塩化マグネシウム 10
0mM 食塩 1mM DTT)に於いて、SphI及
BclIの各5ユニットを加えて37℃で2時間分解
させた。このサンプルから1%アガロースゲル電気泳動
で約550bpのDNA断片を分離し、バイオ101社
ジーンクリーンDNA精製キットを用いて精製した。
【0069】一方、ファージベクタ−M13mp18の
1μgを、20マイクロリットルの反応液(50mM
トリス−塩酸 pH7.5 10mM 塩化マグネシウ
ム100mM 食塩 1mM DTT)に於いて、Sp
I及びBclIの各5ユニットを加えて37℃で2時
間分解させた。
【0070】このようにして得られたnprM遺伝子の
SphI−BclI断片と、M13mp19のSph
BclIの分解物とを宝酒造社製DNAライゲーショ
ンキットを用いて連結反応を行なった。この反応混合物
を、通常の方法で、大腸菌JM109に形質転換し、
prM遺伝子のSphI−BclI断片を含む組換体フ
ァ−ジ(M13TZSp−Bc)を得た(図6)。
【0071】得られた組換体ファ−ジ(M13TZSp
−Bc)から、通常の方法で、1本鎖DNAを調製し、
アミノ酸置換の導入に用いた。アミノ酸置換の導入に用
いたオリゴヌクレオチドはアプライドバイオシステムズ
社製380B型DNA合成装置を用いて作製した。
【0072】227番目残基の変換(アスパラギンから
ヒスチジンへの変換)に使用されたアミノ酸置換導入用
オリゴヌクレオチドを以下に示した。
【0073】 5´−CGCAAGATCATGGCGGGG−3´ His 227 アミノ酸置換の導入は、東洋紡社製T7−GENインビ
トロミュータゲネシスキットを用いて行い、DNAの配
列決定によってアミノ酸置換の導入を確認した。
【0074】アミノ酸置換を導入したM13TZSp−
Bc及びpUCTZ55の二本鎖DNAを通常の方法に
より調製し、その二本鎖DNAの1μgを、20μリッ
トルの反応液(50mMトリス−塩酸 pH7.5 1
0mM 塩化マグネシウム100mM 食塩1mM D
TT)に於いて、SphI及びAatIを各5ユニット
により37℃で2時間反応させ、一部を切り取り、この
サンプルを1%アガロ−スゲルで電気泳動した。約55
0bpのDNA断片をM13TZSp−Bc分解物から
分離し、そのDNA断片をバイオ−101遺伝子DNA
精製キットを用いて精製した。
【0075】同時に、枯草菌体中での発現の為のベクタ
ー断片を以下に記載した方法製造した。プラスミドpM
K4(Yamada et al.,(1991) G
ene, 99, 109−114)から、nprM遺
伝子の一部を含む約1.0kbのDNA断片をBcl
で分解し、プラスミド pUCTZ37を組み立てる為
に、プラスミドpUC9のBamHI位置にクローン化
した(図1)。
【0076】プラスミドpUCTZ37はnprM遺伝
子の5´末端領域を有さない不完全なプラスミドであ
る。プラスミドpUCTZ37は制限酵素HindII
Iで分解し、その大きな断片と、プラスミドpMK4か
HindIII消化により得られた約1.2kb断片
とを連結し、プラスミドpUCTZ47を作製した(図
2)。この組換体プラスミドpUCTZ47はnpr
の全ての配列及び転写プロモーター配列を含む。
【0077】図3に示された様に、大腸菌と枯草菌との
間のシャトルベクターを組み立てる為に、pUCTZ4
7とpUB110(Lacey et al., 19
74)をEcoRIにより消化し、プラスミドpUBT
Z1を組み立てる為にT4ポリヌクレオチドキナーゼで
ライゲーションを実施した。
【0078】最終的に、図4に示された様に、プラスミ
ドpUBTZ1から制限酵素SmaIとPvuIIとの
間のDNA断片を除去することによりプラスミドpUB
TZ2を作製した。プラスミドpUBTZ2はnpr
遺伝子領域に制限酵素BamHI、SphI及びAat
Iの切断部位を一ケ所づつを有する。野生型遺伝子から
変異型遺伝子への変換は以下の様に実施した。
【0079】プラスミドpUBTZ2はSphI及び
atIで消化し、7.6kbの断片を単離した。この様
にして得られたpUBTZ2とnprM遺伝子のアミノ
酸置換を導入したSphI及びAatI断片(約550
kb)とを宝酒造DNAライゲーションキットにより、
ライゲーションした。このライゲーション混合物はJM
103大腸菌を通常の方法により組換体プラスミド(N
227H)を得ることに使用される(図7)。
【0080】変異導入プライマーと逆方向プライマーは
実施例3と同じである。
【0081】 変異導入プライマー (D150N) 5´−AACGATGCGGTAACCAATTTATACAGC−3´ SphI Asn 150 (D150H) 5´−AACGATGCGGTAACCCATTTATACAGC−3´ SphI His 150 逆方向プライマ− 5´−GAGATACCACTTTATTTCACCCCA−3´ プラスミドpUBTZ2(N227H)の1ngをPC
R反応溶液(67mMトリス(pH8.8)、16.6
mM 硫酸アンモニウム、6.7mM 塩化マグネシウ
ム、10mM 2−メルカプトエタノ−ル、0.05m
M dATP、0.05mM dGTP、0.05mM
dCTP、0.05mM dTTP、1μM 変異導
入プライマ−、1μM 逆方向プライマ−)の100マ
イクロリットルに溶かして、1ユニットのTth DN
Aポリメラ−ゼを加えた。その溶液をミネラルオイル一
滴により被覆した。93℃1分間の変性、45℃1分間
のアニ−リング及び72℃45秒間の伸長を30サイク
ル繰り返した。反応終了後、水層を回収し常法に従っ
て、フェノ−ルで抽出し、エタノ−ルで沈殿化を行い、
増幅されたDNA(D150N−N227H又はD15
0H−N227H)を回収した。
【0082】このようにして得られたDNAの半量を含
む20マイクロリットルの反応液(50mM トリス−
塩酸 pH7.5、10mM 塩化マグネシウム、10
0mM 塩化ナトリウム、1mM DTT)にSph
及びAatI各5ユニットにより37℃で2時間消化さ
せ、70℃で5分間培養した。このようにして得られた
変異の導入されたSphIーAatI断片約530bp
を、pUBTZ2のSphIーAatI断片7.6kb
(L144S)により宝酒造社製DNAライゲ−ション
キットを用いてライゲーションさせた。このライゲーシ
ョン混合物を、常法に従って大腸菌JM103に形質転
換し、変異の導入された形質転換体JM103/pUB
TZ2を得た。置換されたアミノ酸残基は、これらのプ
ラスミドのヌクレオチドの配列の同定により確認した。
【0083】例えば、組み換え枯草菌MT−2/pUB
TZ2の単一コロニ−を、5μg/ミリリットルの濃度
でカナマイシンを含むLB培地5ミリリットルに移し、
37℃にて一夜培養した。その培養液を、500ミリリ
ットルの5μg/ミリリットルの濃度でカナマイシンを
含む2L培地(2%バクトトリプトン、1%イ−ストエ
クストラクト、0.5%塩化ナトリウム)に移し、37
℃、20時間培養した。培養液を8,000rpmにて
30分間遠心分離し、菌体を除去し、上澄に60%飽和
になるように硫安を加えて4℃で一夜撹拌した。
【0084】遠心分離により沈殿を回収し、この沈殿を
10ミリリットルの緩衝液A(20mMトリス−塩酸
pH9.0、 10mM 塩化カルシウム)に溶解し、
20ミリリットルのブチルトヨパ−ルにアプライし、緩
衝液Aで1.5ミリリットル/分の流速で溶出した。そ
の活性画分を集め、60%飽和硫安にて塩析、1500
0rpmにて30分間遠心して、沈殿を集めた。続い
て、この沈殿を5ミリリットルの緩衝液(20mMトリ
ス−塩酸 pH7.5、10mM塩化カルシウム)に溶
解した。その酵素溶液を、ゲル濾過カラム(TSK G
el G2000SW(21.5x600mm))に供
給し、緩衝液により1ミリリットル/分の流速で溶出、
活性画分を集め各々の精製酵素(L144S−D150
N−N227H又はL144S−D150H−N227
H)を得た。
【0085】本発明のサーモライシン様新規中性金属プ
ロテアーゼを分泌する二つの組換体枯草菌鎖、即ち、1
44番目のロイシン残基をセリン残基に置換し、150
番目のアスパラギン酸残基をヒスチジンに置換し、22
7番目のアスパラギン残基をヒスチジンに置換した枯草
菌株MT−2/pUBTZ2(TZ−1)及び144番
目のロイシン残基をセリン残基に置換し、150番目の
アスパラギン酸残基をアスパラギンに置換し、227番
目のアスパラギン残基をヒスチジンに置換した枯草菌株
MT−2/pUBTZ2(TZ−2)を通商産業省、工
業技術院、生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東
1丁目1−3)に寄託をしており、その寄託番号は各々
FERM BP−4112とFERM BP−411
3である。
【0086】図9は、形質転換体プラスミドpUBTZ
2(L144S−D150N−N227H又はL144
S−D150H−N227H)を組み立てる工程図を示
す。実施例 5 (カゼインの分解活性及びZ−APM分解活性の測定)
144番目のロイシン残基をセリンに置換した酵素(L
144S)、187番目のグルタミン酸残基をグルタミ
ンに置換した酵素(E187Q)、150番目のアスパ
ラギン酸残基をアスパラギンに置換した酵素(D150
N),ヒスチジンで置換した酵素(D150H)、14
4番目のロイシン残基をセリンに置換し、227番目の
アスパラギン残基をヒスチジンに置換した酵素(L14
4S−N227H)、144番目のロイシン残基をセリ
ンに置換し、150番目のアスパラギン酸残基をアスパ
ラギンに置換した酵素(L144S−D150N)、1
44番目のロイシン残基をセリンに置換し、150番目
のアスパラギン酸残基をヒスチジンンに置換した酵素
(L144S−D150H)、150番目のアスパラギ
ン酸残基をアスパラギンに置換し、227番目のアスパ
ラギン残基をヒスチジンに置換した酵素(D150N−
N227H)、150番目のアスパラギン酸残基をヒシ
チジンに置換し、227番目のアスパラギン残基をヒス
チジンに置換した酵素(D150H−N227H)、1
44番目のロイシン残基をセリンに置換し、150番目
のアスパラギン酸残基をアスパラギンに置換し、227
番目のアスパラギン残基をヒスチジンに置換した酵素
(L144S−D150N−N227H)144番目の
ロイシン残基をセリンに置換し、150番目のアスパラ
ギン酸残基をヒスチジンに置換し、227番目のアスパ
ラギン残基をヒスチジンに置換した酵素(L144S−
D150H−N227H)を使用して、カゼインの分解
活性及びZ−APMの分解活性を測定した。
【0087】カゼイン分解活性の測定では、1ミリリッ
トルの精製酵素溶液(酵素をpH8.0のホウ酸緩衝溶
液−2mM硫酸カルシウム溶液に溶解させた溶液)を1
ミリリットルの基質溶液(1%カゼイン、1/15Mリ
ン酸緩衝溶液(pH7.2))に加えた。この混合溶液
を35℃で10分間培養し、2.0ミリリットルの反応
停止液(0.1M TCA,0.2M酢酸ナトリウム、
0.3M酢酸)を加え、更に35℃で30分間培養し
た。濾過後、5ミリリットルのアルカリ溶液(0.4M
炭酸ナトリウム)とFolin溶液(フェノール試薬
を蒸留水で5倍稀釈した溶液)とを1ミリリットルの濾
液に加えて、35℃で20分間反応させた。その混合溶
液の660nmの吸光度を測定した。酵素の一単位(P
U)は、pH7.2に於いて35℃での分解反応の初期
での1分間当たりミルクカゼインから遊離したチロシン
の1マイクログラムで定義される。
【0088】酵素蛋白質1mg当たりの吸光度の変化を
比活性として野生型酵素との相対値で表した。結果を表
1に示す。
【0089】Z−APM分解活性は以下の様に求めた。
【0090】0.5ミリリットルの基質溶液(10mM
トリス−マレイン酸(pH8.0)、10mM塩化カル
シウム、10mMZ−APM)に0.5ミリリットルの
精製酵素溶液(10mMトリス−マレイン酸(pH8.
0)、10mM塩化カルシウムに酵素を溶解したもの)
を加えた。その混合溶液を37℃で20分間反応させた
のち、0.5ミリリットルの反応停止液(0.1M酢
酸)を加え、続いて1ミリリットルのニンヒドリン溶液
を加えた。100℃、15分間処理した後、2ミリリッ
トルの50%エタノールを加えて、570nmの吸光度
を測定した。酵素蛋白質1mg当たりの吸光度の変化を
比活性として野生型酵素との相対値で表した。結果を表
1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】野生型プロテア−ゼと比較して、使用した
全ての酵素はZ−APM分解活性が高いことが判明し
た。
【0093】実施例6(Z−APM合成活性の測定) 144番目のロイシン残基をセリンに置換した酵素(L
144S)、150番目のアスパラギン酸残基をアスパ
ラギン(D150N)、ヒスチジン(D150H),リ
ジンで置換した酵素(D150K)、144番目のロイ
シン残基をセリンに置換し、227番目のアスパラギン
残基をヒスチジンに置換した酵素(L144S−N22
7H)、144番目のロイシン残基をセリンに置換し、
150番目のアスパラギン酸残基をアスパラギンに置換
した酵素(L144S−D150N)、144番目のロ
イシン残基をセリンに置換し、150番目のアスパラギ
ン酸残基をヒスチジンンに置換した酵素(L144S−
D150H)、150番目のアスパラギン酸残基をアス
パラギンに置換し、227番目のアスパラギン残基をヒ
スチジンに置換した酵素(D150N−N227H)、
150番目のアスパラギン酸残基をヒスチジンに置換
し、227番目のアスパラギン残基をヒスチジンに置換
した酵素(D150H−N227H)、144番目のロ
イシン残基をセリンに置換し、150番目のアスパラギ
ン酸残基をアスパラギンに置換し、227番目のアスパ
ラギン残基をヒスチジンに置換した酵素(L144S−
D150N−N227H)及び144番目のロイシン残
基をセリンに置換し、150番目のアスパラギン酸残基
をヒスチジンに置換し、227番目のアスパラギン残基
をヒスチジンに置換した酵素(L144S−D150H
−N227H)を使用してZ−APMの合成活性を測定
した。
【0094】1ミリリットルの基質溶液(0.1M ベ
ンジルオキシカルボニル−α−L−アスパラギン酸、
0.1M L−フェニルアラニンメチルエステル・塩酸
塩をpH7.0の緩衝液に溶解したもの)に0.1ミリ
リットルの精製酵素溶液(1mg/ミリリットル)を加
え、混合後、37℃の水浴で酵素反応を行った。10、
20、30分後にそれぞれ反応液10マイクロリットル
を採取し、逆相カラムに注入し、高速液体クロマトグラ
フ装置による分析を行った。Z−APMの標準物質をも
ちいて、酵素反応によって生じるZ−APMの量を定量
し、酵素蛋白質1mg当たりの比活性を野生型酵素との
相対値で表した。結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】野生型プロテア−ゼと比較して、使用した
全ての酵素はZ−APM合成活性が高いことが判明し
た。
【0097】実施例7 (変異導入酵素のZ−APM合成に対するpH効果)変
異導入酵素(L144S−D150H−N227H(T
Z−1)及びL144S−D150N−N227H(T
Z−2))及び野生型サーモリシン様中性金属プロテア
ーゼのZ−APM合成に対するpHの効果を求めた。ト
リス−マレイン酸塩緩衝液(pH5.0−8.0)を使
用する以外は実施例6と同じ方法で測定を実施した。
【0098】測定結果を表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】活性値はpH7.0での野生型酵素の活性
値に対する相対値で表された。Z−APM合成活性はp
Hにより大きく影響される。
【0101】低いpHでは、基質のメチルエステルの加
水分解が起こりにくい為にZ−APMの合成は低いpH
で実施することが望ましい。本発明は低いpHでの活性
値が最適pHでの野生型酵素の値よりも大きいことから
上記課題が解決できた。pH6.0でのL144S−D
150H−N227H(TZ−1)及びL144S−D
150N−N227H(TZ−2)の活性値はpH7.
0での野生型酵素の値よりも非常に高い。
【0102】
【発明の効果】本発明における変異体酵素は、Z−AP
Mの分解及びその合成に対して、野生型酵素に比べて有
意にその比活性が向上しており、種々の用途における本
酵素の利用に際し、反応効率の上昇や反応時間の短縮な
どの点で優れた効果を発揮する可能性がある。
【0103】尚、本発明における配列表1は以下のよう
に示される。
【0104】[配列表] 配列番号:1 配列の長さ:316 配列の型:アミノ酸 トポロジ−:直鎖状 配列の種類:蛋白質 起源:バチルス属 配列 Ile Thr Gly Thr Ser Thr Val Gly Val Gly Arg Gly Val Leu Gly 1 5 10 15 Asp Gln Lys Asn Ile Asn Thr Thr Tyr Ser Thr Tyr Tyr Tyr Leu 20 25 30 Gln Asp Asn Thr Arg Gly Asn Gly Ile Phe Thr Tyr Asp Ala Lys 35 40 45 Tyr Arg Thr Thr Leu Pro Gly Ser Leu Trp Ala Asp Ala Asp Asn 50 55 60 Gln Phe Phe Ala Ser Tyr Asp Ala Pro Ala Val Asp Ala His Tyr 65 70 75 Tyr Ala Gly Val Thr Tyr Asp Tyr Tyr Lys Asn Val His Asn Arg 80 85 90 Leu Ser Tyr Asp Gly Asn Asn Ala Ala Ile Arg Ser Ser Val His 95 100 105 Tyr Ser Gln Gly Tyr Asn Asn Ala Phe Trp Asn Gly Ser Gln Met 110 115 120 Val Tyr Gly Asp Gly Asp Gly Gln Thr Phe Ile Pro Leu Ser Gly 125 130 135 Gly Ile Asp Val Val Ala His Glu Leu Thr His Ala Val Thr Asp 140 145 150 Tyr Thr Ala Gly Leu Ile Tyr Gln Asn Glu Ser Gly Ala Ile Asn 155 160 165 Glu Ala Ile Ser Asp Ile Phe Gly Thr Leu Val Glu Phe Tyr Ala 170 175 180 Asn Lys Asn Pro Asp Trp Glu Ile Gly Glu Asp Val Tyr Thr Pro 185 190 195 Gly Ile Ser Gly Asp Ser Leu Arg Ser Met Ser Asp Pro Ala Lys 200 205 210 Tyr Gly Asp Pro Asp His Tyr Ser Lys Arg Tyr Thr Gly Thr Gln 215 220 225 Asp Asn Gly Gly Val His Ile Asn Ser Gly Ile Ile Asn Lys Ala 230 235 240 Ala Tyr Leu Ile Ser Gln Gly Gly Thr His Tyr Gly Val Ser Val 245 250 255 Val Gly Ile Gly Arg Asp Lys Leu Gly Lys Ile Phe Tyr Arg Ala 260 265 270 Leu Thr Gln Tyr Leu Thr Pro Thr Ser Asn Phe Ser Gln Leu Arg 275 280 285 Ala Ala Ala Val Gln Ser Ala Thr Asp Leu Tyr Gly Ser Thr Ser 290 295 300 Gln Glu Val Ala Ser Val Lys Gln Ala Phe Asp Ala Val Gly Val 305 310 315 Lys
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpMK4からプラスミドpUCTZ
37を構築する図である。
【図2】プラスミドpMK4及びプラスミドpUCTZ
37からプラスミドpUCTZ47を構築する図であ
る。
【図3】プラスミドpUCTZ47及びプラスミドpU
B110からプラスミドpUBTZ1を構築する図であ
る。
【図4】プラスミドpUBTZ1からpUBTZ2を構
築する図である。
【図5】プラスミドpMK1からpUCTZ55を構築
する図である。
【図6】プラスミドpUCTZ55からM13ファージ
M13TZSp−Bcを構築する図である。
【図7】プラスミドpUBTZ2及びM13ファージM
13TZSp−Bc(mutant)からpUBTZ2
(mutant)を構築する図である。
【図8】プラスミドpUCTZ55からM13ファージ
M13TZBa−Spを構築する図である。
【図9】プラスミドpUBTZ2(L144S)及びプ
ラスミドpUBTZ2(227H)から形質転換体プラ
スミドpUBTZ2(L144S−D150N−N22
7H)又は形質転換体プラスミドpUBTZ2(L14
4S−D150H−N227H)を構築する図である。
フロントページの続き (72)発明者 長尾 洋昌 神奈川県藤沢市湘南台4−26−5 (72)発明者 三沢 孝一 神奈川県横浜市神奈川区白幡向町12−18 (72)発明者 大江 正剛 神奈川県横浜市緑区たちばな台2−7−3 (72)発明者 半谷 友美 神奈川県茅ヶ崎市高田1−1−18 (72)発明者 家亀 晴宇 神奈川県海老名市河原口2389番地 (72)発明者 城所 俊一 神奈川県相模原市南台1−9−2 (72)発明者 三木 洋一郎 神奈川県相模原市西大沼4−4−1 (72)発明者 遠藤 きみ子 東京都町田市金森1733−10 (72)発明者 和田 昭允 東京都港区赤坂8−11−4

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列表1のアミノ酸配列を有するサーモラ
    イシン様中性金属プロテアーゼにおいて、次の群(アミ
    ノ末端から、144番目のロイシン残基、150番目の
    アスパラギン酸残基、187番目のグルタミン酸残基)
    から選ばれた少なくとも1種以上のアミノ酸残基が他の
    アミノ酸残基に置換された新規プロテアーゼ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から227番目のアスパラギン残基
    が他のアミノ酸残基に置換された新規プロテアーゼ。
  3. 【請求項3】請求項1に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から144番目のロイシン残基がセ
    リンに置換された新規プロテア−ゼ。
  4. 【請求項4】請求項1に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から150番目のアスパラギン酸残
    基がアスパラギン、ヒスチジン又はリジンに置換された
    新規プロテア−ゼ。
  5. 【請求項5】請求項1に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から187番目のグルタミン酸残基
    がグルタミンに置換された新規プロテア−ゼ。
  6. 【請求項6】請求項2に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から227番目のアスパラギン残基
    がヒスチジン、リジン又はアルギニンに置換された新規
    プロテア−ゼ。
  7. 【請求項7】請求項2に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から144番目のロイシン残基がセ
    リン残基に置換され、150番目のアスパラギン酸残基
    がヒスチジン残基に置換され、227番目のアスパラギ
    ン残基がヒスチジン残基に置換された新規プロテア−
    ゼ。
  8. 【請求項8】請求項2に記載された新規プロテア−ゼに
    おいて、アミノ末端から144番目のロイシン残基がセ
    リン残基に置換され、150番目のアスパラギン酸残基
    がアスパラギン残基に置換され、227番目のアスパラ
    ギン残基がヒスチジン残基に置換された新規プロテア−
    ゼ。
  9. 【請求項9】ベンジルオキシカルボニル−α−L−アス
    パルチル−L−フェニルアラニンメチルエステルの分解
    又は合成に対しての請求項1〜8に記載された新規プロ
    テア−ゼの使用。
  10. 【請求項10】請求項1〜8に記載された新規プロテア
    −ゼとベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパラギ
    ン酸とL−フェニルアラニンメチルエステルを含有する
    基質溶液とを接触させることからなるベンジルオキシカ
    ルボニル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニ
    ンメチルエステルの合成方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜8に記載された新規プロテア
    −ゼとベンジルオキシカルボニル−α−L−アスパルチ
    ル−L−フェニルアラニンメチルエステルを含有する基
    質溶液とを接触させることからなるベンジルオキシカル
    ボニル−α−L−アスパルチル−L−フェニルアラニン
    メチルエステルの分解方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997021804A1 (fr) * 1995-12-11 1997-06-19 Sagami Chemical Research Center Nouvelle protease analogue a la thermolysine et son utilisation
JP2006527584A (ja) * 2003-06-19 2006-12-07 ノボザイムス アクティーゼルスカブ プロテアーゼ
JP2016527876A (ja) * 2013-05-29 2016-09-15 ダニスコ・ユーエス・インク 新規メタロプロテアーゼ

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JP2016527876A (ja) * 2013-05-29 2016-09-15 ダニスコ・ユーエス・インク 新規メタロプロテアーゼ
JP2018186821A (ja) * 2013-05-29 2018-11-29 ダニスコ・ユーエス・インク 新規メタロプロテアーゼ

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