JPH11501343A - レシチン系水性剥離助剤およびその使用法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 アルコール、脂肪酸または油、レシチン、水に可溶または水に分散可能な界面活性剤、および水からなる安定なエマルションを含む水性剥離助剤組成物を開示する。前記水性剥離助剤組成物の調製法ならびに本発明の該水性剥離助剤組成物を用いて、種々の剥離面および種々の粘稠な素材に剥離性を付与する方法をも開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 レシチン系水性剥離助剤およびその使用法 技術分野 本発明はレシチン系水性剥離助剤に関する。より詳細には本発明はエマルショ ン形態の安定なレシチン系水性剥離助剤に関する。さらに本発明は、これら安定 な水性剥離助剤エマルションを用いて、種々の粘稠な物質および剥離面に剥離性 を付与する方法に関する。 背景技術 剥離剤としてのレシチンの有効性についてはよく知られている。レシチンは、 とりわけパルプ製紙業界、たとえば紙、プラスチック、複合材料、セメント、ク レー、テキスタイル、ゴムやセラミック成形用の種々の型製造業、および食品業 界のような多種類の業界の製品やプロセスに剥離能力を与えている。レシチンの 多くの性質や能力の考察については、「Ｔｈｅ Ｌｅｃｉｔｈｉｎ Ｂｏｏｋ． Ａ Ｇｕｉｄｅ ｔｏ Ｌｅｃｉｔｈｉｎ．」、Ｃｅｎｔｒａｌ Ｓｏｙａ，Ｃ ｈｅｍｕｒｇｙ Ｄｉｖｉｓｉｏｎ（１９９１年６月）を参照されたく、その開 示は本明細書に参考資料として含める。 レシチンは通常たとえば脂肪酸または油のような溶剤とともに用いられる。剥 離剤として、レシチン単独または脂肪酸もしくは油のような溶剤とともに使用す ることはたとえば米国特許第５，３７２，６３７号、同第５，０３４，０９７号 および同第５，３２８，５６７号に記載されており、その開示は参考資料として 本明細書に含める。 しかしレシチン単独または脂肪酸もしくは油と配合したレシチンは油性混合物 である。レシチン単独も、レシチンの油性混合物も安定な水性組成物を容易に生 成することはできない。しかしながらレシチン系剥離助剤組成物の所望の用途の 多くは水との接触を含む水性生成物またはプロセスにある。したがって水中に分 散可能な安定な水性剥離助剤組成物が工業的に必要か、または望ましい形の剥離 助剤組成物であることが多い。 剥離助剤組成物を使用する業界は長い間油性剥離助剤組成物から水性エマルシ ョンを調製しなければならないという困難に直面していた。水性エマルションの 使用には剥離助剤組成物の使用直前に該組成物の水性エマルションを調製するこ とが必要である。このような水性エマルションの調製プロセスは特殊な成分なら びに適切な配合および乳化を必要とする複雑なプロセスである。したがって多く の業界にとってこのようなエマルション調製プロセスは複雑すぎるかもしくは経 費がかかりすぎ、あるいは少なくとも業界の専門分野からはほど遠い困難で複雑 なプロセスとみなされる。 たとえば、製紙プロセスおよび／または生成物の多くに剥離助剤を使用する製 紙業界では、使用直前に水性剥離助剤エマルションをつくった後エマルションの 分離が起こらないうちにただちに使用しなければならない。剥離助剤組成物の水 性エマルションを調製して使用するプロセスにとってそれ以外の複雑さでは、調 製直後にエマルションを使用しないときには、エマルションを保持し油と水のエ マルション成分の分離を防ぐために絶えず撹拌する必要がある。 油と水のエマルションの特有な分離が既存の剥離助剤組成物の多くの使用を複 雑にしている。剥離助剤組成物を表面にスプレーまたはコーチングするような一 般的な使用は、エマルション成分が分離してスプレーまたはコーチングプロセス が不均一な被覆を生じるので問題のある場合がある。さらにこのような分離があ るので、種々の面に組成物をスプレーするためのエマルションの所望の分散液を 得ることが難しい。 水性剥離助剤組成物の安定性の欠如に関するこのめんどうな問題のために、業 界はすぐ使用出来る形の水性剥離助剤組成物を購入して貯蔵しておくことが出来 なかった。したがって安定な水性剥離助剤組成物が入手できることは水性剥離助 剤組成物の調製および使用に関する複雑性や出費をなくすと思われるので種々の 業界にとって望ましいことである。 このように、広範囲の粘稠な物質や剥離面に剥離能力を与えることが出来る安 定な水性剥離助剤エマルションに対する現実の要求および要望がある。 発明の開示 したがって本発明の目的は安定なエマルションとして存在することが出来るレ シチン系水性剥離助剤組成物を提供することにある。 また本発明の目的はレシチンを含有する水性剥離助剤組成物を提供することに ある。 本発明の他の目的は希釈すると安定な分散液を得ることが出来る乳化可能な濃 縮物として使用しうる安定な剥離助剤エマルションを提供することにある。 本発明の別の目的は粘稠な物質または素材（ｍａｓｓ）に添加し、それによっ て該物質または素材に剥離能力を付与することにより、また剥離面に適用し、そ れによって該面に剥離性をもたらすことによって使用可能な安定な剥離助剤組成 物を提供することにある。 本発明のさらに他の目的は食品グレードの安定な剥離助剤組成物を提供するこ とにある。 本発明のさらに別の目的はスプレー可能な剥離助剤エマルションを提供するこ とにある。 本発明の他の特徴や利点はいくぶんかは以下の説明で示されようし、またいく ぶんかは説明から明らかになるか、または本発明の実施によって知ることが出来 よう。本発明の目的や他の利点は記載した説明および請求の範囲にとくに示した 要素及び組合せによって実現し、達成されよう。 前記の諸目的は本発明によりアルコール、脂肪酸または油、レシチン、水に可 溶または水に分散可能な界面活性剤、および水を含有する水性剥離助剤組成物を もたらすことによって達成されている。 本発明は、また剥離面に剥離性を付与する方法をも示す。このような方法には 剥離面に対して該剥離面に接触する素材の剥離をもたらすのに十分な量の剥離助 剤組成物を適用する工程が含まれる。 本発明の別の態様は粘稠な素材に剥離性を付与する方法を含む。このような方 法には粘稠な素材に対して該素材に接触する剥離面から粘稠な素材を剥離させる のに十分な量の剥離助剤組成物を付加する工程が含まれる。 また本発明は水性剥離助剤組成物の調製法にも関する。この方法の工程には、 凝結防止またはゲル化防止剤、アルコール、増粘剤、および水の均質混合物をつ くりそれに界面活性剤、脂肪酸、およびレシチンを加え、それによりエマルショ ンを生成させる工程が含まれる。この方法の好ましい態様はつぎの工程を含む： ａ）第一の容器中で凝結防止またはゲル化防止剤を水中で撹拌して分散させて混 合物とし；ｂ）第二の容器中で増粘剤をアルコール中で撹拌して分散させてスラ リーとし；ｃ）つぎに該スラリーを該混合物中で均一混合物になるまで撹拌し； ｄ）各添加の間に分散が得られるまで撹拌しながら順次水に可溶または水に分散 可能な界面活性剤、脂肪酸およびレシチンを加え；さらにｅ）エマルションがで きるまで均質な混合物を撹拌する諸工程である。できたエマルションは好ましく は滑らかで不透明の白色エマルションである。 前記の一般的説明および後記の詳細な説明は両方とも例示的かつ説明的なもの にすぎず、請求の範囲に記載された通りの本発明をさらに説明するつもりである 。 発明の実施のための最良の態様 本発明の重要な利点は剥離助剤組成物が水性であり、したがって多くの工業的 用途において剥離助剤として使用できることにある。本発明の別の利点はエマル ション形態の水性剥離助剤組成物の安定性にある。乳化された水性剥離助剤組成 物のこのすぐに使用できる特徴も本発明の多くの工業的用途をもたらす。本発明 の別の利点は、水で希釈すると安定な分散液となる濃縮物として安定なエマルシ ョンを使用できることにある。本発明の水性剥離助剤エマルションのこの性質に よって該エマルションを所望の濃度で使用することができ、これによって本発明 の期待される用途はさらに広がる。本発明の安定なエマルションから安定した分 散液を生成できることは、該エマルションまたは希釈したエマルションをスプレ ーとして使用する所望の可能性が得られる。 本発明の水性剥離助剤組成物はアルコール、脂肪酸または油、レシチン、水に 可溶または水に分散可能な界面活性剤、および水を含む。下記の各成分の量は組 成物の総重量に対する百分率として表わす。 本発明によって使用可能なアルコール類は好ましくはグリコール類を含むがこ れに限定されない。該アルコール成分は好ましくは凍解能力を与えるカップリン グ剤として作用する。したがって本発明の組成物にこの能力を与えるアルコール はいずれも本発明によっておそらく使用できるであろう。好ましくは該アルコー ルはエタノールまたはプロパノール等である。グリコールを使用する場合には該 グリコールは好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ ングリコールまたはジプロピレングリコール等である。 該アルコール成分は組成物の総重量に対して好ましくは約１〜約１５重量％、 より好ましくは約２〜約８重量％にわたる量で存在する。 本発明に用いられる脂肪酸または油成分はレシチンの溶剤として作用するのが 好ましく、レシチンの良好な分散液が得られるという意味でレシチンと相乗作用 を有するのがより好ましい。脂肪酸もしくは油単独、またはそれらの混合物、ま たはそれらのいかなる組合せも本発明により使用することができる。本発明によ れば、いかなる天然産脂肪酸または油も使用することができる。該脂肪酸または 油は不飽和、すなわち周囲温度で液体であるのが好ましい。該脂肪酸は好ましく はＣ₈〜Ｃ₂₀脂肪酸であり、より好ましくは該脂肪酸はオレイン酸、リノレン酸 またはＴＯＦ酸であるが、これに限定されるものではない。本発明で使用可能な 脂肪酸または油成分は、たとえばテネシー州、メンフィスのＷｉｔｃｏ Ｃｏｒ ｐｏｒａｔｉｏｎのＨｕｍｋｏ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｄｉｖｉｓｉｏｎから市販 されている。 該脂肪酸または油成分は、組成物の総重量に対して好ましくは約５〜約４０重 量％、より好ましくは約１０〜約３０重量％にわたる量で存在する。 本発明のレシチン成分は本明細書に記載される剥離助剤組成物の活性成分とし て働くのが好ましい。レシチンは種々の混合物の形でＣｅｎｔｒｏｌｅｎｅ、Ｃ ｅｎｔｒｏｐｈａｓｅ 、およびＣｅｎｔｒｏｐｈｉｌのような商品シリーズの名 称で販売されている。特有の耐熱性があるので、該シリーズのＣｅｎｔｒｏｐｈ ａｓｅ ＨＲを使用するのが好ましい。これらの商品は、たとえばインディアナ 州、Ｆｏｒｔ ＷａｙｎｅのＣｅｎｔｒａｌ Ｓｏｙａ Ｃｏｍｐａｎｙ，Ｉｎ ｃ．から入手できる。 該レシチン成分は、組成物の総重量に対して好ましくは約３から約３０重量％ にわたる量、より好ましくは約５から約１０重量％にわたる量で存在する。 本発明の水に可溶または水に分散可能な界面活性剤成分は好ましくは界面活性 剤、乳化剤、安定剤および／または分散剤として作用する。これらの特性を付与 するいかなる水に可溶または水に分散可能な界面活性剤も本発明によっておそら く使用できる。該水に可溶または水に分散可能な界面活性剤は高分子であるのが 好ましい。この水に可溶または水に分散可能な高分子界面活性剤成分は非イオン 高分子界面活性剤から選ぶのが好ましい。該非イオン高分子界面活性剤は水に可 溶なブロックコポリマーから選ぶのが好ましい。該非イオン界面活性剤はエチレ ンオキシドとプロピレンオキシとの水に可溶なブロックコポリマー、エチレンオ キシドとプロピレンオキシドとのブトキシブロックコポリマー、ポリエチレング リコールエステルまたはエトキシル化アルコールがさらに好ましい。アニオン界 面活性剤を本発明によって使用することもできる。アニオン界面活性剤を使用す る場合には、ジオクチルスルホスクシネート（ＤＯＳＳ）を使用するのが好まし い。前記界面活性剤は、たとえばイリノイ州、ＮｏｒｔｈｆｉｅｌｄのＳｔｅｐ ａｎ Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｃｏｍｐａｎｙ；Ｈａｒｃｒｏｓ；ニュージャージー 州、ＰａｒｓｉｐｐａａｎｙのＢＡＳＦから市販されている。 本発明の水に可溶または水に分散可能な界面活性剤成分は、組成物の総重量に 対して好ましくは約０．２〜約７重量％、より好ましくは約１〜約４重量％にわ たる量で存在する。 該剥離助剤組成物は上記成分以外に水を含む。本発明の組成物は、水中油型エ マルションが確実に得られるように少なくとも約４５〜５０％の水分を含むのが 好ましい。 本発明の剥離助剤組成物は、組成物の安定性のために場合により凝結防止また はゲル化防止剤を含有することができる。凝結防止またはゲル化防止剤を用いる 場合にはケイ酸アルミニウムマグネシウム、たとえばコネチカット州、Ｎｏｒｗ ａｌｋのＲ．Ｔ．Ｖａｎｄｅｒｂｉｌｔ＆Ｃｏ．から市販されているＶｅｅｇｕ ｍを用いるのが好ましい。凝結防止またはゲル化防止剤としてケイ酸カルシウム または酸化アルミニウムを用いることもできる。凝結防止またはゲル化防止剤を 使用する場合には、組成物の総重量に対して好ましくは約０〜約３重量％、より 好ましくは約０．１〜約１．０重量％にわたる量を存在させる。 本発明の剥離助剤組成物は、また粘度変更、乳化および／または安定化という 補足的な特性を付与すると思われる増粘剤を含有することもできる。増粘剤を包 含する場合には、ガム、アルギネート、またはセルロース誘導体を使用するのが 好ましい。ガムを使用する場合には、キサンタンガムを用いるのが好ましい。セ ルロース誘導体を用いる場合には、カルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）を使 用するのが好ましい。増粘剤を使用する場合には、組成物の総重量に対して好ま しくは約０〜約３重量％、より好ましくは約０〜約０．５重量％にわたる量を存 在させる。 さらに本発明の剥離助剤組成物は、必要なだけまたは望ましいだけの種々の防 腐剤を含有することができる。このような防腐剤は、とりわけ酸化防止剤、鮮度 保持剤および抗菌剤として機能することができる。典型的な防腐剤にはＫａｔｈ ｏｎ（登録商標）、ＢＨＴ，ＢＨＡ，ＴＢＨＱおよび安息香酸ナトリウム等があ る。防腐剤としては、Ｂｕｃｋｍａｎ Ｌａｂｏｒａｔｏｒｉｅｓ Ｉｎｔｅｒ ｎａｔｉｏｎａｌ，Ｉｎｃ．製造の殺微生物剤であるＢｕｓａｎ（登録商標）１ ０７８を使用するのが好ましい。 本発明の剥離助剤組成物の所望の粘度は、該組成物が容易にポンプ輸送でき自 由に流動するような粘度である。このような特性は、本発明の組成物をスプレー の形で使用する能力を著しく高める。 本発明の独特の特徴の一つはこの剥離助剤組成物が室温および約８℃〜約５０ ℃の温度で長時間安定な水性エマルションをつくるということにある。本発明の 水性エマルションの室温および８℃における安定性は、少なくとも約４カ月間、 より好ましくは約６カ月〜１年の間エマルションの分離、またはゲル化、沈殿、 凝集、沈降や変色のような他の物理的欠陥のないことを特徴とする。８℃におけ る該エマルションの安定性は室温時同様に長く持続するはずであるが、さらに長 く持続することもありうることを指摘しておく。５０℃における本発明の水性エ マルションの安定性は少なくとも１４日間分離や他の物理的欠陥のないことを特 徴とし、その後は該温度において促進老化の兆候が見られるかもしれない。 本発明の水性エマルションはすぐれた凍解能力を有するという点でも特異であ る。たとえば、−１５℃における本発明の水性エマルションの安定性は、このエ マルションが該温度で凍結するが、解凍すると均質状態に戻り、室温下で少なく とも１カ月間安定状態を保つという事実を特徴とする。 本発明の水性エマルションの安定性は、エマルション形態を保つために絶えず （すなわち、分離を防ぐために）撹拌を必要とする既存のエマルションに勝る明 白な利点である。既存のエマルションは、分離や物理的欠陥の出現によっていか なる時間においても保存できず、したがって商業的にすぐに使用できる望ましい 形で購入することは難しい。 本発明の水性エマルションの安定性に加えて、本発明のエマルションは、水で 希釈してすぐに使用できる安定な希釈液を作ることができる濃縮物の形で調製可 能である。本発明のエマルションの希釈液を調製する場合に、該エマルションを 水中に１％の濃度に希釈することができる。このような希釈液は好ましくは少な くとも３時間は安定状態を保ち、すなわち物理的分離や他の物理的欠陥を示さな い。 本発明の安定な水性剥離助剤エマルションは多種多様の業界および種々の用途 に用いることができる。水性剥離助剤組成物の種々の用途の考察については、お おむね米国特許第５，３７２，６３７号、同第５，３０２，３３０号および同第 ５，３４２，８７２号を参照されたく、その開示は本明細書に参考資料として含 める。 本発明の剥離助剤組成物の多くの工業的用途に対する別の利点は、該組成物が 発泡の可能性が小さく、ＳＡＲＡ ３１３に報告する義務のある物質や揮発性有 機物を含有しないことがあるということである。 とくに本発明のエマルションは抄紙機のウエットエンドに直接、すなわち希釈 せずに加えることができる。付着すなわち「粘着」問題の重大さに依存して、本 発明のエマルションを乾燥繊維の総重量に対して約０．０８〜約０．１５％の濃 度で抄紙機に加えるのが好ましい。製紙プロセスへの本発明の水性エマルション のこの量の添加は、製紙材料によって接触される種々の表面、すなわちプレスロ ール、ヤンキーローラー、クーチロール、ドライヤーキャン等からのすぐれた剥 離能力を製紙材料に付与しなければならない。抄紙機のウエットエンドにおける 剥離助剤の使用に関する考察についてはおおむね米国特許第４，６８６，１１９ 号および同第４，８５７，１２６号を参照されたく、その開示は本明細書に参考 資料として含める。 本発明の水性エマルションは、また、「粘着物」の付着が問題になる抄紙機に 関連する種々の表面、すなわちカレンダー（ｃａｌｅｎｄｅｒ ｓｔａｃｋ）、 ドライヤーキャン、クーチや他のロールに直接または希釈後たとえばスプレーに よって適用することにより抄紙機のドライエンドにおいて使用することもできる 。抄紙機のドライエンドにおける剥離助剤の使用に関する考察についてはおおむ ね米国特許第５，２５６，２５４号を参照されたく、その開示は本明細書に参考 資料として含める。 本発明の水性エマルションが有利であることができる他の業界は食品業界であ る。本発明のエマルションはすべて食品グレードの品質の成分からなることがで きる。食品業界では剥離助剤組成物は食品調製、すなわち調理、焼き上げ等、ま た食品加工、すなわち食品の大量製造において使用することが出来る。食品業界 における剥離助剤組成物の使用例に関し、食品剥離組成物の利用についてはおお むね米国特許第５，３７４，４３４号を参照し、食品グレードの型の使用につい ては米国特許第５，３７６，３２０号を参照されたく、該開示は参考資料として 本明細書に含める。 たとえば紙、プラスチック、複合材料、セメント、クレー、繊維、ゴムおよび セラミックに関する成形プロセスにおいて、また剥離能力を必要とする表面また は支持体を含む他の工業的プロセスにおいて該水性エマルションを使用すること も本発明の意図する範囲内にある。本発明の剥離助剤組成物は、たとえば米国特 許第５，３８７，７５０号の型調製プロセスのように、成形プロセスにおいて離 型助剤として、すなわち成形物が型から容易に取り出せるように、また成形物が 型に粘着しないように使用することが出来、該開示は本明細書に参考資料として 含める。 たとえば成形する紙、プラスチック、複合材料、セメント、クレー、繊維、ゴ ムおよびセラミック材料のような素材と接触する表面、たとえば型、ローラーや 種々の他の支持体から剥離させるために剥離能力を必要とする種々の工業的プロ セスにより調製した粘稠な素材、たとえばパルプや紙スラリー、紙、プラスチッ ク、複合材料、セメント、クレー、テキスタイル、ゴムならびにセラミック組成 物および／またはスラリーにおいて該水性エマルションを使用することも本発明 の意図する範囲内にある。水性組成物の離型剤としての使用に関する一般的な考 察については米国特許第５，３７２，６３７号を参照されたく、その開示は参考 資料として本明細書に含める。 前記の剥離助剤組成物によって付与される剥離能力を、下記のような標準実験 法を用いて確かめた。本発明の単なる代表例を意図する下記実施例によって本発 明はさらに明らかになろう。 実施例実施例１ 下記配合による組成物を調製した。 方法： 第１の容器では、凝結防止剤（Ｖｅｅｇｕｍ）を水中に分散させて混合物とし た。第２の容器では、増粘剤、キサンタンガムをアルコール（プロピレングリコ ール）中に分散させてスラリーとした。次にこのスラリーを、該混合物中で均質 の混合物ができるまで撹拌した。この均質の混合物に界面活性剤、エチレンオキ シドとプロピレンオキシドとのブトキシブロックコポリマーを加え、さらに完全 な分散液が得られるまで撹拌した。次いで脂肪酸／油成分（オレイン酸）を加え ８）を加えて、滑らかで不透明で白色の安定なエマルションが出来るまで最終混 合物を撹拌した。実施例２ 実施例１で用いたと同じ方法および量によって実施例１で調製したと同様の組 成物を調製したが、ただしブトキシブロックコポリマー（Ｔｏｘｉｍｕｌ ８３ ２０）の代わりにＵｎｉｏｎ Ｃａｒｂｉｄｅから入手したＴｅｒｇｉｔｏｌ ＸＤ（エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブトキシブロックコポリマー ）を使用した。 生成した組成物は実施例１でできたエマルションに類似した安定で滑らかで不 透明な白色エマルションであった。実施例３ 実施例１で用いたと同じ方法および量によって実施例１で調製したと同様の組 成物を調製したが、ただしＴｏｘｉｍｕｌ ８３２０をＢＡＳＦから入手したＰ ｌｕｒｏｎｉｃ Ｌ−６４（エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロッ クコポリマー）で置き換えた。Ｐｌｕｒｏｎｉｃ Ｌ−６４は組成物の総重量の ２．０％を占める量を使用し、したがって水分は組成物の総重量の６５．４７％ に減じた。 生成した組成物は実施例１でできたエマルションに類似した安定で滑らかで不 透明な白色エマルションであった。実施例４ 実施例１で用いたと同じ方法および量によって実施例１で調製したと同様の組 成物を調製したが、ただしＴｏｘｉｍｕｌ ８３２０をＣｈｅｍａｘ Ｅ−６０ ０ ＭＬ（ポリオキシエチル化（１４）やし油脂肪酸）とＣｈｅｍａｘ ＰＥＧ −６００ ＤＴ（トール油脂肪酸とポリエチレングリコール ＭＷ６００とのジ エステル）との配合物で置き換えた。この両者はサウスカロライナ州、Ｇｒｅｅ ｎｖｉｌｌｅのＣｈｅｍａｘ Ｉｎｃ．から入手できる。Ｃｈｅｍａｘ Ｅ−６ ００ ＭＬとＣｈｅｍａｘ ＰＥＧ−６００ ＤＴの配合物は組成物の総重量の ４．０％を占める合計量で使用し、したがって、水分は組成物の総重量の６３． ４７％に減じた。Ｃｈｅｍａｘ Ｅ−６００ ＭＬとＣｈｅｍａｘ ＰＥＧ−６ ００ ＤＴとの配合物は７５％ ＭＬ（モノラウレート）成分および２５％ Ｄ Ｔ（ジト−レート）成分から成る。 生成した組成物は実施例１でできたエマル ションと同様の安定で滑らかで不透明な白色エマルションであった。実施例５ 各組成物の４種類の温度における安定性を評価できるように、各組成物ごとに ４試料を調製するのに十分な量の実施例１〜４の組成物を調製した。 実施例１−４の組成物について、室温、５０℃、８℃、および−１５℃の温度 における安定性を評価した。各試料は、エマルション成分の分離が起こったかど うか、およびエマルションに物理的欠陥が生じたかどうかを調べるために一定間 隔で視覚検査をおこなった。具体的に調べた物理的欠陥はゲル化、凝集、沈降、 および変色であった。 −１５℃で評価した４試料については、これら試料を一夜間（約１２時間）凍 結させた後室温に温めた。室温に達すると、凍結およびさらに解凍工程後にエマ ルションが変化しなかったかどうかを調べるために各試料を検査した。エマルシ ョンが変化しなかった場合には、該エマルションがいかなる時間においても安定 状態を保持するかどうかを調べるためにこれら試料の安定性をさらに評価した。結果 室温で評価した４試料はいずれも少なくとも４カ月間は安定であった。 ８℃で評価した４試料もいずれも少なくとも４カ月間は安定であった。 ５０℃で評価した４試料はいずれも、促進老化の兆候または物理的欠陥が認め られる以前に少なくとも１４日間は安定であった。 −１５℃で評価した４試料はいずれも、凍結および続く解凍操作後も変化がな かった。室温に解凍後、これら４試料は分離の兆候または物理的欠陥が認められ る以前に少なくとも１カ月間は安定であった。実施例６ 実施例１〜４の各組成物について水で希釈できる能力を評価した。 各組成物１グラムを水９９グラムと混合して分散するまで振とうまたは撹拌し た。いったん分散液が得られると、試料が分散状態を保っている時間の長さを調 べるために各試料を評価した。 ４つの組成物はそれぞれ、たとえば一成分が表面に浮上するかまたは底に凝集 することによって各成分に分離する以前に少なくとも３時間持続する均質の分散 液を生成した。各試料は許容し得る希釈液を形成することが確かめられた。実施例７ 実施例１の組成物を用いて本発明による組成物の剥離助剤特性を評価した。 ０．５％のコンシステンシーで１時間パルプ化を行った。次にポリビニールア ルコール（ＰＶＯＨ）１０グラム当たりパルプ５０グラムに相当する量の２０重 量％ＰＶＯＨをこのパルパーに加えた。パルプスラリーができた。 このスラリーを手すき紙すきけたに（ｈａｎｄ ｓｈｅｅｔ ｍｏｌｄ）入れ 、下記の量の本発明による剥離助剤組成物をその手すき紙すきけたに加えた。次 にこの手すき紙を圧搾してアルミフォイルの上に置いた後スチールキャン上で乾 燥した。この紙のアルミフォイルからの剥離を試みた結果は次の通りであった。結果 Ａ．剥離助剤組成物を用いずに作った紙（対照）： アルミフォイルから手すき紙を剥がすと必ず手すき紙を損傷した。 Ｂ．４０ｐｐｍ（繊維重量）の剥離助剤組成物を用いてつくった紙： 手すき紙はアルミフォイルに付着したが、手すき紙に損傷を与えずにアルミフ ォイルから容易にはがすことができた。 Ｃ．８０ｐｐｍ（繊維重量）の剥離助剤組成物を用いてつくった紙： 手すき紙は全くアルミフォイルに付着しなかった。いったん乾燥すると、手す き紙はアルミフォイルから滑り落ちた。 標準的実験方法に基いた上記の結果は、本発明による剥離助剤組成物が繊維重 量に基づき４０ｐｐｍの濃度で剥離面、すなわちアルミフォイルに対して所望の 剥離能力を与えることを示した。 本発明の他の態様は本明細書に開示される本発明の明細書および実施を考察す れば当業者には明らかであろう。この明細書および実施例は単なる例示とみなさ れるので、本発明の真の範囲および精神は請求の範囲で示すつもりである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，Ｕ Ｇ)，ＵＡ(ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ )，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ， ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，Ｋ Ｇ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ， ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，Ｓ Ｉ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ ，ＶＮ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ａ） アルコール； ｂ） 脂肪酸または油； ｃ） レシチン； ｄ） 水に可溶または水に分散可能な界面活性剤；および ｅ） 水 を含む水性剥離助剤組成物。 ２．さらに凝結防止またはゲル化防止剤を含む請求項１に記載の剥離助剤組成 物。 ３．さらに増粘剤を含む請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ４．さらに防腐剤を含む請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ５．前記アルコールがグリコールである請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ６．前記グリコールがプロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピ レングリコールおよびジエチレングリコールよりなる群から選ばれる請求項５に 記載の剥離助剤組成物。 ７．前記アルコールがエタノールおよびプロパノールよりなる群から選ばれる 請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ８．前記脂肪酸または油が天然産の脂肪酸または油である請求項１に記載の剥 離助剤組成物。 ９．前記脂肪酸または油が不飽和の脂肪酸または油である請求項８に記載の剥 離助剤組成物。 １０．前記脂肪酸がＣ₈−Ｃ₂₀脂肪酸である請求項１に記載の剥離助剤組成物 。 １１．前記脂肪酸がオレイン酸、リノレン酸、およびＴＯＦ酸よりなる群から 選ばれる請求項９に記載の剥離助剤組成物。 １２．前記水に可溶または水に分散可能な界面活性剤が高分子である請求項１ に記載の剥離助剤組成物。 １３．前記水に可溶または水に分散可能な高分子界面活性剤が非イオン性であ る請求項１２に記載の剥離助剤組成物。 １４．前記非イオン性高分子界面活性剤がエチレンオキシドとプロピレンオキ シドとの水に可溶なブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシ ドとのブトキシブロックコポリマー、ポリエチレングリコールエステル、および エトキシル化アルコールよりなる群から選ばれる請求項１３に記載の剥離助剤組 成物。 １５．前記水に可溶または水に分散可能な界面活性剤がアニオン性である請求 項１に記載の剥離助剤組成物。 １６．前記アニオン界面活性剤がジオクチルスルホスクシネートである請求項 １５に記載の剥離助剤組成物。 １７．前記凝結防止またはゲル化防止剤がケイ酸アルミニウムマグネシウム、 ケイ酸カルシウム、および酸化アルミニウムよりなる群から選ばれる請求項２に 記載の剥離助剤組成物。 １８．前記増粘剤がガム、アルギネートおよびセルロース誘導体よりなる群か ら選ばれる請求項３に記載の剥離助剤組成物。 １９．前記ガムがキサンタンガムである請求項１８に記載の剥離助剤組成物。 ２０．前記セルロース誘導体がカルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）である 請求項１８に記載の剥離助剤組成物。 香酸ナトリウムよりなる群から選ばれる請求項４に記載の剥離助剤組成物。 ２２．前記アルコールが該組成物の総重量に対して約１〜約１５重量％にわた る量で存在する請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ２３．前記アルコールが該組成物の総重量に対して約２〜約８重量％にわたる 量で存在する請求項２２に記載の剥離助剤組成物。 ２４．前記脂肪酸または油が該組成物の総重量に対して約５〜約４０重量％に わたる量で存在する請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ２５．前記脂肪酸または油が該組成物の総重量に対して約１０〜約３０重量％ にわたる量で存在する請求項２４に記載の剥離助剤組成物。 ２６．前記レシチンが該組成物の総重量に対して約３〜約３０重量％にわたる 量で存在する請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ２７．前記レシチンが該組成物の総重量に対して約５〜約１０重量％にわたる 量で存在する請求項２６に記載の剥離助剤組成物。 ２８．前記水に可溶または水に分散可能な界面活性剤が該組成物の総重量に対 して約０．２〜約７重量％にわたる量で存在する請求項１に記載の剥離助剤組成 物。 ２９．前記水に可溶または水に分散可能な界面活性剤が該組成物の総重量に対 して約１〜約４重量％にわたる量で存在する請求項２８に記載の剥離助剤組成物 。 ３０．前記凝結防止またはゲル化防止剤が該組成物の総重量に対して約０〜約 ３重量％にわたる量で存在する請求項２に記載の剥離助剤組成物。 ３１．前記凝結防止またはゲル化防止剤が該組成物の総重量に対して約０．１ 〜約１．０重量％にわたる量で存在する請求項３０に記載の剥離助剤組成物。 ３２．前記増粘剤が該組成物の総重量に対して約０〜約３重量％にわたる量で 存在する請求項３に記載の剥離助剤組成物。 ３３．前記増粘剤が該組成物の総重量に対して約０〜約０．５重量％にわたる 量で存在する請求項３２に記載の剥離助剤組成物。 ３４．剥離面に剥離性を付与する方法であって、前記剥離面と接触する素材を 剥離させるのに十分な量の請求項１に記載の剥離助剤組成物を前記剥離面に適用 する工程を含む方法。 ３５．前記剥離面がウエットエンドストックローラー、加圧ロール、ヤンキー ローラー、クーチロール、ドライヤーキャン、カレンダーまたはドライヤーロー ルである請求項３４に記載の方法。 ３６．前記剥離面が型である請求項３４に記載の方法。 ３７．前記素材が紙、プラスチック、複合材料、セメント、クレー、テキスタ イル、ゴムおよびセラミックよりなる群から選ばれる物質より構成される組成物 またはスラリーである請求項３４に記載の方法。 ３８．前記適用がスプレーによって達せられる請求項３４に記載の方法。 ３９．粘稠な素材に剥離性を付与する方法であって、前記粘稠な素材と接触す る剥離面から前記粘稠な素材を剥離させるのに十分な量の請求項１記載の剥離助 剤組成物を前記粘稠な素材に加える工程を含む方法。 ４０．前記剥離面がウエットエンドストックローラー、加圧ロール、ヤンキー ローラー、クーチロール、ドライヤーキャン、カレンダーまたはドライヤーロー ルである請求項３９に記載の方法。 ４１．前記剥離面が型である請求項３９に記載の方法。 ４２．前記粘稠な素材が紙、プラスチック、複合材料、セメントクレー、テキ スタイル、ゴムおよびセラミックよりなる群から選ばれる物質から構成される組 成物またはスラリーである請求項３９に記載の方法。 ４３．水性剥離助剤組成物の調製法であって、 ａ）第一の容器中で、凝結防止またはゲル化防止剤を水中で撹拌し分散させて 混合物とし； ｂ）第二の容器中で、増粘剤をアルコール中で撹拌し分散させてスラリーをつ くり； ｃ）次に該調製スラリーを、該調製済混合物中で均質な混合物が得られるまで 撹拌し； ｄ）各添加の間に分散が得られるまで撹拌しながら順次水に可溶または水に分 散可能な界面活性剤、脂肪酸およびレシチンを加え；さらに ｅ）エマルションができるまで該均質混合物を撹拌する 工程を含む水性剥離助剤組成物の調製法。 ４４．該レシチンの添加に続いて少なくとも１種の防腐剤を添加する請求項４ ３に記載の方法。 ４５．エマルションの形状である請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ４６．安定な水希釈液を得ることができる乳化可能な濃縮物である請求項１に 記載の剥離助剤組成物。 ４７．室温で安定である請求項１に記載の剥離助剤組成物。 ４８．約８℃〜約５０℃の温度で安定である請求項１に記載の剥離助剤組成物 。