JPH1143822A - 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 - Google Patents

潜在捲縮性ポリエステル複合繊維

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JPH1143822A
JPH1143822A JP19681497A JP19681497A JPH1143822A JP H1143822 A JPH1143822 A JP H1143822A JP 19681497 A JP19681497 A JP 19681497A JP 19681497 A JP19681497 A JP 19681497A JP H1143822 A JPH1143822 A JP H1143822A
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克皓 田中
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孝司 山崎
Ryokichi Kinoshita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製糸性良く製造することができ、伸縮性に優
れ、かつ、遮光性(透け防止性)を有する布帛を得るの
に適した潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を提供する。 【解決手段】 実質的にエチレンテレフタレート単位よ
りなるポリエステルAとイソフタル酸2〜5モル%と
2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
ル〕プロパン3〜6モル%とを共重合したエチレンテレ
フタレート単位主体の共重合ポリエステルBとが偏心的
に接合した複合繊維であって、ポリエステルAは二酸化
チタンを 1.3重量%以上含有し、共重合ポリエステルB
は二酸化チタン含有量が 0.5重量%以下であり、 170℃
における自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラル
捲縮を発現する潜在捲縮能を有するポリエステル複合繊
維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性に優れ、か
つ、遮光性(透け防止性)を有する布帛を得るのに適し
た潜在捲縮性ポリエステル複合繊維に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、力学的性質、熱安
定性、ウォッシャブル性等に優れており、衣料用、産業
資材用、インテリア用等極めて広い分野に使用されてい
る。その中で、スポーツ衣料等の織編物あるいはハップ
材基布用等の不織布には機能性及びフィット性等の要求
から伸縮性に富んだものが求められている。
【0003】また、繊維製品の多様化とコストダウンの
要求により、目付の小さい薄地の布帛とすることが多い
が、薄地とすると遮光性が低下し、透けて見えるように
なるという問題があった。
【0004】従来、伸縮性を有する布帛を得る方法とし
て、潜在捲縮能を有するポリエステル複合繊維を用いる
方法が知られている。例えば、伸縮性布帛用に適する繊
維として、特開平9−157955号公報には、実質的にエチ
レンテレフタレート単位よりなるポリエステルとイソフ
タル酸と2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル〕プロパンとを共重合したエチレンテレフ
タレート単位主体の共重合ポリエステルとからなる潜在
捲縮性複合繊維が開示されている。
【0005】また、ポリエステル繊維の遮光性を高める
方法として、二酸化チタンを多量に含有させる方法が知
られているが、上記のような複合繊維において、共重合
ポリエステルに二酸化チタンを多量に含有させると、溶
融紡糸時に濾圧上昇が速いと同時に糸切れが多発して、
製糸性が極めて悪いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、製糸性良く製造することができ、伸縮性に優
れ、かつ、遮光性を有する布帛を得るのに適した潜在捲
縮性ポリエステル複合繊維を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、その要旨は次の通りである。実質的に
エチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルAと
イソフタル酸(IPA)2〜5モル%と2,2−ビス
〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン
(BA・EO)3〜6モル%とを共重合したエチレンテ
レフタレート単位主体の共重合ポリエステルBとが偏心
的に接合した複合繊維であって、ポリエステルAは二酸
化チタンを 1.3重量%以上含有し、共重合ポリエステル
Bは二酸化チタン含有量が 0.5重量%以下であり、 170
℃における自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラ
ル捲縮を発現する潜在捲縮能を有することを特徴とする
ポリエステル複合繊維。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0009】本発明において、ポリエステルAとして
は、実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリ
エステルが用いられ、ポリエチレンテレフタレートホモ
ポリマーが好ましい。
【0010】また、共重合ポリエステルBは、エチレン
テレフタレート単位を主たる構成単位とし、IPAとB
A・EOとを共重合成分とするものである。
【0011】共重合ポリエステルBにおけるIPAの共
重合割合は2〜5モル%とすることが必要である。IP
Aの共重合割合が2モル%未満では、実質的に大きな捲
縮が得られず、一方、5モル%を超えると、融点が低下
するため、熱安定性が損なわれる。また、BA・EOの
共重合割合は3〜6モル%とすることが必要である。B
A・EOの共重合割合が3モル%未満では、収縮特性が
不十分となり、布帛にした場合、その伸縮性が悪く、十
分な伸縮機能が得られない。一方、この共重合割合が6
モル%を超えると、融点が低下したり、繊維の強力低下
が著しいため、好ましくない。
【0012】ポリエステルAは、極限粘度が0.55〜0.7
5、共重合ポリエステルBは、極限粘度が0.65〜0.82の
ものが好ましい。
【0013】本発明においては、複合繊維に二酸化チタ
ンを比較的多量に含有させるが、ポリエステルAの二酸
化チタン含有量が 1.3重量%以上、好ましくは 1.5〜2.
5 重量%、共重合ポリエステルBの二酸化チタン含有量
が 0.5重量%以下、好ましくは0.01〜0.4 重量%となる
ようにする。ポリエステルAの二酸化チタン含有量が1.
3重量%未満であると遮光効果が不十分となり、共重合
ポリエステルBの二酸化チタン含有量が 0.5重量%を超
えると製糸性が悪化する。
【0014】なお、ポリエステルA及び共重合ポリエス
テルBは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重
合成分を含有していてもよく、難燃剤、制電剤、抗菌
剤、セラミックス等種々の改質剤や添加剤を含有してい
てもよい。
【0015】本発明の複合繊維は、ポリエステルAと共
重合ポリエステルBとが偏心的に接合した複合繊維であ
って、弛緩熱処理によってスパイラル捲縮を発現する潜
在捲縮性繊維である。複合形態は、特に限定されない
が、芯鞘型よりもサイドバイサイド型の方が捲縮発現能
が優れている点で好ましい。
【0016】また、本発明の複合繊維は、170 ℃におけ
る自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラル捲縮を
発現する潜在捲縮能を有することが必要である。伸縮性
を有する布帛を得るためには、捲縮を発現させた時、布
帛を構成する繊維が30個/25mm以上、好ましくは40個/
25mm以上のスパイラル捲縮を有するようにすることが必
要で、そのためには原綿状態で50個/25mm以上のスパイ
ラル捲縮発現能を有することが必要である。
【0017】また、梳綿工程でネップや未開繊部の発生
しない原綿とすることが必要である。一般にネップや未
開繊部の発生は、捲縮数、捲縮形態と密接な関係にあ
り、機械捲縮の場合、捲縮数が8個/25mm未満では未開
繊部が発生しやすく、18個/25mmを超えるとネップが発
生しやすい。また、梳綿工程以前でスパイラル捲縮を発
現させた場合、ネップが発生し易く、ウエブの均斉度が
悪くなるほか、ウエブの素抜けが発生し易い。したがっ
て、50個/25mm以上のスパイラル捲縮発現能を有する潜
在捲縮性複合繊維に8〜18個/25mmの機械捲縮を付与す
ると好ましい原綿となる。
【0018】機械捲縮を付与する方法としては、スタッ
フィングボックス式、加熱ギヤ式等が採用できるが、一
般にスタッフィングボックス式が採用される。
【0019】本発明の複合繊維は、所定量の二酸化チタ
ンを配合したポリエステルAと共重合ポリエステルBと
を用いて、常法によって製糸することにより製造するこ
とができる。この際、共重合ポリエステルBの共重合組
成、複合比、紡糸速度、延伸倍率及び熱処理温度等を適
切に選定することにより、前記の潜在捲縮特性を有する
繊維とすることができる。
【0020】本発明の複合繊維は、紡績糸又は布帛とし
た後に、弛緩熱処理することによりスパイラル捲縮を発
現し、高伸縮性を有し、かつ、遮光性を有する布帛を与
えるものである。
【0021】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。なお、実施例における特性値等の測定法は次の通
りである。 (a) 極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合溶媒を用い、
温度20℃で測定した。 (b) 二酸化チタン含有量(TiO2) ポリエステルを円板状に溶融成形し、リガク社製X線ス
ペクトロメータ−3270を用いて測定した。 (c) 繊度 JIS L 1015 7-5-1-1A の方法により測定した。 (d) 強伸度 JIS L 1015 7-7-1の方法により測定した。 (e) 捲縮数 JIS L 1015 7-12-1 の方法により測定した。なお、潜在
捲縮の顕在化は、短繊維を 170℃で15分間自由収縮可能
な条件で熱処理することにより行った。 (f) 伸長率 不織布を幅5cmに切断し、30g荷重時の長さL0 と 240
g荷重時の長さL1 を測定し、次式より伸長率を算出し
た。 伸長率 (%) =〔 (L1−L0)/L0 〕×100 (g) 遮光率 東京光学機械社製の光電池照度計SIP−5型を用いて
測定した。
【0022】実施例1 ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタン
を2.01重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共
重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.80で、二酸化チ
タンを0.02重量%含有したIPA4モル%とBA・EO
4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート
系共重合ポリエステルを用い、複合重量比1/1で、複
合溶融紡糸装置によって、円形紡糸孔を 344個有する紡
糸口金を用い、紡糸温度 282℃、引取速度1170m/分、
吐出量 189g/分で、サイドバイサイド型複合繊維を紡
糸した。(製糸性は良好であった。) 得られた未延伸糸を75万dのトウ状に集束し、延伸倍率
2.81倍、延伸温度62℃で延伸し、 122℃で緊張熱処理を
行い、スタッフィングボックスで機械捲縮を付与した
後、カットしてカット長51mmの短繊維を得た。次に、こ
の短繊維をローラカードを用いて、速度20m/分で開繊
してウエブとし、ニードルパンチ処理を施した後、熱風
通過式熱処理機で、 170℃で3分間熱処理して、表1に
示した目付けの不織布を作成した。原綿及び不織布の特
性値等を表1に示す。
【0023】実施例2 ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタン
を1.50重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共
重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.81で、二酸化チ
タンを0.43重量%含有したIPA4モル%とBA・EO
4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート
系共重合ポリエステルを用い、その他は実施例1と同様
にして短繊維を得た。(製糸性は良好であった。) この短繊維を用いて、実施例1と同様にして不織布を得
た。原綿及び不織布の特性値等を表1に示す。
【0024】実施例3〜4 共重合ポリエステルBの共重合量を表1に示すように変
え、その他は実施例1と同様にして短繊維を得た。(製
糸性は良好であった。) この短繊維を用いて、実施例1と同様にして不織布を得
た。原綿及び不織布の特性値等を表1に示す。
【0025】比較例1 ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタン
を0.50重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共
重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.81で、二酸化チ
タンを0.43重量%含有したIPA4モル%とBA・EO
4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート
系共重合ポリエステルを用い、その他は実施例1と同様
にして短繊維を得た。この短繊維を用いて、実施例1と
同様にして不織布を得た。原綿及び不織布の特性値等を
表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】比較例2 ポリエステルAとして、〔η〕が0.68で、二酸化チタン
を1.50重量%含有したポリエチレンテレフタレート、共
重合ポリエステルBとして、〔η〕が0.82で、二酸化チ
タンを0.60重量%含有したIPA4モル%とBA・EO
4.5モル%とを共重合したポリエチレンテレフタレート
系共重合ポリエステルを用い、実施例1と同様な条件で
製糸した。紡糸、延伸時に糸切れが多発し、製糸性が悪
かった。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、製糸性良く製造するこ
とができ、伸縮性に優れ、かつ、遮光性(透け防止性)
を有する布帛を得るのに適した潜在捲縮性ポリエステル
複合繊維が提供される。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にエチレンテレフタレート単位よ
    りなるポリエステルAとイソフタル酸2〜5モル%と
    2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニ
    ル〕プロパン3〜6モル%とを共重合したエチレンテレ
    フタレート単位主体の共重合ポリエステルBとが偏心的
    に接合した複合繊維であって、ポリエステルAは二酸化
    チタンを 1.3重量%以上含有し、共重合ポリエステルB
    は二酸化チタン含有量が 0.5重量%以下であり、 170℃
    における自由収縮熱処理で50個/25mm以上のスパイラル
    捲縮を発現する潜在捲縮能を有することを特徴とするポ
    リエステル複合繊維。
  2. 【請求項2】 8〜18個/25mmの機械捲縮が付与されて
    いる請求項1記載の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維。
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JP2007016336A (ja) * 2005-07-06 2007-01-25 Nippon Ester Co Ltd 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007016336A (ja) * 2005-07-06 2007-01-25 Nippon Ester Co Ltd 潜在捲縮性ポリエステル複合繊維
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