JPH1143015A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

ウエビング巻取装置

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JPH1143015A
JPH1143015A JP9201994A JP20199497A JPH1143015A JP H1143015 A JPH1143015 A JP H1143015A JP 9201994 A JP9201994 A JP 9201994A JP 20199497 A JP20199497 A JP 20199497A JP H1143015 A JPH1143015 A JP H1143015A
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diameter sun
small
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diameter
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ギヤ比の設定自由度を大きくして小刻みなギ
ヤ比の設定や小さな減速比の設定を可能とする共に、容
易にギヤ比を変更することができるウエビング巻取装置
を得る。 【解決手段】 リデュースオフ状態では大径太陽歯車8
4の突起36と、小径太陽歯車30の突起48が当たっ
て一体的に回転する。リデュースオン状態で乗員がウエ
ビング引き出し力を解除すると、大径太陽歯車84から
小径遊星歯車52及び大径遊星歯車54を経て、小径太
陽歯車30へと至る回転力伝達系が構成され、小径太陽
歯車30は大径太陽歯車84よりも増速されて、所定の
増速比で回転する。大径太陽歯車84、小径太陽歯車3
0、小径遊星歯車52及び大径遊星歯車54の径及び歯
数の変更に制約がなく、小刻みなギヤ比の設定や小さな
ギヤ比の設定が可能になると共に、容易にギヤ比を変更
することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウエビング巻取装
置に関し、さらに詳しくは、付勢手段の付勢力によるウ
エビング巻き取りの回転数を、遊星歯車機構の所定のギ
ヤ比によって所定の回転数とするウエビング巻取装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】車両に取り付けられるウエビング巻取装
置には、遊星歯車機構によって、ゼンマイばね等の付勢
手段のウエビング巻取力を軽減させるテンションリデュ
ーサを備えたものがある。
【0003】テンションリデューサの遊星歯車機構は、
ウエビングを巻き取るスプールのシャフトに固定された
太陽歯車と、この太陽歯車と同軸的に軸支された内歯歯
車及び、これら太陽歯車と内歯歯車の双方にかみ合い、
ゼンマイばねの回転力を受けてスプールのシャフトの回
りを公転する遊星歯車で構成されている。そして、乗員
がウエビングを装着する前の状態では、内歯歯車は回転
可能となっており、ゼンマイばねの回転力が太陽歯車に
伝達されるが、乗員がウエビングを装着した後は、内歯
歯車の回転が停止されるため(いわゆるリデュース作
動)、ゼンマイばねの回転力を受けた遊星歯車が内歯歯
車の内歯にかみ合って公転し、太陽歯車も回転する。こ
れによって、ゼンマイばねの回転数(回転角速度)を所
定のギヤ比で回転させると共に、リデュース作動時のウ
エビング巻取量が多くなるようにしている。
【0004】しかし、一般的に遊星歯車機構は、太陽歯
車の歯数と内歯歯車の歯数との間に一定の制約条件があ
る。このため、上記した構成のテンションリデューサで
は、ギヤ比の設定自由度が制約されることになる。ま
た、ギヤ比を小刻みに設定したり、小さく設定すること
も困難となる。さらに、ギヤ比を変更する際には、太陽
歯車、遊星歯車及び内歯歯車について、径及び歯数を設
定し直さなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事実を
考慮し、ギヤ比の設定自由度を大きくして小刻みなギヤ
比の設定や小さなギヤ比の設定を可能とする共に、容易
にギヤ比を変更することができるウエビング巻取装置を
得ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
は、付勢手段による巻取付勢力を受けて回転する大径太
陽歯車と、前記大径太陽歯車と同軸的に相対回転可能と
され、ウエビングを巻き取る巻取軸が連結された小径太
陽歯車と、前記大径太陽歯車及び前記小径太陽歯車に設
けられ、大径太陽歯車のウエビング巻取方向回転又は小
径太陽歯車のウエビング引出方向回転で大径太陽歯車と
小径太陽歯車とを一体的に回転させる一体化手段と、前
記大径太陽歯車と噛み合う小径遊星歯車と、前記小径太
陽歯車と噛み合う大径遊星歯車と、が同軸的に固定さ
れ、大径太陽歯車の回転角速度よりも速い回転角速度で
小径太陽歯車を回転させる遊星歯車体と、前記遊星歯車
体を回転可能に、且つ前記大径太陽歯車の軸回りに公転
可能に支持する支持体と、乗員の前記ウエビング装着後
に前記支持体による前記遊星歯車体のウエビング巻取方
向の公転を停止させる停止手段と、を有することを特徴
とする。
【0007】乗員がウエビングを装着していない状態
(リデュースオフ状態)では、停止手段が遊星歯車体の
公転を阻止していないので、遊星歯車体は大径太陽歯車
の軸回りに公転可能となっている。ここで、ウエビング
に引き出し力を作用させると、小径太陽歯車がウエビン
グ引出し方向に回転し、一体化手段によって大径太陽歯
車も小径太陽歯車と一体でウエビング引出し方向に回転
する。ウエビング引出し力の解除により、付勢手段の巻
取付勢力で大径太陽歯車がウエビング巻取方向に回転す
るため、一体化手段によって小径太陽歯車も大径太陽歯
車と一体でウエビング巻取方向に回転する。このよう
に、リヂュースオフ状態では小径太陽歯車と大径太陽歯
車とが一体で回転する。
【0008】乗員がウエビングを装着すると、停止手段
によって、遊星歯車体のウエビング巻取方向の公転が停
止される(リデュースオン状態)が、ウエビング引出し
方向の公転は停止されない。このため、ウエビングに引
き出し力を作用させると、一体化手段によって大径太陽
歯車が小径太陽歯車が一体となってウエビング引出し方
向に回転し、遊星歯車体もウエビング引出し方向に公転
して、ウエビングを引き出すことができる。
【0009】ウエビング引出し力を解除すると、付勢手
段の巻取付勢力で大径太陽歯車がウエビング巻取方向に
回転する。ここで、停止手段によって、遊星歯車体のウ
エビング巻取方向の公転は阻止されているので、遊星歯
車体によって、大径太陽歯車のよりも速い回転角速度
で、小径太陽歯車がウエビング巻取方向に相対的に回転
する。従って、小径太陽歯車は一体化手段によって大径
太陽歯車と一体となることはなく、大径太陽歯車よりも
増速されてウエビング巻取方向に回転することになる。
【0010】このように、リデュースオン状態では、大
径太陽歯車から遊星歯車体を経て小径太陽歯車へと回転
力が増速されて伝達される。従来のように、内歯歯車を
使用していないので、大径太陽歯車、遊星歯車体又は小
径太陽歯車の何れの歯数の変更にも制約がない。従っ
て、いずれかの歯車の歯数及び径を変更し、容易に任意
の変速比に設定したり、小刻みな変速比を設定したりす
ることが可能となる。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記一体化手段が、前記大径太陽歯
車と前記小径太陽歯車との対向面のそれぞれに形成さ
れ、大径太陽歯車のウエビング巻取方向回転又は小径太
陽歯車のウエビング引出方向回転で係合する突起である
ことを特徴とする。
【0012】このため、簡単な構造で一体化手段を構成
し、大径太陽歯車のウエビング巻取方向回転又は小径太
陽歯車のウエビング引出方向回転で大径太陽歯車と小径
太陽歯車とを一体的に回転させることができる。また、
部品点数も増加しない。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜図3には、本発明の一実施
の形態に係るウエビング巻取装置10が示されている。
【0014】ウエビング巻取装置10は、車両に取り付
けられるフレーム(図示省略)を有しており、このフレ
ームに、略円筒状に形成されたスプール12が回転可能
に軸支されている(図1及び図3では、スプール12を
一部のみ図示)。スプール12の図2時計周り方向(図
1及び図2の矢印A方向)の回転によりウエビング(図
示省略)が巻き取られ、図2反時計周り方向(図1及び
図2の矢印B方向)の回転によりウエビングが巻き出さ
れる。
【0015】フレームを構成する支持板16(図2及び
図3参照)には、シート14が取り付けられている。こ
のシート14は、後述するキャリア40が収容される略
偏平円筒状のキャリア収容部18と、同じく後述する停
止手段82が収容される停止手段収容部20と、が一体
的に形成されている。
【0016】キャリア収容部18の側壁22の中央には
軸支孔24が形成されており、この軸支孔24に、スプ
ール12内に配置された回転軸26が挿通されて、スプ
ール12が軸支されている。回転軸26の先端は略四角
柱状に形成されて側壁22から突出している。そして、
小径太陽歯車体29の小径太陽歯車30からシート14
側に突出した支軸32(図4参照)の軸孔34(図3参
照)に挿入されている。これにより、スプール12と小
径太陽歯車30とが同軸的に連結され、軸線CLを中心
として一体で回転する。
【0017】図1に示すように、小径太陽歯車体29か
ら、支軸32と反対側に突設された突軸38(図4参
照)は、キャリア40の中央に形成された透孔42に挿
通されている。キャリア40は略円板状に形成されてお
り、3本の支軸44が、中心(軸線CLに一致する)に
対して一定の中心角(120°)となる位置から太陽歯
車30と反対側に向かって突設されている。
【0018】支軸44のそれぞれには、遊星歯車体46
が軸支されている。遊星歯車体46は、図5にも示すよ
うに、小径遊星歯車52と、小径遊星歯車52より大径
の大径遊星歯車54、及び小径遊星歯車52から突出す
る筒体92が同軸的に一体成形されており、大径遊星歯
車54がキャリア40側に位置するように、支軸44に
挿通されて軸支されている。そして、大径遊星歯車54
が、小径太陽歯車30と噛み合っている。また、遊星歯
車体46の小径遊星歯車52は、回転体56に形成され
た大径太陽歯車84と噛み合っている。
【0019】図6にも示すように、この回転体56は、
円板86と、円板86からキャリア40(図1参照)に
向かって突設された偏平円筒状の筒部88、同じく円板
86からキャリア40に向かって突設された大径太陽歯
車84及び、円板86から大径太陽歯車84と反対側に
向かって突設された回転軸72(図1参照)とが一体形
成されて構成されている。
【0020】図3に示すように、筒部88の先端は、大
径遊星歯車54の側面に当たっており、且つ、円板86
は遊星歯車体46の筒体92に当たっている。これによ
って、遊星歯車体46がキャリア40と回転体56との
間で軸方向に位置決めされている。
【0021】小径太陽歯車30から、シート14側と反
対側に突設された突軸38は、回転体56の中央(従っ
て、大径太陽歯車84と回転軸72の中央)に形成され
た透孔90に挿通されている。これにより、小径太陽歯
車30と大径太陽歯車84とが軸線CL上で同軸的に、
且つ、相対回転可能に連結されている。
【0022】図2及び図6に示すように、大径太陽歯車
84の、小径太陽歯車30との対向面には、中心側から
径方向外側に沿って突起36が形成されている。また、
図2及び図4に示すように、小径太陽歯車30の、大径
太陽歯車84との対向面にも、中心側から径方向外側に
沿って突起48が形成されている。これらの突起36、
48の側面は、正面視にて、大径太陽歯車84及び小径
太陽歯車30の径方向に一致している(図2参照)。
【0023】大径太陽歯車84が図2時計周り方向(矢
印A方向)に回転すると、突起36が突起48を押すた
め、小径太陽歯車30も図2時計周り方向に回転する。
同様に、小径太陽歯車30が図2反時計周り方向(矢印
B方向)に回転すると、突起48が突起36を押すた
め、大径太陽歯車84も図2反時計周り方向に回転す
る。
【0024】また、図2に示す状態から、大径太陽歯車
84が反時計周り方向(矢印B方向)に回転すると、突
起36は突起48から一旦離れるが、大径太陽歯車84
が小径太陽歯車30に対して約1回転すると、突起36
が突起48の回転方向後方側に回り込んで当たる。同様
に、図2に示す状態から、小径太陽歯車30が時計周り
方向(矢印A方向)に回転すると、突起48が突起36
から一旦離れるが、小径太陽歯車30が大径太陽歯車8
4に対して約1回転すると、突起48が突起36の回転
方向後方側に回り込んで当たる。
【0025】なお、突起36と突起48とが当たったと
き、これらの突起36、48の側面は、正面視にて、大
径太陽歯車84及び小径太陽歯車30の径方向に一致し
ているため、面接触している。これにより、突起36、
48の側面に部分的に強い力が作用しないため、突起3
6、48の耐久性が向上する。
【0026】キャリア40の外周には、複数のラチェッ
ト歯58が形成されている。図11〜図16に示すよう
に、このラチェット歯58に、パウル60に形成された
爪部62が係合すると、キャリア40の時計周り方向
(矢印A方向)の回転が阻止される。
【0027】パウル60は略L字状に形成されており、
爪部62は長片部60Aの先端に形成されている。ま
た、パウル60はその略中央で、後述するカバー78か
ら突設された支軸80(図2参照)に揺動可能に軸支さ
れており、停止手段収容部20に配設されたねじりコイ
ルスプリング64によって、爪部62がラチェット歯5
8から離間する方向に付勢されている。停止手段収容部
20には、乗員がウエビングを装着した後に作動するソ
レノイド66が収容されて固定されており、ソレノイド
66のプランジャ68が、パウル60の短片部60Bに
形成された連結部70に連結されている。ソレノイド6
6が作動すると、ねじりコイルスプリング64の付勢力
に抗して爪部62がラチェット歯58に係合する方向
(図2反時計周り方向)にパウル60を回転させ、図1
1〜図16に示すように、爪部62をラチェット歯58
に係合させる。これにより、キャリア40の時計周り方
向(矢印A方向)の回転が停止される。一方、キャリア
40の反時計周り方向(矢印B方向)に回転しようとす
ると、爪部62がラチェット歯58によって係合解除方
向(図2時計周り方向)に回転されて押し戻される。こ
のため、キャリア40は反時計周り方向には回転するこ
とができる。なお、パウル60、ねじりコイルスプリン
グ64及びソレノイド66によって、停止手段82が構
成されている。
【0028】図1に示すように、回転軸72には、外周
から切り込み74が形成されており、この切り込み74
に、ゼンマイばね76の内端76Aが差し入れられて固
着されている。
【0029】ゼンマイばね76の外端76Bは、プレー
ト12に取り付けられたカバー78に固着されている。
回転軸72が図2反時計周り方向(矢印B方向)に回転
すると、ゼンマイばね76が巻き締められて弾性エネル
ギーが蓄積される。この状態で内端76Aが自由に回転
可能になると、図2時計周り方向(図1及び図2に示す
矢印A方向)に回転して、弾性エネルギーが開放される
ようになっている。また、カバー78とプレート12と
の間に、遊星歯車機構28、キャリア40、ゼンマイば
ね76及び停止手段82が収容されている。
【0030】次に、本実施の形態に係るウエビング巻取
装置10の作用を説明する。乗員がウエビングを装着し
ていない状態では、図2及び図7に示すように、ソレノ
イド66は作動しておらず、パウル60の爪部62がラ
チェット歯58から離れているため、キャリア40は回
転可能となっている(リデュースオフ状態)。また、小
径太陽歯車30の突起48は、大径太陽歯車84の突起
36に対して巻取方向側(図2では紙面左側)で、この
突起36に当たっている。
【0031】乗員がウエビングを引き出すと、スプール
12(図1及び図3参照)と一体で小径太陽歯車30が
図2反時計周り方向(矢印B方向)に回転する。この回
転により、突起48が突起36を押すため、大径太陽歯
車84も図2反時計周り方向(矢印B方向)に回転す
る。従って、大径太陽歯車84と小径太陽歯車30とが
一体で(ギヤ比1で)回転する。このとき、キャリア4
0が軸線CL回りに回転可能で、且つ、遊星歯車体46
の小径遊星歯車52が大径太陽歯車84と噛み合い、大
径遊星歯車54が小径太陽歯車30と噛み合っているの
で、図8、図9及び図10に示すように、大径太陽歯車
84、小径太陽歯車30及び遊星歯車体46が一体とな
って軸線CL回りに反時計周り方向(矢印B方向)に回
転する(図9では小径太陽歯車30及び大径太陽歯車8
4が図7に示す位置から120°回転し、図10では2
40°回転している)。これによって、回転軸72に内
端76Aが固着されたゼンマイばね76が巻き締められ
て、弾性エネルギーが蓄積される。ウエビング引き出し
力を解除すると、ゼンマイばね76の弾性力によって大
径太陽歯車84が時計周り方向(矢印A方向)に回転
し、突起36が突起48を押して、小径太陽歯車30も
時計周り方向(矢印A方向)に回転する。これによっ
て、ウエビングがスプール12(図1参照)に巻き取ら
れる。
【0032】乗員がウエビングを装着すると、ソレノイ
ド66が作動し、図11に示すように、パウル60をね
じりコイルスプリング64の付勢力に抗して反時計周り
方向に揺動させる。爪部62がラチェット歯58に係合
するため、キャリア40の図6時計周り方向の回転が停
止され、リデュースオン状態となる。これにより、キャ
リア40の支軸44が軸線CL回りに公転しなくなるの
で、遊星歯車体46も、軸線CL回りに図11時計周り
方向(矢印A方向)に公転しなくなる。
【0033】ここで、乗員がさらにウエビングを引き出
そうとすると、スプール12に直結された小径太陽歯車
30に図11反時計周り方向(矢印B方向)の回転力が
作用するため、突起48が突起36を押し、大径太陽歯
車84も図6反時計周り方向(矢印B方向)に回転す
る。遊星歯車体46は、図11反時計周り方向(矢印B
方向)には公転可能なので、図12に示すように、大径
太陽歯車84、小径太陽歯車30及び遊星歯車体46が
一体となって、軸線CL回りに反時計周り方向(矢印B
方向)に回転して、ウエビングが引き出される。
【0034】乗員がウエビング引き出し力を解除する
と、図13に示すように、ゼンマイばね76の弾性力を
受けた回転体56が、時計周り方向(矢印A方向)に回
転しようとし、大径太陽歯車84も時計周り方向(矢印
A方向)に回転しようとする。ここで、遊星歯車体46
の軸線CL回りの時計周り方向(矢印A方向)の公転は
阻止されているので、遊星歯車体46は回転中心(支軸
44)を一定の位置に維持したまま、大径太陽歯車84
から小径遊星歯車52が受ける回転力で、遊星歯車体4
6が図13反時計周り方向(矢印B方向)に回転しよう
とする。さらに、遊星歯車体46の回転により、遊星歯
車体46の大径遊星歯車54と噛み合った小径太陽歯車
30が図13時計周り方向(矢印A方向)に回転しよう
とする。すなわち、大径太陽歯車84から遊星歯車体4
6(小径遊星歯車52及び大径遊星歯車54)を経て、
小径太陽歯車30へと至る回転力伝達系が構成されるこ
とになる。
【0035】そして、この回転力伝達系では、小径遊星
歯車52が大径太陽歯車84よりも小径なので、遊星歯
車体46は大径太陽歯車84よりも増速されて(別言す
れば、大きな回転角速度で)回転する。一方、小径太陽
歯車30は大径遊星歯車54よりも大径なので、遊星歯
車体46よりも減速されて(別言すれば、小さな回転角
速度で)回転するが、大径太陽歯車84と小径太陽歯車
30との関係では、小径太陽歯車30は大径太陽歯車8
4よりも増速されて、所定の増速比で回転することにな
る。このため、図13に示すように、大径太陽歯車84
の回転によって突起48が突起36から離れていきなが
ら、小径遊星歯車52が図13時計周り方向(矢印A方
向)に回転し、スプール12(図1及び図3参照)がウ
エビング巻取方向(矢印A方向)に回転する。
【0036】大径太陽歯車84及び小径太陽歯車30の
回転により、図14に示すように、突起48が突起36
の回転移動方向後方側に回り込み、さらに、図15に示
すように突起48が突起36に徐々に接近する。最後
に、図16に示すように、小径太陽歯車30が大径太陽
歯車84に対して約1回転したところで、突起48が突
起36に当たって、この回転が停止される。
【0037】このように、リデュースオン状態では、大
径太陽歯車84から、遊星歯車体46(小径遊星歯車5
2及び大径遊星歯車54)を経て、小径太陽歯車30に
至る回転力伝達系によってゼンマイばね76の巻取回転
力が伝達されて、スプール12に回転力として作用し、
小径太陽歯車30(スプール12)が大径太陽歯車84
(ゼンマイばね76の内端76A)に対して所定の増速
比で回転する。この増速比の値は、大径太陽歯車84、
小径太陽歯車30又は遊星歯車体46(小径遊星歯車5
2及び大径遊星歯車54)の径及び歯数を変更すること
で、容易に任意の値に設定し直すことができる。例え
ば、大径遊星歯車54を小径太陽歯車30よりも大径と
すれば、遊星歯車体46に対して小径太陽歯車30も増
速されるため、小径太陽歯車30が大径遊星歯車54よ
りも大径の場合と比較して、小径太陽歯車30の大径太
陽歯車84に対する増速比をさらに大きくすることがで
きる。
【0038】しかも、従来のように内歯歯車を使用して
いないので、大径太陽歯車84と小径遊星歯車52との
間の歯数の関係や、小径太陽歯車30と大径遊星歯車5
4との間の歯数の関係に、特に制約がない。このため、
大径太陽歯車84、小径太陽歯車30又は遊星歯車体4
6(小径遊星歯車52及び大径遊星歯車54)の径及び
歯数を任意に変更し、大径太陽歯車84に対する小径太
陽歯車30の増速比の設定を小刻みに行ったり、増速比
を小さな値にしたりすることができる。内歯歯車を不要
としたことで、部品点数が少なくなり、ウエビング巻取
装置10の構造が簡単になる。
【0039】また、スプール12に直結した小径太陽歯
車30を、ゼンマイばね76の巻取回転力が作用する大
径太陽歯車84よりも増速することで、ウエビングの巻
取量が多くなる。また、これにより、ゼンマイばね76
の内端76Aの回転トルクが軽減されて、ウエビングの
巻き取りトルクとして作用するため、ウエビング装着時
に乗員に与える圧迫力(ウエビングと車両のシートとの
間で乗員が圧迫される力)を軽減することができる。
【0040】なお、上記説明においては、一体化手段と
して、大径太陽歯車84に突起36が、小径太陽歯車3
0に突起48が形成されている場合を例として説明した
が、一体化手段としては上記した突起36、48に限定
されず、要するに、大径太陽歯車84のウエビング巻取
方向回転(図2時計周り方向回転)又は小径太陽歯車3
0のウエビング引出方向回転(図2反時計周り方向回
転)で大径太陽歯車84と小径太陽歯車30とを一体的
に回転させるものであればよい。例えば、大径太陽歯車
84と小径太陽歯車30との間に紐状部材(紐や帯等)
を掛け渡しておき、大径太陽歯車84のウエビング巻取
方向回転又は小径太陽歯車30のウエビング引出方向回
転では、この紐状部材が緊張して大径太陽歯車84と小
径太陽歯車30とが一体的に回転し、大径太陽歯車84
のウエビング引出方向回転又は小径太陽歯車30のウエ
ビング巻取方向回転では、紐状部材が弛緩して大径太陽
歯車84と小径太陽歯車30との相対回転が可能となる
ようにしてもよい。
【0041】また、付勢手段としても、巻取付勢力を大
径太陽歯車84の回転力として伝え、遊星歯車体46を
介して小径太陽歯車30及び回転軸26(ウエビング巻
取軸)へ巻取方向回転力を付与するものであれば、ゼン
マイばね76に限られない。例えば、一般的なねじりコ
イルスプリング等の弾性体を使用してもよい。
【0042】さらに、遊星歯車体46の数が3個に限ら
れるものではないことは勿論であり、少なくとも1個あ
ればよい。
【0043】加えて、大径太陽歯車84、小径遊星歯車
52、大径遊星歯車54及び小径遊星歯車30の各径の
大きさの関係は、上記したものに限られず、要するに、
大径太陽歯車84の回転角速度が増速されて小径太陽歯
車30に伝達されるように設定されていればよい。
【0044】
【発明の効果】請求項1に係る本発明は、付勢手段によ
る巻取付勢力を受けて回転する大径太陽歯車と、大径太
陽歯車と同軸的に相対回転可能とされ、ウエビングを巻
き取る巻取軸が連結された小径太陽歯車と、大径太陽歯
車及び小径太陽歯車に設けられ、大径太陽歯車のウエビ
ング巻取方向回転又は小径太陽歯車のウエビング引出方
向回転で大径太陽歯車と小径太陽歯車とを一体的に回転
させる一体化手段と、大径太陽歯車と噛み合う小径遊星
歯車と、小径太陽歯車と噛み合う大径遊星歯車と、が同
軸的に固定され、大径太陽歯車の回転角速度よりも速い
回転角速度で小径太陽歯車を回転させる遊星歯車体と、
遊星歯車体を回転可能に、且つ大径太陽歯車の軸回りに
公転可能に支持する支持体と、乗員の前記ウエビング装
着後に支持体による遊星歯車体のウエビング巻取方向の
公転を停止させる停止手段と、を有するので、従来の内
歯歯車が不要となり、大径太陽歯車、遊星歯車体又は小
径太陽歯車の何れの歯数の変更にも制約がなく、容易に
任意の変速比に設定したり、小刻みな変速比を設定した
りすることが可能となる。
【0045】請求項2に係る本発明は、一体化手段が、
大径太陽歯車と小径太陽歯車との対向面のそれぞれに形
成され、大径太陽歯車のウエビング巻取方向回転又は小
径太陽歯車のウエビング引出方向回転で係合する突起で
あるので、簡単な構造で一体化手段を構成し、大径太陽
歯車のウエビング巻取方向回転又は小径太陽歯車のウエ
ビング引出方向回転で大径太陽歯車と小径太陽歯車とを
一体的に回転させることができ、部品点数も増加しな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置を示す図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置の小径太陽歯車体を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置の遊星歯車体を示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置の回転体を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置がリデュースオフ状態となったときを示す概略構成図
である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置において図7に示す状態からウエビングを巻き取った
状態を示す概略構成図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取装
置において図8に示す状態からさらにウエビングを巻き
取った状態を示す概略構成図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置において図9に示す状態からさらにウエビングを巻
き取った状態を示す概略構成図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置がリデュースオン状態となったときを示す概略構成
図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置において図11に示す状態からウエビングを引き出
した状態を示す概略構成図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置において図11に示す状態からウエビングを巻き取
った状態を示す概略構成図である。
【図14】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置において図13に示す状態からさらにウエビングを
巻き取った状態を示す概略構成図である。
【図15】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置において図14に示す状態からさらにウエビングを
巻き取った状態を示す概略構成図である。
【図16】本発明の一実施の形態に係るウエビング巻取
装置において図15に示す状態からさらにウエビングを
巻き取った状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】 10 ウエビング巻取装置 26 回転軸(巻取軸) 30 小径太陽歯車 36 突起(一体化手段) 40 キャリア(支持体) 46 遊星歯車体 48 突起(一体化手段) 52 小径遊星歯車 54 大径遊星歯車 64 捩じりコイルスプリング(停止手段) 66 ソレノイド(停止手段) 68 プランジャ(停止手段) 76 ゼンマイばね(付勢手段) 82 停止手段 84 大径太陽歯車

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 付勢手段による巻取付勢力を受けて回転
    する大径太陽歯車と、 前記大径太陽歯車と同軸的に相対回転可能とされ、ウエ
    ビングを巻き取る巻取軸が連結された小径太陽歯車と、 前記大径太陽歯車及び前記小径太陽歯車に設けられ、大
    径太陽歯車のウエビング巻取方向回転又は小径太陽歯車
    のウエビング引出方向回転で大径太陽歯車と小径太陽歯
    車とを一体的に回転させる一体化手段と、 前記大径太陽歯車と噛み合う小径遊星歯車と、前記小径
    太陽歯車と噛み合う大径遊星歯車と、が同軸的に固定さ
    れ、大径太陽歯車の回転角速度よりも速い回転角速度で
    小径太陽歯車を回転させる遊星歯車体と、 前記遊星歯車体を回転可能に、且つ前記大径太陽歯車の
    軸回りに公転可能に支持する支持体と、 乗員の前記ウエビング装着後に前記支持体による前記遊
    星歯車体のウエビング巻取方向の公転を停止させる停止
    手段と、 を有することを特徴とするウエビング巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記一体化手段が、前記大径太陽歯車と
    前記小径太陽歯車との対向面のそれぞれに形成され、大
    径太陽歯車のウエビング巻取方向回転又は小径太陽歯車
    のウエビング引出方向回転で係合する突起であることを
    特徴とする請求項1に記載のウエビング巻取装置。
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