JPH1140862A - コバルトアンチモナイド系熱電材料の製造方法 - Google Patents

コバルトアンチモナイド系熱電材料の製造方法

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JPH1140862A
JPH1140862A JP9195854A JP19585497A JPH1140862A JP H1140862 A JPH1140862 A JP H1140862A JP 9195854 A JP9195854 A JP 9195854A JP 19585497 A JP19585497 A JP 19585497A JP H1140862 A JPH1140862 A JP H1140862A
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melt
thermoelectric material
sintering
cosb
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Hamazou Nakagawa
浜三 中川
Akio Kasama
昭夫 笠間
Hisao Tanaka
久男 田中
Motomu Taniguchi
求 谷口
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YAMAGUCHI PREF GOV SANGYO GIJU
YAMAGUCHI PREF GOV SANGYO GIJUTSU KAIHATSU KIKO
Original Assignee
YAMAGUCHI PREF GOV SANGYO GIJU
YAMAGUCHI PREF GOV SANGYO GIJUTSU KAIHATSU KIKO
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コバルトアンチモナイド(CoSb3)系熱電
材料を製造するに際して、酸素や容器材料等の不純物が
混入し易い粉砕工程がなく、かつ熱処理又は焼結時間の
短縮が可能な新しい製造方法を提供する。 【解決手段】 原料を溶解して所定組成の融液にする工
程と、この融液を微粒化し急冷凝固させて粉末を製造す
る工程と、この粉末を温度300〜850℃、圧力2M
Pa以上で加圧焼結して焼結体を製造する工程とを具備
することを特徴とするCoSb3系熱電材料の製造方
法。また、前記の粉末の製造をガスアトマイズ法または
回転円板あるいは回転ドラムを用いた微粒化方法により
行なう。さらに、前記の加圧焼結をプラズマ放電焼結法
により行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電発電や熱電冷
却に用いることができる熱電材料の製造方法に関し、と
くにコバルトアンチモナイド(CoSb3)系化合物か
らなる熱電材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電材料は、ゼーベック効果により熱を
直接電気に変換する熱電発電、及びペルチェ効果による
熱電冷却に用いることができる材料であって、広汎な利
用が期待されることから、近年その研究が活溌に行われ
ている。
【0003】従来から熱電材料として、ビスマス・テル
ル系、鉛テルル系、ゲルマニウム・シリコン系、鉄シリ
コン系等の材料が用いられてきたが、熱電変換効率の点
でさらなる改善が望まれている。そのため、新しい熱電
材料として、近年コバルトアンチモナイド(以下、Co
Sb3と記す)系化合物が注目されている。
【0004】これは、スクッテルダイト型結晶構造を有
するCoSb3、又はその構成元素Co又は/及びSb
の一部を他の元素で置換したもので、例えば特開平8−
186294号公報には、Coの一部(組成比Xで0.
001〜0.2)をPd、Rh、Ruの一種以上で置換
した置換型化合物Co1-xxSb3からなる熱電材料が
開示されている。また、Coの一部をPd及びPtで置
換した熱電材料に関する報告もある(第44回応用物理
学関係連合講演会講演予稿集No.1,p.82,19
97)。
【0005】このような熱電材料を製造する方法とし
て、従来は所定の組成に配合した元素粉末を混合・粉砕
した後、加圧焼結して焼結体を製造するいわゆる粉末冶
金法が一般的に用いられてきた。粉末冶金法には、プリ
メルトして得た所定の組成のインゴットを粉砕して粉末
とし、これを加圧焼結する場合もある。また、チョクラ
ルスキー法に代表されるような、所定組成の原料融液か
ら一方向凝固法によって単結晶を育成する、単結晶育成
法も採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の粉末冶
金法では、粉砕・混合工程で混入する不純物が多く、こ
れが熱電特性を低下させることが少くない。とくにCo
Sb3系熱電材料においては、熱電性能に及ぼす微量不
純物の影響が大きいため好ましくない。
【0007】また、CoSb3系化合物は、Co(又は
その置換元素)とSbが反応して、スクッテルダイト型
結晶構造を形成することにより良好な熱電特性が得られ
るものであるが、従来の粉末冶金法では、原料粉末を相
互に反応させるのに長時間を要する。例えば、CoとS
bの反応に600℃で50時間若しくはそれ以上の焼結
時間を必要としていた。
【0008】一方、単結晶育成法では、単結晶の成長速
度に限界があり生産性が上げられないという問題があ
る。またCoSb3系熱電材料においては、Sbが過剰
なCo−Sb融液からしか単結晶を育成できないため、
製品の収率が低いという問題がある。さらに、固液界面
の移動速度を大きくするとSb相が混入するため、結晶
の成長速度すなわち生産性を上げられないことも問題で
ある。
【0009】本発明は、上記のような従来技術の問題点
に鑑み、CoSb3系熱電材料を製造するに際して、酸
素や容器材料等の不純物が混入し易い粉砕工程がなく、
かつ熱処理又は焼結時間の短縮が可能な新しい製造方法
を提供することを目的とする。また、これによりCoS
3系熱電材料製造時の生産性と収率を高め、製造コス
トの低減に寄与することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者らは、C
oSb3系熱電材料を製造するに際して、原料を溶解し
て所定組成の融液にし、これを急冷凝固させて凝固組織
を微細にすることにより、上述のようなCoSb3系化
合物を生成させるため反応時間(熱処理時間又は焼結時
間)を大幅に短縮しうることを見出した。
【0011】この知見に基づく本発明の要旨は、 (1)CoSb3系化合物からなる熱電材料の製造方法で
あって、原料を溶解して所定組成の融液にする工程と、
この融液を微粒化し急冷凝固させて粉末を製造する工程
と、この粉末を温度300〜850℃、圧力2MPa以
上で加圧焼結して焼結体を製造する工程とを具備するこ
とを特徴とするCoSb3系熱電材料の製造方法であ
る。
【0012】ここで、CoSb3系化合物とは、一般式
Co1-xx(Sb1-yy)3(ここで、MはCoとの置換
元素でPd,Rh,Ru,Pt,Ir,Ni,Feのう
ちの一種以上を含みx=0〜0.3、NはSbとの置換
元素でSe,Te,Sn,Ge,Pb,P,As,Bi
のうちの一種以上を含みy=0〜0.3)で表わされる
化合物をいう。
【0013】(2)前記の粉末の製造をガスアトマイズ法
により行なうことを特徴とする前項(1)記載のCoSb
3系熱電材料の製造方法である。
【0014】(3)前記の粉末を製造する工程において、
前記融液を回転円板又は回転ドラムの表面に流下させ遠
心力により微粒化することを特徴とする前項(1)記載の
CoSb3系熱電材料の製造方法である。
【0015】(4)前記の加圧焼結をプラズマ放電焼結法
により行なうことを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれ
かに記載のCoSb3系熱電材料の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明におけるCoSb3系熱電
材料は、一般的にはスクッテルダイト型結晶構造を有す
る前記のCoSb3系化合物からなり、不可避的不純物
と必要に応じて微量の添加不純物を含むものである。
【0017】本発明のCoSb3系熱電材料の製造方法
は、原料を溶解して所定組成の融液にする工程と、この
融液を微粒化し急冷凝固させて粉末を製造する工程と、
この粉末を加圧焼結して焼結体を製造する工程とを具備
することを特徴とする。
【0018】本発明において、所定組成の融液を微粒化
し、急冷凝固させて粉末を製造する理由は、単に原料の
粉砕工程を省略するためだけでなく、すでに述べたよう
にCoとSbの反応時間を短縮するためである。
【0019】すなわち、CoとSbの元素粉末を混合
し、焼結させた場合には、CoとSbが拡散して均一な
CoSb3相を形成するのに、かなり長時間の熱処理を
必要とする。また、CoSb3組成の融液を徐冷して凝
固させた場合は、CoSb3相以外に多量のCoSb2
CoSb、Sb相を含み、それぞれの相のサイズが大き
いため、これをCoSb3のみの相(以下、単一相とい
うことがある)にするのに、かなり長時間の熱処理を必
要とする。
【0020】これに対して、上記の融液を微粒化し急冷
凝固させて粉末にした場合は、凝固組織がきわめて細か
いため、比較的短時間の熱処理(又は焼結処理)によ
り、スクッテルダイト型結晶構造を有するCoSb3
を形成させて、良好な熱電特性を有する材料を得ること
ができる。
【0021】この目的のために、融液を微粒化して得た
粉末の粒径は300μm以下であることが望ましく、さ
らに好ましい粒径の範囲は100μm以下である。この
ため、粉末製造工程で得られた粉末を篩分し、粗粒を除
いたものを加圧焼結してもよい。
【0022】なお、前記のCoSb3系化合物の元素M
はCoの一部と置換し、元素NはSbの一部と置換して
スクッテルダイト型結晶構造を形成するもので、Mの組
成比xおよびNの組成比yが0〜0.3の範囲では、凝
固した合金鋳片が混合相からなり、これを熱処理するこ
とにより、Co1-xx(Sb1-yy)3型の単一相が形成
されることは上記と同じである。
【0023】溶解する原料は粉末であっても、インゴッ
トであってもよく、また各元素を所定の組成に配合して
も、或いはプリメルトした合金状態のものを用いてもよ
い。Co−Sb系の相図からわかるように、原料を完全
に溶解し、均一化するためにCoSb3の融点より少し
高い1050℃以上(好ましくは1100℃以上)に原
料を加熱し、溶解後好ましくは5分間以上保持するとよ
い。このように原料を予め溶解することにより、原料中
の低沸点物や酸化物が蒸発又は浮上分離して高純化され
るという利点がある。
【0024】前述したように、急冷凝固させて得た粉末
はCoSb3又はその置換型化合物の単一相を形成させ
る熱処理時間が短いため、この熱処理を通常の焼結工程
において行うことができ、これにより製造工程の簡略化
を図ることができる。このため、本発明において焼結体
の製造は、温度300〜850℃、圧力2MPa以上で
加圧焼結することによって行う。
【0025】加圧焼結時の温度の下限を300℃とする
のは、これ未満では、CoとSbの拡散速度及び反応速
度が著しく小さくなって実用的でないためであり、温度
の上限を850℃とするのは、これを超えるとCoSb
3相又はCo1-xx(Sb1-yy)3相が分解するおそれが
あるためである。また、圧力の下限を2MPaとするの
は、これ未満では焼結体中の気孔率が十分低下せず、そ
の機械的強度が低くなるためである。
【0026】さらに好適な加圧焼結の条件は、温度55
0〜700℃、圧力10MPa以上の範囲で、この範囲
では5時間程度以下の加圧焼結時間で、確実にCoSb
3等の単一相を形成させかつ所定の機械的強度を有する
焼結体を得ることができる。
【0027】加圧焼結の方法についてはとくに制約はな
く、例えばホットプレスや熱間等方加圧(HIP)処理
により行えばよい。また、後述するようにプラズマ放電
焼結法によって、加圧焼結の時間を大幅に短縮すること
も可能である。
【0028】なお、本発明において、加圧焼結の時間が
著しく短く、この間にCoSb3又はその置換型化合物
の単一相の生成率が十分大きくならない場合には、加圧
焼結の前又は後に、300〜850℃に所定時間保持す
る熱処理工程を付加してもよい。ただし本発明の方法
は、単一相を形成する反応時間を短縮しうることが特徴
であるから、焼結及び熱処理の時間を従来より大幅に短
縮しうることに変わりはない。
【0029】請求項2記載の本発明は、前記の粉末の製
造をガスアトマイズ法により行うことを特徴とする。C
oSb3系熱電材料は酸素の混入により熱電特性が著し
く低下するから、水アトマイズ法によるのは好ましくな
い。アトマイズ用のガスには、アルゴン、ヘリウム等の
不活性ガスで高純度のものを用いればよい。
【0030】ガスアトマイズの方法についてはとくに制
約はなく、通常の方法例えば融液供給ノズルの下方に高
圧ガス噴射ノズルを配して行うような方法によればよ
く、前述したような粒径の粉末が得られるように、高圧
ガスの噴射条件を選択すればよい。
【0031】なお、本発明者らの知見によれば、融液供
給ノズルの先端で凝固しない程度にノズル先端を加熱す
るか、融液温度をさらに高く(例えば1400℃程度
に)することが好ましい。また、凝固時の冷却速度を大
きくして、微細な凝固組織を有する粉末を得るために、
熱伝導度の大きいヘリウムガスを用いたり、冷却板に微
粒化した融液粒滴を吹き付けることも有効である。
【0032】請求項3記載の本発明は、粉末を製造する
工程において、融液を回転円板又は回転ドラムの表面に
流下させ遠心力により微粒化することを特徴とする。こ
のような方法は、溶融金属の微粒化方法又は非晶質金属
の製造方法として周知のものであるから、本発明におい
てもこれと同様な方法を用いればよい。
【0033】例えば、高速で回転する金属製(とくに銅
製又は水冷銅製)の円板又はドラムの表面に融液を流下
させ、飛散して凝固した粉状、薄片状、繊維状のもの
を、そのまま或いは軽粉砕して用いればよい。この微粒
化の工程は、密閉容器内で不活性ガス雰囲気下で行うこ
とが望ましく、また、飛散した融液粒滴を冷却板に衝突
させて、その冷却速度を増大させることも有効である。
【0034】このような微粒化の方法は、凝固時の冷却
速度を著しく大きくできることが特徴であり、きわめて
微細な凝固組織を有する或いは原子レベルで均質な組成
を有する粉末を得ることが可能で、これにより前述した
単一相形成のための熱処理時間を大幅に短縮することが
できる。
【0035】本発明においては、焼結体の製造をプラズ
マ放電焼結法により行うことが望ましい。プラズマ放電
焼結法が望ましい理由は、加圧焼結の時間を短縮でき、
これにより粒成長が抑制され、微細な結晶粒からなる焼
結体が得られるためである。また、焼結時にプラズマ放
電により粒界がクリーンになることが期待される。
【0036】プラズマ放電焼結の方法は通常の方法、例
えば黒鉛製ダイス内に粉末を充填し、黒鉛製パンチで上
下からプレスする際に、このパンチに電極を配して通電
するような方法によればよく、10〜200kW/cm
2程度の入力密度にすればよい。なお、プラズマ放電焼
結においても、温度300〜850℃、圧力2MPa以
上にすることは前記と同じである。
【0037】
【実施例】CoSb3の熱電材料を製造するに際して、
同一の原料から下記の4種の工程で焼結体を製造し、焼
結体の性状および熱電特性を調査した。 実施例1:原料溶解−アトマイズ−ホットプレス焼結 実施例2:原料溶解−アトマイズ−プラズマ放電焼結 比較例1:原料−混合・粉砕−ホットプレス焼結 比較例2:原料溶解−インゴット−粉砕−ホットプレス
焼結。
【0038】原料として、純度99.9985%のCo
粉末と99.999の%粒状Sbをモル比で1:3に配
合したものを用いた。原料の溶解は、アルミナ製るつぼ
内で1100℃まで高周波加熱することによって行なっ
た。アトマイズは、原料の融液をノズルから流出させ、
高圧ガスノズルから6MPaの背圧で噴射したアルゴン
ガスを融液流に吹き付けてコバルト−アンチモンの合金
粉末を製造した。
【0039】比較例1においては、前記の原料を遊星ボ
ールミルで約5時間粉砕して合金粉末を得た。また、比
較例2においては、前記と同じ方法で得た原料融液を鋳
型内で凝固させてインゴットとし、これを粗砕後、比較
例1と同様に粉砕して合金粉末とした。
【0040】焼結体の製造に用いたホットプレスは通常
の形式のもので、70×70×10mmの焼結体を製造
した。また、実施例2のプラズマ放電焼結は、住石放電
プラズマ焼結機DR.SINTER(住友石炭鉱業(株)
製、形式SPS−1020)を用い、電流密度約200
A/cm2で、上記とほぼ同サイズの焼結体を製造し
た。
【0041】表1に、焼結前の粉末の平均粒径、焼結条
件、焼結体の気孔率、CoSb3化合物の生成率および
熱起電力(ゼーベック係数)の測定結果を示す。CoSb
3生成率は、XRD、EPMA、赤外線吸収法による酸
素分析およびICP法による不純物分析により測定し
た。
【0042】また、ゼーベック係数は、2×2×15m
mに切り出した試料片の両端部にPt−PtRh熱電対
線を付け、昇温炉中でこの試料片に5〜6℃の温度差を
つけて発生する熱起電力を測定し、これを試験片の温度
差で除することによって求めた。
【0043】表1において、アトマイズ法で製造した粉
末(実施例1及び2)の平均粒径は約50μmと比較的
大きい。しかし、顕微鏡観察により、この粉末粒子は微
細な凝固組織を有し、1μm程度の結晶粒の集合体であ
ることが知れた。
【0044】このため、アトマイズ粉末の場合、CoS
3相を形成するための反応時間が短く、実施例1のホ
ットプレスでは、600℃、2時間でCoSb3生成率
が99%以上になった。また、実施例2のプラズマ放電
焼結ではさらに反応時間を短縮することができ、500
℃、0.25時間でCoSb3生成率が99%以上にな
った。
【0045】
【表1】
【0046】一方、粉砕法で製造した粉末(比較例1及
び2)の平均粒径は約10μmと比較的小さいが、それ
ぞれが単一の結晶粒からなっているため、CoSb3
を形成するための反応時間が長い。とくに比較例1で
は、Sbは粉砕され易いがCoが粉砕されにくく、10
0μm程度のCo粒子が残存しているため、ホットプレ
スで600℃、10時間焼結しても、CoSb3生成率
は約90%と低かった。
【0047】また、比較例2では粉砕は容易であるが、
インゴット内にSb、CoSb、CoSb2相の大型の
結晶粒が形成されているため、粉砕後の粉末粒子も異な
った組成を有し、600℃で10時間ホットプレスして
も、CoSb3生成率は約95%であった。
【0048】CoSb3熱電材料の熱起電力(ゼーベック
係数S)は、CoSb3生成率に顕著に依存するため、C
oSb3生成率が99%以上の実施例1及び2ではSの
値が高いのに対して、比較例1及び2ではSの値が著し
く低下した。なお、高純度のCoSb3熱電材料のゼー
ベック係数Sは正の値で、p型半導体の性質を示す。
【0049】次ぎに、置換型化合物であるCo0.97Pd
0.03Sb3およびCo0.90Pd0.05Pt0.05Sb3につい
ても、製造工程を変えて、上記と同様に焼結体の性状お
よび熱電特性を調査した。実施例3、4は上記実施例1
と同じ工程で、比較例3、4は上記比較例1と同じ工程
で焼結体を製造した。
【0050】原料として、上記のCo粉末および粒状S
bの他に,共に純度99.999%のPdおよびPt粉
末を用い、これを所定の組成に配合した。溶解とアトマ
イズの条件および粉砕の条件も上記と同様にした。
【0051】表2に、これらの化合物についての焼結前
の粉末の平均粒径、焼結条件、焼結体の気孔率、Co
1-xxSb3化合物の生成率および熱起電力(ゼーベック
係数)の測定結果を示す。
【0052】
【表2】
【0053】表2に見られるように、Co0.97Pd0.03
Sb3化合物(実施例3)及びCo0.90Pd0.05Pt
0.05Sb3化合物(実施例4)においても、アトマイズ
法で製造した粉末は、600℃で2時間ホットプレスす
ると、Co1-xxSb3生成率が99%以上になり、熱
起電力の大きい熱電材料が得られることが確められた。
【0054】これに対して、原料をそのまま粉砕した粉
末(比較例3及び4)では、600℃で10時間ホット
プレスしても、Co1-xxSb3生成率が90%程度
で、熱起電力が著しく低下した。なお、これらの化合物
はゼーベック係数Sの値が負で、n型半導体の性質を示
すので、Sの絶対値が大きい方が熱起電力が大きい。
【0055】
【発明の効果】本発明のCoSb3系熱電材料の製造方
法によれば、CoSb3又はその置換型化合物の単一相
を形成するための反応時間の大幅な短縮が可能となり、
従来の粉末冶金法のような粉砕工程や熱処理工程を必要
とせず、かつ焼結時間を短縮することが可能になった。
これにより、製造工程の簡略化と生産性向上による製造
コストの低減が図れるようになった。
【0056】また、本発明の方法によれば、従来の粉末
冶金法のような粉砕工程における酸素や容器材料の混入
がなくなり、また従来の単結晶育成法と比較しても、る
つぼに原料融液を保持する時間が短いため、るつぼから
の不純物の混入を少くすることが可能となり、高純度で
熱電特性の良好な熱電材料を製造することが容易になっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 求 山口県宇部市大字沖宇部573番地の3 株 式会社超高温材料研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式Co1-xx(Sb1-yy)3(ここ
    で、MはCoとの置換元素でPd,Rh,Ru,Pt,
    Ir,Ni,Feのうちの一種以上を含みx=0〜0.
    3、NはSbとの置換元素でSe,Te,Sn,Ge,
    Pb,P,As,Biのうちの一種以上を含みy=0〜
    0.3)で表わされる化合物からなる熱電材料の製造方
    法であって、原料を溶解して所定組成の融液にする工程
    と、この融液を微粒化し急冷凝固させて粉末を製造する
    工程と、この粉末を温度300〜850℃、圧力2MP
    a以上で加圧焼結して焼結体を製造する工程とを具備す
    ることを特徴とするコバルトアンチモナイド系熱電材料
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記の粉末の製造をガスアトマイズ法に
    より行なうことを特徴とする請求項1記載のコバルトア
    ンチモナイド系熱電材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記の粉末を製造する工程において、前
    記融液を回転円板又は回転ドラムの表面に流下させ遠心
    力により微粒化することを特徴とする請求項1記載のコ
    バルトアンチモナイド系熱電材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記の加圧焼結をプラズマ放電焼結法に
    より行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載のコバルトアンチモナイド系熱電材料の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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