JPH1140164A - 正極活物質添加剤、それを配合してなる正極活物質、及びそれを用いる電池 - Google Patents

正極活物質添加剤、それを配合してなる正極活物質、及びそれを用いる電池

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JPH1140164A
JPH1140164A JP9199726A JP19972697A JPH1140164A JP H1140164 A JPH1140164 A JP H1140164A JP 9199726 A JP9199726 A JP 9199726A JP 19972697 A JP19972697 A JP 19972697A JP H1140164 A JPH1140164 A JP H1140164A
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照雄 梅本
Kenji Adachi
健二 足達
Masayuki Harada
昌之 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−フルオロピリジニウム塩を正極活物質と
する電池において、電池特性の高性能化を可能にし、毒
性並びに腐食性の著しく低い正極活物質添加剤及び正極
活物質、並びにこれを用いる電池を提供すること。 【解決手段】 ハロアルカン、ハロアルケン、N−ハロ
アミド及びN−ハロイミドからなる群より選ばれた少な
くとも1種のハロ化合物からなる正極活物質添加剤。N
−フルオロピリジニウム塩に、ハロアルカン、ハロアル
ケン、N−ハロアミド及びN−ハロイミドからなる群よ
り選ばれた少なくとも1種のハロ化合物が配合されてな
る正極活物質及びこれを用いる電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気エネルギーを
発生させるために用いる正極活物質添加剤、それを配合
してなる正極活物質、及びそれを用いる電池に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】電池は、民生用の簡便な電気エネルギー
源として、或いは、高度の機器の重要なエネルギー源と
して必要不可欠なものであり、要求される性能に応じて
多種多様な種類のものが研究、開発されている。
【0003】また、コードレスの電子電気機器がますま
す普及している状況のもと、より高エネルギー密度の電
池が要求されている。さらに、自然環境の保護の面か
ら、環境受容性の高い電池が要求されている。
【0004】従来より、高エネルギー密度を有する電池
としては、負極としてリチウムを用いるリチウム電池や
リチウム化合物を用いるリチウムイオン電池などが知ら
れている。
【0005】一般に、このような電池の正極活物質とし
ては、二酸化マンガン、二酸化コバルト、五酸化バナジ
ウム、リチウム酸化マンガン及びリチウム酸化コバルト
などの重金属酸化物類、ヨウ素、塩化チオニル及びフッ
化黒鉛などの無機化合物類、ポリアニリン、ポリピロー
ル及びポリチオフェンなどの有機ポリマー類等が用いら
れている。
【0006】しかしながら、前述の重金属酸化物類は、
通常、溶媒に溶けないため、成型や加工などが容易であ
るとは言い難い。また、前述の無機化合物類は、毒性の
化合物であったり、または自然環境保護の面から好まし
くない(即ち、環境受容性の低い)重金属を有していた
り、さらに、例えばフッ化黒鉛のようにイオン伝導性及
び電子伝導性が全くないため、電池製造時における数々
の問題点を有しており、かつ二次電池になりえないもの
であった。また、前述の有機ポリマー類は、この有機ポ
リマーだけでは、高起電力の正極材料とはなりえないた
めに、いわゆるドーピング工程や充電工程が必要であ
り、電池の製造工程等が複雑化し、さらに、一般に、正
極活物質としてこの種のポリマーを合成する場合には電
解重合法を用いるが、この方法によれば、このポリマー
は電極上にしか形成できないため、様々な要求に対応し
うる種々の電池を製造する上で大きな制限を受ける。
【0007】このように、従来の高起電力及び高エネル
ギーを有する電池に用いられる正極活物質は、様々な問
題点を有しているものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらの欠点を解消す
る手段として、本発明者は、前述した環境受容性、起電
力、エネルギー密度などの点において満足のいく電池を
容易に製造しうるN−F結合を有する化合物を正極活物
質として用いる方法を見出した(特開平7−6756号
参照)。
【0009】さらに、本発明者は、正極活物質として、
N−F結合を有する化合物の中で、N−フルオロピリジ
ニウム塩を含む電池において、より高性能の電池を得る
ための添加剤として、ハロゲン、ハロゲン間化合物、ポ
リハロゲン化物、及び反応によりその場で前記ハロゲ
ン、ハロゲン間化合物及びポリハロゲン化物を発生しう
る化合物を見出した〔特願平8−203497号及び日
本化学会第72春季年会講演予稿集(II)、1299ペ
ージ、3K2 43(1997年)参照:以下、先の発
明と称することがある〕。
【0010】しかしながら、これらの添加剤は、高性能
の電池を得るための添加剤としての機能は優れているも
のの、毒性や腐食性の強い物質であったり、また、毒性
や腐食性の強いガス又は蒸気を発生する物質であるた
め、工業化しようとする場合、取り扱いや腐食等の観点
で現実に大きな制約があった。
【0011】本発明は、上述した従来の実情に鑑みてな
されたものであり、その目的は、正極物質としてN−フ
ルオロピリジニウム塩を含む電池において、電池特性の
高性能化を可能にし、毒性並びに腐食性の著しく低い正
極活物質添加剤、及びこれを配合してなる正極活物質、
並びにこれを用いる電池を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、毒性及び腐食
性の著しく低い特定のハロ化合物を正極活物質の添加剤
として使用することによって、電池特性(例えば、内部
抵抗、放電容量等)に優れると共に、毒性や腐食性が小
さく環境受容性の高い正極活物質を製造できることを見
いだした。
【0013】即ち、本発明は、N−フルオロピリジニウ
ム塩を含む正極活物質への添加剤であって、ハロアルカ
ン、ハロアルケン、N−ハロアミド及びN−ハロイミド
からなる群より選ばれた少なくとも1種のハロ化合物か
らなる正極活物質添加剤(以下、本発明の添加剤と称す
る。)に係るものである。
【0014】また、本発明は、正極活物質としてのN−
フルオロピリジニウム塩にハロアルカン、ハロアルケ
ン、N−ハロアミド及びN−ハロイミドからなる群より
選ばれた少なくとも1種のハロ化合物を配合されてなる
正極活物質(以下、本発明の正極活物質と称する。)に
係るものである。
【0015】さらに、本発明は、本発明の正極活物質を
用いた電池として、N−フルオロピリジニウム塩に、ハ
ロアルカン、ハロアルケン、N−ハロアミド及びN−ハ
ロイミドからなる群より選ばれた少なくとも1種のハロ
化合物が配合されてなる正極活物質を用いる電池(以
下、本発明の電池と称する、)に係るものである。
【0016】本発明の添加剤は、先の発明におけるハロ
ゲン、ハロゲン間化合物、ポリハロゲン化物等の添加剤
に比べて、優るとも劣らない程度の電池特性の高性能化
を実現すると共に、毒性並びに腐食性が著しく小さいの
で、これを用いて高性能電池を製造する場合、製造上の
安全性や取り扱いの問題、また、製造装置や電池ケース
の材質の問題、さらには、電池の安全性や保存性の問題
等、先の発明では大きな制約であった問題点を解決する
ことができる。
【0017】なお、本発明の電池において、前記正極活
物質は、正極活物質として有効なN−フルオロピリジニ
ウム塩がイオン構造からなっているので、電解質を兼ね
ることが可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の電池としては、例えば、
正極集電体/正極/電解質/セパレータ/負極からなる
電池を構成することができ、正極は正極活物質からなる
ものであり、負極は負極活物質からなるものである。
【0019】但し、正極活物質が電解質としての性能を
兼ね備えているときは、電解質が用いられない場合があ
り、また、正極と負極との界面が反応によって形成され
る保護膜などにより短絡しない場合は、セパレータが用
いられない場合もある。また、正極活物質が正極集電体
の働きをするときは、正極集電体が用いられない場合も
あり、また、負極集電体を用いると好都合なときは、負
極集電体を用いることができる。
【0020】本発明の正極活物質は、N−フルオロピリ
ジニウム塩にハロアルカン、ハロアルケン、N−ハロア
ミド及びN−ハロイミドからなる群より選ばれた少なく
とも1種のハロ化合物(以下、ハロ化合物と称すること
がある。)が配合されてなるものであり、さらに、内部
抵抗を下げるために、導電剤、極性化合物などを配合す
ることが好ましく、また、バインダー(結着剤)などを
配合してもよい。
【0021】なお、本発明に基づくN−フルオロピリジ
ニウム塩の正極反応は次の通りと予想される。
【化1】
【0022】次に、まず、本発明に用いることができる
N−フルオロピリジニウム塩について説明する。
【0023】N−フルオロピリジニウム塩として好まし
い化合物は、次の一般式(1)、(2)、(3)及び
(4)で表される化合物が挙げられる。
【化2】
【0024】ここで、前記一般式(1)、(2)、
(3)及び(4)において、隣接するR1 とR2 、R2
とR3 、R3 とR4 又はR4 とR5 は連結して、下記の
構造を形成していてもよい。 −CR6 =CR7 −CR8 =CR9 − また、前記一般式(3)において、隣接するR1'
2'、R2'とR3'、R3'とR4'又はR4'とR5'は連結し
て下記の構造を形成していてもよい。 −CR6'=CR7'−CR8'=CR9'
【0025】但し、前記各一般式及び前記構造におい
て、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7
8 、R9 、R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R
7'、R8'及びR9'は、少なくとも2つが同一であるか、
若しくは全てが異なる基であり、水素原子、ハロゲン原
子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル
基、又はその他、後述する置換基であってよい。)
【0026】前記置換基としては、例えば、炭素原子数
1〜15のアルキル基、又はハロゲン原子、水酸基、炭
素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数6〜10の
アリールオキシ基、炭素原子数1〜5のアシル基、炭素
原子数1〜5のアシルオキシ基及び炭素原子数6〜10
のアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の
置換基を有する炭素原子数1〜15のアルキル基、また
は、炭素原子数1〜15のアルケニル基、又はハロゲン
原子、炭素原子数6〜10のアリール基からなる群より
選ばれた少なくとも1種の置換基を有する炭素原子数1
〜15のアルケニル基、または、炭素原子数1〜15の
アルキニル基、又はハロゲン原子、炭素原子数6〜10
のアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の
置換基を有する炭素原子数1〜15のアルキニル基、ま
たは、炭素原子数6〜15のアリール基、又はハロゲン
原子、炭素原子数1〜5のアルキル基からなる群より選
ばれた少なくとも1種の置換基を有する炭素原子数6〜
15のアリール基、または、炭素原子数1〜15のアシ
ル基、又はハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜1
5のアシル基、または、炭素原子数2〜15のアルコキ
シカルボニル基、又はハロゲン原子、炭素原子数6〜1
0のアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種
の置換基を有する炭素原子数2〜15のアルコキシカル
ボニル基、または、炭素原子数7〜15のアリールオキ
シカルボニル基、又はハロゲン原子、炭素原子数1〜5
のアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の
置換基を有する炭素原子数7〜15のアリールオキシカ
ルボニル基、または、炭素原子数1〜15のアルキルス
ルホニル基、又はハロゲン原子、炭素原子数6〜10の
アリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の置
換基を有する炭素原子数1〜15のアルキルスルホニル
基、または、炭素原子数6〜15のアリールスルホニル
基、又はハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基
からなる群より選ばれた少なくとも1種の置換基を有す
る炭素原子数6〜15のアリールスルホニル基、また
は、炭素原子数1〜15のアルキルスルフィニル基、又
はハロゲン原子、炭素原子数6〜10のアリール基から
なる群より選ばれた少なくとも1種の置換基を有する炭
素原子数1〜15のアルキルスルフィニル基、または、
炭素原子数6〜15のアリールスルフィニル基、又はハ
ロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基からなる群
より選ばれた少なくとも1種の置換基を有する炭素原子
数6〜15のアリールスルフィニル基、または、炭素原
子数1〜15のアルコキシ基、又はハロゲン原子、炭素
原子数6〜10のアリール基からなる群より選ばれた少
なくとも1種の置換基を有する炭素原子数1〜15のア
ルコキシ基、または、炭素原子数6〜15のアリールオ
キシ基、又はハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキ
ル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の置換基を
有する炭素原子数6〜15のアリールオキシ基、また
は、炭素原子数1〜15のアシルオキシ基、又はハロゲ
ン原子で置換された炭素原子数1〜15のアシルオキシ
基、または、炭素原子数1〜15のアシルチオ基、又は
ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜15のアシル
チオ基、または、炭素原子数1〜15のアルカンスルホ
ニルオキシ基、又はハロゲン原子、炭素原子数6〜10
のアリール基からなる群より選ばれた少なくとも1種の
置換基を有する炭素原子数1〜15のアルカンスルホニ
ルオキシ基、または、炭素原子数6〜15のアレーンス
ルホニルオキシ基、又はハロゲン原子、炭素原子数1〜
5のアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種
の置換基を有する炭素原子数6〜15のアレーンスルホ
ニルオキシ基、または、炭素原子数1〜5のアルキル基
で置換されたカルバモイル基、又は炭素原子数6〜10
のアリール基で置換された前記カルバモイル基、また
は、炭素原子数6〜10のアリール基で置換されたカル
バモイル基、又は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換
された前記カルバモイル基、または、炭素原子数1〜5
のアシル基で置換されたアミノ基、又はハロゲン原子で
置換された前記アミノ基、または、炭素原子数6〜15
のN−アルキルピリジニウム塩基、又はハロゲン原子、
炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数1〜5
のアルキル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の
置換基を有する前記N−アルキルピリジニウム塩基、ま
たは、炭素原子数11〜15のN−アリールピリジニウ
ム塩基、又はハロゲン原子、炭素原子数6〜10のアリ
ール基及び炭素原子数1〜5のアルキル基からなる群よ
り選ばれた少なくとも1種の置換基を有する前記N−ア
リールピリジニウム塩基、または、有機ポリマー鎖が挙
げられる。
【0027】また、前記R1 、R2 、R3 、R4
5 、R6 、R7 、R8 、R9 、R1'、R2'、R3'、R
4'、R5'、R6'、R7'、R8'及びR9'は、種々の組み合
わせが可能であって、互いに異なる原子(ヘテロ原子)
を介して、若しくは介さずに環構造を形成していてもよ
く、前記一般式(2)において、R1 、R2 、R3 、R
4、R5 、R6 、R7 、R8 及びR9 のうちの1つは、
下記一般式(a)で表される基である。
【化3】 (但し、前記一般式(a)において、Rは単結合、又は
炭素原子数1〜5のアルキレン基である。)
【0028】また、前記一般式(3)において、R1
2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 及びR9
うちの1つと、R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'
7'、R8'及びR9'のうちの1つとは、単結合で結合鎖
を形成している。
【0029】また、前記一般式(4)において、R1
2 、R3 、R4 及びR5 は、それらのうちの2つが単
結合で重合鎖を形成しており、前記一般式(4)で示さ
れる繰り返し単位は同種のものであってもよく異種のも
のであってもよい。
【0030】また、前記各式中、下記式Aで表される塩
【化4】 は、ブレンステッド酸の共役塩基である。
【0031】上記式Aで表される共役塩基を生成するブ
レンステッド酸としては、例えば、メタンスルホン酸、
ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスル
ホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼン
スルホン酸、トリニトロベンゼンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン
酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオク
タンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキエタン)ス
ルホン酸、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)
スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ジフルオロ
メタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、フ
ルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、カンファースル
ホン酸、ブロモカンファースルホン酸、Δ4 −コレステ
ン−3−オン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシ−p−
メンタン−2−スルホン酸、p−スチレンスルホン酸、
β−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、パーフル
オロ−3,6−ジオキサ−4−メチル7−オクテンスル
ホン酸などのスルホン酸;ポリ(ビニルスルホン酸)、
ポリ(p−スチレンスルホン酸)、ポリ(2−アクリル
アミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリ
(パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−
オクテンスルホン酸)、及びスチレン或いはテトラフル
オロエチレンとの共重合体であるポリ(スチレン−ビニ
ルスルホン酸)、ポリ(スチレン−スチレンスルホン
酸)、ポリ〔スチレン−(2−アクリルアミド−2−メ
チル−1−プロパンスルホン酸)〕、ポリ〔テトラフル
オロエチレン−(パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4
−メチル−7−オクテンスルホン酸)〕などのポリスル
ホン酸;硫酸、リン酸、硝酸などの鉱酸;フッ化水素、
フッ化水素酸、塩化水素、塩酸、過塩素酸、過臭素酸、
過ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸などのハロゲン酸;モノメ
チル硫酸、モノエチル硫酸などのモノアルキル硫酸;酢
酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタ
フルオロプロピオン酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸など
のカルボン酸;ポリアクリル酸、ポリ(パーフルオロ−
3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテン酸)、及
びこれらとテトラフルオロエチレンとの共重合体などの
ポリカルボン酸;HAlF4 、HBF4 、HB2 7
HPF6 、HSbF4 、HSbF6 、HSb2 11、H
AsF6 、HAlCl4 、HAlCl3 F、HAlF3
Cl、HBCl4 、HBCl3 F、HBBr3 F、HS
bCl6 、HSbCl5 Fなどのルイス酸とハロゲン化
水素との化合物;下記構造式(b)で表されるアリール
置換ホウ素化合物、
【化5】 又は、(FSO2 2 NH、(PhSO2 2 NH、
(CF3 SO2 2 NH、(C4 9 SO2 2 NH、
CF3 SO2 NHSO2 6 13、及び下記構造式
(c)で表される化合物などの酸性アミド化合物;
【化6】 又は、(FSO2 3 CH、(CF3 SO2 3 CH、
(PhOSO2 3 CH、(CF3 SO2 2 CH2
(C4 9 SO2 3 CH、(C8 17SO23 CH
などの炭素酸化合物などが挙げられる。
【0032】特に、安定性の高いN−フルオロピリジニ
ウム塩を用いるためには、前記式Aで表されるブレンス
テッド酸の共役塩基として、酢酸(pKa=4.56)
よりも酸性度の強いブレンステッド酸の共役塩基を使用
することが好ましい。
【0033】前記式Aで表されるブレンステッド酸の共
役塩基としては、例えば、 -BF4 -PF6 -As
6 -SbF6 -AlF4 -AlCl4 -Sb
Cl6 -SbCl5 F、 -Sb2 11 -2 7
-OClO3 -OSO2 F、 -OSO2 Cl、 -OS
2 OH、 -OSO2 OCH3 -OSO2 CH3 -
OSO2 CF3 -OSO2 CCl3 -OSO2 4
9 -OSO2 65 -OSO2 6 4
3 -OSO2 6 4 NO2 -N(SO2
3 2 などが特に好ましい。
【0034】次に、N−フルオロピリジニウム塩のう
ち、下記一般式(1)で表される化合物としては、例え
ば、置換基R1 、R2 、R3 、R4 及びR5 、さらには
ブレンステッド酸の共役塩基が、下記の表1〜表17に
示すものが好ましく挙げられるが、これらのみに限定さ
れるものではない。但し、表1〜表17において、kは
1〜10の整数、lは10〜100,000の整数、m
は10〜10,000の整数であり、p及びqは、それ
ぞれ正の整数であって1<p+q≦1000である。
【化7】
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
【表10】
【0045】
【表11】
【0046】
【表12】
【0047】
【表13】
【0048】
【表14】
【0049】
【表15】
【0050】
【表16】
【0051】
【表17】
【0052】次に、N−フルオロピリジニウム塩のう
ち、下記一般式(2)で表される化合物としては、例え
ば、置換基R1 、R2 、R3 、R4 、及びR5 が下記の
表18及び表19に示すものが好ましく挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【化7】
【0053】
【表18】
【0054】
【表19】
【0055】次に、N−フルオロピリジニウム塩のう
ち、一般式(3)で表される化合物としては、例えば、
置換基R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R 1’、
2’、R 3’、R 4’、R 5’及びブレンステッド酸
の共役塩基が、下記の表20及び21に示すものが好ま
しく挙げられるが、これらに限定されるものではない。
但し、表中「単結合」とは、単結合で結合されている結
合部位を示す。
【化8】
【0056】
【表20】
【0057】
【表21】
【0058】次に、N−フルオロピリジニウム塩のう
ち、前記一般式(4)で表される化合物としては、例え
ば、次の構造式(d−1)〜(d−19)で表される化合
物が好ましく挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。但し、nは任意の自然数であって、好ましくは
2以上である。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0059】前記一般式(4)で表される繰り返し単位
を含むN−フルオロピリジニウム塩含有重合体は、共重
合成分として無置換の若しくは置換基を有するフェニレ
ン、ナフタレンジイル、チオフェンジイル、ピロールジ
イル、フランジイルなどの単位が含まれていてもよい。
但し、前記置換基として好ましいものは、例えば、低級
アルキル基やハロゲン原子などが挙げられる。
【0060】また、前記N−フルオロピリジニウム塩含
有重合体は、異なるN−フルオロピリジニウム塩を共重
合成分とする2元又は3元以上の共重合体であってもよ
く、さらに、この共重合体に前記N−フルオロピリジニ
ウム塩以外の成分が1種類以上共重合されていてもよ
い。また、前記共重合体は、ブロック共重合体、ランダ
ム共重合体、或いはクラフト共重合体であってもよい。
【0061】前記N−フルオロピリジニウム塩含有重合
体が共重合体である場合、前記一般式(4)で示される
単位の含有率(モル分率)は、電池の電気容量の観点か
ら、少なくとも50%以上が好ましく、さらに好ましく
は60%以上である。また、前記一般式(4)で示され
る繰り返し単位を含むN−フルオロピリジニウム塩含有
重合体の平均分子量は、製造の容易さの点から、50
0,000までのものが好ましい。
【0062】さらに、このN−フルオロピリジニウム塩
含有重合体は、次の一般式(5)に相当するピリジン含
有重合体をブレンステッド酸、ブレンステッド酸塩及び
ルイス酸からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸又
は塩の存在下に、フッ素(F2 )と反応せしめることに
よって製造される。
【0063】この反応の際に、ピリジン含有重合体とフ
ッ素との反応が不完全なときは、下記一般式(5)で示
される単位及び/又は下記一般式(6)で示される単位
が前記N−フルオロピリジニウム塩含有重合体に含まれ
ており、また、下記式Bで表されるルイス酸を使用する
場合は、下記一般式(5)、下記一般式(6)及び/又
は下記一般式(7)で示される繰り返し単位が前記N−
フルオロピリジニウム塩含有重合体に含まれている。
【化14】
【0064】また、N−フルオロピリジニウム塩とし
て、構造式(組成式)が次の構造式(e)により示され
るN−フルオロピリジニウムピリジンヘプタフルオロジ
ボラートも挙げることができる。
【化16】
【0065】また、N−フルオロピリジニウム塩とし
て、構造式(組成式)が次の構造式(f)により示され
るN−フルオロピリジニウムピリジントリフルオロボロ
ンヒドロキシトリフルオロボラートも挙げることができ
る。
【化17】
【0066】なお、本発明において用いることができる
N−フルオロピリジニウム塩のうち、特に好ましい化合
物として、下記の一般式(1a)、一般式(2a)、一
般式(3a)及び一般式(4a)で表される化合物が挙
げられる。
【0067】
【化18】 〔但し、前記一般式(1a)において、R1a、R2a、R
3a、R4a及びR5aは、少なくとも2つが同じであるか、
または全て異なる基であり、それぞれが水素原子、低級
アルキル基、低級ハロアルキル基、ハロゲン原子、メチ
ル又はハロゲンの置換基を有する若しくは無置換のフェ
ニル基、低級アルコキシ基、低級アシル基、低級アシル
オキシ基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基又は
ニトロ基である。〕
【0068】
【化19】 〔但し、前記一般式(2a)において、R1a、R2a、R
3a、R4a及びR5aのうち1つが下記一般式(g)で表さ
れる基であり、その他は、少なくとも2つが同一若しく
は全てが異なる基であり、それぞれが水素原子、低級ア
ルキル基、低級ハロアルキル基又はハロゲン原子であ
る。
【化20】 (但し、前記一般式(g)においてrは0〜5の整数で
ある。)〕
【0069】ここで、前記一般式(1a)及び一般式
(2a)において、前記低級アルキル基、前記低級ハロ
アルキル基、前記低級アルコキシ基、前記低級アシル
基、前記低級アシルオキシ基及び前記低級アルコキシカ
ルボニル基の炭素原子数は1〜4の範囲内であり、前記
rが0〜2の整数であり、前記一般式(1a)において
下記の式A’で表されるブレンステッド酸の共役塩基
は、pKa=4.56以下のブレンステッド酸の共役塩
基がさらに好ましい。
【化21】
【0070】
【化22】 〔但し、前記一般式(3a)において、R1a、R2a、R
3a、R4a、R5a、R1a’、R2a’、R3a’、R4a’及び
5a’は、少なくとも2つが同じであるか又は全てが異
なる基であり、それぞれが水素原子、低級アルキル基、
低級ハロアルキル基、ハロゲン原子、メチル又はハロゲ
ンの置換基を有する若しくは無置換のフェニル基、低級
アルコキシ基、低級アシル基、低級アシルオキシ基、低
級アルコキシカルボニル基、シアノ基又はニトロ基であ
る。また、R1a、R2a、R3a、R4a及びR5aのうち
1つと、R1a’、R2a’、R3a’、R4a’及びR5a’の
うち1つとは、単結合で結合鎖を形成しており、前記式
Aで表されるブレンステッド酸の共役塩基は、pKa=
4.56以下のブレンステッド酸の共役塩基である。〕
【0071】なお、前記一般式(3a)において、前記
低級アルキル基、前記低級ハロアルキル基、前記低級ア
ルコキシ基、前記低級アシル基、前記低級アシルオキシ
基及び前記低級アルコキシカルボニル基の炭素原子数は
1〜4の範囲内であることが好ましい。
【0072】
【化23】 〔ここで、前記一般式(4a)において、R1a、R2a
3a、R4a及びR5aは、少なくとも2つが同一である
か、若しくは全てが異なる基であり、それぞれが水素原
子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1個の
ハロアルキル基、炭素原子数6〜8のアリール基又はハ
ロゲン原子である。また、R1a、R2a、R3a、R4a及び
5aは、これらのうち2つが単結合で重合鎖を形成し、
前記式A’で表されるブレンステッド酸の共役塩基は、
pKa=4.56以下のブレンステッド酸の共役塩基で
ある。〕
【0073】次に、上述した一般式(1)、(2)、
(3)及び(4)において、好ましい化合物を具体的に
列挙する。
【0074】まず、前記一般式(1)で表されるN−フ
ルオロピリジニウム塩としては、N−フルオロピリジニ
ウムトリフルオロメタンスルホナート、N−フルオロピ
リジニウムテトラフルオロボラート、N−フルオロピリ
ジニウムヘキサフルオロアンチモナート、N−フルオロ
ピリジニウムヘキサフルオロホスファート、N−フルオ
ロピリジニウムヘキサフルオロアルセナート、N−フル
オロ(メチル)ピリジニウムテトラフルオロボラート、
N−フルオロ(エチル)ピリジニウムテトラフルオロボ
ラート、N−フルオロ(プロピル)ピリジニウムテトラ
フルオロボラート、N−フルオロ(メトキシ)ピリジニ
ウムテトラフルオロボラート、N−フルオロジメチルピ
リジニウムテトラフルオロボラート、N−フルオロトリ
メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、
N−フルオロトリメチルピリジニウムテトラフルオロボ
ラート、N−フルオロシアノピリジニウムテトラフルオ
ロボラート、N−フルオロニトロピリジニウムテトラフ
ルオロボラート、N−フルオロクロロピリジニウムテト
ラフルオロボラート、N−フルオロジクロロピリジニウ
ムトリフルオロメタンスルホナート、又は、N−フルオ
ロジクロロピリジニウムテトラフルオロボラートなどが
特に好ましい。
【0075】次に、前記一般式(2)で表されるN−フ
ルオロピリジニウム塩としては、N−フルオロピリジニ
ウムスルホナート、N−フルオロクロロピリジニウムス
ルホナート、N−フルオロ(メチル)ピリジニウムスル
ホナート、N−フルオロ(トリフルオロメチル)ピリジ
ニウムスルホナート、又は、N−フルオロ(ジメチル)
ピリジニウムスルホナートなどが特に好ましい。
【0076】また、前記一般式(3)で表されるN−フ
ルオロピリジニウム塩としては、N,N’−ジフルオロ
ビピリジニウムビス(テトラフルオロボラート)、N,
N’−ジフルオロビピリジニウムビス(ヘキサフルオロ
ホスファート)、N,N’−ジフルオロビピリジニウム
ビス(ヘキサフルオロアルセナート)、N,N’−ジフ
ルオロビピリジニウムビス(ヘキサフルオロアンチモナ
ート)、N,N’−ジフルオロビピリジニウムビス(ト
リフルオロメタンスルホナート)、N,N’−ジフルオ
ロジメチルビピリジニウムビス(テトラフルオロボラー
ト)、N,N’−ジフルオロジクロロビピリジニウムビ
ス(テトラフルオロボラート)などが特に好ましい。
【0077】さらに、前記一般式(4)で表されるN−
フルオロピリジニウム塩としては、ポリ(N−フルオロ
ピリジニウムテトラフルオロボラート−ジイル)、ポリ
(N−フルオロピリジニウムヘキサフルオロホスファー
ト−ジイル)、ポリ(N−フルオロピリジニウムヘキサ
フルオロアルセナート−ジイル)、ポリ(N−フルオロ
ピリジニウムヘキサフルオロアンチモナート−ジイ
ル)、ポリ(N−フルオロピリジニウムトリフルオロメ
タンスルホナート−ジイル)、ポリ〔N,N’−ジフル
オロビピリジニウムビス(テトラフルオロボラート)−
ジイル〕、ポリ〔N,N’−ジフルオロビピリジニウム
ビス(ヘキサフルオロホスファート)−ジイル〕、ポリ
〔N,N’−ジフルオロビピリジニウムビス(ヘキサフ
ルオロアルセナート)−ジイル〕、ポリ〔N,N’−ジ
フルオロビピリジニウムビス(ヘキサフルオロアンチモ
ナート)−ジイル〕、ポリ〔N,N’−ジフルオロビピ
リジニウムビス(トリフルオロメタンスルホナート)−
ジイル〕、ポリ〔N,N’−ジフルオロジメチルビピリ
ジニウムビス(テトラフルオロボラート)−ジイル〕、
ポリ〔N,N’−ジフルオロジクロロビピリジニウムビ
ス(テトラフルオロボラート)−ジイル〕、ポリ〔N,
N’−ジフルオロジヘキシルビピリジニウムビス(テト
ラフルオロボラート)−ジイル〕などが特に好ましい。
【0078】本発明において用いられうる、N−フルオ
ロピリジニウム塩にハロ化合物を配合してなる正極活物
質、または電解質とを兼用する正極活物質は、固体状、
粉末状、フィルム状、又は液状でもよい。なお、前記ハ
ロ化合物は、それぞれ単独で、若しくは2種以上の混合
物として用いても構わない。
【0079】本発明で正極活物質添加剤として用いるハ
ロアルカンにおいては、少なくとも1個のヨウ素原子又
は臭素原子を有していることが好ましい。特に、少なく
とも1個のヨウ素原子を有していることが好ましい。ま
た、その炭素原子数は1〜10の範囲内が好ましい。
【0080】このハロアルカンを具体的に示すと、例え
ば、CH3 I、CH2 2 、CHI3 、CI4 、CH3
Br、CH2 Br2 、CHBr3 、CBr4 、CH2
rI、CHBr2 I、CBr3 I、CBr2 2 、CB
rI3 、C2 5 I、C2 4 2 、C2 2 4 、C
2 6 、C2 Br4 2 、C2 5 Br、C2 4 Br
2 、C2 Cl4 2 、C2 4 2 、C2 4 Br2
2 Br6 、C3 7I、C3 6 2 、C3
5 3 、C3 4 4 、C3 8 、C3 Br2 6 、C
3 Cl6 2 、C3 7 I、C3 6 2 、C4
9 I、C4 8 2 、C46 4 、C4 4 6 、C
4 2 8 、C4 10、C4 Br6 4 、C4 Cl6
4 、C4 6 4 、C5 102 、C6 122 、C7
142 、C8 162 、C9 182 、C10
202 、C5 8 2 (ジヨードシクロペンタン)、C
6 102 (ジヨードシクロヘキサン)、C7 122
(ジヨードシクロヘプタン)、C8 142 (ジヨード
シクロオクタン)、C9 162 (ジヨードシクロノナ
ン)、C10182 (ジヨードシクロデカン)などが挙
げられる。
【0081】また、本発明の正極活物質添加剤として用
いるハロアルケンにおいては、少なくとも1個のヨウ素
原子又は臭素原子を有していることが好ましい。特に、
少なくとも1個のヨウ素原子を有していることが好まし
い。また、その炭素原子数は1〜10の範囲内が好まし
い。
【0082】このハロアルケンを具体的に示すと、例え
ば、CH2 =CHI、CH2 =CI2 、CHI=C
2 、CI2 =CI2 、CHBr=CHI、CBrI=
CI2 、CBr2 =CI2 、CBr2 =CBrI、CB
2 =CBr2 、CIBr=CIBr、CCl2 =CC
lI、CClI=CClI、CI2 =CCl2 、CI2
=CICl、CHI=CICH3 、CHI=CICH2
I、CH2 =CHCH2 I、CI2 =CICH3 、CI
Br=CICH3 、CI3 CI=CI2 、CH2 ICH
=CHCH2 I、CH2 ICH=CHCH2 Br、CH
2 ICHICH=CH2 、CI3 CI=CICI3 、C
2 =CI−CI=CI2 、CH3 CI=CICH3
CH2 ICH=C(CH3 )CH2 I、CHI=CIC
3 7 、CHI=CIC4 9 、CHI=CIC
5 11、CHI=CIC6 13、CHI=CIC
7 15、CHI=CIC8 17
【化24】 などが挙げられる。
【0083】また、本発明で正極活物質添加剤として用
いるN−ハロアミドとしては、N−ヨードアミド、N−
ブロモアミド、N−クロロアミド等が挙げられるが、な
かでもN−ヨードアミド又はN−ブロモアミドが好まし
く、さらにはN−ヨードアミドが好ましい。また、その
炭素原子数は1〜10の範囲内が好ましい。
【0084】具体的な化合物としては、例えば、HCO
NHI、HCON(CH3 )I、CH3 CONHI、C
3 CON(CH3 )I、CH3 CON(CH3 )B
r、CH3 CON(CH3 )Cl、CH3 CON(C2
5 )I、CH3 CON(C37 )I、CH3 CON
(C4 9 )I、C2 5 CONHI、C2 5 CON
(CH3 )I、C3 7 CONHI、C3 7 CON
(CH3 )I、C4 9 CONHI、C5 11CONH
I、C6 13CONHI、C6 5 CON(CH3
I、C6 5 CON(C2 5 )I、C6 5 CON
(C3 7 )I、
【化25】 などが挙げられる。
【0085】また、本発明で正極活物質添加剤として用
いるN−ハロイミドとしては、N−ヨードイミド、N−
ブロモイミド、N−クロロイミド等が挙げられるが、な
かでもN−ヨードイミド又はN−ブロモイミドが好まし
く、さらにはN−ヨードイミドが好ましい。また、その
炭素原子数は1〜10の範囲内が好ましい。
【0086】具体的な化合物としては、例えば、CH3
CONICOCH3 、CH3 CONBrCOCH3 、C
3 CONClCOCH3 、CH3 CONICOC2
5 、C2 5 CONICOC2 5 、C3 7 CONI
COC3 7 、C4 9 CONICOC4 9
【化26】 、C6 5 CONICOCH3 、C6 4 (CO)2
I(N−ヨードフタルイミド)、C6 4 (CO)2
Br(N−ブロモフタルイミド)などが挙げられる。
【0087】次に、N−フルオロピリジニウム塩にハロ
化合物を配合する方法例を下記の方法(1)〜(3)に
ついて説明するが、これらの方法に限定されるものでは
ない。N−フルオロピリジニウム塩にハロ化合物を配合
してなる配合物は、例えば下記の方法単独で、若しくは
下記の方法の組み合わせにより製造しうる。
【0088】(1)N−フルオロピリジニウム塩にハロ
化合物を(必要ならばさらに他の成分を)、そして溶媒
及び/又は液体電解質を加えて、或いは加えないで、機
械的に配合することにより、前記配合物を製造すること
ができる。
【0089】機械的に配合させる具体的な方法の例とし
ては、剪断力により配合する方法、超音波を用いて配合
する方法、振動を与えることにより配合する方法などが
挙げられる。
【0090】より具体的には、剪断力により配合する方
法においては、乳鉢を用いて乳棒で砕きながら配合して
もよいし、攪拌棒で配合してもよい。また、超音波を用
いて配合する方法においては、超音波を当てながら攪拌
棒又は乳鉢を用いて乳棒により配合してもよい。また、
振動を与えることにより配合する方法においては、バイ
ブレータを当てて配合してもよいし、バイブレータで振
動を与えながら攪拌棒又は乳鉢を用いて乳棒により配合
してもよい。
【0091】なお、上述した機械的配合方法において、
後述する溶媒や液体電解質を適宜加えても構わない。
【0092】(2)ハロ化合物の一部若しくは全部を溶
媒や液体電解質に溶かし、これをN−フルオロピリジニ
ウム塩に添加し(必要ならばさらに他の成分を添加し)
配合させて、N−フルオロピリジニウム塩にハロ化合物
を配合してなる配合物を製造することができる。
【0093】前記溶媒は、ハロ化合物を少なくとも部分
的に溶解しうるものであることが望ましく、例えば、ア
セトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ニ
トロメタン、ニトロエタンなどのニトロアルカン類、ジ
エチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−
ジオキサン、1,3−ジオキソランなどのエーテル類、
酢酸メチル、酢酸メチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、γ
−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、炭
酸ジメチル、炭酸ジエチルなどのエステル類、ベンゼ
ン、トルエン、ハロベンゼン、ニトロベンゼンなどの芳
香族化合物類、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロ
ピルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、第2ブ
チルアルコール、第3ブチルアルコール、トリフルオロ
エタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、ノナフ
ルオロ−t−ブチルアルコールなどのアルコール類、水
など、或いはこれらの混合物が挙げられる。
【0094】また、前記液体電解質は、後述する液体電
解質を使用することができる。
【0095】前記配合物の具体的な配合方法としては、
例えば、ハロ化合物を前記溶媒や液体電解質に一部若し
くは全部を溶解させたのち、N−フルオロピリジニウム
塩と配合してもよいし、または、N−フルオロピリジニ
ウム塩とハロ化合物とを同一の容器内に加えて、好まし
くは機械的(物理的)に配合したのち、溶媒又は液体電
解質を加えてハロ化合物の一部若しくは全部を溶解、配
合することもできる。溶媒や液体電解質への溶解は、必
要に応じて加温下で行ってもよい。また、前記配合は、
上述した剪断力による配合、超音波を用いる配合、振動
を与える配合、或いはこれらの組み合わせにより達成さ
せることができる。
【0096】また、前記溶媒や液体電解質に、ハロ化合
物の一部若しくは全部を溶解させた後、N−フルオロピ
リジニウム塩に配合させる方法においては、ハロ化合物
の一部若しくは全部を溶解した溶媒や液体電解質を、N
−フルオロピリジニウム塩を含む正極活物質に含浸させ
てもよい。
【0097】(3)N−フルオロピリジニウム塩に(必
要ならばさらに他の成分とに)、ハロ化合物の蒸気にさ
らすことにより、N−フルオロピリジニウム塩にハロ化
合物を配合した配合物を製造することができる。
【0098】蒸気にさらす方法の例としては、密閉容器
にN−フルオロピリジニウム塩とハロ化合物とを共存さ
せ、必要に応じて加温或いは冷却しながら、ハロ化合物
の蒸気にさらして配合する方法、或いは、必要に応じて
窒素ガス、ヘリウムガス又はアルゴンガスなどの不活性
ガスとハロ化合物蒸気との混合ガスをN−フルオロピリ
ジニウム塩にさらす方法などが挙げられる。
【0099】次に、本発明においては、N−フルオロピ
リジニウム塩に対するハロ化合物の配合比〔モル比:ハ
ロ化合物/N−フルオロピリジニウム塩〕は、0.00
01〜0.5の範囲内にあることが好ましい。
【0100】前記配合比が0.0001より小さいと、
内部抵抗の上昇による電圧の低下が起こることがあり、
また、安定した放電が得られない傾向がある。また、前
記配合比が0.5より大きいと、電気容量の低下が発生
し、高エネルギー密度の電池を構成することが困難にな
ることがある。
【0101】前記配合比の範囲は、さらに、0.000
5〜0.3の範囲内にあることが好ましく、さらに、
0.0005〜0.2の範囲内にあることが好ましく、
さらに、0.001〜0.1の範囲内にあることが特に
好ましい。
【0102】また、本発明においては、N−フルオロピ
リジニウム塩にハロ化合物が配合されてなる正極活物質
に極性化合物からなる添加剤が配合されていることが望
ましいことがある。
【0103】特に、極性化合物を1種又は2種以上を前
記N−フルオロピリジニウム塩の重量に対し、0.5〜
30重量%配合することが好ましく、さらに好ましくは
0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%
配合させることにより、内部抵抗がより一層小さい正極
活物質としうる場合がある。
【0104】このような極性化合物としては、例えば、
ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニ
ルスルホン、1,3−ジオキソラン、γ−ブチロラクト
ン、スルホラン、メチルスルホラン、炭酸ジメチル、炭
酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プ
ロピレン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸
エチル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、
トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテ
トラヒドロフラン、ニトロメタン、ニトロエタン、ニト
ロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、
クロロジニトロベンゼン、フルオロジニトロベンゼン、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、
ピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート、ピリジ
ニウムテトラフルオロボラート、ピリジニウムヘキサフ
ルオロホスホナート、ピリジニウムヘキサフルオロアル
セナート、ピリジニウムヘキサフルオロアンチモナー
ト、2,6−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボラ
ート、3,5−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボ
ラート、2,4,5−トリメチルピリジニウムテラフル
オロボラートなどの極性有機化合物が挙げられる。
【0105】また、前記極性化合物として、例えば、リ
チウムトリフルオロメタンスルホナート、リチウムテト
ラフルオロボラート、リチウムヘキサフルオロホスファ
ート、リチウムヘキサフルオロアルセナート、リチウム
ヘキサフルオロアンチモナート、リチウムテトラクロロ
アルミナート、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウ
ム、過塩素酸カリウム、アンモニウムトリフルオロメタ
ンスルホナート、アンモニウムテトラフルオロボラー
ト、アンモニウムクロリド、ナトリウムトリフルオロメ
タンスルホナート、ナトリウムテトラフルオロボラー
ト、カリウムテトラフルオロボラート、セシウムテトラ
フルオロボラート、水、などの極性無機化合物を挙げる
ことができる。
【0106】次に、本発明において、N−フルオロピリ
ジニウム塩にハロ化合物が配合されてなる配合物を正極
活物質として用いた好ましい電池構造例及びその製造方
法例を下記の(I)及び(II)に説明する。勿論、これ
らの構造や製造方法に限定されるものではない。
【0107】(I)N−フルオロピリジニウム塩にハロ
化合物が配合されてなる配合物を正極活物質として用い
る電池の場合
【0108】まず、正極に用いる材料及びその製造方法
を説明する。
【0109】N−フルオロピリジニウム塩とハロ化合物
との配合物が粉末状の場合は、プレス機などで所望の形
状に成形することができ、必要ならば、例えば、バイン
ダーや導電剤、さらには添加剤などと配合し、好ましく
は、正極集電体とともにプレス機などで所望の形に成形
することができる。
【0110】前記バインダーとしては、例えば、ポリテ
トラフルオロエチレン粉末、ポリフッ化ビニリデン粉
末、カルボキシジメチルセルロース、ポリビニルアルコ
ール等のバインダーを使用できる。
【0111】また、前記導電剤としては、例えば、ニッ
ケル粉末、金属細繊維や、黒鉛、石墨などのグラファイ
ト、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、炭素
繊維、ピッチ、タールなどの炭素系物質を使用できる。
【0112】また、前記正極集電体としては、例えば、
黒鉛、石墨などのグラファイト、アセチレンブラックな
どのカーボンブラック、炭素繊維、ピッチ、タールなど
の炭素系物質、白金、金、ニッケル、ステンレススチー
ル、鉄、銅などのネット、箔ラス、パンチングメタル
(発泡メタル)、金属繊維網などが好ましく挙げられ
る。
【0113】前記添加剤としては、先に示した極性有機
化合物や極性無機化合物が挙げられる。
【0114】前記バインダーの量は、N−フルオロピリ
ジニウム塩とハロ化合物とを含む配合物の種類、及びバ
インダーの種類等により適宜選択すればよい。例えば、
前記配合物の総重量に対して、バインダーは10重量%
以下であることが好ましく、5重量%以下であることが
さらに好ましい。バインダーの量が前記配合物の総重量
に対して10重量%を越えると、内部抵抗の上昇をもた
らすことがある。
【0115】また、前記導電剤の量は、N−フルオロピ
リジニウム塩とハロ化合物とを含む配合物の種類、及び
導電剤の種類等により適宜選択すればよい。例えば、前
記配合物の総重量に対して、導電剤が1〜80重量%程
度であることが好ましく、2〜50重量%であることが
さらに好ましい。この範囲より導電剤の量が少ないと導
電剤の効果が小さくなることがあり、一方、この範囲よ
り多いと起電力が低下する傾向があり、また、電気容量
が小さいものとなる。
【0116】なお、N−フルオロピリジニウム塩とハロ
化合物との配合物が膜状に成形可能な場合、或いはフィ
ルム形成剤により膜形成が可能な場合、そのままフィル
ム化するか、または必要に応じて前述のバインダーや導
電剤、さらには添加剤などを配合してフィルム状とし、
好ましくは正極集電体と組み合わせて正極を作製するこ
とができる。
【0117】前記添加剤としてのフィルム形成剤として
は、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リビニルアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリメチ
ルアクリレートなどの高分子材料、またはゼラチンなど
が好ましい。添加剤の配合量は、N−フルオロピリジニ
ウム塩とハロ化合物との配合物の総重量に対して20重
量%以下であることが好ましく、10重量%以下である
ことがさらに好ましい。この配合量よりも多い場合、内
部抵抗の上昇をもたらすことがある。
【0118】また、N−フルオロピリジニウム塩とハロ
化合物との配合物が液状の場合、そのまま用いてもよい
し、または、所望の形状をした多孔質体に含浸させて用
いてもよい。また、必要に応じて、上述したバインダー
や導電剤、さらには添加剤などを加えてもよいし、ま
た、これらと配合して所望の形状に成形することも可能
である。前記多孔質体としては、多孔性繊維材料、多孔
性の導電性又は非導電性材料、多孔性可撓性材料などが
挙げられるが、多孔性の導電性材料は、集電体の働きを
兼ねさせることも可能である。なお、ここで用いられる
バインダーや導電剤、さらには添加剤は、上述したもの
と同じ種類、量のものが使用できる。
【0119】また、N−フルオロピリジニウム塩とハロ
化合物との配合物には、別の公知の正極活物質を配合し
て使用することもできる。
【0120】このような正極活物質としては、例えば、
二酸化マンガン、リチウム酸化マンガン、二酸化コバル
ト、リチウム酸化コバルト、二酸化ニッケル、リチウム
酸化ニッケルなどの金属酸化物や、ポリアニリン、ポリ
ピロール、ポリフェニレンなどの有機ポリマーなどが挙
げられる。
【0121】このような別の正極活物質は、N−フルオ
ロピリジニウム塩とハロ化合物との配合物に対して1〜
80重量%含有させることが好ましく、2〜50重量%
含有させることがさらに好ましい。
【0122】次に、電解質に用いることができる材料を
説明する。電解質としては、通常使用されるものが液体
(即ち、液体電解質)、固体(即ち、固体電解質)の別
なく使用できる。
【0123】好ましい液体電解質としては、例えば、過
塩素酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、
リチウムテトラフルオロボラート、リチウムヘキサフル
オロホスファート、リチウムヘキサフルオロアルセナー
ト、リチウムヘキサフルオロアンチモナート、リチウム
トリフルオロメタンスルホナート、リチウムビス(トリ
フルオロメタンスルホニル)アミド、LiC(SO2
3 3 、N−フルオロピリジニウム塩などの溶質を溶
解した炭酸エチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭
酸メチルエチル、炭酸プロピレン、スルホラン、メチル
スルホラン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキ
シエタン、ジグライム、トリグライム、テトラグライ
ム、アセトニトリル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジメチ
ル亜硫酸、2,2−ジフルオロマロン酸ジメチル、2,
2−ジフルオロマロン酸ジエチル、2,2−ジフルオロ
アセト酢酸メチル、2,2−ジフルオロアセト酢酸エチ
ル、或いは、これらの溶媒を2種以上混合したものなど
が挙げられる。
【0124】また、固体電解質としては、例えば、リチ
ウムトリフルオロメタンスルホナートや高イオン伝導性
非水電解液を含むゲル電解質等の高分子固体電解質、或
いは、N−フルオロピリジニウム塩やN−フルオロピリ
ジニウム塩/リチウム塩混合物〔例えば、N−フルオロ
ピリジニウムテトラフルオロボラート/LiBF4 混合
物など〕が挙げられる。
【0125】次に、負極に用いる材料(負極活物質)を
説明する。
【0126】負極活物質としては、リチウム、ナトリウ
ム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カル
シウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムなどの両
性化合物、亜鉛、カドミウム、銅、鉛などの遷移金属、
リチウム−アルミニウム、リチウム−スズ、リチウム−
鉛、リチウム−金、リチウム−白金、リチウム−亜鉛、
リチウム−カドミウム、リチウム−銀、リチウム−マグ
ネシウム、リチウム−ウッドメタルなどの各種のリチウ
ム合金などが使用できる。特に、高起電力を発生できる
という点及び柔軟性のある薄型電池に適用しやすいとい
う点などから、リチウム、リチウム合金、カルシウム、
マグネシウム、アルミニウム、亜鉛などの負極活物質が
好ましい。
【0127】次に、セパレータについて説明する。
【0128】セパレータが必要な場合は、例えば、ポリ
アミド系、ポリプロピレン系などの繊布、不繊布や、セ
ルロース繊維など、従来より通常使用されているものを
採用できる。なお、前述した構成を用い、通常の方法で
電池を組み立てることができる。
【0129】(II)N−フルオロピリジニウム塩とハロ
化合物との配合物を、正極活物質と電解質とを兼用し、
正極として用いる電池の場合
【0130】まず、正極活物質と電解質とを兼用する正
極は、上述した正極の作製方法と同様に作製することが
できる。この場合も導電剤などの各種添加剤を使用して
もよい。
【0131】また、負極材料も上述したものを使用でき
る。また、セパレータは、正極と負極との界面が、各電
極の形成材料同士の反応によって形成される保護膜によ
り短絡状態にならないことが多いので、原則としては不
要である。また、必要に応じて上述したものを使用すれ
ばよい。
【0132】このような電池の組み立ては、正極を正極
活物質と電解質とを兼用した材料とし、正極と負極との
間にセパレータを介在させることなく、通常の方法によ
り行うことができるが、必要に応じてセパレータを用い
てもよい。
【0133】本発明の添加剤であるハロ化合物がN−フ
ルオロピリジニウム塩に配合されてなる正極活物質を用
いる電池の作製方法のもう1つの例として、次に、N−
フルオロピリジニウム塩を含む正極活物質を用いる電池
において、ハロ化合物の一部若しくは全部を溶解した電
解質を用いる場合の電池の作製方法例を説明する。
【0134】この電池においては、ハロ化合物を溶解し
た電解質が、正極活物質であるN−フルオロピリジニウ
ム塩に浸透または拡散するので、この電池はハロ化合物
がN−フルオロピリジニウム塩に配合されてなる正極活
物質を用いた電池である。
【0135】正極の作製は、上述した(I)の方法でN
−フルオロピリジニウム塩にハロ化合物を配合した配合
物を用いる代わりに、N−フルオロピリジニウム塩のみ
(但し、この場合、ハロ化合物は電解質中に溶解されて
いる)を用いる他は、上述した方法に従って作製するこ
とができる。なお、セパレータ及び負極は、上述した方
法に従って作製すればよく、このような構成材料を用
い、通常の方法で本発明に基づく電池を組み立てること
ができる。
【0136】電解質に加えるハロ化合物の量は、前記電
池に用いられるN−フルオロピリジニウム塩の全量に対
する配合比〔モル比:(ハロ化合物)/(N−フルオロ
ピリジニウム塩)〕で、0.0001〜0.5の範囲内
にあることが好ましく、0.0005〜0.3の範囲内
にあることがさらに好ましく、次に0.0005〜0.
2の範囲内が、さらに、0.001〜0.1の範囲内に
あることが好ましい。
【0137】この配合比(モル比)が、上述した範囲内
より小さい(即ち、0.0001未満である)と、内部
抵抗の上昇による電圧の低下が起こり、また、安定した
放電が得られない傾向がある。また、上述した範囲内よ
り大きい(即ち、0.5を越える)と、電気容量の低下
が起こり、高エネルギー密度の電池を達成できないこと
がある。
【0138】なお、本発明における電池の形状は、円筒
型、角型、ボタン型、コイン型など一般に使用されてい
る電池形状に作製してよく、また、その使用形態に適当
なサイズ、形状の電池を作製することもできる。
【0139】また、本発明の電池の用途としては、例え
ば、定期券、キャッシュカード、ペースメーカー、時
計、電卓、電子玩具、小型ラジオ、電子ライター、カメ
ラ、電子体温計、医療用機器、グリーティングカード、
補聴器、ページャー、電子手帳、キーレスエントリー、
RAMメモリー、ICメモリー、携帯電話、ノート型パ
ソコン、ポータブルAV機器、太陽電池のバックアッ
プ、カード等の電源などが挙げられる。
【0140】
【実施例】以下、本発明を実施例について具体的に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0141】実施例1〜5 <正極活物質(正極)の作製>下記の表22に記載した
N−フルオロピリジニウム塩、ハロ化合物及びその他の
構成成分を、表22に記載した配合量(重量%)となる
ように秤り取り、これを乳鉢で均一微粉末状になるまで
十分に粉砕配合した。
【0142】次いで、これをプレス機で圧延した後、直
径16mmの円形ペレット状に打ち抜いて正極活物質と
した。正極活物質の総重量も下記の表22に併せて記載
した。なお、正極活物質の構成成分として用いたバイン
ダーは、ポリテトラフルオロエチレン製バインダー(ダ
イキン工業株式会社製F−104)であり、アセチレン
ブラックは、電気化学工業株式会社製Gunbaiを用
い、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン)入りア
セチレンブラックは、宝泉株式会社製TAB−2を用い
た。また、セパレータは、宝泉株式会社製セルガード#
2400を用いた。
【0143】<電池の作製>次に、図1を参照しなが
ら、本実施例における電池の作製工程を説明する。
【0144】まず、下記の表22に記載したセパレータ
を正極(正極活物質)8の負極側の表面に重ね合わせ
て、これに液体電解質としての1M(モル/リットル)
のLiBF4 の炭酸プロピレン(PC):炭酸ジメチル
(DMC)=1:1の混合溶液約0.09〜0.10m
L、またはγ−ブチロラクトン約0.13mLを含浸さ
せ、セパレータ兼電解質層5を形成した。
【0145】次いで、この上に、負極(負極活物質)と
して、直径16.5mmの円板状(厚さ0.38mm)
のリチウム板2を重ね合わせた後、負極集電体として負
極缶(負極端子)1に溶接したニッケル箔ラス(サンク
株式会社製品番Ni−HO1−200−030:以下、
同様)3でこれを被覆した。また、正極集電体として、
正極缶(正極端子)6にニッケル箔ラス3を設けた後、
この上にグラファイトペースト7を塗布し、通常の方法
に従って、ボタン型リチウム電池9を作製した。なお、
作製した電池の開回路電圧、直流内部抵抗及び電気容量
(放電容量)を下記の表22に併せて示した。
【0146】また、この電池の一部断面側面図を図1に
示す。即ち、このボタン型電池9において、正極側は、
正極端子6上に正極集電体としてのニッケル箔ラス3と
グラファイトペースト7とがこの順に設けられ、さらに
その上に正極8が設けられた積層構造を有している。ま
た、負極側は、負極端子1に設けられたニッケル箔ラス
3と負極としてのリチウム板2とからなる積層構造を有
している。そして、リチウム板2と正極8との間には、
セパレータ兼電解質層5が設けられており、もちろん、
負極缶(負極端子)1と正極缶(正極端子)6とは絶縁
層4によってパッキングされている。
【0147】また、表22における直流内部抵抗は、図
2に示す回路を有する装置を用いて測定し、温度20℃
で開回路電圧及び1MΩから、510kΩ、100k
Ω、51kΩ、30kΩおよび10kΩの外部負荷のも
とで、それぞれ1分後の電池電圧或いはほぼ一定の値と
なった電池電圧を測定して、それぞれの抵抗における電
流値と電圧値とから最小2乗法により求めた。
【0148】但し、図2においては、ボタン型リチウム
電池9の直流内部抵抗などを測定するために、電池9と
スイッチ11と外部負荷12と電圧計10とは配線13
によって図2に示すように接続されている。
【0149】実施例1〜5に関し、このようにして測定
した開回路電圧(V)、直流内部抵抗(kΩ)、及び
2.5V以上の電気(放電)容量(mAh/g)を下記
の表22に併せて示す。但し、表22中、〔B〕/
〔A〕はモル比〔(ハロ化合物)/(N−フルオロピリ
ジニウム塩)〕を示す。
【0150】但し、電気容量は、温度20℃で300μ
Aの定電流放電を行うことによって求めた。この際に得
られた放電曲線を図3に示す。即ち、図3は、温度20
℃における300μA定電流放電において、時間による
電圧の変化を示す曲線である。なお、図3には、下記の
比較例1の放電曲線も併せて示した。
【0151】
【表22】
【0152】比較例1〜2 下記の表23に示すような構成材料を用いて(即ち、ハ
ロ化合物を用いない以外は、上述した実施例1〜4と同
様にして)ボタン型電池を作製し、これを比較例1とし
た。比較例2は、ハロ化合物を用いない以外は実施例5
と同様の構成でボタン型電池を作製したものある。
【0153】比較例1及び2についても、上記実施例と
同様に、開回路電圧、直流内部抵抗、及び電気容量(放
電容量)を測定し、この測定結果を下記の表23に併せ
て示した。なお、比較例1に関し、温度20℃における
300μAの定電流放電曲線は、図3に併せて示した。
【0154】
【表23】
【0155】実施例6及び比較例3 実施例1と同様の電池を作製し、これを温度−20℃、
100μAでの定電流放電を行った。これを実施例6と
し、得られた放電曲線を図4に示した。即ち、図4は、
マイナス20℃における100μA定電流放電におい
て、時間による電圧の変化を示す曲線である。また、比
較例1と同様の電池を作製し、これを、同様に、温度−
20℃、100μAでの定電流放電を行った。これを比
較例3とし、得られた放電曲線を図4に併せて示した。
【0156】<評価>実施例1〜4と比較例1との比
較、実施例5と比較例2との比較、及び実施例6と比較
例3との比較から(表22、表23、図3及び図4参
照)、N−フルオロピリジニウム塩とハロ化合物とを含
む正極活物質を用いた本実施例の電池は、ハロ化合物を
含まない電池(比較例1及び2)よりも開回路電圧(起
電力)、内部抵抗、さらには放電容量において格段に優
れていることがわかる。
【0157】また、図3より、本実施例の電池は、放電
時間や放電電圧もハロ化合物を使用していない比較例1
に比べて優れた結果が得られている。さらに、図4よ
り、本実施例の電池は、温度がマイナス20℃の環境下
でもハロ化合物を使用していない比較例3に比べて優れ
た性能を示し、かつ、有効に動作することがわかる。
【0158】なお、実施例4のように、ハロ化合物とし
てテトラブロモメタンを使用した場合、ハロ化合物を使
用しない場合の比較例1(1.16kΩ)と比べて、放
電前の直流内部抵抗(1.26kΩ)はやや高いが、図
3における実施例4の放電曲線から分かるように、放電
後は比較例1よりも内部抵抗が減少し、その結果、放電
電圧、放電容量共に比較例1よりも明らかに優る。
【0159】
【発明の作用効果】本発明の添加剤によれば、ハロアル
カン、ハロアルケン、N−ハロアミド及びN−ハロイミ
ドからなる群より選ばれた少なくとも1種のハロ化合物
からなるものであり、電子の流れを円滑に行わせる媒介
(メディエーター)としての機能が優れていると同時
に、毒性並びに腐食性が小さいので、これを用いて電池
を製造する場合、製造上の安全性や取り扱いの問題、ま
た、製造装置や電池ケースの材質の問題、さらには、安
全性や保存性の問題を解決し、従って電池特性に優れる
と共に環境受容性の高い電池を提供することができる。
【0160】また、本発明の正極活物質及び本発明の電
池は、N−フルオロピリジニウム塩と、ハロアルカン、
ハロアルケン、N−ハロアミド及びN−ハロイミドから
なる群より選ばれた少なくとも1種のハロ化合物とを含
む正極活物質またはこれを含む電池であるので、前記正
極活物質であるN−フルオロピリジニウム塩の活物質分
子間の電子の流れ、或いは、正極材料に添加可能な導電
剤と前記正極活物質との間の電子の流れを前記ハロ化合
物によって円滑に行うことができ、起電力、内部抵抗及
び放電容量等の電池特性に優れると同時に、環境受容性
の高い正極活物質、さらには、この正極活物質を用いた
電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例で作製したボタン型電池の一部断面側
面図を示す。
【図2】同、電池の電池特性の測定に際に使用した回路
図である。
【図3】本実施例の電池及び比較例の電池における放電
曲線を示すグラフである。
【図4】同、他の放電曲線を示すグラフである。
【符号の説明】 1・・・負極端子 2・・・負極(リチウム板) 3・・・ニッケル箔ラス 4・・・絶縁パッキンング 5・・・セパレータ及び電解質 6・・・正極端子 7・・・グラファイトペースト 8・・・正極 9・・・ボタン型電池 10・・・電圧計 11・・・スイッチ 12・・・外部負荷 13・・・配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07D 213/65 C07D 213/65 213/79 213/79 213/80 213/80 213/81 213/81 213/82 213/82 213/84 213/84 H01M 4/02 H01M 4/02 C

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−フルオロピリジニウム塩を含む正極
    活物質への添加剤であって、ハロアルカン、ハロアルケ
    ン、N−ハロアミド及びN−ハロイミドからなる群より
    選ばれた少なくとも1種のハロ化合物からなる正極活物
    質添加剤。
  2. 【請求項2】 前記ハロ化合物の炭素原子数が1〜10
    の範囲内である、請求項1に記載した正極活物質添加
    剤。
  3. 【請求項3】 前記ハロアルカン及び前記ハロアルケン
    が少なくとも1つのヨウ素原子及び/又は臭素原子を含
    む、請求項1に記載した正極活物質添加剤。
  4. 【請求項4】 前記N−ハロアミドがN−ヨードアミド
    又はN−ブロモアミドであり、前記N−ハロイミドがN
    −ヨードイミド又はN−ブロモイミドである、請求項1
    に記載した正極活物質添加剤。
  5. 【請求項5】 N−フルオロピリジニウム塩に、ハロア
    ルカン、ハロアルケン、N−ハロアミド及びN−ハロイ
    ミドからなる群より選ばれた少なくとも1種のハロ化合
    物が配合されてなる正極活物質。
  6. 【請求項6】 前記ハロ化合物の炭素原子数が1〜10
    の範囲内である、請求項5に記載した正極活物質。
  7. 【請求項7】 前記ハロアルカン及び前記ハロアルケン
    が少なくとも1つのヨウ素原子及び/又は臭素原子を含
    む、請求項5に記載した正極活物質。
  8. 【請求項8】 前記N−ハロアミドがN−ヨードアミド
    又はN−ブロモアミドであり、前記N−ハロイミドがN
    −ヨードイミド又はN−ブロモイミドである、請求項5
    に記載した正極活物質。
  9. 【請求項9】 前記N−フルオロピリジニウム塩に対す
    る前記ハロ化合物のモル比〔(ハロ化合物)/(N−フ
    ルオロピリジニウム塩)〕が、0.0001〜0.5の
    範囲内にある、請求項5に記載した正極活物質。
  10. 【請求項10】 極性化合物からなる添加剤がさらに配
    合されてなる、請求項5に記載した正極活物質。
  11. 【請求項11】 前記極性化合物が前記N−フルオロピ
    リジニウム塩に対して0.5〜30重量%配合されてな
    る、請求項10に記載した正極活物質。
  12. 【請求項12】 導電剤がさらに配合されてなる、請求
    項5に記載した正極活物質。
  13. 【請求項13】 N−フルオロピリジニウム塩に、ハロ
    アルカン、ハロアルケン、N−ハロアミド及びN−ハロ
    イミドからなる群より選ばれた少なくとも1種のハロ化
    合物が配合されてなる正極活物質を用いる電池。
  14. 【請求項14】 前記正極活物質が電解質を兼ねてな
    る、請求項13に記載した電池。
  15. 【請求項15】 極性化合物からなる添加剤が更に配合
    されてなる前記正極活物質を用いる、請求項13に記載
    した電池。
  16. 【請求項16】 前記極性化合物が前記N−フルオロピ
    リジニウム塩に対して0.5〜30重量%配合されてな
    る、請求項15に記載した電池。
  17. 【請求項17】 導電剤が前記正極活物質に配合されて
    なる、請求項13に記載した電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000047433A1 (fr) 1999-02-09 2000-08-17 Hitachi Construction Machinery Co., Ltd. Vehicule de chantier a roues
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