JPH1137300A - 軸封装置 - Google Patents

軸封装置

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JPH1137300A
JPH1137300A JP9203890A JP20389097A JPH1137300A JP H1137300 A JPH1137300 A JP H1137300A JP 9203890 A JP9203890 A JP 9203890A JP 20389097 A JP20389097 A JP 20389097A JP H1137300 A JPH1137300 A JP H1137300A
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JP
Japan
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outer peripheral
seal body
sealing device
shaft
shaft sealing
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JP9203890A
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English (en)
Inventor
Kenji Matsumoto
謙司 松本
Haruhiro Osada
晴裕 長田
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Eagle Industry Co Ltd
Original Assignee
Eagle Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱や圧力に対する耐久性に優れ、しかも安価
に製作可能な軸封装置を提供する。 【解決手段】 円盤の外周部を軸方向に偏向させるよう
に湾曲させた皿状の湾曲形状を呈するシール本体11
と、このシール本体11の内周部を回転軸2の外周面に
密封的に固定させる基部リング12とからなる。シール
本体11は金属、セラミックスあるいはグラファイト繊
維系複合材等の固体材料からなり、ほぼ軸方向を向いた
円筒状外周縁112の外周面がハウジング1の内周面に
設けられた固体潤滑材13の内周面に対する摺動面11
aとなっており、高圧空間S1 の密封対象流体を軸封し
て低圧空間S2 への漏洩を阻止する。回転軸2が軸方向
に変位しても、摺動荷重の変化を伴わずにハウジング1
側の固体潤滑材13に対する摺接位置が変化するため、
回転軸2が回転時に軸方向へ大きく変位するような機器
の軸封手段として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機器の回転軸とそ
の周囲の非回転部分との間で流体を密封する軸封技術に
属するものであって、特に、回転側に装着されて非回転
側と密接摺動する軸封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポンプや、冷凍サイクルのコンプレッサ
等、各種機器の回転軸部の軸封手段としては、従来か
ら、メカニカルシール、あるいはリップ型シールやオイ
ルシールなどが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】メカニカルシールは、
硬質材料からなる回転側及び静止側の摺動環を極めて精
密に加工された端面同士で摺接させて軸封を行うもので
あるため、その製造に際しては高度な設計技術と加工技
術及び品質管理が要求され、安価に提供することが困難
である。一方、エラストマやPTFEなどの弾性材料あ
るいは塑性材料を主材とするリップ型シールやオイルシ
ールは大量生産が比較的容易であり、原料も安価である
ことから、メカニカルシールに比較して著しく低コスト
で提供することができるが、エラストマやPTFE材料
は、高温雰囲気や自らの摺動発熱によって劣化したり圧
力によって座屈したりしやすいことから、高負荷の条件
では使用することができない。
【0004】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その技術的課題とするところは、熱や圧力
に対する耐久性に優れ、しかも安価に製作可能な軸封装
置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明に係る軸封装置
は、金属、セラミックス、グラファイト繊維系複合材等
の固体材料からなる円盤の外周部を軸方向に偏向させる
ように湾曲させた皿状のシール本体、又は前記固体材料
からなる管の一端を径方向に展開させるように湾曲させ
たラッパ状のシール本体と、このシール本体の内周部を
回転軸の外周面に密封的に固定させる基部リングとから
なる。そして、前記シール本体が皿状のものにおいて
は、その外周縁の外周摺動面を、前記回転軸の外周を取
り囲む静止ハウジング側の内周面に円筒面状又はテーパ
面状に形成した摺動面に密接摺動させ、前記シール本体
がラッパ状のものにおいては、その外周縁の一端摺動面
を、前記回転軸を挿通した静止ハウジング側に形成した
軸心と直交する平面状の摺動面に密接摺動させるもので
ある。
【0006】すなわちこの軸封装置は、基部リングを介
して回転軸の外周面に装着されたシール本体が回転軸と
一体的に回転し、非回転のハウジング側の摺動面に摺接
することによって軸封機能を営むものである。前記シー
ル本体は金属、セラミックス、グラファイト繊維系複合
材等の固体材料からなるものであるため、エラストマか
らなるリップ型シールやオイルシールに比較して耐熱性
や耐圧性に優れ、しかもメカニカルシールのように精密
な加工を必要としないので安価に製作することができ
る。
【0007】シール本体は上述のように固体材料からな
るものであるが、皿状あるいはラッパ状の湾曲形状であ
るため、その寸法や装着位置等に基づくハウジング側へ
の押し付け力と、回転によって作用する遠心力と、密封
対象流体の圧力等によって僅かに変形した状態で、外周
縁が相手摺動面に弾性的に摺接し、その弾性特性はシー
ル本体の肉厚によって適切に調整することができる。前
記遠心力は、シール本体が皿状に湾曲形成されたものに
おいては、ほぼ円筒状に延びるその外周縁をハウジング
側の円筒内周面状の摺動面に押し付ける方向に作用し、
シール本体がラッパ状に湾曲形成されたものにおいて
は、ほぼ円盤状に展開するその外周縁に、ハウジング側
における軸心と直交する平面状の摺動面との接触荷重を
減少させるように作用する。
【0008】また、本発明において付加される一層好ま
しい構成としては、シール本体に円周方向に連続した蛇
腹状屈曲部が形成される。このようにすれば、回転軸と
ハウジングの相対的な径方向変位(偏心運動)あるいは
軸方向変位に伴ってシール本体が前記蛇腹状屈曲部で顕
著に弾性変形可能となるので、前記変位による摺動部の
過大荷重や偏荷重が抑制され、また面開きによる漏れの
発生が有効に防止される。
【0009】また、本発明において付加される一層好ま
しい他の構成としては、シール本体の外周縁とハウジン
グ側との互いの摺動部に固体潤滑材が介在される。ここ
でいう「固体潤滑材」としては、典型的にはカーボン、
DLC(ダイアモンドライクカーボン)膜、SiC(炭
化珪素)、AlN(窒化アルミニウム)、CaF2 (フ
ッ化カルシウム)などが挙げられ、シール本体の外周部
又はハウジング側の摺動面、あるいはその双方に、塗
布、溶射、接合あるいは蒸着等の方法によって設けるこ
とができる。このようにすれば、シール本体とハウジン
グ側との互いの摺動抵抗を低減させ、発熱や摩耗を抑制
してシール寿命を延ばすことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る軸封装置の
第一の実施形態を示すもので、参照符号1は機器の軸封
部のハウジング、参照符号2はこのハウジング1に挿通
された回転軸である。本実施形態における軸封装置10
Aは、プレス加工あるいはへら絞りあるいは研削加工に
よって円盤の外周部を軸方向に偏向させるように湾曲さ
せた形状、すなわち皿状の湾曲形状を呈するシール本体
11と、このシール本体11の内周部を回転軸2の外周
面に密封的に固定させる基部リング12とからなる。
【0011】シール本体11は金属、セラミックスある
いはグラファイト繊維系複合材等の固体材料からなる。
更に具体的には、前記金属としては、例えばステンレス
や、ベリリウム銅あるいはインコネル等、金属成形ベロ
ーズに使用されているような材料や、形状記憶合金の一
種である超弾性合金等が好適であり、前記セラミックス
としては、例えばアルミナやSiCのように薄く加工可
能なもの、又は超可塑性セラミックスが好適であり、前
記複合材としてはグラファイト繊維を三次元的に編成し
たC−Cコンポジット等が使用可能である。
【0012】シール本体11は内周に回転軸2を挿通可
能な軸孔111を有し、肉厚が外周側へ向かって徐々に
減少しており、ほぼ軸方向を向いた円筒状外周縁112
の外径はハウジング1の内周面とほぼ同一径となってお
り、すなわち円筒状外周縁112の外周面がハウジング
1の内周面(後述する固体潤滑材13の内周面)に対す
る摺動面11aとなっている。また、シール本体11が
延性の大きい金属材料からなるものである場合は、前記
円筒状外周縁112は内周側へ丸くローリング曲げ11
2aされる。
【0013】基部リング12は、環状のリテーナ121
と、このリテーナ121に円周方向複数箇所で径方向に
ねじ込まれて先端が回転軸2の外周面に圧接することに
よりリテーナ121を回転軸2に固定するセットスクリ
ュ122と、前記リテーナ121の内周面に形成され円
周方向に連続した溝に装着されてこの溝の内壁及び回転
軸2の外周面に適当な潰し代で密接するエラストマ製の
Oリング123とからなる。シール本体11の内周部と
リテーナ121は同一材料で一体的に形成されるか、溶
接Wd等の接合手段によって一体化されている。
【0014】ハウジング1の内周面のうち、シール本体
11の円筒状外周縁112と摺接する部分は、固体潤滑
材13によって形成されている。固体潤滑材13はシー
ル本体11との摩擦負荷及び摩耗を減少させる目的で設
けられたもので、例えばカーボン、DLC膜、SiC、
CaF2 、AlN等、低摩擦係数の材料や硬質材料から
選択され、ハウジング1の内周面に塗布、溶射あるいは
蒸着するか、環状に成形したものを接合するといった方
法で設けられる。
【0015】回転軸2の外周面の軸方向所定位置には、
軸周における高圧空間S1 側が相対的に小径、低圧空間
2 側が相対的に大径となるような環状段差部2aが形
成される。すなわち上記構成の軸封装置10Aは、基部
リング12のリテーナ121を、その後端(シール本体
11と反対側の端部)がこの段差部2aに当接した状態
でセットスクリュ122で回転軸2の外周面に固定する
ことによって、シール本体11の円筒状外周縁112の
外周摺動面11aがハウジング1側の固体潤滑材13の
内周位置になるように位置決めされ、シール本体11の
円筒状外周縁112が密封対象である高圧空間S1 側を
向いた状態に装着される。
【0016】上述の構成を有する軸封装置10Aは、回
転軸2と共に回転してシール本体11の円筒状外周縁1
12の外周摺動面11aがハウジング1側の固体潤滑材
13の内周面と密接摺動することにより、高圧空間S1
の密封対象流体を軸封して低圧空間S2 への漏洩を阻止
するものである。この構成においては、回転軸2が軸方
向に変位しても、摺動荷重の変化を伴わずにハウジング
1側の固体潤滑材13に対する摺接位置が変化するた
め、回転軸2が回転時に軸方向へ大きく変位するような
機器の軸封手段として有用である。
【0017】また、シール本体11は薄肉の湾曲形状と
することによって適当な可撓性(弾性)を有し、回転に
伴う遠心力や、高圧空間S1 と低圧空間S2 の圧力差
が、シール本体11の円筒状外周縁112を外周側に押
し広げてハウジング1側の固体潤滑材13に密接させる
ように作用する。このため、回転軸2がハウジング1に
対して僅かな径方向変位(偏心運動)を伴うような場合
でも、シール本体11の外周摺動面11aはハウジング
1側の固体潤滑材13に対して良好な密接状態を保持す
ることができる。
【0018】なお、シール本体11の材質や肉厚、軸回
転速度やシール本体11の外径によって異なる遠心力、
高圧空間S1 と低圧空間S2 の圧力差等、各種の条件に
よるシール本体11の円筒状外周縁112の変形量は、
コンピュータによるFEM解析等の手法によって容易に
解析することができるので、種々の使用条件に応じて、
シール本体11の外周摺動面11aがハウジング1側の
固体潤滑材13に対して数μmの潤滑隙間をもって良好
に密接されるように設計される。
【0019】図2は本発明に係る軸封装置の第二の実施
形態を示すもので、すなわちこの実施形態による軸封装
置10Bは、シール本体11の軸方向中間部に、円周方
向に連続した一組の山谷からなる蛇腹状屈曲部113が
形成されたものであり、その他の構成は図1に示す第一
の実施形態とほぼ同様である。なお、蛇腹状屈曲部11
3の外径は、ハウジング1の内周面あるいは固体潤滑材
13の内周面と接触しないように、円筒状外周縁112
よりも小径となっている。このような構成とすれば、シ
ール本体11が前記蛇腹状屈曲部113で顕著に弾性変
形可能となるので、回転軸2の偏心運動によるハウジン
グ1との相対的な径方向変位量が比較的大きい場合で
も、蛇腹状屈曲部113の変形によって偏荷重が吸収・
抑制され、面開きによる漏れの発生が有効に防止され
る。
【0020】図3は本発明に係る軸封装置の第三の実施
形態を示すもので、すなわちこの実施形態による軸封装
置10Cは、シール本体11が、円周方向に連続した複
数組の山谷からなる蛇腹状屈曲部113’を有する一
方、ハウジング1の内周面に、高圧空間S1 側から低圧
空間S2 側へ向かって漸次小径となるテーパ状摺動部材
14が取り付けられており、シール本体11の円筒状外
周縁112の外周摺動面11aが前記テーパ状摺動部材
14の内周面に密接されるようになっている。なお、こ
のテーパ状摺動部材14における低圧空間S2 側の端部
は、シール本体11の円筒状外周縁112よりも小径か
つ蛇腹状屈曲部113’の外径よりも大径となってい
る。その他の構成は図1に示す第一の実施形態とほぼ同
様である。
【0021】すなわち、この実施形態による軸封装置1
0Cは、基部リング12が低圧空間S2 側を向くように
して、回転軸2の外周に、その高圧空間S1 側の端部
(図3における右側の端部)から差し込み、リテーナ1
21の後端が回転軸2の外周段差部2aに当接した状態
でセットスクリュ122で回転軸2の外周面に固定する
ことによって、シール本体11の円筒状外周縁112の
外周摺動面11aがハウジング1側のテーパ状摺動部材
14の内周面に密接するように装着される。また、この
装着状態においては、シール本体11の蛇腹状屈曲部1
13’が軸方向に適宜引き伸ばされた状態とする。
【0022】シール本体11は複数組の山谷からなる蛇
腹状屈曲部113’を有するものであるため、一組の山
谷のみからなる蛇腹状屈曲部113が形成された図2の
実施形態よりも、径方向及び軸方向に対して一層柔軟に
弾性変形可能となっている。しかも前記蛇腹状屈曲部1
13’が軸方向に適宜引き伸ばされた状態にあることか
ら、回転軸2とハウジング1の相対的な軸方向変位を生
じても、蛇腹状屈曲部113’が伸縮変形することによ
って軸方向変位力が吸収され、前記蛇腹状屈曲部11
3’の引っ張り荷重及び高圧空間S1 と低圧空間S2
の圧力差によって、シール本体11の外周摺動面11a
とテーパ状摺動部材14の内周面との密接状態が維持さ
れる。
【0023】また、先に説明した図2の実施形態の場合
は、高圧空間S1 と低圧空間S2 との圧力差によって、
ハウジング1の内周の固体潤滑材13に対するシール本
体11の外周摺動面11aの摺接位置が低圧側へ移動
し、蛇腹状屈曲部113が軸方向に圧縮されて大きな応
力を生じることになるため、耐圧性を考慮してある程度
蛇腹状屈曲部113の剛性を大きくする必要があるが、
この第三の実施形態によれば、前記圧力差によってシー
ル本体11の外周摺動面11aとテーパ状摺動部材14
の内周面との密接位置が変化することはなく、このため
蛇腹状屈曲部113’が圧縮されることはない。したが
って、蛇腹状屈曲部113’を複数組の山谷からなる柔
軟に伸縮変形可能なものとして、ハウジング1と回転軸
2の互いの許容変位量を大きくすることができる。
【0024】図4は、本発明に係る軸封装置の第四の実
施形態を示すもので、この軸封装置10Dは、管の一端
を径方向に展開させるように湾曲させた形状、すなわち
ラッパ状の湾曲形状を呈するシール本体15と、このシ
ール本体15の内周部を回転軸2の外周面に密封的に固
定させる基部リング12とからなる。シール本体15の
材質は、先の第一乃至第三の実施形態におけるシール本
体11と同様であり、また基部リング12の構成も第一
乃至第三の実施形態と同様である。
【0025】ハウジング1の内周面には、フランジ部1
aが一体的に取り付けられるか又は一体的に形成されて
おり、その高圧空間S1 側を向いた端面には円盤状の固
体潤滑材16が一体的に設けられている。この固体潤滑
材16は、第一及び第二の実施形態における固体潤滑材
13あるいは第三の実施形態におけるテーパ状摺動部材
14と同様の材質からなり、前記フランジ部1aの一端
面に塗布、溶射あるいは蒸着するか、円盤状に成形した
ものを接合するといった方法で設けられる。
【0026】シール本体15は内周に回転軸2を挿通可
能な軸孔151を有し、肉厚が外周側へ向かって徐々に
減少しており、ほぼ半径方向を向いた鍔状外周縁152
における基部リング12と反対側を向いた端面が、ハウ
ジング1側のフランジ部1aの固体潤滑材16に対する
摺動端面15aとなっている。また、シール本体15が
延性の大きい金属材料からなるものである場合は、前記
鍔状外周縁152は前記摺動端面15aと反対側へ丸く
ローリング曲げ152aされる。
【0027】上述の構成を有する軸封装置10Dは、シ
ール本体15が適当に撓んだ状態でその鍔状外周縁15
2の摺動端面15aがフランジ部1aの固体潤滑材16
の高圧空間S1 側を向いた端面に密接されるように、回
転軸2の外周に位置決め固定され、この回転軸2と共に
回転して、前記摺動端面15aが前記固体潤滑材16の
端面と密接摺動することにより、高圧空間S1 の密封対
象流体を軸封して低圧空間S2 への漏洩を阻止するもの
である。この構成においては、回転軸2が径方向に変位
すると、摺動荷重の変化を伴わずにフランジ部1aの固
体潤滑材16に対する摺接位置が径方向に変化するた
め、回転軸2が回転時に径方向へ大きく変位するような
機器の軸封手段として有用である。
【0028】またこの実施形態によると、高圧空間S1
と低圧空間S2 の圧力差はシール本体15の鍔状外周縁
152をハウジング1側の固体潤滑材16に押し付ける
ように作用するが、回転時にシール本体15に作用する
遠心力は前記鍔状外周縁152をハウジング1側の固体
潤滑材16から離すように作用するため、回転速度が大
きいほどシール本体15の摺動端面15aとハウジング
1側の固体潤滑材16との間の潤滑隙間が大きくなり、
良好な潤滑が保たれる。したがって、高圧空間S1 と低
圧空間S2 の圧力差が大きくかつ回転速度が高いといっ
た高負荷条件での使用に適している。
【0029】図5は、本発明に係る軸封装置の第五の実
施形態を示すものである。この実施形態による軸封装置
10Eは、ラッパ状のシール本体15が、その径方向中
間部に円周方向に連続した一組の山谷からなる蛇腹状屈
曲部153を有する。また、基部リング17は、一端面
に前記シール本体15の内周部が溶接Wdされ回転軸2
の外周面に対して軸方向移動自在に設けられたリテーナ
171と、その内周溝と回転軸2の外周面に適当な潰し
代で密接されるOリング172とからなる。
【0030】ハウジング1の内周面には、フランジ部1
aのほか、このフランジ部1aから高圧空間S1 側へ適
当な距離だけ離れた位置に第二のフランジ部1bが一体
的に設けられている。回転軸2の外周面に対して軸方向
移動自在であるリテーナ171(基部リング17)は、
この第二のフランジ部1bにバックアップされた状態で
円周方向等間隔で配置された複数のコイルスプリング1
73によって、低圧空間S1 側へ向けて付勢されてお
り、これによって、シール本体15の鍔状外周縁152
における摺動端面15aが、フランジ部1aの固体潤滑
材16と適当な密接荷重で摺接している。
【0031】上述の構成を有する軸封装置10Eによれ
ば、基部リング17と回転軸2は軸方向相対移動自在で
あるため、回転軸2が軸方向に変位しても、基部リング
17はフランジ部1aと第二のフランジ部1bとの間
で、コイルスプリング173の押圧力、シール本体15
の応力、Oリング172の摩擦力及び高圧空間S1 と低
圧空間S2 との圧力差による軸方向移動力がバランスす
る位置に留まる。そしてこれによって、回転軸2の軸方
向変位によるシール本体15の摺動端面15aとフラン
ジ部1aの固体潤滑材16との密接力の著しい変動が抑
制されるので、回転軸2の軸方向変位の大きい機器の軸
封手段として好適である。
【0032】また、図6に本発明の第六の実施形態とし
て示す軸封装置10Fのように、シール本体15に、円
周方向に連続した互いに同心的な複数組の山谷からなる
蛇腹状屈曲部153’を形成することによってシール本
体15の変形量を増大させることができる。
【0033】なお、本発明は、図示の実施形態によって
限定的に解釈されるものではない。例えば、固体潤滑材
13(16)は、シール本体11(15)の鍔状外周縁
112(152)における外周摺動面11a(摺動端面
15a)に設けたり、あるいはハウジング1の内周面
(フランジ部1aの端面)との双方に設けても良い。ま
た、シール本体11(15)とリテーナ121(17
1)は互いに一体形成することもできる。
【0034】
【発明の効果】本発明によると、メカニカルシールに比
較して安価に製造することができ、シール本体が金属あ
るいはセラミックス等からなるため、高温・高圧といっ
た高負荷の条件でも使用することができ、回転軸の軸方
向及び径方向への変位にも十分対応することができると
いった効果が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第一の実施形態の軸封装置10A
の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図
である。
【図2】本発明に係る第二の実施形態の軸封装置10B
の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図
である。
【図3】本発明に係る第三の実施形態の軸封装置10C
の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図
である。
【図4】本発明に係る第四の実施形態の軸封装置10D
の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図
である。
【図5】本発明に係る第五の実施形態の軸封装置10E
の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図
である。
【図6】本発明に係る第六の実施形態の軸封装置10F
の装着状態を、軸心を通る平面で切断して示す半断面図
である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 回転軸 10A,10B,・・・・10F 軸封装置 11,15 シール本体 12,17 基部リング 13,16 固体潤滑材 14 テーパ状摺動部材 113,113’,153,153’ 蛇腹状屈曲部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体材料からなる円盤の外周部を軸方向
    に偏向させるように湾曲させた形状のシール本体と、 このシール本体の内周部を回転軸の外周面に密封的に固
    定させる基部リングとからなり、 前記シール本体の外周縁の外周摺動面を、前記回転軸の
    外周を取り囲む静止ハウジング側の内周面に円筒面状又
    はテーパ状に形成した摺動面に密接摺動させることを特
    徴とする軸封装置。
  2. 【請求項2】 固体材料からなる管の一端を径方向に展
    開させるように湾曲させた形状のシール本体と、 このシール本体の内周部を回転軸の外周面に密封的に固
    定させる基部リングとからなり、 前記シール本体の外周縁の一端面を、前記回転軸の外周
    を取り囲む静止ハウジング側に軸心と直交する平面状に
    形成した摺動面に密接摺動させることを特徴とする軸封
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の記載において、 シール本体を形成する固体材料が、金属、セラミック
    ス、グラファイト繊維系複合材のいずれかから選択され
    たことを特徴とする軸封装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの記載におい
    て、 シール本体に円周方向に連続した蛇腹状屈曲部が形成さ
    れたことを特徴とする軸封装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかの記載におい
    て、 シール本体の外周縁とハウジング側との互いの摺動部に
    固体潤滑材が介在されたことを特徴とする軸封装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001023789A1 (fr) * 1999-09-27 2001-04-05 Koyo Seiko Co., Ltd. Joint et ensemble tournant l'utilisant
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JP2002227856A (ja) * 2001-01-31 2002-08-14 Koyo Seiko Co Ltd 車軸用軸受の密封装置
JP2007205504A (ja) * 2006-02-03 2007-08-16 Nok Corp 密封装置

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